JP4538471B2 - カテーテル挿入装置 - Google Patents

Description

本発明は、請求項１の前置き部（preamble）に記載されたカテーテル挿入装置（catheter insertion device）に関するものである。

中空のカテーテルハブ内にニードル保護部材が配設されているこの種の装置は、特許文献１から知ることができる。中空ニードルの先端部近傍の係合手段まで、カテーテルから中空ニードルを引き戻したときに、ニードル保護部材は、中空ニードルがカテーテルから分離されたときに係合手段と係合して先端部を覆う。この設計仕様においては、カテーテルから中空ニードルを引き戻した後、このカテーテルを通って血液が流出し、オペレータがこの血液に接触することがある。
欧州特許出願公開第０３５２９２８号明細書

本発明は、ニードル保護部材を備えた中空ニードルを除去した後に、カテーテルから血液が流出するのが防止されるように、上記のタイプのカテーテル挿入装置を構成するといった目的に基づくものである。

本発明によれば、この目的は、請求項１の特徴部分の構成によって解決される。準備完了位置（ready position）においては、カテーテルとニードル保護部材（needle guard element）との間のカテーテルハブ（catheter hub）内にチェックバルブ（check valve）が配設される。このチェックバルブを通って中空ニードル（hollow needle）が伸びる。これにより、カテーテルから中空ニードルを引き戻した後、血液の流出が防止されるようにカテーテルを確実に閉じることができる。他方、これと同時に、中空ニードルの先端部がニードル保護部材によって安全に閉じられる。このため、オペレータがニードルの先端部で負傷するといったことは起こりえない。

以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の典型的ないくつかの実施の形態をより詳しく説明する。

図１は、本実施の形態に係る、２部品形態（two-part form）のカテーテルハブ２を有するカテーテル挿入装置１を示している。カテーテルハブを構成する遠位ハブ部材３（distal hub element）は、内部にカテーテル４が圧入された（press-fitted）保持部３ａを有している。ハブ部材３の近位端（proximal end）は、その遠位端（distal end）よりも大きい直径を有し、近位ハブ部材５との接続部を形成している。ハブ部材５は、その遠位端がハブ部材３の近位端と重なり、かつその近位端にはルアーネジ６（Luer thread）が設けられている。２つのハブ部材３及び５の間に、バルブディスク７の形態のチェックバルブ（逆止弁）が挿入されている。このチェックバルブは、２つのハブ部材３及び５により、所定の位置に固定されている。

図１に示す準備完了位置においては、カテーテルハブ２にニードルハブ８が挿入され、このニードルハブ８に中空ニードル９が固定されている。この中空ニードルは、バルブディスク７とカテーテル４とを通り抜けて伸び、このため、ニードル先端部９ａは露出されている。ニードルハブ８とバルブディスク７との間において、近位ハブ部材５内に、バルブ駆動部材１０（valve actuating element）が取り外し可能に（displaceably）配設されている。このバルブ駆動部材１０は、図３に示すように、バルブディスク７を開かせる働きをする、先端が切り取られた円錐形（truncated cone-shaped）の位置決め部１０ａ（locating section）を有している。近位側で、プランジャ部１０ｂ（plunger section）が位置決め部１０ａに隣接するとともに、ニードル保護部材１３を受け入れるための中空空間部（hollow space）を有している。図示された実施の形態においては、プランジャ部１０ｂは、２つの離間したプランジャ（spaced plungers）によって形成されている。図４中に断面を示すように、両プランジャ間には、バネクリップ１３の形態のニードル保護部材が挿入されている。

カテーテルハブ２からの中空ニードルの引き戻し（withdrawal）の際に、ニードル先端部９ａ近傍に設けられ、軽い圧接（light crimping）により形成することができる中空ニードル上の半径方向の突出部の形態を有している係合手段９ｂ（図２）は、バネクリップ１３の後壁１３ｃ（rear wall）の穴部の外側周縁部と係合する。その結果、バネクリップ１３は、ニードル９とともにカテーテルハブから除去される。これと同時に、バネクリップのバネアーム１３ａ及び１３ｂはニードル先端部を覆い、完全にこれを保護し、遮蔽する。図２に示す分離された位置においては、バルブディスク７は、その弾性により、中空ニードル９のための貫通穴（through-hole）を閉じ、このため、血液はカテーテル４を通って流出することができなくなる。図６に示すように、バルブディスクには、例えば、３つのスリット７ａが設けられている。これらのスリット７ａは、中央部に端を発し、短い部分Ｘにわたって半径方向に伸び、それらの間に、中空ニードルによって拡張させられることができる弾性フラップ７ｂを形成している。

