JP4545567B2 - エアゾール装置 - Google Patents

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本発明は、エアゾール容器内に入れられた殺虫剤、農薬、等の薬剤及びこれらの薬剤を噴射するためにエアゾール容器内に高圧で充填されたガスを含むエアゾール内容物を噴射するエアゾール装置に関し、特に、使用済みのエアゾール容器内に残留したガスを抜くガス抜き機構を備えたエアゾール装置に関する。
使用済みのエアゾール容器内には、殺虫剤、農薬、等の薬剤を噴射するためにエアゾール容器内に充填されたガスが残留していることが多く、その状態で焼却されると爆発する虞がある。
そのため、この残留ガスを外部空間に排出してからエアゾール容器を廃棄することが望ましく、エアゾール容器に嵌着させることによりエアゾール容器のバルブステムを開放状態に維持することができる種々のガス抜き用具が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1に開示されたガス抜き用具200は、図6(A)、(B)に示されるように、筒状の外周壁201の内部に渡される中間壁202を有し、中間壁202には、その上面中央部にバルブ203を開放するための押し棒204が突設されており、また、複数の貫通孔205が上下方向に貫通して設けられている。また、外周壁201には上下反転した状態でエアゾール容器のマウンティングカップ206と係合する環状突起207が設けられている。
このガス抜き用具200は、販売時点で図6(A)に示される状態にマウンティングカップ206に取り付けられている。使用者は、使用開始の時にガス抜き用具200をマウンティングカップ206から抜き取って付属の押しボタン208をバルブ203に取り付けると共に、取り外したガス抜き用具200を別個に保管する。
そして、このガス抜き用具200によりエアゾール容器のガス抜きを行うに際しては、図6(B)に示されるように、通常の使用時においてバルブ203に取り付けられている押しボタン208を取り外し、ガス抜き用具200を反転してエアゾール容器に取り付ける。このとき、押し棒204がバルブ203を押圧した状態で環状突起207がマウンティングカップ206に係合し、バルブ203が開放状態で維持され、貫通孔205を介して残留ガスが外部空間に排出される。
特許文献2に開示されたガス抜き用具である操作釦300は、図7に示されるように、通常の使用時においてエアゾール容器301のステム302に嵌合する内容物放出用凹部303と、内容物放出用凹部303とは反対側の天面304にガス抜き用凹部305と、ガス抜き時にマウンテンキャップ306に係合するストッパ307と、を有している。
ガス抜き時には、通常の使用時に内容物放出用凹部303をステム302に嵌合させている操作釦300を上下反転し、ガス抜き用凹部305をステム302に嵌合させ、ストッパ307をマウンテンキャップ306に係合させる。これにより、ガス抜き用凹部305の底面がステム302を押圧した状態に保持し、ガス抜きが自動的に行われる。
特開2001−019066号公報(第4−5頁、第2図) 特開2004−123167号公報(第5−7頁、第1−2図)
しかしながら、上記特許文献1に開示されたガス抜き用具は、通常の使用時にバルブに取り付けられる押しボタンとは別に設けられており、使用者は、通常の使用時にこのガス抜き用具を別個に保管しておく必要がある。このため、ガス抜きを行うまでにガス抜き用具を紛失する可能性があった。
また、上記特許文献1及び2に開示されたガス抜き用具は、エアゾール容器に取り付ける際に、通常の使用時に用いるバルブもしくはステムに取り付けられている押しボタンもしくは操作釦を取り外す必要があり、その取り付けが面倒であった。
さらに、上記特許文献1及び2に開示されたガス抜き用具は、通常の使用時とは異なる態様でエアゾール内容物を噴射する(例えば、通常の使用時とは異なる方向に噴射する)ので、使用者にエアゾール内容物が誤ってかかるなどの不測の事態が生じる虞があり、また、押しボタンや操作釦をバルブから取り外す際にも、エアゾール内容物が使用者に誤ってかかる虞があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガス抜きを行うための部材が紛失することがなく、通常の使用時と同様の態様でエアゾール内容物を噴射して容易に且つ安全にガス抜きを行うことができるエアゾール装置を提供することにある。
