JP4520003B2 - 硬化性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化前の粘度が低く取り扱いが容易であり、エポキシ樹脂の剪断接着強さを低下させることなく剥離接着強さを向上せしめたゴム変性エポキシ樹脂組成物に関する。また、本組成物は比較的低温においても十分に硬化し、優れた剪断接着強さと剥離接着強さを発現する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は、その優れた機械特性や電気特性、耐熱性、接着性等より、注型材や積層板、封止材、接着剤、塗料、コンクリート補修材、各種複合材料といった幅広い用途に使用されている。しかしながら、硬化物は硬くて脆く、接着剤として使用した場合、剥離接着強さが小さい点が問題であった。
【0003】
こうしたエポキシ樹脂硬化物の脆さを改善する為、従来よりカルボキシル基末端液状アクリロニトリルブタジエン共重合体(CTBN)による変性が行われ、高い剪断接着強さを保持しつつ剥離接着強さの向上が達成されている。しかし、CTBNによる変性法では、硬化時に相分離させる為、硬化剤種や硬化条件によって分散状態やアクリロニトリルブタジエン共重合体(NBR)相の大きさが変化し易く、物性を安定的に得ることが困難であった。
【0004】
特開平6−107908号公報では、硬化条件により物性が左右されることのない様、未硬化のエポキシ樹脂中であらかじめ粒子状の架橋NBRを分散させる方法が提案されている。しかしながら、該方法により硬化条件による物性のバラツキは解消されたが、硬化前のエポキシ樹脂の粘度が高く、作業性が大幅に低下する等の問題が残った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、こうしたゴム変性エポキシ樹脂の作業性を改善し、剪断接着強さを損うことなく剥離接着強さを向上せしめるといった接着物性を安定して得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決するために、本発明者らは、鋭意検討を行ったところ、エポキシ樹脂に対し、反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体、必要に応じて、分子鎖が、実質的に1種または2種以上のアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキル単量体単位からなる共重合体、および特定のエポキシ樹脂用硬化剤を特定量含有する硬化性組成物を見出し、本発明を完成するに到った。
【0007】
即ち、本発明の第1は、(A)成分であるエポキシ樹脂100重量部に対し、(B)成分である反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体1〜50重量部、および(D)成分である、(A)成分と(B)成分の混合物を室温下で相溶化できるエポキシ樹脂用硬化剤1〜90重量部、を含有することを特徴とする硬化性組成物に関する。
【0008】
好ましい実施態様としては、(A)成分であるエポキシ樹脂100重量部に対し、(B)成分である反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体1〜50重量部、(C)成分である、分子鎖が、実質的に1種または2種以上のアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキル単量体単位からなる共重合体1〜50重量部、および(D)成分である、(A)成分と(B)成分と(C)成分の混合物を室温下で相溶化できるエポキシ樹脂用硬化剤1〜90重量部、を含有することを特徴とする硬化性組成物に関する。
【0009】
更に好ましい実施態様としては、(B)成分であるポリオキシアルキレン系重合体の反応性ケイ素基が一般式(1):
−[Si(R1 2-b)(Xb)O]mSi(R2 3-a)Xa・・・(1)
(式中R1およびR2は同一または異なる炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基または(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が二個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR’は炭素数1から20の一価の炭化水素基であり3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1、または2をそれぞれ示し、a+Σb≧2を満足するものとする。またm個の−Si(R1 2-b)(Xb)−O−基におけるbについて、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。mは0から19の整数を示す。)で表されることを特徴とする前記いずれかに記載の硬化性組成物に関する。
【0010】
更に好ましい実施態様としては、(B)成分であるポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格が、ポリオキシプロピレンから成ることを特徴とする前記いずれか記載の硬化性組成物に関する。
【0011】
更に好ましい実施態様としては、(C)成分が、分子鎖が実質的に(a)炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位と(b)炭素数10以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位とからなる共重合体であることを特徴とする前記いずれか記載の硬化性組成物に関する。
【0012】
更に好ましい実施態様としては、(C)成分が、シロキサン結合を形成することによって架橋しうるケイ素含有基を有する共重合体であることを特徴とする前記いずれか記載の硬化性組成物に関する。
【0013】
