JP4534504B2 - 液滴吐出装置及び液滴吐出ヘッドの駆動方法 - Google Patents

液滴吐出装置及び液滴吐出ヘッドの駆動方法 Download PDF

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Description

本発明は液滴吐出装置及び液滴吐出ヘッドの駆動方法に関し、詳しくは、ノズル内のメニスカスをノズルから液滴を吐出させない程度に微振動させることにより、ノズル内の液体の増粘を抑制するようにした液滴吐出装置及び液滴吐出ヘッドの駆動方法に関する。
チャネルの容積を変化させることによりノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドとして、インクジェット画像を記録するためのインクジェット記録ヘッドが知られている。
このインクジェット記録ヘッドに使用されるインクジェット用インクの粘度は、普通、室温で2〜5cp(センチポイズ)程度である。しかし、最近ではインクの高性能化に伴い、添加剤等が増えて室温の粘度が5〜10cpと高粘度となるインクも増えている。このような高粘度のインクは常温・常湿で吐出する限り、記録ヘッドの駆動電圧を少し高めにすれば吐出できるが、低温環境下においては粘度が上昇して10cp以上になるため、また、低湿環境下においてはメニスカス表面からインク成分の揮発が速くなるため、ノズル表面のインク粘度が急激に上昇し、非常に吐出しにくくなる。
このように、低温・低湿環境下において増粘したインクを記録ヘッドから安定に吐出することは極めて難しい。例えば、ごく短時間吐出を中断するだけでも、吐出再開時に第1滴目から正常に吐出しなくなり、画質が著しく低下する。
従来から、ノズル表面のインク粘度の上昇を抑える対策の一つとして、ノズル内のメニスカスをノズル先端から吐出しない程度に微振動させることで、ノズル表面の増粘したインクをチャネル内のインクと攪拌する方法が知られており、特許文献1及び2には、印画を休止している状態のノズル先端に微振動を与えることにより、ノズル先端のインクを攪拌し、インク粘度を低下させることが記載されている。
特開平11−268264号公報 特開2000−94669号公報
低温・低湿環境下では、先の理由によりインクの粘度上昇が極めて速いため、メニスカスに微振動を与えた後は直ちに吐出しなければならない。また、安定した吐出を行うためには、微振動によるメニスカスの振動が収まり、その位置が一定となった状態で吐出することが必要であり、そうでない場合には、吐出されるインク滴の大きさや飛翔速度が変動して着弾誤差の原因となる。更に、インクを効率良く攪拌・混合するためにはメニスカスを大きく振動させる必要があるが、高速駆動を行う際には、メニスカスの振動を早期に減衰させる必要がある。
このようにインクのメニスカスを効果的に揺らしたり、残留振動を効果的にキャンセルしたりする方法は、音響理論から次のように説明できる。
チャネルを膨張(または収縮)させることにより、チャネル内に発生した圧力波は、1AL毎に圧力の反転を繰り返しながら次第に減衰していく。チャネルを変形してから1AL後の、圧力が反転したタイミングでチャネルの変形を元に戻すと、元からある圧力と新しく発生した圧力が互いに強め合って、インクのメニスカスを大きく振動させる。なお、AL(Acoustic Length)とは、チャネルの音響的共振周期の1/2である。従って、チャネルを変形してから元に戻すまでの時間をALの奇数倍にすれば、メニスカスを大きく振動させることができる。しかし、残留圧力がキャンセルされず、メニスカスの振動が残るので、すぐには吐出できない。
一方、チャネルを変形して2AL後の圧力が反転→再反転したタイミングでチャネルの変形を元に戻せば、元の圧力と新しく発生した圧力が互いにキャンセルし合うので、メニスカスは大きく振動しない。従って、チャネルを変形してから変形を元に戻すまでの時間をALの偶数倍にすると、残留圧力がキャンセルされるのでメニスカスの振動が収まり、すぐに吐出できるようになるが、メニスカスを大きく振動させることはできない。
以上のことから理解されるように、粘度の高いインクを、低温・低湿環境下で高速且つ安定に吐出するには、メニスカスを大きく振動させてノズル表面のインクを効率良く攪拌することと、この振動によって発生した残留振動を効率良くキャンセルすること、という相反する問題を解決しなくてはならない。
上記特許文献1及び2の技術は、いずれも台形波による微振動パルスを、インク吐出を行わないノズルに印加してメニスカスに微振動を与えるようにしている。このため、メニスカスに微振動を与えた後は、インクを吐出するまでの間に時間があるため、その間に再びインク粘度が上昇してしまい、特に低温・低湿環境下において正常な吐出が困難となる問題がある。また、台形波は回路構成が複雑になる上に、電圧感度が低下するため、必要な駆動電圧が上昇して消費電力が大きくなる。更に、微振動パルスの印加回数を増やさなければ十分な効果が得られず、結果的に印刷速度の低下等につながる問題がある。
そこで、本発明の課題は、ノズル内の液体を効率良く攪拌することにより、低温・低湿環境下でもデキャップ特性の改善効果が高く、また、メニスカスの微振動直後でも液滴を安定に吐出させることのできる、高速且つ安定吐出を可能とする液滴吐出装置及び液滴吐出ヘッドの駆動方法を提供することにある。
ここで、デキャップ特性とは、ノズル面開放状態の場合にメニスカス乾燥によって液体が増粘する、いわゆるデキャップ現象による初発速度の低下量を示す。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