図３は、カテーテルハブ２内に注射器１４（syringe）が挿入されたところを示している。ここで、注射器の首部１４ａ（neck portion）は、バルブ駆動部材１０のプランジャ部１０ｂに当接し、これをバルブディスク７に対して押圧する。これにより、先端が切り取られた円錐形の位置決め部１０ａ（locatng section）は、バルブディスクのフラップ７ｂを外向きに移動させ（displace）、これによりバルブを開かせる。これにより、液体を、注射器１４からカテーテル４内に注入することができる。

位置決め部１０ａ上の先端が切り取られた円錐の傾斜、及び、バルブディスク７に対する相対的なバルブ駆動部材の移動経路（displacement path）は、注射器１４がカテーテルハブ２から除去されたときに、バルブディスク７の材料の弾性により、フラップ７ｂが位置決め部１０ａを図３中の右側に移動させるように設定される。これにより、図２中に位置を示すように、バルブディスク７は自動的に閉じられる。

ハブ部材５においては、肩部５ａ（shoulder）によって、バルブ駆動部材１０のための停止部が形成され、図２に示す分離された位置においては、バルブ駆動部材の位置を定める。これにより、図２に示すように、先端が切り取られた円錐形の位置決め部１０ａが停止部５ａの近傍に位置する一方、その遠位端がバルブディスク７に当接する。バルブディスク７の半径方向のスリット７ａは、図１に示す準備完了位置においては、フラップ７ｂが図３中の位置決め部１０ａにより開かれる位置よりも少なく、半径方向上向きに曲げられるように設計される。

図４の横断面図に示すように、バルブ駆動部材１０の２つのプランジャ１０ｂは、ハブ部材５の縦方向の溝部５ｅ内を案内され（guided）、それらはハブ部材５の穴部５ｃ内に半径方向にみて内向きに突出している。これにより、それらは、注射器１４の首部１４ａとの当接面を形成する。ハブ部材５の穴部５ｃは、注射器１４の円錐形の首部１４ａに対応して、やや円錐形に形成されている。

ハブ部材５の穴部５ｃの内側周縁部に、より小さい直径を有するさらにもう１つの肩部５ｂが形成され、図１に示す準備完了位置においては、バネアーム１３ａ及び１３ｂの半径方向にみて外側の領域は、肩部５ｂに当接する。これにより、バネクリップ１３は、ハブ部材５内でその位置に固定される。中空ニードル９を伴ったニードルハブ８がカテーテルハブ２から除去されるときには、まず、バネクリップ１３は、半径方向に突出する突出部９ｂがバネクリップの後壁１３ｃに当接するまで、当接によって肩部５ｂ上に保持される。この位置においては、図２に示すように、２つのバネアーム１３ａ、１３ｂは、肩部５ｂから解放されて内向きにバネで戻り（spring back）、ニードル先端部を覆う。ここで、中空ニードル９とともに、バネクリップ１３をカテーテルハブから除去することができる。

図１〜図３に示す実施の形態においては、バルブ駆動部材１０及びバルブディスク７がハブ部材５に挿入された後、ハブ部材５の遠位端部は収縮させられ、ハブ部材３の近位端部に溶接又は接着される。例えば、組み立て後のゆるみを締め付けるネジにより、２つのハブ部材３及び５を互いに連結することも可能である。バネクリップ１３は、組み立て時に、ハブ部材５の穴部５ｃ内に、中空ニードル９とともに挿入される。ここで、バネアーム１３ａ、１３ｂの半径方向にみて外側の領域は、弾性変形で肩部５ｂにはまる（snap in）。

図２に示すように、好ましく、肩部５ｂの前においてハブ部材５の穴部５ｃ内に突出部５ｂ’が形成されてもよい。これにより、バネクリップ１３のはめ込み（snap-in）効果及び保持効果が高められる。

図５は、２つのハブ部材３及び５が接続された、修正された実施の形態を示している。ここで、２つの円筒部３ｂ及び５ｄが互いに係合している。これらの２つの円筒部の間にネジが設けられている。しかしながら、これらの２つの部材を接着又は溶接することも可能である。

この実施の形態においては、バルブ駆動部材１０もまた、図１〜図３に示す実施の形態に対して修正されている。図７ａは、バネクリップ１３が挿入されたほぼＵ字形のバルブ駆動部材１０の側面図を示している。図７ｂは、９０°回転させられた側面図を示しているが、位置決め部１０ａは、背向する両側部で部分的に平板化され、このため、プランジャ部１０ｂの幅（width）は、位置決め部１０ａ内に伸びている（extend）。図７ｃは、図７ｂを左側からみた正面図であり、位置決め部１０ａの平板化された構造を示している。図７ｄは、図７ｂの中心線に沿った断面図である。図７ｅは、図７ｄのＢ−Ｂ線に沿った、バルブ駆動部材１０の断面を示している。

