JP4287071B2 - 2液型硬化性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、貯蔵によって硬化性が低下することのない、内部硬化性の改善された2液型硬化性組成物に関する。本組成物は、接着剤や粘着剤、シール材、コーティング剤、注入材、目地材、コンクリート等の表面処理材、パテ材等の種々の分野において広く使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は、注型材や積層板、封止材、接着剤、塗料、コンクリート補修材、各種複合材料等の幅広い用途に使用されているが、硬化物が脆い為に接着剤として使用した場合、剥離強度が小さいという欠点があった。
【0003】
これら硬化物の脆さや剥離接着強度の改善に対しては、エポキシ樹脂へ反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体等をブレンドした硬化性組成物が提案されている(例えば、特開昭61−268720号公報)。
【0004】
ところが、該組成物は湿気硬化性の重合体を含む為、水分が浸透しない非多孔質材料間への施工や、肉厚を厚くした施工、冬場の低温低湿状態での施工等においては、組成物の内部がなかなか硬化しないという欠点があった。
【0005】
こうした課題を改善する為、特開昭63−273625、特開平9−279047号公報等では、組成物への水の添加が提案されている。これらはいずれも反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体とエポキシ樹脂用硬化剤、縮合触媒を含むA剤と、エポキシ樹脂と水を含むB剤からなる2液型である。しかしながら、該系のA剤では反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体とその縮合触媒が同時に存在する為、貯蔵時に微量の水分で系が増粘したりし、またB剤では貯蔵時にエポキシ樹脂と水とが分離してしまう等、貯蔵安定性が十分でないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、こうした貯蔵によって硬化性が低下することのない、内部硬化性の良好な2液型硬化性組成物を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決する為に本発明者らが鋭意検討を行ったところ、エポキシ樹脂側へ特定の縮合触媒および水を添加したB剤と、反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体、必要に応じて、分子鎖が実質的に1種または2種以上のアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキル単量体単位からなる共重合体等を含むA剤、からなる硬化性組成物を見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
即ち、本発明の第1は、(A)反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体、(C)エポキシ樹脂用硬化剤、および(D)シランカップリング剤、を含有するA剤と、(E)エポキシ樹脂、(F)縮合触媒、および(G)水、を含有するB剤とからなることを特徴とする2液型硬化性組成物に関する。
【0009】
本発明の第2は、(A)反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体、(B)分子鎖が実質的に1種または2種以上のアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキル単量体単位からなる共重合体、(C)エポキシ樹脂用硬化剤、および(D)シランカップリング剤、を含有するA剤と、(E)エポキシ樹脂、(F)縮合触媒、および(G)水、を含有するB剤とからなることを特徴とする2液型硬化性組成物に関する。
【0010】
好ましい実施態様としては、(A)成分であるポリオキシアルキレン系重合体の反応性ケイ素基が一般式(1):
−[Si(R1 2-b)(Xb)O]mSi(R2 3-a)Xa (1)
(式中R1およびR2は同一または異なる炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基または(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が二個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR’は炭素数1から20の一価の炭化水素基であり3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1、または2をそれぞれ示し、a+Σb≧2を満足するものとする。またm個の−Si(R1 2-b)(Xb)−O−基におけるbについて、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。mは0から19の整数を示す。)で表されることを特徴とする前記記載の2液型硬化性組成物に関する。
【0011】
更に好ましい実施態様としては、(A)成分であるポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格が、ポリオキシプロピレンから成ることを特徴とする前記いずれか記載の2液型硬化性組成物に関する。
【0012】
更に好ましい実施態様としては、(B)成分が、分子鎖が実質的に(a)炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位と(b)炭素数10以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位とからなる共重合体であることを特徴とする前記いずれか記載の2液型硬化性組成物に関する。
【0013】
更に好ましい実施態様としては、(B)成分が、シロキサン結合を形成することによって架橋しうるケイ素含有基を有する共重合体であることを特徴とする前記いずれか記載の硬化性組成物に関する。
【0014】
更に好ましい実施態様としては、(F)成分である縮合触媒が、一般式(12)〜(21):
Sn(OCOR10)2 (12)
R9 2Sn(OCOR10)2 (13)
[R9 2Sn(OCOR10)]2O (14)
R9 2Sn(OCOCH=CHCOOR10)2 (15)
R9 2Sn(OCOCH=CHCOO) (16)
R9 2Sn(SR11COOR10)2 (17)
[R9 2Sn(SR11COOR10)]2O (18)
