JP4531240B2 - ビニルアルコール−ビニルアミン共重合体の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビニルアルコール−ビニルアミン共重合体及びその製造法に関し、更に詳しくは、着色が少なく、かつ再乾燥時の色調の変化が少なく、また、製造時のスケール抑制効果に優れたビニルアルコール−ビニルアミン共重合体及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ビニルアルコール−ビニルアミン共重合体は、他の水溶性高分子に比べ、親水性が高い、柔軟な皮膜を形成できる等の特性を有するため、医薬品、化粧品、洗浄剤、繊維用糊剤、紙加工剤、乳化剤、懸濁剤等の用途に利用されている。
かかる共重合体の製造に関しては、通常、ビニルエステル系モノマーとN−ビニルカルボン酸アミドを共重合して、次いで該エステル単位をケン化した後、該酸アミド単位を加水分解してアミン転化する方法が知られている。
【0003】
例えば、特公平6−51741号公報には、ポリ(ビニルアルコール)−コ−ポリ(N−ビニルホルムアミド)の粒子をメタノール中に懸濁させ、この共重合体粒子を酸又は塩基条件下に加水分解させてビニルアミン共重合体粒子を得る方法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者が上記の方法で得られたビニルアミン共重合体粒子について調べたところ、着色が認められ、また、揮発分を低減させるために再乾燥を行うと更に着色が激しくなるということが判明した。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者はかかる着色を押さえるべくビニルアルコール−ビニルアミン共重合体の色相について鋭意検討した結果、10時間の半減期温度が50〜70℃であるアゾ系重合開始剤を用いて、ビニルエステル系モノマーにN−ビニルカルボン酸アミドを滴下重合して共重合体を得た後、該共重合体のエステル単位をケン化し、次いで酸アミド単位を加水分解してアミン転化してなることを特徴とするビニルアルコール−ビニルアミン共重合体の製造法により得られる1重量%水溶液としたときの色相が40以下であるビニルアルコール−ビニルアミン共重合体が、上記の着色の問題を解決できることを見いだして本発明を完成するに至った。
【0006】
尚、上記の色相とは、以下の方法で測定(判定)されるものである。
[色相標準液の調製]
1)塩化白金酸カリウム1.250gを化学天秤で薬包紙にはかり取り、ビーカー(500ml)に移す。
2)塩化コバルト1.000gを化学天秤で薬包紙にはかり取り、上記のビーカーに加える。
3)塩酸100mlをメスシリンダーではかり取って、上記のビーカーに加え、更に水300〜400mlを加えてよくかき混ぜて溶かす。
4)ビーカーの溶液を1000mlのフラスコに移し、水(約100〜200ml程度)でビーカーの内壁を洗い、その洗液も全量フラスコに加える。
5)上記のフラスコを20±0.5℃の恒温槽に約30分間入れ、20℃の水を標線まで正しく加え、1000mlとする。
6)フラスコ内の溶液をよくかき混ぜた後、試薬瓶に移す。この調製した標準原液は色相500に相当する。
7)上記の標準原液(色相500)を20℃±0.5℃の恒温水槽に入れ、液温を20℃に保つ。
8)50mlのフラスコ(10個)に上記(7)の標準原液をメスピペットでそれぞれ1、2、3、4、・・・10mlをはかり取り、20℃の水を標線まで加えて50mlとし、よく振り混ぜ、標準液(色相10、20、30、40、・・・100)を調製する。
即ち、この時の「メスピペットではかり取った量×10」が調製された標準液の色相に相当する。
尚、色相が10未満或いは100を越える標準液を調製するには上記に準じて行えばよい。
【0007】
[判定]試料(ビニルアルコール−ビニルアミン共重合体)の1重量%水溶液を比色管に入れ、白色タイル板上に上記の標準液と並べて、わずかに斜めに保持し、メニスカス部の色調を比べて、最も近い標準液の色相を試料の色相とする。また、本発明においては、上記の如き色相を有するビニルアルコール−ビニルアミン共重合体を製造するにあたり、(1)10時間の半減期温度が50〜70℃であるアゾ系重合開始剤を用いて、ビニルエステル系モノマーにN−ビニルカルボン酸アミドを滴下重合して共重合体を得た後、該共重合体のエステル単位をケン化し、次いで酸アミド単位を加水分解してアミン転化する、(2)酸アミド単位のアミン転化率を90〜99%に調整する、等の方法を採用することにより、色相の良好なビニルアルコール−ビニルアミン共重合体が得られることも見いだしたものである。
【0008】
以下、本発明について詳述する。
【0009】
本発明のビニルアルコール−ビニルアミン共重合体は、10時間の半減期温度が50〜70℃であるアゾ系重合開始剤を用いて、ビニルエステル系モノマーにN−ビニルカルボン酸アミドを滴下重合して共重合体を得た後、該共重合体のエステル単位をケン化し、次いで酸アミド単位を加水分解してアミン転化して得られるもので、かかるビニルアルコール−N−ビニルカルボン酸アミド共重合体は、具体的には下記(1)式で示されるビニルアルコール単位と下記(2)式で示されるN−ビニルカルボン酸アミド単位を有する共重合体である。
