以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
この実施の形態は、静電潜像担持体としての感光体ドラムの帯電及び露光、当該感光体ドラム上に形成された静電潜像のトナーによる現像、得られたトナー画像の記録媒体上への転写、当該記録媒体上のトナー画像の定着といったプロセスを経ることにより、画像形成を行う電子写真記録方式の印刷装置である。なお、以下では、説明の便宜上、感光体ドラムに光を照射して露光する光源(記録素子)として、複数の発光ダイオード(Light Emitting Diode;以下、LEDという。)からなる列を備えた印刷装置を取り上げ、これらLED素子を被駆動素子として本発明を適用した場合について説明するものとする。
まず、本発明の第1の実施の形態として示す印刷装置について説明する。
印刷装置は、例えば図1に示すような制御回路を備える。すなわち、印刷装置は、当該印刷装置を統括的に制御する印刷制御部1を備える。印刷制御部1は、例えば、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポート、及びタイマ等から構成され、当該印刷装置における印字部の内部に配設される。印刷制御部1は、図示しない上位コントローラから送信された制御信号SG1やドットマップデータを一次元的に配列したビデオ信号SG2等に基づいて、当該印刷装置全体をシーケンス制御し、印刷動作を行う。
より具体的には、印刷制御部1は、制御信号SG1に含まれる印刷指示を受信すると、まず、ヒータ22aを内蔵した定着器22の温度を検出する定着器温度センサ23によって検出された温度を読み込み、当該定着器22が使用可能な温度範囲にあるか否かを判定する。そして、印刷制御部1は、定着器22が使用可能な温度範囲にないものと判定した場合には、ヒータ22aに対する通電を行い、使用可能な温度まで定着器22を加熱する。一方、印刷制御部1は、定着器22が使用可能な温度範囲にあるものと判定した場合には、ドライバ2を介して現像・転写プロセス用モータ3を回転させるとともに、チャージ信号SGCを帯電用高圧電源25に供給することによって当該帯電用高圧電源25をオン状態とし、現像器27の帯電を行う。
そして、印刷制御部1は、図示しない給紙トレイにおける記録媒体としての用紙の有無を用紙残量センサ8を介して検出するとともに、当該給紙トレイにセットされている用紙の種類を用紙サイズセンサ9を介して検出し、当該用紙に応じた用紙の給送を開始する。ここで、用紙送りモータ5は、ドライバ4を介して双方向に回転させることが可能とされ、印刷制御部1は、最初に当該用紙送りモータ5を逆回転させ、用紙吸入口センサ6によって検出されるまで、給紙トレイにセットされた用紙を予め設定された量だけ給送する。そして、印刷制御部1は、ドライバ4を介して用紙送りモータ5を正回転させ、用紙を当該印刷装置内部の印刷機構へと搬送する。
続いて、印刷制御部1は、用紙が印刷可能な位置まで到達すると、図2に示すように、主走査同期信号や副走査同期信号を含むタイミング信号SG3を上位コントローラに対して送信し、これに応じて、上位コントローラからページ毎に編集されたビデオ信号SG2を受信する。そして、印刷制御部1は、後述する差動信号からなる所定のクロック信号HD−CLKに基づいて、受信したビデオ信号SG2を、印字データ信号HD−DATAとしてLEDヘッド19に対して転送する。なお。LEDヘッド19は、後に詳述するが、1ドット(ピクセル)の印字のために設けられたLED素子を複数個線状に配列したものである。
このようなビデオ信号SG2の送受信は、印刷ライン毎に行われる。印刷制御部1は、1ライン分のビデオ信号SG2を受信すると、LEDヘッド19に対してラッチ信号HD−LOADを送信し、印字データ信号HD−DATAを当該LEDヘッド19内に保持させる。なお、印刷制御部1は、上位コントローラから次のラインのビデオ信号SG2を受信している最中においても、LEDヘッド19に保持させた印字データ信号HD−DATAについての印刷を行わせることができる。
LEDヘッド19によって印刷される情報は、所定の負電位に帯電させられた図示しない感光体ドラム上に、電位が上昇したドットとして潜像化される。そして、印刷制御部1は、現像器27を制御し、所定の負電位に帯電させられた画像形成用のトナーを、感光体ドラム上に担持されている各ドットに電気的な吸引力によって吸引させ、トナー像を形成させる。この形成されたトナー像は、転写器28に供給される。印刷制御部1は、転写信号SG4を転写用高圧電源26に供給することによって当該転写用高圧電源26をオン状態とし、所定の正電位を転写器28に対して印加させる。このとき、印刷制御部1は、用紙サイズセンサ9及び用紙吸入口センサ6による検出に基づいて、用紙が転写器28を通過している間だけ、転写用高圧電源26からの電圧を当該転写器28に対して印加させる。これに応じて、転写器28は、感光体ドラムと当該転写器28との間を通過する用紙上にトナー像を転写する。
このようにしてトナー像が転写された用紙は、定着器22に搬送される。定着器22は、ヒータ22aによる熱によってトナー像を用紙上に定着する。画像が定着された用紙は、さらに搬送され、印刷機構から外部へと排出される。このとき、印刷制御部1は、排出口近傍に設けられた用紙排出口センサ7を介して、用紙が排出された旨を検出する。そして、印刷制御部1は、印刷が終了して、用紙排出口センサ7が設けられた位置を用紙が通過すると、帯電用高圧電源25による現像器27に対する電圧の印加を終了させるとともに、ドライバ2を介して現像・転写プロセス用モータ3の回転を停止させる。
印刷装置は、印刷制御部1の制御のもとに、このような一連の動作を繰り返し行うことにより、複数枚の用紙に対する画像形成を行うことができる。
さて、このような印刷装置は、上述したように、LEDヘッド19を備える。LEDヘッド19は、例えば図3に示すように、複数のLED素子が配列された複数のLEDアレイチップCHP1,CHP2,・・・と、これらLEDアレイチップCHP1,CHP2,・・・のそれぞれを駆動する複数の駆動IC(Integrated Circuit)DRV1,DRV2,・・・とが、それぞれ対向するように所定のプリント配線基板100上に配列されて構成される。なお、ここでは、26個のLEDアレイチップCHP1,CHP2,・・・,CHP26と、26個の駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26とが設けられている様子を示している。
プリント配線基板100は、いわゆるプリント配線用銅張積層板として一般に用いられるものであれば、その種類を問わずいずれを用いても構成することができる。具体的には、プリント配線基板100は、米国電気製造業者協会(National Electrical Manufacturers Association;NEMA)による記号XXP,XPC等として規定されている紙フェノール基板、同記号FR−2として規定されている紙ポリエステル基板、同記号FR−3として規定されている紙エポキシ基板、同記号CEM−1として規定されているガラス紙コンポジットエポキシ基板、同記号CHE−3として規定されているガラス不織紙コンポジットエポキシ基板、同記号G−10として規定されているガラス布エポキシ基板、同記号FR−4として規定されているガラス布エポキシ基板といった片面若しくは両面に銅箔を有するいわゆるリジッド基板を用いて構成される。なお、これらのうち、吸湿性や寸法変化が少なく、自己消炎性を有するガラス布エポキシ基板(FR−4)が最も好適である。
駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26は、当該LEDヘッド19の主走査方向に対して等ピッチでプリント配線基板100上に配設される。各駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26は、同一回路によって構成され、隣接する駆動ICとカスケード接続されている。一方、LEDアレイチップCHP1,CHP2,・・・,CHP26は、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26のそれぞれと対向してプリント配線基板100上に配設される。これらLEDアレイチップCHP1,CHP2,・・・,CHP26及び駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26の各ドットの電極パッド間は、図示しない金線によるワイヤボンディング法によって直接接続されている。
また、プリント配線基板100上には、差動クロック信号を伝送する差動クロック信号線101が配設される。この差動クロック信号線101の末端には、終端抵抗102が接続されており、この終端抵抗102の抵抗値は、差動クロック信号線101に信号反射を生じない値に設定される。すなわち、終端抵抗102は、差動クロック信号線101が有する差動特性インピーダンスZ0と等しい抵抗値とされる。
このようなLEDヘッド19は、プリント配線基板100上に形成されたコネクタ103に接続された所定の接続ケーブルを介して、上述した印刷制御部1と接続される。
このようなLEDヘッド19においては、図3に示すように、後に詳述するが、差動クロック信号線101がプリント配線基板100上で各駆動IC DRV1,DRV2,・・・間を蛇行しながらクランク状の経路を描いて終端抵抗102へと配線されている。このとき、LEDヘッド19においては、プリント配線基板100上に占める差動クロック信号線101の割合を軽減するために、クランク状とするピッチを、駆動IC DRV1,DRV2,・・・の長手方向について2チップ分の長さとしている。このため、LEDヘッド19においては、差動クロック信号線101と駆動IC DRV1,DRV2,・・・の端子との接続が、隣接する駆動IC間で異なることになる。
そこで、LEDヘッド19においては、回路図上において図4に示すように、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26及びLEDアレイチップCHP1,CHP2,・・・,CHP26を接続する。なお、同図においては、カスケード接続された1段目と2段目の駆動IC DRV1,DRV2及びLEDアレイチップCHP1,CHP2についてのみ示している。すなわち、LEDヘッド19においては、カスケード接続された1段目と2段目の駆動IC DRV1,DRV2間で、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nと、当該駆動ICにおけるクロック入力端子CLKP,CLKNとの接続が入れ替わる。LEDヘッド19においては、カスケード接続された3段目以降の駆動IC DRV3,・・・についても同様に、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nと、当該駆動ICにおけるクロック入力端子CLKP,CLKNとの接続が入れ替わる。より具体的には、差動クロック信号HD−CLK−Pは、奇数段目の駆動ICにおいてはクロック入力端子CLKPと接続され、偶数段目の駆動ICにおいてはクロック入力端子CLKNと接続される。一方、差動クロック信号HD−CLK−Nは、奇数段目の駆動ICにおいてはクロック入力端子CLKNと接続され、偶数段目の駆動ICにおいてはクロック入力端子CLKPと接続される。
このようなLEDヘッド19の内部構成は、例えば図5に示すようなものである。なお、ここでは、1インチあたり600ドットの解像度でA4サイズの用紙に印刷可能なLEDヘッド19について例示する。
すなわち、このLEDヘッド19において、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26は、それぞれ、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nを、当該駆動IC内部で用いるシングルエンド信号に変換するクロック入力回路151と、このクロック入力回路151から出力されるクロック信号に同期させて印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0のシフト転送を行うシフトレジスタ回路152と、このシフトレジスタ回路152の出力信号をラッチ信号HD−LOADに基づいて保持するラッチ回路153と、LED素子の発光又は非発光を制御するための負論理信号であるストローブ信号(以下、印刷駆動信号HD−STB−Nという。)が入力されるインバータ回路154と、ラッチ回路153の出力信号とインバータ回路154の出力信号との論理積をとる論理積回路155と、この論理積回路155の出力信号に基づいて、所定の電源VDDから給電された電力に基づく駆動電流をLED素子に供給するLED駆動回路156と、このLED駆動回路156に対して駆動電流が一定になるように指令電圧を与える制御電圧発生回路157とを有する。
また、LEDヘッド19は、基準電圧発生回路158を有する。LEDヘッド19においては、この基準電圧発生回路158によって発生された基準電圧Vrefを制御電圧発生回路157に供給することにより、LED素子を駆動するための基準電流を発生させている。
このようなLEDヘッド19において、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26におけるシフトレジスタ回路152は、48個×4組=192個のフリップフロップ回路からなり、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0を、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nに同期させてシフト入力し、24パルスのクロック入力によって192ドット分の印字データ信号を転送する。
具体的には、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26は、それぞれ、図6に示すように、カスケード接続された48個のフリップフロップ回路DFA1,DFA2,・・・,DFA48と、カスケード接続された48個のフリップフロップ回路DFB1,DFB2,・・・,DFB48と、カスケード接続された48個のフリップフロップ回路DFC1,DFC2,・・・,DFC48と、カスケード接続された48個のフリップフロップ回路DFD1,DFD2,・・・,DFD48とを有するとともに、これら192個のフリップフロップ回路DFA1,・・・,DFA48,DFB1,・・・,DFB48,DFC1,・・・,DFC48,DFD1,・・・,DFD48のそれぞれに対応して設けられた複数のラッチ回路LTA1,・・・,LTA48,LTB1,・・・,LTB48,LTC1,・・・,LTC48,LTD1,・・・,LTD48(上述したラッチ回路153に相当。)を有する。また、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26は、それぞれ、192個のLED素子を駆動するための駆動電流を出力する192個の駆動電流出力端子DO1,DO2,・・・,DO192を有し、これら駆動電流出力端子DO1,DO2,・・・,DO192のそれぞれに対応して、192個の同一構成からなるLED駆動回路DRV(上述した論理積回路155及びLED駆動回路156等に相当。)を有する。これら駆動電流出力端子DO1,DO2,・・・,DO192は、それぞれ、LED駆動回路DRVにおける端子DOに接続され、ワイヤボンディングによって対応するドット位置のLED素子と接続される。
フリップフロップ回路DFA1,・・・,DFA48,DFB1,・・・,DFB48,DFC1,・・・,DFC48,DFD1,・・・,DFD48は、それぞれ、後に詳述するが、従来のフリップフロップ回路のように、入力される差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち下がりエッジにおいてデータの転送を行うのではなく、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がり及び立ち下がりの双方のエッジに基づいて動作し、データの転送を行うことが可能に構成される。フリップフロップ回路DFA1のデータ入力端子Dは、当該駆動ICのデータ入力端子DATAI0に接続され、フリップフロップ回路DFA48からの出力は、当該駆動ICのデータ出力端子DATAO0に接続されている。同様に、フリップフロップ回路DFB1,DFC1,DFD1のデータ入力端子Dは、それぞれ、当該駆動ICのデータ入力端子DATAI1,DATAI2,DATAI3に接続され、フリップフロップ回路DFB48,DFC48,DFD48からの出力は、それぞれ、当該駆動ICのデータ出力端子DATAO1,DATAO2,DATAO3に接続されている。したがって、フリップフロップ回路DFA1,・・・,DFA48,DFB1,・・・,DFB48,DFC1,・・・,DFC48,DFD1,・・・,DFD48は、それぞれ、48段のシフトレジスタ回路を構成している。
駆動IC DRVmのデータ出力端子DATAO0,・・・,DATAO3は、それぞれ、次段の駆動IC DRVm+1のデータ入力端子DATAI0,・・・,DATAI3に接続されている。したがって、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26におけるフリップフロップ回路DFA1,・・・,DFA48は、それぞれ、印刷制御部1から1段目の駆動IC DRV1に入力される印字データ信号HD−DATA3を、差動クロック信号HD−CLK−Pに同期させてシフトさせる48×26段のシフトレジスタ回路を構成している。同様に、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26におけるフリップフロップ回路DFB1,・・・,DFB48,DFC1,・・・,DFC48,DFD1,・・・,DFD48は、それぞれ、印刷制御部1から1段目の駆動IC DRV1に入力される印字データ信号HD−DATA2,HD−DATA1,HD−DATA0を、差動クロック信号HD−CLK−Pに同期させてシフトさせる48×26段のシフトレジスタ回路を構成している。
このように、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26は、それぞれ、4ビットパラレル入力のシフトレジスタ回路を設け、1回のクロックにおいて隣接する4画素分のデータを一括して転送する構成とすることにより、データ転送のクロック周波数、すなわち、差動クロック信号HD−CLKの周波数を低減することができる。
また、ラッチ回路LTA1,・・・,LTA48,LTB1,・・・,LTB48,LTC1,・・・,LTC48,LTD1,・・・,LTD48は、それぞれ、端子LOADIから入力されるラッチ信号LOAD−Pに基づいて動作する。ラッチ回路LTA1,・・・,LTA48は、それぞれ、フリップフロップ回路DFA1,・・・,DFA48に保持された印字データ信号HD−DATA0をラッチする。同様に、ラッチ回路LTB1,・・・,LTB48,LTC1,・・・,LTC48,LTD1,・・・,LTD48は、それぞれ、フリップフロップ回路DFB1,・・・,DFB48,DFC1,・・・,DFC48,DFD1,・・・,DFD48に保持された印字データ信号HD−DATA1,HD−DATA2,HD−DATA3をラッチする。
このような駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26において、従来との際だった相違は、これら駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26において奇数段目又は偶数段目であることを指示するためのセレクト端子が設けられていないことである。
図7に、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26とLEDアレイチップCHP1,CHP2,・・・,CHP26とプリント配線基板100との結線を示す。なお、同図においては、カスケード接続された1段目乃至3段目の駆動IC DRV1,DRV2,DRV3及びLEDアレイチップCHP1,CHP2,CHP3についてのみ示している。
駆動IC DRV1,DRV2,DRV3,・・・とLEDアレイチップCHP1,CHP2,CHP3,・・・とは、同図中破線で示すように、ボンディングワイヤによって接続され、駆動IC DRV1,DRV2,DRV3,・・・とプリント配線基板100も、同図中破線で示すように、ボンディングワイヤによって接続されている。
印刷制御部1から出力される印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0は、それぞれ、同図(a)中"□"で示すボンディングパッドを介して、駆動IC DRV1のデータ入力端子DATAI3,・・・,DATAI0にワイヤボンディング接続される。この駆動IC DRV1からのカスケード出力は、それぞれ、データ出力端子DATAO3,・・・,DATAO0からワイヤボンディングを介して一旦プリント配線基板100上に形成されたボンディングパッドに接続され、さらに、プリント配線基板100上に形成された配線を介して隣接するボンディングパッドに接続され、再度ワイヤボンディングを介して駆動IC DRV2のデータ入力端子DATAI3,・・・,DATAI0に接続される。同様に、他の駆動ICについても、ワイヤボンディングを介して隣接する駆動ICとカスケード接続される。
一方、印刷制御部1から出力される差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nは、それぞれ、プリント配線基板100上に、各駆動IC DRV1,DRV2,DRV3,・・・間を蛇行しながらクランク状の経路を描いて形成された1対の信号線、すなわち、先に図3に示した差動クロック信号線101を介して伝送される。差動クロック信号HD−CLK−Pを伝送する差動クロック信号線101P及び差動クロック信号HD−CLK−Nを伝送する差動クロック信号線101Nは、それぞれ、カスケード接続の末端である駆動IC DRV26の位置まで形成され、先に図3に示した終端抵抗102によって終端される。
