JP4529326B2 - 磁気記録媒体用支持体及び磁気記録テープ - Google Patents

磁気記録媒体用支持体及び磁気記録テープ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体用支持体、特にDVCシステムのVTR等の画像データが大量にデジタル記録される磁気記録媒体に好適な磁気記録媒体用支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】
1995年に実用化された民生用デジタルビデオテープは、厚さ6〜7μmのベースフィルム上にCoの金属磁性薄膜を真空蒸着により設け、その表面にダイヤモンド状カーボン膜をコーティングしてなり、DVミニカセットを使用したカメラ一体型ビデオの場合には基本仕様(SD仕様)で1時間の録画時間をもつ。
【0003】
このデジタルビデオカセット(DVC)は、家庭用で世界で初のデジタルビデオカセットであり、a.小型ボディながら、膨大な情報が記録できる、b.信号が劣化しないから、何年たっても画質・音質が劣化しない、c.雑音の妨害を受けないから高画質・高音質が楽しめる、d.ダビングを繰り返しても映像が劣化しない、等のメリットを持ち、市場の評価は高い。
【0004】
また1998年にはSD仕様で1時間20分の録画時間をもつDVミニカセットテープ(DVC−LPテープ)が実用化され、そのベースフィルムには、厚さ4〜5μmのポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルム(例えば特開平5−185507号公報)、あるいはデジタルデータストレージ(DDS−2,3,4)テープ用ベースとして知られている芳香族ポリアミドフィルム(例えば特開平10−162349、特開平10−114038号公報等)が用いられていて、このテープも長時間の録画時間を持ち、市場の評価は高い。
【0005】
録画時間を長時間化するためには、テープ走行速度を2/3に落とすことにより、基本仕様のトラックピッチを10μmから6.7μmと狭くし、長時間モード(LPモード)とすることが実施されており、現在、前記DVミニカセットで90分、120分の録画時間が実現されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、更なる大幅な長時間の録画時間が望まれている。その実現のためには、磁気テープの更なる薄手化、すなわち磁気テープのベースフィルムをさらに薄手化する手法がある。しかし、さらに薄手化すると磁気テープのスティフネスが低下し、磁気テープと磁気ヘッドとの接触(ヘッドタッチ)が不良となり磁気テープの電磁変換特性が大幅に不良となる。
【0007】
さらに、作成される磁気テープの面積記録密度を向上させること、すなわち磁気テープのトラックピッチを現在の10μmから5μmや4μmへと狭くし、長時間記録を可能とすることも望まれている。
【0008】
そこで、本発明では、フィルムの薄手化に伴うスティフネスの低下を補うため、ベースフィルムの補強を図り、かつ、ベースフィルムの寸法安定性の向上を図ることにより、更なる大幅な長時間の録画時間をDVミニカセットテープ(DVC−SLPテープ、録画時間150分以上)を実現化させ得る磁気記録媒体用支持体を提供し、さらにDVC磁気記録方式に好適な磁気テープを提供する事を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明は以下の構成からなる。
【0010】
すなわち、本発明の磁気記録媒体用支持体は、ポリエステルと耐熱性高分子とを構成材料としてなるポリエステルフィルムの片側の表面上に、金属、半金属及び合金並びにこれらの酸化物及び複合物から選ばれた材料からなる薄膜が形成され、他方の片側表面上に、粒径が5〜30nmの微細粒子と有機化合物とを含有する被膜が形成されてなる磁気記録媒体用支持体であって、該被膜の表面に前記微細粒子による微細表面突起が存在し、該微細表面突起の個数が100万〜1億個/mm2であり、高さ50〜120nmの表面突起の個数が1500個/mm2以下、高さ120nm以上の表面突起個数が90個/100cm2以下であり、該被膜の表面のRa値が1〜5nmであり、かつ、ポリエステルフィルムのガラス転移温度が395K以上であり、ポリエステルフィルムのガラス転移温度が、構成材料のポリエステルの単独体フィルムのガラス転移温度より10K以上高いことを特徴とする。
【0011】
そのポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2、6−ナフタレートであることが好ましい。また、耐熱性高分子が、450K以上のガラス転移温度を有する高分子であることが好ましく、特に、ポリイミドまたはポリエーテルイミドであることが好ましい。耐熱性高分子のポリエステルフィルム中における含有量が5〜40重量%であることが好ましい。
【0012】
また、トラックピッチが7μm以下のデジタル記録方式の磁気テープ用に用いられる磁気記録媒体用支持体であることが好ましい。本発明の磁気記録テープは、それら磁気記録媒体用支持体の被膜側の表面上に強磁性金属薄膜層が設けられてなることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリエステルフィルムはポリエステルと耐熱性高分子を構成材料としてなるフィルムである。
【0014】
