JP4414045B2 - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンタクト型接着剤として有用な硬化性樹脂組成物に関する。ここでいうコンタクト型接着剤とは、被着体に塗布して所定時間放置した後に圧着して接着可能なものをいう。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンタクト型接着剤としては、天然ゴムあるいは合成ゴムのようなジエン系化合物重合体に、粘着付与樹脂、可塑剤、老化防止剤などを添加し、有機溶剤に均一に溶解(固形分濃度20〜35%)させた、溶剤型の接着剤が広く用いられていた。しかし、溶剤型接着剤は大量の有機溶剤を用いるため、溶剤のコストがかかる上、その有機溶剤を蒸発除去しなければならず、労働環境、防災および公害面でも問題があった。このような問題を解決し、しかも従来の溶剤型接着剤に匹敵する性能を有する接着剤として、特開平3−263478号公報、特開平7−258535号公報に見られるような変成シリコーン系重合体を用いた無溶剤型のコンタクト型接着剤が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平3−263478号公報に開示された変成シリコーン系重合体を用いたコンタクト型接着剤は、貼り合わせが可能となるタックを発現するまで時間が長く、また粘度が高いため作業性に劣るという問題があった。この課題を解決するために、特開平7−258535号公報に開示された方法にて、タックの発現が速く、貼り合わせ可能時間が長く作業性に優れたコンタクト型接着剤が提案されているが、タックの発現時間は1時間以内であり作業時間としては十分とはいえないものであった。タックの発現時間を長くするためには、これまでは触媒種の変更、触媒量の増減、末端の反応性ケイ素基量の変更などにより硬化速度の調節が行われてきた。しかし、従来の方法では、硬化速度を調整しタック発現時間を長くすると、最終接着強度も低下するという問題があった。本発明の目的は、最終接着強度に影響を及ぼさずにタック発現時間の長い硬化性樹脂組成物を得ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決するために。本発明者らは、鋭意検討を行なったところ、反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー中にある反応性ケイ素基の近傍にアルキル基を導入することによって、反応性ケイ素基の反応性を間接的に低下させ、最終接着強度に影響を及ぼすことなくタック発現時間が長くなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0005】
即ち、本発明の第1は、(I)分子中に以下に示す一般式(1):
−O−R1−CH(R2)−CH2−(Si(R3 2-b)(Xb)O)mSi(R4 3-a)Xa (1)
(式中R1は水素、酸素、及び窒素からなる群より選択される一種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基を示し、R2は炭素数1から10のアルキル基、R3およびR4は同一または異なった炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基または(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R3またはR4が二個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR’は炭素数1から20の一価の炭化水素基であり3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが二個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1、または2をそれぞれ示す。またm個の−(Si(R3 2-b)(Xb)−O)−基におけるbについて、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。mは0から19の整数を示す。但し、a+Σb≧1を満足するものとする)で表される構造部分を有する反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー、(II)分子鎖が、実質的に1種または2種以上のアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキル単量体単位からなる共重合体、及び(III)硬化促進剤を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物に関する。
【0006】
好ましい実施態様としては、(I)成分のR1がCH2であることを特徴とする前記硬化性樹脂組成物に関する。
【0007】
さらに好ましい実施態様としては、(I)成分中のR2がCH3であることを特徴とする前記硬化性樹脂組成物に関する。
【0008】
更に好ましい実施態様としては、(I)成分が、分子中に次式で表される構造部分を有する反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーであることを特徴とする前記硬化性樹脂組成物に関する。
−O−CH2−CH(CH3)−CH2−Si(CH3)(OCH3)2
別の好ましい実施態様としては、(I)成分が、一般式(2):
−O−R1−C(CH3)=CH2 (2)
(R1は前記と同じ)で表される不飽和結合を導入したポリエーテルオリゴマーと、
一般式(3):
H−(Si(R3 2-b)(Xb)O)mSi(R4 3-a)Xa (3)
(R3、R4、a、b、m、Xは前記と同じ)で表される反応性ケイ素基を有する化合物とを酸素を有する雰囲気下で、触媒、及び硫黄化合物が存在する系中で反応して得られる反応性ケイ素基を有するポリエーテルオリゴマーであることを特徴とする前記硬化性樹脂組成物に関する。