R9 2Sn[OSi(OR12)3]2 (19)
[R9 2SnOSi(OR12)3]2O (20)
Fe(OCOR10)2 (21)
(式中R9、R10は同一または異なる炭素数1から20のアルキル基、R11は炭素数1〜6の2価のアルキレン基、R12は炭素数1から10のアルキル基を示す。)で表されることを特徴とする前記いずれか記載の2液型硬化性組成物に関する。
【0015】
更に好ましい実施態様としては、(A)成分100重量部に対し、(C)成分1〜60重量部および(D)成分0.1〜20重量部を含有するA剤と、(E)成分10〜80重量部、(F)成分0.1〜8重量部および(G)成分0.1〜5重量部を含有するB剤からなることを特徴とする前記いずれか記載の2液型硬化性組成物に関する。
【0016】
更に好ましい実施態様としては、(A)成分と(B)成分を任意の割合で混合した成分100重量部に対し、(C)成分1〜60重量部および(D)成分0.1〜20重量部を含有するA剤と、(E)成分10〜80重量部、(F)成分0.1〜8重量部および(G)成分0.1〜5重量部を含有するB剤からなることを特徴とする前記いずれか記載の2液型硬化性組成物に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明に使用される(A)成分の反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体の反応性ケイ素基としては、特に限定されるものではないが、代表的なものを示すと、例えば一般式(1)で表わされる基が挙げられる。
−[Si(R1 2-b)(Xb)O]mSi(R2 3-a)Xa (1)
(式中R1およびR2は同一または異なる炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基または(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が二個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR’は炭素数1から20の一価の炭化水素基であり3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1、または2をそれぞれ示し、a+Σb≧2を満足するものとする。またm個の−Si(R1 2-b)(Xb)−O−基におけるbについて、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。mは0から19の整数を示す。)
上記Xのうちの加水分解性基は特に限定されず、従来公知の加水分解性基であれば良い。具体的には例えば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、加水分解性が穏やかで取扱やすいという点でメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基が特に好ましい。
【0019】
この水酸基や加水分解性基は1個のケイ素原子に1〜3個結合することができ、(a+Σb)は2から5であるのが好ましい。水酸基や加水分解性基が反応性ケイ素基中に2個以上存在する場合には、それらは同一であっても良く、異なっていてもよい。
【0020】
反応性ケイ素基中のケイ素原子の数は1個でもよく2個以上でもよいが、シロキサン結合等によりケイ素原子の連結された反応性ケイ素基の場合には20個程度でもよい。
【0021】
なお、下記一般式(2)で表される反応性ケイ素基が入手が容易であるため好ましい。
−Si(R2 3-c)Xc (2)
(式中R2、Xは前記に同じ。cは2または3を示す。)
上記一般式(1)または(2)におけるR1、R2の具体例としては、例えばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基、R’がメチル基やフェニル基等である(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基等が挙げられる。R1、R2,R’としてはメチル基が特に好ましい。
【0022】
本発明に使用される(A)成分のポリオキシアルキレン系重合体の主鎖構造としては、−R−O−で示される構造を繰り返し単位とする重合体であればよく、このとき、Rは炭素数1から20の2価の有機基であればよい。また、繰り返し単位の全てが同一である単独重合体であっても良く、2つ以上の種類の繰り返し単位を含む共重合体であっても良い。さらに、主鎖中に分岐構造を有していても良い。
【0023】
Rの具体例としては、−CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH(C2H5)CH2−、−C(CH3)2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−等が挙げられる。Rとしては特に−CH(CH3)CH2−が好ましい。
【0024】
(A)成分のポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、例えば開始剤と触媒の存在下、モノエポキシドを開環重合することによって得られる。
【0025】
開始剤の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、メタリルアルコール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ポリブタジエンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の2価アルコールや多価アルコール、水酸基を有する各種のオリゴマー等が挙げられる。
【0026】
モノエポキシドの具体例としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、α-ブチレンオキサイド、β-ブチレンオキサイド、ヘキセンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、α−メチルスチレンオキシド等のアルキレンオキサイド類や、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、アリルグリシジルエーテル類、アリールグリシジルエーテル類等が挙げられる。
【0027】
触媒としてはKOH、NaOH等のアルカリ触媒、トリフルオロボラン−エーテラート等の酸性触媒、アルミノポルフィリン金属錯体やシアン化コバルト亜鉛−グライム錯体触媒等の複合金属シアン化物錯体触媒等の既に公知のものが用いられる。特に副反応が少ない複合金属シアン化物錯体触媒の使用が好ましいがそれ以外のものであってもよい。