更に好ましい実施態様としては、(D)成分であるエポキシ樹脂用硬化剤が、脂環族アミン、ポリオキシアルキレン系アミン、またはそのエポキシ変性物であることを特徴とする前記いずれか記載の硬化性組成物に関する。
【0014】
更に好ましい実施態様としては、(D)成分であるエポキシ樹脂用硬化剤が、イソホロンジアミンのエポキシ変性物であることを特徴とする前記いずれか記載の硬化性組成物に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明の(A)成分であるエポキシ樹脂としては、従来公知のものを広く使用でき、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂やこれらを水添したエポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、フッ素化エポキシ樹脂、ポリブタジエンあるいはNBRを含有するゴム変性エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAのグリシジルエーテル等の難燃型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは一種類のみでも、二種類以上を併用してもよい。特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が、作業性や硬化性、接着強度、被着体汎用性のバランスの点で好ましい。
【0017】
本発明に使用される(B)成分の反応性ケイ素基としては、特に限定されるものではないが、代表的なものを示すと、例えば一般式(1)で表わされる基が挙げられる。
−[Si(R1 2-b)(Xb)O]mSi(R2 3-a)Xa・・・(1)
(式中R1およびR2は同一または異なる炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基または(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が二個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR’は炭素数1から20の一価の炭化水素基であり3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1、または2をそれぞれ示し、a+Σb≧2を満足するものとする。またm個の−Si(R1 2-b)(Xb)−O−基におけるbについて、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。mは0から19の整数を示す。)
上記Xのうちの加水分解性基は特に限定されず、従来公知の加水分解性基であれば良い。具体的には例えば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、加水分解性が穏やかで取扱やすいという点でメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基が特に好ましい。
【0018】
この水酸基や加水分解性基は1個のケイ素原子に1〜3個結合することができ、(a+Σb)は2から5であるのが好ましい。水酸基や加水分解性基が反応性ケイ素基中に2個以上存在する場合には、それらは同一であっても良く、異なっていてもよい。
【0019】
反応性ケイ素基中のケイ素原子の数は1個でもよく2個以上でもよいが、シロキサン結合等によりケイ素原子の連結された反応性ケイ素基の場合には20個程度でもよい。
【0020】
なお、下記一般式(2)で表される反応性ケイ素基が入手が容易であるため好ましい。
−Si(R2 3-c)Xc・・・(2)
(式中R2、Xは前記に同じ。cは2または3を示す。)
上記一般式(1)または(2)におけるR1、R2の具体例としては、例えばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基、R’がメチル基やフェニル基等である(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基等が挙げられる。R1、R2,R’としてはメチル基が特に好ましい。
【0021】
本発明に使用される(B)成分のポリオキシアルキレン系重合体の主鎖構造としては、−R−O−で示される構造を繰り返し単位とする重合体であればよく、このとき、Rは炭素数1から20の2価の有機基であればよい。また、繰り返し単位の全てが同一である単独重合体であっても良く、2つ以上の種類の繰り返し単位を含む共重合体であっても良い。さらに、主鎖中に分岐構造を有していても良い。
【0022】
Rの具体例としては、−CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH(C2H5)CH2−、−C(CH3)2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−等が挙げられる。Rとしては特に−CH(CH3)CH2−が好ましい。
【0023】
(B)成分のポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、例えば開始剤と触媒の存在下、モノエポキシドを開環重合することによって得られる。
【0024】
開始剤の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、メタリルアルコール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ポリブタジエンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の2価アルコールや多価アルコール、水酸基を有する各種のオリゴマー等が挙げられる。
【0025】