請求項1記載の発明は、複数の駆動パルスを含んでなる駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、各画素のデータに応じて駆動パルスを選択する駆動パルス選択手段と、選択された駆動パルスに基づいてチャネルの容積を変化させることにより前記チャネルに対応して設けられたノズルから液滴を吐出させるヘッドと、を有する液滴吐出装置であって、前記駆動信号が、前記ノズル内のメニスカスをノズルから液滴を吐出させない程度に微振動させるための駆動パルスとして、矩形波からなる微振動パルスであって、パルス幅が1ALと2ALの矩形波(ALはチャネルの音響的共振周期の1/2)を含む微振動パルスを含み、且つ、前記微振動パルスは、液滴を吐出する吐出パルスに先立って印加されることを特徴とする液滴吐出装置である。
請求項2記載の発明は、前記微振動パルスは、前記1ALの矩形波の1AL後に前記2ALの矩形波を印加することを特徴とする請求項1記載の液滴吐出装置である。
請求項記載の発明は、前記微振動パルスは、一連の該微振動パルスの印加開始から前記吐出パルスの印加前の期間において、前記2ALの矩形波が少なくとも最後に印加されることを特徴とする請求項1又は2記載の液滴吐出装置である。
請求項記載の発明は、前記最後に印加される2ALの矩形波の1AL後に、前記吐出パルスを印加することを特徴とする請求項記載の液滴吐出装置である。
請求項記載の発明は、前記液滴を吐出させる吐出パルスは、チャネルの容積を膨張させ1AL後に元に戻す矩形波からなる第1のパルスと、チャネルの容積を収縮させ一定時間後に元に戻す矩形波からなる第2のパルスとを含み、第1のパルスの電圧Vonが第2のパルスの電圧Voffよりも大きいことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の液滴吐出装置である。
請求項記載の発明は、前記微振動パルスは、チャネルの容積を収縮させた後に元に戻す矩形波からなり、前記吐出パルスの第2のパルスの電圧Voffと同電圧であることを特徴とする請求項記載の液滴吐出装置である。
請求項記載の発明は、前記微振動パルスによるメニスカスの最大押し出し量が、ノズル半径以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の液滴吐出装置である。
請求項記載の発明は、前記ヘッドは、前記吐出パルス又は前記微振動パルスの印加により前記チャネルの容積を変化させる電気・機械変換手段を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の液滴吐出装置である。
請求項記載の発明は、前記電気・機械変換手段は、隣接するチャネル間の隔壁を形成し、且つ電圧を印加することによりせん断モードで変形する圧電材料により構成されることを特徴とする請求項記載の液滴吐出装置である。
請求項10記載の発明は、前記液滴はインクであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の液滴吐出装置である。
請求項11記載の発明は、複数の駆動パルスを含んでなる駆動信号を駆動信号生成手段により発生させ、駆動パルス選択手段により各画素のデータに応じて駆動パルスを選択し、選択された駆動パルスに基づいて液滴吐出ヘッドのチャネルの容積を変化させることにより前記チャネルに対応して設けられたノズルから液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドの駆動方法であって、前記駆動信号が、前記ノズル内のメニスカスをノズルから液滴を吐出させない程度に微振動させるための駆動パルスとして、矩形波からなる微振動パルスであって、パルス幅が1ALと2ALの矩形波(ALはチャネルの音響的共振周期の1/2)を含み、前記液滴吐出ヘッドに対して、液滴を吐出する吐出パルスに先立って前記微振動パルスを印加することにより、前記ノズル内のメニスカスをノズルから液滴を吐出させない程度に微振動させることを特徴とする液滴吐出ヘッドの駆動方法である。
請求項12記載の発明は、前記微振動パルスは、前記1ALの矩形波の1AL後に前記2ALの矩形波を印加することを特徴とする請求項11記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法である。
請求項13記載の発明は、前記微振動パルスは、一連の該微振動パルスの印加開始から前記吐出パルスの印加前の期間において、前記2ALの矩形波が少なくとも最後に印加されることを特徴とする請求項11又は12記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法である。
請求項14記載の発明は、前記最後に印加される2ALの矩形波の1AL後に、前記吐出パルスを印加することを特徴とする請求項13記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法である。
請求項15記載の発明は、前記液滴を吐出させる吐出パルスは、チャネルの容積を膨張させ1AL後に元に戻す矩形波からなる第1のパルスと、チャネルの容積を収縮させ一定時間後に元に戻す矩形波からなる第2のパルスとを含み、第1のパルスの電圧Vonが第2のパルスの電圧Voffよりも大きいことを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法である。
請求項16記載の発明は、前記微振動パルスは、チャネルの容積を収縮させた後に元に戻す矩形波からなり、前記吐出パルスの第2のパルスの電圧Voffと同電圧であることを特徴とする請求項15記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法である。
請求項17記載の発明は、前記微振動パルスによるメニスカスの最大押し出し量が、ノズル半径以下であることを特徴とする請求項11〜16のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法である。