上述した目的を達成するため、本発明に係るエアゾール装置は、下記(1)を特徴としている。
(1) 内部にエアゾール内容物が充填されたエアゾール容器と、前記エアゾール容器の上端部に突設されたバルブステムと、前記バルブステムと接続するノズルを有して該バルブステムに装着された操作釦と、を備え、
前記操作釦が押下げ方向に移動され、それにより前記バルブステムが開放されて前記ノズルから前記エアゾール内容物が噴射されるエアゾール装置であって、
円周方向の一箇所を不連続とされた略円環状のリングと、所定量伸張可能な帯状の弾性部材によって形成されて前記リングの互いに対向する円弧部分に架け渡され、前記操作釦を押圧するための押圧部と、を有する押下用部材を、更に備え、
前記リングは、円周方向の一箇所を不連続とされることにより拡径可能とされており、ガス抜き操作時に前記エアゾール容器の上部の外周面に嵌着され、
前記押下用部材の前記押圧部によって前記操作釦を前記エアゾール容器側に押下げて、前記バルブステムを開放する位置に前記操作釦を固定することを特徴とするエアゾール装置。
本発明のエアゾール装置によれば、バルブステムを開放して操作釦のノズルからエアゾール内容物が噴射される押下げ方向に移動された該操作釦をその位置に固定する押下用部材を用い、ノズルから連続的にエアゾール内容物を噴射してガス抜きを行う。即ち、通常の使用時と同様の態様でエアゾール内容物を噴射して容易に且つ安全にガス抜きを行うことができる。そして、固定部材は、少なくとも該固定部材が使用される前において、キャップに取着されているため紛失することがない。
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態の説明の前に参考例について説明する。
参考例
図1は本発明に係るエアゾール装置の参考例を示す外観斜視図、図2は図1に示すエアゾール装置のガス抜き時の状態を示し、キャップの一部を破断した正面図、図3は図2におけるIII-III矢視断面図である。
図1および図2に示すように、本発明の参考例であるエアゾール装置10は、内部にエアゾール内容物が充填されたエアゾール容器11と、エアゾール容器11の上端部に突設されたバルブステム12と、バルブステム12と接続するノズル13を有してバルブステム12に装着された操作釦14と、操作釦14を覆うようにエアゾール容器11の上端部に嵌着するキャップ15と、を備えており、操作釦14が所定の方向に移動され、それによりバルブステム12が開放されてノズル13からエアゾール内容物が噴射されるエアゾール装置である。
そして、エアゾール装置10は、所定の方向に移動された操作釦14をその位置に固定する固定部材である折り取り片16を有しており、折取り片16は、該折り取り片16が使用される以前(ガス抜き以前)の通常の使用時において、キャップ15に一体的に取着されている。
エアゾール容器11は、軸方向の両端部を封止された略円筒形状の、例えば金属製の缶であって、その内部には殺虫剤、農薬、等の薬剤及びこれらの薬剤を噴射するためガスが高圧で充填されている。エアゾール容器11の上端部は、その周縁に設けられた加締固定部25によって加締め固定されたマウンテンキャップ24により封止されており、このマウンテンキャップ24の中央部にバルブステム12が設けられている。
バルブステム12は、マウンテンキャップ24の中央部からエアゾール容器11の軸線に沿って(換言すれば、エアゾール容器11の軸線上に)突設されており、傾倒されることにより開放されて、エアゾール容器11の内部に充填されたエアゾール内容物を噴出するようになっている。
操作釦14は、略円柱形状に形成されており、その外周面にエアゾール内容物を噴射するノズル13が設けられており、また、内部にはノズル13とバルブステム12とを連通するための流路が設けられている。前記流路の一端は略円柱形状の操作釦14の軸方向の下端面に開口しており、該開口にバルブステム12の上端部が挿嵌されて操作釦14はバルブステム12に装着されている。
キャップ15は、合成樹脂製であって、略円形状の天板17と、天板17の周縁から立設された略円筒形状の側板18と、を有している。そして、側板18の軸方向の下端縁には、エアゾール容器11の加締固定部25に外嵌し、該加締固定部25に係止されるフック部26が設けられている。
