JP4198945B2 - 硬化性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明の硬化性組成物は、シーリング材、接着剤、注入材、パテ材等として使用した場合、雨水や地下の水分に対し接着性の低下を抑えることができる反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体を用いた硬化性組成物である。
【0002】
【従来の技術】
反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体を用いた硬化性組成物は、その優れた作業性や硬化性、接着性、変形追従性等より、シーリング材や接着剤、注入材、パテ材等に幅広く使用されている。ところが、該硬化性組成物を雨水の進入しやすい箇所や地下の湿気の高い箇所、常に水と接する場所等で使用した場合、接着性(耐水接着性)の低下や力学物性の低下が起こる等の問題があった。
【0003】
上記の問題に対し、特開平8−295806号公報では半水石膏及び/又は可溶性無水石膏を、特開平8−311330号公報ではセメントを、それぞれ反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体に添加して耐水接着性を改善する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記方法による改善は、まだ十分なレベルには達しておらず、雨水の進入しやすい箇所や地下の湿気の高い箇所、常に水と接する場所等で使用した場合の接着性(耐水接着性)の改善された反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体を用いた硬化性組成物は、なお強く望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する為、本発明者らが鋭意検討を行ったところ、反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体を含む系へ、1分子中に1個以上のエポキシ基を含有する化合物、酸化カルシウムおよび/または水酸化カルシウムを添加することが有効であることを見出し本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち本発明の第1は、(A)反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体100重量部、(B)1分子中に1個以上のエポキシ基を含有する化合物0.001〜180重量部、(C)酸化カルシウムおよび/または水酸化カルシウム0.1〜400重量部を含有することを特徴とする硬化性組成物に関する。
【0007】
本発明の第2は、(A)反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体100重量部、、(B)1分子中に1個以上のエポキシ基を含有する化合物0.001〜180重量部、(C)酸化カルシウムおよび/または水酸化カルシウム0.1〜400重量部、(D)1種または2種以上のアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を分子鎖に含む重合体5〜120重量部を含有することを特徴とする硬化性組成物に関する。
【0008】
好ましい実施態様として、(A)成分の反応性ケイ素基が、一般式(1):
−[Si(R1 2-b)(Xb)O]mSi(R2 3-a)Xa・・・(1)
(式中R1およびR2は同一または異なり、炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基または(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が2個以上存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。ここでR’は炭素数が1から20の一価の炭化水素基であり、3個のR’は同一であっても異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在する時、それらは同一であっても異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1、または2をそれぞれ示し、a+Σb≧2を満足するものとする。またm個の−Si(R1 2-b)(Xb)O−基におけるbについて、それらは同一であっても異なっていてもよい。mは0から19の整数を示す。)で表されることを特徴とする前記いずれかに記載の硬化性組成物が挙げられる。
【0009】
また、好ましい実施態様として、(A)成分であるポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格が、ポリオキシプロピレンからなることを特徴とする前記いずれかに記載の硬化性組成物が挙げられる。
【0010】
また、好ましい実施態様として、(B)成分がエポキシ樹脂および/またはエポキシ基含有シリコン化合物であることを特徴とする前記いずれかに記載の硬化性組成物が挙げられる。
【0011】
また、好ましい実施態様として、(C)成分が酸化カルシウムからなることを特徴とする前記いずれかに記載の硬化性組成物が挙げられる。
【0012】
また、好ましい実施態様として、(D)成分が、(a)炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位と(b)炭素数10以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を分子鎖に含む重合体である前記いずれかに記載の硬化性組成物が挙げられる。
【0013】
また、好ましい実施態様として、(D)成分が、シロキサン結合を形成することによって架橋しうるケイ素含有基を有する重合体である前記いずれかに記載の硬化性組成物が挙げられる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明に使用される(A)成分の反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体の反応性ケイ素基としては、特に限定されるものではないが、代表的なものを示すと、例えば一般式(1):
