JP4544602B2 - 空調機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮機と、該圧縮機を駆動する駆動源と、室内機と、室外機と、それ等の機器に冷媒が循環する圧縮式空調機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術では、図26(1台の動力源が1台の圧縮機を駆動)、図27(1台の動力源が2台の圧縮機を駆動)に示す様に、機械式の動力源、例えばガスエンジン(102)により、圧縮機(101)を駆動するものが一般的であった。
前述の方法では、部分負荷に対しては、ガスエンジンの回転数を減少させて対応している。
しかし、この場合、回転数が減少すれば、ガスエンジンの効率が低下してしまうという問題が存在する。特に、800rpm以下では、振動や失火が発生する場合があった。
【0003】
この問題に対処するために、電動機を動力源として用いる従来技術も存在する。電動機を動力源として用いた場合、部分負荷でも、効率がさほど低下せず、しかも、ターンダウン(空調機の最大負荷能力に対する最小負荷の割合)が大きく取れる。
【0004】
しかし、原動機の燃料(例えば、ガス、油)と、電力とのエネルギーコストの差異により、電動機を使用して部分負荷に対処しても、ランニングコスト低減には必ずしも結びつかない。
【0005】
この様な問題に対応するために、特開2000−111198号公報で示す従来技術では、機械式原動機と電動機を直列に配置した例が提案されている。
しかし、上記方法においては設備が過大となる恐れが有り、実用上非常に問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、部分負荷時その他におけるエネルギー効率を向上し、ランニングコストを低減することが出来る圧縮式空調機の提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、圧縮機(1、101)とその圧縮機(1、101)を駆動する駆動源(2、102)と室内機(3)と室外機(4)とを有し、それらの圧縮機(1、101)と室内機(3)と室外機(4)に冷媒が循環する圧縮式空調機において、前記駆動源は電動機(2)と電動機以外の機械式原動機(102)であり、前記電動機(2)により駆動される圧縮機(1)からの冷媒の出口ライン(L1)と前記原動機(102)により駆動される圧縮機(101)からの冷媒の出口ライン(L2)とは第1のライン(L16)に合流して室外機(4)に連通する第2のライン(L3)と室内機(3)に連通する第3のライン(L8)とに切替える弁(6)に接続され、前記室外機(4)からの第4のライン(L4)は第1の開閉弁(7)と第1の膨張弁(32)とを介して室内機(3)に接続され、また第4のライン(L4)の第1の分岐点(P1)から分岐した第5のライン(L12)は第2の膨張弁(42)を介して蓄熱槽(5)に接続され、蓄熱槽(5)に接続された第6のライン(L13)は第3の開閉弁(9)を介して第3のライン(L8)の第3の分岐点(P3)に接続され、前記第1の開閉弁(7)と第1の膨張弁(32)との間の第2の分岐点(P2)から分岐した第6のライン(L14)には第2の開閉弁(8)が介装され、そして第6のラインの蓄熱槽(5)と第3の開閉弁(9)との間の第5の分岐点(P5)に接続され、そして前記電動機(2)により駆動される圧縮機(1)の流入ライン(L10)と前記原動機(102)により駆動される圧縮機(101)の流入ライン(L11)とは合流して第7のライン(L9)に接続され、その第7のライン(L9)は前記第2のライン(L3)と第3のライン(L8)とに切替える弁(6)に連通している。
【0008】
また、本発明によれば、圧縮機(103)とその圧縮機(103)を駆動する駆動源(102、104)と室内機(3)と室外機(4)とを有し、その圧縮機(103)と室内機(3)と室外機(4)に冷媒が循環する圧縮式空調機において、前記圧縮機(103)は電動機以外の機械式原動機(102)により駆動されると共に、前記圧縮機(103)からの冷媒の出口ライン(L2)は室外機(4)に連通する第2のライン(L3)と室内機(3)に連通する第3のライン(L8)とに切替える弁(6)に接続され、前記室外機(4)からの第4のライン(L4)は第1の開閉弁(7)と第1の膨張弁(32)とを介して室内機(3)に接続され、また第4のライン(L4)の第1の分岐点(P1)から分岐した第5のライン(L12)は第2の膨張弁(42)を介して蓄熱槽(5)に接続され、蓄熱槽(5)に接続された第6のライン(L13)は第3の開閉弁(9)を介して第3のライン(L8)の第3の分岐点(P3)に接続され、前記第1の開閉弁(7)と第1の膨張弁(32)との間の第2の分岐点(P2)から分岐した第6のライン(L14)には第2の開閉弁(8)が介装され、そして第6のラインの蓄熱槽(5)と第3の開閉弁(9)との間の第5の分岐点(P5)に接続され、そして圧縮機(103)の流入ライン(L9)は前記第2のライン(L3)と第3のライン(L8)とに切替える弁(6)に連通している。
【0009】
そして、本発明によれば、冷却水配管(HL1、HL2)が機械式原動機(102)と蓄熱槽(5)と連通して前記原動機(102)の冷却水を循環させるようになっている。
【0010】
かつ、本発明によれば、圧縮機(103)は低負荷では内蔵された電動機(104)で駆動され、中負荷或いは高負荷では機械式原動機(102)で駆動されるようになっている。
【0011】
さらに、本発明によれば、前記機械式原動機(102)の回転出力を前記圧縮機(1、101、103)に伝達する回転伝達機構(200、201)を備え、前記電動機(104)により前記圧縮機(103)を回転し、前記圧縮機(103)の回転が前記回転伝達機構(201)を介して伝達することにより前記機械式原動機が起動される様に構成されている。
【0012】