フック部26が加締固定部25に係止されてキャップ15がエアゾール容器11の上端部に嵌着した状態において、側板18のノズル13に臨む位置には、キャップ15の内部と外部とを連通するように側板18を貫通する貫通孔19が設けられている。そして、貫通孔19の内側には、複数の接続部材20を介して該貫通孔19を画成している側板18の縁部に接続され、該貫通孔19を塞ぐように設けられた折り取り片16が、キャップ15と一体に形成されている。この折り取り片16は、例えば、貫通孔19に連続して設けられている指入れ孔21に指を挿入して手前側に引っ張ることにより接続部材20が切断されて、キャップ15から分離される。
また、キャップ15の側板18には、折り取り片16を挿通可能な一対のスリット22,23が側板18を貫通して設けられている。図3に示すように、一対のスリット22,23は操作釦14を挟んでほぼ対称な位置に設けられているが、スリット22および23を結ぶ仮想領域が操作釦14の中心部を外れて該操作釦14の外周縁部と交差するように、一方のスリットが、操作釦14を挟んで他方のスリットと対称な位置から円周方向に若干位置ズレして設けられている。
折り取り片16は、スリット22,23に挿通され、該スリット22,23間に架け渡されるに十分な長さを持って形成されている。即ち、キャップ15は、その直径(天板17の直径)よりも軸方向長さ(側板18の幅)を大きく形成されており、そして、貫通孔19および該貫通孔19を塞ぐ折り取り片16は、前記軸方向に沿って前記直径よりも大きい寸法の長さをもって、且つ、円周方向に所定の幅をもって形成されている。
次に、図2および図3を参照して、エアゾール装置10のガス抜きについて説明する。
キャップ15から折り取り片16が分離され、分離された折り取り片16は、キャップ15の一方のスリット23からキャップ15の内部に挿入され、キャップ15の内部を通過して他方のスリット22からキャップ15の外部に突出され、一対のスリット22,23間に横架される。
スリット22および23を結ぶ仮想領域が操作釦14の中心部を外れて該操作釦14の外周縁部と交差するように、一方のスリット23が、操作釦14を挟んで他方のスリット22と対称な位置から円周方向に若干位置ズレして設けられているので、折り取り片16が一方のスリット23から他方のスリット22に向けてキャップ15の内部に挿入されるに伴って、折り取り片16は、その先端部において操作釦14の外周縁部に当接して操作釦14の外周面を押圧しながら摺動し、バルブステム12傾倒させる方向に操作釦14を移動させる。
本参考例においては、スリット22は、貫通孔19に臨むノズル13を正面に見て操作釦14の左側面側にあたる側板18の部分において、操作釦14を左側面から見た際に該操作釦14の中心と重なる位置に設けられており、スリット23は、貫通孔19に臨むノズル13を正面に見て操作釦14の右側面側にあたる側板18の部分において、操作釦14を右側面から見た際に該操作釦14の中心から該操作釦14の背面側にオフセットされた位置に設けられているので、折り取り片16は、その先端部において操作釦14の背面側の外周縁部に当接して操作釦14の背面側の外周面を押圧しながら摺動し、バルブステム12がキャップ15の貫通孔19側に傾倒するように操作釦14をキャップ15の貫通孔19に接近する方向に移動させる。
折り取り片16は、スリット22,23間に横架された際には、該スリット22,23への挿入方向以外の方向への移動を規制されており(即ち、一対のスリット22,23により係止されており)、貫通孔19に接近する方向に移動された操作釦14をその位置に固定する。これにより、バルブステム12は傾倒した状態(開放状態)に維持され、バルブステム12を介してノズル13からエアゾール内容物が連続的に噴射される。ノズル13から噴射されるエアゾール内容物の噴射方向前方には貫通孔19が設けられているため、ノズル13から噴射されたエアゾール内容部は、キャップ15の内部に充満せずに貫通孔19を通じてキャップ15の外部に放出される。
以上、説明したように、本参考例のエアゾール装置10によれば、ガス抜き時にキャップ15に一体的に取着されている折り取り片16を分離して、この折り取り片16をキャップ15のスリット(係止孔)22,23に挿通するだけで、バルブステム12を傾倒させる方向に操作釦14を移動させて該操作釦14を固定し、連続的にエアゾール内容物をノズル13から噴射させてガス抜きを行うことができる。これにより、固定部材である折り取り片16を紛失することがなく、通常の使用時と同様の態様でエアゾール内容物を噴射して容易に且つ安全にガス抜きを行うことができる。
実施形態
次に、本発明に係るエアゾール装置の実施形態について図4および図5を参照して説明する。尚、既に説明したエアゾール装置(10)と重複する構成要素等については、図中に同一符号あるいは相当符号を付すことによって説明を簡略化あるいは省略する。