−[Si(R1 2-b)(Xb)O]mSi(R2 3-a)Xa (1)
(式中R1およびR2は同一または異なる炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基または(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が2個以上存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。ここでR’は炭素数1から20の一価の炭化水素基であり3個のR’は同一であっても異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在する時、それらは同一であっても異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1、または2をそれぞれ示し、a+Σb≧2を満足するものとする。またm個の−Si(R1 2-b)(Xb)O−基におけるbについて、それらは同一であっても異なっていてもよい。mは0から19の整数を示す。)で表わされる基が挙げられる。
【0016】
上記Xのうちの加水分解性基は特に限定されず、従来公知の加水分解性基であれば良い。具体的には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという点でメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基が特に好ましい。
【0017】
前記の水酸基または加水分解性基は、1個のケイ素原子に1〜3個結合することができ、(a+Σb)は2〜5の範囲であるのが好ましい。水酸基や加水分解性基が反応性ケイ素基中に2個以上存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0018】
反応性ケイ素基中のケイ素原子の数は1個でもよく2個以上でもよいが、シロキサン結合等によりケイ素原子の連結された反応性ケイ素基である場合には20個程度でもよい。
【0019】
特に、下記一般式(2):
−Si(R2 3-c)Xc (2)
(式中R2、Xは前記に同じ。cは2または3を示す。)で表される反応性ケイ素基は、ポリオキシアルキレン系重合体へのが導入が比較的容易であるため好ましい。
【0020】
上記一般式(1)または(2)におけるR1、R2の具体例としては、例えばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基、R’がメチル基やフェニル基等である(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基等が挙げられる。中でも、適度な反応性を確保できる点より、R1、R2,R’としてはメチル基が特に好ましい。
【0021】
本発明に使用される(A)成分のポリオキシアルキレン系重合体の主鎖構造としては、−R−O−で示される構造を繰り返し単位とする重合体であればよく、このとき、Rは炭素数1から20の2価の有機基であればよい。また、繰り返し単位の全てが同一である単独重合体であっても良く、2つ以上の種類の繰り返し単位を含む共重合体であっても良い。さらに、主鎖中に分岐構造を有していても良い。
【0022】
Rの具体例としては、−CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH(C2H5)CH2−、−C(CH3)2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−等が挙げられる。Rとしては、重合体を適度に低粘度化できる点や硬化物に適度な柔軟性を付与できる点から、特に−CH(CH3)CH2−が好ましい。
【0023】
(A)成分のポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、例えば開始剤と触媒の存在下、モノエポキシドを開環重合することによって得られる。
【0024】
開始剤の具体例としては、アリルアルコール、メタリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ポリブタジエンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の1価アルコールや2価アルコール、多価アルコール、水酸基を有する各種のオリゴマー等が挙げられる。
【0025】
モノエポキシドの具体例としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、α-ブチレンオキサイド、β-ブチレンオキサイド、ヘキセンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、α−メチルスチレンオキシド等のアルキレンオキサイド類や、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、アリルグリシジルエーテル類、アリールグリシジルエーテル類等が挙げられる。
【0026】
触媒としてはKOH、NaOH等のアルカリ触媒、トリフルオロボラン−エーテラート等の酸性触媒、アルミノポルフィリン金属錯体やシアン化コバルト亜鉛−グライム錯体触媒等の複合金属シアン化物錯体触媒等の既に公知のものが用いられる。特に副反応が少ない複合金属シアン化物錯体触媒の使用が好ましいがそれ以外のものであってもよい。
【0027】
この他、ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、水酸基末端ポリオキシアルキレン重合体を塩基性化合物、例えばKOH、NaOH、KOCH3、NaOCH3等の存在下、2官能以上のハロゲン化アルキル、例えばCH2Cl2、CH2Br2等による鎖延長等によっても得ることができる。また、2官能や3官能のイソシアネート化合物によって水酸基末端ポリオキシアルキレン重合体を鎖延長する方法等も挙げられる。
【0028】
反応性ケイ素基をポリオキシアルキレン系重合体中に導入する方法としては、特に限定されず、種々の方法を用いることができる。特に、
