JP6351478B2 - 空気調和システム - Google Patents
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Description
本発明は、冷媒と熱交換した空調用空気を空調対象空間へ供給する空調運転を行う空気調和システムに関する。
冷媒と熱交換した空調用空気を空調対象空間へ供給する空調運転を行う空気調和システムとして、エンジンによって駆動されて冷媒を圧縮する第1圧縮機と電動モータによって駆動されて冷媒を圧縮する第2圧縮機とを併用するヒートポンプを利用するものがある。
特許文献1には、エンジンによって駆動されて冷媒を圧縮する第1圧縮機と電動モータによって駆動されて冷媒を圧縮する第2圧縮機とは、ヒートポンプにおける冷媒の循環経路において並列に設けられている。つまり、第1圧縮機から送出される冷媒及び第2圧縮機から送出される冷媒は、合流された上で、共通の凝縮器と膨張弁と蒸発器とを順に通流する。
従来の空気調和システムでは、エンジンによって駆動される第1圧縮機及び電動モータによって駆動される第2圧縮機のそれぞれに何か専用の役割がある訳ではなく、単に併用されているだけである。
つまり、エンジンによって駆動される第1圧縮機から送出される冷媒と電動モータによって駆動される第2圧縮機から送出される冷媒とを、状況に応じてどのような流路に流し、どのように使い分けるのが良いのかが考慮されていない。
つまり、エンジンによって駆動される第1圧縮機から送出される冷媒と電動モータによって駆動される第2圧縮機から送出される冷媒とを、状況に応じてどのような流路に流し、どのように使い分けるのが良いのかが考慮されていない。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷媒の流路が最適化された空気調和システムを提供する点にある。
上記目的を達成するための本発明に係る空気調和システムの特徴構成は、エンジンと、前記エンジンによって駆動されて冷媒を圧縮する第1圧縮機と、前記エンジンによって駆動されて発電する発電機と、前記発電機から供給される電力及び電力系統から受電した電力の内の前記発電機から供給される電力を優先して消費して動作する電動モータと、前記電動モータによって駆動されて冷媒を圧縮する第2圧縮機と、冷媒から放熱させる第1凝縮器と、冷媒から放熱させる第2凝縮器と、冷媒を膨張させる第1膨張弁と、冷媒を膨張させる第2膨張弁と、冷媒に吸熱させる蒸発器と、二つの冷媒同士を混合せずに熱交換させる熱交換器と、前記エンジンの動作を制御するエンジン制御手段、及び、前記発電機の動作を制御する発電制御手段、及び、前記電動モータの動作を制御する電動モータ制御手段、及び、冷媒の循環経路を切り替える循環経路制御手段を有する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記エンジン制御手段と前記発電制御手段と前記電動モータ制御手段と前記循環経路制御手段とによる制御によって、冷媒の循環状態を切り替えながら前記蒸発器を通流する冷媒と熱交換した空調用空気を空調対象空間へ供給する空調運転を行うように構成され、
冷媒の循環状態の一つは、冷媒が前記第1膨張弁と前記蒸発器とを順に通流した後で分流され、当該分流された冷媒の一方が前記第1圧縮機と前記第1凝縮器とを順に通流した後で前記第1膨張弁に帰還し、及び、前記分流された冷媒の他方が前記第2圧縮機と前記第2凝縮器とを順に通流した後で前記第1膨張弁に帰還する第1冷房循環状態であり、
冷媒の循環状態の別の一つは、前記第1圧縮機から送出される冷媒が、前記第1凝縮器と前記熱交換器と前記第1膨張弁と前記蒸発器とを順に通流した後で前記第1圧縮機に帰還し、及び、前記第2圧縮機から送出される冷媒が、前記第2凝縮器と前記第2膨張弁と前記熱交換器とを順に通流した後で前記第2圧縮機に帰還する第2冷房循環状態である点にある。
前記制御装置は、前記エンジン制御手段と前記発電制御手段と前記電動モータ制御手段と前記循環経路制御手段とによる制御によって、冷媒の循環状態を切り替えながら前記蒸発器を通流する冷媒と熱交換した空調用空気を空調対象空間へ供給する空調運転を行うように構成され、
冷媒の循環状態の一つは、冷媒が前記第1膨張弁と前記蒸発器とを順に通流した後で分流され、当該分流された冷媒の一方が前記第1圧縮機と前記第1凝縮器とを順に通流した後で前記第1膨張弁に帰還し、及び、前記分流された冷媒の他方が前記第2圧縮機と前記第2凝縮器とを順に通流した後で前記第1膨張弁に帰還する第1冷房循環状態であり、
冷媒の循環状態の別の一つは、前記第1圧縮機から送出される冷媒が、前記第1凝縮器と前記熱交換器と前記第1膨張弁と前記蒸発器とを順に通流した後で前記第1圧縮機に帰還し、及び、前記第2圧縮機から送出される冷媒が、前記第2凝縮器と前記第2膨張弁と前記熱交換器とを順に通流した後で前記第2圧縮機に帰還する第2冷房循環状態である点にある。
上記特徴構成によれば、冷媒が第1冷房循環状態で循環された状態で空調運転が行われた場合、第1圧縮機から送出する冷媒及び第2圧縮機から送出する冷媒が合流された上で、第1膨張弁と蒸発器とを順に通流し、その蒸発器を通流する冷媒と熱交換した空調用空気が空調対象空間へ供給される空調運転、即ち、冷房運転が行われる。
つまり、第1膨張弁と蒸発器とに対して第1圧縮機及び第2圧縮機は並列に設けられるので、蒸発器で必要とされる冷媒量(即ち、空調負荷に必要な冷媒量)は第1圧縮機及び第2圧縮機で分担して送出すればよい。加えて、エンジンの出力は第1圧縮機及び発電機に供給され、発電機の発電電力は、第2圧縮機を駆動する電動モータで優先的に消費されているので、エンジンの出力が第1圧縮機及び第2圧縮機を駆動するために利用されていることになる。このような形態で第1圧縮機及び第2圧縮機を併用することで、例えば、エンジンの出力を全て第1圧縮機に供給して、蒸発器で必要とされる冷媒量の全てを第1圧縮機から供給する場合に比べて第1圧縮機から送出する冷媒量は少なくできるので、エンジンの回転速度を低くして、大きいトルクが得られる状態でエンジンを動作させることができる。
つまり、第1膨張弁と蒸発器とに対して第1圧縮機及び第2圧縮機は並列に設けられるので、蒸発器で必要とされる冷媒量(即ち、空調負荷に必要な冷媒量)は第1圧縮機及び第2圧縮機で分担して送出すればよい。加えて、エンジンの出力は第1圧縮機及び発電機に供給され、発電機の発電電力は、第2圧縮機を駆動する電動モータで優先的に消費されているので、エンジンの出力が第1圧縮機及び第2圧縮機を駆動するために利用されていることになる。このような形態で第1圧縮機及び第2圧縮機を併用することで、例えば、エンジンの出力を全て第1圧縮機に供給して、蒸発器で必要とされる冷媒量の全てを第1圧縮機から供給する場合に比べて第1圧縮機から送出する冷媒量は少なくできるので、エンジンの回転速度を低くして、大きいトルクが得られる状態でエンジンを動作させることができる。
加えて、冷媒が第2冷房循環状態で循環された状態で空調運転が行われた場合、第1圧縮機と第1凝縮器とを順に通流した冷媒は熱交換器に流入し、第2圧縮機と第2凝縮器と第2膨張弁とを順に通流した冷媒は熱交換器に流入し、熱交換器ではそれら二つの冷媒同士を混合せずに熱交換させる。つまり、熱交換器は、第1圧縮機と第1凝縮器とを順に通流した冷媒を、第2圧縮機と第2凝縮器と第2膨張弁とを順に通流した冷媒によって更に冷却する過冷却器として作用する。このように、第1圧縮機及び第2圧縮機を併用すると共に熱交換器による過冷却によって空調能力を稼ぐことができるので、例えば第1圧縮機から送出される冷媒量を相対的に少なく(即ち、ガスエンジンの回転速度を相対的に遅く)して、大きいトルクが得られる状態でエンジンを動作させることができる。その結果、エンジンを更に効率的に運転させることができる。
本発明に係る空気調和システムの別の特徴構成は、前記制御装置は、前記空調運転を行っている間の所定のタイミングで冷媒を前記第2冷房循環状態で循環させながら冷媒の温度を検証する冷媒温度検証処理を行い、
前記冷媒温度検証処理において、前記蒸発器での冷媒の温度が前記熱交換器での冷媒の温度より低いと判定したとき、冷媒の循環状態を前記第2冷房循環状態にしてその後の前記空調運転を行わせ、
前記冷媒温度検証処理において、前記蒸発器での冷媒の温度が前記熱交換器での冷媒の温度以上であると判定したとき、冷媒の循環状態を前記第1冷房循環状態にしてその後の前記空調運転を行わせる点にある。
前記冷媒温度検証処理において、前記蒸発器での冷媒の温度が前記熱交換器での冷媒の温度より低いと判定したとき、冷媒の循環状態を前記第2冷房循環状態にしてその後の前記空調運転を行わせ、