【0009】
別の更に好ましい実施態様としては、(I)成分が、次式で表される不飽和結合を導入したポリエーテルオリゴマー
−O−CH2−C(CH3)=CH2
と反応性ケイ素基を有する化合物
H−Si(CH3)(OCH3)2
とを酸素を有する雰囲気下で、触媒、及び硫黄化合物が存在する系中で反応して得られる以下に示す構造を有する反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーであることを特徴とする前記硬化性樹脂組成物に関する。
−O−CH2−CH(CH3)−CH2−Si(CH3)(OCH3)2
別の好ましい実施態様としては、(II)成分が、分子鎖が実質的に(a)炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位と(b)炭素数10以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位とからなる共重合体であることを特徴とする前記いずれか記載の硬化性樹脂組成物に関する。
【0010】
更に好ましい実施態様としては、(II)成分が、シロキサン結合を形成することによって架橋しうるケイ素含有基を有する共重合体である前記いずれか記載の硬化性樹脂組成物に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。本発明で用いられる(I)成分である反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーは一般式(1):
−O−R1−CH(R2)−CH2−(Si(R3 2-b)(Xb)O)mSi(R4 3-a)Xa (1)
(式中R1は水素、酸素、及び窒素からなる群より選択される一種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基を示し、R2は炭素数1から10のアルキル基、R3およびR4は同一または異なった炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基または(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R3またはR4が二個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR’は炭素数1から20の一価の炭化水素基であり3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが二個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1、または2をそれぞれ示す。またm個の−(Si(R3 2-b)(Xb)−O)−基におけるbについて、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。mは0から19の整数を示す。但し、a+Σb≧1を満足するものとする)で表される構造を側鎖または末端に少なくとも1個含有し、主鎖がポリエーテルからなるポリエーテル系オリゴマーであればよい。
【0012】
R1としては水素、酸素、及び窒素からなる群より選択される一種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基で、例えば−CH2−、−C2H4−、−C3H6−、−C4H8−、−C5H10−、−C6H4−、−C6H12−、−C7H14、−C8H16−、−C9H18−、−C10H20−、−CH(CH3)−、−CH2−CH(CH3)−、−CH2−CH(CH3)−CH2−、−C2H4−CH(CH3)−、−CH2−C6H4−、−CH2−C6H4−CH2−、−C2H4−C6H4−、−C(O)−、−C(O)−CH2−、−C(O)−C6H4−、−C(O)−NH−、−C(O)−NH−CH2−、−C(O)−NH− C6H4−、−C(O)−O−、−C(O)−O−CH2−、−C(O)−O− C6H4−等の基が例示される。合成が容易である点で−CH2−、−C2H4−、−CH2−CH(CH3)−、−C(O)−、−C(O)−NH−が好ましく、さらに、原料入手の容易さから、−CH2−が特に好ましい。
【0013】
R2の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基などがあげられる。その中でメチル基が特に好ましい。
【0014】
R3、およびR4の具体例としては、例えばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基、R’がメチル基やフェニル基等である(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基などが挙げられる。R3、R4、R’としてはメチル基が特に好ましい。
【0015】
上記Xのうちの加水分解性基は特に限定されず、従来公知の加水分解性基であれば良い。具体的には例えば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、加水分解性が穏やかで取り扱いやすいという点でメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基が好ましい。
【0016】
この水酸基や加水分解性基は1個のケイ素原子に1〜3個結合することができ、(a+Σb)は1から5であるのが好ましい。水酸基や加水分解性基が反応性ケイ素基中に2個以上存在する場合には、それらは同一であっても良く、異なっていてもよい。
【0017】
反応性ケイ素基中のケイ素原子の数は1個でもよく2個以上でもよいが、シロキサン結合等によりケイ素原子の連結された反応性ケイ素基の場合には20個程度でもよい。
【0018】
なお下記一般式(5)で表される反応性ケイ素基が入手が容易であるため好ましい。
−Si(R4 3-a)Xa (5)
(式中R4、X、aは前記と同じ。)