請求項18記載の発明は、前記液滴吐出ヘッドは、前記吐出パルス又は前記微振動パルスの印加により前記チャネルの容積を変化させる電気・機械変換手段を有することを特徴とする請求項11〜17のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法である。
請求項19記載の発明は、前記電気・機械変換手段は、隣接するチャネル間の隔壁を形成し、且つ電圧を印加することによりせん断モードで変形する圧電材料により構成されることを特徴とする請求項18記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法である。
請求項20記載の発明は、前記液滴はインクであることを特徴とする請求項11〜19のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法である。
本発明によれば、メニスカスを大きく振動させてノズル表面の液体を効率良く攪拌することと、この振動によって発生した残留振動を効率良くキャンセルすることという相反する問題を解決し得て、ノズル内の液体を効率良く攪拌することができることにより、低温・低湿環境下でもデキャップ特性の改善効果が高く、また、メニスカスの微振動直後でも液滴を安定に吐出させることができ、高速且つ安定吐出を可能とする液滴吐出装置及び液滴吐出ヘッドの駆動方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る液滴吐出装置が適用されるインクジェット記録装置の概略構成を示す図である。インクジェット記録装置1において、記録媒体Pは、搬送機構3の搬送ローラ対32に挟持され、更に、搬送モータ33によって回転駆動される搬送ローラ31により図示Y方向に搬送されるようになっている。
搬送ローラ31と搬送ローラ対32の間には、記録媒体Pの記録面PSと対向するように記録ヘッド2が設けられている。この記録ヘッド2は、記録媒体Pの幅方向に亘って掛け渡されたガイドレール4に沿って、不図示の駆動手段によって、上記記録媒体Pの搬送方向(副走査方向)と略直交する図示X−X’方向(主走査方向)に沿って往復移動可能に設けられたキャリッジ5に、ノズル面側が記録媒体Pの記録面PSと対向するように配置されて搭載されており、フレキシケーブル6を介して、後述する吐出パルスや微振動パルスを生成するための回路が設けられる駆動信号発生部100(図3参照)に電気的に接続されている。
かかる記録ヘッド2は、キャリッジ5の移動に伴って記録媒体Pの記録面PSを図示X−X’方向に移動し、この移動過程でインク滴を吐出することによって所望のインクジェット画像を記録するようになっている。
なお、図中、7はインク受け器であり、記録ヘッド2が非記録時のホームポジション等の待機位置に設けられている。記録ヘッド2がこの待機位置にある時、ノズル開口で増粘したインクを微振動させて減粘した後、このインク受け器7に向けてインク滴を少量はき捨てるようにする。記録ヘッド2がこの待機位置において長期間作動停止している時は、図示しないが、記録ヘッド2のノズル面にキャップを被せることにより保護するようになっている。また、8は記録媒体Pを挟んで上記インク受け器7の反対位置に設けられたインク受け器であり、往復両方向で記録するとき、往動から復動に切り替えるときに、上記同様にはき捨てられたインク滴を受け入れる。
図2、図3は、記録ヘッド2の一例を示す図であり、図2(a)は概観斜視図、(b)は断面図、図3はインク吐出時の作動を示す図である。同図において、21はインクチューブ、22はノズル形成部材、23はノズル、24はカバープレート、25はインク供給口、26は基板、27は隔壁である。そして、チャネル28が隔壁27、カバープレート24及び基板26によって形成されている。
記録ヘッド2は、ここでは図3に示すように、カバープレート24と基板26の間に、電気・機械変換手段であるPZT等の圧電材料からなる複数の隔壁27A、27B、27Cで隔てられたチャネル28が多数並設されたせん断モード(シェアモード)タイプの記録ヘッドを示している。図3では多数のチャネル28の一部である3本(28A、28B、28C)が示されている。チャネル28の一端(以下、これをノズル端という場合がある)はノズル形成部材22に形成されたノズル23につながり、他端(以下、これをマニホールド端という場合がある)はインク供給口25を経て、インクチューブ21によって図示されていないインクタンクに接続されている。そして、各チャネル28内の隔壁27表面には両隔壁27の上方から基板26の底面に亘って繋がる電極29A、29B、29Cが密着形成され、各電極29A、29B、29Cは駆動信号発生部100に接続している。
この駆動信号発生部100は、複数の駆動パルスを含む一連の駆動信号を各画素周期毎に発生する駆動信号発生回路と、各チャネル毎に前記駆動信号発生回路から供給された駆動信号の中から各画素のデータに応じて駆動パルスを選択して各チャネルに供給する駆動パルス選択回路とからなり、各画素のデータに応じて電気・機械変換手段としての隔壁27を駆動するための駆動パルスを供給する。この駆動パルスには、微振動パルスと吐出パルスとを含んでいる。ここで、駆動信号発生回路が、請求項の駆動信号生成手段に相当し、駆動パルス選択回路が、請求項の駆動パルス選択手段に相当する。
各隔壁27は、ここでは図3の矢印で示すように分極方向が異なる2枚の圧電材料27a、27bによって構成されているが、圧電材料は例えば符号27aの部分のみであってもよく、隔壁27の少なくとも一部にあればよい。
各隔壁27表面に密着形成された電極29A、29B、29Cに駆動信号発生部100の制御により吐出パルスが印加されると、以下に例示する動作によってインク滴をノズル23から吐出する。なお、図3ではノズルは省略してある。
まず、電極29A、29B、29Cのいずれにも吐出パルスが印加されない時は、隔壁27A、27B、27Cのいずれも変形しないが、図3(a)に示す状態において、電極29A及び29Cを接地すると共に電極29Bに吐出パルスを印加すると、隔壁27B、27Cを構成する圧電材料の分極方向に直角な方向の電界が生じ、各隔壁27B、27C共に、それぞれ隔壁27a、27bの接合面にズリ変形を生じ、図3(b)に示すように隔壁27B、27Cは互いに外側に向けて変形し、チャネル28Bの容積を拡大してチャネル28B内に負の圧力が生じてインクが流れ込む(Draw)。
