JP4523817B2 - 無線中継装置 - Google Patents
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このように無線中継装置において、その受信アンテナと、送信アンテナは同一の偏波特性をもっている。従って、無線中継装置の送信アンテナから送信された無線信号が再びその無線中継装置の受信アンテナに回り込み受信される。この回り込み信号を以下回り込み信号という。無線中継装置の受信周波数と送信周波数が同一の場合は無線中継装置の増幅利得を大きくすると、前記回り込み信号により発振を引き起してしまう。このため増幅利得を上げることに制限が生じる。
無線中継装置の受信アンテナのアンテナ指向特性パターンは幅の狭いビーム状とされ、そのアンテナ指向特性ビームを送信装置のアンテナの方向とされている。
また従来のMIMO方式の無線中継伝送方法で、例えば図2に示した方法では伝送路数が増加するが、無線中継装置での回り込みの問題を避けるため、無線中継装置で、受信無線信号を一旦蓄積後、送信装置からの送信が停止されると、蓄積した無線信号を送信し、つまり、無線中継装置における受信と送信とを時分割で行うため、連続的に中継する場合と比較して伝送信号量が約半分になってしまう欠点があった。
[想定中継装置]
中継装置としては、無線中継装置の受信アンテナと送信アンテナとに偏波特性が互いに直交化されたものが用いられる。図3に水平偏波アンテナと垂直偏波アンテナを用いる場合を示す。図3の例では受信アンテナ21として、水平に配されたターンスタイルアンテナよりなる水平偏波アンテナが用いられ、送信アンテナ22として、垂直に立てられたスリーブ(ダイポール)アンテナよりなる垂直偏波アンテナが用いられる。これらは支柱29上にターンスタイルアンテナ21を上側として上下に取り付けられている。水平偏波受信アンテナ21で受信された無線信号は筐体23内の増幅器24で増幅されるが、この例では受信アンテナ21としてターンスタイルアンテナが用いられているため、その2つのダイポール素子の受信信号が移相合成部25で互いに位相を90度ずらされて合成されて増幅器24へ入力される。増幅された無線信号は送信アンテナ22より送信される。
互いに直交する斜偏波を受信アンテナと送信アンテナに用いる中継装置2として図4に示す。垂直面41内の垂直線42に対し、時計方向に45度傾斜したスリーブ(ダイポール)アンテナが受信アンテナ21として用いられる。垂直面41と平行な垂直面43内の垂直線44に対し反時計方向に45度傾斜したスリーブ(ダイポール)アンテナが送信アンテナ22として用いられる。垂直面41と43を重さねると、受信アンテナ21と送信アンテナ22の偏波面は互いに直交する。このような直交関係が成立てばよく、垂直軸に対する角度は逆方向に互いに異なる角度傾斜をさせ、その互いになす角度が直角であればよい。
この発明の無線中継装置の実施形態1は、無線中継装置に、第1偏波受信アンテナをU個、これと偏波特性が直交化した第2偏波受信アンテナをV個(U,Vはそれぞれ1以上の整数)備え、第1偏波受信アンテナ及び第2偏波受信アンテナとそれぞれ偏波特性が直交化したU個の第2偏波送信アンテナ及びV個の第1偏波送信アンテナを備える。
U=V=1の場合のこの実施例を図6に示す。偏波特性が互いに直交化した2つのアンテナとしては、図3〜図5を参照して説明したいずれの対の形式のもののいずれを使用してもよい。よって以下の説明では偏波特性が互いに直交化した2つのアンテナの一方を縦線の上に頂点を下とした三角形(逆三角形)を付けて表示し、他方を縦線の上に頂点を上とした三角形を付けて表示する。
このようにして偏波が互いに直交化した同一周波数帯の複数の無線信号をそれぞれ比較的高い利得で同時に中継増幅することができる。よって図2中の無線中継装置より中継できる通信容量を大きくすることができる。
図6に示した中継装置において発振するおそれは次の理由に基づく。例えば第1偏波受信アンテナ211で受信された無線信号が第2偏波送信アンテナ221より送信され、この無線信号が回り込み伝送路41を通じて第2偏波受信アンテナ212に受信され、その受信された回り込み信号は増幅器242で増幅され、第1偏波送信アンテナ222より送信され、この送信された回り込み信号が、回り込み伝送路42を通じて第1偏波受信アンテナ211で受信され、この受信された回り込み信号が増幅器241で増幅されて第2偏波送信アンテナ221より再び送信される。つまり次の閉路を回り込み信号が巡回して発振が生じるおそれがある。