【0028】
この他、ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、水酸基末端ポリオキシアルキレン重合体を塩基性化合物、例えばKOH、NaOH、KOCH3、NaOCH3等の存在下、2官能以上のハロゲン化アルキル、例えばCH2Cl2、CH2Br2等による鎖延長等によっても得ることができる。また、2官能や3官能のイソシアネート化合物によって水酸基末端ポリオキシアルキレン重合体を鎖延長する方法等も挙げられる。
【0029】
反応性ケイ素基をポリオキシアルキレン系重合体中に導入する方法としては、特に限定されず、種々の方法を用いることができる。特に、
1分子中に一般式(3):
CH2=CH−R3−O− (3)
または一般式(4):
CH2=C(R4)−R3−O− (4)
(式中R3は炭素数1から20の2価の有機基、R4は炭素数10以下の炭化水素基)で示される不飽和基を末端に有するポリオキシアルキレン系重合体と、
一般式(5):
H−[Si(R1 2-b)(Xb)O]mSi(R2 3-a)Xa (5)
(式中R1,R2,X,a,b,mは前記に同じ。)で示される反応性ケイ素基含有化合物とを、VIII族遷移金属触媒の存在下で反応させる方法が好ましい。
【0030】
これ以外にも、水酸基末端ポリオキシアルキレン重合体への反応性ケイ素基含有イソシアネート化合物の添加や、イソシアネート基末端ポリオキシアルキレン重合体と反応性ケイ素基含有アミン化合物との反応、イソシアネート基末端ポリオキシアルキレン重合体と反応性ケイ素基含有メルカプタン化合物との反応等によっても得ることができる。
【0031】
末端に一般式(3)または(4)で示される不飽和基を有するポリオキシアルキレン系重合体の製造法としては、従来公知の方法を用いればよく、例えば水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体に不飽和結合を有する化合物を反応させて、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合等により結合させる方法等が挙げられる。例えばエーテル結合により不飽和基を導入する場合は、ポリオキシアルキレン重合体の水酸基末端のメタルオキシ化により−OM(MはNaまたはK等)を生成した後、一般式(6):
CH2=CH−R3−X2 (6)
または一般式(7):
CH2=C(R4)−R3−X2 (7)
(式中R3,R4は前記に同じ。X2はハロゲン原子)で示される不飽和基含有化合物を反応させる方法が挙げられる。
【0032】
一般式(6)または(7)で示される不飽和基含有化合物の具体例としては、CH2=CH−CH2−Cl、CH2=CH−CH2−Br、CH2=CH−C2H4−Cl、CH2=CH−C2H4−Br、CH2=CH−C3H6−Cl、CH2=CH−C3H6−Br、CH2=C(CH3)−CH2−Cl、CH2=C(CH3)−CH2−Br、CH2=C(CH2CH3)−CH2−Cl、CH2=C(CH2CH3)−CH2−Br、CH2=C(CH2CH(CH3)2)−CH2−Cl、CH2=C(CH2CH(CH3)2)−CH2−Br、等が挙げられ、特に反応性の点から、CH2=CH−CH2−Cl、CH2=C(CH3)−CH2−Clが好ましい。
【0033】
不飽和基の導入方法としては、これ以外にCH2=CH−CH2−基やCH2=C(CH3)−CH2−基等を有するイソシアネート化合物、カルボン酸、エポキシ化合物を用いることもできる。
【0034】
VIII族遷移金属触媒としては、白金、ロジウム、コバルト、パラジウム及びニッケル等のVIII族遷移金属元素から選ばれた金属錯体触媒等が有効に使用される。例えば、H2PtCl6・6H2O、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体、Ptメタル、RhCl(PPh3)3、RhCl3、Rh/Al2O3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2等のような化合物が使用できるが、ヒドロシリル化の反応性の点から、H2PtCl6・6H2O、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体のいずれかであることが特に好ましい。
【0035】
この様な製造法は、例えば、特許第1396791号、特許第1727750号、特許第2135751号、特開平3−72527号の各明細書等に記載されている。
【0036】
ポリオキシアルキレン系重合体の分子量には特に制限はないが、GPCにおけるポリスチレン換算での数平均分子量が500から100,000であることが好ましい。さらには1,000から70,000であることが、取り扱いの容易さ等の点から好ましい。
【0037】
本発明の硬化性組成物では、必要に応じて共重合体である(B)成分を添加することができる。
【0038】
本発明に用いる(B)成分である、分子鎖が実質的に1種または2種以上のアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキル単量体単位からなる共重合体(以下、共重合体(B)という)におけるアクリル酸アルキルエステル単量体単位としては、従来公知のものが広く使用でき、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ミリスチル、アクリル酸セチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、アクリル酸ビフェニル等を挙げることができる。またメタクリル酸エステル単量体単位としては、従来公知のものが広く使用でき、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ミリスチル、メタクリル酸セチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ビフェニル等を挙げることができる。
【0039】
共重合体(B)の分子鎖は、実質的に1種または2種以上のアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキル単量体単位からなるが、ここでいう実質的に上記の単量体単位からなるとは、共重合体(B)中に存在するのアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキル単量体単位の割合が50%をこえることを意味し、好ましくは70%以上である。
【0040】