図５は、図７ａに対応するバルブ駆動部材１０の下半部と、図７ｂに対応する９０°回転させられた断面図の上半部とを示している。ハブ部材５内でバルブ駆動部材１０を位置決めするための肩部５ａは、直径方向にみて反対側の位置で溝部５ｅ（図４）の端部に形成されている。このため、プランジャ部１０ｂの近位端が肩部５ａに当接する。図５に示す実施の形態中の図１〜図３における肩部５ｂに対応して、ハブ部材５に、突出部５ｆが形成されている。この突出部５ｆは、ハブ部材５の穴部５ｃにおいて直径方向にみて反対側の位置で内向きに突出し、バネクリップ１３をハブ部材５で固定している。ただし、これは、バネアーム１３ａ、１３ｂがニードル先端部にわたって内向きにバネ付けすし（spring）、かつ、中空ニードル９とともにバネクリップがカテーテルハブから除去されるまでのことである。

図８は、中空円柱形のバルブ駆動部材１０を有する、修正された実施の形態を示している。バルブ駆動部材の内側周縁部には、該バルブ駆動部材１０の内側でバネクリップ１３を位置決めするための突出部１０ｆが形成されている。図９ａは、図８の右側からのバルブ駆動部材１０の正面図を示し、図９ｂは、図８の左側からの正面図を示している。この実施の形態においては、注射器１４の首部１４ａを位置決め（配置）するために、半径方向にみて内向きに突出するリブ１０ｅが形成されている。このリブは、図８中にバルブ駆動部材の上半部として示すハブ部材５の穴部５ｃ内において半径方向に突出している。ここで、バルブ駆動部材１０の下半部の断面図は、上半部に対して９０°回転して示されている。

図１０は、２つのハブ部材３及び５間にチェックバルブ１７が挿入された、修正された実施の形態を示している。このチェックバルブ１７は、フランジ部１７ａに端を発し、ハブ部材３の内側周縁部に当接している中空円柱部１７ｂを有している。フランジ部１７ａの近傍の内側周縁部から、２つの背向するフラップ１７ｃが端を発している。これらのフラップ１７ｃは、図１０に示す準備完了位置においては、中空ニードル９の外側周縁部に当接している。中空ニードル９がカテーテルハブ２から除去されたときに、弾性的に変形させられたフラップ１７ｃが、内向きに移動し、バルブを閉じる。この実施の形態においては、バルブ１７を開かせるためのバルブ駆動部材は必要ではない。なぜなら、注射器１４からの流体の圧力がフラップ１７ｃを半径方向外向きに移動させ、このため液体がバルブ１７を通って流出することができるからである。この実施の形態のチェックバルブにおいては、その構成自体は既知であるいわゆるかものはしバルブ（duck-bill valve）に関連している（concerned）。

図１０において、中空ニードル上の半径方向に突出する突出部９ｂが後壁１３ｃと係合してバネクリップがニードル先端部を覆うまで、中空ニードル９がカテーテルハブ２から引き戻される間にバネクリップ１３がカテーテルハブ内に保持されることを可能ならしめるために、この実施の形態においては、近位ハブ部材５の内側周縁部に突出部５ｆが形成されている。この突出部５ｆは半径方向にみて内向きに伸び、バネアーム１３ａ及び１３ｂの半径方向にみて外側の領域は、バネアームが半径方向内向きにバネで戻されてニードル先端部を覆うまで、この突出部５ｆに当接してバネクリップを保持する。突出部５ｆの内側直径は、バネアーム１３ａ及び１３ｂのところでのバネクリップの半径方向の最大寸法よりもやや小さいだけとなるように設定されている。その結果、組み立て時には、図１０に示すように、バネクリップ１３は、若干の圧力により、カテーテルハブ内の所定の位置に挿入されることができる。

図１〜図９ａ、９ｂに示すカテーテル挿入装置の実施の形態においては、図２中におけるバルブ駆動部材１０の位置において、バルブディスク７は、カテーテル液体を排出する（draw off）ための注射器１４によって生成される低い圧力（押圧）によって開かれることができる。ここで、弾性的なフラップ７ｂは、低い圧力によって上向きに曲げられる。図１０に示す実施の形態においては、カテーテルからの液体の排出は可能ではない。なぜなら、かものはしバルブは、近位側に低圧が存在するときには、開かないからである。

フラップバルブ１７の形態又はバルブディスク７の形態のチェックバルブは、弾性的なシリコンで製作するのが好都合である。これに対して、ハブ部材３及び５並びにバルブ駆動部材１０は、固いプラスチック材料を用いて製作するのが好都合である。

