JP4532732B2 - コンクリート部材を接合するための装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、二つのコンクリート部材を相互に結合するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
二つのコンクリート部材を相互に結合するためのこのような装置は、欧州特許公開公報EP−A−0651135号公報に開示してあり、その公報では、二つのスリーブがそれぞれのコンクリート要素に型成形埋め込みされており、これらのスリーブの内の1つの内部のリブ状の連結部材が、その他のスリーブの内部に強制的に入り込み、傾斜しているリブ間での相互作用により、楔止めされる。その他のこのような装置としては、日本国特許出願公開公報H10−131306号(JP10131306−A)においても知られている。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の観点によれば、
二つのコンクリート部材を接合するための装置であって、
当該装置が、
前記コンクリート部材の内の1つのコンクリート部材の端面で開口するように、前記コンクリート部材内にアンカー埋め込みされる雌部材と、
前記コンクリート部材の内の他の1つのコンクリート部材の内部にアンカー埋め込みされる雄部材と、を有し、
前記雌部材には、スロット部およびアンダーカット部が形成してあり、前記雄部材が、記雌部材の前記アンダーカット部内に係合する頭部を持ち、これらの雄部材および雌部材が楔作用により保持されるようになっている装置において、
前記雌部材が弾性材料で構成してあり、前記雄部材が弾性材料で構成してあり、前記頭部が、ウェブを介して、前記雄部材をアンカー埋め込みするための本体に接続してあり、前記ウェブは、前記スロット内に対してスライド移動自在であり、前記頭部は、前記雌部材の前記アンダーカット部内に係合可能であり、前記雄部材および雌部材の内の少なくともいずれかは、前記ウェブが前記スロット部内に沿って移動するにつれて、前記頭部を前記雌部材の内部に引き込むことにより前記楔作用を提供するようになっている傾斜係合面を持つことを特徴とする装置を提供する。
【0004】
これらのコンクリート部材は、たとえばトンネル内壁リングまたはシャフトなどを形成するためのコンクリート要素であっても良い。
【0005】
本発明の他の観点によれば、二つの要素部材と、これら二つの要素部材相互を接合するように本質的に適合された装置と、を有するコンクリート要素接合システムを提供する。
【0006】
雄部材および雌部材は、高グレード弾性重合体材料で構成することができる。
【0007】
雄部材および雌部材の双方には、それらの間に楔作用を提供する傾斜係合面が具備してあっても良い。
【0008】
雌部材には、そのスロット部の近傍において、雄部材の頭部を受けるための開口部が具備してあっても良く、雄部材の頭部を雌部材のアンダーカット部内に受けられるようにしても良い。
【0009】
雌部材における傾斜係合面は、スロット部の一端から他端へと延び、その傾斜係合面の高さは、スロット部における入口側端から他端に向けて増大するようにしても良い。
【0010】
雄部材に対して傾斜係合面が具備してある場合には、この傾斜係合面の高さは、雌部材のアンダーカット部内に最初に入り込むように意図してある雄部材の一方の側部から雄部材の他方の側部へ向けて増大させるようにすることもできる。
【0011】
雌部材は、雄部材が双方向から入り込むことができるように双方向挿入部材として成形してあっても良い。別言すれば、雌部材には、そのスロットのいずれの端からも、そのアンダーカット部内に雄部材を受けることができるように、そのスロットの各端には、開口部が具備してあっても良い。雄部材に傾斜係合面が形成される場合には、その傾斜係合面は、そのスロット部の両端から立ち上がり、平坦な中央ランド部を持つ坂状面であっても良い。