前記冷媒温度検証処理において、前記蒸発器での冷媒の温度が前記熱交換器での冷媒の温度以上であると判定したとき、冷媒の循環状態を前記第1冷房循環状態にしてその後の前記空調運転を行わせる点にある。
上記第2冷房循環状態で冷媒を循環させているときに熱交換器での冷媒の温度が低くなって蒸発器での冷媒の温度以下になると第2圧縮機の動力が相対的に大きくなるが、本特徴構成のように冷媒の循環状態を上記第1冷房循環状態に切り替えることでそのような動力の上昇を抑えることができる。
本発明に係る空気調和システムの更に別の特徴構成は、前記制御装置が前記空調運転を行うときの冷媒の循環状態の更に別の一つは、前記第2圧縮機から送出される冷媒が、前記第2凝縮器と前記第1膨張弁と前記蒸発器とを順に通流した後で前記第2圧縮機に帰還する第3冷房循環状態であり、
前記制御装置は、前記空調運転に要求されている要求負荷が基準負荷以上のとき、冷媒を前記第1冷房循環状態又は前記第2冷房循環状態で循環させながら前記空調運転を行い、及び、前記要求負荷が前記基準負荷未満のとき、前記エンジンを動作させず、冷媒を前記第3冷房循環状態で循環させながら前記空調運転を行う点にある。
前記制御装置は、前記空調運転に要求されている要求負荷が基準負荷以上のとき、冷媒を前記第1冷房循環状態又は前記第2冷房循環状態で循環させながら前記空調運転を行い、及び、前記要求負荷が前記基準負荷未満のとき、前記エンジンを動作させず、冷媒を前記第3冷房循環状態で循環させながら前記空調運転を行う点にある。
上記特徴構成によれば、空調運転に要求されている要求負荷が基準負荷以上のとき、第1圧縮機及び第2圧縮機の両方を動作させて、冷媒を上記第1冷房循環状態又は上記第2冷房循環状態で循環させる。このように、空調運転に要求されている要求負荷が相対的に大きいとき、即ち、空調用空気と冷媒との熱交換を行う蒸発器に通流させる冷媒量が相対的に多く必要になるとき、冷媒を送出する第1圧縮機及び第2圧縮機を駆動するエンジンには相対的に大きな出力が要求される。つまり、効率が高くなる状態でエンジンを動作させながら空調運転を行うことができる。
これに対して、空調運転に要求されている要求負荷が相対的に小さいとき、エンジンを動作させたとしても、エンジンには相対的に小さな出力しか要求されないため、効率が低くなる状態でしかエンジンを動作させることができない。
そこで本特徴構成では、空調運転に要求されている要求負荷が基準負荷未満のとき、エンジンを動作させずに、第2圧縮機を電動モータで動作させて、冷媒を上記第3冷房循環状態で循環させる。このような運転を行うことで、エンジンの効率が低くなることを避けながら、空調運転に要求されている要求負荷を賄うことができる。
そこで本特徴構成では、空調運転に要求されている要求負荷が基準負荷未満のとき、エンジンを動作させずに、第2圧縮機を電動モータで動作させて、冷媒を上記第3冷房循環状態で循環させる。このような運転を行うことで、エンジンの効率が低くなることを避けながら、空調運転に要求されている要求負荷を賄うことができる。
本発明に係る空気調和システムの更に別の特徴構成は、前記蒸発器は、前記空調対象空間内に供給する前記空調用空気と熱交換する室内用熱交換器であり、
前記第1凝縮器及び前記第2凝縮器は、前記空調対象空間外に存在する外気と熱交換する室外用熱交換器である点にある。
前記第1凝縮器及び前記第2凝縮器は、前記空調対象空間外に存在する外気と熱交換する室外用熱交換器である点にある。
上記特徴構成によれば、室内用熱交換器で構成される上記蒸発器と、室外用熱交換器で構成される上記第1凝縮器及び上記第2凝縮器とを用いて、空調対象空間の冷房運転を行うことができる。
以下に図面を参照して本発明に係る空気調和システムの構成について説明する。
図1は、空気調和システムの構成を示す図である。図示するように、空気調和システムは、エンジンEと、第1圧縮機Cgと、発電機Gと、電動モータMと、第2圧縮機Ceと、室外用熱交換器H1と、室内用熱交換器H2とを有する。そして、空気調和システムは、エンジンEによって駆動される第1圧縮機Cgが冷媒を送出するエンジン駆動ヒートポンプと、電動モータMによって駆動される第2圧縮機Ceが冷媒を送出するモータ駆動ヒートポンプとを併用して空調運転を行うことになる。
図1は、空気調和システムの構成を示す図である。図示するように、空気調和システムは、エンジンEと、第1圧縮機Cgと、発電機Gと、電動モータMと、第2圧縮機Ceと、室外用熱交換器H1と、室内用熱交換器H2とを有する。そして、空気調和システムは、エンジンEによって駆動される第1圧縮機Cgが冷媒を送出するエンジン駆動ヒートポンプと、電動モータMによって駆動される第2圧縮機Ceが冷媒を送出するモータ駆動ヒートポンプとを併用して空調運転を行うことになる。
エンジンEは、ガスや軽油などの燃料を消費して運転される。第1圧縮機Cgは、エンジンEによって駆動されて冷媒を圧縮して送出する。発電機GはエンジンEによって駆動されて発電する。図1には示していないが、エンジンEから第1圧縮機Cg及び発電機Gに伝達される駆動力を入切するクラッチやエンジンEの回転速度を変更した上で第1圧縮機Cg及び発電機Gに伝達する変速機構などを設けてもよい。エンジンEの動作(例えば回転速度など)は、制御装置10が有するエンジン制御手段11が制御する。
発電機Gが発電した電力は電力線2に供給され、その電力線2に接続されている電動モータMで消費することができる。電力線2は電力系統1にも接続されており、電動モータMは、電力系統1から受電した電力を消費することもできる。発電機Gの動作(電動モータMへ供給する電力)は、制御装置10が有する発電制御手段12が制御する。つまり、発電制御手段12が、発電機Gから電力線2(電動モータM側)側へ供給する電力を制御することで、第1圧縮機Cgと第2圧縮機CeとへのエンジンEの出力の分配が行われる。
電動モータMは、発電機Gから供給される電力及び電力系統1から受電した電力の内の発電機Gから供給される電力を優先して消費して動作する。つまり、電力線2には、電動モータMの消費電力のうち、発電機Gの発電電力で不足する分の電力が電力系統1から供給される。第2圧縮機Ceは、電動モータMによって駆動されて冷媒を圧縮する。電動モータMの動作(例えば回転速度など)は、制御装置10が有する電動モータ制御手段13が制御する。
第1圧縮機Cg及び第2圧縮機Ceから送出された冷媒は、冷媒流路L1を流れる。冷媒流路L1の途中には複数の弁が設けられており、それらの弁の開閉状態が切り替わることで、冷媒流路L1における冷媒の循環経路が切り替わる。この冷媒の循環経路の切り替え(即ち、上記弁の開閉状態の切り替え)は、制御装置10が有する循環経路制御手段14が制御する。
冷媒流路L1の途中には、空調対象空間外に存在する外気と熱交換する室外用熱交換器H1と、空調対象空間内に供給する空調用空気と熱交換する室内用熱交換器H2とが設けられている。後述するように、冷媒の循環経路を変更することで、室外用熱交換器H1及び室内用熱交換器H2を、冷媒から放熱させる凝縮器又は冷媒に吸熱させる蒸発器として機能させる。その結果、空調対象空間の冷房運転又は暖房運転が行われる。
熱交換器H4は二つの冷媒同士を混合せずに熱交換する装置であり、例えば、室内用熱交換器H2に供給される冷媒の温度を更に低下させる過冷却器として機能させることもできる。
熱交換器H4は二つの冷媒同士を混合せずに熱交換する装置であり、例えば、室内用熱交換器H2に供給される冷媒の温度を更に低下させる過冷却器として機能させることもできる。
室内用熱交換器H2には、空調運転に関する使用者による指令を受け付ける操作スイッチSWが設けられている。例えば、操作スイッチSWは、冷房運転又は暖房運転といった運転種別や設定温度や風量などに関する指令を使用者から受け付け、その指令を制御装置10へ伝達する。加えて、制御装置10へは、温度センサT6で測定された、室内用熱交換器H2に吸い込まれる室内空気の温度も伝達される。そして、制御装置10は、室内機(室内用熱交換器H2)の運転容量、上記温度情報等から空調運転に要求されている要求負荷に関する情報を得る。この場合、制御装置10の機能の一部は、室内機(室内用熱交換器H2)が有する室内機マイコンや室外機(室外用熱交換器H1)が有する室外機マイコンなどの演算処理装置等の機能を用いて実現される。そして、制御装置10は、空調運転に要求されている要求負荷が基準負荷以上であるか、或いは、基準負荷未満であるかに応じて、エンジンE及び電動モータMの動作状態を切り替える。具体的には、制御装置10は、空調運転に要求されている要求負荷が基準負荷以上のとき、エンジンE及び電動モータMの両方(即ち、第1圧縮機Cg及び第2圧縮機Ceの両方)を動作させて冷媒を循環させる。このように、空調運転に要求されている要求負荷が相対的に大きいとき、即ち、冷媒量が相対的に多く必要になるとき、駆動されるエンジンEには相対的に大きな出力が要求される。つまり、効率が高くなる状態でエンジンEを動作させながら空調運転を行うことができる。