また、この状態から電位を0に戻すと、隔壁27B、27Cは図3(b)に示す膨張位置から図3(a)に示す中立位置に戻り、チャネル28B内のインクに高い圧力が掛かる(Release)。次いで、図3(c)に示すように、隔壁27B、27Cを互いに逆方向に変形するように吐出パルスを印加して、チャネル28Bの容積を縮小すると、チャネル28B内に正の圧力が生じる(Reinforce)。これによりチャネル28Bを満たしているインクの一部によるノズル内のインクメニスカスがノズルから押し出される方向に変化する。この正の圧力がインク滴をノズルから吐出する程に大きくなると、インク滴はノズルから吐出する。他の各チャネルも吐出パルスの印加によって上記と同様に動作する。このような吐出法をDRR駆動法と呼び、シェアモードタイプの記録ヘッドの代表的な駆動法である。
このように少なくとも一部が圧電材料で構成された隔壁27によって隔てられた複数のチャネル28を有する記録ヘッド2を駆動する場合、一つのチャネルの隔壁が吐出の動作をすると、隣のチャネルが影響を受けるため、通常、複数のチャネル28のうち、互いに1本以上のチャネル28を挟んで離れているチャネル28をまとめて1つの組となすようにして、2つ以上の組に分割し、各組毎にインク吐出動作を時分割で順次行うように駆動制御される。例えば、全チャネル28を駆動してベタ画像を出力する場合には、チャネル28を2チャネルおきに選んで3相に分けて吐出する、いわゆる3サイクル吐出法が行われる。
かかる3サイクル吐出動作について図4を用いて更に説明する。図4に示す例では、記録ヘッドはチャネルがA1、B1、C1、A2、B2、C2、A3、B3、C3の9つのチャネル28で構成されているとして説明する。また、このときのA、B、Cの各組のチャネル28に印加されるパルス波形のタイミングチャートを図5に示す。
インク吐出時には、まずA組(A1、A2、A3)の各チャネルの電極に電圧を掛け、その両隣のチャネルの電極を接地する。例えばA組のチャネルに1AL幅の正電圧の吐出パルスを掛けると、吐出したいA組のチャネルの隔壁が外側に変形し、そのチャネル28内に負圧が発生する。この負圧により、インクタンクからA組のチャネル28にインクが流れ込む(Draw)。
この状態を1AL間保つと、圧力が正圧に反転するので、このタイミングで電極を接地すると、隔壁の変形が元に戻り、高い圧力がA組のチャネル28内のインクに掛かる(Release)。更に、同じタイミングでA組の各チャネルの電極に負電圧を掛けると、隔壁が内側に変形し、更に高い圧力がインクに掛かり(Reinforce)、ノズルからインク柱が押し出される。1AL後、圧力が反転してチャネル28内が負圧になり、更に1AL経過すると、チャネル28内の圧力が反転して正圧になるので、このタイミングで電極を接地すると、隔壁の変形が元に戻り、残留する圧力波をキャンセルできる。
続いてB組(B1、B2、B3)の各チャネル28、更に続いてC組(C1、C2、C3)の各チャネル28へと上記同様に動作する。
なお、AL(Acoustic Length)とは、上述したように、チャネルの音響的共振周期の1/2である。このALは、電気・機械変換手段である隔壁27に矩形波の電圧パルスを印加して吐出するインク滴の速度を測定し、矩形波の電圧値を一定にして矩形波のパルス幅を変化させたときに、インク滴の飛翔速度が最大になるパルス幅として求められる。また、パルスとは、一定電圧波高値の矩形波であり、0Vを0%、波高値電圧を100%とした場合に、パルス幅とは、電圧の0Vからの立ち上がり10%と波高値電圧からの立ち下がり10%との間の時間として定義する。更に、ここで矩形波とは、電圧の10%と90%との間の立ち上がり時間、立ち下がり時間のいずれもがALの1/2、好ましくは1/4以内であるような波形を指す。
かかるせん断モードタイプのインクジェット記録ヘッドでは、隔壁の変形は壁の両側に設けられる電極に掛かる電圧差で起こるので、インク吐出を行うチャネルの電極に負電圧を掛ける代わりに、図6に示すように、インク吐出を行うチャネルの電極を接地して、その両隣のチャネルの電極に正電圧を掛けるようにしても同様に動作させることができる。この後者の方法によれば、正電圧だけで駆動させることができるために好ましい態様である。
次に、図7及び図8を用いて、かかるシェアモードタイプの記録ヘッド2において、メニスカスに微振動を与える動作について説明する。ここでも上記同様に3サイクル吐出動作を行うものについて説明する。また、ここでは、駆動波形電圧に正電圧のみを使用し、A組→B組→C組の順に吐出させるものとする。また、ここでは、駆動信号は微振動パルスと吐出パルス各1種の駆動パルスで構成されたものを例に説明する。
本発明において、ノズルからインク滴を吐出させない程度に微振動させる微振動パルスは、吐出パルスを印加する場合と同様、図3に示す駆動信号発生部100において生成される。本発明における微振動パルスは矩形波からなり、パルス幅が(2n)AL(nは1以上の整数)の矩形波を少なくとも1つ含むことを特徴としている。
本発明では微振動パルスに矩形波を用いることで、台形波を使用する方法に比べてメニスカスを微振動させる効率が良く、低い駆動電圧で振動させることができる上に、簡単なデジタル回路で駆動回路を設計できる効果がある。
例えば、図7に示す例では、画像記録領域内において、始めにA組のチャネルの電極を接地し、B組及びC組のチャネルの電極に1AL幅の正電圧の矩形波からなる微振動パルスと2AL幅の正電圧の矩形波からなる微振動パルスを1AL間隔をおいて印加している。これによりA組のチャネルのノズル内のメニスカスは、ノズルからインク滴を吐出させない程度に押し出させるように微振動が与えられ、B組及びC組の各チャネルは片側の隔壁のみが変位して、A組のチャネルの半分の強度の微振動が与えられる。