【0010】
(R、R’はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す)上記(2)式において、Rは水素原子又はメチル基が好ましく、特に水素原子が好ましい。また、R’は水素原子が好ましい。
【0011】
上記のビニルアルコール−N−ビニルカルボン酸アミド共重合体を製造するに当たっては、ビニルエステル系モノマーとN−ビニルカルボン酸アミドを共重合した後に、かかる共重合体をケン化することによって得ることができる。
かかるビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられ、また、N−ビニルカルボン酸アミドとしては、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等を挙げることができる。
【0012】
尚、本発明においては、本発明の目的を阻害しない範囲において、更に他のモノマーも共重合に利用することができ、かかる他のモノマーとしては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等を挙げることができる。
【0013】
ビニルエステル系モノマーとN−ビニルカルボン酸アミドを共重合するに当たっては、例えば塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、又はエマルジョン重合等の公知の方法を採用することができるが、通常は溶液重合が行われる。また、本発明においては、上述の如く滴下重合で行われ、特にHANNAの式[「Synthesis of Chemically Uniform Copolymers 」INDUSUTRIALAND ENGONEERING CHEMISTRY Vol49,No2,208−209]から求めたN−ビニルカルボン酸アミド量を重合率に合わせて滴下するバッチ重合が好ましく、かかる方法について説明する。
【0014】
上記の重合に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類を挙げることができるが、好適にはメタノールが用いられる。溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すれば良い。例えば、溶剤がメタノールの時は、S(溶剤)/M(モノマー)=0.1〜1(重量比)程度の範囲から選択される。
【0015】
また、N−ビニルカルボン酸アミドを滴下する際に溶解しておく溶剤としては、上記の重合に用いる溶剤と同様の溶剤を挙げることができ、同じ溶剤を使用することが好ましい。N−ビニルカルボン酸アミド溶液の濃度としては、20〜80重量%が好ましく、更には40〜60重量%で、かかる濃度が20重量%未満では、重合系内に持ち込まれる溶剤量が多くなりすぎてS/Mの経時変化が大きくなって得られる共重合体の重合度が下がりすぎたり、重合度分布が広くなりすぎるという懸念があり、逆に80重量%を越えるとN−ビニルカルボン酸アミド溶液の粘度が高くなりすぎて送液ポンプの負荷が大きくなって好ましくない。
【0016】
重合開始剤としては、本発明の共重合体を得るためには、10時間の半減期温度が50〜70℃であるアゾ系化合物を用いることにより、色相の良好なビニルアルコール−ビニルアミン共重合体が得られ、ビニルアルコール−ビニルアミン共重合体の重合度を低下させることがなく、かつ製造時のスケール発生も抑制することができる。
【0017】
かかる重合開始剤としては、シアノ基を有しない開始剤が特に好ましく1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)〔10時間の半減期温度:61℃〕、ジメチルー2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクライド〔10時間の半減期温度:58℃(水中)〕、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクライド〔10時間の半減期温度:60℃(水中)〕、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]〔10時間の半減期温度:61℃(水中)〕、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジーヒドロクライド〔10時間の半減期温度:56℃(水中)〕、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]〔10時間の半減期温度:57℃(水中)〕などが挙げられる。
尚、必要に応じて、メルカプタン系化合物等の公知の連鎖移動剤を併用することも可能である。
【0018】
また、重合温度は、35〜75℃(更には60〜75℃)の範囲から選択することができる。
次いで、上記で得られたビニルエステル−N−ビニルカルボン酸アミド共重合体をケン化する方法について説明する。