係る構成を具備する本発明によれば、前記駆動源は電動機(2、104)及び電動機以外の原動機(102)で構成されているので、部分負荷時に電動機(2、104)で駆動することにより、部分負荷時の効率低下を抑制(従来技術に比較して効率向上)することが出来る。
或いは、本発明では蓄熱手段(5)を介装しており、電力が安価な夜間に電動機(2、104)で駆動して、余分な熱(温熱、冷熱)を蓄熱する。これにより、ランニングコストの問題を解決している。
【0013】
本発明の実施に際して、冷房負荷増大時には、蓄熱された冷熱(蓄冷熱)を冷媒の過冷却度増大に利用しても良い。或いは、蓄冷熱を高圧冷媒の凝縮に用いても良い。
【0014】
また、暖房運転時においては、蓄熱された温熱を、低圧液相冷媒の気化に用いて、高効率化を図っても良い。
【0015】
また、本発明によれば、前記機械式電動機(102)の起動時に、圧縮機(1、101、103)の流入ライン(L)と出口ライン(LO)とをバイパスする機構(B1、B2)を設けてある。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
先ず、図1−図8に基づき、本発明の第1実施形態に関して説明する。
図1および図2において、本発明の空調機は、電動機2により駆動される電動機駆動圧縮機1と、電動機以外の機械式原動機102により駆動される機械駆動圧縮機101と、内部を流過する冷媒によって室内の空気を冷・暖房する室内機3と、前記圧縮機1、101によって吐出された高圧気体の冷媒を凝縮・液化、或いは蒸発させる室外機4と、その内部に冷媒が流過し且圧縮機1、101と室外機4と蒸発器3を連通する冷媒ラインL1、L2、L16、L3−L11とを有している。
【0019】
図1において、符号Fで示す部材は、室外機4が凝縮器、又は蒸発器として機能する場合に作動するファンである。
また、図2において、矢印のついた実線は(コンプレッサ1、101における)冷媒の吐出ラインを示し、矢印のついた点線は冷媒の吸入ラインを示す。
【0020】
前記冷媒ラインには4つのポートを持つ四方弁6が配置されている。この四方弁6は、冷房時には冷媒ラインL16とL3とを連通し、且つ、冷媒ラインL8とL9とを連通させている。そして暖房時には、冷媒ラインL16とL8とを連通し、且つ、冷媒ラインL3とL9とを夫々連通させる様に構成されている。
【0021】
前記冷媒ラインにはL4とL5の間、L5とL6の間、L7とL8の間、L9とL10の間に、符号順に夫々、第1、第2、第3、第4の分岐点P1、P2、P3、P4が存在する。そして、冷媒ラインL5には第1の開閉弁7が介装され、冷媒ラインL6には第1の膨張弁32が介装されている。
【0022】
前記第1の分岐点P1と前記第3の分岐点P3からは、蓄熱槽5を介装した冷媒ラインL12、L13が分岐しており、冷媒ラインL12には第2の膨張弁42が介装されている。
【0023】
冷媒ラインL13は第5の分岐点P5を有し、該第5の分岐点P5と前記第2の分岐点P2とは第2の開閉弁8を介装した冷媒ラインL14により連通され、バイパス回路Bを形成している。
また、前記冷媒ラインL13中、前記第3の分岐点P3と第5の分岐点P5の間には、第3の開閉弁9が介装されている。
【0024】
第1実施形態での冷房運転に関して、その時点における冷房負荷の要請は低いが、冷房負荷要請が高まった場合に備えて、冷房運転は行わないが、蓄(冷)熱を蓄熱単独運転(所謂「蓄熱モード」)の作動状況について、図3を用いて説明する。
尚、本明細書において、本発明の空調機の作動状況を図によって説明する場合、太い実線は「高圧冷媒」が流れている冷媒ラインを示し、太い点線は「低圧冷媒」が流れている冷媒ラインを示し、細い実線は冷媒が流れていない冷媒ラインを示すものとする。
【0025】
電動機駆動圧縮機1および機械駆動圧縮機101は電動機2及び機械式原動機102によって共に駆動されており、図示せぬ双方の吐出口から吐出された高圧の冷媒は、冷媒ラインL1、L2から合流点Gで合流し、冷媒ラインL3を経て室外機4内に流入し、冷却ファンFによって強制冷却され、凝縮され、液化される。
【0026】
蓄熱モード運転の場合には第3の開閉弁9のみ開き、第1及び第2の開閉弁7、8は閉じられている。したがって、室外機4を通った冷媒は、冷媒ラインL4、第1の分岐点P1を経て、冷媒ラインL12に流入し、第2の膨張弁42で中高圧に減圧され、蓄熱槽5に流入し、冷熱が蓄熱槽5に蓄えられる。
【0027】
蓄熱槽5で熱交換を終えた冷媒は、冷媒ラインL13、L8、四方弁6、冷媒ラインL9、第4の分岐点P4を経て、夫々、冷媒ラインL10、L11から電動機駆動圧縮機1および機械駆動圧縮機101に戻り、同じ作動を繰り返す。
尚、図3は電動機駆動圧縮機1と機械駆動圧縮機101を併用した場合を示すが、電動機駆動圧縮機1または機械駆動圧縮機101いずれかの単独駆動であっても良い。ここで、電動機駆動圧縮機1単独駆動とする場合は、機械式原動機102と機械駆動圧縮機101の間に設けられた図示しないクラッチを切り、機械式原動機102をアイドリング状態とすれば良い。
【0028】
次に、同じく冷房運転に関して、前述の蓄熱槽5に蓄えられた蓄(冷)熱を前記室内機3に流し、高負荷時に対応する所謂「放熱モード」運転を行った場合の作動状況について、図4を用いて説明する。
尚、蓄熱槽5に冷熱が蓄えられるまでの過程については、前述の「蓄熱モード」の場合と同じであるので説明を省略し、蓄熱槽5からの冷媒の排出以降について説明する。
【0029】
放熱モード運転の場合、前記第1及び第3の開閉弁7、9は閉じられ、他方、バイパス回路Bに介装された第2の開閉バルブ8が開いている。したがって、蓄熱槽5に蓄えられていた冷熱により、蓄熱槽5を流れる冷媒は過冷状態となり、冷媒ラインL13、第5の分岐点P5、バイパス回路B、第2の分岐点P2、冷媒ラインL6を経て、第1の膨張弁32に至り、膨張・気化する。
【0030】
