JP4532677B2 - 建物施工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の施工工期を大幅に短縮できる建物施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フーチングや基礎梁からなる基礎を有する建物の施工は、例えば、全スパンのフーチングについて配筋、型枠建込、コンクリート打設、養生、型枠解体を行った後、基礎梁についても同様に全スパンの配筋、型枠建込、コンクリート打設、養生、型枠解体を行い、その後鉄骨柱の建方や床の構築等の作業を行うという手順が通常であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように、まず基礎全体を完成させ、その後上部構造の工事に着手するという施工手順であると、各スパンについて基礎工事と上部構造工事との間に待ち時間が発生し、全体工期が長期化するという問題があった。そして、このような問題は、全スパンの基礎完成までに長期間を要する多スパン建物において特に深刻である。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、基礎全体の完成を待たずに上部構造工事を開始できる、すなわち基礎の施工と上部構造の施工とを並行して進められる建物施工方法を提案することにより、特に多スパン建物の施工工期を大幅に短縮することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、まず請求項1に係る発明は、フーチングの高さ方向下部のみをプレキャスト化したハーフPCフーチング部材を地盤上に設置し、前記ハーフPCフーチング部材の上面に柱を建てて固定した後、建物の上部構造の施工と基礎構造の施工とを並行して進めることを特徴とする建物施工方法である。
【0006】
このように、基礎全体はおろかフーチング全体の完成さえも待つことなく、フーチングの高さ方向下部だけをプレキャスト化して先行設置した後、その上にすぐに柱を建てることにより、例えば上階梁の建方作業のような上部構造工事の着手時期を各スパンについて大幅に前倒しすることが可能となる。したがって、基礎の施工と上部構造の施工とをほとんど並行して進めることができるようになり、特に多スパン建物の全体工期を大幅に短縮することができる。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の建物施工方法であって、前記ハーフPCフーチング部材の上面に、基礎梁の一部又は全部をプレキャスト化したPC基礎梁部材を架け渡すことを特徴とする。
【0008】
このように、PCフーチング部材の設置後に、基礎梁全体の配筋、型枠建込、コンクリート打設、養生、型枠解体という手順で基礎を構築していくのではなく、PCフーチング部材の上面に、基礎梁の一部又は全部をプレキャスト化したPC基礎梁部材を架け渡すことにすれば、基礎梁の工事時間を短縮できるので、全体工期をより一層短縮できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略するものとする。
【0018】
<PCフーチング部材>
図1に示すPCフーチング部材1は、フーチングHの高さ方向下部のみをプレキャスト化したハーフプレキャスト部材であって、同図中に仮想線表示された領域Aに現場打ち鉄筋コンクリートを後施工することにより、あるいは該領域Aに別個のPC部材を設置することにより、全体として必要な高さのフーチングHを構築するためのものである。
すなわち、フーチングH全体を現場打ち鉄筋コンクリート製とすれば、フーチングHの工事時間が極めて長くなって後続工事の着手が遅れるのに対し、あるいはフーチングH全体をプレキャスト化すれば、重量が大きすぎて揚重機の負担が重すぎるのに対し、フーチングHを高さ方向下部と高さ方向上部とに分け、前者のみをプレキャスト化して極力早期に設置してしまえば、例えばその上にすぐに鉄骨柱SCを建てることができる等、上部構造の工事着手時期を前倒しすることができる上、揚重機の負担も軽く済むことになる。したがって、揚重機の負担を軽くし、後続工事の着手時期を前倒しするため、PCフーチング部材1は、鉄骨柱SCやPC柱を建てるために必要最小限の高さ範囲だけPC化したものとすればよく、一般的には杭Kの杭径と同程度の高さ範囲だけPC化したものとすればよい。
【0019】