【0019】
上記で得られたビニルエステル−N−ビニルカルボン酸アミド共重合体は、重合溶媒と共に溶液(ペースト)としてケン化工程に供される。この時のペースト中の樹脂分、即ち該共重合体の含有量は特に制限はないが、20〜50重量%(更には25〜50重量%、特には29〜48重量%)とすることが好ましく、かかる含有量が20重量%未満では50μm以下の微粒子が多くなって溶剤とケン化物の固液分離が困難となり、逆に50重量%を越えると1000μm以上の粗粒子が増加して好ましくない。
【0020】
樹脂分が調整されたペーストには、ケン化触媒が添加されてケン化されるのであるが、かかるケン化触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒や硫酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸等の酸触媒を挙げることができ、好適には水酸化ナトリウムが用いられる。
【0021】
本発明においては、上述の如くケン化触媒の使用量を該ビニルエステル単位に対して2〜20ミリモル%(更には2〜15ミリモル%、特には3〜8ミリモル%)にすることが好ましく、かかる使用量が2ミリモル%未満ではケン化速度が遅くてケン化度80モル%以上の高ケン化度品を得ることが困難となり、逆に20ミリモル%を越えると1000μm以上の粗粒子が増加して好ましくない。また、ケン化触媒は、ケン化速度を制御して粒子サイズをコントロールする意味より、必要に応じて分割して仕込むことが好ましい。
【0022】
ケン化温度は特に制限されないが、通常は10〜70℃(更には30〜50℃、特には35〜45℃)の範囲から選ぶことが好ましい。ケン化反応は、通常0.5〜3時間にわたって行なわれ、好ましいケン化度は10〜100モル%で、特に好ましくは50〜100モル%、殊に好ましくは70〜100モル%の範囲から選択される。
上記の如きケン化を行うに当たっては、連続式でもバッチ式でも特に限定されないが、粒子径の制御の意味から好ましくはバッチ式が採用される。かかるバッチ式のケン化度装置としては、ニーダー、リボンブレンダー等を挙げることができる。
【0023】
かくしてケン化時の溶媒を含有したビニルアルコール−N−ビニルカルボン酸アミド共重合体のスラリーが得られ、その後、該共重合体は加水分解に供されるのであるが、この時にかかる溶媒を除去した後に加水分解に供しても良いが、工業的には、かかるスラリーを溶剤(ケン化時に使用した溶媒)で洗浄して残留酢酸エステルを溶剤と置換した後に加水分解に供することが好ましい。
【0024】
かくして得られたビニルアルコール−N−ビニルカルボン酸アミド共重合体は、加水分解されるのであるが、かかる加水分解は、アルコール系溶媒中で、かつ水の存在下で酸又は塩基にて行われるもので、以下に説明する。
【0025】
加水分解に用いる溶媒としては、アルコール系の溶媒が用いられ、具体的にはメタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、炭素数2〜6のジオール、炭素数2〜6のアルキルエステル等が挙げられ、加水分解物が着色されにくい点からメタノールが好適に用いられる。
【0026】
かかる溶媒の使用量としては、系内のビニルアルコール−N−ビニルカルボン酸アミド共重合体の含有量が10〜65重量%(更には10〜50重量%)となるようにすることが好ましく、かかる含有量が10重量%未満では、生産性が低下し、逆に65重量%を越えると加水分解を行う系内の攪拌負荷が大きくなり攪拌効率が低下する結果となって好ましくない。
【0027】
また、水の共存が必要で、かかる水の共存量は、アルコール系溶媒100重量部に対して、1〜30重量部(更には1〜20重量部、特には5〜20重量部)が好ましく、かかる共存量が1重量部未満では加水分解速度が遅くなり、アミン転化率も低くなり、逆に30重量部を越えるとケン化物粒子が膨潤して反応中にママコを形成する恐れがあり好ましくない。
【0028】
更に触媒として、酸又は塩基を用いることが必要で、酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、ハロゲン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸等が挙げられ、塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属塩を挙げることができ、好適には塩基が用いられる。
【0029】
かかる触媒の使用量は、ビニルアルコール−N−ビニルカルボン酸アミド共重合体粒子中のアミド基に1当量に対して、0.8〜5当量(更には1.0〜2当量)の範囲で用いられる。
加水分解反応の系の温度は、通常50〜180℃(更には70〜150℃)が好ましく、該反応時間は、反応温度や溶媒等により一概に言えないが、通常は1〜24時間の範囲である。
【0030】