また、これら単量体の組み合わせの中では、相溶性、安定性の点から、分子鎖が実質的に(a)炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位と(b)炭素数10以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位からなる共重合体(以下共重合体(B)−aという)が好ましい。この共重合体における単量体単位(a)である炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単位は、一般式(8):
CH2=C(R5)COOR6 (8)
(式中R5は水素原子またはメチル基、R6は炭素数1から8のアルキル基を示す。)で表される。
【0041】
前記一般式(8)のR6としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基等の炭素数1〜8、好ましくは1〜4、更に好ましくは1〜2のアルキル基を挙げることができる。なお一般式(8)で表されるモノマーは1種類でもよく、2種以上用いてもよい。
【0042】
また、単量体単位(b)である炭素数10以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単位は、一般式(9):
CH2=C(R5)COOR7 (9)
(式中R5は前記に同じ。R7は炭素数10以上のアルキル基を示す。)で表される。
【0043】
前記一般式(9)のR7としては、例えばラウリル基、トリデシル基、セチル基、ステアリル基、炭素数22のアルキル基、ビフェニル基等の炭素数10以上、通常は10〜30、好ましくは10〜20の長鎖アルキル基が挙げられる。なお一般式(9)で示されるモノマーは1種類でもよく、例えば炭素数12と13との混合物のように、2種以上混合した基であってもよい。
【0044】
共重合体(B)−aの分子鎖は実質的に(a)および(b)の単量体単位からなるが、ここでいう実質的に(a)および(b)の単量体単位からなるとは、共重合体(B)−a中に存在する(a)および(b)の単量体単位の割合が50%をこえることを意味し、好ましくは70%以上である。(a)および(b)の単量体単位の割合が50%未満になるとポリオキシアルキレン系重合体(A)と共重合体(B)−aの相溶性が低下し、白濁する傾向が生じるとともに接着特性も低下しがちになる。
【0045】
また(a)の単量体単位と(b)の単量体単位の割合は、重量比で95:5〜40:60が好ましく、90:10〜60:40が更に好ましい。前記割合が95:5より大きくなると相溶性が低下し、40:60より小さくなるとコスト的に不利になりがちになる。
【0046】
共重合体(B)にはアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキル単量体単位の外に、これらと共重合性を有する単量体単位が含有されていてもよい。例えばアクリル酸、メタクリル酸等のアクリル酸;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含む単量体;その他アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に起因する単量体単位等が挙げられる。
【0047】
共重合体(B)成分の分子量には特に制限はないが、GPCにおけるポリスチレン換算での数平均分子量が500から100,000であるものが好ましい。さらには1,000〜15,000のものが取り扱いの容易さ等の点から好ましい。
【0048】
共重合体(B)は、通常のビニル重合の方法によって得ることができる。例えば、ラジカル反応による溶液重合法や塊重合法等によって重合させることで得ることができるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。反応は、通常前記単量体およびラジカル開始剤や連鎖移動剤、溶剤等を加えて50〜150℃で反応させることにより行われる。
【0049】
前記ラジカル開始剤の例としては、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等、連鎖移動剤の例としては、n−ドデシルメルカプタン,t−ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン等のメルカプタン類や含ハロゲン化合物等が挙げられる。溶剤としては、例えばエーテル類、炭化水素類、エステル類のごとき非反応性の溶剤を使用するのが好ましい。
【0050】
共重合体(B)には、最終接着強さの点から、シロキサン結合を形成することによって架橋しうるケイ素含有基(以下、反応性ケイ素基という)を有していることが好ましい。
【0051】
共重合体(B)に反応性ケイ素基を導入する方法には種々の方法があるが、例えば、(I)重合性不飽和結合と反応性ケイ素基を有する化合物を、単量体(a)および(b)とともに共重合させる方法、(II)重合性不飽和結合と反応性官能基(以下Y基という)を有する化合物(例えばアクリル酸)を単量体(a)および(b)とともに共重合させ、そののち生成した共重合体を反応性ケイ素基およびY基と反応しうる官能基(以下Y’基という)を有する化合物(例えばイソシアネート基と−Si(OCH3)3基を有する化合物)と反応させる方法、(III)連鎖移動剤として反応性ケイ素基を含有するメルカプタンの存在下、単量体(a)および(b)を共重合させる方法、(IV)反応性ケイ素基を含有するアゾビスニトリル化合物やジスルフィド化合物を開始剤として単量体(a)および(b)を共重合させる方法、(V)リビングラジカル重合法によって単量体(a)および(b)を重合させ、分子末端に反応性ケイ素基を導入する方法、等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、(I)〜(V)の方法を各々任意に組み合わせることも可能である。例えば、(I)と(III)の組み合わせとして、連鎖移動剤として反応性ケイ素基を含有するメルカプタンの存在下、重合性不飽和結合と反応性ケイ素基を有する化合物を、単量体(a)および(b)ともに共重合させる方法をとることも可能である。
【0052】
(I)記載の重合性不飽和結合と反応性ケイ素基を有する化合物は、一般式(10):
CH2=C(R5)COOR8−[Si(R1 2-b)(Xb)O]mSi(R2 3-a)Xa (10)
(式中R5は前記に同じ。R8は炭素数1〜6の2価のアルキレン基を示す。R1,R2,X,a,b,mは前記と同じ。)または一般式(11):
CH2=C(R5)−[Si(R1 2-b)(Xb)O]mSi(R2 3-a)Xa (11)
(式中R1, R2,R5,X,a,b,mは前記と同じ。)で表される。
【0053】