ポリエステルとしては分子配向により高強度フィルムとなり得るポリエステルであればよいが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。即ち、その構成成分の80%以上がエチレンテレフタレート又はエチレンナフタレートであるポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。エチレンテレフタレート、エチレンナフタレート以外のポリエステル共重合体成分としては、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能ジカルボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸などが挙げられる。さらに、上記のポリエステルは、他にポリエステルと非反応性のスルホン酸のアルカリ金属塩誘導体、該ポリエステルに実質的に不溶なポリアルキレングリコールなどの少なくとも一つを5重量%を越えない程度に混合してもよい。
【0015】
耐熱性高分子としては、ポリエチレンテレフタレートと相溶し得る耐熱性ポリマーであれば特に限定されないが、ガラス転移温度(Tg)が450K以上のものが好ましい。ポリスルホン(Tg 463K付近)、ポリイミド(Tg 683K付近)、ポリエーテルイミド(Tg 490K付近)等が使用できる。ポリイミド、ポリエーテルイミド、特に2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミンとの縮合物がポリエステルとの相溶性が良好で好ましい。耐熱性高分子を添加することによりポリエステルの熱収縮率が低下し,寸法安定性が向上する。この効果はベースフィルムを高強力化した場合にも発現し、薄物化した場合のベースフィルムの高強度化に伴う熱収縮率の悪化、寸法安定性の悪化を防止することができる。
【0016】
このポリエステルフィルムの片側の表面には、金属、半金属及び合金並びにこれらの酸化物及び複合物から選ばれた材料からなる薄膜が形成されている。薄膜の材料としては、具体的にはAl、Cu、Zn、Sn、Ni、Ag、Co、Fe、Mnなどの金属、Si、Ge、As、Sc、Sbなどの半金属があげられる。これらの金属及び半金属の合金、それら複合物としては、Fe−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Fe−Co−Ni、Fe−Cu、Co−Cu、Co−Au、Co−Y、Co−La、Co−Pr、Co−Gd、Co−Sm、Co−Pt、Ni−Cu、Mn−Bi、Mn−Sb、Mn−Al、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、Ni−Co−Cr、Fe−Si−O、Si−C、Si−N、Cu−Al−O、Si−N−O、Si−C−Oなどが挙げられる。酸化物としては酸化アルミニウム、アルミナ、酸化ケイ素、二酸化ケイ素等が挙げられる。
【0017】
このようにポリエステルフィルムの片側の表面に薄膜が形成されていることにより、支持体のヤング率が向上する。薄膜の厚さは一般的には、20〜500nmの厚さが好ましく、50〜300nmの範囲がより有効である。20nmを下回ると強化の目的を達成しがたく、500nmを越えると薄膜がポリエステルフィルムより剥離しがちとなるので好ましくない。薄膜を形成していない厚さ2〜5μmのポリエステルフィルムの支持体から作成されたDVCテープは、繰返し再生することによって伸びてしまい再生時のDOが増加するし、さらにDVCテープのエッジも磁気ヘッドにより変形し、わかめ状になり、再生時のDOが増加する。
【0018】
本発明においては、ポリエステルフィルムの、薄膜形成側とは反対側の片側表面に、微細粒子と有機化合物とを含有する被膜が形成されている。この被膜の表面(以下、表面Aという)には前記微細粒子による微細表面突起が存在し、該微細表面突起の個数が100万〜1億個/mm2、該微細粒子の粒径が5〜30nmである。この微細表面突起により、表面A上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜層の記録・再生時のビデオヘッドによる磨耗が少なくなる。微細粒子の粒径が5nmより小さいと、あるいは微細表面突起の個数が100万個/mm2より少ないと、磁気テープの磁性層表面に存在する微細表面突起個数が100万個/mm2を下回り、強磁性金属薄膜層が記録・再生時に、ビデオヘッドにより磨耗してしまい適していない。微細表面突起の粒径が30nmより大きいと、磁気テープの磁性層表面上に発現される微細表面突起の高さが高くなり磁気テープの出力特性が低下するので適していない。微細表面突起個数が1億個/mm2より多いと、磁気テープの磁性層表面に存在する微細表面突起個数が1億個/mm2を上回り強磁性金属薄膜層が粗面すぎて、磁気テープの出力特性が低下するので適していない。
【0019】
微細表面突起は、微細粒子を有機化合物に含有させてなる被膜層をポリエステルフィルム表面に形成させることにより設けられる。微細粒子の平均粒径は5〜30nm、より好ましくは8〜25nmであり、その粒子種としては、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナのような無機化合物、ポリアクリル酸球、ポリスチレン球等の有機化合物、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等の無機粒子を核として、有機高分子で被覆した粒子等が使用できるが、これらに限定されない。被膜層に使用される有機化合物としてはポリビニルアルコール、トラガントゴム、カゼイン、ゼラチン、セルロース誘導体、水溶性ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、アクリル−ポリエステル樹脂等の有極性高分子これらのブレンド体が使用できるが、これらに限定されない。