図2は、空調負荷に対するエンジンE及び電動モータMの出力状態を説明する図である。図2に示すように、制御装置10は、空調運転に要求されている要求負荷が基準負荷未満のとき、エンジンEを動作させず(即ち、発電機Gを動作させず)、第2圧縮機Ceを電力系統1から受電した電力を用いて電動モータMで動作させて冷媒を循環させる。つまり、制御装置10は、空調運転に要求されている要求負荷が基準負荷未満のとき、エンジンEを動作させず、電動モータMの出力状態を変更しながら、第2圧縮機Ceから送出される冷媒量を調節する。これは、空調運転に要求されている要求負荷が相対的に小さいとき、エンジンEを動作させたとしても、エンジンEには相対的に小さな出力しか要求されないため、効率が低くなる状態でしかエンジンEを動作させることができないという問題に対する解決策である。つまり、制御装置10が図2に示したような運転を行うことで、エンジンEの効率が低くなることを避けながら、空調運転に要求されている要求負荷を賄うことができる。
これに対して、制御装置10は、空調運転に要求されている要求負荷が基準負荷以上のとき、エンジンE及び電動モータMの両方を動作させて、エンジンEの出力状態及び電動モータMの出力状態を変更しながら、第1圧縮機Cg及び第2圧縮機Ceから送出される冷媒量を調節する。尚、エンジンE及び電動モータMの両方を動作させるとき、エンジンEの出力状態及び電動モータMの出力状態をどのような値に設定するのか(即ち、第1圧縮機Cgから送出される冷媒量及び第2圧縮機Ceから送出される冷媒量をどのような値に設定するのか)は適宜変更可能である。
エンジンEを運転することで放出される熱は、冷却水流路L2を流れる冷却水によって回収される。冷却水流路L2は、エンジンEと排熱回収用熱交換器H3とを冷却水が順に通流するように配置されている。そして、排熱回収用熱交換器H3に冷媒が通流したとき、冷却水と冷媒との間での熱交換が行われることで、エンジンEから回収した排熱が冷媒に伝達されることになる。つまり、排熱回収用熱交換器H3は、後述するように、エンジンEから回収した排熱を冷媒に吸熱させる第4蒸発器として機能する。
〔冷房運転〕
次に、空気調和システムが冷房運転を行うときの動作について説明する。例えば、使用者が室内用熱交換器H2に設けられている操作スイッチSWを操作して空気調和システムが冷房運転することを指令したとき、その指令は制御装置10に伝達され、後述するような冷房運転が行われる。空気調和システムが冷房運転を行うとき、室外用熱交換器H1は凝縮器として機能し、室内用熱交換器H2は蒸発器として機能する。
つまり、冷房運転時の空気調和システムは、エンジンEと、第1圧縮機Cgと、発電機Gと、電動モータMと、第2圧縮機Ceと、冷媒から放熱させる第1凝縮器(室外用熱交換器H1)と、冷媒から放熱させる第2凝縮器(室外用熱交換器H1)と、冷媒を膨張させる第1膨張弁(弁V4)と、冷媒を膨張させる第2膨張弁(弁V3)と、冷媒に吸熱させる蒸発器(室内用熱交換器H2)と、二つの冷媒同士を混合せずに熱交換させる熱交換器H4と、制御装置10とを備える。
次に、空気調和システムが冷房運転を行うときの動作について説明する。例えば、使用者が室内用熱交換器H2に設けられている操作スイッチSWを操作して空気調和システムが冷房運転することを指令したとき、その指令は制御装置10に伝達され、後述するような冷房運転が行われる。空気調和システムが冷房運転を行うとき、室外用熱交換器H1は凝縮器として機能し、室内用熱交換器H2は蒸発器として機能する。
つまり、冷房運転時の空気調和システムは、エンジンEと、第1圧縮機Cgと、発電機Gと、電動モータMと、第2圧縮機Ceと、冷媒から放熱させる第1凝縮器(室外用熱交換器H1)と、冷媒から放熱させる第2凝縮器(室外用熱交換器H1)と、冷媒を膨張させる第1膨張弁(弁V4)と、冷媒を膨張させる第2膨張弁(弁V3)と、冷媒に吸熱させる蒸発器(室内用熱交換器H2)と、二つの冷媒同士を混合せずに熱交換させる熱交換器H4と、制御装置10とを備える。
そして、本実施形態において制御装置10は、エンジン制御手段11と発電制御手段12と電動モータ制御手段13と循環経路制御手段14とによる制御によって、冷媒の循環状態を切り替えながら室内用熱交換器(蒸発器)H2を通流する冷媒と熱交換した空調用空気を空調対象空間へ供給する空調運転(冷房運転)を行う。
図3は、第1冷房循環状態での冷媒の循環状態を説明する図である。図3では、第1圧縮機Cgから送出される冷媒を太実線で描き、第2圧縮機Ceから送出される冷媒を太破線で描いている。この場合、エンジンEは動作し、エンジンEの駆動力は第1圧縮機Cg及び発電機Gの双方に伝達される。そして、発電機Gで発電された電力は電動モータMに供給されて、電動モータMの駆動力が第2圧縮機Ceに伝達される。
この第1冷房循環状態では、四方弁V7は、第1圧縮機Cgから送出された冷媒が先ず室外用熱交換器H1に流入するように切り替えられる。四方弁V8は、第2圧縮機Ceから送出された冷媒が先ず室外用熱交換器H1に流入するように切り替えられる。弁V1は開放され、弁V2は開放され、弁V3は閉止され、弁V4は開放されて膨張弁(第1膨張弁)として機能し、弁V5は閉止され、弁V6は閉止される。そして、冷媒が弁(第1膨張弁)V4と室内用熱交換器(蒸発器)H2とを順に通流した後で分流され、当該分流された冷媒の一方が第1圧縮機Cgと室外用熱交換器(第1凝縮器)H1とを順に通流した後で弁(第1膨張弁)V4に帰還し、及び、上記分流された冷媒の他方が第2圧縮機Ceと室外用熱交換器(第2凝縮器)H1とを順に通流した後で弁(第1膨張弁)V4に帰還する。
この第1冷房循環状態では、四方弁V7は、第1圧縮機Cgから送出された冷媒が先ず室外用熱交換器H1に流入するように切り替えられる。四方弁V8は、第2圧縮機Ceから送出された冷媒が先ず室外用熱交換器H1に流入するように切り替えられる。弁V1は開放され、弁V2は開放され、弁V3は閉止され、弁V4は開放されて膨張弁(第1膨張弁)として機能し、弁V5は閉止され、弁V6は閉止される。そして、冷媒が弁(第1膨張弁)V4と室内用熱交換器(蒸発器)H2とを順に通流した後で分流され、当該分流された冷媒の一方が第1圧縮機Cgと室外用熱交換器(第1凝縮器)H1とを順に通流した後で弁(第1膨張弁)V4に帰還し、及び、上記分流された冷媒の他方が第2圧縮機Ceと室外用熱交換器(第2凝縮器)H1とを順に通流した後で弁(第1膨張弁)V4に帰還する。
冷媒が図3に示す第1冷房循環状態で循環された状態で空調運転が行われた場合、第1圧縮機Cgから送出する冷媒及び第2圧縮機Ceから送出する冷媒が合流された上で、弁(第1膨張弁)V4と室内用熱交換器(蒸発器)H2とを順に通流し、その室内用熱交換器H2を通流する冷媒と熱交換した空調用空気が空調対象空間へ供給される空調運転、即ち、冷房運転が行われる。つまり、弁(第1膨張弁)V4と室内用熱交換器(蒸発器)H2とに対して第1圧縮機Cg及び第2圧縮機Ceは並列に設けられるので、室内用熱交換器(蒸発器)H2で必要とされる冷媒量(即ち、空調負荷に必要な冷媒量)は第1圧縮機Cg及び第2圧縮機Ceで分担して送出すればよい。加えて、エンジンEの出力は第1圧縮機Cg及び発電機Gに供給され、発電機Gの発電電力は、第2圧縮機Ceを駆動する電動モータMで消費されており、エンジンEの出力は第1圧縮機Cg及び第2圧縮機Ceを駆動するために利用されている。このように、第1圧縮機Cg及び第2圧縮機Ceを併用することで、例えば、エンジンEの出力を全て第1圧縮機Cgに供給して、室内用熱交換器(蒸発器)H2で必要とされる冷媒量の全てを第1圧縮機Cgから供給する場合に比べて、エンジンEの回転速度を低くして、大きいトルクが得られる状態でエンジンEを動作させることができる。
図4は、第2冷房循環状態での冷媒の循環状態を説明する図である。この場合、エンジンEは動作し、エンジンEの駆動力は第1圧縮機Cg及び発電機Gの双方に伝達される。そして、発電機Gで発電された電力は電動モータMに供給されて、電動モータMの駆動力が第2圧縮機Ceに伝達される。
この第2冷房循環状態では、四方弁V7は、第1圧縮機Cgから送出された冷媒が先ず室外用熱交換器H1に流入するように切り替えられる。四方弁V8は、第2圧縮機Ceから送出された冷媒が先ず室外用熱交換器H1に流入するように切り替えられる。弁V1は開放され、弁V2は閉止され、弁V3は開放されて膨張弁(第2膨張弁)として機能し、弁V4は開放されて膨張弁(第1膨張弁)として機能し、弁V5は閉止され、弁V6は閉止される。そして、第1圧縮機Cgから送出される冷媒が、室外用熱交換器(第1凝縮器)H1と熱交換器H4と弁(第1膨張弁)V4と室内用熱交換器(蒸発器)H2とを順に通流した後で第1圧縮機Cgに帰還し、及び、第2圧縮機Ceから送出される冷媒が、室外用熱交換器(第2凝縮器)H1と弁(第2膨張弁)V3と熱交換器H4とを順に通流した後で第2圧縮機Ceに帰還する。尚、室外用熱交換器H1では、第1圧縮機Cgから送出される冷媒と第2圧縮機Ceから送出される冷媒とは混合されない。