膨張・気化した低圧冷媒は、冷媒ラインL6を経て室内機3に流入し、室内空気を冷やし、冷媒自体は温度を上昇させ、冷媒ラインL7、L8、四方弁6、冷媒ラインL9、第4の分岐点P4を経て、夫々冷媒ラインL10、L11から電動機駆動圧縮機1および機械駆動圧縮機101に戻り、同じ作動を繰り返す。
図4は電動機駆動圧縮機1と機械駆動圧縮機101を併用した場合を示すが、空調負荷に応じて、電動機駆動圧縮機1または機械駆動圧縮機101いずれかを単独で駆動させることも可能である。
【0031】
このようにして、放熱モード運転においては、高負荷時等に室外機4の高圧液冷媒を蓄熱槽5に蓄え、過冷却度を増大させることが可能である。又、過冷却度増大に限らず、高圧ガス冷媒を蓄熱槽5に導き、蓄冷熱で直接凝縮させて(この時は室外機4の冷却ファンFはOFF状態、即ち凝縮器としての機能は停止状態となる)、高効率化することも可能である。
【0032】
次に、同じく冷房運転に関して、空調と併用して蓄熱を行った場合の所謂「蓄熱+空調モード」運転を行った場合の作動状況について、図5を参照して説明する。なお、室外機4に冷媒が流入するまでの過程については、前述の「蓄熱モード」の場合と同じであり、説明を省略し、室外機4からの冷媒の排出以降について説明する。
【0033】
「蓄熱+空調モード」の場合、第1及び第3の開閉弁7、9が共に開き、第2の開閉弁8が閉じた状態となっている。
したがって、室外機4から排出した冷媒の一部は、第1の分岐点P1から冷媒ラインL12へ分岐し、第2の膨張弁42を介して蓄熱槽5に流入し、蓄冷熱として蓄えられる。
蓄熱槽5に冷熱を供給した後、蓄熱槽5を経由した冷媒は、冷媒ラインL13、第3の分岐点P3、冷媒ラインL8、四方弁6、冷媒ラインL9、第4の分岐点P4を経て、夫々冷媒ラインL10、L11から電動機駆動圧縮機1及び機械駆動圧縮機101に戻る。
【0034】
一方、(第1の分岐点P1からラインL12側へは分岐しなかった)残りの冷媒は、冷媒ラインL5、L6を介して第1の膨張弁32に流入する。
第1の膨張弁32で冷媒は膨張・気化し、冷媒ラインL6を介して室内機3に流入し、室内空気と熱交換して室内空気を冷やし、冷媒自体は昇温される。
減圧し温度の上昇した冷媒は室内機3から排出され、冷媒ラインL7、L8、四方弁、冷媒ラインL9、第4の分岐点P4を経て、夫々冷媒ラインL10、L11から電動機駆動圧縮機1および機械駆動圧縮機101に戻る。以下、同じ作動を繰り返す。
【0035】
上述の「蓄熱+空調モード」の場合は、機械式原動機102は熱効率の高い高負荷状態で運転されることとなり、システム全体の効率を高めることとなる。
【0036】
第1実施形態で、通常の冷房運転のみを行うモードについて、図5を参照して説明する。
冷房運転のみを行う場合、第1の開閉弁7のみ開かれ、第2及び第3の開閉弁8、9は閉じられている。このため、室外機4から排出した冷媒は冷媒ラインL4、第1の分岐点P1、冷媒ラインL5、第1の開閉弁7、冷媒ラインL5、L6を介して第1の膨張弁32に流入する。
【0037】
第1の膨張弁32で冷媒は膨張・気化し、冷媒ラインL6を介して室内機3に流入し、室内空気と熱交換を行って冷房し、冷媒自体は昇温される。
昇温した冷媒は室内機3から排出され、冷媒ラインL7、L8、四方弁6、冷媒ラインL9、第4の分岐点P4を経て、夫々冷媒ラインL10、L11から電動機駆動圧縮機1および機械駆動圧縮機101に戻り、以後、上述の作動を繰り返す。
なお、図5は電動機駆動圧縮機1と機械駆動圧縮機101を併用した場合を示すが、電動機駆動圧縮機1または機械駆動圧縮機101いずれか一方を単独で駆動することも可能である。
【0038】
つぎに、第1実施形態での暖房運転に関して、現在は室温が適切で暖房の必要はないが、暖房が要求される場合に備えて蓄熱のみを行う運転(所謂「蓄熱モード」運転)を行った場合の作動状況について、図6を参照して説明する。
【0039】
ここで、図6と前述の図1、図3−図5は同一のシステムであるが、(冷房運転では用いられないので)図1、図3−図5においては省略してあったの配管及びバルブ類が、(暖房運転を示す)図6では新たに図示されている。
【0040】
すなわち、図6においては、冷却水配管HL1、HL2が機械式原動機102と蓄熱槽5とを連通し、内部を原動機冷却水を循環させることによって原動機の排熱の授受を行わせる。
また、冷媒ラインL3には、第4の開閉弁10が介装されており、室外機4と第4の開閉弁10との間には第6の分岐点P6設けられ、第4の開閉弁10と四方弁6の間には第7の分岐点P7が設けられている。
さらに、前記第6の分岐点P6と蓄熱槽5は、冷媒ラインL17により接続されており、該冷媒ラインL17には第5の開閉弁11が介装されている。
そして、蓄熱槽5と前記第7の分岐点P7は、冷媒ラインL18で接続されている。
【0041】
前述した様に、暖房時には、四方弁10により、冷媒ラインL16とL8とが連通し、冷媒ラインL3とL9とが連通している。
【0042】
暖房運転時であって、蓄熱のみを行うモードでは、第1、第2、第5の開閉弁7、8、11が閉弁し、第3、第4の開閉弁9、10が開弁している。
【0043】
電動機駆動圧縮機1及び機械駆動圧縮機101から排出された高圧の冷媒は、L1、L2、合流点G、冷媒ラインL16、四方弁6、冷媒ラインL8、第3の分岐点P3、冷媒ラインL13の順に流過して、蓄熱槽5に流入し、蓄熱槽5に温熱を蓄える。
【0044】
一方、稼動中、高温となった機械駆動圧縮機101を駆動する機械式原動機102の冷却水は、前記冷却水配管HL1を流過し、蓄熱槽5に流入し、更に温熱を蓄熱槽5に蓄える。
【0045】
蓄熱槽5に温熱を与えた冷媒は降温して蓄熱槽5から排出され、冷媒ラインL12に介装された第2の膨張弁42で一部が気化し、冷媒ラインL4から室外機4に流入する。
室外機4を流過する冷媒は、ファンFの駆動により蒸発器として機能する室外機4によって気化し、室外機4から排出される。
【0046】
室外機4から排出された低圧冷媒は、冷媒ラインL3、四方弁6、冷媒ラインL9、第4の分岐点P4を経て、夫々冷媒ラインL10、L11から電動機駆動圧縮機1および機械駆動圧縮機101に戻り、同じ作動を繰り返す。