【0012】
雄部材は、雌部材にとっての相補的な双方向挿入部材として成形されても良く、平坦な中央ランド部を持つ坂状の傾斜係合面を具備しても良い。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のより良い理解のために、そして、本発明がどのようにして効果的に実現されるかを示すために、以下、図面を参照として、実施形態に基づき説明する。ここにおいて、
図1は相互に接合されたコンクリート要素から成るトンネル内壁リングの概略図、
図2は図1に示す二つのコンクリート要素の一部の概略斜視図、
図3(A)は図2に示すコンクリート要素の内の1つの端面領域を示す概略斜視図であり、二つのコンクリート要素を相互に接合するための装置の二つの雄部材を示す図、
図3(B)は図3(A)と同様な図であり、装置における二つの雌部材を示し、これらの図3(A)および図3(B)は接合する前の状態のコンクリート要素を示す図、
図4は相互に近接する位置に置かれるが接合する前の状態を示す二つのコンクリート要素における二つの端面の概略断面図、
図5は図4と同様な概略断面図であるが、二つのコンクリート要素の接合後の状態を示す図、
図6(A)は雌部材の端面図、
図6(B)は図6(A)のB−B線に沿う断面図、
図6(C)は図6(A)のC−C線に沿う断面図、
図7(A)は雄部材の側面図、
図7(B)は図7(A)のB−B線に沿う断面図、
図7(C)は図7(A)のC−C線に沿う断面図、
図7(D)は雄部材の一端面を示す図、
図7(E)は雄部材の他端面を示す図、
図8(A)は変形例に係る雌部材の端面図、
図8(B)は図8(A)のB−B線に沿う断面図、
図9(A)は図8(A)および図8(B)に示す雌部材に対応する変形例に係る雄部材を示す側面図、
図9(B)は図9(A)に示す変形例に係る雄部材の端面図、
図9(C)は図9(A)に示すC−C線に沿う断面図である。
【0014】
図1はコンクリート要素1および2を含むコンクリート要素(コンクリートセグメント)を相互に接合して成るトンネルまたはシャフト内壁リングを示す。
【0015】
図2に示すように、コンクリート要素1および2の端面3および4が、それぞれ相互に近接して置かれ、接合部5で接合してある。
【0016】
図3(A)および図3(B)に示すように、接合部5には、二つのコンクリート要素1,2を接合するための装置が具備してあり、その装置は、コンクリート要素1にアンカー埋め込み固着された雌部材6(図3(B)では二つの雌部材が図示してある)と、コンクリート要素2にアンカー埋め込み固着された雄部材7(図3Aでは二つの雄部材が図示してある)とを有する。図3(B)では、コンクリート要素1が180度反転して逆に描かれている。
【0017】
雌部材6はコンクリート要素1の端面3において開口するように、端面3の内部に型成形により一体化して埋め込まれる。一方、雄部材7は、コンクリート要素2の端面4において、端面から突き出るように、型成形により一体化してアンカー埋め込み固着される。図示する例では、各雄部材7の約1/3が端面4から突き出ている。
【0018】
雌部材6には、それぞれ雄部材7の頭部7Aを受けるための凹所6Aが具備してあり、その頭部7Aは、ウェブ7Bを介して、コンクリート要素2の内部に埋め込まれた本体7C(図7参照)に対して連結してある。
【0019】
各雌部材6には、各ウェブ7Bを受けるスロット部6Bが形成してあると共に、頭部7Aを受けるためのアンダーカット部6C(図6)が形成してある。
【0020】
雌部材6には、ウェブおよび本体部分6Dが具備してあり、その本体部分により雌部材がコンクリート要素1に対してアンカー効果で固着してある。
【0021】