1分子中に一般式(3):
CH2=CH−R3−O− (3)
または一般式(4):
CH2=C(R4)−R3−O− (4)
(式中R3は炭素数1から20の2価の有機基、R4は炭素数10以下の炭化水素基)で示される不飽和基を末端に有するポリオキシアルキレン系重合体と、
一般式(5):
H−[Si(R1 2-b)(Xb)O]mSi(R2 3-a)Xa (5)
(式中R1,R2,X,a,b,mは前記に同じ。)で示される反応性ケイ素基含有化合物とを、8族遷移金属触媒の存在下で反応させる方法が好ましい。
【0029】
これ以外にも、水酸基末端ポリオキシアルキレン重合体への反応性ケイ素基含有イソシアネート化合物の添加や、イソシアネート基末端ポリオキシアルキレン重合体と反応性ケイ素基含有アミン化合物との反応、イソシアネート基末端ポリオキシアルキレン重合体と反応性ケイ素基含有メルカプタン化合物との反応等によっても得ることができる。
【0030】
末端に一般式(3)または(4)で示される不飽和基を有するポリオキシアルキレン系重合体の製造法としては、従来公知の方法を用いればよく、例えば水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体に不飽和結合を有する化合物を反応させて、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合等により結合させる方法等が挙げられる。例えばエーテル結合により不飽和基を導入する場合は、ポリオキシアルキレン重合体の水酸基末端のメタルオキシ化により−OM(MはNaまたはK等)を生成した後、一般式(6):
CH2=CH−R3−X2 (6)
または一般式(7):
CH2=C(R4)−R3−X2 (7)
(式中R3,R4は前記に同じ。X2はハロゲン原子)で示される不飽和基含有化合物を反応させる方法が挙げられる。
【0031】
一般式(6)または(7)で示される不飽和基含有化合物の具体例としては、CH2=CH−CH2−Cl、CH2=CH−CH2−Br、CH2=CH−C2H4−Cl、CH2=CH−C2H4−Br、CH2=CH−C3H6−Cl、CH2=CH−C3H6−Br、CH2=C(CH3)−CH2−Cl、CH2=C(CH3)−CH2−Br、CH2=C(CH2CH3)−CH2−Cl、CH2=C(CH2CH3)−CH2−Br、CH2=C(CH2CH(CH3)2)−CH2−Cl、CH2=C(CH2CH(CH3)2)−CH2−Br、等が挙げられ、特に反応性の点から、CH2=CH−CH2−Cl、CH2=C(CH3)−CH2−Clが好ましい。
【0032】
不飽和基の導入方法としては、これ以外にCH2=CH−CH2−基やCH2=C(CH3)−CH2−基等を有するイソシアネート化合物、カルボン酸、エポキシ化合物を用いることもできる。
【0033】
8族遷移金属触媒としては、白金、ロジウム、コバルト、パラジウム及びニッケル等の8族遷移金属元素から選ばれた金属錯体触媒等が有効に使用される。例えば、H2PtCl6・6H2O、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体、Ptメタル、RhCl(PPh3)3、RhCl3、Rh/Al2O3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2等のような化合物が使用できるが、ヒドロシリル化の反応性の点から、H2PtCl6・6H2O、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体のいずれかであることが特に好ましい。
【0034】
この様な製造法は、例えば、特許公報第1396791号、特許公報第1727750号、特許公報第2135751号、特開平3−72527号公報の各明細書に記載されている。
【0035】
ポリオキシアルキレン系重合体の分子量には特に制限はないが、GPC(東ソー株式会社製HLC−8120GPC、THF溶媒)におけるポリスチレン換算での数平均分子量が500から100,000であることが好ましい。更には取り扱いの容易さ等の点から1,000から70,000であることが好ましい。数平均分子量が500未満であると硬化物が脆くなるため好ましくなく、100,000を越えると重合体の粘度が高くなりすぎるため好ましくない。
【0036】
本発明の(B)成分である1分子中に1個以上のエポキシ基を含有する化合物としては、従来公知のものを広く使用でき、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂やこれらを水添したエポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、フッ素化エポキシ樹脂、ポリブタジエンあるいはアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムを含有するゴム変性エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAのグリシジルエーテル等の難燃型エポキシ樹脂、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シリコン化合物等が挙げられる。これらの1分子中に1個以上のエポキシ基を含有する化合物は、単独で使用してもよく2種類以上併用してもよい。これら1分子中に1個以上のエポキシ基を含有する化合物の中では、作業性や硬化性、接着強度、被着体汎用性、耐水性、耐久性等のバランスの点から、エポキシ樹脂および/またはエポキシ基含有シリコン化合物の使用が好ましい。エポキシ樹脂の中では、特に相溶性の点からビスフェノールA型エポキシ樹脂の使用が好ましい。
【0037】
斯かる(B)成分は、(A)成分100重量部に対し、通常0.001〜180重量部の範囲、好ましくは0.01〜150重量部の範囲で使用されるのが良い。(B)成分の使用量が0.001重量部未満では十分な接着性が得られないことがあり、180重量部を超えると相溶性の低下等による物性低下が起こるため好ましくない。特に、(B)成分の使用量が0.01〜150重量部の範囲では、接着性、相溶性に加え、十分な耐水接着性を得ることが可能となる。なお、エポキシ樹脂を用いる場合のより好ましい使用量は5〜180重量部、特に好ましくは10〜170重量部である。