続いて、A組のチャネルに1AL幅の正電圧の吐出パルスを与え、引き続き2AL幅の正電圧の吐出パルスをB組及びC組のチャネルにそれぞれ与えると、上述したDRR駆動法によりA組のチャネルからインクが吐出され、画素が記録される。マルチドロップ吐出を行う場合には、吐出したい液滴数分だけこの2種類のパルスを繰り返す。
A組のチャネルからの吐出が終了し、続いてB組のチャネルから吐出させる場合も同様に、B組のチャネルの電極を接地してからA組及びC組のチャネルの電極にそれぞれ1AL幅の正電圧の微振動パルスと2AL幅の正電圧の微振動パルスを1AL間隔をおいて印加し、メニスカスを微振動させる。その後、B組のチャネルの電極に1AL幅の正電圧の吐出パルスを与え、引き続き2AL幅の正電圧の吐出パルスをA組及びC組のチャネルの電極に与えることでB組のチャネルからの吐出が行われ、画素が記録される。C組のチャネルの微振動パルスの印加及び吐出も同様に行われる。
次に、A組、B組、C組のチャネルがいずれも吐出を行わず、A組→B組→C組の順にメニスカスに微振動を与える場合について、図8を用いて説明する。
図7と同様、始めにA組のチャネルの電極は接地し、B組及びC組のチャネルの電極に1AL幅の正電圧の微振動パルスと2AL幅の正電圧の微振動パルスを1AL間隔をおいて印加することで、A組のチャネルのノズル内のメニスカスに微振動が与えられる。続いて、A組、B組、C組いずれのチャネルにも2AL幅の正電圧のパルスを与えると、隔壁は変位しないためインク吐出も行われない。
続いて、各画素内における駆動パルスの選択方法について、図9を用いて説明する。図9のON波形およびOFF波形は、駆動信号発生回路が生成する2種類の駆動信号を示す。この駆動信号は、微振動パルス(1)と吐出パルス(2)、(3)との3種の駆動パルスで構成されており、2ドロップのマルチドロップ吐出の選択が可能な駆動信号の例である。ON波形およびOFF波形は、各チャネルの駆動パルス選択回路にそれぞれ供給されており、各チャネルの印字データに応じたパルス選択ゲート信号の制御により、各チャネルの電極へ選択的に供給される。駆動パルス選択回路は、パルス選択ゲート信号がHighのときにはON波形を電極に供給し、パルス選択ゲート信号がLowのときにはOFF波形を電極に供給する。図9は、A組、B組、C組の各チャネル駆動の1周期分を表記しているが、以降は、A組チャネル駆動のタイミングを例として説明する。
微振動パルスの印加前の期間および微振動パルスの印加後から吐出パルスの印加前までの期間、吐出パルス印加後の期間には、それぞれパルス分割信号が印加される。画素の印字データが与えられると、それに応じてパルス分割信号に同期したパルス選択ゲート信号がONとなる。A組チャネルに対応するパルス選択ゲート信号がONである期間(図9の(1)〜(2))は、A組チャネルの電極には駆動波形のON波形が印加され、このとき、B組およびC組チャネルに対応するパルス選択ゲート信号はOFFであるから、B組およびC組のチャネルの電極にはOFF波形が印加されて、A組チャネルの両側の隔壁が変位する。また、図9の(3)の期間は、A組、B組、C組のパルス選択ゲート信号がいずれもOFFであるため、A組、B組、C組のチャネルの電極にはOFF波形が印加されて、いずれの隔壁も変位しない。
B組、C組チャネル駆動のタイミングも同様に動作する。
このように、印字画素(図7の場合)にも非印字画素(図8の場合)にも常に、微振動パルスを印加していることで、ノズル開口付近のインクの増粘を効果的に抑制することができる。
特に、図7に示したように、画像記録領域内の全ての印字画素に、吐出パルスに先立って微振動パルスが印加されるようにすれば、印字を行う各画素の直前に常にメニスカスに微振動が与えられるため、常に安定したインク吐出により高画質の記録を行うことができ、しかも、連続吐出中においては、先に吐出した際の残留圧力を微振動パルスの印加によりキャンセルすることができるため、より高品質の画像記録が可能となる。
なお、吐出パルスに先立ってとは、微振動させた後のインク滴の吐出において、デキャップ特性の改善に効果が見られる範囲の時間を指す。
このように画像記録領域内の全ての印字画素に微振動パルスが印加される場合、ノズル先端からインク滴を吐出させない程度に微振動させるメニスカスの最大押し出し量は、ノズル半径以下であることが好ましい。メニスカス微振動による押し出し量が大きいと、直後のインク吐出のタイミングまでにメニスカスが戻りきれず、安定な吐出が困難となるが、この場合のメニスカスの押し出し量をノズル半径以下に抑制することで、メニスカス微振動直後でも安定した吐出が可能となる。
なお、最大押し出し量とは、1回のメニスカス押し出し動作におけるノズル先端からのメニスカスの押し出し量の最大値である。ノズル23からのメニスカスの押し出し量は、例えば、KEYENCE社製デジタルマイクロスコープ「VH−6300」を用いてストロボ同期により測定することができる。押し出し量は、図12に示すように、メニスカスMのノズル23の略中央部におけるノズル先端からの突出量を、ノズル形成部材22と略垂直方向に測定した値である。
また、ノズル23の開口形状は真円に限らず楕円形状等様々であるが、ここでノズル半径とは、ノズル23のインクの先端(ノズル形成部材22の表面)側の最長径の1/2のことである。
本発明において、偶数AL幅、即ちパルス幅が(2n)ALの矩形波は微振動パルス中に少なくとも1つ含まれればよいが、図7及び図8に示したように、パルス幅(2n)ALの矩形波が一連の微振動パルス中の最後に少なくとも含まれるようにすると、微振動パルスによる残留圧力波をキャンセルする効果があるために、メニスカスを微振動させた直後に吐出を行うような高周波駆動を行う場合に好ましい。