さらに好ましくは、R4がメチル基、Xがメトキシ基、aが2または3の場合が好ましい。
【0019】
上記反応性ケイ素基はポリエーテルオリゴマーの各分子鎖末端に対し、平均して少なくとも0.1個存在するのがよく、硬化性の点からは好ましくは0.5から5個存在するのがよい。さらに好ましくは、0.8から2個存在するのがよい。良好なゴム弾性挙動を示す硬化物が得られる点からは、0.9から1個存在するのが特によい。
【0020】
また、重合体1分子当たりの反応性ケイ素基の数は、平均1個以上あれば良いが、十分な硬化性を得るという点では、平均1.5〜4個が好ましい。
(I)成分である反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーは単独で用いてもよいし、異なる二種以上のものを併用してもよい。
【0021】
具体的には、(I)成分が分子中に次式で表される構造部分を有する反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーであることが好ましい。
−O−CH2−CH(CH3)−CH2−Si(CH3)(OCH3)2
(I)成分の反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーの分子量には特に制限はないが、数平均分子量が1,000から100,000であることが好ましい。数平均分子量が1,000未満では得られる反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーの硬化物が脆くなり、100,000を越えると官能基濃度が低くなりすぎ、硬化速度が低下する。またポリマーの粘度が高くなりすぎ、取扱いが困難となるため好ましくない。さらに数平均分子量が10,000〜50,000であることが機械物性発現上特に好ましい。
【0022】
ここでのポリエーテルオリゴマーの数平均分子量とは、JISK1557の水酸基価の測定方法と、JISK0070のよう素価の測定方法の原理に基づいた滴定分析により、直接的に末端基濃度を測定し、ポリエーテルオリゴマーの構造を考慮して求めた数平均分子量と定義している。また、数平均分子量の相対測定法として一般的なGPC測定により求めたポリスチレン換算分子量と上記末端基分子量の検量線を作成し、GPC分子量を末端基分子量に換算して求めることも可能である。
【0023】
また、(I)成分のポリエーテルオリゴマーの主鎖構造としては、−R−O−で示される構造を繰り返し単位とする重合体であればよく、このとき、Rは水素、酸素、及び窒素からなる群より選択される一種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基であればよい。また 繰り返し単位の全てが同一である単独重合体であっても良く、2つ以上の種類の繰り返し単位を含む共重合体であっても良い。さらに主鎖中に分岐構造を有していても良い。
Rの具体例としては、−CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH(C2H5)CH2−、−C(CH3)2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−等が挙げられる。Rとしては特に−CH(CH3)CH2−が好ましい。
【0024】
本発明の(I)成分を得るにはアルキレンオキサイド類、具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、α−ブチレンオキサイド、β−ブチレンオキサイド、ヘキセンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、α−メチルスチレンオキシド、およびアルキルまたはアリルまたはアリールグリシジルエーテル類、具体的にはメチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等の2個から12個の炭素原子を有する置換または非置換エポキシを用い、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、メタリルアルコール、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ポリブタジエンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の2価アルコール又は多価アルコール及び水酸基を有する各種のオリゴマーを開始剤として種々の触媒の存在下開環重合させることによって得られるポリエーテルを使用することができる。この重合の触媒としてはKOH、NaOH等のアルカリ触媒、トリフルオロボラン−エーテラート等の酸性触媒、アルミノポルフィリン金属錯体やシアン化コバルト亜鉛−グライム錯体触媒等の複合金属シアン化物錯体触媒等の既に公知のものが用いられる。特に副反応が少ない複合金属シアン化物錯体触媒の使用が好ましいがそれ以外のものであってもよい。
【0025】
この他、ポリエーテルオリゴマーの主鎖骨格は、水酸基末端ポリエーテルオリゴマーを塩基性化合物、例えばKOH、NaOH、KOCH3、NaOCH3等の存在下、2官能以上のハロゲン化アルキル、例えばCH2Cl2、CH2Br2等による鎖延長等によっても得ることができる。
【0026】
このような、水酸基を有するポリエーテルオリゴマーから(I)成分を製造する方法としては、公知の方法を用いればよく、たとえば、水酸基を有するポリエーテルオリゴマーに不飽和結合を導入させた後、反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法が挙げられる。
【0027】
水酸基を有するポリエーテルオリゴマーに不飽和結合を導入する方法としては、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合などにより結合させる方法などが挙げられる。例えばエーテル結合により不飽和基を導入する場合は、ポリエーテルオリゴマーの水酸基のメタルオキシ化により−OM(MはNaまたはK)を生成した後、一般式(6):