【0020】
本発明のポリエステルフィルムの片側表面Aに存在する高さ50〜120nmの表面突起の個数は1500個/mm2以下である。上記高さ範囲の表面突起が上記個数より多く存在すると、磁気テープの磁性層表面に存在する高さ50〜120nmの表面突起個数が1500個/mm2を超え、エラーレートが増大するので適していない。
【0021】
本発明のポリエステルフィルムの片側表面Aに存在する、高さ120nm以上の表面突起個数は90個/100cm2以下である。上記高さの表面突起が、上記個数より多く存在すると、磁気テープの磁性層表面に存在する高さ120nm以上の表面突起個数が90個/100cm2を超え、ドロップアウトが増大するので適していない。
【0022】
本発明のポリエステルフィルムの片側表面AのRa値は表面A上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜膜の記録・再生時の磁気ヘッドによる磨耗を極力少なくし、および磁気テープの出力特性を良好に保つために1〜5nm、好ましくは2〜4nmである。Ra値が1nm未満であると、表面A上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜層のRaが1nm未満となり平滑すぎて、DVCビデオカメラ内での録画、再生時に磁気ヘッドにより磁気テープの強磁性金属薄膜が磨耗してしまい好ましくない。Ra値が5nmを超えると、該強磁性金属薄膜層のRaが5nmを超え、粗面すぎて、磁気テープの出力特性が低下し好ましくない。
【0023】
本発明のポリエステルフィルムのガラス転移温度は、構成材料のポリエステルの単独からなるポリエステルフィルムのガラス転移温度より10K以上高いのが好ましく、特に、15〜40K高いのが好ましい。このガラス転移温度の高い水準が10K未満であると、ポリエステルフィルムの寸法安定性、熱収縮率は構成材料のポリエステル単独体からなるフィルムと大差ないので、磁気テープのトラックピッチを現状の10μmから5、4μmへと減少させたとき、磁気テープの保存時の寸法変化、収縮により記録時のトラックと再生時のトラックの位置が一致せず再生出力が低下し、DOが増加してしまう。
【0024】
フィルム中の耐熱性高分子の含有量は、5〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは7〜35重量%、さらに好ましくは10〜30重量%である。耐熱性高分子の含有量が5重量%未満であると、ポリエステルフィルムのガラス転移温度を十分に上昇させることができないので好ましくない。耐熱性高分子の含有量が40重量を超えるとポリエステルフィルムの機械的強度の低下が目立つようになるので、DVCビデオカメラ内でのDVCテープ走行性の不良、エッジ変形が起きやすくなり好ましくない。
【0025】
本発明の磁気記録媒体用支持体において、被覆層形成側とは反対側のポリエステルフィルム表面(B面側という)には、前記したとおり薄膜が形成される。このポリエステルフィルムB面側は、シリコーン等の潤滑剤が含まれたより粗い被覆層により、あるいは、より大きな微細粒子を含有するポリエステルフィルム層(積層されたフィルム層)により構成されることが好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。なおここで用いられる微細粒子としては炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、ポリスチレン等が例示される。この微細粒子としては、平均粒子径が好ましくは100〜1000nm、より好ましくは150〜900nmのものが用いられ、添加量としては好ましくは0.05〜1.0重量%、より好ましくは0.08〜0.8重量%である。
【0026】
ポリエステルフィルムB面側に薄膜が形成されてなる支持体において、薄膜の表面のRa値は、ポリエステルフィルムの片側表面A上に強磁性薄膜を設けた後にロール状の巻取りにより薄膜表面の粗さが転写し強磁性薄膜層にうねり状の変形が起きるのを最小限にするために、5〜35nm、より好ましくは8〜25nmが望ましい。
【0027】
本発明の磁気記録テープは、本発明の支持体の表面A上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜層を設けてなるものであり、使用する金属薄膜は公知のものを使用でき、特に限定されないが、鉄、コバルト、ニッケル、またはそれらの合金の強磁性体からなるものが好ましい。金属薄膜層の厚さは20〜300nmであればよい。この金属薄膜層上に10nm程度の厚みのダイヤモンド状カーボン膜をコーティングし、更にその上に潤滑剤処理することが好ましい。
【0028】
本発明の磁気記録テープでは、薄膜表面上に、固体微粒子および結合剤からなり、必要に応じて各種添加剤を加えた溶液を塗布することにより形成されるバックコート層が設けられていることが好ましく、固体微粒子、結合剤、添加剤は公知のものを使用でき、特に限定されない。バックコート層の厚さは0.3〜1.5μm程度であればよい。
【0029】
次に本発明の磁気記録媒体用支持体及び磁気記録テープの製法を説明する。
【0030】