図4は、二つのコンクリート要素1,2を相互に接合する初期段階を示す。最初に、二つの面3および4を相互に突き合せ、雌部材6の凹所6Aに雄部材7の頭部7Aが入り込むようにする。次に、一方のコンクリート要素を他方のコンクリート要素に対して相対移動させ(図4では、コンクリート要素1をコンクリート要素2に対して矢印方向に移動させる)、相対位置が図5に示す状態となるようにする。典型的なトンネルシールド工法では、この移動は、たとえば流体圧利用ラム装置により達成され、一方のコンクリート要素を他方のコンクリート要素に対して強制的に側方移動させ、それらの位置合わせを行う。この移動により、雄部材7のウェブ7Bが雌部材6のスロット部6B内にスライド移動し、頭部7Aがアンダーカット部6C内に入り込むことになる。
【0022】
一方の部材を他方の部材に対して緊密に係合させ締め付けるために、両方の部材6および7には、傾斜係合面8,9がそれぞれ具備してあり、ウェブ7Bがスロット6Bに沿って移動するにつれて、頭部7が雌部材6の内部にさらに引きつけられ、楔効果が生じるようになっている。特に、これらの部材6および7の材質の弾力性および傾斜角度などにより、形成される結合の固着力が決定される。
【0023】
図8(A)、図8(B)および図9(A)〜図9(C)に示すように、変形例の構成では、雌部材のいずれの端部からでも雄部材の挿入を容易にする例が示してある。
【0024】
雌部材10は、雄部材11にとって2方向から挿入可能な部材となるように形成してあり、その雌部材10には、そのスロット部における各端部に、開口部10Aが具備してあり、スロット部の何れの端部からも、そのアンダーカット部内に雄部材11を受けるようになっている。
【0025】
図示するように、雌部材10は、スロットの両端部から立ち上がり、平坦な中央ランド部10Cを持つ坂状に傾斜した係合面10Bを有する。
【0026】
それに対応する図示する例に係る雄部材11には、平坦な中央ランド部11Bを持つ坂状に傾斜した係合面11Aが具備してある。
【0027】
したがって、雌部材10に対する雄部材11の係合は、雌部材内に形成してあるスロット部のいずれの端部から挿入することでも達成することができ、二つのランド部10Cおよび11Bが相互に向き合う時に、二つの部材間で最大の結合力が得られるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は相互に接合されたコンクリート要素から成るトンネル内壁リングの概略図である。
【図2】 図2は図1に示す二つのコンクリート要素の一部の概略斜視図である。
【図3】 図3(A)は図2に示すコンクリート要素の内の1つの端面領域を示す概略斜視図であり、二つのコンクリート要素を相互に接合するための装置の二つの雄部材を示す図、図3(B)は図3(A)と同様な図であり、装置における二つの雌部材を示し、これらの図3(A)および図3(B)は接合する前の状態のコンクリート要素を示す図である。
【図4】 図4は相互に近接する位置に置かれるが接合する前の状態を示す二つのコンクリート要素における二つの端面の概略断面図である。
【図5】 図5は図4と同様な概略断面図であるが、二つのコンクリート要素の接合後の状態を示す図である。
【図6】 図6(A)は雌部材の端面図、図6(B)は図6(A)のB−B線に沿う断面図、図6(C)は図6(A)のC−C線に沿う断面図である。
【図7】 図7(A)は雄部材の側面図、図7(B)は図7(A)のB−B線に沿う断面図、図7(C)は図7(A)のC−C線に沿う断面図、図7(D)は雄部材の一端面を示す図、図7(E)は雄部材の他端面を示す図である。
【図8】 図8(A)は変形例に係る雌部材の端面図、図8(B)は図8(A)のB−B線に沿う断面図である。
【図9】 図9(A)は図8(A)および図8(B)に示す雌部材に対応する変形例に係る雄部材を示す側面図、図9(B)は図9(A)に示す変形例に係る雄部材の端面図、図9(C)は図9(A)に示すC−C線に沿う断面図である。
【符号の説明】
1,2… コンクリート要素
6,10… 雌部材
6A… 凹所(開口部)
6B… スロット部
7,11… 雄部材
7A… 頭部
7B… ウェブ
7C… 本体
Claims (11)