この第2冷房循環状態では、四方弁V7は、第1圧縮機Cgから送出された冷媒が先ず室外用熱交換器H1に流入するように切り替えられる。四方弁V8は、第2圧縮機Ceから送出された冷媒が先ず室外用熱交換器H1に流入するように切り替えられる。弁V1は開放され、弁V2は閉止され、弁V3は開放されて膨張弁(第2膨張弁)として機能し、弁V4は開放されて膨張弁(第1膨張弁)として機能し、弁V5は閉止され、弁V6は閉止される。そして、第1圧縮機Cgから送出される冷媒が、室外用熱交換器(第1凝縮器)H1と熱交換器H4と弁(第1膨張弁)V4と室内用熱交換器(蒸発器)H2とを順に通流した後で第1圧縮機Cgに帰還し、及び、第2圧縮機Ceから送出される冷媒が、室外用熱交換器(第2凝縮器)H1と弁(第2膨張弁)V3と熱交換器H4とを順に通流した後で第2圧縮機Ceに帰還する。尚、室外用熱交換器H1では、第1圧縮機Cgから送出される冷媒と第2圧縮機Ceから送出される冷媒とは混合されない。
このように、冷媒が第2冷房循環状態で循環された状態で空調運転が行われた場合、第1圧縮機Cgと室外用熱交換器(第1凝縮器)H1とを順に通流した冷媒は熱交換器H4に流入し、第2圧縮機Ceと室外用熱交換器(第2凝縮器)H1と弁(第2膨張弁)V3とを順に通流した冷媒は熱交換器H4に流入し、熱交換器H4ではそれら二つの冷媒同士を混合せずに熱交換させる。つまり、熱交換器H4は、第1圧縮機Cgと室外用熱交換器(第1凝縮器)H1とを順に通流した冷媒を、第2圧縮機Ceと室外用熱交換器(第2凝縮器)H1と弁(第2膨張弁)V3とを順に通流した冷媒によって更に冷却する過冷却器として作用する。このとき、制御装置10は、弁(第2膨張弁)V3の動作を制御して、弁(第2膨張弁)V3よりも下流側の温度センサT1で測定される冷媒の温度を調節することで過冷却の効果を制御できる。
このように、第1圧縮機Cg及び第2圧縮機Ceを併用すると共に熱交換器H4による過冷却によって空調能力を稼ぐことができるので、例えば第1圧縮機Cgから送出される冷媒量を相対的に少なく(即ち、エンジンEの回転速度を相対的に遅く)して、大きいトルクが得られる状態でエンジンEを動作させることができる。その結果、エンジンEを効率的に運転させることができる。
このように、第1圧縮機Cg及び第2圧縮機Ceを併用すると共に熱交換器H4による過冷却によって空調能力を稼ぐことができるので、例えば第1圧縮機Cgから送出される冷媒量を相対的に少なく(即ち、エンジンEの回転速度を相対的に遅く)して、大きいトルクが得られる状態でエンジンEを動作させることができる。その結果、エンジンEを効率的に運転させることができる。
上述した第1冷房循環状態と第2冷房循環状態との切り替えは制御装置10が行う。具体的には、制御装置10は、空調運転を行っている間の所定のタイミングで冷媒を第2冷房循環状態で循環させながら冷媒の温度を検証する冷媒温度検証処理を行う。本実施形態では、温度センサT1で計測される熱交換器H4での冷媒の温度と、温度センサT2で計測される室内用熱交換器(蒸発器)H2での冷媒の温度とが比較される。ここで、温度センサT2で計測される室内用熱交換器(蒸発器)H2での冷媒の温度は、第1圧縮機Cgから送出された冷媒が、室外用熱交換器H1と弁V1と熱交換器H4と弁V4とを経て室内用熱交換器(蒸発器)H2に至り、その後、第1圧縮機Cgを流れる冷媒の温度である。また、温度センサT1で計測される熱交換器H4での冷媒の温度は、第2圧縮機Ceから送出された冷媒が、室外用熱交換器H1と弁V3とを経て熱交換器H4に至り、その後、第2圧縮機Ceを流れる冷媒の温度である。そして、制御装置10は、冷媒温度検証処理において、室内用熱交換器(蒸発器)H2での冷媒の温度(温度センサT2で測定された冷媒の温度)が熱交換器H4での冷媒の温度(温度センサT1で測定された冷媒の温度)より低いと判定したとき、冷媒の循環状態を第2冷房循環状態にしてその後の空調運転を行わせる。これに対して、制御装置10は、冷媒温度検証処理において、室内用熱交換器(蒸発器)H2での冷媒の温度(T2)が熱交換器H4での冷媒の温度(T1)以上であると判定したとき、冷媒の循環状態を第1冷房循環状態にしてその後の空調運転を行わせる。このように、上記第2冷房循環状態で冷媒を循環させているときに温度センサT1で計測される熱交換器H4での冷媒の温度が低くなって温度センサT2で計測される室内用熱交換器(蒸発器)H2での冷媒の温度以下になると第2圧縮機Ceの動力が相対的に大きくなるが、上述のように冷媒の循環状態を第1冷房循環状態に切り替えることでそのような動力の上昇を抑えることができる。
尚、図中では、熱交換器H4での冷媒の温度を計測する温度センサT1は弁V3よりも下流側且つ熱交換器H4よりも上流側に描いており、及び、室内用熱交換器(蒸発器)H2での冷媒の温度を計測する温度センサT2は弁V4よりも下流側且つ室内用熱交換器(蒸発器)H2よりも上流側に描いているが、温度センサT1を熱交換器H4よりも下流側に設けてもよく、温度センサT2を室内用熱交換器(蒸発器)H2よりも下流側に設けてもよい。但し、温度センサT1を熱交換器H4よりも上流側に設けるのであれば温度センサT2も室内用熱交換器(蒸発器)H2よりも上流側に設け、温度センサT1を熱交換器H4よりも下流側に設けるのであれば温度センサT2も室内用熱交換器(蒸発器)H2よりも下流側に設ける必要がある。或いは、各温度センサをそれぞれの上流側及び下流側の両方に設けて平均値を導出してもよい。
図5は、第3冷房循環状態での冷媒の循環状態を説明する図である。この場合、エンジンEは停止しているため第1圧縮機Cgは動作しない。そして、電力系統1から受電した電力が電動モータMに供給されて、電動モータMの駆動力が第2圧縮機Ceに伝達される。
この第3冷房循環状態では、四方弁V8は、第2圧縮機Ceから送出された冷媒が先ず室外用熱交換器(第2凝縮器)H1に流入するように切り替えられる。弁V1は閉止され、弁V2は開放され、弁V3は閉止され、弁V4は開放されて膨張弁(第1膨張弁)として機能し、弁V5は閉止され、弁V6は閉止される。そして、第2圧縮機Ceから送出される冷媒が、室外用熱交換器(第2凝縮器)H1と弁(第1膨張弁)V4と室内用熱交換器(蒸発器)H2とを順に通流した後で第2圧縮機Ceに帰還する。
この第3冷房循環状態では、四方弁V8は、第2圧縮機Ceから送出された冷媒が先ず室外用熱交換器(第2凝縮器)H1に流入するように切り替えられる。弁V1は閉止され、弁V2は開放され、弁V3は閉止され、弁V4は開放されて膨張弁(第1膨張弁)として機能し、弁V5は閉止され、弁V6は閉止される。そして、第2圧縮機Ceから送出される冷媒が、室外用熱交換器(第2凝縮器)H1と弁(第1膨張弁)V4と室内用熱交換器(蒸発器)H2とを順に通流した後で第2圧縮機Ceに帰還する。
制御装置10は、空調運転に要求されている要求負荷が基準負荷以上のとき、冷媒を上記第1冷房循環状態又は上記第2冷房循環状態で循環させながら空調運転を行う。加えて、上述したように、制御装置10は、冷媒温度検証処理での検証結果に基づいて、冷媒を上記第1冷房循環状態で循環させるのか、或いは、冷媒を上記第2冷房循環状態で循環させるのかを切り替える。
これに対して、制御装置10は、操作スイッチSWが取得する要求負荷が基準負荷未満のとき、エンジンEを動作させず(即ち、発電機Gを動作させず)、第2圧縮機Ceを電動モータMで動作させて、冷媒を上記第3冷房循環状態で循環させる。このような運転を行うことで、エンジンEの効率が低くなることを避けながら、空調運転に要求されている要求負荷を賄うことができる。
これに対して、制御装置10は、操作スイッチSWが取得する要求負荷が基準負荷未満のとき、エンジンEを動作させず(即ち、発電機Gを動作させず)、第2圧縮機Ceを電動モータMで動作させて、冷媒を上記第3冷房循環状態で循環させる。このような運転を行うことで、エンジンEの効率が低くなることを避けながら、空調運転に要求されている要求負荷を賄うことができる。
〔暖房運転〕
次に、空気調和システムが暖房運転を行うときの動作について説明する。例えば、使用者が室内用熱交換器H2に設けられている操作スイッチSWを操作して空気調和システムが暖房運転することを指令したとき、その指令は制御装置10に伝達され、後述するような暖房運転が行われる。空気調和システムが暖房運転を行うとき、室外用熱交換器H1は蒸発器として機能し、室内用熱交換器H2は凝縮器として機能する。