【0038】
本発明の(C)成分として用いる酸化カルシウムおよび/または水酸化カルシウムとしては、従来公知のものを使用することができる。具体的には酸化カルシウムは、石灰石やカルシウムの炭酸塩、水酸化物、硝酸塩を強熱して得られるものが挙げられ、水酸化カルシウムは、酸化カルシウムと水を反応させるか、またはカルシウム塩の水溶液に水酸化アルカリを加えて得られるものが挙げられる。これらは単独で使用してもよく2種を併用してもよい。貯蔵安定性、耐水性の点からは酸化カルシウムの使用が好ましいが、酸化カルシウムは水分と急激な反応を起こす場合があり、硬化性組成物中でのそのような急激な反応が好ましくない場合には水酸化カルシウムの使用が好ましい。
【0039】
(C)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対し0.001重量部以上配合すれば効果が認められるが、0.1〜400重量部の範囲が好ましく、更には0.2〜300重量部の範囲で使用されるのが好ましい。(C)成分の使用量が0.1重量部未満では十分な耐水接着性が得られず、400重量部を超えると作業性が低下したりし好ましくない。
【0040】
本発明に用いる(D)成分である、1種または2種以上のアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を分子鎖に含む重合体(以下、重合体(D)という)におけるアクリル酸アルキルエステル単量体単位としては、従来公知のものが広く使用でき、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ミリスチル、アクリル酸セチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、アクリル酸ビフェニル等を挙げることができる。またメタクリル酸エステル単量体単位としては、従来公知のものが広く使用でき、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ミリスチル、メタクリル酸セチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ビフェニル等を挙げることができる。
【0041】
重合体(D)は、1種または2種以上のアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を分子鎖に含むが、それらの単量体単位の合計含有量は、重合体(D)の重量を基準として50重量%をこえることが好ましく、特に70重量%以上であることが好ましい。
【0042】
また、これらの単量体の組み合わせの中では、相溶性、安定性の点から、(a)炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位と(b)炭素数10以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を分子鎖に含む重合体が好ましい。
【0043】
単量体単位(a)である炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単位は、一般式(8):
CH2=C(R5)COOR6・・・(8)
(式中R5は水素原子またはメチル基、R6は炭素数1から8のアルキル基を示す)で表される。一般式(8)のR6としては、例えばメチル基、エチル基等を挙げることができる。なお一般式(8)で示されるモノマーは1種類でもよく、2種以上混合してもよい。
【0044】
また、単量体単位(b)である炭素数10以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単位は、一般式(9):
CH2=C(R5)COOR7・・・(9)
(式中R5は前記に同じ。R7は炭素数10以上のアルキル基を示す)で表わされる。前記一般式(9)のR7としては、例えばラウリル基、ステアリル基等の長鎖アルキル基が挙げられる。なお一般式(9)で示されるモノマーは1種類でもよく、2種以上混合してもよい。
【0045】
重合体(D)にはアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位の外に、これらと共重合性を有する単量体単位が含有されていてもよい。共重合性を有する単量体単位としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のアクリル酸;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含む単量体;その他アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に起因する単量体単位などがあげられる。
【0046】
重合体(D)成分の分子量には特に制限はないが、GPCにおけるポリスチレン換算での数平均分子量が500〜50,000であるものが好ましく、1,000〜20,000のものが取り扱い易さの点で更に好ましい。数平均分子量が500未満であると硬化物が脆くなるため好ましくなく、50,000を越えると重合体の粘度が高くなりすぎるため好ましくない。
【0047】
重合体(D)は、通常のビニル重合の方法、例えば、ラジカル反応による溶液重合法や塊状重合法等により得ることができるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。重合は、通常、前記の単量体およびラジカル開始剤や連鎖移動剤、溶剤等を加えて50〜150℃で反応させることにより行われる。
【0048】
前記ラジカル開始剤の例としては、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系ラジカル開始剤、ベンゾイルパーオキサイドなどの有機過酸化物等が挙げられ、連鎖移動剤の例としては、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン等のメルカプタン類や含ハロゲン化合物等が挙げられる。溶剤としては、例えばエーテル類、炭化水素類、エステル類のごとき非反応性の溶剤を使用するのが好ましい。