- 二つのコンクリート部材(1,2)を接合するための装置であって、
当該装置が、
前記コンクリート部材の内の1つのコンクリート部材(1)の端面で開口するように、前記コンクリート部材(1)内にアンカー埋め込みされる雌部材(6)と、
前記コンクリート部材の内の他の1つのコンクリート部材(2)の内部にアンカー埋め込みされる雄部材(7)と、を有し、
前記雄部材が、アンカー埋め込みされた状態で、前記雌部材に係合して、楔作用により保持されるようになっている装置において、
前記雌部材(6)には、スロット部(6B)と、アンダーカット部(6C)とが具備してあり、前記雄部材(7)は、ウェブ(7B)を介して本体(7C)に接続してある頭部(7A)を持ち、前記雌部材(6)は、弾性材料で構成され、前記雄部材(7)は、弾性材料で構成され、前記ウェブ(7B)は、前記スロット(6B)内に対してスライド移動自在であり、前記頭部(7A)は、前記雌部材(6)の前記アンダーカット部(6C)内に係合可能であり、前記雄部材および雌部材の内の少なくともいずれかは、前記ウェブ(7B)が前記スロット部(6B)内に沿って移動するにつれて、前記頭部(7A)を前記雌部材(6)の内部に引き込むことにより前記楔作用を提供するようになっている傾斜係合面(8,9)を持つことを特徴とする装置。 - 請求項1に記載の装置であり、前記雄部材および雌部材(6,7)が、弾性重合体材料で構成してある装置。
- 請求項1または2に記載の装置であり、前記雄部材および雌部材の双方に、これら雄部材および雌部材の間に楔作用を提供するための傾斜係合面(8,9)が具備してある装置。
- 請求項1,2または3に記載の装置であり、前記雌部材(6)には、スロット部(6B)の近傍に前記雄部材の頭部を受けるための開口部(6A)が具備してあり、前記雄部材の頭部を、前記雌部材のアンダーカット部内で受けるように構成して成る装置。
- 請求項4に記載の装置であり、前記雌部材に対して前記傾斜係合面(8)が具備してある場合に、当該傾斜係合面(8)が、前記スロット部(6B)の一端から他端へと延びており、その傾斜係合面の傾斜高さが、前記スロット部の入口側端から前記スロットの他端に向けて増大している装置。
- 先行する請求項1〜5のいずれかに記載の装置であり、前記雄部材が前記係合傾斜面(9)を具備する場合に、この傾斜係合面(9)の高さが、前記雌部材のアンダーカット部(6C)に対して最初に入り込むように意図してある雄部材の一方の側部から前記雄部材の他方の側部に向けて増大している装置。
- 請求項4に記載の装置であり、前記雌部材(10)には、前記雄部材の頭部を受けるために、スロット部の各端部に、開口部(10A)が具備してあると共に、前記スロット部の両端から立ち上がり、中央部に平坦なランド部を持つ坂状の傾斜係合面(10B)が具備してある装置。
- 請求項1,2,3または7に記載の装置であり、前記雄部材(11)に傾斜係合面(11A)が具備してある場合に、この傾斜係合面は、平坦な中央ランド部(11B)を持つ坂状の傾斜面である装置。
- 先行する請求項1〜8のいずれかに記載の装置であり、前記二つのコンクリート部材相互を接合するために、一対の前記雄部材(7)と、一対の前記雌部材(6)とを持つ装置。
- 先行する請求項1〜9のいずれかに記載の装置であり、相互に接合すべき前記コンクリート部材が、トンネル内壁リングまたはシャフトを形成するためのコンクリート要素である装置。
- 二つの要素部材(1,2)と、これら二つの要素部材相互を接合するための先行する請求項1〜10のいずれかに記載の装置と、を有するコンクリート要素接合システムであって、
単一または各雄部材(7)が、いずれか一方の前記要素部材にアンカー埋め込み固定してあり、単一または各雌部材(6)が、いずれか他方の前記要素部材における前記雄部材と対応する位置にアンカー埋め込み固定してあるシステム。
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