モノエポキシドの具体例としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、α-ブチレンオキサイド、β-ブチレンオキサイド、ヘキセンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、α−メチルスチレンオキシド等のアルキレンオキサイド類や、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、アリルグリシジルエーテル類、アリールグリシジルエーテル類等が挙げられる。
【0026】
触媒としてはKOH、NaOH等のアルカリ触媒、トリフルオロボラン−エーテラート等の酸性触媒、アルミノポルフィリン金属錯体やシアン化コバルト亜鉛−グライム錯体触媒等の複合金属シアン化物錯体触媒等の既に公知のものが用いられる。特に副反応が少ない複合金属シアン化物錯体触媒の使用が好ましいがそれ以外のものであってもよい。
【0027】
この他、ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、水酸基末端ポリオキシアルキレン重合体を塩基性化合物、例えばKOH、NaOH、KOCH3、NaOCH3等の存在下、2官能以上のハロゲン化アルキル、例えばCH2Cl2、CH2Br2等による鎖延長等によっても得ることができる。また、2官能や3官能のイソシアネート化合物によって水酸基末端ポリオキシアルキレン重合体を鎖延長する方法等も挙げられる。
【0028】
反応性ケイ素基をポリオキシアルキレン系重合体中に導入する方法としては、特に限定されず、種々の方法を用いることができる。特に、
1分子中に一般式(3):
CH2=CH−R3−O−・・・(3)
または一般式(4):
CH2=C(R4)−R3−O−・・・(4)
(式中R3は炭素数1から20の2価の有機基、R4は炭素数10以下の炭化水素基)で示される不飽和基を末端に有するポリオキシアルキレン系重合体と、
一般式(5):
H−[Si(R1 2-b)(Xb)O]mSi(R2 3-a)Xa・・・(5)
(式中R1,R2,X,a,b,mは前記に同じ。)で示される反応性ケイ素基含有化合物とを、VIII族遷移金属触媒の存在下で反応させる方法が好ましい。
【0029】
これ以外にも、水酸基末端ポリオキシアルキレン重合体への反応性ケイ素基含有イソシアネート化合物の添加や、イソシアネート基末端ポリオキシアルキレン重合体と反応性ケイ素基含有アミン化合物との反応、イソシアネート基末端ポリオキシアルキレン重合体と反応性ケイ素基含有メルカプタン化合物との反応等によっても得ることができる。
【0030】
末端に一般式(3)または(4)で示される不飽和基を有するポリオキシアルキレン系重合体の製造法としては、従来公知の方法を用いればよく、例えば水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体に不飽和結合を有する化合物を反応させて、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合等により結合させる方法等が挙げられる。例えばエーテル結合により不飽和基を導入する場合は、ポリオキシアルキレン重合体の水酸基末端のメタルオキシ化により−OM(MはNaまたはK等)を生成した後、一般式(6):
CH2=CH−R3−X2・・・(6)
または一般式(7):
CH2=C(R4)−R3−X2・・・(7)
(式中R3,R4は前記に同じ。X2はハロゲン原子)で示される不飽和基含有化合物を反応させる方法が挙げられる。
【0031】
一般式(6)または(7)で示される不飽和基含有化合物の具体例としては、CH2=CH−CH2−Cl、CH2=CH−CH2−Br、CH2=CH−C2H4−Cl、CH2=CH−C2H4−Br、CH2=CH−C3H6−Cl、CH2=CH−C3H6−Br、CH2=C(CH3)−CH2−Cl、CH2=C(CH3)−CH2−Br、CH2=C(CH2CH3)−CH2−Cl、CH2=C(CH2CH3)−CH2−Br、CH2=C(CH2CH(CH3)2)−CH2−Cl、CH2=C(CH2CH(CH3)2)−CH2−Br、等が挙げられ、特に反応性の点から、CH2=CH−CH2−Cl、CH2=C(CH3)−CH2−Clが好ましい。
【0032】
不飽和基の導入方法としては、これ以外にCH2=CH−CH2−基やCH2=C(CH3)−CH2−基等を有するイソシアネート化合物、カルボン酸、エポキシ化合物を用いることもできる。
【0033】
VIII族遷移金属触媒としては、白金、ロジウム、コバルト、パラジウム及びニッケル等のVIII族遷移金属元素から選ばれた金属錯体触媒等が有効に使用される。例えば、H2PtCl6・6H2O、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体、Ptメタル、RhCl(PPh3)3、RhCl3、Rh/Al2O3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2等のような化合物が使用できるが、ヒドロシリル化の反応性の点から、H2PtCl6・6H2O、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体のいずれかであることが特に好ましい。
【0034】
この様な製造法は、例えば、特許公報第1396791号、特許公報第1727750号、特許公報第2135751号、特開平3−72527号の各明細書等に記載されている。
【0035】
ポリオキシアルキレン系重合体の分子量には特に制限はないが、GPCにおけるポリスチレン換算での数平均分子量が500から100,000であることが好ましい。さらには1,000から70,000であることが、取り扱いの容易さ等の点から好ましい。
【0036】
(A)成分100重量部に対する、(B)成分の使用量は1〜50重量部であるが、更に好ましくは5〜40重量部の範囲である。1重量部未満では剥離接着強さが不十分となり、50重量部を超えると剪断接着強さの低下等があり好ましくない。
【0037】
本発明の硬化性組成物では、(A)成分と(B)成分の相溶性を向上させる点から必要に応じて共重合体(C)を添加することができる。
【0038】