つまり、暖房運転時の空気調和システムは、エンジンEと、第1圧縮機Cgと、発電機Gと、電動モータMと、第2圧縮機Ceと、冷媒から放熱させる凝縮器(室内用熱交換器H2)と、冷媒を膨張させる第1膨張弁(弁V1)と、冷媒を膨張させる第2膨張弁(弁V2)と、冷媒を膨張させる第3膨張弁(弁V5)と、冷媒に吸熱させる第1蒸発器(室外用熱交換器H1)と、冷媒に吸熱させる第2蒸発器(室外用熱交換器H1)と、エンジンEから回収した排熱を冷媒に吸熱させる第3蒸発器(排熱回収用熱交換器H3)と、制御装置10とを備える。
加えて、暖房運転時の空気調和システムは、冷媒を膨張させる第4膨張弁(弁V6)と、エンジンEから回収した排熱を冷媒に吸熱させる第4蒸発器(排熱回収用熱交換器H3)とを備える。
次に、空気調和システムが暖房運転を行うときの動作について説明する。例えば、使用者が室内用熱交換器H2に設けられている操作スイッチSWを操作して空気調和システムが暖房運転することを指令したとき、その指令は制御装置10に伝達され、後述するような暖房運転が行われる。空気調和システムが暖房運転を行うとき、室外用熱交換器H1は蒸発器として機能し、室内用熱交換器H2は凝縮器として機能する。
つまり、暖房運転時の空気調和システムは、エンジンEと、第1圧縮機Cgと、発電機Gと、電動モータMと、第2圧縮機Ceと、冷媒から放熱させる凝縮器(室内用熱交換器H2)と、冷媒を膨張させる第1膨張弁(弁V1)と、冷媒を膨張させる第2膨張弁(弁V2)と、冷媒を膨張させる第3膨張弁(弁V5)と、冷媒に吸熱させる第1蒸発器(室外用熱交換器H1)と、冷媒に吸熱させる第2蒸発器(室外用熱交換器H1)と、エンジンEから回収した排熱を冷媒に吸熱させる第3蒸発器(排熱回収用熱交換器H3)と、制御装置10とを備える。
加えて、暖房運転時の空気調和システムは、冷媒を膨張させる第4膨張弁(弁V6)と、エンジンEから回収した排熱を冷媒に吸熱させる第4蒸発器(排熱回収用熱交換器H3)とを備える。
そして、本実施形態において制御装置10は、エンジン制御手段11と発電制御手段12と電動モータ制御手段13と循環経路制御手段14とによる制御によって、冷媒の循環状態を切り替えながら室内用熱交換器(凝縮器)H2を通流する冷媒と熱交換した空調用空気を空調対象空間へ供給する空調運転(暖房運転)を行う。
図6は、第1暖房循環状態での冷媒の循環状態を説明する図である。この場合、エンジンEは動作し、エンジンEの駆動力は第1圧縮機Cg及び発電機Gの双方に伝達される。そして、発電機Gで発電された電力は電動モータMに供給されて、電動モータMの駆動力が第2圧縮機Ceに伝達される。この第1暖房循環状態では、四方弁V7は、第1圧縮機Cgから送出された冷媒が先ず室内用熱交換器H2に流入するように切り替えられる。四方弁V8は、第2圧縮機Ceから送出された冷媒が先ず室内用熱交換器H2に流入するように切り替えられる。弁V1は開放されて膨張弁(第1膨張弁)として機能し、弁V2は開放されて膨張弁(第2膨張弁)として機能し、弁V3は閉止され、弁V4は開放され、弁V5は閉止され、弁V6は閉止される。そして、冷媒が室内用熱交換器(凝縮器)H2を通流した後で分流され、当該分流された冷媒の一方が弁(第1膨張弁)V1と室外用熱交換器(第1蒸発器)H1と第1圧縮機Cgとを順に通流した後で室内用熱交換器(凝縮器)H2に帰還し、及び、上記分流された冷媒の他方が弁(第2膨張弁)V2と室外用熱交換器(第2蒸発器)H1と第2圧縮機Ceとを順に通流した後で室内用熱交換器(凝縮器)H2に帰還する。
冷媒が図6に示す上記第1暖房循環状態で循環された状態で空調運転が行われた場合、第1圧縮機Cgから送出する冷媒及び第2圧縮機Ceから送出する冷媒が合流された上で室内用熱交換器(凝縮器)H2に供給され、その室内用熱交換器(凝縮器)H2を通流する冷媒と熱交換した空調用空気が空調対象空間へ供給される空調運転、即ち、暖房運転が行われる。つまり、室内用熱交換器(凝縮器)H2に対して第1圧縮機Cg及び第2圧縮機Ceは並列に設けられるので、室内用熱交換器(凝縮器)H2で必要とされる冷媒量(即ち、空調負荷に必要な冷媒量)は第1圧縮機Cg及び第2圧縮機Ceで分担して送出すればよい。加えて、エンジンEの出力は第1圧縮機Cg及び発電機Gに供給され、発電機Gの発電電力は、第2圧縮機Ceを駆動する電動モータMで消費されており、エンジンEの出力は第1圧縮機Cg及び第2圧縮機Ceを駆動するために利用されている。このように、第1圧縮機Cg及び第2圧縮機Ceを併用することで、例えば、エンジンEの出力を全て第1圧縮機Cgに供給して、蒸発器で必要とされる冷媒量の全てを第1圧縮機Cgから供給する場合に比べて、エンジンEの回転速度を低くして、大きいトルクが得られる状態でエンジンEを動作させることができる。その結果、エンジンEを効率的に運転させることができる。
図7は、第2暖房循環状態での冷媒の循環状態を説明する図である。この場合、エンジンEは動作し、エンジンEの駆動力は第1圧縮機Cg及び発電機Gの双方に伝達される。そして、発電機Gで発電された電力は電動モータMに供給されて、電動モータMの駆動力が第2圧縮機Ceに伝達される。この第2暖房循環状態では、四方弁V7は、第1圧縮機Cgから送出された冷媒が先ず室内用熱交換器H2に流入するように切り替えられる。四方弁V8は、第2圧縮機Ceから送出された冷媒が先ず室内用熱交換器H2に流入するように切り替えられる。弁V1は開放されて膨張弁(第1膨張弁)として機能し、弁V2は閉止され、弁V3は閉止され、弁V4は開放され、弁V5は開放されて膨張弁(第3膨張弁)として機能し、弁V6は閉止される。そして、冷媒が室内用熱交換器(凝縮器)H2を通流した後で分流され、当該分流された後の冷媒の一方が弁(第1膨張弁)V1と室外用熱交換器(第1蒸発器)H1と第1圧縮機Cgとを順に通流した後で室内用熱交換器(凝縮器)H2に帰還し、及び、上記分流された後の冷媒の他方が弁(第3膨張弁)V5と排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3と第2圧縮機Ceとを順に通流した後で室内用熱交換器(凝縮器)H2に帰還する。
冷媒が第2暖房循環状態で循環された状態で空調運転が行われた場合、室内用熱交換器(凝縮器)H2の下流側で分流された後の冷媒の一方は、弁(第1膨張弁)V1と室外用熱交換器(第1蒸発器)H1と第1圧縮機Cgとを順に通流した後で室内用熱交換器(凝縮器)H2に帰還し、及び、室内用熱交換器(凝縮器)H2の下流側で分流された後の冷媒の他方は、弁(第3膨張弁)V5と排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3と第2圧縮機Ceとを順に通流した後で室内用熱交換器(凝縮器)H2に帰還する。つまり、排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3では、冷媒に吸熱させるために、エンジンEから回収した排熱を有効に活用することができる。特に、エンジンEから回収した排熱は、大気等から回収できる熱よりも高温であるので、排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3での冷媒の蒸発温度を高くすることができ、第2圧縮機Ceの動力を低減できる。
このように、第1圧縮機Cg及び第2圧縮機Ceを併用すると共に排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3による冷媒の吸熱によって空調能力を稼ぐことができるので、例えば第1圧縮機Cgから送出される冷媒量を相対的に少なく(即ち、エンジンEの回転速度を相対的に遅く)して、大きいトルクが得られる状態でエンジンEを動作させることができる。その結果、エンジンEを効率的に運転させることができる。
このように、第1圧縮機Cg及び第2圧縮機Ceを併用すると共に排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3による冷媒の吸熱によって空調能力を稼ぐことができるので、例えば第1圧縮機Cgから送出される冷媒量を相対的に少なく(即ち、エンジンEの回転速度を相対的に遅く)して、大きいトルクが得られる状態でエンジンEを動作させることができる。その結果、エンジンEを効率的に運転させることができる。