図4は本発明に係るエアゾール装置の実施形態を示し、キャップの一部を破断して示す外観斜視図、図5は図4に示すエアゾール装置におけるガス抜き時の縦断面図である。
図4に示すように、実施形態のエアゾール装置110は、固定部材である押下用部材122を備えており、この押下用部材122は、キャップ121の天板17の裏面に、例えば両面テープ、接続部材(参考例のエアゾール装置10において折り取り片16をキャップ15に接続している接続部材20参照)等により着脱可能に取着されている。
押下用部材122は、円周方向に一箇所を不連続とされた略円環状のリング124と、所定量伸張可能な布やゴム等の帯状の弾性部材によって形成されてリング124の互いに対向する円弧部分に架け渡され、操作釦14を押圧するための押圧部123と、を有している。
リング124は、円周方向に一箇所を不連続とされることにより拡径可能とされており、エアゾール容器11のマウンテンキャップ24の外周面に嵌着する。
エアゾール装置120のガス抜きを行うに際しては、図5に示すように、キャップ121がエアゾール容器11から取り外された状態で、押圧部123を操作釦14の上端部に当接させてバルブステム82を押し下げる方向に操作釦14を移動させながら、リング124をマウンテンキャップ24の外周面に嵌着させ、押下用部材122をエアゾール容器11の上端部に単独で固定する。これにより、バルブステム82は押し下げられた状態(開放状態)に維持され、バルブステム82を介してノズル13からエアゾール内容物が連続的に噴射される。
本実施形態のエアゾール装置120によれば、ガス抜き時にキャップ121に一体的に取着されている押下用部材122を分離して、リング124をエアゾール容器11のマウンテンキャップ24の外周面に嵌着させて押下用部材122をエアゾール容器11の上端部に固定するだけで、バルブステム82を押し下げる方向に操作釦14を移動させ且つ該操作釦14をその位置に固定し、連続的にエアゾール内容物をノズル13から噴射させてガス抜きを行うことができる。これにより、固定部材である押下用部材122を紛失することがなく、通常の使用時と同様の態様でエアゾール内容物を噴射して容易に且つ安全にガス抜きを行うことができる。
以上、本発明に係るエアゾール装置の実施形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形,改良,等が可能である。その他、前述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
本発明に係るエアゾール装置の参考例を示す外観斜視図である。 図1に示すエアゾール装置のガス抜き時の状態を示し、キャップの一部を破断した正面図である。 図2におけるIII-III矢視断面図である。 本発明に係るエアゾール装置の実施形態を示し、キャップの一部を破断して示す外観斜視図である。 図4に示すエアゾール装置におけるガス抜き時の縦断面図である。 (A),(B)はそれぞれ、従来のエアゾール容器のガス抜き用具を説明するための断面図である。 従来のエアゾール容器のガス抜き用具を説明するための断面図である。
10 エアゾール装置
11 エアゾール容器
12 バルブステム
13 ノズル
14 操作釦
15 キャップ
16 折り取り片(固定部材)

Claims (1)

  1. 内部にエアゾール内容物が充填されたエアゾール容器と、前記エアゾール容器の上端部に突設されたバルブステムと、前記バルブステムと接続するノズルを有して該バルブステムに装着された操作釦と、を備え、
    前記操作釦が押下げ方向に移動され、それにより前記バルブステムが開放されて前記ノズルから前記エアゾール内容物が噴射されるエアゾール装置であって、
    円周方向の一箇所を不連続とされた略円環状のリングと、所定量伸張可能な帯状の弾性部材によって形成されて前記リングの互いに対向する円弧部分に架け渡され、前記操作釦を押圧するための押圧部と、を有する押下用部材を、更に備え、
    前記リングは、円周方向の一箇所を不連続とされることにより拡径可能とされており、ガス抜き操作時に前記エアゾール容器の上部の外周面に嵌着され、
    前記押下用部材の前記押圧部によって前記操作釦を前記エアゾール容器側に押下げて、前記バルブステムを開放する位置に前記操作釦を固定することを特徴とするエアゾール装置。
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