本発明に用いる(C)成分である、分子鎖が実質的に1種または2種以上のアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキル単量体単位からなる共重合体(以下、共重合体(C)という)におけるアクリル酸アルキルエステル単量体単位としては、従来公知のものが広く使用でき、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ミリスチル、アクリル酸セチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、アクリル酸ビフェニル等を挙げることができる。またメタクリル酸エステル単量体単位としては、従来公知のものが広く使用でき、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ミリスチル、メタクリル酸セチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ビフェニル等を挙げることができる。
【0039】
共重合体(C)の分子鎖は、実質的に1種または2種以上のアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキル単量体単位から成るが、ここでいう実質的に上記の単量体単位から成るとは、共重合体(C)中に存在するのアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキル単量体単位の割合が50%をこえることを意味し、好ましくは70%以上である。
【0040】
また、これら単量体の組み合わせの中では、相溶性、安定性の点から、分子鎖が実質的に(a)炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位と(b)炭素数10以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位からなる共重合体(以下共重合体(C)−aという)が好ましい。この共重合体における単量体単位(a)である炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単位は、一般式(8):
CH2=C(R5)COOR6・・・(8)
(式中R5は水素原子またはメチル基、R6は炭素数1から8のアルキル基を示す。)で表される。
【0041】
前記一般式(8)のR6としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2ーエチルヘキシル基などの炭素数1〜8、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2のアルキル基を挙げることができる。なお一般式(8)で表されるモノマーは1種類でもよく、2種以上用いてもよい。
【0042】
また、単量体単位(b)である炭素数10以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単位は、一般式(9):
CH2=C(R5)COOR7・・・(9)
(式中R5は前記に同じ。R7は炭素数10以上のアルキル基を示す。)で表される。
【0043】
前記一般式(9)のR7としては、例えばラウリル基、トリデシル基、セチル基、ステアリル基、炭素数22のアルキル基、ビフェニル基等の炭素数10以上、通常は10〜30、好ましくは10〜20の長鎖アルキル基が挙げられる。なお一般式(9)で示されるモノマーは1種類でもよく、例えば炭素数12と13との混合物のように、2種以上混合した基であってもよい。
【0044】
共重合体(C)におけるaの分子鎖は実質的に(a)および(b)の単量体単位からなるが、ここでいう実質的に(a)および(b)の単量体単位からなるとは、共重合体(C)におけるa中に存在する(a)および(b)の単量体単位の割合が50%をこえることを意味し、好ましくは70%以上である。(a)および(b)の単量体単位の割合が50%未満になるとポリオキシアルキレン系重合体(B)と共重合体(C)におけるaの相溶性が低下し、白濁する傾向が生じるとともに接着特性も低下しがちになる。
【0045】
また(a)の単量体単位と(b)の単量体単位の割合は、重量比で95:5〜40:60が好ましく、90:10〜60:40がさらに好ましい。前記割合が95:5より大きくなると相溶性が低下し、40:60より小さくなるとコスト的に不利になりがちになる。
【0046】
共重合体(C)にはアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキル単量体単位の外に、これらと共重合性を有する単量体単位が含有されていてもよい。例えばアクリル酸、メタクリル酸等のアクリル酸;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含む単量体;その他アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に起因する単量体単位等が挙げられる。
【0047】
共重合体(C)成分の分子量には特に制限はないが、GPCにおけるポリスチレン換算での数平均分子量が500から100,000であるものが好ましい。さらには1,000〜10,000のものが取り扱いの容易さ等の点から好ましい。
【0048】
共重合体(C)は、通常のビニル重合の方法によって得ることができる。例えば、ラジカル反応による溶液重合法や塊重合法等によって重合させることで得ることができるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。反応は、通常前記単量体およびラジカル開始剤や連鎖移動剤、溶剤等を加えて50〜150℃で反応させることにより行われる。
【0049】
前記ラジカル開始剤の例としては、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等、連鎖移動剤の例としては、n−ドデシルメルカプタン,t−ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン等のメルカプタン類や含ハロゲン化合物等が挙げられる。溶剤としては、例えばエーテル類、炭化水素類、エステル類のごとき非反応性の溶剤を使用するのが好ましい。