また、PCフーチング部材1には、杭K,Kと対応する平面位置において、杭Kよりも一回り大きな径の杭頭挿入孔1a,1aが高さ方向に貫通形成されている。この杭頭挿入孔1aは、直接基礎形式の建物や杭に引抜力が作用しない杭基礎形式の建物には不要であるが、杭に引抜力が作用する杭基礎形式の建物には必要となるものである。すなわち、杭Kに引抜力が作用する杭基礎形式の建物においてはフーチングHと杭Kとを固定する必要があるため、杭頭部Kaを地盤面から所定高さだけ露出させて杭Kを打設しておき、杭頭部Kaを杭頭挿入孔1aに挿入するようにしてPCフーチング部材1を設置し、杭頭挿入孔1a中の杭頭部Ka周囲にコンクリート等の充填材を注入すれば、杭頭部KaがフーチングHに所定長さのみ込まれた納まりとすることができる。
【0020】
そして、図2に示すように、杭頭挿入孔1aの内周面は、高さ方向にコッター1bが形成された凹凸面となっている。したがって、杭頭挿入孔1a中の杭頭部Ka周囲にコンクリートやモルタル等の充填材Jを注入し、充填材Jが硬化すれば、コッター1bにより充填材JがPCフーチング部材1に強固に付着し、杭頭部KaとPCフーチング部材1とが鉛直方向(図面上下方向)にずれることを防止できる。なお、このようなずれを防止するためには、後にも述べるように杭頭部Kaの外周面に目荒し処理を施しておくとさらに効果的である。
【0021】
また、PCフーチング部材1の上面には、鉄骨柱SCの柱脚部を固定するための柱脚固定手段たるアンカープレート1cが予め埋め込まれている。したがって、PCフーチング部材1を設置した後、このアンカープレート1cにボルトや鉄筋を溶接すれば、後施工アンカーなしで鉄骨柱SCやPC柱を建てることができる。
【0022】
また、PCフーチング部材1の上面には、フーチング上部定着手段としての複数本の定着筋1d,1d,…が予め植設されている。これらは、領域Aに後施工される現場打ち鉄筋コンクリートをPCフーチング部材1に確実に定着させて、一体化されたフーチングHを構築するために設けられたものであり、その本数や配置、各定着筋1dの径、形状、材質等については、構造上あるいは施工上の事情を考慮して適宜定められる。
なお、領域Aに別個のPC部材を事後的に設置してフーチングHを構築する場合には、定着筋1d,1d,…に代えて、適宜の定着金物(図示省略)をフーチング上部定着手段としてPCフーチング部材1の上面に埋め込んでおけばよい。
【0023】
さらにまた、PCフーチング部材1の側面には、複数本の定着筋1e,1e,…が予め植設されている。これは、領域Bに後施工される現場打ち鉄筋コンクリートをPCフーチング部材1に定着させて、フーチングHと基礎梁KBとを確実に一体化させるために設けられたものであり、その本数や配置、各定着筋1eの径、形状、材質等については、構造上あるいは施工上の事情を考慮して適宜定められる。
なお、領域Bに別個のPC部材を事後的に設置して基礎梁KBを構築する場合には、定着筋1e,1e,…に代えて、適宜の定着金物(図示省略)をPCフーチング部材1の側面に埋め込んでおけばよい。
【0024】
<PC基礎梁部材>
PC基礎梁部材2は、図3に示すように、基礎梁KBの断面上部のみをプレキャスト化したハーフプレキャスト部材であって、領域Bに現場打ち鉄筋コンクリートを後施工することにより、あるいは該領域Bに別個のPC部材を設置することにより、全体としてせいの大きな基礎梁KBを構築するためのものである。
すなわち、基礎梁KB全体を現場打ち鉄筋コンクリート製とすれば、基礎梁KBの工事時間が極めて長くなって後続工事の着手が遅れるのに対し、基礎梁KBの一部あるいは全部をプレキャスト化してこれを早期に設置すれば、基礎梁KBの工事時間を短縮できるので、全体工期も短縮することができる。
さらに、基礎梁KB全体をプレキャスト化すると、重量が大きすぎて揚重機の負担が重すぎるため、特に基礎梁KBを断面上部と断面下部とに分け、上部構造と取合う前者のみをプレキャスト化して極力早期に施工することにすれば、床構築等の上部構造工事の着手時期を前倒しすることができ、揚重機の負担も軽く済むことになる。したがって、この場合、揚重機の負担を軽くし、後続工事の着手時期を前倒しするため、PC基礎梁部材2は、上部構造と取合いのある最小限の断面範囲だけPC化したものとすればよい。なお、ここで示したPC基礎梁部材2は端部がハンチ状に形成されているが、これは揚重機の揚重能力を考慮してさらなる軽量化を図ったためである。
【0025】