【0049】
重合体(D)は、最終接着強度の点から、シロキサン結合を形成することによって架橋しうるケイ素含有基(以下、反応性ケイ素基という)を有していることが好ましい。
【0050】
重合体(D)に反応性ケイ素基を導入する方法には種々の方法があるが、例えば、▲1▼重合性不飽和結合と反応性ケイ素基を有する化合物を、単量体(a)および(b)とともに共重合させる方法、▲2▼重合性不飽和結合と反応性官能基(以下Y基という)を有する化合物(例えば、アクリル酸)を単量体(a)および(b)とともに共重合させ、そののち生成した共重合体を反応性ケイ素基およびY基と反応しうる官能基(以下Y’基という)を有する化合物(たとえばイソシアネート基と−Si(OCH3)3基を有する化合物)と反応させる方法、▲3▼連鎖移動剤として反応性ケイ素基を含有するメルカプタンの存在下、単量体(a)および(b)を共重合させる方法、▲4▼反応性ケイ素基を含有するアゾビスニトリル化合物やジスルフィド化合物を開始剤として単量体(a)および(b)を共重合させる方法、▲5▼リビングラジカル重合法によって単量体(a)および(b)を重合させ、分子末端に反応性ケイ素基を導入する方法、等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、▲1▼〜▲5▼の方法を各々任意に組み合わせることも可能である。
【0051】
▲1▼記載の重合性不飽和結合と反応性ケイ素基を有する化合物は、一般式(10):
CH2=C(R5)COOR8−[Si(R1 2-b)(Xb)O]mSi(R2 3-a)Xa・・・(10)
(式中R5は前記に同じ。R8は炭素数1〜6の2価のアルキレン基を示す。R1,R2,X,a,b,mは前記と同じ。)
または一般式(11):
CH2=C(R5)−[Si(R1 2-b)(Xb)O]mSi(R2 3-a)Xa・・・(11)
(式中R5,R1,R2,X,a,b,mは前記と同じ。)で表される。
【0052】
前記一般式(10)のR8としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基等を挙げることができる。なお一般式(10)または(11)で表されるモノマーは1種類でもよく、2種以上用いてもよい。
【0053】
一般式(10)または(11)で表される、重合性不飽和結合と反応性ケイ素基を有する化合物としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のγ−メタクリロキシプロピルアルキルポリアルコキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のγ−アクリロキシプロピルアルキルポリアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルアルキルポリアルコキシシラン等を挙げることができる。
【0054】
重合体(D)に含有される反応性ケイ素基の数は、特に限定されるものではないが、接着力への効果、コストの点から、重合体(D)一分子中に平均0.1個以上3.0個以下、さらに好ましくは0.5個以上2.5個以下がよい。
【0055】
この様な製造法は、例えば、特開昭59−122541号公報、特開昭63−112642号公報の各明細書等に記載されている。
【0056】
本発明の組成物における重合体(D)の使用量は、(A)成分100重量部に対して5〜120重量部の範囲が好ましく、更に好ましくは10〜100重量部の範囲であり、通常、目的とする用途、性能に応じて選択される。重合体(D)の使用量が5重量部未満の場合は接着性が低下したりし、また120重量部を越える場合は組成物の粘度が上昇しすぎたりするため好ましくない。
【0057】
本発明の硬化性組成物は、必要に応じてシランカップリング剤や硬化触媒、エポキシ樹脂用硬化剤、充填材、揺変剤、可塑剤、希釈剤、安定剤、着色剤等を添加することができる。
【0058】
シランカップリング剤の具体例としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類;γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート基含有シラン類等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、ブロックイソシアネートシラン、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、シリル化ポリエステル等もシランカップリング剤として用いることができる。これらシランカップリング剤は単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。
【0059】
斯かるシランカップリング剤は、(A)成分100重量部に対し、通常0.5〜20重量部の範囲、好ましくは1〜15重量部の範囲で使用されるのが良い。シランカップリング剤が0.5重量部未満では接着性が低下し、20重量部を超えると組成物の反応性が低下する場合があるため好ましくない。特に接着性の点より、アミノシランやその反応物、エポキシシラン、イソシアネートシランが好ましい。
【0060】
硬化触媒の具体例としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ、ジブチルスズオキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジブチルスズビスアセチルアセトナート等の有機スズ化合物類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;オクチル酸鉛;ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、ラウリルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(以下、DBUと略)等のアミン化合物、あるいはこれらアミン化合物のカルボン酸等との塩;酸性リン酸エステル;酸性リン酸エステルとアミンの反応物;飽和若しくは不飽和の多価カルボン酸又はその酸無水物;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;等のシラノール縮合触媒、更には他の酸性触媒、塩基性触媒等の公知のシラノール縮合触媒等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。