【0050】
共重合体(C)には、最終接着強さの点から、シロキサン結合を形成することによって架橋しうるケイ素含有基(以下、反応性ケイ素基という)を有していることが好ましい。
【0051】
共重合体(C)に反応性ケイ素基を導入する方法には種々の方法があるが、例えば、(I)重合性不飽和結合と反応性ケイ素基を有する化合物を、単量体(a)および(b)とともに共重合させる方法、(II)重合性不飽和結合と反応性官能基(以下Y基という)を有する化合物(例えばアクリル酸)を単量体(a)および(b)とともに共重合させ、そののち生成した共重合体を反応性ケイ素基およびY基と反応しうる官能基(以下Y’基という)を有する化合物(例えばイソシアネート基と−Si(OCH3)3基を有する化合物)と反応させる方法、(III)連鎖移動剤として反応性ケイ素基を含有するメルカプタンの存在下、単量体(a)および(b)を共重合させる方法、(IV)反応性ケイ素基を含有するアゾビスニトリル化合物やジスルフィド化合物を開始剤として単量体(a)および(b)を共重合させる方法、(V)リビングラジカル重合法によって単量体(a)および(b)を重合させ、分子末端に反応性ケイ素基を導入する方法、等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、(I)〜(V)の方法を各々任意に組み合わせることも可能である。例えば、(I)と(III)の組み合わせとして、連鎖移動剤として反応性ケイ素基を含有するメルカプタンの存在下、重合性不飽和結合と反応性ケイ素基を有する化合物を、単量体(a)および(b)ともに共重合させる方法をとることも可能である。
【0052】
(I)記載の重合性不飽和結合と反応性ケイ素基を有する化合物は、一般式(10):
CH2=C(R5)COOR8−[Si(R1 2-b)(Xb)O]mSi(R2 3-a)Xa・・・(10)
(式中R5は前記に同じ。R8は炭素数1〜6の2価のアルキレン基を示す。R1,R2,X,a,b,mは前記と同じ。)または一般式(11):
CH2=C(R5)−[Si(R1 2-b)(Xb)O]mSi(R2 3-a)Xa・・・(11)
(式中R1, R2,R5,X,a,b,mは前記と同じ。)で表される。
【0053】
前記一般式(10)のR8としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数1〜6、好ましくは1〜4を挙げることができる。
【0054】
一般式(10)または(11)で表される、重合性不飽和結合と反応性ケイ素基を有する化合物としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のγ−メタクリロキシプロピルアルキルポリアルコキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のγ−アクリロキシプロピルアルキルポリアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルアルキルポリアルコキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は1種類でもよく、2種以上用いてもよい。
【0055】
(II)記載のY基およびY’基の例としては、種々の基の組み合わせがあるが、例えば、Y基としてアミノ基、水酸基、カルボン酸基を、Y’基としてイソシアネート基を挙げることができる。また別の一例として、特開昭54−36395号公報や特開平1−272654号公報、特開平2−214759号公報に記載されているように、Y基としてはアリル基、Y’基としては水素化ケイ素基(H−Si)を挙げることができる。この場合、VIII族遷移金属の存在下で、ヒドロシリル化反応によりY基とY’基は結合しうる。
【0056】
(III)記載の連鎖移動剤として使用する反応性ケイ素基を含有するメルカプタンとしては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。また、特開昭59−78222号公報に記載されているように、単量体(a)および(b)を、2官能ラジカル重合性化合物および連鎖移動剤としてアルコキシシリル基を含有するメルカプタンの存在下で共重合させる方法も可能である。
【0057】
(IV)記載の、反応性ケイ素基を含有するアゾビスニトリル化合物やジスルフィド化合物としては、特開昭60−23405号公報、特開昭62−70405号公報等に記載されている、アルコキシシリル基を含有するアゾビスニトリル化合物やアルコキシシリル基を含有するジスルフィド化合物を例として挙げることができる。
【0058】
(V)記載の方法としては、特開平9−272714号公報等に記載されている方法を挙げることができる。
【0059】
その他に、特開昭59−168014号公報、特開昭60−228516号公報等に記載されている、反応性ケイ素基をもつメルカプタンと反応性ケイ素基をもつラジカル重合開始剤を併用する方法も挙げることができる。
【0060】
共重合体(C)に含有される反応性ケイ素基の数は、特に限定されるものではないが、接着力への効果、コストの点から、共重合体(C)一分子中に平均0.1個以上2.0個以下、さらに好ましくは0.5個以上1.5個以下がよい。
【0061】
(A)成分100重量部に対する、(C)成分の使用量は1〜50重量部であるが、更に好ましくは5〜40重量部の範囲である。1重量部未満では剥離接着強さが不十分となりやすく、50重量部を超えると剪断接着強さが低下等する傾向があり好ましくない。
【0062】