本発明におけるポリエステルフィルムは、例えば、ポリエステルを溶融、成形、二軸延伸、熱固定、熱固定後の巻取りからなる通常のプラスチックフィルム製造工程において、溶融に供するポリエステルとして、耐熱性高分子をブレンド率5〜40重量%でブレンドさせたポリエステル原料を用い、縦、横方向に、110〜180℃で2.9〜5.7倍、3.7〜7.2倍で延伸し、190〜220℃の温度で熱固定を行うことにより製造することができる。
【0031】
具体的には、共押出し技術の使用により含有粒子を可能な限り除いた層A用の原料と積極的に微粒子を含有させた層B用の原料とを積層させてA/B積層フィルムにして押出し、一方向に延伸した後、平滑なポリエステルフィルムのA面側に、平均粒径が5〜30nm、好ましくは8〜20nmの微細粒子を0.5〜12.0重量%、好ましくは0.6〜10.0重量%含む有機化合物からなる塗液Aを塗布して表面A側に被覆層を形成させる。
【0032】
A層は、磁気テープの磁気ヘッドによる耐久性を更に増すために、その内部に微細粒子を含ませた層でもよい。例えば、A層を形成するポリエステル層内に平均粒径が30〜150nm、好ましくは40〜100nmの微細粒子を0.01〜1.0重量%、好ましくは0.02〜0.8重量%含ませ、その表面上に表面突起をもたせてもよい。
【0033】
B層を積層させない単層フィルムの場合は、一方向に延伸した後の平滑なポリエステルフィルムのB面側に、即ち、塗液Aの塗布面とは反対側の面に、滑剤を含む塗液を塗布する易滑処理をしてもよい。
【0034】
一方向に延伸後に、塗液Aを塗布した後、他方向に延伸し、さらに、熱固定して巻取ることによって、被膜が形成されたポリエステルフィルムが得られる。得られたポリエステルフィルムにおいて、被膜の表面(表面A)のRa値は、形成させた被覆層内の微粒子、成分、A層内部の微細粒子の調整により、所望水準に調整することができる。
【0035】
本発明の支持体において、ポリエステルフィルムのガラス転移温度を、構成材料のポリエステル単独体からなるポリエステルフィルムのガラス転移温度より10K以上高くするためには、ガラス転移温度が450K以上の耐熱性高分子を選び、この耐熱性高分子をポリエステルフィルム中に5〜40重量%の含有割合となるよう、構成材料のポリエステルとブレンドすればよい。耐熱性高分子のガラス転移温度が低い場合は含有量を増し、高い場合は含有量を減少させて調整し、前記二軸延伸、熱処理を実施することにより達成できる。
【0036】
ガラス転移温度が450K以上の耐熱性高分子としては、ポリスルホン(Tg463K付近)、ポリイミド(Tg 683K付近)、ポリエーテルイミド(Tg 490K付近)等が使用でき、なかでも、ポリイミド、ポリエーテルイミドが好ましく、特に2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミンとの縮合物が好ましい。
【0037】
被膜が形成されたポリエステルフィルムには、そのB面上に、Al、Cu、Zn、Sn、Ni、Ag、Co、Fe、Mnなどの金属、Si、Ge、As、Sc、Sbなどの半金属、これらの金属及び半金属の合金、それら複合物であるFe−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Fe−Co−Ni、Fe−Cu、Co−Cu、Co−Au、Co−Y、Co−La、Co−Pr、Co−Gd、Co−Sm、Co−Pt、Ni−Cu、Mn−Bi、Mn−Sb、Mn−Al、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、Ni−Co−Cr、Fe−Si−O、Si−C、Si−N、Cu−Al−O、Si−N−O、Si−C−O等、またこれらの金属、半金属および合金の酸化物、複合物などを用いて、薄膜が形成され、本発明の支持体が作成される。その酸化物としては酸化アルミニウム、アルミナ、酸化ケイ素、二酸化ケイ素等が挙げられる。薄膜の形成法は特に限定しないが真空蒸着法が一般的である。薄膜の厚さは、一般的には20〜500nmの厚さが好ましく、50〜300nmの範囲がより有効である。
【0038】
本発明の磁気記録媒体用支持体は、磁気記録媒体のベース材として使用される。特に、厚さ5μm以下の磁気記録媒体用支持体として、トラック幅を現行のトラック幅より狭めたDVC−スーパーロングプレイモード(DVC−SLPモード)で使用する用途に、また大容量のデータテープ用途に使用すると優れた結果を得ることができ好適である。
【0039】
本発明の磁気テープは、本発明の支持体の片側表面AにCo等の強磁性金属薄膜を真空蒸着により膜厚み20〜300nmと形成し、この金属薄膜上に10nm程度の厚みのダイヤモンド状カーボン膜をコーティングし、更にその上に潤滑剤処理することにより、さらに、薄膜表面Bに固体微粒子および結合剤からなり、必要に応じて各種添加剤を加えた溶液を塗布してバックコート層を設けることにより作成される。
【0040】
【実施例】
本実施例で用いた測定法を下記に示す。
(1)微細粒子の粒径
電子顕微鏡(電顕)試験台上に微細粒子粉体を、この粒子ができるだけ重ならないように散在せしめ、電顕(好ましくは透過型電子顕微鏡)により倍率100万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子について面積円相当径を求め、この数平均値をもって粒径とした。
なお、この粒径を支持体から求める場合には下記のa)手法等により求められる。