尚、図6は電動機駆動圧縮機1と機械駆動圧縮機101を併用した場合を示すが、電動機駆動圧縮機1または機械駆動圧縮機101いずれかの単独駆動であっても良い。
【0047】
つぎに、同じく暖房運転に関して、低圧の液冷媒を蓄熱槽に導き、ガス化させる所謂「放熱モード」での作動状況について、図7を用いて説明する。
暖房運転の「放熱モード」では第1、第5の開閉弁7、11が開き、第2、第3、第4の開閉弁8、9、10が閉じられている。
【0048】
したがって、電動機駆動圧縮機1及び機械駆動圧縮機101から排出された高圧の冷媒は、L1、L2、合流点G、冷媒ラインL16、四方弁6、冷媒ラインL8、L7の順に流過して、室内機3に流入する。そして、室内空気と熱交換が行われ室内空気を暖める。
【0049】
室内空気と熱交換が行われ温度が下がった冷媒は、室内機3から排出され、冷媒ラインL6、第1の膨張弁32、冷媒ラインL5、L4を流過し、室外機4を介して、冷媒ラインL3、第6の分岐点P6、第5の開閉弁11を介装した冷媒ラインL17の順で流過して、蓄熱槽5に流入する。
蓄熱槽5に流入した冷媒は、そこに蓄熱されている温熱により完全に気化され、暖められて排出される。
【0050】
なお、前述の室外機4内での冷媒の作動に関して、外気温が十分に低く(0℃近辺)、前記蓄熱槽5に蓄えられた蓄温熱が十分であれば、冷媒はその後、再流入する蓄熱槽で気化される。その際、室外機4の冷却ファンFをOFFにしておけば、冷媒は室外機4を素通りし(蒸発器として作動しない)、省エネルギーが図られる。
【0051】
蓄熱槽5で暖められた冷媒は、冷媒ラインL18、第7の分岐点P7、冷媒ラインL3、四方弁6、冷媒ラインL9、第4の分岐点P4を経て、冷媒ラインL10、L11から電動機駆動圧縮機1および機械駆動圧縮機101に戻る。以後、同じ作動を繰り返す。
尚、図7は電動機駆動圧縮機1と機械駆動圧縮機101を併用した場合を示すが、電動機駆動圧縮機1または機械駆動圧縮機101いずれか一方を単独で駆動しても良い。
【0052】
つぎに、同じく暖房運転に関して、空調と併用して蓄熱を行った場合の所謂「蓄熱+空調モード」運転を行った場合の作動状況について、図8を用いて説明する。尚、圧縮機で圧縮された冷媒が、第3の分岐点P3に至るまでの過程は、前述の「蓄熱モード」と同じであり、説明を省略し、それ以降の作動について説明する。
【0053】
「蓄熱+空調モード」運転では、第1、第3、第4の開閉弁7、9、10が開弁し、第2、第5の開閉弁8、11が閉弁している。したがって、冷媒の一部は第3の分岐点P3から冷媒ラインL13を経て蓄熱槽5に至り、温熱を蓄熱槽5に蓄える。
【0054】
ここで、稼動中、高温となった機械駆動圧縮機101を駆動する機械式原動機102の冷却水は、前記冷却水配管HL1を流過し、蓄熱槽5に流入して蓄熱槽5に蓄えられた温熱を更に効果的に上昇させる。そして、冷却水は蓄熱槽5から排出され、冷却水配管HL2を介して機械駆動圧縮機101に戻る。
【0055】
蓄熱槽5に温熱を与えた冷媒は温度を下げ、冷媒ラインL12を流過し、第2の膨張弁42で一部が気化し、冷媒ラインL4から室外機4に流入する。
【0056】
一方、残りの冷媒は、第3の分岐点P3から冷媒ラインL7を経て室内機3に流入し、室内空気と熱交換が行われ室内空気を暖める。
【0057】
室内空気と熱交換が行われ温度が下がった冷媒は、室内機3から出て冷媒ラインL6を流れ、第1の膨張弁32で減圧されて一部が気化される。そして、冷媒ラインL5、L4を経て室外機4に流入する。
【0058】
室外機に流入後の冷媒の流れについては、図6の暖房運転の「蓄熱モード」と同じであるので威光の説明は省略する。
尚、図8は電動機駆動圧縮機1と機械駆動圧縮機101を併用した場合を示すが、電動機駆動圧縮機1または機械駆動圧縮機101いずれかの単独駆動であっても良い。
【0059】
次に、通常の暖房運転の作動状況について、図7を用いて説明する。
通常の暖房運転では、第1、第4の開閉弁7、10が開き、第2、第3、第5の開閉弁8、9、11が閉じられている。
【0060】
電動機駆動圧縮機1及び機械駆動圧縮機101から排出された高圧の冷媒は、ラインL1及びL2、合流点G、冷媒ラインL16、四方弁6、冷媒ラインL8、L7の順に流過して、室内機3に流入し、室内空気と熱交換が行われ室内空気を暖める。
【0061】
室内空気と熱交換が行われ温度が下がった冷媒は室内機3から出て、冷媒ラインL6を流れ、第1の膨張弁32、冷媒ラインL5、L4を経て室外機4に流入する。
【0062】
室外機4で気化された冷媒は冷媒ラインL3を流れ、四方弁6を介して冷媒ラインL9に至り、第4の分岐点P4を経て、夫々冷媒ラインL10、L11から電動機駆動圧縮機1および機械駆動圧縮機101に戻る。以後、同じ作動を繰り返す。
尚、図7は電動機駆動圧縮機1と機械駆動圧縮機101を併用した場合を示すが、電動機駆動圧縮機1または機械駆動圧縮機101いずれかの単独駆動であっても良い。
【0063】
係る構成を有する図1−図8の第1実施形態によれば、部分負荷時には電動機1のみを駆動して、電動機駆動圧縮機1のみを回転駆動することが可能である。そして、電動機2のみを稼動すれば、部分負荷時でも効率はさほど低下しない。しかも、所謂「ターンダウン」を大きくとることが可能である。
そして、蓄熱槽5を組み合わせることにより、図24、図252関連して後述する様に、部分負荷時は電気料金の安価な夜間のみとすることが出来る。従って、従来の電動機を併用するシステムに比較して、ランニングコストを遥かに節減することが可能となったのである。
【0064】
次に図9−図16を参照して、第2実施形態に関して説明する。なお、第2実施形態において、機械式原動機と電動機と圧縮機の関係及び圧縮機器への吸入・吐出用の冷媒ライン以外については、前述の第1実施形態で説明したのと同じである。