本発明の(D)成分であるエポキシ樹脂用硬化剤としては、従来公知のものを広く使用することができる。例えば、ジエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルペンタメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、グアニジン、オレイルアミン、等の脂肪族アミン類;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、ピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ポリシクロヘキシルポリアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)等の脂環族アミン類;3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(ATU)、モルホリン、N−メチルモルホリン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリオキシエチレンジアミン等のエーテル結合を有するアミン類;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の水酸基含有アミン類;テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデシル無水コハク酸等の酸無水物類;ダイマー酸にジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン等のポリアミンを反応させて得られるポリアミド、ダイマー酸以外のポリカルボン酸を使ったポリアミド等のポリアミドアミン類;2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;ジシアンジアミド;上記アミン類にエポキシ化合物を反応させて得られるエポキシ変性アミン、上記アミン類にホルマリン、フェノール類を反応させて得られるマンニッヒ変性アミン、マイケル付加変性アミン、ケチミンといった変性アミン類等が挙げられる。これらの硬化剤は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0063】
(A)成分100重量部に対する、(D)成分の使用量は1〜90重量部であるが、更に好ましくは5〜80重量部の範囲である。1重量部未満ではエポキシ樹脂の硬化が不十分となり接着強度が低下する。また、90重量部を超えると界面へのブリード等が起こって接着性が低下し好ましくない。
【0064】
これらエポキシ樹脂用硬化剤の中では、物性バランスの点から、硬化前に(A)、(B)、(C)成分の混合物を室温下で相溶化させるものが好ましい。その中でも、脂環族アミン、ポリオキシアルキレン系アミン、またはそのエポキシ変性物が好ましい。ここでいうエポキシ変性に用いるエポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテル、高級アルコールグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0065】
さらに好ましくは、脂環族アミン、またはそのエポキシ変性物であり、より好ましいのは、脂環族アミンのエポキシ変性物である。特に、イソホロンジアミンのエポキシ変性物が好ましい。
【0066】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じ反応性希釈剤や縮合触媒、シランカップリング剤、充填材、揺変剤、可塑剤、着色剤、安定剤等を添加することができる。
【0067】
反応性希釈剤としては、例えばn−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、3級カルボン酸グリシジルエステル等の一官能エポキシ化合物類;ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル等の二官能エポキシ化合物類;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等の三官能エポキシ化合物類等が挙げられる。本発明では、これらエポキシ化合物を単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。斯かるエポキシ化合物は、(A)成分100重量部に対し、通常1〜70重量部程度の範囲、好ましくは5〜50重量部程度の範囲で添加されるのが良い。
【0068】
縮合触媒としては、従来公知のものを広く使用することができる。その具体例としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ、ジブチルスズオキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジブチルスズビスアセチルアセトナート等の有機スズ化合物類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;ナフテン酸鉄、オクチル酸鉄等の有機鉄化合物類;オクチル酸鉛;ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、ラウリルアミン等のアミン化合物、あるいはこれらアミン化合物のカルボン酸等との塩;酸性リン酸エステル;酸性リン酸エステルとアミンの反応物;飽和若しくは不飽和の多価カルボン酸又はその酸無水物;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミドアミン類;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;等のシラノール縮合触媒、さらには他の酸性触媒、塩基性触媒等の公知のシラノール縮合触媒等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。斯かる縮合触媒は、(B)および/または(C)成分を100重量部とした場合、通常0.01〜10重量部程度の範囲、好ましくは0.1〜5重量部程度の範囲で添加されるのが良い。
【0069】