【0061】
斯かる硬化触媒は、(A)成分100重量部に対し、通常0.01〜15重量部の範囲、好ましくは0.1〜10重量部の範囲で使用されるのが良い。0.01重量部未満では組成物の硬化性が低下し、15重量部を超えると貯蔵安定性や接着性の低下等が起こるため好ましくない。特に硬化速度や貯蔵安定性の点より、4価のスズ触媒が好ましい。
【0062】
エポキシ樹脂用硬化剤の具体例としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルペンタメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、グアニジン、オレイルアミン、等の脂肪族アミン類;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、ピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ポリシクロヘキシルポリアミン、DBU等の脂環族アミン類;メタフェニレンジアミン、4、4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン類;m−キシリレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の脂肪芳香族アミン類;3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(ATU)、モルホリン、N−メチルモルホリン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリオキシエチレンジアミン等のエーテル結合を有するアミン類;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の水酸基含有アミン類;テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデシル無水コハク酸等の酸無水物類;ダイマー酸にジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン等のポリアミンを反応させて得られるポリアミド、ダイマー酸以外のポリカルボン酸を使ったポリアミド等のポリアミドアミン類;2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;ジシアンジアミド;ポリオキシプロピレン系ジアミン、ポリオキシプロピレン系トリアミン等のポリオキシプロピレン系アミン類;フェノール類;上記アミン類にエポキシ化合物を反応させて得られるエポキシ変性アミン、上記アミン類にホルマリン、フェノール類を反応させて得られるマンニッヒ変性アミン、マイケル付加変性アミン、ケチミン、アルジミンといった変性アミン類;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの2−エチルヘキサン酸塩等のアミン塩等が挙げられる。これら硬化剤は、単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。
【0063】
斯かるエポキシ樹脂用硬化剤は、(C)成分100重量部に対し、通常0.001〜100重量部の範囲、好ましくは0.01〜90重量部の範囲で使用されるのが良い。エポキシ樹脂用硬化剤の使用量が0.001重量部未満ではエポキシ樹脂の硬化が不十分となり、90重量部を超えると界面へのブリード等により接着性が低下する場合があるため好ましくない。特に硬化性や接着性の点より、2液系では2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールやポリオキシプロピレン系ジアミンが好ましく、1液系ではケチミンやアルジミンが好ましい。
【0064】
充填材の具体例としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、カーボンブラック、溶融シリカ、沈降性シリカ、けいそう土、白土、カオリン、クレー、タルク、木粉、クルミ殻粉、もみ殻粉、無水ケイ酸、石英粉末、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスビーズ、アルミナ、ガラスバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、酸化ケイ素等の無機充填材や、パルプ、木綿チップ等の木質充填材、粉末ゴム、再生ゴム、熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂の微粉末、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル等の中空体等が有機充填材として挙げられる。これら充填材は単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。
【0065】
斯かる充填材は、(A)成分100重量部に対し、通常50〜1000重量部の範囲、好ましくは60〜900重量部の範囲で使用されるのが良い。充填剤の使用量が50重量部未満では組成物のコストが上昇し、1000重量部を超えると粘度が上がり作業性が低下するため好ましくない。特に、品質、コストの点より、炭酸カルシウムが好ましい。
【0066】
揺変剤の具体例としては、例えば、水添ヒマシ油、有機アミドワックス、有機ベントナイト、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。これらの揺変剤は、単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。
【0067】