このようなたすき掛けの複雑な回り込みに気付き、これを、図1に示した従来の回り込み抑圧部271と同様にして回り込み信号を抑圧することを考えて行ったとすると、回り込み抑圧部271では増幅器241を通じ、更に増幅器242を通じて増幅された回り込み信号を抑圧することになる。しかし一般に信号は増幅器で増幅されるごとに雑音が加算されるため、この回り込み抑圧部271では2回も増幅器を通過した回り込み信号を抑圧することになる。このため第1偏波受信アンテナ211の受信無線信号についての回り込み信号は増幅器242を通過した、つまり雑音が加算された状態になり、従って回り込み抑圧部271の出力信号も雑音が加算されたものとなる。第2偏波受信アンテナ212で受信した無線信号についての回り込み信号より発振が生じるおそれも、前記閉路を巡回することに基づくものであり、この閉路に最初に入る部分が第1偏波送信アンテナ222となる点が異なるだけである。回り込み抑圧部271及び272と好ましい例を図7を参照して説明する。
このようにして第1偏波受信アンテナ211の受信無線信号中の、第2偏波受信アンテナ212の受信無線信号が回り込み伝送路42を通じて第1偏波受信アンテナ211に受信された回り込み信号が、FIRフィルタ451からの回り込み信号レプリカにより抑圧され、つまり第2偏波受信アンテナ212の受信無線信号が第1偏波送信アンテナ222から回り込み伝送路42を通じて回り込み信号として前記閉路に入力される部分で抑圧され、回り込み信号が増幅器により増幅され雑音が加算される問題は生じない。
次にこの発明の無線中継伝送方法の実施形態を説明する。
実施例2
この実施形態2が適用される通信システムの構成例を図8に示す。送信装置10に、偏波特性が直交化した第1偏波及び第2偏波送信アンテナ111及び112が設けられ、これら第1偏波及び第2偏波送信アンテナ111及び112から同一周波数帯の無線信号を同時に送信する。第1偏波及び第2偏波送信アンテナ111及び112により無線信号としてそれぞれ伝送する情報系列S1及びS2は異なるものでも同一のものでもよい。
受信装置30には無線中継装置20の送信アンテナ22と直交化の形式も含めて同一の偏波特性をもつ、この例では第2偏波の2つの受信アンテナ311,312が設けられる。
受信装置30で送信装置10の第2偏波送信アンテナ112から送信された無線信号と無線中継装置20から送信された無線信号とを第2偏波受信アンテナ311,312で受信する。
この発明の無線中継伝送方法をこれが適用されるシステム構成を示す図9を参照して説明する。
送信装置10の第1偏波送信アンテナ11から無線信号を送信し、その無線信号を無線中継装置20において第1偏波送信アンテナ11の偏波特性と同一の偏波特性の第1偏波受信アンテナ21で受信し、受信した無線信号を増幅して、受信アンテナ21と偏波特性が直交化した第2偏波送信アンテナ22により送信し、つまり受信無線信号と偏波面が直交化した偏波面の無線信号として送信する。受信装置30において無線中継装置20の第2偏波送信アンテナ22と同一の偏波特性の第2偏波受信アンテナ311と、第2偏波送信アンテナ22と直交化した偏波特性の第1偏波受信アンテナ312とにより無線信号を受信する。
受信装置30で両受信アンテナ311及び312で受信された信号は合成部33で合成される。このような受信アンテナ311及び312に受信される信号の伝搬路の特性が異なり、つまり伝搬路が増加し、また無線中継装置20では受信信号を偏波面を直交化させて、同一周波数帯で送信しているため、受信と送信を同時に連続的に行うことができ、通信容量を増加させることができる。図9中に破線で示すように送信装置10の第1偏波送信アンテナ11を複数としてもよく、無線中継装置20も複数でもよく、更に受信装置30の第2偏波受信アンテナ311も複数でもよく、同様に第1偏波受信アンテナ312も複数でもよい。
この発明方法の実施例4を図10のシステム構成を参照して説明する。送信装置10から偏波特性が互いに直交化した第1偏波送信アンテナ111と第2偏波送信アンテナ112により互いに異なる情報系列又は同一情報系列を同一周波数帯で同時に送信する。
無線中継装置20で第1偏波の受信アンテナ21により無線信号を受信し、その受信無線信号を回り込み抑圧部271に入力し、回り込み抑圧部271で回り込み信号が抑圧された無線信号を増幅して第2偏波の送信アンテナ22により受信信号に対し偏波面を直交化させた無線信号として送信する。