シランカップリング剤としては、例えばγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;β−カルボキシルエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(N−カルボキシルメチルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;アミノ基含有シラン類と各種ケトンとの脱水縮合により得られるケチミン化シラン類;アミノ基含有シラン類とエポキシ基含有シラン類との反応物;メルカプト基含有シラン類とエポキシ基含有シラン類との反応物;アミノ基含有シラン類とエポキシ樹脂との反応物;メルカプト基含有シラン類とエポキシ樹脂との反応物等が挙げられる。本発明では、これらシリコン化合物を単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。斯かるシリコン化合物は、(A)成分100重量部に対し、通常0.001〜20重量部程度の範囲、好ましくは0.01〜10重量部程度の範囲で添加されるのが良い。
【0070】
充填剤の具体例としては、フュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸およびカーボンブラック等の補強性充填剤;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、カオリン、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、水添ヒマシ油およびシラスバルーン、等の如き充填剤;石綿、ガラス繊維およびフィラメント等の繊維状充填剤等が挙げられる。これら充填剤は1種類のみで使用してもよいし、2種類以上混合使用してもよい。
【0071】
また、本発明の硬化性組成物では、必要に応じ硬化促進の為に水を添加することもできる。
【0072】
本発明の硬化性組成物は、加熱によって硬化させても良いし、室温下で放置し硬化させることもできる。
【0073】
【実施例】
本発明をより一層明らかにする為に、以下具体的な実施例を揚げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例1)
アリルエーテル基を分子末端に導入した平均分子量8,000のポリオキシプロピレン800gを攪拌機付耐圧反応容器に入れ、メチルジメトキシシラン1.1[eq/ビニル基]を加えた。次いで塩化白金酸触媒(塩化白金酸六水和物)1×10-4[eq/ビニル基]を加えた後、90℃で2時間反応させた。1H−NMRより、末端官能化率は82%であることを確認した(ポリマーA)。
(合成例2)
110℃に加熱したトルエン43g中にアクリル酸ブチル6.0g、メタクリル酸メチル66g、メタクリル酸ステアリル13g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン5.4g、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン7.0gおよびトルエン23g混合物に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2.6gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行い、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が2,200の共重合体を得た。
合成例1で得られたポリマーAとこの共重合体とを固形分比(重量比)60/40でブレンドし、エバポレーターを用い、減圧下、110℃加熱条件で脱揮を行い、固形分濃度99%以上の透明で粘稠な液体を得た(ポリマーB)。
(実施例1)
エピコート828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂,油化シェルエポキシ社製)60重量部にエポキシ樹脂用硬化剤としてフジキュアー4200(変性脂環族アミン,富士化成社製)40重量部、ポリマーA 20重量部、No.918(錫触媒,三共有機合成社製)0.2重量部、A−1122(N−β−アミノエチル(γ−アミノプロピル)トリメトキシシラン,日本ユニカー社製)0.4重量部、水0.1重量部を加えて組成物を調製した。調製直後の相溶状態を室温にて観察した後、引張り剪断およびT形剥離試験片を作製し、養生後引張り試験を実施した。
(実施例2)
エピコート828を70重量部、エポキシ樹脂用硬化剤としてフジキュアー4233(変性脂環族アミン,富士化成社製)を30重量部用いた以外は実施例1と同様の組成で評価を行った。
(実施例3)
エピコート828を48重量部、フジキュアー4200 32重量部、ポリマーA 20重量部、No.918 0.2重量部、A−1122 0.2重量部、水0.1重量部とした組成で評価を行った。
(実施例4)
反応性希釈剤としてエポライト1600(1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル,共栄社化学製)を20重量部添加した以外は実施例3と同様の組成で評価を行った。
(実施例5)
エピコート828を54重量部、フジキュアー4200 36重量部、ポリマーA 10重量部、No.918 0.1重量部、A−1122 0.1重量部、水0.5重量部とした組成で評価を行った。
(実施例6)
反応性希釈剤としてエポライト1600を20重量部添加した以外は実施例5と同様の組成で評価を行った。
(実施例7)
反応性希釈剤としてエポライトM−1230(C12,C13混合高級アルコールグリシジルエーテル,共栄社化学製)を10重量部添加した以外は実施例5と同様の組成で評価を行った。
(実施例8)
ポリマーとしてポリマーBを用いた以外は実施例1と同様の組成で評価を行った。
(比較例1)
エピコート828 42重量部へフジキュアー4200 28重量部、ポリマーA 30重量部、No.918 0.3重量部、A−1122 0.3重量部、水0.15重量部を加えた組成物を調製し、評価を行った。