前記一般式(10)のR8としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数1〜6、好ましくは1〜4を挙げることができる。
【0054】
一般式(10)または(11)で表される、重合性不飽和結合と反応性ケイ素基を有する化合物としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のγ−メタクリロキシプロピルアルキルポリアルコキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のγ−アクリロキシプロピルアルキルポリアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルアルキルポリアルコキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は1種類でもよく、2種以上用いてもよい。
【0055】
(II)記載のY基およびY’基の例としては、種々の基の組み合わせがあるが、例えば、Y基としてアミノ基、水酸基、カルボン酸基を、Y’基としてイソシアネート基を挙げることができる。また別の一例として、特開昭54−36395号公報や特開平1−272654号公報、特開平2−214759号公報に記載されているように、Y基としてはアリル基、Y’基としては水素化ケイ素基(H−Si)を挙げることができる。この場合、VIII族遷移金属の存在下で、ヒドロシリル化反応によりY基とY’基は結合しうる。
【0056】
(III)記載の連鎖移動剤として使用する反応性ケイ素基を含有するメルカプタンとしては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。また、特開昭59−78222号公報に記載されているように、単量体(a)および(b)を、2官能ラジカル重合性化合物および連鎖移動剤としてアルコキシシリル基を含有するメルカプタンの存在下で共重合させる方法も可能である。
【0057】
(IV)記載の、反応性ケイ素基を含有するアゾビスニトリル化合物やジスルフィド化合物としては、特開昭60−23405号公報、特開昭62−70405号公報等に記載されている、アルコキシシリル基を含有するアゾビスニトリル化合物やアルコキシシリル基を含有するジスルフィド化合物を例として挙げることができる。
【0058】
(V)記載の方法としては、特開平9−272714号公報等に記載されている方法を挙げることができる。
【0059】
その他に、特開昭59−168014号公報、特開昭60−228516号公報等に記載されている、反応性ケイ素基をもつメルカプタンと反応性ケイ素基をもつラジカル重合開始剤を併用する方法も挙げることができる。
【0060】
共重合体(B)に含有される反応性ケイ素基の数は、特に限定されるものではないが、接着力への効果、コストの点から、共重合体(B)一分子中に平均0.1個以上2.0個以下、更に好ましくは0.5個以上1.5個以下がよい。
【0061】
(A)成分と(B)成分は任意の割合で混合されるが、(A)成分/(B)成分の重量比が99/1〜10/90の範囲であることが好ましい。
【0062】
本発明の(C)成分であるエポキシ樹脂用硬化剤としては、従来公知のものを広く使用することができる。例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルペンタメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、グアニジン、オレイルアミン、等の脂肪族アミン類;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、ピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ポリシクロヘキシルポリアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)等の脂環族アミン類;メタフェニレンジアミン、4、4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン類;m−キシリレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の脂肪芳香族アミン類;3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(ATU)、モルホリン、N−メチルモルホリン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリオキシエチレンジアミン等のエーテル結合を有するアミン類;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の水酸基含有アミン類;テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデシル無水コハク酸等の酸無水物類;ダイマー酸にジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン等のポリアミンを反応させて得られるポリアミド、ダイマー酸以外のポリカルボン酸を使ったポリアミド等のポリアミドアミン類;2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;ジシアンジアミド;ポリオキシプロピレン系ジアミン,ポリオキシプロピレン系トリアミン等のポリオキシプロピレン系アミン類;フェノール類;上記アミン類にエポキシ化合物を反応させて得られるエポキシ変性アミン、上記アミン類にホルマリン、フェノール類を反応させて得られるマンニッヒ変性アミン、マイケル付加変性アミン、ケチミンといった変性アミン類;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの2−エチルヘキサン酸塩等のアミン塩等が挙げられる。これらの硬化剤は、単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。これらエポキシ樹脂用硬化剤の中では、硬化性や物性バランスの点から、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールやポリオキシプロピレン系ジアミンが好ましい。
【0063】
斯かるエポキシ樹脂用硬化剤は、(A)成分および/または(B)成分100重量部に対し、通常1〜60重量部程度の範囲、好ましくは2〜50重量部程度の範囲で使用されるのが良い。1重量部未満ではエポキシ樹脂の硬化が不十分となり接着強度が低下する。また、60重量部を超えると界面へのブリード等が起こって接着性が低下し好ましくない。
【0064】