上述した第1暖房循環状態と第2暖房循環状態との切り替えは制御装置10が行う。具体的には、制御装置10は、空調運転を行っている間の所定のタイミングで冷媒を第2暖房循環状態で循環させながら冷媒の温度を検証する冷媒温度検証処理を行う。本実施形態では、温度センサT3で計測される排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3での冷媒の温度と、温度センサT4で計測される室外用熱交換器(第1蒸発器)H1での冷媒の温度とが比較される。ここで、温度センサT4で計測される室外用熱交換器(第1蒸発器)H1での冷媒の温度は、弁V1を経て室外用熱交換器(第1蒸発器)H1に至り、その後、第1圧縮機Cgを流れる冷媒の温度である。また、温度センサT3で計測される排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3での冷媒の温度は、弁V5を経て排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3に至り、その後、第2圧縮機Ceを流れる冷媒の温度である。そして、制御装置10は、冷媒温度検証処理において、排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3での冷媒の温度(温度センサT3で測定された冷媒の温度)が室外用熱交換器(第1蒸発器)H1での冷媒の温度(温度センサT4で測定された冷媒の温度)より高いと判定したとき、冷媒の循環状態を第2暖房循環状態にしてその後の空調運転を行わせる。これに対して、制御装置10は、冷媒温度検証処理において、排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3での冷媒の温度(温度センサT3で測定された冷媒の温度)が室外用熱交換器(第1蒸発器)H1での冷媒の温度(温度センサT4で測定された冷媒の温度)以下であると判定したとき、冷媒の循環状態を第1暖房循環状態にしてその後の空調運転を行わせる。
尚、図中では、排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3での冷媒の温度を計測する温度センサT3は弁V5よりも下流側且つ排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3よりも上流側に描いており、及び、室外用熱交換器(第1蒸発器)H1での冷媒の温度を計測する温度センサT4は弁V1よりも下流側且つ室外用熱交換器(第1蒸発器)H1よりも上流側に描いているが、温度センサT3を排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3よりも下流側に設けてもよく、温度センサT4を室外用熱交換器(第1蒸発器)H1よりも下流側に設けてもよい。但し、温度センサT3を排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3よりも上流側に設けるのであれば温度センサT4も室外用熱交換器(第1蒸発器)H1よりも上流側に設け、温度センサT3を排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3よりも下流側に設けるのであれば温度センサT4も室外用熱交換器(第1蒸発器)H1よりも下流側に設ける必要がある。或いは、各温度センサをそれぞれの上流側及び下流側の両方に設けて平均値を導出してもよい。
冷媒が図7に示す上記第2暖房循環状態で循環しているときに上記排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3での冷媒に対する加熱の効果の方が大きいときは、その排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3での冷媒の温度(T3)が、同じく冷媒に対する加熱が行われる上記室外用熱交換器(第1蒸発器)H1での冷媒の温度(T4)より高くなる。従って、冷媒温度検証処理において、排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3での冷媒の温度(T3)が室外用熱交換器(第1蒸発器)H1での冷媒の温度(T4)より高いと判定したとき、冷媒の循環状態を第2暖房循環状態にしてその後の空調運転を行わせることで、上記排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3による冷媒の加熱の効果を得ることができる。
これに対して、冷媒が上記第2暖房循環状態で循環しているときに上記室外用熱交換器(第1蒸発器)H1による冷媒に対する加熱の効果の方が大きいとき或いは両者による冷媒に対する加熱の効果が同等であるときは、排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3での冷媒の温度(T3)が、同じく冷媒に対する加熱が行われる上記室外用熱交換器(第1蒸発器)H1での冷媒の温度(T4)以下になる。従って、冷媒温度検証処理において、排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3での冷媒の温度(T3)が室外用熱交換器(第1蒸発器)H1での冷媒の温度(T4)以下であると判定したとき、冷媒の循環状態を第1暖房循環状態にしてその後の空調運転を行わせることで、上記室外用熱交換器(第1蒸発器)H1による冷媒の加熱の効果を得ることができる。
図8は、第3暖房循環状態での冷媒の循環状態を説明する図である。第3暖房循環状態は、第1圧縮機Cgから送出される冷媒の流路が上記第2暖房循環状態と異なっており、第2圧縮機Ceから送出される冷媒の流路は上記第2暖房循環状態と同じである。
この場合、エンジンEは動作し、エンジンEの駆動力は第1圧縮機Cg及び発電機Gの双方に伝達される。そして、発電機Gで発電された電力は電動モータMに供給されて、電動モータMの駆動力が第2圧縮機Ceに伝達される。この第3暖房循環状態では、四方弁V7は、第1圧縮機Cgから送出された冷媒が先ず室内用熱交換器H2に流入するように切り替えられる。四方弁V8は、第2圧縮機Ceから送出された冷媒が先ず室内用熱交換器H2に流入するように切り替えられる。弁V1は開放されて膨張弁(第1膨張弁)として機能し、弁V2は閉止され、弁V3は閉止され、弁V4は開放され、弁V5は開放されて膨張弁(第3膨張弁)として機能し、弁V6は開放されて膨張弁(第4膨張弁)として機能する。そして、冷媒が室内用熱交換器(凝縮器)H2を通流した後で分流され、当該分流された冷媒のうち、弁(第1膨張弁)V1と室外用熱交換器(第1蒸発器)H1とを順に通流した冷媒と、弁(第4膨張弁)V6と排熱回収用熱交換器(第4蒸発器)H3とを順に通流した冷媒が合流して更に第1圧縮機Cgを通流した後で室内用熱交換器(凝縮器)H2に帰還し、及び、上記分流された冷媒のうち、弁(第3膨張弁)V5と排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3と第2圧縮機Ceとを順に通流した冷媒が室内用熱交換器(凝縮器)H2に帰還する。
この場合、エンジンEは動作し、エンジンEの駆動力は第1圧縮機Cg及び発電機Gの双方に伝達される。そして、発電機Gで発電された電力は電動モータMに供給されて、電動モータMの駆動力が第2圧縮機Ceに伝達される。この第3暖房循環状態では、四方弁V7は、第1圧縮機Cgから送出された冷媒が先ず室内用熱交換器H2に流入するように切り替えられる。四方弁V8は、第2圧縮機Ceから送出された冷媒が先ず室内用熱交換器H2に流入するように切り替えられる。弁V1は開放されて膨張弁(第1膨張弁)として機能し、弁V2は閉止され、弁V3は閉止され、弁V4は開放され、弁V5は開放されて膨張弁(第3膨張弁)として機能し、弁V6は開放されて膨張弁(第4膨張弁)として機能する。そして、冷媒が室内用熱交換器(凝縮器)H2を通流した後で分流され、当該分流された冷媒のうち、弁(第1膨張弁)V1と室外用熱交換器(第1蒸発器)H1とを順に通流した冷媒と、弁(第4膨張弁)V6と排熱回収用熱交換器(第4蒸発器)H3とを順に通流した冷媒が合流して更に第1圧縮機Cgを通流した後で室内用熱交換器(凝縮器)H2に帰還し、及び、上記分流された冷媒のうち、弁(第3膨張弁)V5と排熱回収用熱交換器(第3蒸発器)H3と第2圧縮機Ceとを順に通流した冷媒が室内用熱交換器(凝縮器)H2に帰還する。
冷媒が図8に示す第3暖房循環状態で循環された状態で空調運転が行われた場合、室内用熱交換器(凝縮器)H2の下流側で分流された後の冷媒の一方は、第1圧縮機Cgを通流した後で室内用熱交換器(凝縮器)H2に帰還し、及び、室内用熱交換器(凝縮器)H2の下流側で分流された後の冷媒の他方は、第2圧縮機Ceを通流した後で室内用熱交換器(凝縮器)H2に帰還する。更に、第1圧縮機Cgを通流する冷媒の一部は、エンジンEから回収した排熱を用いて冷媒を加熱する排熱回収用熱交換器(第4蒸発器)H3を順に通流した冷媒である。つまり、排熱回収用熱交換器(第4蒸発器)H3では、冷媒に吸熱させるために、エンジンEから回収した排熱を有効に活用することができる。特に、エンジンEから回収した排熱は、大気等から回収できる熱よりも高温であるので、排熱回収用熱交換器(第4蒸発器)H3での冷媒の蒸発温度を高くすることができ、第1圧縮機Cgの動力を低減できる。