PC基礎梁部材2の底面には、複数本の定着筋2a,2a,…が予め植設されている。これらは、領域Bに後施工される現場打ち鉄筋コンクリートをPC基礎梁部材2に確実に定着させて、一体化された基礎梁KBを構築するために設けられたものであり、その本数や配置、各定着筋2aの径、形状、材質等については、構造上あるいは施工上の事情を考慮して適宜定められる。
なお、領域Bに別個のPC部材を事後的に設置して基礎梁KBを構築する場合には、定着筋2a,2a,…に代えて、適宜の定着金物(図示省略)をPC基礎梁部材2の底面に埋め込んでおけばよい。
【0026】
また、PC基礎梁部材2の一端面(図中左側面)、他端面(図中右側面)にはそれぞれ、定着筋2b,2b,…、継手筋2c,2c,…が予め植設されている。前者は、領域Aに後施工されるフーチングHの高さ方向上部との定着を図るために設けられたものであり、後者は、建物のスパン長が大きく、揚重機の能力との関係上PC基礎梁部材2の長さをあまり大きくできない場合に、他のPC基礎梁部材2’と長手方向に継ぎ合わせることによりスパン長の大きな基礎梁KBを構築すべく、領域Cにおける継手の後施工のために設けられたものである。そして、定着筋2b、継手筋2cの本数や配置、各定着筋2bあるいは継手筋2cの径、形状、材質等についても、構造上あるいは施工上の事情を考慮して適宜定められる。
なお、ここではPC基礎梁部材2の一方の端面に定着筋2b,2b,…を、他方の端面に継手筋2c,2c,…を設けているが、定着筋2bや継手筋2cを全く設けないこととしてもよいし、いずれか一方の端面のみに定着筋2b又は継手筋2cを設け、他方の端面には定着筋2bや継手筋2cを全く設けないこととしてもよく、あるいは両端面に定着筋2bを設けたり、両端面に継手筋2cを設けるようにしてもよい。
【0027】
本実施形態では、断面上部のみをプレキャスト化したPC基礎梁部材2を用いているが、本発明はこれに限定されるわけではなく、他のパターンで一部をプレキャスト化したPC基礎梁部材(例えば、断面下部のみをプレキャスト化したものや断面側部のみをプレキャスト化したもの)を用いてもよく、全部をプレキャスト化したPC基礎梁部材を用いてもよい。
【0028】
<建物施工方法>
図4〜図6は、本発明に係る建物施工方法の一実施形態を表す工程図である。
【0029】
(1)杭の打設(図4(1)参照)
杭基礎形式を採用する建物の施工にあっては、まず杭Kを打設することになる。杭Kは、現場打ちRC杭、PC杭、鋼管杭等の種類を問わない。そして、杭Kに引抜力が作用する場合には、同図に示すように杭Kの杭頭部Kaを所定長さ(例えば杭Kの杭径と同等以上)地盤面上に露出させておき、望ましくは図2に示すように杭頭部Kaの外周面に目荒し処理を施す。杭Kに引抜力が作用しない場合には、地盤面上に杭頭部Kaを露出させる必要はない。
なお、図中の杭Kの上端からは主筋が露出していないが、杭Kが現場打ちコンクリート製である場合には、杭Kの杭頭部Kaをはつって主筋を露出させてもよい。ただし、この場合には、後で施工されるフーチングHの高さ方向上部をPC部材で構築することはできず、該部分は必然的に現場打ちコンクリートで構築されることになる。杭Kに引抜力が作用せず、地盤面上に杭頭部Kaを露出させない場合においては、PCフーチング部材1を設置するために、杭Kの主筋を露出させないものとする。
【0030】
(2)PCフーチング部材の設置(図4(2)参照)
床付後、杭頭部Kaを杭頭挿入孔1aに挿入するようにしてPCフーチング部材1を設置する。杭Kに引抜力が作用せず、地盤面上に杭Kの杭頭部Kaを露出させなかった場合や、直接基礎形式を採用する場合には、杭頭挿入孔1aが形成されていないPCフーチング部材を設置することになる。なお、直接基礎形式を採用する建物の施工にあっては、本工程(2)が最初の工程となる。
【0031】
(3)杭頭挿入孔への充填材の注入(図4(3)参照)
PCフーチング部材1の杭頭挿入孔1a中における杭頭部Ka周囲に、コンクリートやモルタル等の充填材Jを注入することにより、杭KとPCフーチング部材1とを固定する。本工程(3)の完了後には、杭Kに引抜力が作用する場合であっても、PCフーチング部材1の上面に柱を建てることが可能な状態となる。もちろん、杭Kに引抜力が作用せず、地盤面上に杭Kの杭頭部Kaを露出させなかった場合や、直接基礎形式を採用する場合には、本工程(3)は不要である。杭頭挿入孔1aの内周面にコッター1b等の凹凸が形成されている場合や杭頭部Kaの外周面に目荒し処理が施されている場合には、杭KとPCフーチング部材1とがより強固に固定される。