本発明の(D)成分であるシランカップリング剤としては、例えばγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;β−カルボキシルエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(N−カルボキシルメチルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;アミノ基含有シラン類と各種ケトンとの脱水縮合により得られるケチミン化シラン類;アミノ基含有シラン類とエポキシ基含有シラン類との反応物;メルカプト基含有シラン類とエポキシ基含有シラン類との反応物;アミノ基含有シラン類とエポキシ樹脂との反応物;メルカプト基含有シラン類とエポキシ樹脂との反応物;テトラエトキシシラン、テトラエトキシシラン4量体、テトラエトキシシラン6量体等のエチルシリケート類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニルシラン類;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシシラン類等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
【0065】
斯かるシランカップリング剤は、(A)成分および/または(B)成分100重量部に対し、通常0.1〜20重量部程度の範囲、好ましくは0.2〜10重量部程度の範囲で添加されるのが良い。0.1重量部未満では接着性の低下や貯蔵安定性の低下を招き、20重量部を超えると硬化阻害が起こったりするので好ましくない。
【0066】
本発明の(E)成分であるエポキシ樹脂としては、従来公知のものを広く使用でき、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂やこれらを水添したエポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、フッ素化エポキシ樹脂、ポリブタジエンあるいはNBRを含有するゴム変性エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAのグリシジルエーテル等の難燃型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。これらエポキシ樹脂の中では、作業性や硬化性、接着強度、被着体汎用性、耐水性、耐久性等のバランスの点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
【0067】
斯かるエポキシ樹脂は、(A)成分、または(A)成分と(B)成分を任意の割合で混合した成分100重量部に対し、通常10〜80重量部程度の範囲、好ましくは20〜70重量部の範囲で使用されるのが良い。10重量部未満では剪断強度や耐水性が不十分となり、80重量部を超えると剥離強度の低下等が起こり好ましくない。
【0068】
本発明の(F)成分である縮合触媒としては、一般式(12)〜(21):
Sn(OCOR10)2 (12)
R9 2Sn(OCOR10)2 (13)
[R9 2Sn(OCOR10)]2O (14)
R9 2Sn(OCOCH=CHCOOR10)2 (15)
R9 2Sn(OCOCH=CHCOO) (16)
R9 2Sn(SR11COOR10)2 (17)
[R9 2Sn(SR11COOR10)]2O (18)
R9 2Sn[OSi(OR12)3]2 (19)
[R9 2SnOSi(OR12)3]2O (20)
Fe(OCOR10)2 (21)
(式中R9、R10は同一または異なる炭素数1から20のアルキル基、R11は炭素数1〜6の2価のアルキレン基、R12は炭素数1から10のアルキル基を示す。)で表される有機錫系化合物または有機鉄系化合物が用いられる。
【0069】
R9の具体例としては、−CH3、−C2H5、−C4H9、−C8H17、−C17H35等が挙げられ、R10の具体例としてはR9と同様のアルキル基以外にナフチル基等も挙げることができる。また、R11の具体例としては、−CH2−、−C2H4−、−C4H8−等が、R12の具体例としては、−CH3、−C2H5、−C4H9、−C8H17等が挙げられる。
【0070】
この様な有機錫化合物の具体例としては、Sn(OCOC7H15)2、Sn(OCOC17H35)2、(C4H9)2Sn(OCOCH3)2、(C4H9)2Sn(OCOC7H15)2、(C4H9)2Sn(OCOC11H23)2、[(C4H9)2Sn(OCOC11H23)]2O、(C8H17)2Sn(OCOC11H23)2、(C4H9)2Sn(OCOC17H35)2、(C8H17)2Sn(OCOC17H35)2、(C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOOC2H5)2、(C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOOC4H9)2、(C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOOCH2C6H5)2、(C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOO)、(C4H9)2Sn(SC2H4COOC9H19)2、(C4H9)2Sn(SCH2COOC8H17)2、[(C4H9)2Sn(SC2H4COOC9H19)]2O、(C4H9)2Sn[OSi(OCH3)3]2、(C4H9)2Sn[OSi(OC2H5)3]2、[(C4H9)2SnOSi(OC2H5)3]2O等を挙げることができる。
【0071】
また、有機鉄系化合物の具体例としては、Fe(OCOC7H15)2、Fe(OCOC17H35)2、Fe(OCOCH2C5H9)2、Fe(OCOC2H4C5H9)2、Fe(OCOC10H17)2、等を挙げることができる。
【0072】
これらの縮合触媒は、単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。これら縮合触媒の中では、硬化性や貯蔵安定性、物性バランスの点から、有機錫系化合物が好ましい。
【0073】
斯かる縮合触媒は、(A)成分、または(A)成分と(B)成分を任意の割合で混合した成分100重量部に対し、通常0.1〜8重量部程度の範囲、好ましくは0.2〜5重量部の範囲で使用されるのが良い。0.1重量部未満では硬化性が不十分であり、8重量部を超えると接着性の低下等が起こり好ましくない。
【0074】