第2暖房循環状態で冷媒を循環させるのか、又は、第3暖房循環状態で冷媒を循環させるのかは、冷媒が室外用熱交換器(第1蒸発器)H1で充分な熱を回収できているか否かに基づいて切り替えることができる。
例えば、制御装置10は、室外用熱交換器(第1蒸発器)H1に供給される外気の温度が基準外気温度以上であれば第2暖房循環状態で冷媒を循環させ、室外用熱交換器(第1蒸発器)H1に供給される外気の温度が基準外気温度未満であれば第3暖房循環状態で冷媒を循環させるといった切り替えを行う。
或いは、制御装置10は、例えば、室外用熱交換器(第1蒸発器)H1での冷媒の蒸発温度(温度センサT4で計測される冷媒の温度)が基準冷媒温度以上であれば、冷媒が室外用熱交換器(第1蒸発器)H1で充分な熱を回収できていると判定して、第2暖房循環状態で冷媒を循環させ、室外用熱交換器(第1蒸発器)H1での冷媒の蒸発温度(温度センサT4で計測される冷媒の温度)が基準冷媒温度未満であれば、冷媒が室外用熱交換器(第1蒸発器)H1で充分な熱を回収できていないと判定して、第3暖房循環状態で冷媒を循環させる。
例えば、制御装置10は、室外用熱交換器(第1蒸発器)H1に供給される外気の温度が基準外気温度以上であれば第2暖房循環状態で冷媒を循環させ、室外用熱交換器(第1蒸発器)H1に供給される外気の温度が基準外気温度未満であれば第3暖房循環状態で冷媒を循環させるといった切り替えを行う。
或いは、制御装置10は、例えば、室外用熱交換器(第1蒸発器)H1での冷媒の蒸発温度(温度センサT4で計測される冷媒の温度)が基準冷媒温度以上であれば、冷媒が室外用熱交換器(第1蒸発器)H1で充分な熱を回収できていると判定して、第2暖房循環状態で冷媒を循環させ、室外用熱交換器(第1蒸発器)H1での冷媒の蒸発温度(温度センサT4で計測される冷媒の温度)が基準冷媒温度未満であれば、冷媒が室外用熱交換器(第1蒸発器)H1で充分な熱を回収できていないと判定して、第3暖房循環状態で冷媒を循環させる。
図9は、第4暖房循環状態での冷媒の循環状態を説明する図である。この場合、エンジンEは停止しているため第1圧縮機Cgは動作しない。そして、電力系統1から受電した電力が電動モータMに供給されて、電動モータMの駆動力が第2圧縮機Ceに伝達される。この第4暖房循環状態では、四方弁V8は、第2圧縮機Ceから送出された冷媒が先ず室内用熱交換器H2に流入するように切り替えられる。弁V1は閉止され、弁V2は開放されて膨張弁(第2膨張弁)として機能し、弁V3は閉止され、弁V4は開放され、弁V5は閉止され、弁V6は閉止される。そして、第2圧縮機Ceから送出される冷媒が、室内用熱交換器(凝縮器)H2と弁(第2膨張弁)V2と室外用熱交換器(第2蒸発器)H1とを順に通流した後で第2圧縮機Ceに帰還する。
制御装置10は、空調運転に要求されている要求負荷が基準負荷以上のとき、第1圧縮機Cg及び第2圧縮機Ceの両方を動作させて、冷媒を上記第1暖房循環状態又は上記第2暖房循環状態又は上記第3暖房循環状態で循環させる。このように、空調運転に要求されている要求負荷が相対的に大きいとき、即ち、空調用空気と冷媒との熱交換を行う室内用熱交換器(凝縮器)H2に通流させる冷媒量が相対的に多く必要になるとき、駆動されるエンジンEには相対的に大きな出力が要求される。つまり、効率が高くなる状態でエンジンEを動作させながら空調運転を行うことができる。そして、上述したように、制御装置10は、冷媒温度検証処理での検証結果に基づいて、冷媒を上記第1暖房循環状態で循環させるのか、或いは、冷媒を上記第2暖房循環状態又は上記第3暖房循環状態で循環させるのかを切り替える。更に、上述したように、制御装置10は、例えば外気温度に基づいて、冷媒を上記第2暖房循環状態で循環させるのか、又は、冷媒を上記第3暖房循環状態で循環させるのかを切り替える。
これに対して、空調運転に要求されている要求負荷が基準負荷未満のとき、エンジンEを動作させず(即ち、発電機Gを動作させず)、第2圧縮機Ceを電力系統1から受電した電力で動作させて、冷媒を上記第4暖房循環状態で循環させる。このような運転を行うことで、エンジンEの効率が低くなることを避けながら、空調運転に要求されている要求負荷を賄うことができる。
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、本発明の空気調和システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。例えば、冷媒が流れる冷媒流路L1の取り回しや、各弁の設置場所などは適宜変更可能である。
<1>
上記実施形態では、本発明の空気調和システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。例えば、冷媒が流れる冷媒流路L1の取り回しや、各弁の設置場所などは適宜変更可能である。
<2>
制御装置10が、エンジンEから排熱を回収した後の冷却水の温度を計測する温度センサT5の測定結果を参照して、冷媒の循環状態を切り替えてもよい。例えば、エンジンEの始動時では、エンジンEから高温の排熱を回収することができないため、冷媒は排熱回収用熱交換器H3で熱交換を行っても、充分に高温の熱を回収することができない。従って、制御装置10は、温度センサT5で計測される冷却水温度(排熱温度)が下限温度以下のとき、冷媒を排熱回収用熱交換器H3には通流させないようにする。つまり、制御装置10は、温度センサT5で計測される冷却水温度(排熱温度)が下限温度以下のとき、冷媒の循環状態を、上述した第1暖房循環状態にして空調運転を行い、温度センサT5で計測される冷却水温度(排熱温度)が下限温度より高いとき、冷媒の循環状態を、上述した第2暖房循環状態又は第3暖房循環状態にして空調運転を行ってもよい。
制御装置10が、エンジンEから排熱を回収した後の冷却水の温度を計測する温度センサT5の測定結果を参照して、冷媒の循環状態を切り替えてもよい。例えば、エンジンEの始動時では、エンジンEから高温の排熱を回収することができないため、冷媒は排熱回収用熱交換器H3で熱交換を行っても、充分に高温の熱を回収することができない。従って、制御装置10は、温度センサT5で計測される冷却水温度(排熱温度)が下限温度以下のとき、冷媒を排熱回収用熱交換器H3には通流させないようにする。つまり、制御装置10は、温度センサT5で計測される冷却水温度(排熱温度)が下限温度以下のとき、冷媒の循環状態を、上述した第1暖房循環状態にして空調運転を行い、温度センサT5で計測される冷却水温度(排熱温度)が下限温度より高いとき、冷媒の循環状態を、上述した第2暖房循環状態又は第3暖房循環状態にして空調運転を行ってもよい。
<3>
上記実施形態では、室内用熱交換器H2が1台だけ設けられた例を説明したが、室内用熱交換器H2が複数台設けられていてもよい。そして、上記実施形態で説明した室内用熱交換器H2での冷媒の温度(温度センサT2で計測される冷媒の温度)として、それら複数台の室内用熱交換器H2での冷媒温度の平均値などを採用してもよい。
上記実施形態では、室内用熱交換器H2が1台だけ設けられた例を説明したが、室内用熱交換器H2が複数台設けられていてもよい。そして、上記実施形態で説明した室内用熱交換器H2での冷媒の温度(温度センサT2で計測される冷媒の温度)として、それら複数台の室内用熱交換器H2での冷媒温度の平均値などを採用してもよい。
<4>
上記実施形態において、制御装置10は、第1冷房循環状態と第2冷房循環状態とを別の判定基準に基づいて切り替えてもよい。
例えば、制御装置10は、室内用熱交換器H2に吸い込まれる室内空気の温度(温度センサT6で測定された室内空気の温度)が、室外用熱交換器H1に吸い込まれる外気の温度(温度センサT7で測定された空気の温度)より低いと判定したとき、冷媒の循環状態を第2冷房循環状態にしてその後の空調運転を行わせる。これに対して、制御装置10は、室内用熱交換器H2に吸い込まれる室内空気の温度(T6)が外気の温度(T7)以上であると判定したとき、冷媒の循環状態を第1冷房循環状態にしてその後の空調運転を行わせる。ここで、室内用熱交換器H2が複数台設けられている場合には、それら複数台の室内用熱交換器H2のそれぞれに吸い込まれる室内空気の温度の平均値を、上述した室内空気の温度として採用してもよい。
上記実施形態において、制御装置10は、第1冷房循環状態と第2冷房循環状態とを別の判定基準に基づいて切り替えてもよい。