a)支持体の被膜表面A上に金スパッター装置により金薄膜蒸着層を20〜30nm(χnm)で設け、電子顕微鏡(好ましくは走査型電子顕微鏡)により倍率10万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子について面積円相当径を求め、この数平均値より2χnmを減じた値をもって粒径とする。
(2)支持体の表面A上の微細表面突起の個数
支持体の表面Aに形成された微細突起の個数は、走査型電子顕微鏡により3万倍程度の拡大倍率で表面Aを10視野以上観察し、突起状に見える突起が1mm2あたり何個あるかを求めることにより測定した。
【0041】
(3)高さ50〜120nmの表面突起個数
支持体の表面に対し5°の角度で銀を蒸着(シャドーイング)し、その後スパッタリングにより白金をコートする。シャドーイングした支持体表面を真上から走査型電子顕微鏡により5千倍程度の拡大倍率で10視野程度観察し、表面上に影をもつ表面突起(ポリエステルポリマーの中に存在する微粒子により形成されたもの)を探し、表面突起の高さをh、影の長さHとし、tan5°=h/Hの関係を用いて、影の長さより高さを推定し、高さ50〜120nmの表面突起の個数を求めた。1mm2あたり何個あるかを換算し、高さ50〜120nmの表面突起個数とした。
(4)高さ120nm以上の表面突起個数
光学顕微鏡(観測倍率:100倍)を用いて支持体の表面Aを観察し、突起状に見えるものをマーキングする。マーキングされたそれら突起の高さをキーエンス社製のレーザー顕微鏡(表面形状測定顕微鏡 VF−7500)を用いて120nm以上であるか否かを確認する。観測した面積より100cm2あたりの面積に換算し、高さ120nm以上の表面突起個数とした。
【0042】
(5)Ra値
磁気記録媒体用支持体の表面の表面粗さRa値は、原子間力顕微鏡(走査型プローブ顕微鏡)を用いて測定した。セイコーインスツルメント社製の走査型プローブ顕微鏡(SPI3800シリーズ)を用い、ダイナミックフォースモードでフィルムの表面を30μm角の範囲で原子間力顕微鏡計測走査を行い、得られる表面のプロファイル曲線よりJIS・B0601・Raに相当する算術平均粗さより求めた。面内方向の拡大倍率は1万〜5万倍、高さ方向の拡大倍率は100万倍程度とした。
(6)ガラス転移温度(Tg)
ガラス転移温度は、示差走査熱分析における昇温時の熱流束ギャップからJIS K7121に従って求める。示差走査熱分析による方法のみで判定しにくい場合には、動的粘弾性測定あるいは顕微鏡観察などの形態学的方法を併用しても良い。また、示差走査熱分析によってガラス転移温度を判定する場合は、温度変調法や高感度法を使用することも有効である。なお、ガラス転移温度は下記式により算出した。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
【0043】
(7)磁気テープ(DVC−SLPテープ)の特性評価(DO個数)
市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダー(DVCビデオカメラ)の走行速度を1/2.5に落として、通常モード(SPモード)の2.5倍の録画時間を持つモード(スーパーLP、SLPモード)とし、DVCテープ上に記録されるトラックピッチを2.5分の1(1/2.5)化した。
SLPモードのDVCビデオカメラを用いて静かな室内で録画し、1分間の再生をして画面にあらわれたブロック状のモザイク個数(ドロップアウト(DO)個数)を数えることによって、作成した磁気テープの特性を評価した。
DO個数は常温(25℃)でテープ製造後の初期特性を最初に調べた。次にテープの走行を100回くり返した後のDO個数を測定し磁気テープの走行耐久性を評価した。またそのテープを高温(60℃)で30日間放置した後のDO個数を測定し、磁気テープの画像保存性能を評価した。
【0044】
次に実施例に基づき、本発明を説明する。
【0045】
実施例1
実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートに、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミンとの縮合物からなるポリエーテルイミドを25重量%含有させた原料Aと、実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートに前記ポリエーテルイミドを25重量%含有させ、さらに、平均粒径300nmの架橋性ポリスチレン球を0.30重量%含有させた原料Bとを厚み比5:1の割合で共押出しし、ロール延伸法で128℃で3.4倍に縦延伸した。
【0046】
縦延伸の後の工程で、原料Aの層の表面上に下記水溶液を、固形分濃度28mg/m2 となるように塗布した。
A面外側:メチルセルロース 0.10重量%
水溶性ポリエステル(テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体) 0.35重量%
アミノエチルシランカップリング剤 0.02重量%
平均粒径8nmの極微細シリカ 0.06重量%
その後、ステンターにて横方向に129℃で3.7倍に延伸し、215℃で熱処理し、中間スプールに巻き、スリッターで小幅にスリットし、円筒コアー上にロール状に巻取り、厚さ4.4μmのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムのB面側(原料Bの層側)の表面B上にアルミニウムの真空蒸着を行い、蒸着膜厚150nmのアルミニウム薄膜を形成し、厚さ4.55μmの支持体を作成した。
【0047】