以降、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0065】
図9および図10において、本発明の空調機の圧縮機103は、機械式原動機102により駆動されるとともに、圧縮機に内蔵された電動機104によっても駆動される所謂「ハイブリッドコンプレッサー」として構成されている。
圧縮機103への駆動源(機械式原動機102、電動機104)からの駆動力伝達の切換えは、双方の伝達機構に組込まれた図示しないクラッチ何れかを断・続することによって行われる様に構成されている。
【0066】
圧縮機103には吐出側冷媒ラインとしてラインL2が連通しており、吸入側冷媒ラインとしてラインL9が連通している。ラインL2及びL9は、夫々四方弁6に連通している。
その他の空調ユニット、冷媒ライン、バルブ類については、配管レイアウトも含め、図1−図8を参照して前述した第1実施形態と同じであるので、説明を省略する。
【0067】
第2実施形態の冷房運転に関して、「蓄熱モード」の作動状況が図11に示されている。この蓄熱モード時の作動の詳細については、図3を参照して上述したのと同様である。
【0068】
第2実施形態の冷房運転に関して、「放熱モード」の作動状況が図12に示されている。この放熱モード時の作動の詳細については、図4を参照して上述したのと同様である。
【0069】
第2実施形態の冷房運転に関して、「蓄熱+空調モード」の作動状況が図13に示されている。この「蓄熱+空調モード」モード時の作動の詳細については、図5を参照して上述したのと同様である。
【0070】
第2実施形態の通常の冷房運転のみを行うモードに関しても、第1実施形態における通常の冷房運転のみを行うモードについて前述したのと同様である。
【0071】
第2実施形態の暖房運転に関して、「蓄熱モード」の作動状況が図14に示されている。この蓄熱モード時の作動の詳細については、図6を参照して上述したのと同様である。
【0072】
第2実施形態の暖房運転に関して、「放熱モード」の作動状況が図15に示されている。この放熱モード時の作動の詳細については、図7を参照して上述したのと同様である。
【0073】
第2実施形態の暖房運転に関して、「蓄熱+空調モード」の作動状況が図16に示されている。この「蓄熱+空調モード」の作動の詳細については、図8を参照して上述したのと同様である。
【0074】
第2実施形態の通常の暖房運転のみを行うモードに関しても、第1実施形態の場合と同様である。
【0075】
次に図17を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
図17の第3実施形態において、機械式原動機と電動機と圧縮機の関係以外については、前述の第1実施形態(図1−図8)で説明したのと同様である。従って、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0076】
図17において、機械式原動機102は第1の駆動力伝達手段200によって第1の圧縮機101を駆動し、それと同時に、第2の駆動力伝達手段201によって第2の圧縮機103を駆動することが出来る様に構成されている。そして機械式原動機102は、第1の動力伝達手段200によって第1の圧縮機101のみを駆動することも出来る様に構成されている。
【0077】
さらに、第2の圧縮機103には電動機104が内蔵されており、駆動源を前記機械式原動機102と前記内臓式電動機104との何れか一方に選択可能に構成されている。そして、圧縮機103への駆動源(機械式原動機102、電動機104)からの駆動力伝達の切換えは、双方の伝達機構に組込まれた図示しないクラッチ何れかを断・続することによって行われる。
【0078】
上記以外は、システムの構成が全て第1実施形態と同様である。
したがって、冷・暖房の各モードにおける基本的な作動状況も同様であり、その詳細については、図3−図8を参照して上述したのと同様である。
【0079】
次に図18を参照して、第4実施形態に関して説明する。
第4実施形態において、機械式原動機と電動機と圧縮機の関係以外については、前述の第2実施形態(図9−図16)で説明したのと同様である。
以降、第2実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0080】
圧縮機106は、第3の駆動力伝達手段202を介して機械式原動機102により駆動されるか、或いは、第4の駆動力伝達手段203を介して電動機2により駆動される。或いは、原動機102、2によって駆動することも可能に構成されている。
ここで駆動力の切換えは、例えば前記第3の駆動力伝達手段202及び第4の駆動力伝達手段203に設けられた図示せぬクラッチの切換えで行う。
【0081】
上記以外の構成に関しては、全て第2実施形態と同様である。
したがって、冷・暖房の各モードにおける基本的な作動状況も第2実施形態と同様であり、作動の詳細については、図12−図16の説明(或いは図3−図8の説明)と同様である。
【0082】
図17、図18の実施形態によれば、駆動源は電動機2、104及び電動機以外の機械式原動機102で構成されているので、空調負荷能力を向上させ(容量の大きな圧縮機の使用が可能となる)、部分負荷時の効率低下を抑制する(例えば、低負荷時には効率の良い電動機2、104のみで運転する)ことが出来る。
そして、第1及び第2実施形態と同様に、蓄熱槽(5)と組み合わせることにより、電動機2、104使用時におけるランニングコストを安価に抑えることが出来る。
【0083】
本発明の空調負荷能力の向上について、図24、図25を用いて説明する。
図24(冷房モード)、図25(暖房モード)は共に本発明による空調システムの運転パターンを表すものであり、縦軸に空調負荷能力を、横軸に1日の運転経過時間を示している。
【0084】
図24の冷房モード運転において、折れ点b1、b2、b3、e1、e2を結ぶ太線は、蓄冷熱の利用も含む実際の空調負荷を示す。先ず、深夜の0時から朝8時まで深夜電力を利用して電動機を運転し、蓄熱槽に蓄冷熱する(エリアA)。