この発明方法の実施例3を図11のシステム構成を参照して説明する。送信装置10から偏波特性が互いに直交化した第1偏波送信アンテナ111と第2偏波送信アンテナ112により互いに異なる情報系列又は同一情報系列を同一周波数帯で同時に送信する。
無線中継装置20で第1偏波の受信アンテナ211及び第2偏波の受信アンテナ212により無線信号を受信し、受信アンテナ211の受信信号を回り込み抑圧部271で回り込み信号を抑圧して増幅部241により増幅し、第2偏波の送信アンテナ221より受信信号に対し偏波面を直交化させた無線信号として送信し、第2偏波受信アンテナ212の受信信号を回り込み抑圧部272で回り込み信号を抑圧して増幅部242で増幅し、第1偏波の送信アンテナ222より受信信号に対し偏波面を直交化させた無線信号として送信する。つまり無線中継装置20としては図6又は図7に示したものと同様のものが用いられる。
この実施例6は図14に示すように第1偏波受信アンテナ21の受信無線信号は回り込み抑圧部27を通じて増幅器24に入力され、増幅器24よりの増幅された無線信号は第2偏波送信アンテナ22により送信される。回り込み抑圧部27においては受信アンテナ21の受信信号がチャネル推定・遅延量決定部51に入力され、そのチャネル推定部51aで回り込み信号の伝送特性が、例えば特許文献1に記載された方法により推定される。この推定された伝送特性は回り込み信号の例えばインパルス応答であって、図15に示すように、他の無線中継装置を介さない反射波などによる回り込み信号の伝送路のインパルス応答52とこれに遅れて、他の無線中継装置を介する回り込み信号の伝送路のインパルス応答53が求まる。
図14に示した無線中継装置は図12中に示した例えば無線中継装置201にこの発明を適用した例であるが、図11に示した無線中継装置20や図13中の無線中継装置201や202などにも適用することができる。その例を図16に示す。図16において、図14と対応する部分に同一参照番号を付け、更にその各参照番号に、受信アンテナ211から送信アンテナ221への中継系には添字「1」を付け、受信アンテナ212から送信アンテナ222への中継系には添字「2」を付けて、重複説明を省略する。
図16では送信アンテナ221から送信した信号が受信アンテナ211、つまり自中継系に回り込む信号を抑圧し、また送信アンテナ222から受信アンテナ212、つまり自中継系に回り込む信号を抑圧した。送信アンテナ221から信号が反射などにより受信アンテナ211(自中継系)に回り込む信号と、図7に示したように受信アンテナ212(他中継系)に回り込む信号とを抑圧する例を図17に示す。チャネル推定・遅延量決定部581において、減算器561及び562の各出力信号の一部が入力され、送信アンテナ221から送信され、反射などにより偏波特性がくずれて受信アンテナ211(自中継系)に入力される回り込み伝送路特性の推定と、受信アンテナ212(他中継系)に入力される回り込み伝送路(図7中の回り込み伝送路41)特性とを推定し、推定した前者の回り込み伝送路特性をFIRフィルタ541に設定し、推定した後者の回り込み伝送路特性をFIRフィルタ452に設定し、決定した遅延量を可変遅延素子572に設定する。FIRフィルタ452には増幅器241の入力信号の一部が可変遅延素子572を通じて入力され、その出力は減算部562に入力される。
増幅器242の入力信号の一部が可変遅延素子571を通じてFIRフィルタ451に入力され、FIRフィルタ451の出力が減算部561に入力される。なおパイロット信号送信中は、発振防止のため、減算部561の出力信号を増幅器241には入力しない。
第1偏波受信アンテナ211として複数の第1偏波アンテナ素子21e1によりアレーアンテナが形成され、第2偏波受信アンテナ212として、複数の第2偏波アンテナ素子21e2により受信アレーアンテナが形成され、第2偏波送信アンテナ221として複数の第2偏波アンテナ素子22e1によりアレーアンテナが形成され、第1偏波送信アンテナ222として複数の第1偏波アンテナ素子22e2によりアレーアンテナが形成される。
増幅器241よりの増幅出力信号は重み付け部721内で複数に分岐され、それぞれ乗算部72aで振幅及び位相の重みが与えられてそれぞれ第2偏波送信アンテナ221の対応する第2偏波アンテナ素子22e1へ供給され、電波として送信される。同様に増幅器242よりの増幅出力信号は重み付け部722で分岐されてそれぞれ重みが与えられ、それぞれ第1偏波送信アンテナ222の対応する第1偏波アンテナ素子22e2へ供給され、電波として送信される。