H2C=C(R2)−R1−Y (6)
(式中R1は水素、酸素、及び窒素からなる群より選択される一種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基、R2は炭素数1から10のアルキル基、Yはハロゲン)で示される有機ハロゲン化合物と反応させて不飽和基を有するポリエーテルを製造する方法が挙げられる。一般式(6)で示される不飽和基含有化合物の具体例としては、
H2C=C(CH3)−CH2−Cl、H2C=C(CH3)−CH2−Br等が挙げられ、反応性、原料入手および合成の容易さの点から、H2C=C(CH3)−CH2−Clが特に好ましい。
【0028】
不飽和基の導入方法としては、これ以外にH2C=C(CH3)−CH2−基等を有するイソシアネート化合物、カルボン酸、エポキシ化合物を用いることもできる。
【0029】
不飽和結合を導入したポリエーテルオリゴマーと反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法としては、例えば触媒存在下で行われるヒドロシリル化反応が挙げられる。
【0030】
このヒドロシリル化反応で用いられる反応性ケイ素基を有する化合物とは、上記水酸基や加水分解性基と結合したケイ素基を分子内に1個以上有し、かつ1個以上のSi−H基を分子内に有している化合物であればよい。代表的なものを示すと、例えば下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
一般式(3):
H−(Si(R3 2-b)(Xb)O)mSi(R4 3-a)Xa (3)
(R3、R4、a、b、m、Xは、上記一般式(1)で記載した基と同様のものである)
具体的には、トリクロルシラン、メチルジクロルシラン、ジメチルクロルシラン、フェニルジクロルシラン、トリメチルシロキシメチルクロルシラン、1,1,3,3−テトラメチル−1−ブロモジシロキサンの如きハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、トリメチルシロキシメチルメトキシシラン、トリメチルシロキシジエトキシシランの如きアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシラン、トリアセトキシシラン、トリメチルシロキシメチルアセトキシシラン、トリメチルシロキシジアセトキシシランの如きアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシラン、ビス(ジエチルケトキシメート)トリメチルシロキシシラン、ビス(メチルエチルケトキシメート)メチルシラン、トリス(アセトキシメート)シランの如きケトキシメートシラン類;メチルイソプロペニルオキシシランの如きアルケニルオキシシラン類などが挙げられる。これらの内、特にアルコキシシラン類が好ましく、アルコキシ基の中でもメトキシ基が特に好ましい。
【0031】
なお下記一般式(7)で表される反応性ケイ素基が入手が容易であるため好ましい。
H−Si(R4 3-a)Xa (7)
(式中R4、X、aは前記と同じ。)
また上記一般式(3)及び一般式(7)におけるR3、およびR4の具体例としては、例えばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基、R’がメチル基やフェニル基等である(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基などが挙げられる。R3、R4,R’としてはメチル基が特に好ましい。
【0032】
上記ヒドロシリル化反応の具体例としては、一般式(2):
−O−R1−C(CH3)=CH2 (2)
(R1は前記と同じ)で表される不飽和結合を導入したポリエーテルオリゴマーと、一般式(3):
H−(Si(R3 2-b)(Xb)O)mSi(R4 3-a)Xa (3)
(R3、R4、a、b、m、Xは上記一般式(1)で記載した基と同様のものである)で表される反応性ケイ素基を有する化合物とを酸素を有する雰囲気下、触媒、及び硫黄化合物が存在する系中で反応して得られる反応性ケイ素基を有するポリエーテルオリゴマーが好ましく、更に次式で表される不飽和結合を導入したポリエーテルオリゴマー
−O−CH2−C(CH3)=CH2
と反応性ケイ素基を有する化合物
H−Si(CH3)(OCH3)2
とを酸素を有する雰囲気下で、触媒、及び硫黄化合物が存在する系中で反応して得られる以下に示す構造を有するポリエーテルオリゴマー
−O−CH2−CH(CH3)−CH2−Si(CH3)(OCH3)2
がより好ましい。
【0033】
不飽和結合を導入したポリエーテルオリゴマーと反応性ケイ素基を有する化合物とのヒドロシリル化反応において用いる触媒としては、白金、ロジウム、コバルト、パラジウム及びニッケル等のVIII族遷移金属元素から選ばれた金属錯体触媒等が有効に使用される。例えば、H2PtCl6・6H2O、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体、Ptメタル、RhCl(PPh3)3、RhCl3、Rh/Al2O3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2等のような化合物が使用できるが、ヒドロシリル化の反応性の点から、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体のいずれかであることが特に好ましい。ここでいう白金−ビニルシロキサン錯体とは、白金原子に対し、配位子として分子内にビニル基を有する、シロキサン、ポリシロキサン、環状シロキサンが配位している化合物の総称であり、上記配位子の具体例としては、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン(白金ジビニルジシロキサン錯体)、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。白金−オレフィン錯体のオレフィン配位子の具体例は1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、1,11−ドデカジエン、1,5−シクロオクタジエン等が挙げられる。上記配位子の中でも1,9−デカジエンが特に好ましい。