本発明の(F)成分である水は、(A)成分、または(A)成分と(B)成分を任意の割合で混合した成分の硬化過程における加水分解反応に必要であり、一般的な水道水や工業用水、純水等が用いられる。また、冬場における使用では、凝固点降下作用のある各種塩類やアルコール等を添加することも可能である。添加量は、(A)成分、または(A)成分と(B)成分を任意の割合で混合した成分100重量部に対し、通常0.1〜5重量部程度の範囲、好ましくは0.2〜4重量部の範囲が良い。0.1重量部未満では内部硬化性が不十分であり、5重量部を超えると接着性の低下等が起こり好ましくない。
【0075】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じ、充填材や揺変剤、可塑剤、反応性希釈剤、安定剤、着色剤等を添加することができる。
【0076】
充填剤の具体例としては、フュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸およびカーボンブラック等の補強性充填剤;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、カオリン、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、水添ヒマシ油およびシラスバルーン、等の如き充填剤;石綿、ガラス繊維およびフィラメント等の繊維状充填剤等が挙げられる。これら充填剤は1種類のみで使用してもよいし、2種類以上混合使用してもよい。
【0077】
本発明の硬化性組成物は、加熱によって硬化させても良いし、室温下で放置し硬化させることもできる。本発明の硬化性組成物は、接着剤や粘着剤、シール材、コーティング剤、注入材、目地材、コンクリート等の表面処理材、パテ材等の種々の分野において広く使用することができる。
【0078】
【実施例】
本発明をより一層明らかにする為に、以下具体的な実施例を揚げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例1)
ポリプロピレングリコールを開始剤とし亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、平均分子量10,000のポリオキシプロピレングリコールを得た。続いてこの水酸基末端ポリエーテルオリゴマーの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、更に3−クロロ−1−プロペンを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。次に得られた重合体500gに対しヘキサン10gを加えて90℃で共沸脱水を行い、ヘキサンを減圧下留去した後、窒素置換した。これに対して白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のキシレン溶液)30μlを加え、撹拌しながら、ジメトキシメチルシラン(DMS)9.0gをゆっくりと滴下した。その混合溶液を90℃で2時間反応させた後、未反応のDMSを減圧下留去し反応性ケイ素基含有ポリオキシプロピレン重合体を得た。得られた重合体の1H−NMR分析より、末端への反応性ケイ素基導入率は82%であることを確認した(ポリマーA)。
(合成例2)
110℃に加熱したトルエン43g中にアクリル酸ブチル6.0g、メタクリル酸メチル66g、メタクリル酸ステアリル13g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン5.4g、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン7.0gおよびトルエン23g混合物に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2.6gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行い、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が2,200の共重合体を得た。
合成例1で得られたポリマーAとこの共重合体とを固形分比(重量比)60/40でブレンドし、エバポレーターを用い、減圧下、110℃加熱条件で脱揮を行い、固形分濃度99%以上の透明で粘稠な液体を得た(ポリマーB)。
(実施例1)
(A)成分であるポリマーA 100重量部に対し、(C)成分としてTAP(化薬アクゾ株式会社製)5重量部、(D)成分としてA−1122(日本ユニカー株式会社製)2重量部を添加し、A剤を調製した。また、(E)成分であるエピコート828(油化シェルエポキシ株式会社製)50重量部に対し、(F)成分としてU−100(日東化成株式会社製)2重量部、(G)成分として水0.5重量部を添加し、B剤を調製した。B剤を所定の条件で貯蔵した後A剤と混合し、表面硬化性および内部硬化性を評価した。
(実施例2)
(F)成分としてSCAT−1(三共有機合成株式会社製)2重量部を用いた以外は、実施例1と同様の組成で評価を行った。
(実施例3)
(A)成分の代わりに(B)成分であるポリマーBを100重量部用いた以外は、実施例1と同様の組成で評価を行った。
(実施例4)
(A)成分の代わりに(B)成分であるポリマーBを100重量部使用し、(F)成分としてSCAT−1(三共有機合成株式会社製)2重量部を用いた以外は、実施例1と同様の組成で評価を行った。
(比較例1)
(G)成分である水を無添加とした以外は、実施例1と同様の組成で評価を行った。
(比較例2)
(G)成分である水を無添加とした以外は、実施例2と同様の組成で評価を行った。
(比較例3)
(G)成分である水を無添加とした以外は、実施例3と同様の組成で評価を行った。
(比較例4)
(G)成分である水を無添加とした以外は、実施例4と同様の組成で評価を行った。
(比較例5)
(F)成分としてU−220(日東化成株式会社製)2重量部を用いた以外は、実施例1と同様の組成で評価を行った。
(比較例6)
(G)成分である水を無添加とした以外は、比較例5と同様の組成で評価を行った。
(比較例7)
(A)成分の代わりに(B)成分であるポリマーBを100重量部用いた以外は、比較例5と同様の組成で評価を行った。
【0079】
評価法を以下に示す。
【0080】
B剤貯蔵条件:B剤を容量80mlのサンプル瓶へ充填し、密閉した。これらをそれぞれ23℃で1日、4週間、50℃で2週間、4週間静置した。
【0081】
表面硬化性:A剤とB剤を2:1の重量比で混合し、遠心分離器にて脱泡後、軟鋼缶(直径45mm、高さ8mm)に流し込んだ。配合物表面を経時でスパチュラにて触り、配合物がスパチュラにつかなくなるまでの時間を測定した(23℃)。
【0082】