ここで、差動クロック信号線101P,101Nは、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0についての配線部を避けつつ蛇行して配設されている。各駆動IC DRV1,DRV2,DRV3,・・・は、それぞれ、上述したように、192個のLED素子の駆動を行うものであり、各LED素子に対応する各ドットの配置ピッチは、1/600インチである。これにより、駆動IC DRV1,DRV2,DRV3,・・・の配置ピッチは、約8.1mmとなることから、差動クロック信号線101P,101Nにおけるクランク状の配置ピッチは、駆動IC DRV1,DRV2,DRV3,・・・の配置ピッチの2倍となる。
図7から明らかなように、差動クロック信号線101P,101Nは、それぞれ連続した1本の信号トレースとなり、途中に不連続点を生じていない。また、1対の差動クロック信号線101P,101Nの間隔は、等しく構成されている。
このように、差動クロック信号線101P,101Nにおけるクランク状の配置ピッチは、駆動IC DRV1,DRV2,DRV3,・・・の配置ピッチの2倍となっていることから、上述したように、隣接する駆動IC間で、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nと、当該駆動ICにおけるクロック入力端子CLKP,CLKNとの接続が入れ替わることになる。これにより、LEDヘッド19においては、現実には差動クロック信号線101P,101Nを交差させることなく、先に図5に示したように、回路図上では隣接する駆動IC毎に1対の差動クロック信号線101P,101Nが交互に交差する回路が実現される。
このように、LEDヘッド19においては、隣接する駆動IC間で、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nと、当該駆動ICにおけるクロック入力端子CLKP,CLKNとの接続を入れ替えることにより、駆動ICの設計上又は製造上のばらつきによって2つのクロック入力端子CLKP,CLKNにおける静電容量が微妙に異なる場合であっても、各差動クロック信号線101P,101Nには、同数のクロック入力端子CLKP,CLKNが接続されることから、各差動クロック信号線101P,101Nにおける負荷容量の差異は平均化され、実質的に無視しうる程度に小さくなる。これは、いわゆるツイステッド・ペア配線に類似する構成であることから、差動信号の対称性の観点から好ましい特質である。
さて、このようなLEDヘッド19においては、以下に示す構成及び動作からなるフリップフロップ回路を有することにより、従来において、隣接する駆動IC間で、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nと、当該駆動ICにおけるクロック入力端子CLKP,CLKNとの接続が入れ替わることによって正論理状態と負論理状態とが反転してしまうのを再度論理反転させて本来の動作論理へと戻すために設置が不可避であったセレクト端子を設ける必要がなくなる。
図8に、上述したフリップフロップ回路の構成を示す回路図を、その回路シンボルと対比させて示す。同図(a)は、回路シンボルであり、先に図6に示したフリップフロップ回路DFA1,・・・,DFA48,DFB1,・・・,DFB48,DFC1,・・・,DFC48,DFD1,・・・,DFD48に対応するものである。また、同図(b)には、その内部構成を示している。
すなわち、フリップフロップ回路DFは、2つのラッチ素子201,202と、セレクタ回路203とから構成される。
ラッチ素子201は、データ入力端子D、ゲート入力端子G、及びデータ出力端子Qを有する。ラッチ素子201は、上述した差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nがクロック入力回路151を介してゲート入力端子Gに入力されることにより、当該ゲート入力端子Gのレベルがローレベルとなる場合には、データ入力端子Dの論理値を取り込み、データ出力端子Qから出力させる一方で、当該ゲート入力端子Gのレベルがハイレベルとなると、直前に出力していた論理値を保持し続ける。
ラッチ素子202は、データ入力端子D、ゲート入力端子G、及びデータ出力端子Qを有する。ラッチ素子202は、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nがクロック入力回路151を介してゲート入力端子Gに入力されることにより、当該ゲート入力端子Gのレベルがハイレベルとなる場合には、データ入力端子Dの論理値を取り込み、データ出力端子Qから出力させる一方で、当該ゲート入力端子Gのレベルがローレベルとなると、直前に出力していた論理値を保持し続ける。
セレクタ回路203は、セレクト端子S、データ入力端子A,B、及びデータ出力端子Yを有する。セレクタ回路203は、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nがクロック入力回路151を介してセレクト端子Sに入力されることにより、当該セレクト端子Sのレベルがハイレベルとなる場合には、データ入力端子Bに入力された論理値をデータ出力端子Yから出力させる一方で、当該セレクト端子Sのレベルがローレベルとなる場合には、データ入力端子Aに入力された論理値をデータ出力端子Yから出力させる。
このようなフリップフロップ回路DFは、具体的には図9又は図10に示すように構成することができる。すなわち、フリップフロップ回路DFは、図9に示すように、ラッチ素子201,202を、クロックドCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)から構成されるインバータを用いて構成するとともに、セレクタ回路203を、トランスミッションゲートの組み合わせによって構成することができる。また、フリップフロップ回路DFは、図10に示すように、ラッチ素子201,202を、クロックドCMOSから構成されるインバータを用いて構成するとともに、セレクタ回路203を、AND−ORインバータ回路から構成されるセレクタの組み合わせによって構成することもできる。さらに、フリップフロップ回路DFは、特に図示しないが、ラッチ素子201,202を、トランスミッションゲートとインバータとの組み合わせによって構成することもでき、また、セレクタ回路203を、論理積回路と論理和回路との組み合わせや、否定論理積回路の組み合わせによって構成するようにしてもよい。
このようなフリップフロップ回路DFにおいては、ラッチ素子201,202におけるクロック入力端子CKに入力される差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nのレベルに応じて、当該ラッチ素子201,202から出力されるデータが切り替わり、さらに、セレクタ回路203におけるセレクト端子Sに入力される差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nのレベルに応じて、出力されるべきデータ入力端子A,Bが切り替わる。
具体的には、フリップフロップ回路DFは、図11に示すようなタイミングにしたがって動作する。なお、同図1段目には、データ入力端子Dにおける信号波形を示し、同図2段目には、クロック入力端子CKにおける信号波形を示し、同図3段目には、ラッチ素子201のデータ出力端子Qにおける信号波形を示し、同図4段目には、ラッチ素子202のデータ出力端子Qにおける信号波形を示し、同図5段目には、セレクタ回路203のデータ出力端子Yにおける信号波形を示している。そして、同図には、a,b,c,d,eからなるデータ列がデータ入力端子Dに入力され、それぞれのデータ入力に同期してクロック信号CK(差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−N)が、ローレベルからハイレベルへの立ち上がり及びハイレベルからローレベルへの立ち下がりを繰り返す様子を示している。
すなわち、フリップフロップ回路DFは、クロック入力端子CKのレベルがハイレベルである場合には、ラッチ素子201の出力を選択する一方で、クロック入力端子CKのレベルがローレベルである場合には、ラッチ素子202の出力を選択し、セレクタ回路203におけるデータ出力端子Yから出力する。
この結果、フリップフロップ回路DFにおいては、データ列a,b,c,d,eがデータ入力端子Dに入力されると、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がり及び立ち下がりの双方のエッジにおいて、データ列a,b,c,d,eが順次切り替えられて出力されることになる。すなわち、フリップフロップ回路DFにおいては、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がり及び立ち下がりの双方のエッジにおいて、データの転送を行うことが可能となる。
ここで、LEDヘッド19においては、上述したように、隣接する駆動IC間で、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nと、当該駆動ICにおけるクロック入力端子CLKP,CLKNとの接続が入れ替わるが、これによる影響は、かかる接続が入れ替わった状態においては、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がり及び立ち下がりが変化することである。したがって、LEDヘッド19においては、フリップフロップ回路DFとして、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がり及び立ち下がりの双方のエッジにおいて動作可能な構成としていることから、支障なく動作させることができる。
なお、このようなLEDヘッド19における動作を、従来の回路動作と対比させると、図12に示すようになる。同図(a)には、従来における印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0とクロック信号HD−CLK(差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−N)とのタイミングを示し、同図(b)には、LEDヘッド19における印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0とクロック信号HD−CLKとのタイミングを示している。
まず、従来においては、同図(a)に示すように、フリップフロップ回路に入力されるクロック信号HD−CLKの立ち下がりエッジにおいて、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0がシフトされる。すなわち、従来においては、クロック信号HD−CLKの周期がTであるものとすると、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0が最も頻繁に変化するとしても、その周期は高々2Tとなる。
これに対して、LEDヘッド19においては、同図(b)に示すように、フリップフロップ回路DFに入力されるクロック信号HD−CLKの立ち上がり及び立ち下がりの双方のエッジにおいて、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0がシフトされる。したがって、LEDヘッド19においては、クロック信号HD−CLKのハイレベルのパルス幅とローレベルとのパルス幅がともにT1(=T/2)であるものとすると、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0が最も頻繁に変化するとしても、その周期は高々T1となる。すなわち、LEDヘッド19においては、従来に比べて2倍のレートでデータ転送を行うことができる。
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態として示す印刷装置のLEDヘッド19においては、プリント配線基板100上で差動クロック信号線101P,101Nを交差させることなく同一面上、すなわち、同一配線層上に配設することができ、回路図上では隣接する駆動IC毎に1対の差動クロック信号線101P,101Nが交互に交差する回路を実現することができる。このとき、LEDヘッド19においては、回路図上で隣接する駆動IC毎に差動クロック信号線101P,101Nが交互に交差するにもかかわらず、それによる動作タイミングの差異は表面化せず、各駆動IC毎に差動クロック信号線101P,101Nの交差による影響を補正する回路を設ける必要がない。
また、LEDヘッド19においては、差動クロック信号線101P,101Nを、所定の特性インピーダンスが得られるように等間隔で配設することができ、駆動ICの設計上又は製造上のばらつきによって2つのクロック入力端子CLKP,CLKNにおける静電容量が微妙に異なる場合であっても、各差動クロック信号線101P,101Nには、同数のクロック入力端子CLKP,CLKNが接続されることから、各差動クロック信号線101P,101Nにおける負荷容量の差異は平均化され、実質的に無視しうる程度に小さくなる。これにより、LEDヘッド19においては、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−N間で立ち上がり時間や立ち下がり時間が相違してシフトレジスタ回路の動作周波数を上げることができないといった事態を回避することができる。したがって、LEDヘッド19においては、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの信号品質を向上させることができ、データ転送時における信頼性を向上させることができる。
さらに、LEDヘッド19においては、従来において設置が不可避であったセレクト端子を設ける必要がないことから、プリント配線基板100上の配線領域を削減することができるとともに、ボンディングワイヤ数も削減することができ、プリント配線基板100の小型化を図ることができ、これにともない低コスト化も図ることができる。
さらにまた、LEDヘッド19においては、従来に比べて差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの周波数を実質的に1/2倍にまで低下することができることから、電磁放射の影響も抑制することができる。
以下、クロック信号を小振幅化して1対の差動信号として構成する場合の利点について説明する。
一般に、プリント配線基板上に形成された信号線の配線が論理変化する場合には、当該信号線の各部に高周波電流を生じることから、外部空間に電磁放射が生じる。このような電磁放射は、当該プリント配線基板の周辺に配置されたラジオやテレビ等の受信装置による電波受信の妨害を与えることがあり、いわゆるEMC(ElectroMagnetic Compatibility)問題として周知である。例えば、EMC技術について記載された"C. R. Paul., 「Introduction to Electromagnetic Compatibility」(邦訳「EMC概論」)"には、かかる現象について、以下のように解説されている。
図13(a)に、時間的に変化する信号Vs(t)を発生する信号源に負荷が接続され、両者を接続する信号線を介してループが形成される場合のモデル回路を示す。なお、信号線に流れる高周波電流をIとし、信号源、信号線及び負荷によって形成されるループの面積をSとしている。ここで、信号源によって発生される信号Vs(t)は、同図(b)に示すように、周期T、パルス幅Tw、立ち上がり時間Tr、立ち下がり時間Tf、振幅Amの台形波で近似される繰り返し波形からなるクロック波形を呈するものとする。
ここで、同図(c)に、線状アンテナの理論から得られた電流Iによって放射される電磁波の電界強度を示す。同図において、横軸は周波数fを示し、縦軸は外部に放射される電界Eを電流Iで正規化したものを示しており、両対数グラフとして表示したものである。同図から、信号源の周波数が増加するのにともない、これに起因して発生する放射電界強度が増加し、周波数が10倍になる毎に電界強度が40dB(40dB/decade)増加し、周波数が2倍になる毎に電界強度が6dBずつ(6dB/octave)増加する特性となることがわかる。
また、同図(d)に、同図(b)に示す波形の周波数スペクトルとして、周期Tを有する基本周波数1/Tの高調波スペクトルが作る包絡線の概略を示す。同図において、縦軸は電流Iに相当する。同図から、低周波領域から周波数が1/(πTw)までの周波数領域Aにおいては、高調波成分の数が少ないことから周波数特性が平坦に近似され、周波数が1/(πTw)から1/(πTr)までの周波数領域Bにおいては、周波数の増加に対して−20dB/decadeの割合で高周波電流成分が減少していることがわかる。また、同図から、周波数が1/(πTr)以上となる周波数領域Cにおいては、周波数の増加に対して−40dB/decadeの割合で高周波電流成分が減少していることがわかる。すなわち、この高周波領域における周波数スペクトルを減少させるためには、信号波形の立ち上がり時間及び立ち下がり時間を大きくする、すなわち、信号周期を増加することが有効であることがわかる。
さらに、同図(e)に、同図(b)に示す波形によって外部に放射される電界強度を示す。このグラフは、同図(c)に示すグラフと同図(d)に示すグラフとを加算することによって得られる。同図から、低周波領域から周波数が1/(πTw)までの周波数領域Aにおいては、周波数の増加に対して+40dB/decadeの割合で電界強度が増加し、周波数が1/(πTw)から1/(πTr)までの周波数領域Bにおいては、周波数の増加に対して+20dB/decadeの割合で電界強度が増加し、さらに、周波数が1/(πTr)以上となる周波数領域Cにおいては、周波数によらず電界強度が一定レベルとなることがわかる。
このように、周波数の増加や信号振幅の増大により、EMI(Electro Magnetic Interference)ノイズレベルが著しく増加してしまうことは、定量的にも明らかである。
これに対して、LEDヘッド19においては、信号振幅を小さくしたり、信号波形の立ち上がり時間及び立ち下がり時間を大きくして信号周期を増加したりすることなく、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの周波数を実質的に低下することができることから、データ処理能力を低下させることなく電磁放射の影響を抑制することができる。
つぎに、第2の実施の形態として示す印刷装置について説明する。
この第2の実施の形態として示す印刷装置は、第1の実施の形態として示した印刷装置における駆動ICに、クロック信号の入力毎に互いに重なり合わない2相クロック信号を生成する相変換回路を設けたものである。したがって、この第2の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
第2の実施の形態として示す印刷装置においては、LEDヘッド19として、図14に示すような内部構成のものを用いる。すなわち、LEDヘッド19において、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26は、それぞれ、上述したクロック入力回路151、ラッチ回路153、インバータ回路154、論理積回路155、LED駆動回路156、及び制御電圧発生回路157の他、上述したシフトレジスタ回路152とは構成が異なるシフトレジスタ回路301と、相変換回路302とを有する。
このようなLEDヘッド19において、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26におけるシフトレジスタ回路301は、上述したシフトレジスタ回路152と同様に、48個×4組=192個のフリップフロップ回路からなり、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0を、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nに同期させてシフト入力し、24パルスのクロック入力によって192ドット分の印字データ信号を転送する。
具体的には、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26は、それぞれ、図15に示すように、カスケード接続された48個のフリップフロップ回路EFA1,EFA2,・・・,EFA48と、カスケード接続された48個のフリップフロップ回路EFB1,EFB2,・・・,EFB48と、カスケード接続された48個のフリップフロップ回路EFC1,EFC2,・・・,EFC48と、カスケード接続された48個のフリップフロップ回路EFD1,EFD2,・・・,EFD48とを有する。
フリップフロップ回路EFA1,・・・,EFA48,EFB1,・・・,EFB48,EFC1,・・・,EFC48,EFD1,・・・,EFD48は、それぞれ、上述したフリップフロップ回路DFA1,・・・,DFA48,DFB1,・・・,DFB48,DFC1,・・・,DFC48,DFD1,・・・,DFD48と同様に、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がり及び立ち下がりの双方のエッジに基づいて動作し、データの転送を行うことが可能に構成される。フリップフロップ回路EFA1のデータ入力端子Dは、当該駆動ICのデータ入力端子DATAI0に接続され、フリップフロップ回路EFA48からの出力は、当該駆動ICのデータ出力端子DATAO0に接続されている。同様に、フリップフロップ回路EFB1,EFC1,EFD1のデータ入力端子Dは、それぞれ、当該駆動ICのデータ入力端子DATAI1,DATAI2,DATAI3に接続され、フリップフロップ回路EFB48,EFC48,EFD48からの出力は、それぞれ、当該駆動ICのデータ出力端子DATAO1,DATAO2,DATAO3に接続されている。したがって、フリップフロップ回路EFA1,・・・,EFA48,EFB1,・・・,EFB48,EFC1,・・・,EFC48,EFD1,・・・,EFD48は、それぞれ、48段のシフトレジスタ回路を構成している。
駆動IC DRVmのデータ出力端子DATAO0,・・・,DATAO3は、それぞれ、次段の駆動IC DRVm+1のデータ入力端子DATAI0,・・・,DATAI3に接続されている。したがって、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26におけるフリップフロップ回路EFA1,・・・,EFA48は、それぞれ、印刷制御部1から1段目の駆動IC DRV1に入力される印字データ信号HD−DATA3を、差動クロック信号HD−CLK−Pに同期させてシフトさせる48×26段のシフトレジスタ回路を構成している。同様に、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26におけるフリップフロップ回路EFB1,・・・,EFB48,EFC1,・・・,EFC48,EFD1,・・・,EFD48は、それぞれ、印刷制御部1から1段目の駆動IC DRV1に入力される印字データ信号HD−DATA2,HD−DATA1,HD−DATA0を、差動クロック信号HD−CLK−Pに同期させてシフトさせる48×26段のシフトレジスタ回路を構成している。