斯かる揺変剤は、(A)成分100重量部に対して0.1〜50重量部の範囲、好ましくは1〜30重量部の範囲で使用されるのが良い。揺変剤の使用量が0.1重量部未満の場合は十分な揺変が得られない場合があり、また50重量部を越える場合はコストが上昇するなどの点で好ましくない。
【0068】
可塑剤の具体例としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、セバシン酸ジブチル等の脂肪族二塩基酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のグリコールエステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル等の脂肪族エステル類;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル等のリン酸エステル類、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤類;2塩基酸と2価アルコールとのポリエステル類等のポリエステル系可塑剤;ポリプロピレングリコールやその誘導体等のポリエーテル類;ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン等のポリスチレン類;ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、塩素化パラフィン類等が挙げられる。これらの可塑剤は単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。
【0069】
斯かる可塑剤は、(A)成分100重量部に対し、通常10〜300重量部の範囲、好ましくは20〜250重量部の範囲で使用されるのが良い。可塑剤の使用量が10重量部未満の場合には組成物の粘度が高くなりすぎる場合があり、また300重量部を越える場合は硬化物からの可塑剤の染み出しなどが生じる場合があり好ましくない。
【0070】
本発明の硬化性組成物は、適度な粘度、硬化性、接着性、強度、接着性、変形追従性、耐候性、および良好な耐水性を有することから、土木、建築、工業用途等の幅広い範囲でシーリング材、接着剤、注入材、パテ材等として使用することができる。具体的には、内外壁、床、各種コンクリート、金属等の目地シール、内外装用床材の接着、内外壁へのタイル、石材、化粧パネル等の接着、土管、マンホール、ケーブル等のシール接着、ポッティング等の用途が挙げられる。
【0071】
【実施例】
本発明をより一層明らかにする為に、以下に具体的な実施例を揚げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例1)
数平均分子量約3,000のポリオキシプロピレングリコール900g、数平均分子量約3,000のポリオキシプロピレントリオール100gを耐圧反応容器に入れ、ナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)を16.4g添加し、減圧撹拌しながら130℃まで昇温した後2時間撹拌した。次いで塩化メチレンを2.2g添加し1時間撹拌した後減圧脱揮した。更にアリルクロリドを2.5g加えて1時間撹拌し減圧脱揮した。得られた重合体をヘキサンに溶解し、ケイ酸アルミを詰めたキリ山ロートを通すことにより塩分を除去した。ろ液の濃縮によって得られたアリル基末端重合体400gを耐圧反応容器に入れ、メチルジメトキシシラン8.3g、塩化白金酸触媒(塩化白金酸六水和物の5%イソプロパノール溶液)0.072gを添加した後90℃で2時間反応させた。GPC測定より数平均分子量は19,000であり、1H−NMRより末端官能化率は82%であることを確認した(ポリマーA)。
(合成例2)
数平均分子量約5,200のポリオキシプロピレングリコール800g、イソホロンジイソシアネート50.2gを攪拌機付耐圧反応容器に入れて混合した後、錫触媒(ジブチル錫ジラウレートの10%DOP溶液)0.8gを添加した。80℃で4時間攪拌後、イソシアネート基の滴定を行ったところ、0.579%であった。これより求めた分子量は約15,000であった。60℃まで冷却した後、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1.0[eq/NCO基]を加えて約30分の攪拌し、IRよりNCO基の消失を確認した。(ポリマーB)。
(合成例3)
110℃に加熱したトルエン43g中にアクリル酸ブチル6.0g、メタクリル酸メチル66g、メタクリル酸ステアリル13g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン5.4g、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン7.0gおよびトルエン23g混合物に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2.6gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行い、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が2,200の共重合体を得た。
【0072】
合成例1で得られたポリマーAとこの共重合体とを固形分比(重量比)60/40でブレンドし、エバポレーターを用い、減圧下、110℃加熱条件で脱揮を行い、固形分濃度99%以上の透明で粘稠な液体を得た(ポリマーC)。
(合成例4)
数平均分子量約3,000のポリオキシプロピレングリコール800g、数平均分子量約3,000のポリオキシプロピレントリオール200gを耐圧反応容器に入れ、ナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)を17.5g添加し、減圧撹拌しながら130℃まで昇温した後2時間撹拌した。次いで塩化メチレンを2.2g添加し1時間撹拌した後減圧脱揮した。更にアリルクロリドを2.8g加えて1時間撹拌し減圧脱揮した。得られた重合体をヘキサンに溶解し、ケイ酸アルミを詰めたキリ山ロートを通すことにより塩分を除去した。ろ液の濃縮によって得られたアリル基末端重合体400gを耐圧反応容器に入れ、メチルジメトキシシラン8.5g、塩化白金酸触媒(塩化白金酸六水和物の5%イソプロパノール溶液)0.072gを添加した後、90℃で2時間反応させた。GPC測定より数平均分子量は15,000であり、1H−NMRより末端官能化率は80%であることを確認した(ポリマーD)。