【0085】
朝8時からは原動機による冷房運転が開始され(b1点)、空調負荷はb2点で最高となり徐々に負荷を減じていき、18時(b3点)で原動機による冷房運転(エリアDを含むエリアB)を終了する。この期間、点b1、c1、c2、b1で囲まれるエリアC1と、点c3、c4、b3、c3で囲まれるエリアC2は共に能力が余剰となり蓄熱槽に冷熱を蓄える蓄冷熱が行われている。
又、点d1、b2、d2、d1、で囲まれるエリアDは高負荷時に前記蓄えられた蓄冷熱を室外機(この時凝縮器として作用)出口冷媒の過冷却度の増大に利用していることを示すものである。
【0086】
また、前述の冷房運転放熱モード(図4の説明文参照)において、過冷却度増大に限らず、高圧冷媒の凝縮に利用しても良い。
【0087】
18時(e1点)からは電動機による低空調負荷運転(エリアE)が20時(e2点)まで続き、20時(f2点)以降は電動機による蓄冷(エリアF)に切り換わり、翌日(f2点)に至る。
【0088】
即ち、余剰能力を蓄冷熱してき、要求最大空調負荷時にこの蓄冷熱を当てることによって最大空調負荷を押さえ、省エネルギーを果たすことが出来る。
【0089】
図25の暖房モード運転において、折れ点b1、b2、b3、b4、e1、e2を結ぶ太線は、蓄温熱利用も含む実際の空調負荷を示す。
先ず、深夜の0時から朝8時まで深夜電力を利用して電動機を運転し、蓄熱槽に蓄温熱する(エリアA)。この蓄温熱は朝の暖房運転開始時等に、ヒートポンプ熱源としても利用される。
【0090】
朝8時からは原動機による暖房運転が開始され(b1点)、室温が上昇するのに従い、徐々に空調負荷を下げ、18時(点b4)に原動機による暖房運転(エリアB1及びエリアB2)は終了する。
原動機による暖房運転開始直後は、前述の蓄温熱を利用して蒸発温度が引き上げられる(エリアC1)と共に,原動機の排熱は冷媒の蒸発に使われ(エリアB1)、暖房運転の後半は原動機の排熱は蓄熱槽に蓄温される(エリアC2)。
【0091】
18時(e1点)からは電動機による低暖房負荷運転(エリアE)が20時(e2点)まで続き、20時(f2点)以降は電動機による蓄温熱(エリアF)が続き、翌日(f2点)に至る。
【0092】
即ち、電動機による蓄温熱及び原動機の排熱利用により、最大空調負荷を抑制すると共に、蓄温熱は朝の暖房運転開始時等に、ヒートポンプ熱源としても利用される。
【0093】
図19−図23は、本発明の第5実施形態を示す。
図19において、構成ユニットとしての機械式原動機102と、圧縮機103と、圧縮機103に内蔵された電動機104、とに関しては前述の第2実施形態(図10)と同じである。
尚、図中の矢印は、回転及び駆動の方向を示している。又、明確には図示されていないが、前述の図9−図17の実施形態において、図19から図23で示すような構成と組み合わせることが出来る。
【0094】
この第5実施形態では、電動機104の機能が特徴である。第2実施形態では電動機104は圧縮機の駆動に用いられているが、図19−図23の第5実施形態では、前記機械式原動機102の起動用モータとして用いている。
冷暖房システムとしての作動は第2実施形態と略同じであり、図11−図16或いは図3−図8を参照して説明したのと同様である。
【0095】
しかし、図19で要部構成を示す第5実施形態は、そのままでは、電動機104が圧縮機103を回転させて、冷媒を循環せしめてしまう。そして、機械式原動機102の起動のみを行うのに比較して、圧縮機103を回転して冷媒を循環させることは、多大な動力を要する。即ち、電動機への要求動力が著しく増大することとなる。
【0096】
そこで、本発明では、冷媒ラインにバイパス機構を設け、内蔵電動機104により機械式原動機102を起動する場合には、圧縮機103により、冷暖房システム(図19では図示せず)全体に冷媒が循環することを行わない様に構成し、以って、圧縮機103部分での動力消費の低減を可能とした。
図20−図23を用いて該バイパス機構と該バイパス機構の制御に関して説明する。
【0097】
図20において、電動機104を内蔵した圧縮機103の吸入ラインLと吐出ラインLOの間を連通する第1のバイパス弁BV1とバイパス回路BL1とで構成されるバイパス機構B1が設けてある。
又、前記吸入ラインL側のバイパス回路BL1との分岐点BP1よりも上流には圧力センサPS1と、温度センサTS1が図示の様に介装されている。
他方、前記吐出ラインLO側のバイパス回路BL1との分岐点BP2よりも下流には、圧力センサPS2と温度センサTS2が図示の様に介装されている。
【0098】
したがって、機械式原動機(例えばガスエンジン)102の起動時には、バイパス弁BV1を開弁して圧縮機103の吐出(LO)側と吸入側(L)側を連通し、冷媒は圧縮機103とバイパスラインBL1とによる閉回路のみを循環する様にして、圧縮機部分での動力の消費を低減するのである。
換言すれば、冷媒はバイパス回路BL1と圧縮機103の間を循環するのみで、その他の空調機器を循環しないので圧縮機での動力は微小ですむ。
【0099】
以上のバイパス機構B1の制御に関して、図21を用いて(図20をも参照して)説明する。
スタートしてから、ステップS1において、原動機102の起動が要求され、ステップS2に進み、電動機104と圧縮機103を断・続するクラッチをつなぐ。
【0100】
次のステップS3では、機械式原動機102と圧縮機103を断・続するクラッチもつなぐ。次のステップS4では、バイパス弁BV1を開弁し、図示しない制御手段は吸入圧力と吐出圧力が等しく保たれているか否か(冷媒が空調機をバイパスしている状態か否か)を判断する(ステップS5)。
等しく保たれていなければ(ステップS5においてNO)、ステップS4に戻り、規定回数以上これを繰り返す。
等しく保たれていれば(ステップS5においてYES)、次のステップS6に進む。
【0101】