このように、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26は、それぞれ、4ビットパラレル入力のシフトレジスタ回路を設け、1回のクロックにおいて隣接する4画素分のデータを一括して転送する構成とすることにより、データ転送のクロック周波数、すなわち、差動クロック信号HD−CLKの周波数を低減することができる。
このような駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26において、従来との際だった相違は、これら駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26において奇数段目又は偶数段目であることを指示するためのセレクト端子が設けられていないことである。
かかる駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26は、先に図7に示したように、LEDアレイチップCHP1,CHP2,CHP3,・・・及びプリント配線基板100とボンディングワイヤによって接続される。
したがって、LEDヘッド19においては、上述したように、現実には差動クロック信号線101P,101Nを交差させることなく、先に図14に示したように、回路図上では隣接する駆動IC毎に1対の差動クロック信号線101P,101Nが交互に交差する回路が実現される。
LEDヘッド19においては、上述したように、隣接する駆動IC間で、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nと、当該駆動ICにおけるクロック入力端子CLKP,CLKNとの接続を入れ替えることにより、駆動ICの設計上又は製造上のばらつきによって2つのクロック入力端子CLKP,CLKNにおける静電容量が微妙に異なる場合であっても、各差動クロック信号線101P,101Nには、同数のクロック入力端子CLKP,CLKNが接続されることから、各差動クロック信号線101P,101Nにおける負荷容量の差異は平均化され、実質的に無視しうる程度に小さくなる。これは、いわゆるツイステッド・ペア配線に類似する構成であることから、差動信号の対称性の観点から好ましい特質である。
さて、このようなLEDヘッド19においては、以下に示す構成及び動作からなるフリップフロップ回路及び相変換回路を有することにより、従来において、隣接する駆動IC間で、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nと、当該駆動ICにおけるクロック入力端子CLKP,CLKNとの接続が入れ替わることによって正論理状態と負論理状態とが反転してしまうのを再度論理反転させて本来の動作論理へと戻すために設置が不可避であったセレクト端子を設ける必要がなくなる。
図16に、上述したフリップフロップ回路の構成を示す回路図を、その回路シンボルと対比させて示す。同図(a)は、回路シンボルであり、先に図15に示したフリップフロップ回路EFA1,・・・,EFA48,EFB1,・・・,EFB48,EFC1,・・・,EFC48,EFD1,・・・,EFD48に対応するものである。また、同図(b)には、その内部構成を示している。
すなわち、フリップフロップ回路EFは、7つのNチャネルMOSトランジスタ351,352,353,354,359,361,363と、7つのPチャネルMOSトランジスタ355,356,357,358,360,362,364とから構成される。
このうち、NチャネルMOSトランジスタ351のソース端子は、PチャネルMOSトランジスタ355のドレイン端子に接続され、NチャネルMOSトランジスタ352のソース端子は、PチャネルMOSトランジスタ356のドレイン端子に接続され、NチャネルMOSトランジスタ353のソース端子は、PチャネルMOSトランジスタ357のドレイン端子に接続され、NチャネルMOSトランジスタ354のソース端子は、PチャネルMOSトランジスタ358のドレイン端子に接続される。すなわち、NチャネルMOSトランジスタ351とPチャネルMOSトランジスタ355、NチャネルMOSトランジスタ352とPチャネルMOSトランジスタ356、NチャネルMOSトランジスタ353とPチャネルMOSトランジスタ357、及びNチャネルMOSトランジスタ354とPチャネルMOSトランジスタ358は、それぞれ、トランスミッションゲートを構成している。
また、NチャネルMOSトランジスタ359とPチャネルMOSトランジスタ360、NチャネルMOSトランジスタ361とPチャネルMOSトランジスタ362、及びNチャネルMOSトランジスタ363とPチャネルMOSトランジスタ364は、それぞれ、インバータを構成している。
そして、NチャネルMOSトランジスタ351とPチャネルMOSトランジスタ355とによって構成されるトランスミッションゲートの入力、及びNチャネルMOSトランジスタ353とPチャネルMOSトランジスタ357とによって構成されるトランスミッションゲートの入力は、それぞれ、同図(a)に示すデータ入力端子Dに接続される。
また、NチャネルMOSトランジスタ351とPチャネルMOSトランジスタ355とによって構成されるトランスミッションゲートの出力は、NチャネルMOSトランジスタ359とPチャネルMOSトランジスタ360とによって構成されるインバータの入力に接続され、NチャネルMOSトランジスタ353とPチャネルMOSトランジスタ357とによって構成されるトランスミッションゲートの出力は、NチャネルMOSトランジスタ361とPチャネルMOSトランジスタ362とによって構成されるインバータの入力に接続される。
さらに、NチャネルMOSトランジスタ359とPチャネルMOSトランジスタ360とによって構成されるインバータの出力は、NチャネルMOSトランジスタ352とPチャネルMOSトランジスタ356とによって構成されるトランスミッションゲートの入力に接続され、NチャネルMOSトランジスタ361とPチャネルMOSトランジスタ362とによって構成されるインバータの出力は、NチャネルMOSトランジスタ354とPチャネルMOSトランジスタ358とによって構成されるトランスミッションゲートの入力に接続される。
さらにまた、NチャネルMOSトランジスタ352とPチャネルMOSトランジスタ356とによって構成されるトランスミッションゲートの出力と、NチャネルMOSトランジスタ354とPチャネルMOSトランジスタ358とによって構成されるトランスミッションゲートの出力とは、互いにワイヤードオア接続され、NチャネルMOSトランジスタ363とPチャネルMOSトランジスタ364とによって構成されるインバータの入力に接続される。そして、NチャネルMOSトランジスタ363とPチャネルMOSトランジスタ364とによって構成されるインバータの出力は、同図(a)に示すデータ出力端子Qに接続される。
このようなフリップフロップ回路EFは、後述する相変換回路302から出力される非重複2相クロック信号φ1,φ2を入力し、後述するタイミングにしたがって動作する。なお、同図に示すφ1N,φ2Nは、それぞれ、図示しない論理反転回路によって2相クロック信号φ1,φ2を論理反転させたコンプリメント信号である。
一方、相変換回路302は、図17に示すように、インバータ370と、2つの否定論理和回路371,372と、2つのバッファ回路373,374とから構成される。
このような相変換回路302において、クロック入力端子CKに入力される差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nは、否定論理和回路372における一方の入力端子に入力されるとともに、インバータ370における入力端子に入力される。また、インバータ370の出力は、否定論理和回路371における一方の入力端子に入力される。
さらに、否定論理和回路372の出力は、バッファ回路373に入力される一方で、否定論理和回路371の出力は、バッファ回路374に入力される。そして、バッファ回路373の出力は、2相クロック信号のうち一方のクロック信号φ2としてフリップフロップ回路EFに出力されるとともに、否定論理和回路371における他方の入力端子に入力される。また、バッファ回路374の出力は、2相クロック信号のうち他方のクロック信号φ1としてフリップフロップ回路EFに出力されるとともに、否定論理和回路372における他方の入力端子に入力される。
このような相変換回路302は、図18に示すようなタイミングにしたがって動作する。なお、同図1段目には、クロック入力端子CKに入力される差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの信号波形を示し、同図2段目には、インバータ370から出力される信号波形を示し、同図3段目には、否定論理和回路372から出力される信号波形を示し、同図4段目には、2相クロック信号φ2の信号波形を示し、同図5段目には、否定論理和回路371から出力される信号波形を示し、同図6段目には、2相クロック信号φ1の信号波形を示している。
まず、相変換回路302においては、クロック入力端子CKに差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nが入力されると、インバータ370によって論理反転されたクロック信号CK1が発生される。したがって、相変換回路302においては、クロック入力端子CKのレベルがハイレベルである場合には、否定論理和回路372からローレベルの信号NOR2が出力され、これを入力したバッファ回路373の出力である2相クロック信号φ2もローレベルとなる。このとき、相変換回路302においては、インバータ370から出力されるクロック信号CK1がハイレベルからローレベルへと遷移し、このクロック信号CK1が否定論理和回路371に入力されることになる。また、相変換回路302においては、2相クロック信号φ2が否定論理和回路371に入力されることから、当該2相クロック信号φ2がローレベルとなるのを待った上で、否定論理和回路371からハイレベルの信号NOR1が出力される。そして、相変換回路302においては、否定論理和回路371から出力される信号NOR1がバッファ回路374に入力され、2相クロック信号φ1がローレベルからハイレベルへと遷移する。
続いて、相変換回路302においては、クロック入力端子CKのレベルがハイレベルからローレベルへと遷移すると、インバータ370によって論理反転されたハイレベルのクロック信号CK1が発生される。これにより、相変換回路302においては、否定論理和回路371から出力される信号NOR1がハイレベルからローレベルへと遷移し、これを入力したバッファ回路374の出力である2相クロック信号φ1がハイレベルからローレベルへと遷移する。このとき、相変換回路302においては、先にローレベルへと遷移した差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nが否定論理和回路372における一方の入力端子に入力されることから、他方の入力端子に入力されるハイレベルの2相クロック信号φ1がローレベルへと遷移するのに応じて、当該否定論理和回路372から出力される信号NOR2がハイレベルに変化し、これを入力したバッファ回路373の出力である2相クロック信号φ2もハイレベルとなる。
相変換回路302においては、このような動作を行うことにより、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの入力毎に、互いに重なり合わない2相クロック信号φ1,φ2を生成することになる。ここで、これら2相クロック信号φ1,φ2のパルス幅Tw1,Tw2は、インバータ370による遅延時間の影響を反映して、僅かに異なるものとなっている。また、同図においては、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がりタイミング及び立ち下がりタイミングを縦方向の破線で示し、これら差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がり及び立ち下がりのエッジから2相クロック信号φ1,φ2が出力されるまでの遅延時間を、それぞれ、Td1,Td2として示しているが、これら遅延時間Td1,Td2もまた、インバータ370による遅延時間の影響を反映して、僅かに異なるものとなっている。
一方、このような動作を行う相変換回路302から出力される2相クロック信号φ1,φ2を入力するフリップフロップ回路EFは、図19に示すようなタイミングにしたがって動作する。
なお、同図1段目には、図16(a)に示したデータ入力端子Dにおける信号波形を示し、同図2段目には、相変換回路302のクロック入力端子CKにおける信号波形を示し、同図14段目には、図16(a)に示したデータ出力端子Qにおける信号波形を示している。そして、同図には、a,b,c,d,eからなるデータ列がデータ入力端子Dに入力され、それぞれのデータ入力に同期してクロック信号CK(差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−N)が、ローレベルからハイレベルへの立ち上がり及びハイレベルからローレベルへの立ち下がりを繰り返す様子を示している。
また、同図3段目には、相変換回路302から出力される2相クロック信号φ1の信号波形を示し、同図4段目には、相変換回路302から出力される2相クロック信号φ2の信号波形を示し、同図5段目には、2相クロック信号φ1を論理反転させたコンプリメント信号φ1Nの信号波形を示し、同図6段目には、2相クロック信号φ2を論理反転させたコンプリメント信号φ2Nの信号波形を示している。
さらに、同図7段目乃至同図13段目には、図16に示した各トランスミッションゲート及びインバータから出力される信号波形を示している。すなわち、同図7段目には、NチャネルMOSトランジスタ351とPチャネルMOSトランジスタ355とによって構成されるトランスミッションゲートから出力される信号D1Aの信号波形を示し、同図8段目には、NチャネルMOSトランジスタ359とPチャネルMOSトランジスタ360とによって構成されるインバータから出力される信号D1Bの信号波形を示し、同図9段目には、NチャネルMOSトランジスタ352とPチャネルMOSトランジスタ356とによって構成されるトランスミッションゲートから出力される信号D1Cの信号波形を示し、同図10段目には、NチャネルMOSトランジスタ353とPチャネルMOSトランジスタ357とによって構成されるトランスミッションゲートから出力される信号D0Aの信号波形を示し、同図11段目には、NチャネルMOSトランジスタ361とPチャネルMOSトランジスタ362とによって構成されるインバータから出力される信号D0Bの信号波形を示し、同図12段目には、NチャネルMOSトランジスタ354とPチャネルMOSトランジスタ358とによって構成されるトランスミッションゲートから出力される信号D0Cの信号波形を示している。なお、実際には、信号D1C,D0Cは、上述したように、ワイヤードオア接続されるが、ここでは便宜上区別している。また、同図13段目には、NチャネルMOSトランジスタ363とPチャネルMOSトランジスタ364とによって構成されるインバータに入力されるワイヤードオア接続後の信号DCの信号波形を示している。
まず、フリップフロップ回路EFにおいては、a,b,c,d,eからなるデータ列がデータ入力端子Dに入力され、これに同期してクロック信号CKのレベルが遷移する。このとき、フリップフロップ回路EFにおいては、2相クロック信号φ1,φ2及びコンプリメント信号φ1N,φ2Nが入力される。
ここで、フリップフロップ回路EFにおいては、クロック信号CKがローレベルである場合に、データ入力端子Dにデータaが与えられると、2相クロック信号φ2がアクティブであることから、NチャネルMOSトランジスタ351とPチャネルMOSトランジスタ355とによって構成されるトランスミッションゲートの出力にはデータaが伝達され、この信号がNチャネルMOSトランジスタ359とPチャネルMOSトランジスタ360とによって構成されるインバータによって論理反転されることから、信号D1Bとして、データaが出力されることになる。なお、図19においては、信号D1Bの信号波形中に単に"a"と記載されているが、正確には信号D1Aとしてのデータaを論理反転したものであり、以下の説明においても同様に信号D1Aとしてのデータを論理反転したものを示している。
続いて、フリップフロップ回路EFにおいては、クロック信号CKがハイレベルとなると、2相クロック信号φ2がローレベルとなり、さらに、2相クロック信号φ1がハイレベルに変化する。フリップフロップ回路EFにおいては、2相クロック信号φ2がローレベルとなると、NチャネルMOSトランジスタ351とPチャネルMOSトランジスタ355とによって構成されるトランスミッションゲートがオフ状態となるが、その出力や次段のインバータの入力に静電容量成分があることから、これに蓄電された電荷により、当該トランスミッションゲートが以前に出力された電位レベルを維持することになる。なお、図19においては、かかる状態を信号波形中に一点鎖線で示しており、信号がハイインピーダンス状態にあり、それ以前に出力された電位レベルを蓄積電荷によって保持していることを示している。
このように、フリップフロップ回路EFにおいては、a,b,c,d,eからなるデータ列がデータ入力端子Dに入力された場合には、信号D1A,D1Bとしても、a,b,c,d,eからなるデータ列が得られることになる。
同様に、フリップフロップ回路EFにおいては、2相クロック信号φ1がハイレベルである場合に、NチャネルMOSトランジスタ353とPチャネルMOSトランジスタ357とによって構成されるトランスミッションゲートがオン状態となり、データ入力端子Dに入力されたa,b,c,d,eからなるデータ列を次段へと伝達する。そして、フリップフロップ回路EFにおいては、2相クロック信号φ1がローレベルとなると、NチャネルMOSトランジスタ353とPチャネルMOSトランジスタ357とによって構成されるトランスミッションゲートがオフ状態となるが、その出力や次段のインバータの入力に静電容量成分があることから、これに蓄電された電荷により、当該トランスミッションゲートが以前に出力された電位レベルを維持することになる。
このように、フリップフロップ回路EFにおいては、a,b,c,d,eからなるデータ列がデータ入力端子Dに入力された場合には、信号D1A,D1Bとはタイミングが異なるものの、信号D0A,D0Bとして、a,b,c,d,eからなるデータ列が得られることになる。
ここで、図19から明らかなように、信号D1C,D0Cは、同時にアクティブとなることはなく、一方がアクティブである場合には、他方がハイインピーダンス状態による電荷蓄積状態となる。したがって、フリップフロップ回路EFにおいては、これら信号D1C,D0Cをワイヤードオア接続して得られる信号DCとして、クロック信号CKに同期するa,b,c,d,eからなるデータ列が発生されることになる。フリップフロップ回路EFにおいては、この信号DCが、NチャネルMOSトランジスタ363とPチャネルMOSトランジスタ364とによって構成されるインバータによって論理反転されることから、データ入力端子Dに入力されたa,b,c,d,eからなるデータ列と論理が同じとされるa,b,c,d,eからなるデータ列が得られることになる。
このように、フリップフロップ回路EFにおいては、データ列a,b,c,d,eがデータ入力端子Dに入力されると、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がり及び立ち下がりの双方のエッジにおいて、データ列a,b,c,d,eが順次切り替えられて出力される。すなわち、フリップフロップ回路EFにおいては、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がり及び立ち下がりの双方のエッジにおいて、データの転送を行うことが可能となる。
このとき、LEDヘッド19においては、上述したように、隣接する駆動IC間で、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nと、当該駆動ICにおけるクロック入力端子CLKP,CLKNとの接続が入れ替わるが、これによる影響は、かかる接続が入れ替わった状態においては、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がり及び立ち下がりが変化することである。したがって、LEDヘッド19においては、フリップフロップ回路EFとして、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がり及び立ち下がりの双方のエッジにおいて動作可能な構成としていることから、支障なく動作させることができる。
なお、このようなLEDヘッド19における動作を、従来の回路動作と対比させると、先に図12に示したものと同様となる。
すなわち、従来においては、クロック信号HD−CLKの周期がTであるものとすると、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0が最も頻繁に変化するとしても、その周期は高々2Tとなるのに対して、LEDヘッド19においては、クロック信号HD−CLKのハイレベルのパルス幅とローレベルとのパルス幅がともにT1(=T/2)であるものとすると、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0が最も頻繁に変化するとしても、その周期は高々T1となる。すなわち、LEDヘッド19においては、従来に比べて2倍のレートでデータ転送を行うことができる。
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態として示す印刷装置のLEDヘッド19においては、プリント配線基板100上で差動クロック信号線101P,101Nを交差させることなく同一面上、すなわち、同一配線層上に配設することができ、回路図上では隣接する駆動IC毎に1対の差動クロック信号線101P,101Nが交互に交差する回路を実現することができる。このとき、LEDヘッド19においては、回路図上で隣接する駆動IC毎に差動クロック信号線101P,101Nが交互に交差するにもかかわらず、それによる動作タイミングの差異は表面化せず、各駆動IC毎に差動クロック信号線101P,101Nの交差による影響を補正する回路を設ける必要がない。