内部硬化性:A剤とB剤を2:1の重量比で混合し、遠心分離器にて脱泡後、深さ50mmの80mlサンプル瓶へ流し込んだ。23℃または0℃下で静置し、1、3、7または8日後、硬化した部分をスパチュラにて刳り貫き、表面からの硬化深さを測定した。
【0083】
配合組成を表1に、評価結果を表2に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
実施例の系では、B剤を貯蔵しても表面硬化性の変化は殆どなく、内部硬化性も温度を問わず良好であった。一方、水無添加の比較例1〜4では、表面硬化性の変化は殆どなかったが、内部硬化性が大幅に低下した。(F)成分以外の触媒を使用し水を添加した比較例5、7では、貯蔵により表面硬化性、内部硬化性とも大幅に低下した。比較例5で水を無添加とした比較例6では、貯蔵による表面硬化性の低下は改善されたが、内部硬化性が大幅に低下した。
【0086】
【発明の効果】
本発明の硬化性組成物の使用により、良好な内部硬化性が得られるとともに、貯蔵による硬化性低下を防ぐことができる。
Claims (8)
- (A)反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体、(C)エポキシ樹脂用硬化剤、および(D)シランカップリング剤、を含有するA剤と、(E)エポキシ樹脂、(F)縮合触媒、および(G)水、を含有するB剤とからなることを特徴とする2液型硬化性組成物であって、
(F)成分である縮合触媒が、一般式(12)〜(21):
Sn(OCOR10)2 (12)
R9 2Sn(OCOR10)2 (13)
[R9 2Sn(OCOR10)]2O (14)
R9 2Sn(OCOCH=CHCOOR10)2 (15)
R9 2Sn(OCOCH=CHCOO) (16)
R9 2Sn(SR11COOR10)2 (17)
[R9 2Sn(SR11COOR10)]2O (18)
R9 2Sn[OSi(OR12)3]2 (19)
[R9 2SnOSi(OR12)3]2O (20)
Fe(OCOR10)2 (21)
(式中R9、R10は同一または異なる炭素数1から20のアルキル基、R11は炭素数1〜6の2価のアルキレン基、R12は炭素数1から10のアルキル基を示す。)で表されることを特徴とする2液型硬化性組成物。 - (A)反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体、(B)分子鎖が1種または2種以上のアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位からなり、これらの単量体単位の割合が50%を超える共重合体、(C)エポキシ樹脂用硬化剤、および(D)シランカップリング剤、を含有するA剤と、(E)エポキシ樹脂、(F)縮合触媒、および(G)水、を含有するB剤とからなることを特徴とする2液型硬化性組成物であって、
(F)成分である縮合触媒が、一般式(12)〜(21):
Sn(OCOR10)2 (12)
R9 2Sn(OCOR10)2 (13)
[R9 2Sn(OCOR10)]2O (14)
R9 2Sn(OCOCH=CHCOOR10)2 (15)
R9 2Sn(OCOCH=CHCOO) (16)
R9 2Sn(SR11COOR10)2 (17)
[R9 2Sn(SR11COOR10)]2O (18)
R9 2Sn[OSi(OR12)3]2 (19)
[R9 2SnOSi(OR12)3]2O (20)
Fe(OCOR10)2 (21)
(式中R9、R10は同一または異なる炭素数1から20のアルキル基、R11は炭素数1〜6の2価のアルキレン基、R12は炭素数1から10のアルキル基を示す。)で表されることを特徴とする2液型硬化性組成物。 - (A)成分であるポリオキシアルキレン系重合体の反応性ケイ素基が一般式(1):−[Si(R1 2−b)(Xb)O]mSi(R2 3−a)Xa (1)
(式中R1およびR2は同一または異なる炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基または(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が二個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR’は炭素数1から20の一価の炭化水素基であり3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1、または2をそれぞれ示し、a+Σb≧2を満足するものとする。またm個の−Si(R1 2−b)(Xb)−O−基におけるbについて、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。mは0から19の整数を示す。)で表されることを特徴とする請求項1または2記載の2液型硬化性組成物。 - (A)成分であるポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格が、ポリオキシプロピレンから成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の2液型硬化性組成物。
- (B)成分が、分子鎖が(a)炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位と(b)炭素数10以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位とからなる共重合体であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の2液型硬化性組成物。
- (B)成分が、シロキサン結合を形成することによって架橋しうるケイ素含有基を有する共重合体であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の2液型硬化性組成物。
- (A)成分100重量部に対し、(C)成分1〜60重量部および(D)成分0.1〜20重量部を含有するA剤と、(E)成分10〜80重量部、(F)成分0.1〜8重量部および(G)成分0.1〜5重量部を含有するB剤からなることを特徴とする請求項1、3または4記載の2液型硬化性組成物。
- (A)成分と(B)成分を任意の割合で混合した成分100重量部に対し、(C)成分1〜60重量部および(D)成分0.1〜20重量部を含有するA剤と、(E)成分10〜80重量部、(F)成分0.1〜8重量部および(G)成分0.1〜5重量部を含有するB剤からなることを特徴とする請求項2、5または6記載の2液型硬化性組成物。
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