次に、この支持体の表面A(被膜表面)上に真空蒸着により厚さ180nmのコバルト−酸素薄膜を形成した。次にコバルト−酸素薄膜層上に、スパッタリング法によりダイヤモンド状カーボン膜を5nmの厚さで形成させ、フッ素含有脂肪酸エステル系潤滑剤を3nmの厚さで塗布した。続いて、反対側の表面に、カーボンブラック、ポリウレタン、シリコーンからなるバックコート層を500nmの厚さで設け、スリッターにより幅6.35mmにスリットしリールに巻き取りミニDVC用カセットに組み込み磁気テープ(DVC−SLPテープ、録画時間200分)を作成した。
【0048】
得られた支持体、磁気テープの特性を表1に示す。なお支持体のB面のRa値は18nmであった。
【0049】
実施例2
実施例1の支持体製造において、アルミニウムの真空蒸着を、微量の酸素を注入しながら行い、酸化アルミニウム薄膜を150nmの膜厚で形成し、厚さ4.55μmの支持体を作成した。得られた支持体を用いて、その他は実施例1と同様にして磁気テープ(DVC−SLPテープ、録画時間200分)を作成した。得られた支持体、磁気テープの特性を表1に示す。なお支持体のB面のRa値は19nmであった。
【0050】
実施例3
実施例1の支持体製造において、アルミニウムの真空蒸着を、酸化ケイ素の真空蒸着に変え、酸化ケイ素薄膜を100nmの膜厚で形成し、厚さ4.50μmの支持体を作成した。得られた支持体を用いて、その他は実施例1と同様にして磁気テープ(DVC−SLPテープ、録画時間200分)を作成した。得られた支持体、磁気テープの特性を表1に示す。なお支持体のB面のRa値は19nmであった。
【0051】
実施例4
実施例1のポリエステルフィルム製造において、原料A、B内のポリエーテルイミド重量分率をどちらも15重量%としたこと以外は実施例1と同様にして厚さ4.4μmのポリエステルフィルム、厚さ4.55μmの支持体、磁気テープ(DVC−SLPテープ、録画時間200分)を作成した。得られた支持体及び磁気テープの特性を表1に示す。なお支持体のB面のRa値は18nmであった。
【0052】
実施例5
実施例1のポリエステルフィルム製造において、原料A内に粒径60nmのシリカを0.06重量%添加した事以外は実施例1と同様にして、厚さ4.55μmの支持体を作成した。得られた支持体を用いて、その他は実施例1と同様にして磁気テープ(DVC−SLPテープ、録画時間200分)を作成した。得られた支持体、磁気テープの特性を表1に示す。なお支持体のB面のRa値は19nmであった。
【0053】
実施例6
実施例1の支持体製造において、アルミニウムの真空蒸着薄膜厚さを10nmと変更し、厚さ4.41μmの支持体を作成した。得られた支持体を用いて、その他は実施例1と同様にして磁気テープ(DVC−SLPテープ、録画時間200分)を作成した。得られた支持体、磁気テープの特性を表1に示す。なお支持体のB面のRa値は19nmであった。
【0054】
実施例7
実施例1のポリエステルフィルム製造において、ポリエチレンテレフタレートをポリエチレン−2,6−ナフタレートと変更し、ポリエーテルイミド25重量%含有を、ポリイミド10重量%含有と変更し、原料B内の架橋性ポリエチレン球の含有量を1.1重量%と変更し、縦延伸温度、倍率を135℃で5.5倍と変更し、塗布時の固形分濃度を56mg/m2と変更し、横延伸温度、倍率を135℃、7.0倍と変更し、200℃で熱処理と変更し、その他は実施例1と同様にして、厚さ3.8μmのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムを用いて実施例3と同様にして酸化ケイ素薄膜を形成し、厚さ3.9μmの支持体を作成した。得られた支持体を用いて、その他は実施例1と同様にして磁気テープ(DVC−SLPテープ、録画時間250分)を作成した。
【0055】
得られた支持体、磁気テープの特性を表1に示す。なお支持体のB面のRa値は19nmであった。
【0056】
比較例1
実施例1のポリエステルフィルム製造において、塗布水溶液中の極微細シリカの粒径を4nmに変え、添加量を0.05重量%と変更した。その他は実施例1と同様にして、厚さ4.4μmのポリエステルフィルムを作成した。得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様にして厚さ4.55μmの支持体を作成した。得られた支持体を用いて、その他は実施例1と同様にして磁気テープ(DVC−SLPテープ、録画時間200分)を作成した。得られた支持体、磁気テープの特性を表1に示す。なお支持体のB面のRa値は20nmであった。
【0057】
比較例2
実施例1のポリエステルフィルム製造において、塗布水溶液中の極微細シリカの粒径を40nmと変更した。その他は実施例1と同様にして、厚さ4.4μmのポリエステルフィルムを作成した。得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様にして厚さ4.55μmの支持体を作成した。得られた支持体を用いて、その他は実施例1と同様にして磁気テープ(DVC−SLPテープ、録画時間200分)を作成した。得られた支持体、磁気テープの特性を表1に示す。なお支持体のB面のRa値は20nmであった。
【0058】
比較例3
実施例1のポリエステルフィルム製造において、塗布水溶液中の極微細シリカの濃度を0.01重量%と変更した。その他は実施例1と同様にして、厚さ4.4μmのポリエステルフィルムを作成した。得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様にして厚さ4.55μmの支持体を作成した。得られた支持体を用いて、その他は実施例1と同様にして磁気テープ(DVC−SLPテープ、録画時間200分)を作成した。得られた支持体、磁気テープの特性を表1に示す。なお支持体のB面のRa値は19nmであった。