また、ここでは奇数AL幅の微振動パルスでメニスカスを大きく微振動させた1AL後に、偶数AL幅の微振動パルスで再度微振動させ、残留する圧力波をキャンセルしてから吐出するので、デキャップ特性の改善効果が大きく、且つ安定した吐出が可能である。
なお、微振動パルスの最後にパルス幅(2n)ALの矩形波が印加される場合は、図7に示すように、その1AL後に吐出パルスを印加することが好ましい。その理由は、微振動パルスによる残留圧力波のキャンセルは必ずしも完全ではないため、微振動パルスの1AL後に吐出パルスを印加すると、残留した圧力波と吐出パルスによる圧力波とが逆位相となり、残留圧力波の吐出パルスへの影響を最小にすることができるためである。
以上の例では、n=1として、パルス幅が2ALの微振動パルスを1つ含むようにしているが、nは2以上の整数でもよい。図7〜図9では、微振動パルスがパルス幅1ALと2ALの矩形波を含むものとしているが、この場合は短時間にメニスカスを効率良く微振動させることができるために、特にデキャップ現象の激しい系で、メニスカス微振動直後にインク吐出を行うような高周波駆動時において、画像記録速度をあまり低下させることなく全ての画素でメニスカスを微振動させることができるために好ましい態様である。また、微振動パルスがパルス幅2ALの矩形波のみを含むものは、最短の周期で全ての画素毎にメニスカスを微振動させることができるので、特に高速描画を達成する場合に好ましい態様である。
なお、微振動パルス中にパルス幅が(2n)ALの矩形波が2つ以上含まれる場合、それぞれでnが異なっていてもよく、また、微振動パルスが、パルス幅が(2n)ALの矩形波を少なくとも1つ含む2以上の複数の微振動パルスを有している場合、先の矩形波と後の矩形波との間隔はALの整数倍とすると、メニスカスを効率的に微振動させることができるために好ましい。
図5、図6、図7及び図9に示す例では、吐出パルスは、チャネルの容積を膨張させ1AL後に元に戻す矩形波からなる第1のパルスに引き続いてチャネルの容積を収縮させ2AL後に元に戻す矩形波からなる第2のパルスとからなり、第1のパルスの電圧Vonが第2のパルスの電圧Voffよりも大きい。特に、この第1のパルスの電圧Vonと第2のパルスの電圧Voffとの電圧比は、Von/Voff=2/1付近が好ましい。VonをVoffよりも大きく設定することは、特に吐出する液体の粘度が高い場合においてチャネル内へのインクの供給を促進する効果があり好ましい態様である。微振動パルスは、チャネルの容積を収縮させた後に元に戻す矩形波のみからなり、前記吐出パルスの第2のパルスの電圧Voffと同電圧に設定している。これは、吐出パルス及び微振動パルスを発生するための駆動信号発生部100における電源電圧数を少なくして回路コストを下げることができるために好ましい態様である。また、微振動パルスの電圧を電圧の低いVoff電圧に設定することで、微振動が強く掛かりすぎることがなく、インク滴をノズルから吐出させない程度の微振動を効率良く掛けることができる。なお、吐出パルスとしては、本実施形態において用いたものに限らず、チャネルの容積を膨張させ一定時間後にチャネルの容積を元に戻すか、収縮させることにより液滴を吐出させるパルスを含む駆動パルスであればよい。
本発明における電気・機械変換手段は、以上説明したように、隣接するチャネル間の隔壁を形成し、且つ電界を印加することによりせん断モードで変形する圧電材料により構成されるものに限らず、記録ヘッドにチャネルの容積を変化させる機能を与えるものであればどのような構成であってもよいが、本実施形態において示したように、せん断モードで変形する圧電材料により構成される場合には、上記した矩形波をより効果的に利用することができ、駆動電圧を低下させ、より効率的な駆動が可能となるために好ましい。
また、以上の説明では、液滴吐出装置としてインクジェット記録装置の適用例を示し、また、液滴吐出ヘッドとしてインクジェット記録ヘッドの適用例を示したが、本発明は、これに限定されるものではなく、増粘し易いチャネル内の液体を液滴としてノズルから吐出させる液滴吐出装置及び液滴吐出ヘッドの駆動方法として広く適用可能である。
(出射安定性の評価1)
図2に示すシェアモードタイプの記録ヘッド(ノズル数:256、ノズル径23μm)の各チャネルを図4に示したように3群に分け、図10(a)〜(f)に示す微振動パルス及び吐出パルスを用いて、以下の条件で3サイクル駆動を行った。このときの出射安定性及びデキャップ特性改善効果を下記の方法で測定した結果を表1に示す。
条件
ヘッド:AL=2.0μs
インク:水性インク
(粘度5.5mPa・s、表面張力41mN/m at25℃)
駆動電圧比:Von/Voff=2/1
駆動周期:33μs
出射安定性の測定方法
それぞれの微振動パルス印加条件において、電位差Von、Voffを変化させることによりインク滴の飛翔速度を上げていき、飛翔状態を観察した。吐出方向の曲がりやサテライトの飛散などが起こらない飛翔速度の上限を安定出射速度上限と定めた。
出射安定性の評価基準
○:8m/s≦安定出射速度上限
△:6m/s≦安定出射速度上限<8m/s
×:安定出射速度上限<6m/s
デキャップ特性の測定方法
それぞれの微振動パルス印加条件において、定常駆動時のインク滴の飛翔速度が6m/sとなる電圧に駆動電圧を固定(Von/Voff=2/1)し、吐出間隔を広げながらインクを吐出した時の初発速度の変化を測定した。そのときの速度変化が小さい程、大きな改善効果ありと認められる。
Figure 0004534504
表1に示す通り、パルス幅がALの奇数倍である矩形波のみからなる微振動パルスを印加した場合には、出射安定性が十分ではないが、パルス幅がALの偶数倍である矩形波を含む微振動パルスを印加した場合には、メニスカスを微振動させた直後でも安定した吐出が可能となる。
(デキャップ特性の評価)
出射安定性の評価1の場合と同様のシェアモードタイプの記録ヘッドの各チャネルを3群に分け、図10に示す微振動パルス及び吐出パルスを用いて、以下の条件で3サイクル駆動を行い、低温・低湿環境におけるデキャップ特性の改善効果と駆動電圧について評価した。