【0032】
(4)鉄骨柱の建方(図4(4)参照)
PCフーチング部材1の上面に予め埋め込まれているアンカープレート1cに対してボルトや鉄筋を溶接固定し、その上に鉄骨柱SCを建てて固定する。もちろん、鉄骨柱SCに代えてPC柱としてもよい。
本工程(4)は前工程(3)が完了すればいつ行ってもよいが、鉄骨柱SCの建方着手時期をなるべく前倒しするようにすれば、それだけ鉄骨梁架設等の上部構造工事の着手時期も早まり、基礎工事と上部構造工事とを並行して進められて、結果的に全体工期の大幅な短縮につながるため、ここでは前工程(3)の完了後すぐに本工程(4)を行うこととしている。
【0033】
(5)屋根の架設(図5(5)参照)
屋根鉄骨梁TBを鉄骨柱SCに接合し、屋根を架設する。本工程(5)が完了した後は、悪天候であっても屋根の下方空間について工事を中止する必要がなくなり、工事進捗を促進することができる。このような観点から、ここでは本工程(5)を前工程(4)の完了後すぐに行っているが、もちろんこのような順序に限定されるものではない。なお、ここでは図示していないが、屋根の架設と相前後して上階鉄骨梁の架設工事等を行ってもよい。
【0034】
(6)PC基礎梁部材の架設(図5(6)参照)
隣り合うPCフーチング部材1,1の上面にPC基礎梁部材2の端部を載せて架け渡す。ここでは本工程(6)を前工程(5)の完了後に行っているが、本工程(6)はPCフーチング部材1を設置して杭Kと固定した後、すなわち工程(3)の完了後であればいつ行ってもよい。ただし、本工程(6)の完了をなるべく前倒しするようにすれば、それだけ床Fの構築等の上部構造工事の着手時期も早まり、基礎工事と上部構造工事とを並行して進められるというメリットがある。
また、必要に応じて、PC基礎梁部材2に基礎小梁(現場打ちRC製でもPC製でもよい:図示省略)を接合する。さらに、揚重機の揚重能力等との関係上、隣り合うPCフーチング部材1,1間に架け渡せるほどにPC基礎梁部材2を長くできない場合には、隣り合うPCフーチング部材1,1間に束柱(図示省略)を設置しておき、PC基礎梁部材2の一端をPCフーチング部材1上に、他端を束柱上に架け渡すようにすればよい。
【0035】
(7)フーチングの高さ方向上部の配筋(図5(7)参照)
PCフーチング部材1の上部に、フーチングHの高さ方向上部の配筋を行う。PCフーチング部材1の上面に定着筋1dが植設されている場合やPC基礎梁部材2の端面に定着筋2bが植設されている場合には、これらを利用する。本工程(7)は、鉄骨柱SCの建方が完了し、かつPC基礎梁部材2の架設が完了すれば、いつ行ってもよいが、本工程(7)の完了が遅延すると、床Fの構築に支障がでることもある。
【0036】
(8)床の配筋(図5(8)参照)
PC基礎梁部材2の上にデッキプレートDPを敷設し、さらにその上に床Fの配筋を行う。もちろん、デッキプレートDPに代えてキーストンプレートやハーフPC版を用いてもよい。さらに床FをフルPC版とした場合には、PC基礎梁部材2の上にフルPC版を敷設し、配筋作業は不要となる。
【0037】
(9)フーチングの高さ方向上部及び床のコンクリート打設(図6(9)参照)フーチングHの高さ方向上部及び床Fのコンクリート打設を一体に行う。もちろん、フーチングHの高さ方向上部についてのコンクリート打設と床Fのコンクリート打設とを別々に行ってもよい。本工程(9)の完了後、すなわち床Fが完成した後は、内部建屋IHの構築等の上部構造工事に着手することができ、基礎工事と上部構造工事とを並行して進められるので、全体工期の大幅な短縮を図ることができる。
【0038】
(10)内部建屋の構築(図6(10)参照)
完成した床F上に内部建屋IHを構築する。もちろん、内部建屋IHがない場合には、本工程(10)は不要である。
【0039】
(11)基礎梁の断面下部の配筋(図6(11)参照)
基礎梁KBの断面下部の配筋を行う。PCフーチング部材1の側面に定着筋1eが植設されている場合やPC基礎梁部材2の底面に定着筋2aが植設されている場合にはこれらを利用する。本工程(11)は、ここで示したように前工程(10)の完了後に行わなければならないわけではなく、PC基礎梁部材2の架設後(ここでは工程(6)の完了後)であれば、いつ行ってもよい。すなわち、本工程(11)は、他の作業の前提となる工程ではないため、他の作業との関係を考慮して最適な時期を選択することが望ましい。