該反応は、終始固−液二相系で進行するので、反応終了後、得られた共重合体をそのまま濾別することにより、溶媒と目的物とに分離することができる。必要に応じて適当な溶媒で洗浄を行い、共重合体に残存する塩等の量を低減させることもでき、更に乾燥工程を経ることにより、溶媒の除去を行ってもよい。上記加水分解反応時の温度、反応時間、触媒量、攪拌条件等の条件を変更することにより、加水分解率をコントロールすることができ、その結果、アミド基をほぼ全量アミン基に変換することもでき、また一部アミド基を残した形で反応を終了させることもできる。
【0031】
本発明においては、特に一部アミド基を残した形で反応を終了させることが好ましい。
即ち、酸アミド単位のアミン転化率を90〜99%(更には90〜96%、特には92〜96%)に調整することが好ましく、かかる転化率が99%を越えると得られるビニルアルコール−ビニルアミド共重合体の色相が悪くなる傾向にあり、逆に90%未満では皮膜にしたときの柔軟性が不足して十分な物性が得られず、また、接着剤等の用途に供したときには濡れ性が低下して好ましくない。
【0032】
かくして得られた色相に優れた(色相が40以下)ビニルアルコール−N−ビニルカルボン酸アミン共重合体が得られるのである。
【0033】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中「部」、「%」とあるのは、特に断わりのない限り、重量基準を意味する。
【0034】
実施例1
〔酢酸ビニル−N−ビニルホルムアミド共重合体の製造〕
3Lのジャケット付反応缶(パドル翼)に、酢酸ビニル(VAc)1000g、N−ビニルホルムアミド(NVF)12.9g及びメタノール150gを仕込んで、還流(内温60〜63℃)するまでジャケットを加熱した。
【0035】
別途、重合触媒として、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)(AAPE)〔10時間の半減期温度:61℃〕8.24gをメタノール50gに溶解したものを用意して、上記の反応缶に仕込み(VAcに対して、AAPEは0.2モル%)、重合を開始したと同時に、NVF50%メタノール溶液の仕込みを開始した。
【0036】
尚、NVFは、VAcと均一に重合するように、HANNAの式[NVFの反応性比(r1)=9.543、VAcの反応性比(r1)=0.094]から求めた量を重合速度に合わせて仕込んだ。VAcの重合率が84%のとき、追加するNVF量は100.2g(50%メタノール溶液として200.4g)となる。
【0037】
VAc重合率が84%に到達したとき、禁止剤としてm−ジニトロベンゼン0.03gをメタノール500gに溶解したものを反応缶に仕込みジャケットを冷却し、内温を30℃以下にして、重合を停止して、酢酸ビニル−N−ビニルホルムアミド共重合体のペースト(樹脂分濃度52.5%)を得た。
【0038】
次いで、得られた酢酸ビニル−N−ビニルホルムアミド共重合体のペーストを蒸留塔の上部より300g/hrで仕込み、蒸留塔の下部よりメタノール蒸気120g/hrを仕込み、蒸留塔の頂部より未反応のVAcをメタノールと共沸させて、回収した。蒸留塔の底部からは、未反応のVAcの無い、酢酸ビニル−N−ビニルホルムアミド共重合体のペースト(樹脂分濃度51.0%)が得られた。
【0039】
〔ビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体の製造〕
2Lのニーダー式ケン化装置に、上記で得られた酢酸ビニル−N−ビニルホルムアミド共重合体のペースト(樹脂分30%)400gを仕込み、ジャケット温調により、ペースト温度を35℃とした。
【0040】
次いで、ケン化触媒として、水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液2.45g(VAc単位に対して2ミリモル%)を仕込み、ケン化を開始した。ケン化触媒添加後30分で、ケン化物が析出し始めてペーストが増粘し、ケン化母液が発生し、スラリー状態となった。
【0041】
ペーストが増粘して1.5時間後、酢酸の10%メタノール溶液1.18gを添加し(ケン化触媒に対し、0.8倍モル)、スラリーを中和して、ビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体のスラリー(樹脂分濃度17.0%)を得た。
【0042】
得られたビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体を、1H−NMR(400MHz;5%D2O溶液を使用し、溶媒飽和法にて測定)により、共重合組成を測定したところ、N−ビニルホルムアミド単位が14.0モル%、残存酢酸基量が0.9モル%であった。また、該共重合体の重合度は1300であった。
【0043】
〔ビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体の製造〕
上記で得られたビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体のスラリーを遠心分離機にて固液分離して、得られた該共重合体のケーキをメタノールで洗浄して、ケーキ中の酢酸メチルをメタノールと置換した。