例えば、制御装置10は、室内用熱交換器H2に吸い込まれる室内空気の温度(温度センサT6で測定された室内空気の温度)が、室外用熱交換器H1に吸い込まれる外気の温度(温度センサT7で測定された空気の温度)より低いと判定したとき、冷媒の循環状態を第2冷房循環状態にしてその後の空調運転を行わせる。これに対して、制御装置10は、室内用熱交換器H2に吸い込まれる室内空気の温度(T6)が外気の温度(T7)以上であると判定したとき、冷媒の循環状態を第1冷房循環状態にしてその後の空調運転を行わせる。ここで、室内用熱交換器H2が複数台設けられている場合には、それら複数台の室内用熱交換器H2のそれぞれに吸い込まれる室内空気の温度の平均値を、上述した室内空気の温度として採用してもよい。
他にも、制御装置10は、過冷却効果が得られるか否かに基づいて、第1冷房循環状態と第2冷房循環状態とを切り替えてもよい。
例えば、制御装置10は、空調運転を行っている間の所定のタイミングで冷媒を第2冷房循環状態で循環させながら冷媒の温度を検証する冷媒温度検証処理を行う。この冷媒温度検証処理では、制御装置10は、第1圧縮機Cgから送出される冷媒の循環系統の途中で、室外用熱交換器H1と熱交換器(過冷却器)H4との間を流れる冷媒の温度(温度センサT4で測定される冷媒の温度)と、熱交換器H4と弁V4との間を流れる冷媒の温度(温度センサT8で測定される冷媒の温度)とを比較する。ここで、室外用熱交換器H1と熱交換器(過冷却器)H4との間を流れる冷媒温度(T4)は過冷却が施される前の冷媒温度であり、熱交換器H4と弁V4との間を流れる冷媒の温度(T8)は過冷却が施された後の冷媒の温度である。つまり、制御装置10は、熱交換器(過冷却器)H4による過冷却が施される前後での冷媒の温度を比較している。そして、制御装置10は、熱交換器H4と弁V4との間を流れる冷媒の温度(T8)が、室外用熱交換器H1と熱交換器(過冷却器)H4との間を流れる冷媒温度(T4)よりも所定温度以上低くなっているときには、相対的に大きな過冷却効果が得られていると判定して、冷媒を第2冷房循環状態で循環させた状態で空調運転を行う。これに対して、制御装置10は、熱交換器H4と弁V4との間を流れる冷媒の温度(T8)が、室外用熱交換器H1と熱交換器(過冷却器)H4との間を流れる冷媒温度(T4)よりも所定温度以上低くなっていないときには、相対的に大きな過冷却効果が得られていないと判定して、冷媒を第1冷房循環状態で循環させた状態で空調運転を行う。
例えば、制御装置10は、空調運転を行っている間の所定のタイミングで冷媒を第2冷房循環状態で循環させながら冷媒の温度を検証する冷媒温度検証処理を行う。この冷媒温度検証処理では、制御装置10は、第1圧縮機Cgから送出される冷媒の循環系統の途中で、室外用熱交換器H1と熱交換器(過冷却器)H4との間を流れる冷媒の温度(温度センサT4で測定される冷媒の温度)と、熱交換器H4と弁V4との間を流れる冷媒の温度(温度センサT8で測定される冷媒の温度)とを比較する。ここで、室外用熱交換器H1と熱交換器(過冷却器)H4との間を流れる冷媒温度(T4)は過冷却が施される前の冷媒温度であり、熱交換器H4と弁V4との間を流れる冷媒の温度(T8)は過冷却が施された後の冷媒の温度である。つまり、制御装置10は、熱交換器(過冷却器)H4による過冷却が施される前後での冷媒の温度を比較している。そして、制御装置10は、熱交換器H4と弁V4との間を流れる冷媒の温度(T8)が、室外用熱交換器H1と熱交換器(過冷却器)H4との間を流れる冷媒温度(T4)よりも所定温度以上低くなっているときには、相対的に大きな過冷却効果が得られていると判定して、冷媒を第2冷房循環状態で循環させた状態で空調運転を行う。これに対して、制御装置10は、熱交換器H4と弁V4との間を流れる冷媒の温度(T8)が、室外用熱交換器H1と熱交換器(過冷却器)H4との間を流れる冷媒温度(T4)よりも所定温度以上低くなっていないときには、相対的に大きな過冷却効果が得られていないと判定して、冷媒を第1冷房循環状態で循環させた状態で空調運転を行う。
本発明は、冷媒の流路が最適化された空気調和システムに利用できる。
1 電力系統
H1 室外用熱交換器(蒸発器、凝縮器)
H2 室内用熱交換器(蒸発器、凝縮器)
H3 排熱回収用熱交換器(蒸発器)
H4 過冷却器(熱交換器)
Cg 第1圧縮機
Ce 第2圧縮機
G 発電機
E エンジン
M 電動モータ
V1 弁(膨張弁)
V2 弁(膨張弁)
V3 弁(膨張弁)
V4 弁(膨張弁)
V5 弁(膨張弁)
V6 弁(膨張弁)
10 制御装置
11 エンジン制御手段
12 発電制御手段
13 電動モータ制御手段
14 循環経路制御手段
H1 室外用熱交換器(蒸発器、凝縮器)
H2 室内用熱交換器(蒸発器、凝縮器)
H3 排熱回収用熱交換器(蒸発器)
H4 過冷却器(熱交換器)
Cg 第1圧縮機
Ce 第2圧縮機
G 発電機
E エンジン
M 電動モータ
V1 弁(膨張弁)
V2 弁(膨張弁)
V3 弁(膨張弁)
V4 弁(膨張弁)
V5 弁(膨張弁)
V6 弁(膨張弁)
10 制御装置
11 エンジン制御手段
12 発電制御手段
13 電動モータ制御手段
14 循環経路制御手段
Claims (4)
- エンジンと、前記エンジンによって駆動されて冷媒を圧縮する第1圧縮機と、前記エンジンによって駆動されて発電する発電機と、前記発電機から供給される電力及び電力系統から受電した電力の内の前記発電機から供給される電力を優先して消費して動作する電動モータと、前記電動モータによって駆動されて冷媒を圧縮する第2圧縮機と、冷媒から放熱させる第1凝縮器と、冷媒から放熱させる第2凝縮器と、冷媒を膨張させる第1膨張弁と、冷媒を膨張させる第2膨張弁と、冷媒に吸熱させる蒸発器と、二つの冷媒同士を混合せずに熱交換させる熱交換器と、前記エンジンの動作を制御するエンジン制御手段、及び、前記発電機の動作を制御する発電制御手段、及び、前記電動モータの動作を制御する電動モータ制御手段、及び、冷媒の循環経路を切り替える循環経路制御手段を有する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記エンジン制御手段と前記発電制御手段と前記電動モータ制御手段と前記循環経路制御手段とによる制御によって、冷媒の循環状態を切り替えながら前記蒸発器を通流する冷媒と熱交換した空調用空気を空調対象空間へ供給する空調運転を行うように構成され、
冷媒の循環状態の一つは、冷媒が前記第1膨張弁と前記蒸発器とを順に通流した後で分流され、当該分流された冷媒の一方が前記第1圧縮機と前記第1凝縮器とを順に通流した後で前記第1膨張弁に帰還し、及び、前記分流された冷媒の他方が前記第2圧縮機と前記第2凝縮器とを順に通流した後で前記第1膨張弁に帰還する第1冷房循環状態であり、
冷媒の循環状態の別の一つは、前記第1圧縮機から送出される冷媒が、前記第1凝縮器と前記熱交換器と前記第1膨張弁と前記蒸発器とを順に通流した後で前記第1圧縮機に帰還し、及び、前記第2圧縮機から送出される冷媒が、前記第2凝縮器と前記第2膨張弁と前記熱交換器とを順に通流した後で前記第2圧縮機に帰還する第2冷房循環状態である空気調和システム。 - 前記制御装置は、前記空調運転を行っている間の所定のタイミングで冷媒を前記第2冷房循環状態で循環させながら冷媒の温度を検証する冷媒温度検証処理を行い、
前記冷媒温度検証処理において、前記蒸発器での冷媒の温度が前記熱交換器での冷媒の温度より低いと判定したとき、冷媒の循環状態を前記第2冷房循環状態にしてその後の前記空調運転を行わせ、
前記冷媒温度検証処理において、前記蒸発器での冷媒の温度が前記熱交換器での冷媒の温度以上であると判定したとき、冷媒の循環状態を前記第1冷房循環状態にしてその後の前記空調運転を行わせる請求項1に記載の空気調和システム。 - 前記制御装置が前記空調運転を行うときの冷媒の循環状態の更に別の一つは、前記第2圧縮機から送出される冷媒が、前記第2凝縮器と前記第1膨張弁と前記蒸発器とを順に通流した後で前記第2圧縮機に帰還する第3冷房循環状態であり、
前記制御装置は、前記空調運転に要求されている要求負荷が基準負荷以上のとき、冷媒を前記第1冷房循環状態又は前記第2冷房循環状態で循環させながら前記空調運転を行い、及び、前記要求負荷が前記基準負荷未満のとき、前記エンジンを動作させず、冷媒を前記第3冷房循環状態で循環させながら前記空調運転を行う請求項1又は2に記載の空気調和システム。 - 前記蒸発器は、前記空調対象空間内に供給する前記空調用空気と熱交換する室内用熱交換器であり、
前記第1凝縮器及び前記第2凝縮器は、前記空調対象空間外に存在する外気と熱交換する室外用熱交換器である請求項1〜3の何れか一項に記載の空気調和システム。
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