なお、圧力値の検出は圧力センサPS1、SP2などによる実測圧力値の他に、温度センサTS1、TS2から検出される温度に対応する冷媒の飽和圧力を用いてもよい。
【0102】
ステップS6では電動機104が運転され、次のステップS7において、図示せぬ制御装置は機械式原動機102の回転数が規定値に達したか否かを判断する。
規定値に達していなければ(ステップS7においてNO)、ステップS6に戻り、規定値に達していれば(ステップS7においてYES)、ステップS8に進む。
【0103】
ステップS8では電動機104と圧縮機103を断・続するクラッチを切り、ステップS9に進み、電動機103が停止する。
ステップS10に進み、機械式原動機102と圧縮機103を断・続するクラッチも切る。
なお、機械式原動機102を起動後、そのまま機械式原動機102による圧縮機103の運転を続行する場合、ステップS10は不用である。
【0104】
次のステップS11では、バイパス弁BV1を閉弁し、機械式原動機102の起動は完了する。
【0105】
図22はその他のバイパス機構B2を示している。
前述した図20の機構に対して、図22のバイパス機構B2では、吸入ラインL側の分岐点BP1と圧力センサPS1との間に第2のバイパス弁BV2を介装し、吐出ラインLO側の分岐点BP2と圧力センサPS2との間に第3のバイパス弁BV3を介装している。
【0106】
そして前記バイパス機構B2は、前記分岐点BP1とBP2とを結ぶバイパスラインBL2と、そこに介装されたバイパス弁BV1とを備えている。
【0107】
したがって、機械式原動機102の起動時には、バイパス弁BV1を開弁して圧縮機103の吐出(LO)側と吸入側(L)側を連通する。さらに、第2のバイパス弁BV2および第3のバイパス弁BV3を閉弁することにより、冷暖房システム(図示せず)の冷媒回路側からバイパス機構B2を独立させ、圧縮機103部分での動力の消費を低減することが出来る。
【0108】
以上の構成によるその他のバイパス機構B2の制御に関して、図23を用いて(図22をも参照して)説明する。
スタートして、ステップS21において、原動機102の起動が要求され、ステップS22に進み、電動機104と圧縮機103を断・続するクラッチをつなぐ。
【0109】
次のステップS23では機械式原動機102と圧縮機103を断・続するクラッチもつなぐ。次のステップS24では、バイパス弁BV1を開き、ステップS25に進む。
【0110】
ステップS25では第2のバイパス弁BV2及び第3のバイパス弁BV3を閉弁してステップS26に進む。
ステップS26で電動機104の運転が開始され、ステップS27に進む。
【0111】
ステップS27において図示せぬ制御装置は機械式原動機102の回転数が規定値に達したか否かを判断する。
規定値に達していなければ(ステップS27においてNO)ステップS26に戻り、規定値に達していれば(ステップS27においてYES)、ステップS28に進む。
【0112】
ステップS28では電動機104と圧縮機103を断・続するクラッチを切り、ステップS29に進み、電動機103が停止する。
ステップS30に進み、機械式原動機102と圧縮機103を断・続するクラッチも切る。尚、機械式原動機102を起動後、そのまま機械式原動機102による圧縮機103の運転を続行する場合、ステップS30は不用である。
【0113】
次のステップS31では、第2のバイパス弁BV2及び第3のバイパス弁BV3を開弁して次のステップS32に進む。ステップS32では、バイパス弁BV1を閉弁し、機械式原動機102の起動は完了する。
【0114】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない旨を付記する。
例えば、図17、図18の実施形態には蓄熱槽を備えた冷暖房システムが示されていないが、図17、図18の実施形態においても図3−図8或いは図11−図16で示すのと同様に、蓄熱モード、放熱モード、「蓄熱+空調」モードを冷房運転、暖房運転で実行出来る。
また、図19−図23の実施形態は、図1−図18の全ての実施形態に対して適用可能である。
【0115】
【発明の効果】
本発明の作用効果を以下に列記する。
(a) エネルギー効率、特に部分負荷時におけるエネルギー効率を向上する。
(b) 空調機の最大負荷能力に対する最小負荷の割合即ち「ターンダウン」が大きく採れる。
(c) 負荷に応じて電動機のみで運転出来る場合には、振動・騒音の低減が図られる。
(d) 機械式原動機の排熱を蓄熱に利用して空調効率を向上させているので、省資源、省エネルギーに貢献する。
(e) 電動機内蔵の圧縮機を用いて機械式原動機を起動するので省スペース及びメンテナンスフリーが図られる。
(f) 蓄熱槽と組み合わせることにより、電力料金の安い夜間に部分負荷運転を行う様にすることが出来る。これにより、ランニングコストを節減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の構成を示す全体構成図。
【図2】第1実施形態の要部を示す部分構成図。
【図3】第1実施形態の冷房運転(蓄熱モード)時における作動流体(冷媒)の流れを示す図。
【図4】本発明の第1実施形態の冷房運転(放熱モード:蓄冷熱を利用して運転するモード)時の作動流体(冷媒)の流れを示す図。
【図5】第1実施形態の冷房運転(冷房運転と蓄熱とを同時に行うモード)時の作動流体(冷媒)の流れを示す図。
【図6】第1実施形態における暖房運転(蓄熱モード)時の作動流体(冷媒)の流れを示す図。
【図7】第1実施形態の暖房運転(放熱モード:蓄温熱を利用して運転するモード)時の作動流体(冷媒)の流れを示す図。
【図8】第1実施形態の冷房運転(暖房運転と蓄熱とを同時に行うモード)時の作動流体(冷媒)の流れを示す図。
【図9】本発明の第2実施形態の構成を示す全体構成図。
【図10】第2実施形態の要部を示す部分構成図。
【図11】第2実施形態の冷房運転(蓄熱モード)時における作動流体(冷媒)の流れを示す図。