更に、遠心分離機にて固液分離して、ケーキ状とし、かかるケーキ87.9g(樹脂分68.3g)を、リフラックスコンデンサー及びジャケット付きの1Lの反応缶に仕込んだ。
【0044】
次いで、撹拌しながら、メタノール389.4g、イオン交換水31.0gを仕込み、ジャケットを加熱して、還流させた(内温は68℃)。還流開始30分後に、加水分解用の触媒として、水酸化カリウムの7.5%メタノール溶液179.8g(NVF単位に対して1.2倍モル)を仕込み、加水分解を開始した。触媒仕込み後の樹脂分濃度は10重量%で、溶媒中に含まれる水は5重量%となる。
【0045】
触媒添加7hr後にジャケットを冷却し、内温を30℃以下にして、加水分解を停止し、ビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体のスラリー(樹脂分濃度9.2%)を得た。
【0046】
得られたビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体のスラリーを遠心分離機にて固液分離し、得られたビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体のケーキをメタノールで洗浄し、その後、N2乾燥機にて、60℃で24hr乾燥し、ビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体粒子(揮発分5%)を得た。
【0047】
得られたビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体粒子を1H−NMR(400MHz;5%D2O溶液を使用し、溶媒飽和法にて測定)により測定したところ、アミン転化率(NH2基量/[NH2基量+NVF基量]×100)が90%、残存酢酸基量が0.1モル%であった。
得られたビニルアルコール−ビニルアミン共重合体の粘度平均分子量[M]は、100000であった。尚、かかる粘度平均分子量[η]は、下記(1)式及びPolmer Handbook 2nd Ed.,pIV-14に記載の定数(K=0.14、a=0.0
6)を用いて計算した。
[η]=K・M・a ・・・(1)
また、色相は本文記載の方法で測定したところ、20であった。
【0048】
上記で得られたビニルアルコール−ビニルアミド共重合体粒子の色調の変化を以下の要領で調べた。
得られた該共重合体をN2乾燥機にて、120℃で6時間再乾燥を行って、再乾燥の前後の色調(YI値)を測定して、以下の基準で評価した。尚、色調の測定は、日本電飾工業社製『色差計Σ90』にて測定した。また、測定にあたっては、10回試料のサンプリングを行ってそれぞれの色調の測定を行い、その平均値で評価した。
○・・・YI値の差が15未満
△・・・ 〃 15〜30未満
×・・・ 〃 30以上
【0049】
実施例2
〔酢酸ビニル−N−ビニルホルムアミド共重合体の製造〕
実施例1において、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)に変えて、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート〔10時間の半減期温度:67℃〕を5.35g用いた以外は同様に行って、酢酸ビニル−N−ビニルホルムアミド共重合体のペースト(樹脂分濃度52.5%)を得た。
【0050】
〔ビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体の製造〕
実施例1と同様に行って、ビニルアルコール−ビニルアミド共重合体のスラリー(樹脂分濃度17.0%)を得た。
【0051】
得られたビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体を、1H−NMR(400MHz;5%D2O溶液を使用し、溶媒飽和法にて測定)により、共重合組成を測定したところ、N−ビニルホルムアミド単位が14.0モル%、残存酢酸基量が0.6モル%であった。また、該共重合体の重合度は1300であった。
【0052】
〔ビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体の製造〕
上記で得られたビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体のスラリーの加水分解時間を8hrに延長した以外は実施例1と同様に加水分解を行って、ビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体粒子(揮発分5%)を得た。
【0053】
得られたビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体粒子を1H−NMR(400MHz;5%D2O溶液を使用し、溶媒飽和法にて測定)により測定したところ、アミン転化率(NH2基量/[NH2基量+NVF基量]×100)が92%、残存酢酸基量が0.1モル%であった。
得られたビニルアルコール−ビニルアミン共重合体の粘度平均分子量は、実施例1と同様に測定したところ、100000であった。
また、色相は本文記載の方法で測定したところ、25であった。