なお、基礎梁KBの剛性がそれほど必要でなく、PC基礎梁部材2だけで足りる場合には、もちろん本工程(11)を省略することになる。
【0040】
(12)基礎梁の断面下部のコンクリート打設(図6(12)参照)
基礎梁KBの断面下部の型枠を建て込み、コンクリートを打設する。所定期間の養生後、型枠を解体すれば、基礎梁KBが完成する。本工程(12)も前工程(11)と同様、他の作業との関係を考慮して最適な時期を選択することになる。本工程(12)が完了すれば、基礎全体が完成することになる。
なお、基礎梁KBの剛性がそれほど必要でなく、PC基礎梁部材2だけで足りる場合には、もちろん本工程(12)を省略することになる。
【0041】
(13)その他
工程(12)の完了後は、通常の手順に従い、建物の施工を行う。
なお、本発明に係る建物施工方法はここで示した手順に限定されるわけではなく、建物の種類に応じた適宜の変更を加えて実施されるべきものである。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係る発明は、フーチングを高さ方向上部と高さ方向下部とに分け、後者のみをプレキャスト化してPCフーチング部材とすることにより、例えば、フーチング全体の完成を待たずとも、PCフーチング部材を設置した後すぐにその上に鉄骨柱やPC柱を建てることができるものであるので、各スパンについて上部構造の工事着手時期を前倒しして、全体工期を大幅に短縮することが可能となる。
また、柱脚を完全に固定することができるので、柱部材の断面を小さくしたり、主筋量を減らすことも可能である。
【0043】
また、請求項2に係る発明によれば、杭頭挿入孔に杭頭部を挿入しながらPCフーチング部材を設置することにより、フーチングに杭頭部をのみ込ませた納まりとすることができるので、引抜力が作用する杭に適用可能なPCフーチング部材となる。
【0044】
また、請求項3に係る発明によれば、鉄骨柱やPC柱の柱脚部を固定するための後施工アンカーが不要となるので、より一層の工期短縮を図ることができる。
【0045】
また、請求項4に係る発明によれば、先行施工される高さ方向下部と後施工される高さ方向上部とが確実に一体化したフーチングを構築するための後施工アンカーが不要となるので、より一層の工期短縮を図ることができる。
【0046】
一方、請求項5に係る発明によれば、基礎全体はおろかフーチング全体の完成さえも待つことなく、フーチングの高さ方向下部だけをプレキャスト化して先行設置した後、その上にすぐに柱を建てるため、例えば上階梁の建方作業のような上部構造工事の着手時期を各スパンについて大幅に前倒しすることが可能となる。したがって、基礎の施工と上部構造の施工とをほとんど並行して進めることができるようになり、特に多スパン建物の全体工期を大幅に短縮することができる。
【0047】
また、請求項6に係る発明によれば、基礎梁の工事時間を短縮できるので、全体工期をより一層短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るPCフーチング部材の一実施形態を表す斜視図である。
【図2】図1における杭頭挿入孔まわりの納まりを表す縦断面図である。
【図3】PC基礎梁部材を表す斜視図である。
【図4】本発明に係る建物施工方法の一実施形態を表す工程図である。
【図5】図4に続く工程図である。
【図6】図5に続く工程図である。
【符号の説明】
1 … PCフーチング部材
1a … 杭頭挿入孔
1b … コッター
1c … アンカープレート(柱脚固定手段)
1d … 定着筋(フーチング上部定着手段)
1e … 定着筋
2 … PC基礎梁部材
2a … 定着筋
2b … 定着筋
2c … 継手筋
DP … デッキプレート
F … 床
H … フーチング
IH … 内部建屋
J … 充填材
K … 杭
Ka … 杭頭部
KB … 基礎梁
SC … 鉄骨柱
TB … 屋根鉄骨梁
Claims (2)
- フーチングの高さ方向下部のみをプレキャスト化したハーフPCフーチング部材を地盤上に設置し、前記ハーフPCフーチング部材の上面に柱を建てて固定した後、建物の上部構造の施工と基礎構造の施工とを並行して進める
ことを特徴とする建物施工方法。 - 前記ハーフPCフーチング部材の上面に、基礎梁の一部又は全部をプレキャスト化したPC基礎梁部材を架け渡す
ことを特徴とする請求項1に記載の建物施工方法。
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