【0034】
なお、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体については特公平8−9006号公報に開示されている。
【0035】
ヒドロシリル化反応の触媒としては、これ以外にもAlCl3やTiCl4等も使用することができる。
【0036】
触媒使用量としては特に制限は無いが、通常、アルケニル基1モルに対して白金触媒を10-1から10-8モル使用することが好ましく、更に好ましくは10-3から10-6モルの範囲で使用することができる。触媒の量が少ない場合はヒドロシリル化反応が十分に進行しない可能性がある。また、触媒量が多すぎると触媒消費によるコストの負担が増えたり、製品への残留触媒が増えるなどの問題がある。
【0037】
本発明の製造方法におけるヒドロシリル化反応は、通常10〜150℃、好ましくは20〜120℃、さらに好ましくは40〜100℃の範囲とするのが好適である。本発明の製造方法におけるヒドロシリル化反応は反応温度の調節、反応系の粘度の調整などの必要に応じて、無溶媒系でも溶媒存在下でも行うことができる。ヒドロシリル化反応に使用する溶剤としては、通常、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、エステル類を用いることができるが、ヘプタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、を用いることが好ましい。また場合によっては、パラフィン、α―メチルスチレンオリゴマー等のヒドロシリル化反応に影響を及ぼさない可塑剤等も用いることができる。
【0038】
ヒドロシリル化反応の反応促進という点では、酸素の使用による触媒の再活性化(特開平8―283339号公報)や硫黄化合物の添加を行うのが好ましい。硫黄化合物の添加は高価な白金触媒の増量などに伴うコストアップや残留触媒の除去などの問題を起こさず製造時間の短縮を可能とし製造コスト削減、さらには生産性のアップに寄与する。硫黄化合物としては硫黄単体、チオール、スルフィド、スルホキシド、スルホン、チオケトン等が挙げられ、特に硫黄が好ましいがこれに限定されるものではない。液相反応系に硫黄化合物を添加するには、例えば反応液や溶媒の一部にあらかじめ硫黄化合物を溶解混合してから全体に一様に分散することができる。例えばトルエン、ヘキサン、キシレンなどの有機溶媒に硫黄化合物を溶解してから添加することができる。
【0039】
硫黄化合物の添加量については、例えばその量が金属触媒モル数を基準として0.1〜10倍量、もしくはアルケニル基のモル数を基準として0.002〜0.1倍量、あるいは反応液全体重量を基準として1〜500ppmであるような範囲で設定することができる。添加量が少ないと本発明の効果が十分に達成されない場合がある。硫黄化合物の量が多すぎる場合には触媒活性を低下させたり、反応を阻害するような問題が起こる場合も有り、添加量を適切に選定することが好ましい。
【0040】
本発明の製造方法におけるヒドロシリル化反応において、ヒドロシリル化反応を行う際の反応器気相部は、窒素やヘリウムなどの不活性ガスのみからなってもよいし、酸素等が存在してもよい。ヒドロシリル化反応を行う際には、可燃性物質取扱いの安全性の観点から反応器気相部は窒素やヘリウムなどの不活性ガスの存在下で実施することがある。しかしながら、反応器気相部を窒素やヘリウムなどの不活性ガスの存在下行った場合には、ヒドロシリル化の反応系条件によっては反応速度が低下する場合もある。
【0041】
本発明の製造方法におけるヒドロシリル化反応では、反応器気相部の酸素濃度を爆発性混合組成を回避する値に設定することにより、酸素存在下で安全にヒドロシリル化反応を促進することができる。反応器気相部の酸素濃度は、例えば0.5〜10%とすることができる。
【0042】
さらにヒドロシリル化反応においてポリエーテルオリゴマー、反応溶媒、系中の可塑剤等が酸素により酸化されることを抑制するために、酸化防止剤の存在下でヒドロシリル化反応を行うことができる。酸化防止剤としては、ラジカル連鎖禁止剤の機能を有するフェノール系酸化防止剤、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス{メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、1,1,3−トリス(2−メチルー4−ヒドロキシー5−tert−ブチルフェニル)ブタンなどを用いることができる。同様のラジカル連鎖禁止剤としてアミン系酸化防止剤、例えばフェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミンなどを用いることもできるがこれらに限定されるものではない。
【0043】