(比較例2)
エピコート828 24重量部へフジキュアー4200 16重量部、ポリマーA 60重量部、No.918 0.6重量部、A−1122 0.6重量部、水0.3重量部を加えた組成物を調製し、評価を行った。
(比較例3)
エピコート828 60重量部とフジキュアー4200 40重量部を用い、評価を行った。
(比較例4)
A−1122を0.2重量部添加した以外は比較例3と同様の組成で評価を行った。
(比較例5)
エポライト1600を20重量部添加した以外は比較例3と同様の組成で評価を行った。
(比較例6)
エポキシ樹脂用硬化剤としてフジキュアー5100(変性芳香族アミン,富士化成社製)を用いた以外は実施例2と同様の組成で評価を行った。
(比較例7)
エピコート828 72重量部へエポキシ樹脂用硬化剤として2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(TAP,化薬アクゾ社製)8重量部、ポリマーA 20重量部、No.918 0.2重量部、A−1122 0.2重量部、水0.1重量部を加えた組成物を用い、評価を行った。
【0074】
評価は下に示す項目について実施した。
【0075】
相溶性評価:攪拌混合した組成物を遠心分離器にかけて脱泡し(3,000rpm×1分間)、目視により系の相溶状態を判定した(23℃)。
【0076】
引張り剪断接着強さ:サンドブラスト処理した軟鋼板(100×25×1.6mm)を長さ12.5mmで重ね合わせ、23℃×2日+50℃×3日または23℃×7日間養生し、引張速度50mm/minで試験を行った。
【0077】
T形剥離接着強さ:サンドブラスト処理した軟鋼板(200×25×0.1mm)を使用し、23℃×2日+50℃×3日または23℃×7日間養生し、引張速度200mm/minで試験を行った。
【0078】
結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
実施例の系は全て相溶しており、剪断接着強さに加え、良好な剥離接着強さが得られた。一方、比較例では、剪断接着強さが高くても相溶性が悪い場合には剥離接着強さが不十分であったり、相溶性が良くても剥離接着強さや剪断接着強さの低下が見られた。また、実施例の系は加温しなくとも十分な接着物性が発現している。
【0080】
【発明の効果】
本発明の硬化性組成物の使用により、既存のゴム変性エポキシ樹脂より室温での作業性が良好となり、硬化後は優れた剪断接着強さと剥離接着強さを安定して得ることができる。また、本組成物は比較的低温においても十分に硬化し、優れた剪断接着強さと剥離接着強さを発現する。
Claims (7)
- (A)成分であるエポキシ樹脂100重量部に対し、(B)成分である反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体1〜50重量部、および(D)成分である、エポキシ樹脂用硬化剤1〜90重量部、を含有することを特徴とする硬化性組成物であって、
(D)成分が、脂環族アミンのエポキシ変性物またはポリオキシアルキレン系アミンのエポキシ変性物である硬化性組成物。 - さらに、(C)成分である、分子鎖が、1種または2種以上のアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキル単量体単位からなる共重合体1〜50重量部、を含有することを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
- (B)成分であるポリオキシアルキレン系重合体の反応性ケイ素基が一般式(1):−[Si(R1 2−b)(Xb)O]mSi(R2 3−a)Xa・・・(1)
(式中R1およびR2は同一または異なる炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基または(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が二個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR’は炭素数1から20の一価の炭化水素基であり3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1、または2をそれぞれ示し、a+Σb≧2を満足するものとする。またm個の−Si(R1 2−b)(Xb)−O−基におけるbについて、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。mは0から19の整数を示す。)で表されることを特徴とする請求項1または2記載の硬化性組成物。 - (B)成分であるポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格が、ポリオキシプロピレンから成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
- (C)成分が、分子鎖が(a)炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位と(b)炭素数10以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位とからなる共重合体であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の硬化性組成物。
- (C)成分が、シロキサン結合を形成することによって架橋しうるケイ素含有基を有する共重合体であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の硬化性組成物。
- (D)成分であるエポキシ樹脂用硬化剤が、イソホロンジアミンのエポキシ変性物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物。
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