上記で得られたビニルアルコール−ビニルアミド共重合体を実施例1と同様に評価を行った。
【0054】
実施例3
〔酢酸ビニル−N−ビニルホルムアミド共重合体の製造〕
実施例1において、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)に変えて、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド〔10時間の半減期温度:58℃(水中)〕を8.17g用いた以外は同様に行って、酢酸ビニル−N−ビニルホルムアミド共重合体のペースト(樹脂分濃度52.5%)を得た。
【0055】
〔ビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体の製造〕
実施例1と同様に行って、ビニルアルコール−ビニルアミド共重合体のスラリー(樹脂分濃度17.0%)を得た。
【0056】
得られたビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体を、1H−NMR(400MHz;5%D2O溶液を使用し、溶媒飽和法にて測定)により、共重合組成を測定したところ、N−ビニルホルムアミド単位が14.0モル%、残存酢酸基量が0.4モル%であった。また、該共重合体の重合度は1300であった。
【0057】
〔ビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体の製造〕
上記で得られたビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体のスラリーの加水分解時間を13時間に延長した以外は実施例1と同様に加水分解を行って、ビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体粒子(揮発分5%)を得た。
【0058】
得られたビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体粒子を1H−NMR(400MHz;5%D2O溶液を使用し、溶媒飽和法にて測定)により測定したところ、アミン転化率(NH2基量/[NH2基量+NVF基量]×100)が99%、残存酢酸基量が0.1モル%であった。
得られたビニルアルコール−ビニルアミン共重合体の粘度平均分子量は、実施例1と同様に測定したところ、100000であった。
また、色相は本文記載の方法で測定したところ、40であった。
上記で得られたビニルアルコール−ビニルアミド共重合体を実施例1と同様に評価を行った。
【0059】
実施例4
〔酢酸ビニル−N−ビニルホルムアミド共重合体の製造〕
実施例1において、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)に変えて、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル〔10時間の半減期温度:67℃〕を5.77g用いた以外は同様に行って、酢酸ビニル−N−ビニルホルムアミド共重合体のペースト(樹脂分濃度52.5%)を得た。
【0060】
〔ビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体の製造〕
実施例1と同様に行って、ビニルアルコール−ビニルアミド共重合体のスラリー(樹脂分濃度17.0%)を得た。
【0061】
得られたビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体を、1H−NMR(400MHz;5%D2O溶液を使用し、溶媒飽和法にて測定)により、共重合組成を測定したところ、N−ビニルホルムアミド単位が14.0モル%、残存酢酸基量が0.6モル%であった。また、該共重合体の重合度は1300であった。
【0062】
〔ビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体の製造〕
上記で得られたビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体のスラリーの加水分解時間を8hrに延長した以外は実施例1と同様に加水分解を行って、ビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体粒子(揮発分5%)を得た。
【0063】
得られたビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体粒子を1H−NMR(400MHz;5%D2O溶液を使用し、溶媒飽和法にて測定)により測定したところ、アミン転化率(NH2基量/[NH2基量+NVF基量]×100)が92%、残存酢酸基量が0.1モル%であった。
得られたビニルアルコール−ビニルアミン共重合体の粘度平均分子量は、実施例1と同様に測定したところ、100000であった。
また、色相は本文記載の方法で測定したところ、40であった。
上記で得られたビニルアルコール−ビニルアミド共重合体を実施例1と同様に評価を行った。
【0064】
実施例5
〔酢酸ビニル−N−ビニルホルムアミド共重合体の製造〕