また、LEDヘッド19においては、差動クロック信号線101P,101Nを、所定の特性インピーダンスが得られるように等間隔で配設することができ、駆動ICの設計上又は製造上のばらつきによって2つのクロック入力端子CLKP,CLKNにおける静電容量が微妙に異なる場合であっても、各差動クロック信号線101P,101Nには、同数のクロック入力端子CLKP,CLKNが接続されることから、各差動クロック信号線101P,101Nにおける負荷容量の差異は平均化され、実質的に無視しうる程度に小さくなる。これにより、LEDヘッド19においては、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−N間で立ち上がり時間や立ち下がり時間が相違してシフトレジスタ回路の動作周波数を上げることができないといった事態を回避することができる。したがって、LEDヘッド19においては、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの信号品質を向上させることができ、データ転送時における信頼性を向上させることができる。
さらに、LEDヘッド19においては、従来において設置が不可避であったセレクト端子を設ける必要がないことから、プリント配線基板100上の配線領域を削減することができるとともに、ボンディングワイヤ数も削減することができ、プリント配線基板100の小型化を図ることができ、これにともない低コスト化も図ることができる。
さらにまた、LEDヘッド19においては、NチャネルMOSトランジスタ及びPチャネルMOSトランジスタを組み合わせて構成したトランスミッションゲート及びインバータからなるフリップフロップ回路EFと、相変換回路302とを有することにより、フリップフロップ回路EFとして、第1の実施の形態として示したフリップフロップ回路DFのようにセレクタ回路を設ける必要がないことから、駆動ICのチップサイズをさらに削減可能であり、さらなる低コスト化を図ることができる。
また、LEDヘッド19においては、従来に比べて差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの周波数を実質的に1/2倍にまで低下することができることから、電磁放射の影響も抑制することができる。
つぎに、第3の実施の形態として示す印刷装置について説明する。
この第3の実施の形態として示す印刷装置は、第2の実施の形態として示した印刷装置におけるフリップフロップ回路EFを異なる構成としたものである。したがって、この第3の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態及び第2の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
第3の実施の形態として示す印刷装置においては、LEDヘッド19に設けるシフトレジスタ回路を構成するフリップフロップ回路EFとして、図20に示すようなものを用いる。同図(a)は、回路シンボルであり、先に図15に示したフリップフロップ回路EFA1,・・・,EFA48,EFB1,・・・,EFB48,EFC1,・・・,EFC48,EFD1,・・・,EFD48に対応するものである。また、同図(b)には、その内部構成を示している。
すなわち、フリップフロップ回路EFは、8つのNチャネルMOSトランジスタ401,402,403,404,405,406,407,408と、8つのPチャネルMOSトランジスタ409,410,411,412,413,414,415,416とから構成される。
このうち、NチャネルMOSトランジスタ401,402とPチャネルMOSトランジスタ409,410、NチャネルMOSトランジスタ405,406とPチャネルMOSトランジスタ413,414、NチャネルMOSトランジスタ403,404とPチャネルMOSトランジスタ411,412、及びNチャネルMOSトランジスタ407,408とPチャネルMOSトランジスタ415,416は、それぞれ、クロックドCMOSインバータを構成している。
そして、NチャネルMOSトランジスタ401,405及びPチャネルMOSトランジスタ410,414のゲート端子は、それぞれ、同図(a)に示すデータ入力端子Dに接続される。また、PチャネルMOSトランジスタ409のゲート端子には、相変換回路302から出力される2相クロック信号φ2を図示しない論理反転回路によって論理反転させたコンプリメント信号φ2Nが入力されるとともに、NチャネルMOSトランジスタ402のゲート端子には、相変換回路302から出力される2相クロック信号φ2が入力される。同様に、PチャネルMOSトランジスタ413のゲート端子には、相変換回路302から出力される2相クロック信号φ1を図示しない論理反転回路によって論理反転させたコンプリメント信号φ1Nが入力されるとともに、NチャネルMOSトランジスタ406のゲート端子には、相変換回路302から出力される2相クロック信号φ1が入力される。
また、NチャネルMOSトランジスタ403及びPチャネルMOSトランジスタ412のゲート端子には、NチャネルMOSトランジスタ401,402とPチャネルMOSトランジスタ409,410とによって構成されるクロックドCMOSインバータから出力される信号D1Bが入力され、NチャネルMOSトランジスタ407及びPチャネルMOSトランジスタ416のゲート端子には、NチャネルMOSトランジスタ405,406とPチャネルMOSトランジスタ413,414とによって構成されるクロックドCMOSインバータから出力される信号D0Bが入力される。
さらに、PチャネルMOSトランジスタ411のゲート端子には、コンプリメント信号φ1Nが入力されるとともに、NチャネルMOSトランジスタ404のゲート端子には、2相クロック信号φ1が入力され、PチャネルMOSトランジスタ415のゲート端子には、コンプリメント信号φ2Nが入力されるとともに、NチャネルMOSトランジスタ408のゲート端子には、2相クロック信号φ2が入力される。
そして、NチャネルMOSトランジスタ403,404とPチャネルMOSトランジスタ411,412とによって構成されるクロックドCMOSインバータから出力される信号D1Cと、NチャネルMOSトランジスタ407,408とPチャネルMOSトランジスタ415,416とによって構成されるクロックドCMOSインバータから出力される信号D0Cとは、互いにワイヤードオア接続され、同図(a)に示すデータ出力端子Qに入力される。
このようなフリップフロップ回路EFは、相変換回路302から出力される非重複2相クロック信号φ1,φ2を入力し、図21に示すようなタイミングにしたがって動作する。
なお、同図1段目には、図20(a)に示したデータ入力端子Dにおける信号波形を示し、同図2段目には、相変換回路302のクロック入力端子CKにおける信号波形を示し、同図11段目には、図20(a)に示したデータ出力端子Qにおける信号波形を示している。そして、同図には、a,b,c,d,eからなるデータ列がデータ入力端子Dに入力され、それぞれのデータ入力に同期してクロック信号CK(差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−N)が、ローレベルからハイレベルへの立ち上がり及びハイレベルからローレベルへの立ち下がりを繰り返す様子を示している。
また、同図3段目には、相変換回路302から出力される2相クロック信号φ1の信号波形を示し、同図4段目には、相変換回路302から出力される2相クロック信号φ2の信号波形を示し、同図5段目には、2相クロック信号φ1を論理反転させたコンプリメント信号φ1Nの信号波形を示し、同図6段目には、2相クロック信号φ2を論理反転させたコンプリメント信号φ2Nの信号波形を示している。
さらに、同図7段目乃至同図10段目には、図20に示した各クロックドCMOSインバータから出力される信号波形を示している。すなわち、同図7段目には、NチャネルMOSトランジスタ401,402とPチャネルMOSトランジスタ409,410とによって構成されるクロックドCMOSインバータから出力される信号D1Bの信号波形を示し、同図8段目には、NチャネルMOSトランジスタ403,404とPチャネルMOSトランジスタ411,412とによって構成されるクロックドCMOSインバータから出力される信号D1Cの信号波形を示し、同図9段目には、NチャネルMOSトランジスタ405,406とPチャネルMOSトランジスタ413,414とによって構成されるクロックドCMOSインバータから出力される信号D0Bの信号波形を示し、同図10段目には、NチャネルMOSトランジスタ407,408とPチャネルMOSトランジスタ415,416とによって構成されるクロックドCMOSインバータから出力される信号D0Cの信号波形を示している。なお、実際には、信号D1C,D0Cは、上述したように、ワイヤードオア接続されるが、ここでは便宜上区別している。
まず、フリップフロップ回路EFにおいては、a,b,c,d,eからなるデータ列がデータ入力端子Dに入力され、これに同期してクロック信号CKのレベルが遷移する。このとき、フリップフロップ回路EFにおいては、2相クロック信号φ1,φ2及びコンプリメント信号φ1N,φ2Nが入力される。
ここで、フリップフロップ回路EFにおいては、クロック信号CKがローレベルである場合に、データ入力端子Dにデータaが与えられると、2相クロック信号φ2がアクティブであることから、NチャネルMOSトランジスタ401,402とPチャネルMOSトランジスタ409,410とによって構成されるクロックドCMOSインバータの出力にはデータaが伝達され、信号D1Bとして出力されることになる。なお、図21においては、信号D1Bの信号波形中に単に"a"と記載されているが、正確にはデータ入力端子Dに入力されたデータaを論理反転したものであり、以下の説明においても同様にデータ入力端子Dに入力された信号としてのデータを論理反転したものを示している。
続いて、フリップフロップ回路EFにおいては、クロック信号CKがハイレベルとなると、2相クロック信号φ2がローレベルとなり、さらに、2相クロック信号φ1がハイレベルに変化する。フリップフロップ回路EFにおいては、2相クロック信号φ2がローレベルとなると、NチャネルMOSトランジスタ401,402とPチャネルMOSトランジスタ409,410とによって構成されるクロックドCMOSインバータの出力がオフ状態となるが、その出力や次段のインバータの入力に静電容量成分があることから、これに蓄電された電荷により、当該クロックドCMOSインバータが以前に出力された電位レベルを維持することになる。なお、図21においては、かかる状態を信号波形中に一点鎖線で示しており、信号がハイインピーダンス状態にあり、それ以前に出力された電位レベルを蓄積電荷によって保持していることを示している。
このように、フリップフロップ回路EFにおいては、a,b,c,d,eからなるデータ列がデータ入力端子Dに入力された場合には、信号D1Bとしても、a,b,c,d,eからなるデータ列が得られることになる。
同様に、フリップフロップ回路EFにおいては、2相クロック信号φ1がハイレベルである場合に、NチャネルMOSトランジスタ405,406とPチャネルMOSトランジスタ413,414とによって構成されるクロックドCMOSインバータの出力がオン状態となり、データ入力端子Dに入力されたa,b,c,d,eからなるデータ列を次段へと伝達する。そして、フリップフロップ回路EFにおいては、2相クロック信号φ1がローレベルとなると、NチャネルMOSトランジスタ405,406とPチャネルMOSトランジスタ413,414とによって構成されるクロックドCMOSインバータの出力がオフ状態となるが、その出力や次段のインバータの入力に静電容量成分があることから、これに蓄電された電荷により、当該クロックドCMOSインバータが以前に出力された電位レベルを維持することになる。
このように、フリップフロップ回路EFにおいては、a,b,c,d,eからなるデータ列がデータ入力端子Dに入力された場合には、信号D1Bとはタイミングが異なるものの、信号D0Bとして、a,b,c,d,eからなるデータ列が得られることになる。
さらに、フリップフロップ回路EFにおいては、同様にして、NチャネルMOSトランジスタ403,404とPチャネルMOSトランジスタ411,412とによって構成されるクロックドCMOSインバータから出力される信号D1Cと、NチャネルMOSトランジスタ407,408とPチャネルMOSトランジスタ415,416とによって構成されるクロックドCMOSインバータから出力される信号D0Cとが得られる。
ここで、図21から明らかなように、信号D1C,D0Cは、同時にアクティブとなることはなく、一方がアクティブである場合には、他方がハイインピーダンス状態による電荷蓄積状態となる。したがって、フリップフロップ回路EFにおいては、これら信号D1C,D0Cをワイヤードオア接続して得られるデータ出力端子Qにおける信号として、クロック信号CKに同期するa,b,c,d,eからなるデータ列が発生されることになる。
このように、フリップフロップ回路EFにおいては、データ列a,b,c,d,eがデータ入力端子Dに入力されると、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がり及び立ち下がりの双方のエッジにおいて、データ列a,b,c,d,eが順次切り替えられて出力される。すなわち、フリップフロップ回路EFにおいては、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がり及び立ち下がりの双方のエッジにおいて、データの転送を行うことが可能となる。
このとき、LEDヘッド19においては、上述したように、隣接する駆動IC間で、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nと、当該駆動ICにおけるクロック入力端子CLKP,CLKNとの接続が入れ替わるが、これによる影響は、かかる接続が入れ替わった状態においては、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がり及び立ち下がりが変化することである。したがって、LEDヘッド19においては、フリップフロップ回路EFとして、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がり及び立ち下がりの双方のエッジにおいて動作可能な構成としていることから、支障なく動作させることができる。
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態として示す印刷装置のLEDヘッド19においては、プリント配線基板100上で差動クロック信号線101P,101Nを交差させることなく同一面上、すなわち、同一配線層上に配設することができ、回路図上では隣接する駆動IC毎に1対の差動クロック信号線101P,101Nが交互に交差する回路を実現することができる。このとき、LEDヘッド19においては、回路図上で隣接する駆動IC毎に差動クロック信号線101P,101Nが交互に交差するにもかかわらず、それによる動作タイミングの差異は表面化せず、各駆動IC毎に差動クロック信号線101P,101Nの交差による影響を補正する回路を設ける必要がない。
また、LEDヘッド19においては、差動クロック信号線101P,101Nを、所定の特性インピーダンスが得られるように等間隔で配設することができ、駆動ICの設計上又は製造上のばらつきによって2つのクロック入力端子CLKP,CLKNにおける静電容量が微妙に異なる場合であっても、各差動クロック信号線101P,101Nには、同数のクロック入力端子CLKP,CLKNが接続されることから、各差動クロック信号線101P,101Nにおける負荷容量の差異は平均化され、実質的に無視しうる程度に小さくなる。これにより、LEDヘッド19においては、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−N間で立ち上がり時間や立ち下がり時間が相違してシフトレジスタ回路の動作周波数を上げることができないといった事態を回避することができる。したがって、LEDヘッド19においては、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの信号品質を向上させることができ、データ転送時における信頼性を向上させることができる。
さらに、LEDヘッド19においては、従来において設置が不可避であったセレクト端子を設ける必要がないことから、プリント配線基板100上の配線領域を削減することができるとともに、ボンディングワイヤ数も削減することができ、プリント配線基板100の小型化を図ることができ、これにともない低コスト化も図ることができる。
さらにまた、LEDヘッド19においては、NチャネルMOSトランジスタ及びPチャネルMOSトランジスタを組み合わせて構成したクロックドCMOSインバータからなるフリップフロップ回路EFと、相変換回路302とを有することにより、フリップフロップ回路EFとして、第1の実施の形態として示したフリップフロップ回路DFのようにセレクタ回路を設ける必要がないことから、駆動ICのチップサイズをさらに削減可能であり、さらなる低コスト化を図ることができる。
さらにまた、LEDヘッド19においては、従来に比べて差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの周波数を実質的に1/2倍にまで低下することができることから、電磁放射の影響も抑制することができる。
つぎに、第4の実施の形態として示す印刷装置について説明する。
この第4の実施の形態として示す印刷装置は、第2の実施の形態又は第3の実施の形態として示した印刷装置における相変換回路302を異なる構成としたものである。したがって、この第4の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態乃至第3の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
第4の実施の形態として示す印刷装置においては、LEDヘッド19に設ける相変換回路302として、図22に示すようなものを用いる。
すなわち、相変換回路302は、上述したインバータ370、2つの否定論理和回路371,372、及び2つのバッファ回路373,374の他、否定論理和回路372の前段に、NチャネルMOSトランジスタ451及びPチャネルMOSトランジスタ452からなるトランスミッションゲートから構成される。このトランスミッションゲートにおいて、NチャネルMOSトランジスタ451のゲート端子には、電源電圧VDDが印加され、PチャネルMOSトランジスタ452のゲート端子は、グラウンドに接続される。
このような相変換回路302において、クロック入力端子CKに入力される差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nは、NチャネルMOSトランジスタ451及びPチャネルMOSトランジスタ452からなるトランスミッションゲートに入力されるとともに、インバータ370における入力端子に入力される。また、トランスミッションゲートの出力は、否定論理和回路372における一方の入力端子に入力され、インバータ370の出力は、否定論理和回路371における一方の入力端子に入力される。
さらに、否定論理和回路372の出力は、バッファ回路373に入力される一方で、否定論理和回路371の出力は、バッファ回路374に入力される。そして、バッファ回路373の出力は、2相クロック信号のうち一方のクロック信号φ2としてフリップフロップ回路EFに出力されるとともに、否定論理和回路371における他方の入力端子に入力される。また、バッファ回路374の出力は、2相クロック信号のうち他方のクロック信号φ1としてフリップフロップ回路EFに出力されるとともに、否定論理和回路372における他方の入力端子に入力される。
このような相変換回路302は、図23に示すようなタイミングにしたがって動作する。なお、同図1段目には、クロック入力端子CKに入力される差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの信号波形を示し、同図2段目には、トランスミッションゲートから出力される信号波形を示し、同図3段目には、インバータ370から出力される信号波形を示し、同図4段目には、否定論理和回路372から出力される信号波形を示し、同図5段目には、2相クロック信号φ2の信号波形を示し、同図6段目には、否定論理和回路371から出力される信号波形を示し、同図7段目には、2相クロック信号φ1の信号波形を示している。
まず、相変換回路302においては、クロック入力端子CKに差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nが入力されると、インバータ370によって論理反転されたクロック信号CK1が発生される。したがって、相変換回路302においては、クロック入力端子CKのレベルがハイレベルである場合には、否定論理和回路372からローレベルの信号NOR2が出力され、これを入力したバッファ回路373の出力である2相クロック信号φ2もローレベルとなる。このとき、相変換回路302においては、インバータ370から出力されるクロック信号CK1がハイレベルからローレベルへと遷移し、このクロック信号CK1が否定論理和回路371に入力されることになる。また、相変換回路302においては、2相クロック信号φ2が否定論理和回路371に入力されることから、当該2相クロック信号φ2がローレベルとなるのを待った上で、否定論理和回路371からハイレベルの信号NOR1が出力される。そして、相変換回路302においては、否定論理和回路371から出力される信号NOR1がバッファ回路374に入力され、2相クロック信号φ1がローレベルからハイレベルへと遷移する。