図8〜図13中の各無線中継装置20は頗る簡単な構成をしており、小形にかつ安価に作ることができる。よって例えば移動通信方式、放送方式において、この無線中継装置20を建物などに外部の電波を比較的受信し易く、かつ多くの各建物内に中継した電波を伝搬させ易い所に設けて、あるいはタクシーの車体、宅配便の車両、乗合バスなど比較的人が多く存在する場所で比較的狭い中継サービス領域を簡単に提供することができる。移動体に無線中継装置20を取り付け、その無線中継装置20として図4に示した斜め偏波を利用するものを用いた場合は、図4中に示す面41及び43が送信装置10の送信アンテナの対応する面と互いに平行する状態にあれば受信アンテナ21で受信する無線信号と、送信アンテナ22で送信する無線信号の偏波面の直交性が保たれるが、これらの面41及び43が送信装置10の送信アンテナの対応する面と直角な状態では受信アンテナ21で受信する無線信号と送信アンテナ22で送信する無線信号とは同一の垂直偏波面となってしまう。同様に図5に示した円偏波を利用する無線中継装置を使用する場合は、無線中継装置のアンテナと、送信装置10の送信アンテナとが正対する状態では受信アンテナ21が受信する無線信号と送信アンテナ22が送信する無線信号とは円偏波の旋回方向が互いに逆になるが、無線中継装置のアンテナと送信装置の送信アンテナとが互いに垂直な面内にそれぞれある状態になると、無線中継装置の受信アンテナ21が受信する無線信号と送信アンテナ22が送信する無線信号とは垂直偏波となり、直交性が保たれない。これらいずれの場合も、回り込み抑圧部を設けることにより、中継増幅を行うことができ、かつ無線中継装置を用いることによる伝搬路が増加する利点は失なわれない。
Claims (2)
- 少なくとも第1及び第2中継系を含む無線中継装置であり、各中継系は
無線信号を受信する受信アンテナと、
上記受信アンテナに接続され、受信された無線信号中の回り込み信号を抑圧する回り込み抑圧部と、
上記回り込み抑圧された無線信号を増幅する増幅器と、
上記受信アンテナと直交する偏波特性を有し、上記増幅器の出力を送信する送信アンテナ、
とを含み、
上記第1及び第2中継系の受信アンテナの偏波特性は互いに直交し、上記第1及び第2中継系の送信アンテナの偏波特性は互いに直交し、
上記第1及び第2中継系の各上記回り込み抑圧部は、
自中継系の送信アンテナから送信される無線信号を入力として、他方の中継系の送信アンテナから自中継系の受信アンテナに至る第1伝送路特性を推定するチャネル推定部と、
上記推定された第1伝送路特性を上記他方の中継系の送信アンテナから送信すべき無線信号に畳み込んで第1レプリカを抑圧信号として生成する第1ファイナイトインパルスレスポンスフィルタ、以下FIRフィルタと呼ぶ、と、
上記第1FIRフィルタからの上記第1レプリカを自中継系の受信無線信号から減算して上記受信無線信号中の回り込み信号を抑圧し、上記増幅器に与える減算部、
とを含み、
上記第1及び第2中継系の各上記チャネル推定部は更に他中継系の上記送信すべき無線信号を入力として、上記他中継系の送信アンテナから上記他中継系の受信アンテナに至る第2伝送路特性を推定し、
各中継系の上記回り込み抑圧部は更に、
自中継系の上記チャネル推定部が推定した上記第1伝送路特性と上記第2伝送路特性とを判別分離するチャネル分離部と、
上記第2伝送路特性に対する上記第1伝送路特性の遅延量を検出する遅延量検出部と、
他の中継系の送信すべき無線信号を上記検出された遅延量だけ遅延させて上記第1FIRフィルタに与える可変遅延部と、
上記他の中継系のチャネル推定部により推定された第2伝送路特性を自中継系の送信すべき無線信号に畳み込んで第2レプリカを生成する第2FIRフィルタ、
とを含み、自中継系の上記減算部は、上記第1レプリカの減算結果から更に上記第2レプリカを減算して上記増幅器に与えるように構成されていることを特徴とする無線中継装置。 - 請求項1記載の無線中継装置において、上記第1及び第2中継系の上記受信アンテナ少なくとも一方及び送信アンテナの少なくとも一方は複数のアンテナ素子を有するアレーアンテナであり、
回り込み信号を抑圧する指向特性に上記アレーアンテナの各アンテナ素子に対する重みを設定する重み付与部が設けられていることを特徴とする無線中継装置。
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