実施例1において、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)に変えて、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)〔10時間の半減期温度:68℃〕を6.52g用いた以外は同様に行って、酢酸ビニル−N−ビニルホルムアミド共重合体のペースト(樹脂分濃度52.5%)を得た。
【0065】
〔ビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体の製造〕
実施例1と同様に行って、ビニルアルコール−ビニルアミド共重合体のスラリー(樹脂分濃度17.0%)を得た。
【0066】
得られたビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体を、1H−NMR(400MHz;5%D2O溶液を使用し、溶媒飽和法にて測定)により、共重合組成を測定したところ、N−ビニルホルムアミド単位が14.0モル%、残存酢酸基量が0.4モル%であった。また、該共重合体の重合度は1300であった。
【0067】
〔ビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体の製造〕
上記で得られたビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体のスラリーを実施例1と同様に加水分解を行って、ビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体粒子(揮発分5%)を得た。
【0068】
得られたビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体粒子を1H−NMR(400MHz;5%D2O溶液を使用し、溶媒飽和法にて測定)により測定したところ、アミン転化率(NH2基量/[NH2基量+NVF基量]×100)が90%、残存酢酸基量が0.1モル%であった。
得られたビニルアルコール−ビニルアミン共重合体の粘度平均分子量は、実施例1と同様に測定したところ、100000であった。
また、色相は本文記載の方法で測定したところ、35であった。
上記で得られたビニルアルコール−ビニルアミド共重合体を実施例1と同様に評価を行った。
【0069】
比較例1
〔酢酸ビニル−N−ビニルホルムアミド共重合体の製造〕
3Lジャケット付反応缶(パドル翼)(第1缶)に、酢酸ビニル(VAc)1000g、N−ビニルホルムアミド(NVF)100.8g及びメタノール210gを仕込み、還流(内温60〜63℃)するまで、ジャケットを加熱した。
別途、重合触媒として、アセチルパーオキシド(APO)2.74gをメタノール50gに溶解したものを用意して、上記の反応缶に仕込み(VAcに対して、APOは0.2mol%)、重合を開始したと同時に、NVF50%メタノール溶液の仕込みを開始した。
【0070】
VAc重合率が40%に到達したと同時に、VAcを369g/hr、NVF50重量%メタノール溶液を76g/hr、APOの0.43%メタノール溶液を235g/hr(追加VAcに対して、0.2mol%)の割合で反応缶に連続的に仕込み、液面が維持されるように、PVAc/PNVFペーストを缶底より連続的に抜き出して、第2缶に移送した。
第2缶には、PVAc/PNVFペーストを680g/hr、禁止剤としてm−ジニトロベンゼン0.01%メタノール溶液を125g/hrの割合で連続的に仕込み、ジャケットを冷却し、内温を30℃以下にして、重合を停止した。
又、液面が維持されるようにPVAc/PNVFペーストを連続的に抜き出した。
この時の第1缶の缶壁及び撹拌翼には、ゲルやスケールの発生がみられた。
【0071】
次いで、得られたPVAc/PNVFペーストを蒸留塔上部より300g/hrで仕込み、蒸留塔下部よりメタノール蒸気120g/hrを仕込み、蒸留塔頂部より未反応のVAcをメタノールと共沸させて、回収した。蒸留塔底部からは、未反応のVAcの無い、PVAc/PNVFメタノールペーストが得られた。
【0072】
〔ビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体の製造〕
実施例1と同様に行って、ビニルアルコール−ビニルアミド共重合体のスラリー(樹脂分濃度17.0%)を得た。
【0073】
得られたビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体を、1H−NMR(400MHz;5%D2O溶液を使用し、溶媒飽和法にて測定)により、共重合組成を測定したところ、N−ビニルホルムアミド単位が14.3モル%、残存酢酸基量が0.8モル%であった。また、該共重合体の重合度は450であった。
【0074】
〔ビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体の製造〕