続いて、相変換回路302においては、クロック入力端子CKのレベルがハイレベルからローレベルへと遷移すると、インバータ370によって論理反転されたハイレベルのクロック信号CK1が発生される。これにより、相変換回路302においては、否定論理和回路371から出力される信号NOR1がハイレベルからローレベルへと遷移し、これを入力したバッファ回路374の出力である2相クロック信号φ1がハイレベルからローレベルへと遷移する。このとき、相変換回路302においては、トランスミッションゲートによって差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nが遅延されて先にローレベルへと遷移したクロック信号CK2が否定論理和回路372における一方の入力端子に入力されることから、他方の入力端子に入力されるハイレベルの2相クロック信号φ1がローレベルへと遷移するのに応じて、当該否定論理和回路372から出力される信号NOR2がハイレベルに変化し、これを入力したバッファ回路373の出力である2相クロック信号φ2もハイレベルとなる。
相変換回路302においては、このような動作を行うことにより、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの入力毎に、互いに重なり合わない2相クロック信号φ1,φ2を生成することになる。ここで、これら2相クロック信号φ1,φ2のパルス幅Tw1,Tw2は、インバータ370による遅延時間とトランスミッションゲートによる遅延時間とを同程度に設定することにより、等しくすることができる。また、同図においては、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がりタイミング及び立ち下がりタイミングを縦方向の破線で示し、これら差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がり及び立ち下がりのエッジから2相クロック信号φ1,φ2が出力されるまでの遅延時間を、それぞれ、Td1,Td2として示しているが、これら遅延時間Td1,Td2もまた、インバータ370による遅延時間とトランスミッションゲートによる遅延時間とを同程度に設定することにより、等しくすることができる。
このような、相変換回路302においては、入力される差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nに対して、発生する2相クロック信号φ1,φ2の位相差の差異を小さくすることができる。すなわち、相変換回路302においては、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がりタイミング及び立ち下がりタイミングの相違によるタイミング上の差を生じることがなく、フリップフロップ回路EFに対する2相クロック信号φ1,φ2の入力に対して、過剰なセットアップ時間やホールド時間を与える必要がなくなり、回路動作を高速化することができる。
以上説明したように、本発明の第4の実施の形態として示す印刷装置のLEDヘッド19においては、インバータ370による遅延時間とトランスミッションゲートによる遅延時間とを同程度に設定することにより、第2の実施の形態及び第3の実施の形態として示した効果に加え、回路動作の高速化を図ることができるという効果も実現することができる。
つぎに、第5の実施の形態として示す印刷装置について説明する。
この第5の実施の形態として示す印刷装置は、第2の実施の形態乃至第4の実施の形態として示した印刷装置における相変換回路302を異なる構成としたものである。したがって、この第5の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態乃至第4の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
第5の実施の形態として示す印刷装置においては、LEDヘッド19に設ける相変換回路302として、図24に示すようなものを用いる。
すなわち、相変換回路302は、上述したインバータ370、2つの否定論理和回路371,372、2つのバッファ回路373,374、並びにNチャネルMOSトランジスタ451及びPチャネルMOSトランジスタ452からなるトランスミッションゲートの他、4つのインバータ501,502,503,504と、2つの否定論理積回路505,506とから構成される。
このような相変換回路302において、クロック入力端子CKに入力される差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nは、NチャネルMOSトランジスタ451及びPチャネルMOSトランジスタ452からなるトランスミッションゲートに入力されるとともに、インバータ370における入力端子に入力される。また、トランスミッションゲートの出力は、否定論理和回路372における一方の入力端子に入力され、インバータ370の出力は、否定論理和回路371における一方の入力端子に入力される。
さらに、否定論理和回路372の出力は、バッファ回路373に入力される一方で、否定論理和回路371の出力は、バッファ回路374に入力される。そして、バッファ回路373の出力は、2相クロック信号のうち一方のクロック信号φ2としてフリップフロップ回路EFに出力されるとともに、インバータ501,504のそれぞれにおける入力端子に入力される。また、バッファ回路374の出力は、2相クロック信号のうち他方のクロック信号φ1としてフリップフロップ回路EFに出力されるとともに、インバータ502,503のそれぞれにおける入力端子に入力される。
さらにまた、インバータ501の出力は、2相クロック信号φ2を論理反転させたコンプリメント信号φ2Nとしてフリップフロップ回路EFに出力されるとともに、否定論理積回路506における一方の入力端子に入力される。また、インバータ502の出力は、2相クロック信号φ1を論理反転させたコンプリメント信号φ1Nとしてフリップフロップ回路EFに出力されるとともに、否定論理積回路505における一方の入力端子に入力される。
さらに、インバータ503の出力は、否定論理積回路505における他方の入力端子に入力される一方で、インバータ504の出力は、否定論理積回路506における他方の入力端子に入力される。そして、否定論理積回路505の出力は、否定論理和回路372における他方の入力端子に入力される一方で、否定論理積回路506の出力は、否定論理和回路371における他方の入力端子に入力される。
このような相変換回路302は、図25に示すようなタイミングにしたがって動作する。なお、同図1段目には、クロック入力端子CKに入力される差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの信号波形を示し、同図2段目には、トランスミッションゲートから出力される信号波形を示し、同図3段目には、インバータ370から出力される信号波形を示し、同図4段目には、否定論理和回路372から出力される信号波形を示し、同図5段目には、2相クロック信号φ2の信号波形を示し、同図6段目には、コンプリメント信号φ2Nの信号波形を示し、同図7段目には、インバータ504から出力される信号波形を示し、同図8段目には、否定論理積回路506から出力される信号波形を示し、同図9段目には、否定論理和回路371から出力される信号波形を示し、同図10段目には、2相クロック信号φ1の信号波形を示し、同図11段目には、コンプリメント信号φ1Nの信号波形を示し、同図12段目には、インバータ503から出力される信号波形を示し、同図13段目には、否定論理積回路505から出力される信号波形を示している。
まず、相変換回路302においては、クロック入力端子CKに差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nが入力されると、インバータ370によって論理反転されたクロック信号CK1が発生される。したがって、相変換回路302においては、クロック入力端子CKのレベルがハイレベルである場合には、否定論理和回路372からローレベルの信号NOR2が出力され、これを入力したバッファ回路373の出力である2相クロック信号φ2もローレベルとなる。このとき、相変換回路302においては、2相クロック信号φ2がインバータ501によって論理反転され、コンプリメント信号φ2Nとして出力される。またこのとき、相変換回路302においては、インバータ504から出力される信号IV2とコンプリメント信号φ2Nとが否定論理積回路506に入力され、2相クロック信号φ2及びコンプリメント信号φ2Nの信号変化よりも遅延した信号NAND2が生成される。そして、相変換回路302においては、信号NAND2が否定論理和回路371に入力され、ハイレベルからローレベルへと遷移する。
このとき、相変換回路302においては、バッファ回路373の出力である2相クロック信号φ2がハイレベルからローレベルへと遷移することから、コンプリメント信号φ2Nがハイレベルとなるのを待った上で、否定論理和回路371からハイレベルの信号NOR1が出力される。そして、相変換回路302においては、否定論理和回路371から出力される信号NOR1がバッファ回路374に入力され、2相クロック信号φ1がローレベルからハイレベルへと遷移するとともに、当該2相クロック信号φ1がインバータ502によって論理反転され、コンプリメント信号φ1Nとして出力される。またこのとき、相変換回路302においては、インバータ503から出力される信号IV1とコンプリメント信号φ1Nとが否定論理積回路505に入力され、2相クロック信号φ1及びコンプリメント信号φ1Nの信号変化よりも遅延した信号NAND1が生成される。そして、相変換回路302においては、信号NAND1が否定論理和回路372に入力され、ハイレベルからローレベルへと遷移する。
続いて、相変換回路302においては、クロック入力端子CKのレベルがハイレベルからローレベルへと遷移すると、インバータ370によって論理反転されたハイレベルのクロック信号CK1が発生される。これにより、相変換回路302においては、否定論理和回路371から出力される信号NOR1がハイレベルからローレベルへと遷移し、これを入力したバッファ回路374の出力である2相クロック信号φ1がハイレベルからローレベルへと遷移する。このとき、相変換回路302においては、トランスミッションゲートによって差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nが遅延されて先にローレベルへと遷移したクロック信号CK2が否定論理和回路372における一方の入力端子に入力されることから、他方の入力端子に入力されるハイレベルの2相クロック信号φ1がローレベルへと遷移するのに応じて、当該否定論理和回路372から出力される信号NOR2がハイレベルに変化し、これを入力したバッファ回路373の出力である2相クロック信号φ2もハイレベルとなる。
相変換回路302においては、このような動作を行うことにより、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの入力毎に、互いに重なり合わない2相クロック信号φ1,φ2を生成することになる。ここで、同図においては、2相クロック信号φ1若しくはコンプリメント信号φ1N、又は2相クロック信号φ2若しくはコンプリメント信号φ2Nのいずれかがアクティブとなっている領域をグレー帯で示しているが、同図から、クロック信号の遷移過程において、これら2相クロック信号φ1若しくはコンプリメント信号φ1N、又は2相クロック信号φ2若しくはコンプリメント信号φ2Nのいずれもが非アクティブとなる領域が挿入されることがわかる。
ここで、上述した第2の実施の形態乃至第4の実施の形態においては、2相クロック信号φ1,φ2を生成するが、これら2相クロック信号φ1,φ2に対するコンプリメント信号φ1N,φ2Nを生成する際に、論理反転手段による遅延時間が大きくなったりする場合であって、例えばコンプリメント信号φ1Nがアクティブであるタイミングと、2相クロック信号φ2がアクティブであるタイミングとが重複する場合には、これら2相クロック信号φ2及びコンプリメント信号φ1Nが入力されるフリップフロップ回路EFにおける1段目のラッチ回路及び2段目のラッチ回路間でデータのすり抜けが発生する可能性がある。かかるデータのすり抜けは、例えばコンプリメント信号φ2Nがアクティブであるタイミングと、2相クロック信号φ1がアクティブであるタイミングとが重複する場合にも同様に発生する可能性がある。
相変換回路においては、このような望ましくない現象を回避するために、2相クロック信号φ1,φ2間の休止時間を大きくとる必要が生じるが、一方において過剰なタイミング余裕を設定することにより、回路全体での遅延時間が大きくなりすぎる事態を招来し、その動作周波数を高めることができないという問題を生じることがある。
これに対して、相変換回路302においては、回路設計段階で過剰な遅延時間を与えることなく、クロック信号の遷移過程において、2相クロック信号φ1若しくはコンプリメント信号φ1N、又は2相クロック信号φ2若しくはコンプリメント信号φ2Nのいずれもが非アクティブとなる領域を挿入することができ、フリップフロップ回路EFにおけるデータのすり抜けを回避することができる。
以上説明したように、本発明の第5の実施の形態として示す印刷装置のLEDヘッド19においては、フリップフロップ回路EFにおけるデータのすり抜けを回避することができる。したがって、このLEDヘッド19においては、第2の実施の形態乃至第4の実施の形態として示した効果に加え、2相クロック信号φ1,φ2間の休止時間において過剰なタイミング余裕を設定する必要がなくなり、その動作周波数を高めることが容易となるという効果も実現することができる。
つぎに、第6の実施の形態として示す印刷装置について説明する。
この第6の実施の形態として示す印刷装置は、第2の実施の形態乃至第5の実施の形態として示した印刷装置におけるフリップフロップ回路EFを異なる構成としたものである。したがって、この第6の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態乃至第5の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
第6の実施の形態として示す印刷装置においては、LEDヘッド19に設けるフリップフロップ回路EFとして、図26に示すようなものを用いる。同図(a)は、回路シンボルであり、先に図15に示したフリップフロップ回路EFA1,・・・,EFA48,EFB1,・・・,EFB48,EFC1,・・・,EFC48,EFD1,・・・,EFD48に対応するものである。また、同図(b)には、その内部構成を示している。
すなわち、フリップフロップ回路EFは、7つのNチャネルMOSトランジスタ551,552,553,554,555,557,559と、3つのPチャネルMOSトランジスタ556,558,560とから構成される。
このうち、NチャネルMOSトランジスタ555とPチャネルMOSトランジスタ556、NチャネルMOSトランジスタ557とPチャネルMOSトランジスタ558、及びNチャネルMOSトランジスタ559とPチャネルMOSトランジスタ560は、それぞれ、インバータを構成している。
そして、NチャネルMOSトランジスタ551,553のゲート端子は、それぞれ、同図(a)に示すデータ入力端子Dに接続される。また、NチャネルMOSトランジスタ551,554のゲート端子には、それぞれ、相変換回路302から出力される2相クロック信号φ2が入力されるとともに、NチャネルMOSトランジスタ552,553のゲート端子には、それぞれ、相変換回路302から出力される2相クロック信号φ1が入力される。
また、NチャネルMOSトランジスタ551から出力される信号D1Aは、NチャネルMOSトランジスタ555とPチャネルMOSトランジスタ556とによって構成されるインバータに入力され、このインバータから出力される信号D1Bは、NチャネルMOSトランジスタ552に入力される。さらに、NチャネルMOSトランジスタ553から出力される信号D0Aは、NチャネルMOSトランジスタ557とPチャネルMOSトランジスタ558とによって構成されるインバータに入力され、このインバータから出力される信号D0Bは、NチャネルMOSトランジスタ554に入力される。
さらにまた、NチャネルMOSトランジスタ552から出力される信号D1Cと、NチャネルMOSトランジスタ554から出力される信号D0Cとは、互いにワイヤードオア接続され、NチャネルMOSトランジスタ559とPチャネルMOSトランジスタ560とによって構成されるインバータに入力される。そして、NチャネルMOSトランジスタ559とPチャネルMOSトランジスタ560とによって構成されるインバータの出力は、同図(a)に示すデータ出力端子Qに接続される。
このようなフリップフロップ回路EFは、相変換回路302から出力される非重複2相クロック信号φ1,φ2を入力し、図27に示すようなタイミングにしたがって動作する。
なお、同図1段目には、図26(a)に示したデータ入力端子Dにおける信号波形を示し、同図2段目には、相変換回路302のクロック入力端子CKにおける信号波形を示し、同図12段目には、図26(a)に示したデータ出力端子Qにおける信号波形を示している。そして、同図には、a,b,c,d,eからなるデータ列がデータ入力端子Dに入力され、それぞれのデータ入力に同期してクロック信号CK(差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−N)が、ローレベルからハイレベルへの立ち上がり及びハイレベルからローレベルへの立ち下がりを繰り返す様子を示している。
また、同図3段目には、相変換回路302から出力される2相クロック信号φ1の信号波形を示し、同図4段目には、相変換回路302から出力される2相クロック信号φ2の信号波形を示している。
さらに、同図5段目乃至同図11段目には、図26に示した各NチャネルMOSトランジスタ及びインバータから出力される信号波形を示している。すなわち、同図5段目には、NチャネルMOSトランジスタ551から出力される信号D1Aの信号波形を示し、同図6段目には、NチャネルMOSトランジスタ555とPチャネルMOSトランジスタ556とによって構成されるインバータから出力される信号D1Bの信号波形を示し、同図7段目には、NチャネルMOSトランジスタ552から出力される信号D1Cの信号波形を示し、同図8段目には、NチャネルMOSトランジスタ553から出力される信号D0Aの信号波形を示し、同図9段目には、NチャネルMOSトランジスタ557とPチャネルMOSトランジスタ558とによって構成されるインバータから出力される信号D0Bの信号波形を示し、同図10段目には、NチャネルMOSトランジスタ554から出力される信号D0Cの信号波形を示している。なお、実際には、信号D1C,D0Cは、上述したように、ワイヤードオア接続されるが、ここでは便宜上区別している。また、同図11段目には、NチャネルMOSトランジスタ559とPチャネルMOSトランジスタ560とによって構成されるインバータに入力されるワイヤードオア接続後の信号DCの信号波形を示している。
まず、フリップフロップ回路EFにおいては、a,b,c,d,eからなるデータ列がデータ入力端子Dに入力され、これに同期してクロック信号CKのレベルが遷移する。このとき、フリップフロップ回路EFにおいては、2相クロック信号φ1,φ2が入力される。
ここで、フリップフロップ回路EFにおいては、クロック信号CKがローレベルである場合に、データ入力端子Dにデータaが与えられると、2相クロック信号φ2がアクティブであることから、NチャネルMOSトランジスタ551の出力にはデータaが伝達され、この信号がNチャネルMOSトランジスタ555とPチャネルMOSトランジスタ556とによって構成されるインバータによって論理反転されることから、信号D1Bとして、データaが出力されることになる。なお、図27においては、信号D1Bの信号波形中に単に"a"と記載されているが、正確には信号D1Aとしてのデータaを論理反転したものであり、以下の説明においても同様に信号D1Aとしてのデータを論理反転したものを示している。
続いて、フリップフロップ回路EFにおいては、クロック信号CKがハイレベルとなると、2相クロック信号φ2がローレベルとなり、さらに、2相クロック信号φ1がハイレベルに変化する。フリップフロップ回路EFにおいては、2相クロック信号φ2がローレベルとなると、NチャネルMOSトランジスタ551がオフ状態となるが、その出力や次段のインバータの入力に静電容量成分があることから、これに蓄電された電荷により、当該NチャネルMOSトランジスタ551が以前に出力された電位レベルを維持することになる。なお、図27においては、かかる状態を信号波形中に一点鎖線で示しており、信号がハイインピーダンス状態にあり、それ以前に出力された電位レベルを蓄積電荷によって保持していることを示している。
このように、フリップフロップ回路EFにおいては、a,b,c,d,eからなるデータ列がデータ入力端子Dに入力された場合には、信号D1A,D1Bとしても、a,b,c,d,eからなるデータ列が得られることになる。
同様に、フリップフロップ回路EFにおいては、2相クロック信号φ1がハイレベルである場合に、NチャネルMOSトランジスタ553がオン状態となり、データ入力端子Dに入力されたa,b,c,d,eからなるデータ列を次段へと伝達する。そして、フリップフロップ回路EFにおいては、2相クロック信号φ1がローレベルとなると、NチャネルMOSトランジスタ553がオフ状態となるが、その出力や次段のインバータの入力に静電容量成分があることから、これに蓄電された電荷により、当該NチャネルMOSトランジスタ553が以前に出力された電位レベルを維持することになる。
このように、フリップフロップ回路EFにおいては、a,b,c,d,eからなるデータ列がデータ入力端子Dに入力された場合には、信号D1A,D1B,D1Cとはタイミングが異なるものの、信号D0A,D0B,D0Cとして、a,b,c,d,eからなるデータ列が得られることになる。
ここで、図27から明らかなように、信号D1C,D0Cは、同時にアクティブとなることはなく、一方がアクティブである場合には、他方がハイインピーダンス状態による電荷蓄積状態となる。したがって、フリップフロップ回路EFにおいては、これら信号D1C,D0Cをワイヤードオア接続して得られる信号DCとして、クロック信号CKに同期するa,b,c,d,eからなるデータ列が発生されることになる。フリップフロップ回路EFにおいては、この信号DCが、NチャネルMOSトランジスタ559とPチャネルMOSトランジスタ560とによって構成されるインバータによって論理反転されることから、データ入力端子Dに入力されたa,b,c,d,eからなるデータ列と論理が同じとされるa,b,c,d,eからなるデータ列がデータ出力端子Qから出力されることになる。