デキャップ特性は任意の1ノズルについて、下記の方法を用いて測定した。その結果を図11及び表2に示す。
条件
ヘッド:AL=2.0μs
インク:水性顔料インク
(粘度11mPa・s、表面張力34mN/m at11℃)
駆動電圧比:Von/Voff=2/1
駆動周期:33μs
環境:11℃、35%RH
デキャップ特性の測定方法
非印字画素及び印字画素に微振動パルスを印加しない条件と、全ての画素に図10(c)及び同図(f)の微振動パルスを印加した条件について、駆動電圧を変化させながら20発目の飛翔速度を測定した(Von/Voff=2/1に固定)。飛翔速度が6m/sになるときの駆動電圧(Von)を表2に示す。
この定常駆動時の飛翔速度が6m/sとなる電圧に駆動電圧を固定し、吐出間隔を広げながらインクを吐出した時の初発速度の変化を測定した。そのときの速度変化が小さい程、大きな改善効果ありと認められる。
Figure 0004534504
表2の実施例3、実施例4に示す通り、吐出前に微振動パルスを印加すると、低温・低湿環境のデキャップ現象の防止に有効であることが確認された。全ての画素に微振動パルスを印加するため、画像記録領域内端部のみ吐出等のパターンでも、安定した液滴形成が可能となる。また、吐出前のメニスカスを微振動させることで、駆動効率向上(駆動電圧低下)の効果も得られる。
(出射安定性の評価2)
出射安定性の評価1の場合と同様のシェアモードタイプの記録ヘッドの各チャネルを3群に分け、図10(f)中の微振動パルスのみを印加したときのノズルからのインクメニスカス押し出し量を、測定器:KEYENCE社製デジタルマイクロスコープを用いて測定した。
この結果と、同図に示す微振動パルスと吐出パルスを用いて下記の方法で出射安定性及びデキャップ特性改善効果を測定した結果を表3に示す。
条件
ヘッド:AL=2.0μs
インク:水性インク
(粘度5.5mPa・s、表面張力41mN/m at25℃)
駆動電圧:Von=17.8V、Voff=8.9V
駆動周期:33μs
出射安定性の測定方法
吐出駆動電圧を固定したインク滴の飛翔速度一定(6m/s)の条件で、微振動パルス電圧のみを変化させたときの飛翔状態を観察した。
出射安定性の評価基準
○:吐出曲がり・ミスファイアなし、メニスカス安定
△:一部、吐出曲がり・ミスファイア発生
×:吐出曲がり・ミスファイア発生、メニスカス不安定
デキャップ特性の測定方法
それぞれの微振動パルス印加条件において、定常駆動時のインク滴の飛翔速度が6m/sとなる電圧に吐出駆動電圧を固定し、微振動パルス電圧のみを変化させた条件で、吐出間隔を広げながらインクを吐出した時の初発速度の変化を測定した。そのときの速度変化が小さい程、大きな改善効果ありと認められる。
Figure 0004534504
表3の実施例5、実施例6に示す通り、微振動パルスによるメニスカス押し出し量がノズル半径(11.5μm)以下であれば、微振動パルス印加直後でも出射安定性が良好であることがわかる。従って、高周波駆動時においても常にメニスカスに微振動を与えることが可能となる。
なお、比較例7、比較例8は、いずれもメニスカス押し出し量がノズル半径より大きくなっている。微振動波形のみを印加する場合には、メニスカスの最大押し出し量がノズル半径の3倍程度までなってもミスファイア(誤吐出)を生じないが、微振動波形の前後に吐出波形を印加する場合においては、メニスカスの最大押し出し量がノズル半径を越える(微振動波形のみの印加状態での測定値)ようになるとミスファイアを発生し易くなる。このため、比較例7では記録ヘッドの全ノズルのうち部分的に、比較例8では全体的にミスファイアが発生した。
インクジェット記録装置の概略構成を示す図 (a)は記録ヘッドの一例を示す概観斜視図、(b)は断面図 (a)〜(c)は記録ヘッドのインク吐出時の作動を示す図 (a)〜(c)は記録ヘッドの時分割動作の説明図 A、B、Cの各組のチャネルに印加されるパルス波形のタイミングチャート 正電圧のみを用いた場合のパルス波形のタイミングチャート 全ての印字画素に対するメニスカス微振動時のA、B、Cの各組のチャネルに印加されるパルス波形のタイミングチャート 非印字画素に対するメニスカス微振動時のA、B、Cの各組のチャネルに印加されるパルス波形のタイミングチャート 微振動パルスおよび吐出パルスがA組、B組、C組のチャネルに選択的に印加される例を示すタイミングチャート (a)〜(f)はそれぞれ微振動パルス及び吐出パルスのパルス波形を示す図 デキャップ特性測定結果を示すグラフ ノズル先端からのメニスカスの押し出し量を説明する図
符号の説明
1:インクジェット記録装置
2:記録ヘッド
21:インクチューブ
22:ノズル形成部材
23:ノズル
24:カバープレート
25:インク供給口
26:基板
27:隔壁
28:チャネル
3:搬送機構
31:搬送ローラ
32:搬送ローラ対
33:搬送モータ
4:ガイドレール
5:キャリッジ
6:フレキシケーブル
7、8:インク受け器
100:駆動信号発生部
P:記録媒体
PS:記録面

Claims (20)

  1. 複数の駆動パルスを含んでなる駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、
    各画素のデータに応じて駆動パルスを選択する駆動パルス選択手段と、
    選択された駆動パルスに基づいてチャネルの容積を変化させることにより前記チャネルに対応して設けられたノズルから液滴を吐出させるヘッドと、を有する液滴吐出装置であって、
    前記駆動信号が、前記ノズル内のメニスカスをノズルから液滴を吐出させない程度に微振動させるための駆動パルスとして、矩形波からなる微振動パルスであって、パルス幅が1ALと2ALの矩形波(ALはチャネルの音響的共振周期の1/2)を含む微振動パルスを含み、且つ、前記微振動パルスは、液滴を吐出する吐出パルスに先立って印加されることを特徴とする液滴吐出装置。