【図12】本発明の第2実施形態の冷房運転(放熱モード:蓄冷熱を利用して運転するモード)時の作動流体(冷媒)の流れを示す図。
【図13】第2実施形態の冷房運転(冷房運転と蓄熱とを同時に行うモード)時の作動流体(冷媒)の流れを示す図。
【図14】第2実施形態における暖房運転(蓄熱モード)時の作動流体(冷媒)の流れを示す図。
【図15】第2実施形態の暖房運転(放熱モード:蓄温熱を利用して運転するモード)時の作動流体(冷媒)の流れを示す図。
【図16】第2実施形態の冷房運転(暖房運転と蓄熱とを同時に行うモード)時の作動流体(冷媒)の流れを示す図。
【図17】第3実施形態の要部を示す部分構成図。
【図18】第4実施形態の要部を示す部分構成図。
【図19】第5実施形態の要部を示す部分構成図。
【図20】第5実施形態のバイパス機構の1例を示すブロック図。
【図21】図20で示すバイパス機構の制御フローチャート。
【図22】第5実施形態のバイパス機構のその他の例を示すブロック図。
【図23】図22で示すバイパス機構の制御フローチャート。
【図24】本発明による冷房時の運転パターンの1例を示す図。
【図25】本発明による暖房時の運転パターンの1例を示す図。
【図26】従来技術における、空調機の要部構成を示す図(1台の機械式原動機が1台の圧縮機を駆動する例)。
【図27】従来技術における、空調機の要部構成を示す図(1台の機械式原動機が2台の圧縮機を駆動する例)。
【符号の説明】
1・・・電動機駆動圧縮機
2・・・電動機
3・・・室内機
4・・・室外機
5・・・蓄熱槽
6・・・四方弁
7・・・第1の開閉弁
8・・・第2の開閉弁
9・・・第3の開閉弁
32・・・第1の膨張弁
42・・・第2の膨張弁
101・・・機械駆動圧縮機
102・・・機械式原動機

Claims (6)

  1. 圧縮機(1、101)とその圧縮機(1、101)を駆動する駆動源(2、102)と室内機(3)と室外機(4)とを有し、それらの圧縮機(1、101)と室内機(3)と室外機(4)に冷媒が循環する圧縮式空調機において、前記駆動源は電動機(2)と電動機以外の機械式原動機(102)であり、前記電動機(2)により駆動される圧縮機(1)からの冷媒の出口ライン(L1)と前記原動機(102)により駆動される圧縮機(101)からの冷媒の出口ライン(L2)とは第1のライン(L16)に合流して室外機(4)に連通する第2のライン(L3)と室内機(3)に連通する第3のライン(L8)とに切替える弁(6)に接続され、前記室外機(4)からの第4のライン(L4)は第1の開閉弁(7)と第1の膨張弁(32)とを介して室内機(3)に接続され、また第4のライン(L4)の第1の分岐点(P1)から分岐した第5のライン(L12)は第2の膨張弁(42)を介して蓄熱槽(5)に接続され、蓄熱槽(5)に接続された第6のライン(L13)は第3の開閉弁(9)を介して第3のライン(L8)の第3の分岐点(P3)に接続され、前記第1の開閉弁(7)と第1の膨張弁(32)との間の第2の分岐点(P2)から分岐した第6のライン(L14)には第2の開閉弁(8)が介装され、そして第6のラインの蓄熱槽(5)と第3の開閉弁(9)との間の第5の分岐点(P5)に接続され、そして前記電動機(2)により駆動される圧縮機(1)の流入ライン(L10)と前記原動機(102)により駆動される圧縮機(101)の流入ライン(L11)とは合流して第7のライン(L9)に接続され、その第7のライン(L9)は前記第2のライン(L3)と第3のライン(L8)とに切替える弁(6)に連通していることを特徴とする圧縮式空調機。
  2. 圧縮機(103)とその圧縮機(103)を駆動する駆動源(102、104)と室内機(3)と室外機(4)とを有し、その圧縮機(103)と室内機(3)と室外機(4)に冷媒が循環する圧縮式空調機において、前記圧縮機(103)は電動機以外の機械式原動機(102)により駆動されると共に、前記圧縮機(103)からの冷媒の出口ライン(L2)は室外機(4)に連通する第2のライン(L3)と室内機(3)に連通する第3のライン(L8)とに切替える弁(6)に接続され、前記室外機(4)からの第4のライン(L4)は第1の開閉弁(7)と第1の膨張弁(32)とを介して室内機(3)に接続され、また第4のライン(L4)の第1の分岐点(P1)から分岐した第5のライン(L12)は第2の膨張弁(42)を介して蓄熱槽(5)に接続され、蓄熱槽(5)に接続された第6のライン(L13)は第3の開閉弁(9)を介して第3のライン(L8)の第3の分岐点(P3)に接続され、前記第1の開閉弁(7)と第1の膨張弁(32)との間の第2の分岐点(P2)から分岐した第6のライン(L14)には第2の開閉弁(8)が介装され、そして第6のラインの蓄熱槽(5)と第3の開閉弁(9)との間の第5の分岐点(P5)に接続され、そして圧縮機(103)の流入ライン(L9)は前記第2のライン(L3)と第3のライン(L8)とに切替える弁(6)に連通していることを特徴とする圧縮式空調機。
  3. 冷却水配管(HL1、HL2)が機械式原動機(102)と蓄熱槽(5)と連通して前記原動機(102)の冷却水を循環させる請求項1又は2のいずれかに記載の圧縮式空調機。
  4. 圧縮機(103)は低負荷では内蔵された電動機(104)で駆動され、中負荷或いは高負荷では機械式原動機(102)で駆動される請求項2記載の圧縮式空調機。
  5. 前記機械式原動機(102)の回転出力を前記圧縮機(1、101、103)に伝達する回転伝達機構(200、201)を備え、前記電動機(104)により前記圧縮機(103)を回転し、前記圧縮機(103)の回転が前記回転伝達機構(201)を介して伝達することにより前記機械式原動機が起動される様に構成されている請求項1記載の圧縮式空調機。
  6. 前記機械式電動機(102)の起動時に、圧縮機(1、101、103)の流入ライン(L)と出口ライン(LO)とをバイパスする機構(B1、B2)を設けた請求項5記載の圧縮式空調機。
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