このように、フリップフロップ回路EFにおいては、データ列a,b,c,d,eがデータ入力端子Dに入力されると、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がり及び立ち下がりの双方のエッジにおいて、データ列a,b,c,d,eが順次切り替えられて出力される。すなわち、フリップフロップ回路EFにおいては、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がり及び立ち下がりの双方のエッジにおいて、データの転送を行うことが可能となる。
このとき、LEDヘッド19においては、上述したように、隣接する駆動IC間で、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nと、当該駆動ICにおけるクロック入力端子CLKP,CLKNとの接続が入れ替わるが、これによる影響は、かかる接続が入れ替わった状態においては、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がり及び立ち下がりが変化することである。したがって、LEDヘッド19においては、フリップフロップ回路EFとして、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がり及び立ち下がりの双方のエッジにおいて動作可能な構成としていることから、支障なく動作させることができる。
以上説明したように、本発明の第6の実施の形態として示す印刷装置のLEDヘッド19においては、第2の実施の形態として示したフリップフロップ回路EFよりも素子数を少なくすることができ、当該第2の実施の形態として示した効果に加え、駆動ICのチップサイズをさらに削減可能であり、さらなる低コスト化に寄与することができるという効果も実現することができる。
つぎに、第7の実施の形態として示す印刷装置について説明する。
この第7の実施の形態として示す印刷装置は、第2の実施の形態乃至第6の実施の形態として示した印刷装置におけるフリップフロップ回路EF及び相変換回路302を異なる構成としたものである。したがって、この第7の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態乃至第6の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
図28に、LEDヘッド19における駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26の構成を示す。すなわち、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26は、それぞれ、カスケード接続された48個のフリップフロップ回路EFA1,EFA2,・・・,EFA48と、カスケード接続された48個のフリップフロップ回路EFB1,EFB2,・・・,EFB48と、カスケード接続された48個のフリップフロップ回路EFC1,EFC2,・・・,EFC48と、カスケード接続された48個のフリップフロップ回路EFD1,EFD2,・・・,EFD48とを有する。
フリップフロップ回路EFA1,・・・,EFA48,EFB1,・・・,EFB48,EFC1,・・・,EFC48,EFD1,・・・,EFD48は、それぞれ、上述したように、差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nの立ち上がり及び立ち下がりの双方のエッジに基づいて動作し、データの転送を行うことが可能に構成される。フリップフロップ回路EFA1のデータ入力端子Dは、当該駆動ICのデータ入力端子DATAI0に接続され、フリップフロップ回路EFA48からの出力は、当該駆動ICのデータ出力端子DATAO0に接続されている。同様に、フリップフロップ回路EFB1,EFC1,EFD1のデータ入力端子Dは、それぞれ、当該駆動ICのデータ入力端子DATAI1,DATAI2,DATAI3に接続され、フリップフロップ回路EFB48,EFC48,EFD48からの出力は、それぞれ、当該駆動ICのデータ出力端子DATAO1,DATAO2,DATAO3に接続されている。したがって、フリップフロップ回路EFA1,・・・,EFA48,EFB1,・・・,EFB48,EFC1,・・・,EFC48,EFD1,・・・,EFD48は、それぞれ、48段のシフトレジスタ回路を構成している。
また、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26は、それぞれ、上述した制御電圧発生回路157に代えて、本願出願人が先に出願している特開2000−108407号公報に開示された回路手段を設けた制御電圧発生回路603を有する。すなわち、制御電圧発生回路603は、外部の制御回路から供給されるスタンバイモード指示信号STBY−Pを入力する信号入力端子STBYを有するとともに、当該スタンバイモード指示信号STBY−Pに基づいて静止時電流パスを遮断又は短絡する切替回路手段を設けている。
このスタンバイモードは、LEDヘッド19の待機時における消費電力を低減するためのものであるが、このスタンバイモードへの切り替え機能は、当該駆動ICの製造テスト時におけるIDDqテストにおいても用いることができる。すなわち、IDDqテストにおいては、半導体製造プロセスに特有な欠陥であるICチップ内配線の断線や隣接配線間の短絡といった、ディジタル回路的なファンクションテストのみでは発見困難な不良要因を、このスタンバイモードへの切り替え機能を用いて電源電流の微小な増加を検出することにより、効率的に発見することができる。
駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26は、それぞれ、このスタンバイモードへの切り替え機能を、上述したクロック入力回路151に代わるクロック入力回路601及び相変換回路302に代わる相変換回路602にも設けている。すなわち、クロック入力回路601及び相変換回路602は、それぞれ、スタンバイモード指示信号STBY−Pを入力する信号入力端子STBYを有する。相変換回路602は、スタンバイモード設定時において、その出力である2相クロック信号φ1,φ2の信号値を制御可能に構成される。
具体的には、相変換回路602は、図29に示すように、上述したインバータ370、2つの否定論理和回路371,372、並びにNチャネルMOSトランジスタ451及びPチャネルMOSトランジスタ452からなるトランスミッションゲートの他、一方の入力端子にスタンバイモード指示信号STBY−Pが入力される2つの論理和回路611,612から構成される。
このような相変換回路602において、クロック入力端子CKに入力される差動クロック信号HD−CLK−P,HD−CLK−Nは、NチャネルMOSトランジスタ451及びPチャネルMOSトランジスタ452からなるトランスミッションゲートに入力されるとともに、インバータ370における入力端子に入力される。また、トランスミッションゲートの出力は、否定論理和回路372における一方の入力端子に入力され、インバータ370の出力は、否定論理和回路371における一方の入力端子に入力される。
さらに、否定論理和回路372の出力は、論理和回路612における一方の入力端子に入力される一方で、否定論理和回路371の出力は、論理和回路611における一方の入力端子に入力される。そして、論理和回路612の出力は、2相クロック信号のうち一方のクロック信号φ2としてフリップフロップ回路EFに出力されるとともに、否定論理和回路371における他方の入力端子に入力される。また、論理和回路611の出力は、2相クロック信号のうち他方のクロック信号φ1としてフリップフロップ回路EFに出力されるとともに、否定論理和回路372における他方の入力端子に入力される。
また、フリップフロップ回路EFは、図30に示すように構成される。同図(a)は、回路シンボルであり、先に図28に示したフリップフロップ回路EFA1,・・・,EFA48,EFB1,・・・,EFB48,EFC1,・・・,EFC48,EFD1,・・・,EFD48に対応するものである。また、同図(b)には、その内部構成を示している。
すなわち、フリップフロップ回路EFは、先に図16に示したNチャネルMOSトランジスタ359とPチャネルMOSトランジスタ360とによって構成されるインバータ、NチャネルMOSトランジスタ361とPチャネルMOSトランジスタ362とによって構成されるインバータ、及びNチャネルMOSトランジスタ363とPチャネルMOSトランジスタ364とによって構成されるインバータの他、4つのNチャネルMOSトランジスタ621,622,623,624と、1つのPチャネルMOSトランジスタ625とから構成される。
そして、NチャネルMOSトランジスタ621,623における一方の端子は、それぞれ、同図(a)に示すデータ入力端子Dに接続される。また、NチャネルMOSトランジスタ621,624のゲート端子には、それぞれ、相変換回路602から出力される2相クロック信号φ2が入力されるとともに、NチャネルMOSトランジスタ622,623のゲート端子には、それぞれ、相変換回路302から出力される2相クロック信号φ1が入力される。
また、NチャネルMOSトランジスタ621から出力される信号D1Aは、NチャネルMOSトランジスタ359とPチャネルMOSトランジスタ360とによって構成されるインバータに入力され、このインバータから出力される信号D1Bは、NチャネルMOSトランジスタ622に入力される。さらに、NチャネルMOSトランジスタ623から出力される信号D0Aは、NチャネルMOSトランジスタ361とPチャネルMOSトランジスタ362とによって構成されるインバータに入力され、このインバータから出力される信号D0Bは、NチャネルMOSトランジスタ624に入力される。
さらにまた、NチャネルMOSトランジスタ622から出力される信号D1Cと、NチャネルMOSトランジスタ624から出力される信号D0Cとは、互いにワイヤードオア接続され、NチャネルMOSトランジスタ363とPチャネルMOSトランジスタ364とによって構成されるインバータに入力される。そして、NチャネルMOSトランジスタ363とPチャネルMOSトランジスタ364とによって構成されるインバータの出力は、同図(a)に示すデータ出力端子Qに接続される。また、NチャネルMOSトランジスタ363とPチャネルMOSトランジスタ364とによって構成されるインバータに入力されるワイヤードオア接続後の信号DCは、PチャネルMOSトランジスタ625のドレイン端子にも入力される。また、PチャネルMOSトランジスタ625のソース端子には、電源電圧VDDが印加され、ゲート端子には、NチャネルMOSトランジスタ363とPチャネルMOSトランジスタ364とによって構成されるインバータの出力が入力される。
ここで、このようなフリップフロップ回路EFからPチャネルMOSトランジスタ625を取り去ったものについて、図31に示す。同図においては、データ入力端子Dから入力される信号の電圧値をグラウンド電位(0V)とし、2相クロック信号φ1がアクティブであるものとし、2相クロック信号φ2が非アクティブであるものとし、静止状態で放置した後の回路各部の電位を括弧内に示している。
このフリップフロップ回路EFにおいては、2相クロック信号φ2が非アクティブであることから、NチャネルMOSトランジスタ621,624がオフ状態となり、信号D1A,D0Cが流れるノードはハイインピーダンス状態にある。また、このフリップフロップ回路EFにおいては、2相クロック信号φ1がアクティブであることから、NチャネルMOSトランジスタ622,623がオン状態となり、NチャネルMOSトランジスタ623に対する入力電位が0Vであることから、出力される信号D0Aの電位も0V程度となる。
一方、フリップフロップ回路EFにおいては、NチャネルMOSトランジスタ621がオフ状態にあり、これに接続されるNチャネルMOSトランジスタ359とPチャネルMOSトランジスタ360とによって構成されるインバータの入力が不定状態であることから、当該インバータには、電源VDDからグラウンドへと抜ける貫通電流IDDqが生じることになる。
ここで、NチャネルMOSトランジスタ359とPチャネルMOSトランジスタ360とによって構成されるインバータの出力が不定状態であることから、その出力電位を一概に決めることは困難であるが、仮に5Vであるものとすると、オン状態にあるNチャネルMOSトランジスタ622から出力される信号D1Cが流れるノードの電位は、当該NチャネルMOSトランジスタ622の入力電位から当該NチャネルMOSトランジスタ622のゲート閾値電圧程度を減じた値となることから、約4V程度となる。
このとき、フリップフロップ回路EFにおいては、NチャネルMOSトランジスタ624がオフ状態にあることから、NチャネルMOSトランジスタ363とPチャネルMOSトランジスタ364とによって構成されるインバータの入力電位も約4V程度となり、当該インバータには、電源VDDからグラウンドへと抜ける貫通電流IDDqが生じることになる。
以上、2相クロック信号φ1がアクティブであり且つ2相クロック信号φ2が非アクティブであるものとし、静止状態で放置した後の回路動作について検討したが、フリップフロップ回路EFにおいては、この状態と対称な関係の場合、すなわち、2相クロック信号φ1が非アクティブであり且つ2相クロック信号φ2がアクティブである場合についても同様に、入力がハイインピーダンス状態となるインバータと、前段のインバータからの出力がハイレベルとなるインバータとに、貫通電流が生じることになる。
このように、図31に示すフリップフロップ回路EFにおいては、IDDq電流測定時における貫通電流を防止することができず、IDDqテストの本来の目的である半導体製造プロセス上の欠陥に起因するショートやオープン状態の検出を困難なものとしていた。
これに対して、この第7の実施の形態として示すLEDヘッド19においては、相変換回路602として、上述した相変換回路302において2相クロック信号φ1,φ2を送出する2つのバッファ回路373,374に代えて、2つの論理和回路611,612を有するものとしている。
先に図29に示した相変換回路602においては、スタンバイモード指示信号STBY−Pをローレベルとした場合には、先に図22に示した相変換回路302の論理動作と同様の動作を行う。一方、相変換回路602においては、スタンバイモード指示信号STBY−Pをハイレベルとした場合には、2相クロック信号φ1,φ2が両方ともハイレベルとなる。
したがって、先に図30に示したフリップフロップ回路EFにおいては、駆動ICのIDDqテストを行うためにスタンバイモードに設定する場合には、2相クロック信号φ1,φ2が入力されるNチャネルMOSトランジスタ621,622,623,624が全てオン状態となる。
ここで、このようなフリップフロップ回路EFにおける回路各部の電位について、図32に示す。同図においては、2相クロック信号φ1,φ2が両方ともアクティブであるものとしており、図31と対比できるように、データ入力端子Dから入力される信号の電圧値をグラウンド電位(0V)とし、静止状態で放置した後の回路各部の電位を括弧内に示している。
この図32に示すフリップフロップ回路EFにおいて、データ入力端子Dから入力される信号をローレベルとしてIDDqテストを行う。このとき、フリップフロップ回路EFにおいては、信号D1A,D0Aが流れるノードの電位がともに0Vとなり、NチャネルMOSトランジスタ359とPチャネルMOSトランジスタ360とによって構成されるインバータから出力される信号D1Bと、NチャネルMOSトランジスタ361とPチャネルMOSトランジスタ362とによって構成されるインバータから出力される信号D0Bとが流れるノードの電位は、ともに5Vとなる。
ここで、フリップフロップ回路EFにおいては、上述したように、NチャネルMOSトランジスタ622,624に対する入力電位を5Vとすると、オン状態にある当該NチャネルMOSトランジスタ622,624のそれぞれから出力される信号D1C,D0Cが流れるノードの電位は、当該NチャネルMOSトランジスタ622,624の入力電位から当該NチャネルMOSトランジスタ622,624のゲート閾値電圧程度を減じた値となることから、約4V程度となる。
フリップフロップ回路EFにおいては、NチャネルMOSトランジスタ622,624のそれぞれから出力される信号D1C,D0Cが、NチャネルMOSトランジスタ363とPチャネルMOSトランジスタ364とによって構成されるインバータに入力され、当該インバータによって論理反転されることから、当該インバータの出力電位は0Vとなる。そして、フリップフロップ回路EFにおいては、この0Vの出力電位がPチャネルMOSトランジスタ625のゲート端子に印加されることから、当該PチャネルMOSトランジスタ625がオン状態となる。
これにより、フリップフロップ回路EFにおいては、NチャネルMOSトランジスタ622,624のそれぞれから出力される信号D1C,D0Cが流れるノードの電位、及びNチャネルMOSトランジスタ363とPチャネルMOSトランジスタ364とによって構成されるインバータの入力電位が、約4Vから電源電圧VDDと等しい5Vにまで引き上げられることになる。
このように、フリップフロップ回路EFにおいては、各インバータの入力電位が0V又は5Vのいずれかにプルダウン又はプルアップされることから、各インバータに貫通電流を生じなくすることができる。
以上説明したように、本発明の第7の実施の形態として示す印刷装置のLEDヘッド19においては、駆動ICのIDDqテストを行うためにスタンバイモードに設定する際に、2相クロック信号φ1,φ2が入力されるNチャネルMOSトランジスタ621,622,623,624が全てオン状態となる。このとき、LEDヘッド19においては、図30に示したフリップフロップEFにおけるデータ入力端子Dから入力される信号をローレベルとしてIDDqテストを行うことにより、当該フリップフロップEF内に貫通電流を生じなくなる。したがって、LEDヘッド19においては、第2の実施の形態乃至第6の実施の形態として示した効果に加え、IDDqテストの本来の目的である半導体製造プロセス上の欠陥に起因するショートやオープン状態の検出に支障をきたすことを確実になくすことができるという効果も実現することができる。
つぎに、第8の実施の形態として示す印刷装置について説明する。
この第8の実施の形態として示す印刷装置は、第1の実施の形態として示した印刷装置におけるLEDヘッド19を異なる構成としたものである。したがって、この第8の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
第8の実施の形態として示す印刷装置においては、LEDヘッド19として、図33に示すような内部構成のものを用いる。すなわち、LEDヘッド19は、先に図5に示したLEDヘッド19に対して、カスケード接続された1段目の駆動IC DRV1における印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の入力に、信号レベルを変換するためのコンパレータ回路700と、終端抵抗701とを追加したものである。また、LEDヘッド19は、上述した基準電圧発生回路158の他に、基準電圧Vref1を発生する基準電圧発生回路702を有する。
コンパレータ回路700は、印刷制御部1から出力される小振幅のシングルエンド信号である印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の電位と、基準電圧発生回路702によって発生された基準電圧Vref1とを比較し、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の電位を、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26のデータ信号レベルに対応する電圧値に変換する。
終端抵抗701は、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0を伝送する信号線のそれぞれに設けられる。この終端抵抗701の一端は、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0を伝送する信号線に接続され、他端には、図示しない終端電圧発生回路によって発生された電位Vttが印加される。この終端抵抗701の抵抗値は、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0を伝送する信号線が有する特性インピーダンスと略等しい抵抗値とされる。したがって、LEDヘッド19においては、この終端抵抗701を設けることにより、印刷制御部1から出力される信号が当該LEDヘッド19の入力部分において信号反射して論理判別が困難となるほど波形形状が変化したり、印刷制御部1との間で多重に信号反射を繰り返して収束するまでに長時間を要したりするのを防止することができる。
このようなLEDヘッド19において、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の振幅は、いわゆるGTL(Gunning Transceiver Logic)インターフェースに準拠したものとされ、典型的な例として、図示しない終端電圧発生回路によって発生される電位Vttは1.2Vに設定され、基準電圧発生回路702によって発生される基準電圧Vref1は0.8Vに設定される。したがって、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の電位は、最も高い場合で高々1.2Vであり、最も低い場合でも0Vであり、その振幅も、1.2V以下となる。
これに対して、従来の印字データ信号の振幅は、CMOSインターフェースの場合には、約5Vであり、TTL(Transistor-Transistor Logic)インターフェースの場合には、約3.3Vであることから、LEDヘッド19に入力される印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0は、著しく小振幅化されていることになる。
このようなLEDヘッド19は、図34に示すようなタイミングにしたがってデータ転送を行う。なお、同図(a)には、従来の印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の信号波形を示し、同図(b)には、LEDヘッド19における印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の信号波形を示し、同図(c)には、コンパレータ回路700から出力されるデータ信号の信号波形を示し、同図(d)には、駆動IC DRV1から出力されるデータ信号の信号波形を示している。