【0059】
比較例4
実施例1のポリエステルフィルム製造において、塗布水溶液中の極微細シリカの濃度を0.24重量%と変更した。その他は実施例1と同様にして、厚さ4.4μmのポリエステルフィルムを作成した。得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様にして厚さ4.55μmの支持体を作成した。得られた支持体を用いて、その他は実施例1と同様にして磁気テープ(DVC−SLPテープ、録画時間200分)を作成した。得られた支持体、磁気テープの特性を表1に示す。なお支持体のB面のRa値は20nmであった。
【0060】
比較例5
実施例1のポリエステルフィルム製造において、ポリエーテルイミドをポリエーテルエーテルケトンに変えた。その他は実施例1と同様にして、厚さ4.4μmのポリエステルフィルムを作成した。得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様にして厚さ4.55μmの支持体を作成した。得られた支持体を用いて、その他は実施例1と同様にして磁気テープ(DVC−SLPテープ、録画時間200分)を作成した。得られた支持体、磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は19nmであった。
【0061】
比較例6
実施例1のポリエステルフィルム製造において、ポリエーテルイミドをポリエーテルスルホンに変えた。その他は実施例1と同様にして、厚さ4.4μmのポリエステルフィルムを作成した。得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様にして厚さ4.55μmの支持体を作成した。得られた支持体を用いて、その他は実施例1と同様にして磁気テープ(DVC−SLPテープ、録画時間200分)を作成した。得られた支持体、磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は18nmであった。
【0062】
比較例7
実施例1のポリエステルフィルム製造において、水溶液中の極微細シリカの粒径を5nmに変え、濃度を0.05重量%と変更した。さらに、水溶液中のメチルセルロースの濃度を0.06重量%と変更した。その他は実施例1と同様にして、厚さ4.4μmのポリエステルフィルムを作成した。得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様にして厚さ4.55μmの支持体を作成した。得られた支持体を用いて、その他は実施例1と同様にして磁気テープ(DVC−SLPテープ、録画時間200分)を作成した。得られた支持体、磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は19nmであった。
【0063】
比較例8
実施例1のポリエステルフィルム製造において、水溶液中の極微細シリカの粒径を22nmと変更した。さらに、水溶液中のメチルセルロースの濃度を0.25重量%と変更した。その他は実施例1と同様にして、厚さ4.4μmのポリエステルフィルムを作成した。得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様にして厚さ4.55μmの支持体を作成した。得られた支持体を用いて、その他は実施例1と同様にして磁気テープ(DVC−SLPテープ、録画時間200分)を作成した。得られた支持体、磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は19nmであった。
比較例9
実施例1のポリエステルフィルム製造において、ポリエーテルイミドの含有量を8重量%と変更した以外は実施例1と同様にして、厚さ4.4μmのポリエステルフィルムを作成した。得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様にして厚さ4.55μmの支持体を作成した。得られた支持体を用いて、その他は実施例1と同様にして磁気テープ(DVC−SLPテープ、録画時間200分)を作成した。得られた支持体、磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は19nmであった。
【0064】
比較例10
実施例7のポリエステルフィルム製造において、ポリイミドの含有量を2重量%と変更した以外は実施例1と同様にして、厚さ4.4μmのポリエステルフィルムを作成した。得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様にして厚さ4.55μmの支持体を作成した。得られた支持体を用いて、その他は実施例1と同様にして磁気テープ(DVC−SLPテープ、録画時間250分)を作成した。得られた支持体、磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は20nmであった。
比較例11