準備完了位置におけるカテーテル挿入装置の縦断面図である。 中空ニードルが除去されたカテーテル挿入装置を示す図である。 注射器が取り付けられた装置を示す図である。 図１のＡ−Ａ線に沿った断面図である。 もう１つの実施の形態の縦断面図である。 バルブディスクを示す図である。 バルブ駆動部材を示す図である。 バルブ駆動部材を示す図である。 バルブ駆動部材を示す図である。 バルブ駆動部材を示す図である。 バルブ駆動部材を示す図である。 さらなる実施の形態の縦断面図である。 図８に示すバルブ駆動部材の正面図である。 図８に示すバルブ駆動部材の正面図である。 さらにもう１つの実施の形態の縦断面図である。

符号の説明

１ カテーテル挿入装置、２ カテーテルハブ、３ 遠位ハブ部材、５ 近位ハブ部材、７ バルブディスク、８ ニードルハブ、９ 中空ニードル、９ａ ニードル先端部、９ｂ 係合手段、１０ａ 位置決め部、１０ｂ プランジャ部、１３ ニードル保護部材、１３ｃ 係合部、１７ チェックバルブ。

Claims (7)

1. 遠位端にカテーテル（４）が取り付けられた、ほぼ中空円柱形のカテーテルハブ（２）と、
   準備完了位置においては上記カテーテルハブ（２）と上記カテーテル（４）とを通って伸びる中空ニードル（９）が取り付けられているニードルハブ（８）と、
   上記カテーテルハブ（２）内に配置されたチェックバルブ（７）であって、準備完了位置においては上記中空ニードル（９）を、該チェックバルブを通り抜けるように伸長させ、上記中空ニードルの除去後に自動的に閉じるようになっているチェックバルブと、
   上記カテーテルハブ（２）内において上記チェックバルブ（７）の近傍に配置されて取り換え可能に案内され、上記中空ニードル（９）を受け入れるための中空円柱形空間部を有しているバルブ駆動部材（１０）とが設けられているカテーテル挿入装置であって、
   さらに、上記バルブ駆動部材（１０）の上記中空円柱形空間部内において上記中空ニードル（９）上で移動可能に配置されたニードル保護部材（１３）が設けられていて、
   上記ニードル保護部材（１３）は、準備完了位置においては上記バルブ駆動部材（１０）の内側周縁部に形成された係合手段と係合する係合部（１３ａ、１３ｂ）を有し、
   かつ、上記ニードル保護部材（１３）は、上記カテーテルハブ（２）から上記中空ニードルを除去した後にニードル先端部近傍で上記中空ニードルと係合することができるようになっていることを特徴とするカテーテル挿入装置。
2. 上記カテーテルハブ（２）が２部品構成であり、上記チェックバルブ（７）が、互いに結合された遠位ハブ部材（３）と近位ハブ部材（５）との間に保持されていることを特徴とする、請求項１に記載のカテーテル挿入装置。
3. 上記バルブ駆動部材（１０）が、先端が切り取られた円錐形の遠位端部部（１０ａ）を備えた中空円柱体として形成されていることを特徴とする、請求項１に記載のカテーテル挿入装置。
4. 上記バルブ駆動部材（１０）の内側周縁部に形成された上記係合手段が、半径方向に突出する突出部（１０ｆ）の形態であることを特徴とする、請求項１に記載のカテーテル挿入装置。
5. 上記チェックバルブ（７）がバルブディスクの形態であって、上記バルブディスクが、該バルブディスクの中心部から半径方向外向きに伸びる少なくとも１つの半径方向スリット（７ａ）を備えていることを特徴とする、請求項１に記載のカテーテル挿入装置。
6. 上記中空ニードル（９）が、クリンプ部（９ｂ）の形態の上記ニードル保護部材（１３）のための係合手段を有していることを特徴とする、請求項１〜５のいずれか１つに記載のカテーテル挿入装置。
7. 上記ニードル保護部材が、開口部が設けられた後壁（１３ｃ）に端を発し直径方向にみて反対向きのバネアーム（１３ａ、１３ｂ）を有するバネクリップ（１３）として形成されていて、
   上記バネアームが互いに交差するとともに、準備完了位置においては上記中空ニードルによって強制的に離間させられ、
   上記中空ニードルを上記カテーテルから除去する際に、上記中空ニードルの上記クリンプ部（９ｂ）が上記ニードル保護部材（１３）の後壁（１３ｃ）に当接したときに、上記バネアームの遠位端部がニードル先端部と重なり合って該先端部を遮蔽することを特徴とする、請求項６に記載のカテーテル挿入装置。

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