上記で得られたビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体のスラリーを実施例1と同様に加水分解を行って、ビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体粒子(揮発分5%)を得た。
【0075】
得られたビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体粒子を1H−NMR(400MHz;5%D2O溶液を使用し、溶媒飽和法にて測定)により測定したところ、アミン転化率(NH2基量/[NH2基量+NVF基量]×100)が90%、残存酢酸基量が0.1モル%であった。
得られたビニルアルコール−ビニルアミン共重合体の粘度平均分子量は、実施例1と同様に測定したところ、35000であった。
また、色相は本文記載の方法で測定したところ、80であった。
上記で得られたビニルアルコール−ビニルアミド共重合体を実施例1と同様に評価を行った。
【0076】
比較例2
〔酢酸ビニル−N−ビニルホルムアミド共重合体の製造〕
3Lジャケット付反応缶(パドル翼)に、酢酸ビニル(VAc)1000g、N−ビニルホルムアミド(NVF)134.4g及びメタノール150gを仕込み、還流(内温60〜63℃)するまで、ジャケットを加熱した。
別途、重合触媒として、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(ADVN)〔10時間の半減期温度:67℃〕を5.77gをメタノール50gに溶解したものを用意して、上記の反応缶に仕込み(VAcに対して、ADVNは0.2mol%)、重合を開始した。
【0077】
VAc重合率が84%に到達した時に、重合禁止剤としてm−ジニトロベンゼン0.03gをメタノール500gに溶解させたものを反応缶に仕込み、ジャケットを冷却し、内温を30℃以下にして重合を停止した。
この時の重合缶の缶壁及び撹拌翼には、ゲルやスケールの発生は見られなかった。
【0078】
次いで、得られたPVAc/PNVFペーストを蒸留塔上部より300g/hrで仕込み、蒸留塔下部よりメタノール蒸気120g/hrを仕込み、蒸留塔頂部より未反応のVAcをメタノールと共沸させて、回収した。蒸留塔底部からは、未反応のVAcの無い、PVAc/PNVFメタノールペーストが得られた。
【0079】
〔ビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体の製造〕
実施例1と同様に行って、ビニルアルコール−ビニルアミド共重合体のスラリー(樹脂分濃度17.0%)を得た。
【0080】
得られたビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体を、1H−NMR(400MHz;5%D2O溶液を使用し、溶媒飽和法にて測定)により、共重合組成を測定したところ、N−ビニルホルムアミド単位が14.5モル%、残存酢酸基量が1.0モル%であった。また、該共重合体の重合度は1250であった。
【0081】
〔ビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体の製造〕
上記で得られたビニルアルコール−N−ビニルホルムアミド共重合体のスラリーを実施例1と同様に加水分解を行って、ビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体粒子(揮発分5%)を得た。
【0082】
得られたビニルアルコール−N−ビニルアミン共重合体粒子を1H−NMR(400MHz;5%D2O溶液を使用し、溶媒飽和法にて測定)により測定したところ、アミン転化率(NH2基量/[NH2基量+NVF基量]×100)が90%、残存酢酸基量が0.1モル%であった。
得られたビニルアルコール−ビニルアミン共重合体の粘度平均分子量は、実施例1と同様に測定したところ、95000であった。
また、色相は本文記載の方法で測定したところ、150であった。
上記で得られたビニルアルコール−ビニルアミド共重合体を実施例1と同様に評価を行った。
【0083】
実施例及び比較例で得られたビニルアルコール−ビニルアミド共重合体の性状及び評価結果をまとめて表1に示す。
【0084】
【0085】
【発明の効果】
本発明のビニルアルコール−ビニルアミン共重合体は、色相が40以下であるため、着色が少なく、かつ再乾燥時の色調の変化が少なく、また、本発明の製造法によれば、製造時のゲルやスケール抑制効果にも優れる。
Claims (2)
- 1重量%水溶液としたときの色相が40以下であるビニルアルコール−ビニルアミン共重合体の製造法であって、10時間の半減期温度が50〜70℃であるアゾ系重合開始剤を用いて、ビニルエステル系モノマーにN−ビニルカルボン酸アミドを滴下重合して共重合体を得た後、該共重合体のエステル単位をケン化し、次いで酸アミド単位を加水分解してアミン転化してなることを特徴とするビニルアルコール−ビニルアミン共重合体の製造法。
- 酸アミド単位のアミン転化率を90〜99%にすることを特徴とする請求項2記載のビニルアルコール−ビニルアミン共重合体の製造法。
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