  2. 前記微振動パルスは、前記1ALの矩形波の1AL後に前記2ALの矩形波を印加することを特徴とする請求項1記載の液滴吐出装置。
  3. 前記微振動パルスは、一連の該微振動パルスの印加開始から前記吐出パルスの印加前の期間において、前記2ALの矩形波が少なくとも最後に印加されることを特徴とする請求項1又は2記載の液滴吐出装置。
  4. 前記最後に印加される2ALの矩形波の1AL後に、前記吐出パルスを印加することを特徴とする請求項記載の液滴吐出装置。
  5. 前記液滴を吐出させる吐出パルスは、チャネルの容積を膨張させ1AL後に元に戻す矩形波からなる第1のパルスと、チャネルの容積を収縮させ一定時間後に元に戻す矩形波からなる第2のパルスとを含み、第1のパルスの電圧Vonが第2のパルスの電圧Voffよりも大きいことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  6. 前記微振動パルスは、チャネルの容積を収縮させた後に元に戻す矩形波からなり、前記吐出パルスの第2のパルスの電圧Voffと同電圧であることを特徴とする請求項記載の液滴吐出装置。
  7. 前記微振動パルスによるメニスカスの最大押し出し量が、ノズル半径以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  8. 前記ヘッドは、前記吐出パルス又は前記微振動パルスの印加により前記チャネルの容積を変化させる電気・機械変換手段を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  9. 前記電気・機械変換手段は、隣接するチャネル間の隔壁を形成し、且つ電圧を印加することによりせん断モードで変形する圧電材料により構成されることを特徴とする請求項記載の液滴吐出装置。
  10. 前記液滴はインクであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  11. 複数の駆動パルスを含んでなる駆動信号を駆動信号生成手段により発生させ、
    駆動パルス選択手段により各画素のデータに応じて駆動パルスを選択し、
    選択された駆動パルスに基づいて液滴吐出ヘッドのチャネルの容積を変化させることにより前記チャネルに対応して設けられたノズルから液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドの駆動方法であって、
    前記駆動信号が、前記ノズル内のメニスカスをノズルから液滴を吐出させない程度に微振動させるための駆動パルスとして、矩形波からなる微振動パルスであって、パルス幅が1ALと2ALの矩形波(ALはチャネルの音響的共振周期の1/2)を含み、前記液滴吐出ヘッドに対して、液滴を吐出する吐出パルスに先立って前記微振動パルスを印加することにより、前記ノズル内のメニスカスをノズルから液滴を吐出させない程度に微振動させることを特徴とする液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  12. 前記微振動パルスは、前記1ALの矩形波の1AL後に前記2ALの矩形波を印加することを特徴とする請求項11記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  13. 前記微振動パルスは、一連の該微振動パルスの印加開始から前記吐出パルスの印加前の期間において、前記2ALの矩形波が少なくとも最後に印加されることを特徴とする請求項11又は12記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  14. 前記最後に印加される2ALの矩形波の1AL後に、前記吐出パルスを印加することを特徴とする請求項13記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  15. 前記液滴を吐出させる吐出パルスは、チャネルの容積を膨張させ1AL後に元に戻す矩形波からなる第1のパルスと、チャネルの容積を収縮させ一定時間後に元に戻す矩形波からなる第2のパルスとを含み、第1のパルスの電圧Vonが第2のパルスの電圧Voffよりも大きいことを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  16. 前記微振動パルスは、チャネルの容積を収縮させた後に元に戻す矩形波からなり、前記吐出パルスの第2のパルスの電圧Voffと同電圧であることを特徴とする請求項15記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  17. 前記微振動パルスによるメニスカスの最大押し出し量が、ノズル半径以下であることを特徴とする請求項11〜16のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  18. 前記液滴吐出ヘッドは、前記吐出パルス又は前記微振動パルスの印加により前記チャネルの容積を変化させる電気・機械変換手段を有することを特徴とする請求項11〜17のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  19. 前記電気・機械変換手段は、隣接するチャネル間の隔壁を形成し、且つ電圧を印加することによりせん断モードで変形する圧電材料により構成されることを特徴とする請求項18記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  20. 前記液滴はインクであることを特徴とする請求項11〜19のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法。
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