まず、従来の印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の信号波形において、同図(a)に示すローレベル側の電位ViLは、理想的には0Vであり、ハイレベル側の電位ViHは、理想的には約5Vである。このとき、かかる印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0が入力される駆動ICにおいては、当該駆動ICの電源電圧VDDに基づく約VDD/2なる電位Vcmosを基準として、信号の論理値を判別することになる。
ここで、従来のLEDヘッドにおいては、例えば黒色をベタ塗りするような印刷を行う場合等には、多数のLED素子が一斉に駆動されることから、大きなピーク値を有する電源電流が繰り返し発生し、これにより、LED素子の駆動毎に電源電圧VDDが変動する事態を招来することがある。従来のLEDヘッドにおいては、入力される印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の電位判別を、駆動IC自身の電源電圧VDDに基づく電位Vcmosを基準として行うことから、電源電圧VDDに対して電位変動に起因するノイズが重畳されていることにより、入力される印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の電位判別を行うことが困難となり、結果として、データ入力ミスによる誤印字が発生することもある。
これに対して、LEDヘッド19においては、印刷制御部1の信号送信端と当該LEDヘッド19の信号受信端とでそれぞれ終端された小振幅の印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0が入力される。この印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の信号波形において、同図(b)に示すローレベル側の電位ViLは、理想的には0Vであり、ハイレベル側の電位ViHは、理想的には約1.2Vである。また、基準電圧発生回路702によって発生される基準電圧Vref1は、上述したように、0.8Vに設定される。したがって、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の電位は、上述したように、最も高い場合で高々1.2Vであり、最も低い場合でも0Vであり、その振幅も、1.2V以下となる。
このとき、かかる印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0が入力される駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26においては、基準電圧発生回路702によって発生される基準電圧Vref1を基準として、信号の論理値を判別する。したがって、LEDヘッド19においては、従来のLEDヘッドのように、電源電圧VDDの変動による影響を受けることがない。
また、コンパレータ回路700から出力されるデータ信号の信号波形は、同図(c)に示すようになる。この信号波形において、ローレベル側の電位ViLは、理想的には0Vであり、ハイレベル側の電位ViHは、理想的には約5Vである。このとき、かかる印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0が入力される駆動IC DRV1においては、当該駆動IC DRV1の電源電圧VDDに基づく約VDD/2なる電位Vcmosを基準として、信号の論理値を判別することになる。ここで、コンパレータ回路700は、LEDヘッド19内に設けられることから、その電源は、駆動IC DRV1の電源VDDと共通に接続される。
したがって、LEDヘッド19においては、従来のLEDヘッドと同様に、例えば黒色をベタ塗りするような印刷を行う場合等には、多数のLED素子が一斉に駆動されることから、大きなピーク値を有する電源電流が繰り返し発生する場合があるが、LED素子の駆動毎に電源電圧VDDが変動した場合であっても、コンパレータ回路700の電源電位も変動することから、当該コンパレータ回路700から出力されるデータのハイレベル側の電位も変動することになる。
ここで、LEDヘッド19においては、かかるコンパレータ回路700から出力されるデータの電位判別を、駆動IC DRV1自身の電源電圧VDDに基づく約VDD/2なる閾値電位を基準として行うことから、電源電圧VDDの電位変動に起因してコンパレータ回路700の出力におけるハイレベル側の電位の変動が生じた場合であっても、この信号が入力される駆動IC DRV1側の閾値電位も同率で変動することになる。
したがって、LEDヘッド19においては、入力される印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の電位判別には何ら影響が与えられず、データ入力ミスによる誤印字が発生することはない。
さらに、駆動IC DRV1から出力されるデータ信号の信号波形は、同図(d)に示すようになる。この信号波形は、同図(c)に示した信号が駆動IC DRV1内のシフトレジスタ回路152を介してシフト伝達され、当該駆動IC DRV1のデータ出力端子DATAO3,・・・,DATAO0から出力されたものである。この信号波形において、ローレベル側の電位ViLは、理想的には0Vであり、ハイレベル側の電位ViHは、理想的には約5Vである。このとき、かかるデータ信号が入力される次段の駆動IC DRV2においては、当該駆動IC DRV2の電源電圧VDDに基づく約VDD/2なる電位Vcmosを基準として、信号の論理値を判別することになる。
LEDヘッド19においては、以降の駆動IC DRV3,・・・についても、同様に、当該駆動ICの電源電圧VDDに基づく約VDD/2なる電位Vcmosを基準として、入力された信号の論理値を判別することになる。
したがって、LEDヘッド19においては、上述したように、全ての駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26に入力されるデータ信号の電位判別には何ら影響が与えられず、データ入力ミスによる誤印字が発生することはない。
以上説明したように、本発明の第8の実施の形態として示す印刷装置のLEDヘッド19においては、第1の実施の形態として示した効果に加え、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0を伝送する信号線が有する特性インピーダンスと略等しい抵抗値とされる終端抵抗701を、印刷制御部1の信号送信端とLEDヘッド19の信号受信端とに配設することにより、印刷制御部1から出力される信号が当該LEDヘッド19の入力部分において信号反射して論理判別が困難となるほど波形形状が変化したり、印刷制御部1との間で多重に信号反射を繰り返して収束するまでに長時間を要したりするのを防止することができるという効果も実現することができる。
また、LEDヘッド19においては、入力される印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0を著しく小振幅化することができ、EMIノイズの低減を図ることができる。
さらに、LEDヘッド19においては、入力される印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の立ち上がり波形や立ち下がり波形の傾きが一定であるものとすると、その小振幅化により、波形の立ち上がり時間や立ち下がり時間の短縮を図ることもできることから、同一時間内に伝送可能なデータ量を著しく増大させることができ、印字速度の高速化にも寄与することができる。
つぎに、第9の実施の形態として示す印刷装置について説明する。
この第9の実施の形態として示す印刷装置は、第8の実施の形態として示した印刷装置におけるLEDヘッド19を異なる構成としたものである。したがって、この第9の実施の形態の説明においては、第8の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
第9の実施の形態として示す印刷装置においては、LEDヘッド19として、図35に示すような内部構成のものを用いる。すなわち、LEDヘッド19は、先に図5に示したLEDヘッド19に対して、カスケード接続された駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26のそれぞれにおける印字データ信号の入力に、信号レベルを変換するためのコンパレータ回路750を追加したものである。また、LEDヘッド19は、上述した基準電圧発生回路158の他に、基準電圧Vref1,Vref2を発生する基準電圧発生回路751を有する。さらに、LEDヘッド19は、1段目の駆動IC DRV1における印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の入力に、上述した終端抵抗701を有する。
コンパレータ回路750は、上述したコンパレータ回路700とは異なり、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26のそれぞれに設けられる。1段目の駆動IC DRV1におけるコンパレータ回路750は、印刷制御部1から出力される小振幅のシングルエンド信号である印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の電位と、基準電圧発生回路751によって発生された基準電圧Vref1とを比較し、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の電位を、当該駆動IC DRV1のデータ信号レベルに対応する電圧値に変換する。
終端抵抗701は、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0を伝送する信号線のそれぞれに設けられる。この終端抵抗701の一端は、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0を伝送する信号線に接続され、他端には、図示しない終端電圧発生回路によって発生された電位Vttが印加される。この終端抵抗701の抵抗値は、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0を伝送する信号線が有する特性インピーダンスと略等しい抵抗値とされる。したがって、LEDヘッド19においては、この終端抵抗701を設けることにより、印刷制御部1から出力される信号が当該LEDヘッド19の入力部分において信号反射して論理判別が困難となるほど波形形状が変化したり、印刷制御部1との間で多重に信号反射を繰り返して収束するまでに長時間を要したりするのを防止することができる。
より具体的には、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26は、それぞれ、図36に示すように、データ入力端子DATAI0,・・・,DATAI3のそれぞれに対応させて4つのコンパレータ回路750A,750B,750C,750Dを有する。これらコンパレータ回路750A,750B,750C,750Dのそれぞれの一端は、データ入力端子DATAI0,・・・,DATAI3に接続され、他端は、一括して接続され、当該駆動ICにおける入力端子VTに接続される。なお、1段目の駆動IC DRV1における入力端子VTには、基準電圧発生回路751によって発生された基準電圧Vref1が印加され、2段目以降の駆動IC DRV2,・・・における入力端子VTには、それぞれ、基準電圧発生回路751によって発生された基準電圧Vref2が印加される。
このようなLEDヘッド19において、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の振幅は、上述したように、GTLインターフェースに準拠したものとされ、典型的な例として、図示しない終端電圧発生回路によって発生される電位Vttは1.2Vに設定され、基準電圧発生回路751によって発生される基準電圧Vref1は0.8Vに設定される。したがって、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の電位は、最も高い場合で高々1.2Vであり、最も低い場合でも0Vであり、その振幅も、1.2V以下となり、従来の印字データ信号に比べて著しく小振幅化されたものである。
このようなLEDヘッド19は、図37に示すようなタイミングにしたがってデータ転送を行う。なお、同図(a)には、従来の印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の信号波形を示し、同図(b)には、LEDヘッド19における印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の信号波形を示し、同図(c)には、駆動IC DRV1から出力されるデータ信号の信号波形を示している。
まず、従来の印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の信号波形において、同図(a)に示すローレベル側の電位ViLは、理想的には0Vであり、ハイレベル側の電位ViHは、理想的には約5Vである。このとき、かかる印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0が入力される駆動ICにおいては、当該駆動ICの電源電圧VDDに基づく約VDD/2なる電位Vcmosを基準として、信号の論理値を判別することになる。
したがって、従来のLEDヘッドにおいては、上述したように、電源電圧VDDに対して電位変動に起因するノイズが重畳されていることにより、入力される印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の電位判別を行うことが困難となり、結果として、データ入力ミスによる誤印字が発生することもある。
これに対して、LEDヘッド19においては、印刷制御部1の信号送信端と当該LEDヘッド19の信号受信端とでそれぞれ終端された小振幅の印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0が入力される。この印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の信号波形において、同図(b)に示すローレベル側の電位ViLは、理想的には0Vであり、ハイレベル側の電位ViHは、理想的には約1.2Vである。また、基準電圧発生回路751によって発生される基準電圧Vref1は、上述したように、0.8Vに設定される。したがって、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の電位は、上述したように、最も高い場合で高々1.2Vであり、最も低い場合でも0Vであり、その振幅も、1.2V以下となる。
このとき、かかる印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0が入力される駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26においては、基準電圧発生回路751によって発生される基準電圧Vref1を基準として、信号の論理値を判別する。したがって、LEDヘッド19においては、従来のLEDヘッドのように、電源電圧VDDの変動による影響を受けることがない。
また、駆動IC DRV1から出力されるデータ信号の信号波形は、同図(c)に示すようになる。この信号波形は、同図(b)に示した印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0が駆動IC DRV1内のシフトレジスタ回路152を介してシフト伝達され、当該駆動IC DRV1のデータ出力端子DATAO3,・・・,DATAO0から出力されたものである。この信号波形において、ローレベル側の電位ViLは、理想的には0Vであり、ハイレベル側の電位ViHは、理想的には約5Vである。このとき、かかる印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0が入力される次段の駆動IC DRV2においては、当該駆動IC DRV2の電源電圧VDDに基づく約VDD/2なる電位ではなく、基準電圧発生回路751によって発生された基準電圧Vref2を基準として、信号の論理値を判別することになる。この基準電圧Vref2は、典型的には、VDD/2程度に設定される。
LEDヘッド19においては、以降の駆動IC DRV3,・・・についても、同様に、基準電圧発生回路751によって発生された基準電圧Vref2を基準として、入力された信号の論理値を判別することになる。
したがって、LEDヘッド19においては、第8の実施の形態として示したように、1段目の駆動IC DRV1における印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の入力にコンパレータ回路を外付けする必要がなく、当該LEDヘッド19のサイズをさらに削減可能であり、さらなる低コスト化を図ることができる。
以上説明したように、本発明の第9の実施の形態として示す印刷装置のLEDヘッド19においては、第1の実施の形態として示した効果に加え、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0を伝送する信号線が有する特性インピーダンスと略等しい抵抗値とされる終端抵抗701を、印刷制御部1の信号送信端とLEDヘッド19の信号受信端とに配設することにより、印刷制御部1から出力される信号が当該LEDヘッド19の入力部分において信号反射して論理判別が困難となるほど波形形状が変化したり、印刷制御部1との間で多重に信号反射を繰り返して収束するまでに長時間を要したりするのを防止することができるという効果も実現することができる。
また、LEDヘッド19においては、入力される印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0を著しく小振幅化することができ、EMIノイズの低減を図ることができる。
さらに、LEDヘッド19においては、入力される印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の立ち上がり波形や立ち下がり波形の傾きが一定であるものとすると、その小振幅化により、波形の立ち上がり時間や立ち下がり時間の短縮を図ることもできることから、同一時間内に伝送可能なデータ量を著しく増大させることができ、印字速度の高速化にも寄与することができる。
さらにまた、LEDヘッド19においては、1段目の駆動IC DRV1における印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の入力にコンパレータ回路を外付けする必要がないことから、当該LEDヘッド19のサイズをさらに削減することができ、さらなる低コスト化を図ることができる。
最後に、第10の実施の形態として示す印刷装置について説明する。
この第10の実施の形態として示す印刷装置は、第9の実施の形態として示した印刷装置におけるLEDヘッド19を異なる構成としたものである。したがって、この第10の実施の形態の説明においては、第9の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
まず、第10の実施の形態として示す印刷装置の説明に先だって、LEDヘッドを構成する場合の問題点について説明する。
一般に、LED素子は、半導体製造プロセスに起因する発光パワーのばらつきが甚だしく、これは、光量のむらとして現れる。そこで、従来のLEDヘッドにおいては、上述した特開2000−108407号公報に開示されているように、LED素子の光量のばらつきを補正するために、ドット毎の補正データを格納した補正メモリを駆動IC内に設け、この補正データに基づいて、LED素子の駆動電流値を調整し、光量のばらつきを補正することが行われている。
このようなLEDヘッドにおいて、ラッチ信号HD−LOADや印刷駆動信号HD−STB−N等は、単なるラッチ回路による信号の保持や、LED素子の発光又は非発光を制御するための機能の他、補正メモリに対するデータの書き込みを制御する機能や、各種制御回路をシーケンス制御するためのクロック信号としての機能をも備えることになる。
ここで、これらラッチ信号HD−LOADや印刷駆動信号HD−STB−Nを伝送する際の問題について、図38乃至図40を用いて説明する。
図38において、縦方向の破線Aは、LEDヘッドと外部装置との境界を示すものであり、この破線Aの右側に、LEDヘッドをモデル化したものを示し、当該破線Aの左側に、所定の接続ケーブルや印刷制御部等をモデル化したものを示している。
同図(a)において、各駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26に供給される例えばラッチ信号HD−LOADや印刷駆動信号HD−STB−N等の信号を伝送する信号線1000は、複数の信号線T1,T2,・・・,T26と、これら信号線T1,T2,・・・,T26から駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26へと分岐するスタブ配線TS1,TS2,・・・,TS26とによって表される。信号線T1は、当該LEDヘッドと印刷制御部とを接続するためにプリント配線基板上に形成されたコネクタに対応するヘッド境界から駆動IC DRV1への分岐点まで至る信号線であり、スタブ配線TS1は、信号線1000から駆動IC DRV1へと分岐する信号線であり、同図中一点鎖線で示すボンディングワイヤを含むものである。同様に、信号線T2は、信号線1000におけるスタブ配線TS1の分岐点から駆動IC DRV2への分岐点まで至る信号線であり、スタブ配線TS2は、信号線1000から駆動IC DRV2へと分岐する信号線であり、同図中一点鎖線で示すボンディングワイヤを含むものである。このように、LEDヘッドにおいては、各駆動IC毎に信号線1000が分岐され、末端となる駆動IC DRV26の位置で分岐が途切れることになる。