(合成例5)
数平均分子量約3,000のポリオキシプロピレントリオール311g、プロピレンオキシド39g、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒0.3gを耐圧反応容器に入れ、75℃で1時間撹拌した後プロピレンオキシド1,491gを徐々に滴下し、数平均分子量15,000の水酸基末端オキシアルキレン重合体を得た。この水酸基末端オキシアルキレン重合体1,000gに対してナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)を43.6g添加し、減圧撹拌しながら130℃まで昇温した後2時間撹拌した。次いでアリルクロリドを25.2g添加し1時間撹拌した後減圧脱揮した。得られた重合体をヘキサンに溶解し、ケイ酸アルミを詰めたキリ山ロートを通すことにより塩分を除去した。ろ液の濃縮によって得られたアリル基末端重合体400gを耐圧反応容器に入れ、メチルジメトキシシラン6.7g、塩化白金酸触媒(塩化白金酸六水和物の5%イソプロパノール溶液)0.072gを添加した後、90℃で2時間反応させた。GPC測定より数平均分子量は15,000であり、1H−NMRより末端官能化率は80%であることを確認した(ポリマーE)。
(硬化性組成物の調製)
表1および表2に示す組成で各種配合材を混練し、実施例1〜21および比較例1〜5の1液型硬化性組成物を作製した。なお、表1、表2中のCML35およびCML31は何れも酸化カルシウムである。
(物性評価)
評価は下に示す項目について実施した。
接着性
モルタル基材へ上記硬化性組成物をビード状に塗布し、23℃、50%R.H.の条件で7日間養生した。その後硬化物とモルタルの間にナイフで切れ目を入れ、硬化物を引き剥がして接着状態を観察した。モルタル側へ接着剤が残った場合を○、残らなかった場合を×とした。
【0073】
モルタル:50×50×15mm、エンジニアリングテストサービス社製。
【0074】
さらに水中に7日間浸漬した後同様の操作を行い、耐水接着性を評価した。
【0075】
評価結果を表1および表2に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
水浸漬前は実施例、比較例、いずれの系もモルタルに対し良好な接着性を示したが、水浸漬後は実施例の系が依然良好であったのに対し比較例の系は接着不良となった。
【0079】
【発明の効果】
本発明の硬化性組成物を使用することにより、作業性や柔軟性、貯蔵安定性を低下させることなく耐水接着性を改善することができる。
Claims (7)
- (A)下記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を含有するポリオキシアルキレン系重合体100重量部、(B)1分子中に1個以上のエポキシ基を含有する化合物0.001〜180重量部、(C)酸化カルシウムおよび/または水酸化カルシウム0.1〜400重量部、および、(E)酸化カルシウムおよび/または水酸化カルシウム以外の充填材50〜1000重量部を含有することを特徴とする硬化性組成物。
−[Si(R 1 2−b )(X b )O] m Si(R 2 3−a )X a ・・・(1)
(式中R 1 およびR 2 は同一または異なる炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基または(R’) 3 SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R 1 またはR 2 が2個以上存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。ここでR’は炭素数が1から20の一価の炭化水素基であり、3個のR’は同一であっても異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在する時、それらは同一であっても異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1、または2をそれぞれ示し、a+Σb≧2を満足するものとする。またm個の−Si(R 1 2−b )(X b )O−基におけるbについて、それらは同一であっても異なっていてもよい。mは0から19の整数を示す。) - さらに(D)1種または2種以上のアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を分子鎖に含む重合体5〜120重量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
- (A)成分であるポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格が、ポリオキシプロピレンからなることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
- (B)成分がエポキシ樹脂および/またはエポキシ基含有シリコン化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
- (C)成分が酸化カルシウムからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性組成物。
- (D)成分が、(a)炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位と(b)炭素数10以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を分子鎖に含む重合体である請求項2〜5のいずれかに記載の硬化性組成物。
- (D)成分が、シロキサン結合を形成することによって架橋しうるケイ素含有基を有する重合体である請求項2〜6のいずれかに記載の硬化性組成物。
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