実施例1のポリエステルフィルム製造において、ポリエーテルイミドを含有させなかった以外は実施例1と同様にして、厚さ4.4μmのポリエステルフィルムを作成した。得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様にして厚さ4.55μmの支持体を作成した。得られた支持体を用いて、その他は実施例1と同様にして磁気テープ(DVC−SLPテープ、録画時間200分)を作成した。得られた支持体、磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は19nmであった。
【0065】
比較例12
実施例7のポリエステルフィルム製造において、ポリイミドを含有させなかった以外は実施例1と同様にして、厚さ4.4μmのポリエステルフィルムを作成した。得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様にして厚さ4.55μmの支持体を作成した。得られた支持体を用いて、その他は実施例1と同様にして磁気テープ(DVC−SLPテープ、録画時間250分)を作成した。得られた支持体、磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は19nmであった。
比較例13
実施例1の支持体製造において、アルミニウムの真空蒸着を行わなかった。即ち、実施例1と同様にして製造した厚さ4.4μmのポリエステルフィルムをそのまま支持体として用い、磁気テープを作成した。得られた支持体及び磁気テープ(DVC−SLPテープ、録画時間200分)の特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は18nmであった。
【0066】
比較例14
実施例7の支持体製造において、酸化ケイ素の真空蒸着を行わなかった。即ち、実施例7と同様にして製造した厚さ3.8μmのポリエステルフィルムをそのまま支持体として用い、磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープ(DVC−SLPテープ、録画時間250分)の特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値は19nmであった。
【0067】
【表1】
Figure 0004529326
【0068】
表1に示す結果から明らかな様に、本発明の磁気記録媒体用支持体の片側表面Aに強磁性金属薄膜層を設けて製造したDVCテープは、薄く、トラックピッチを大幅に狭めることができ、DOが少なく優れた記録・再生性能を発揮し、録画時間200分、250分と極めて長時間録画可能なDVCテープ(DVC−SLPテープ)であった。これに対し、本発明外の支持体を用いた場合は、再生時にドロップアウトが発生し、記録・再生性能が劣っていた。
【0069】
【発明の効果】
本発明の磁気記録媒体用支持体をベースフィルムに用い、表面Aに強磁性金属薄膜層を設けて製造される磁気テープは、厚みを薄くでき、トラックピッチを大幅に狭めることが可能であって、更なる大幅な長時間の録画時間をDVCテープ(DVC−SLPテープ)で実現化させることができる。従って、本発明によると、DVC磁気記録方式用に好適で、録画時間の更なる大幅な長時間化が可能な磁気テープ、及び、それが可能となる磁気記録媒体用支持体を得ることができる。

Claims (7)

  1. ポリエステルと耐熱性高分子とを構成材料としてなるポリエステルフィルムの片側の表面上に、金属、半金属及び合金並びにこれらの酸化物及び複合物から選ばれた材料からなる薄膜が形成され、他方の片側表面上に、粒径が5〜30nmの微細粒子と有機化合物とを含有する被膜が形成されてなる磁気記録媒体用支持体であって、該被膜の表面に前記微細粒子による微細表面突起が存在し、該微細表面突起の個数が100万〜1億個/mm2であり、高さ50〜120nmの表面突起の個数が1500個/mm2以下、高さ120nm以上の表面突起個数が90個/100cm2以下であり、該被膜の表面のRa値が1〜5nmであり、かつ、ポリエステルフィルムのガラス転移温度が395K以上であり、ポリエステルフィルムのガラス転移温度が、構成材料のポリエステルの単独体フィルムのガラス転移温度より10K以上高いことを特徴とする磁気記録媒体用支持体。
  2. ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートであることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体用支持体。
  3. 耐熱性高分子が、450K以上のガラス転移温度を有する高分子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体用支持体。
  4. 耐熱性高分子がポリイミドまたはポリエーテルイミドであることを特徴とする請求項3記載の磁気記録媒体用支持体。
  5. 耐熱性高分子のポリエステルフィルム中における含有量が5〜40重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の磁気記録媒体用支持体。
  6. トラックピッチが7μm以下のデジタル記録方式の磁気テープ用に用いられることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の磁気記録媒体用支持体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の磁気記録媒体用支持体の被膜側の表面上に強磁性金属薄膜層が設けられてなることを特徴とする磁気記録テープ。
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