このようなLEDヘッドの等価回路は、同図(b)に示すようになる。この等価回路においては、駆動インピーダンスRsを有する信号源Vsから発生された信号が、特性インピーダンスZ0を有する伝送線路T0を介してLEDヘッドに伝達される。換言すれば、ここでは、LEDヘッドの接続配線の特性インピーダンスがZ0であるものとしている。また、同図において、T1は、ヘッドコネクタから駆動IC DRV1への分岐点まで至るプリント配線基板上の信号線を伝送線路としてモデル化したものであり、TS1は、駆動IC DRV1へと分岐する信号線を伝送線路としてモデル化したものである。さらに、同図において、C1は、駆動IC DRV1における端子の入力静電容量をモデル化したものであり、典型的には、IC端子のパッドの浮遊容量や、IC上のESD(electro-static discharge)保護素子や入力バッファの静電容量等をあわせたものである。同様に、同図において、T2は、駆動IC DRV1の分岐点から駆動IC DRV2への分岐点まで至るプリント配線基板上の信号線を伝送線路としてモデル化したものであり、TS2は、駆動IC DRV2へと分岐する信号線を伝送線路としてモデル化したものであり、C2は、駆動IC DRV2における端子の入力静電容量をモデル化したものである。なお、各駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26は、同一構成であることから、その入力静電容量C1,・・・,C26は等しく同一値となる。
各駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26の配置間隔は、LEDアレイチップの配置間隔と同じであり、ここでは、上述したように、約8.1mmとなる。したがって、T2の線路長も約8.1mmとなり、同様に、T3,・・・,T26も、約8.1mmの線路長で周期的に配置されることになる。
このように、LEDヘッドにおいては、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26について伝送線路がモデル化される。ここで、これら伝送線路TS1,・・・,TS26及びT1,・・・,T26、並びに入力静電容量C1,・・・,C26によって構成される系の特性インピーダンスは、上述した伝送線路T0における特性インピーダンスZ0と等しく構成することができる。具体的には、この特性インピーダンスは、"H. W. Johnson, M. Graham, 「High-Speed Digital Design :A Handbook of Black Magic」, (Prentice Hall)"に記載されている周知の関係を用いて、次式(1)のように設定される。
なお、上式(1)におけるZ0'は、伝送線路T2,・・・,T26の特性インピーダンスであり、CDは、入力静電容量C1,・・・,C26に相当する駆動ICの入力静電容量である。また、C0は、伝送線路T2,・・・,T26の特性キャパシタンスであり、伝送線路の単位長あたりの容量に線路長を乗じたものである。ここで、特性インピーダンスZ0は、LEDヘッドの接続ケーブルの特性インピーダンスとして既知であり、入力静電容量CDもまた既知である。したがって、特性インピーダンスZ0'は、プリント配線基板上の配線パターンの断面形状を与えることによって算出することができ、特性キャパシタンスC0も一意に定まることになる。
図38に示すモデルに基づいて駆動ICの信号波形を求めると、図39に示すようになる。なお、同図においては、信号源Vsがパルス信号を発生し、その駆動インピーダンスRsが伝送線路T0の特性インピーダンスZ0と整合されており、信号反射によって信号送信端へと戻る信号の再反射は抑制され、多重反射は発生しないものとしている。同図(a)には、駆動IC DRV1における信号波形を示し、同図(b)には、LEDヘッド基板の中点に位置する駆動IC DRV13における信号波形を示し、同図(c)には、LEDヘッド基板の末端に位置する駆動IC DRV26における信号波形を示している。
ここで、駆動IC DRV1から駆動IC DRV13へと至る伝送線路で信号が伝搬することによって発生する伝搬遅延時間t13は、各駆動IC間の線路遅延時間t1を用いて、t13=13×t1で表される。
同図(a)に示す駆動IC DRV1を駆動した信号波形は、伝送線路中を伝搬して、伝搬遅延時間t13経過後に、同図(b)に示すように遷移し、さらに伝送線路中を伝搬して、伝搬遅延時間t13経過後に、同図(c)に示すように遷移する。ここで、LEDヘッド基板の末端に位置する駆動IC DRV26においては、信号線が断ち切られて開放端となっていることから、その位置で信号が反射する結果、信号波形は、同図(c)に示すように、単調且つ急峻に立ち上がるものとなる。そして、LEDヘッドにおいては、この駆動IC DRV26の位置で反射した信号波形が駆動IC DRV1へと戻る途中において、伝搬遅延時間t13経過後に、駆動IC DRV13の位置へと到達すると、さらにその波形が立ち上がる。この結果、信号波形は、同図(b)に示すように、立ち上がり波形の途中にテラス状の段差が生じたものとなる。さらに、LEDヘッドにおいては、伝搬遅延時間t13経過後に、駆動IC DRV1の位置へと到達すると、さらにその波形が立ち上がり、同図(a)に示すように、立ち上がり波形の途中にテラス状の段差が生じた信号波形が得られることになる。また、LEDヘッドにおいては、信号波形の立ち下がり時においても、立ち上がり時と同様に、立ち下がり波形の途中にテラス状の段差が生じた信号波形が得られることになる。
LEDヘッドにおいては、これら同図(a),(b),(c)から明らかなように、略理想的なディジタル波形が得られるのは、信号線の末端に位置する駆動IC DRV26の位置へと到達した場合のみである。信号波形は、各駆動ICの位置に応じてその形状が異なり、甚だしくは、駆動IC DRV1の位置へと戻った際のように、信号遷移の途中に広いテラス状の段差が生じた形状となる。
図40に、図39に示した信号波形に対して、より現実的な条件を用いて表した信号波形を示しており、具体的には、信号源であるディジタル駆動素子の出力に所定のコンデンサを接続し、当該信号源からの信号波形を鈍らせた場合のものを示している。図40(a)には、駆動IC DRV1における信号波形を示し、同図(b)には、LEDヘッド基板の中点に位置する駆動IC DRV13における信号波形を示し、同図(c)には、LEDヘッド基板の末端に位置する駆動IC DRV26における信号波形を示している。
同図に示すように、この信号は、信号遷移の途中にテラス状の段差が生じた波形形状となるが、波形のリンギングが発生しており、信号遷移の途中でうねりを生じ、当該信号が入力される駆動ICの入力閾値電圧レベルと合致したものとなっている。
LEDヘッドにおいては、このような信号が駆動ICに入力されると、その立ち上がりや立ち下がりにおいて、本来であれば1つのエッジしか存在しないはずの波形が2つのエッジがあるものとして認識されてしまい、当該駆動ICの誤作動が発生することになる。
このように、LEDヘッドにおいては、ラッチ信号HD−LOADや印刷駆動信号HD−STB−Nを伝送する際にも、駆動ICの誤作動を誘発する問題が存在する。
そこで、第10の実施の形態として示す印刷装置においては、このような問題を解消するために、LEDヘッド19として、図41に示すような内部構成のものを用いる。すなわち、LEDヘッド19は、先に図35に示したLEDヘッド19に対して、カスケード接続された駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26のそれぞれにおける印刷駆動信号HD−STB−Nの入力に、信号レベルを変換するためのコンパレータ回路800を追加するとともに、当該駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26のそれぞれにおけるラッチ信号HD−LOADの入力に、信号レベルを変換するためのコンパレータ回路801を追加したものである。また、LEDヘッド19は、1段目の駆動IC DRV1における印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の入力に、上述した終端抵抗701を有するとともに、印刷駆動信号HD−STB−N及びラッチ信号HD−LOADをそれぞれ伝送する信号線の末端に、終端抵抗802,803を有する。さらに、LEDヘッド19は、上述した基準電圧発生回路158の他に、基準電圧Vref1,Vref2を発生する基準電圧発生回路804を有する。
コンパレータ回路750は、上述したように、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26のそれぞれに設けられる。1段目の駆動IC DRV1におけるコンパレータ回路750は、印刷制御部1から出力される小振幅のシングルエンド信号である印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の電位と、基準電圧発生回路804によって発生された基準電圧Vref1とを比較し、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0の電位を、当該駆動IC DRV1のデータ信号レベルに対応する電圧値に変換する。
コンパレータ回路800は、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26のそれぞれに設けられる。1段目の駆動IC DRV1におけるコンパレータ回路800は、印刷制御部1から出力される印刷駆動信号HD−STB−Nの電位と、基準電圧発生回路804によって発生された基準電圧Vref1とを比較し、印刷駆動信号HD−STB−Nの電位を、当該駆動IC DRV1の信号レベルに対応する電圧値に変換する。
コンパレータ回路801は、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26のそれぞれに設けられる。1段目の駆動IC DRV1におけるコンパレータ回路801は、印刷制御部1から出力されるラッチ信号HD−LOADの電位と、基準電圧発生回路804によって発生された基準電圧Vref1とを比較し、ラッチ信号HD−LOADの電位を、当該駆動IC DRV1の信号レベルに対応する電圧値に変換する。
終端抵抗701は、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0を伝送する信号線のそれぞれに設けられる。この終端抵抗701の一端は、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0を伝送する信号線に接続され、他端には、図示しない終端電圧発生回路によって発生された電位Vttが印加される。この終端抵抗701の抵抗値は、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0を伝送する信号線が有する特性インピーダンスと略等しい抵抗値とされる。したがって、LEDヘッド19においては、この終端抵抗701を設けることにより、印刷制御部1から出力される信号が当該LEDヘッド19の入力部分において信号反射して論理判別が困難となるほど波形形状が変化したり、印刷制御部1との間で多重に信号反射を繰り返して収束するまでに長時間を要したりするのを防止することができる。
終端抵抗802,803は、それぞれ、印刷駆動信号HD−STB−N及びラッチ信号HD−LOADを伝送する信号線の末端に設けられる。これら終端抵抗802,803の一端は、それぞれ、印刷駆動信号HD−STB−N及びラッチ信号HD−LOADを伝送する信号線に接続され、他端には、図示しない終端電圧発生回路によって発生された電位Vttが印加される。これら終端抵抗802,803の抵抗値は、それぞれ、印刷駆動信号HD−STB−N及びラッチ信号HD−LOADを伝送する信号線が有する特性インピーダンスと略等しい抵抗値とされる。したがって、LEDヘッド19においては、これら終端抵抗802,803を設けることにより、印刷制御部1から出力される信号が当該LEDヘッド19の入力部分において信号反射して論理判別が困難となるほど波形形状が変化したり、印刷制御部1との間で多重に信号反射を繰り返して収束するまでに長時間を要したりするのを防止することができる。
より具体的には、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26は、それぞれ、図42に示すように、データ入力端子DATAI0,・・・,DATAI3のそれぞれに対応させて4つのコンパレータ回路750A,750B,750C,750Dを有する。これらコンパレータ回路750A,750B,750C,750Dのそれぞれの一端は、データ入力端子DATAI0,・・・,DATAI3に接続され、他端は、一括して接続され、当該駆動ICにおける入力端子VREF2に接続される。また、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26は、それぞれ、コンパレータ回路800,801を有する。コンパレータ回路800の一端は、印刷駆動信号HD−STB−Nを入力する駆動ICにおける入力端子STBに接続され、他端は、当該駆動ICにおける入力端子VREF1に接続される。また、コンパレータ回路801の一端は、ラッチ信号HD−LOADを入力する駆動ICにおける入力端子LOADIに接続され、他端は、当該駆動ICにおける入力端子VREF1に接続される。なお、1段目の駆動IC DRV1における入力端子VREF1,VREF2には、ともに基準電圧発生回路804によって発生された基準電圧Vref1が印加される。また、2段目以降の駆動IC DRV2,・・・における入力端子VREF1には、それぞれ、基準電圧発生回路804によって発生された基準電圧Vref1が印加され、2段目以降の駆動IC DRV2,・・・における入力端子VREF2には、それぞれ、基準電圧発生回路804によって発生された基準電圧Vref2が印加される。
このようなLEDヘッド19において、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0、印刷駆動信号HD−STB−N、及びラッチ信号HD−LOADの振幅は、それぞれ、GTLインターフェースに準拠したものとされ、典型的な例として、図示しない終端電圧発生回路によって発生される電位Vttは1.2Vに設定され、基準電圧発生回路751によって発生される基準電圧Vref1は0.8Vに設定される。したがって、印字データ信号HD−DATA3,・・・,HD−DATA0、印刷駆動信号HD−STB−N、及びラッチ信号HD−LOADの電位は、それぞれ、最も高い場合で高々1.2Vであり、最も低い場合でも0Vであり、その振幅も、1.2V以下となり、従来の信号に比べて著しく小振幅化されたものである。
図43に、印刷駆動信号HD−STB−N又はラッチ信号HD−LOADの配線構成についての等価回路を示す。同図において、縦方向の破線Aは、LEDヘッド19と外部装置との境界を示すものであり、この破線Aの右側に、LEDヘッド19をモデル化したものを示し、当該破線Aの左側に、所定の接続ケーブルや印刷制御部1等をモデル化したものを示している。
同図(a)において、各駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26に供給される印刷駆動信号HD−STB−N又はラッチ信号HD−STB−Nを伝送する信号線900は、複数の信号線T1,T2,・・・,T27と、これら信号線T1,T2,・・・,T26から駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26へと分岐するスタブ配線TS1,TS2,・・・,TS26とによって表される。LEDヘッド19においては、各駆動IC毎に信号線900が分岐されるが、先に図38(a)に示した等価回路のように、末端となる駆動IC DRV26の位置で分岐が途切れず、さらに、信号線900におけるスタブ配線TS26の分岐点から、抵抗値RLで示される終端抵抗802,803に対応する抵抗まで、信号線T27が延在することになる。
このようなLEDヘッドの等価回路は、図43(b)に示すようになる。この等価回路においては、駆動インピーダンスRsを有する信号源Vsから発生された信号が、特性インピーダンスZ0を有する伝送線路T0を介してLEDヘッド19に伝達される。換言すれば、ここでは、LEDヘッド19の接続配線の特性インピーダンスがZ0であるものとしている。また、同図において、T1は、プリント配線基板100上に形成されたコネクタ103から駆動IC DRV1への分岐点まで至るプリント配線基板100上の信号線を伝送線路としてモデル化したものであり、TS1は、駆動IC DRV1へと分岐する信号線を伝送線路としてモデル化したものである。さらに、同図において、C1は、駆動IC DRV1における端子の入力静電容量をモデル化したものである。同様に、同図において、T2は、駆動IC DRV1の分岐点から駆動IC DRV2への分岐点まで至るプリント配線基板100上の信号線を伝送線路としてモデル化したものであり、TS2は、駆動IC DRV2へと分岐する信号線を伝送線路としてモデル化したものであり、C2は、駆動IC DRV2における端子の入力静電容量をモデル化したものである。なお、各駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26は、同一構成であることから、その入力静電容量C1,・・・,C26は等しく同一値となる。
ここで、これら伝送線路TS1,・・・,TS26及びT1,・・・,T26、並びに入力静電容量C1,・・・,C26によって構成される系の特性インピーダンスは、上式(1)のように設定される。したがって、伝送線路T2,・・・,T26の特性インピーダンスZ0'は、プリント配線基板100上の配線パターンの断面形状を与えることによって算出することができ、特性キャパシタンスC0も一意に定まることになる。また、終端抵抗802,803の抵抗値RLは、特性インピーダンスZ0と等しくなるように設定される。
図43に示すモデルに基づいて駆動ICの信号波形を求めると、図44に示すようになる。なお、同図においては、信号源Vsがパルス信号を発生し、その駆動インピーダンスRsが伝送線路T0の特性インピーダンスZ0と整合されており、信号反射によって信号送信端へと戻る信号の再反射は抑制され、多重反射は発生しないものとしている。同図(a)には、駆動IC DRV1における信号波形を示し、同図(b)には、LEDヘッド基板の中点に位置する駆動IC DRV13における信号波形を示し、同図(c)には、LEDヘッド基板の末端に位置する駆動IC DRV26における信号波形を示している。また、これら同図(a),(b),(c)には、各駆動ICの入力閾値電圧となる基準電圧Vref1を、一点鎖線で示している。
ここで、駆動IC DRV1から駆動IC DRV13へと至る伝送線路で信号が伝搬することによって発生する伝搬遅延時間t13は、上述したように、各駆動IC間の線路遅延時間t1を用いて、t13=13×t1で表される。
このようなLEDヘッド19においては、駆動IC DRV26の位置において終端抵抗802,803によって終端されていることから、信号線の末端まで達した印刷駆動信号HD−STB−N又はラッチ信号HD−LOADは、反射されることはない。このように、LEDヘッド19においては、外部から入力される各信号線がそれぞれ末端で終端されていることから、信号反射が生じない。そのため、LEDヘッド19においては、先に図39に示したように、信号遷移の途中にテラス状の段差が生じた形状の信号波形が生じることはない。
したがって、LEDヘッド19においては、信号源であるディジタル駆動素子の出力に所定のコンデンサを接続して当該信号源からの信号波形を鈍らせ、その信号が接続ケーブルやプリント配線基板100の面内を往復する時間に対して、十分に大きな立ち上がり時間や立ち下がり時間を与える等の付加的回路手段を設ける必要がない。
また、従来のLEDヘッドにおいては、各駆動ICの位置に応じて信号波形の形状が異なり、パルス幅にばらつきが生じる場合があったが、LED19においては、1段目の駆動IC DRV1におけるパルス幅tw1と、26段目の駆動IC DRV26におけるパルス幅tw26との間で差が生じることがなく、従来よりも小さなパルス幅の信号を用いたとしても誤作動を生じることはない。
さらに、LEDヘッド19においては、信号波形が単調に立ち上がり且つ単調に立ち下がることから、従来のように、信号遷移の途中でうねりを生じ、本来であれば1つのエッジしか存在しないはずの波形が2つのエッジがあるものとして認識されてしまい、駆動ICの誤作動が発生する現象を防止することができる。
以上説明したように、本発明の第10の実施の形態として示す印刷装置のLEDヘッド19においては、印刷駆動信号HD−STB−N又はラッチ信号HD−LOAD等を伝送する信号線のように、各駆動ICに共通に接続される信号線が有する特性インピーダンスと略等しい抵抗値とされる終端抵抗802,803を設けることにより、第9の実施の形態として示した効果に加え、本来であれば1つのエッジしか存在しないはずの波形が2つのエッジがあるものとして認識されることによる駆動ICの誤作動が発生する現象を防止することができるという効果も実現することができる。
また、従来のLEDヘッドにおいては、信号反射による誤作動を防止するために、印刷駆動信号HD−STB−Nやラッチ信号HD−LOAD等の入力波形を十分に鈍らせる必要があり、これにより、信号遷移時間が増加したり、パルス幅を小さくすることができないといった問題を生じ、信号遷移の間はクロック信号を停止させておく必要があることから、データ伝送が実質的に遅くなるという問題が生じていた。
これに対して、LEDヘッド19においては、かかる問題を解消することができ、優れたデータ伝送の信頼性を提供することができ、高速動作を行うことも可能となる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施の形態では、感光体ドラムに光を照射して露光する光源としてLED素子を用いた電子写真記録方sの印刷装置におけるLEDヘッドについて説明したが、本発明は、同様の光源として、有機EL(ElectroLuminescent)素子を用いた有機ELヘッドにも適用することができる。
また、上述した実施の形態では、被駆動素子として光源を用いて説明したが、本発明は、例えば、サーマルプリンタにおける発熱抵抗体の列や、表示装置における表示素子の列といったように、任意の被駆動素子の列を選択的に且つ周期的に駆動するものであれば、いかなるものであっても適用することができる。
このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。