更に本発明においては、得られるシリル基中の加水分解性基Xを他の加水分解性基Yに変換することができる。特にX基がハロゲンである場合には水分による硬化に際し刺激臭の強いハロゲン化水素を発生させるので他の加水分解性基に変換することが好ましい。変換しうる加水分解性官能基としてはアルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基およびメルカプト基などが挙げられる。ハロゲン官能基をこれら加水分解性官能基に変換する方法としては種々の方法が挙げられる。例えばアルコキシ基に変換する方法としては、▲1▼メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、sec−ブタノール、t−ブタノールおよびフェノールなどの如きアルコール類およびフェノール類、▲2▼アルコール類およびフェノール類のナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルコキシド類、▲3▼オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチルなどの如きオルトギ酸エステル類、▲4▼エチレンオキシド、プロピレンオキシド、アリルグリシジルエーテルなどの如きエポキシ化合物類などをハロゲン官能基と反応させる方法が具体例に挙げられる。特に▲1▼と▲3▼を組み合わせたアルコール類およびフェノール類とオルトギ酸エステル類とからなる反応系、▲1▼と▲4▼を組み合わせたアルコール類およびフェノール類とエポキシ化合物類とからなる反応系を使用すれば容易に反応を行うことができ好ましい結果が得られる。同様にアシルオキシ基に変換する方法としては、▲1▼酢酸およびプロピオン酸の如きカルボン酸類、▲2▼無水酢酸のような酸無水物、▲3▼カルボン酸類のナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩;等をハロゲン官能基と反応させる方法が具体的に挙げられる。同様にアミノオキシ基に変換する方法としては、▲1▼N,N−ジメチルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−メチルフェニルヒドロキシルアミン及びN−ヒドロキシルピロリジンのようなヒドロキシルアミン類、▲2▼ヒドロキシルアミン類のナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩;等をハロゲン官能基と反応させる方法が具体的に挙げられる。同様にアミド基に変換する方法としては、▲1▼ N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N−メチルフェニルアミン及びピロリジンの如き1級および2級アミン類、▲2▼1級及び2級アミン類のナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩;等をハロゲン官能基と反応させる方法が具体的に挙げられる。同様に酸アミドに変換する方法としては、▲1▼アセトアミド、ホルムアミド及びプロピオンアミドの如き窒素原子上に少なくとも1個の水素原子を有する酸アミド類、▲2▼該酸アミド類のナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩;等をハロゲン官能基と反応させる方法が具体的に挙げられる。;アセトキシム、メチルエチルケトキシムの如きケトキシム類;N−オクチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタンの如きメルカプタン類とオルトギ酸エステル類又はエポキシ化合物類とを組み合わせた反応系を使用すれば、それぞれケトキシメート基およびメルカプト基に一部変換させることができ、他の部分はオルトギ酸エステル又はエポキシ化合物から誘導されるアルコキシル基に変換させることができる。上述した如くハロゲン官能基の場合だけ、他の加水分解性官能基に変換するのではなく、種々の加水分解性官能基を別の加水分解性官能基に変換し使用することも可能である。
【0044】
本発明に用いる(II)成分である、分子鎖が実質的に1種または2種以上のアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキル単量体単位からなる共重合体(以下、共重合体(II)という)におけるアクリル酸アルキルエステル単量体単位としては、従来公知のものが広く使用でき、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ミリスチル、アクリル酸セチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、アクリル酸ビフェニル等を挙げることができる。またメタクリル酸エステル単量体単位としては、従来公知のものが広く使用でき、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ミリスチル、メタクリル酸セチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ビフェニル等を挙げることができる。
【0045】
共重合体(II)の分子鎖は、実質的に1種または2種以上のアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキル単量体単位からなるが、ここでいう実質的に上記の単量体単位からなるとは、共重合体(II)中に存在するのアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキル単量体単位の割合が50%をこえることを意味し、好ましくは70%以上である。
【0046】
また、これらの単量体の組み合わせの中では、相溶性、安定性の点から、分子鎖が実質的に(a)炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位と(b)炭素数10以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位からなる共重合体(以下共重合体(II)−aという)が好ましい。この共重合体における単量体単位(a)である炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単位は、一般式(8):
CH2=C(R5)COOR6 (8)
(式中R5は水素原子またはメチル基、R6は炭素数1から8のアルキル基を示す)で表される。
【0047】
前記一般式(8)のR6としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2ーエチルヘキシル基などの炭素数1〜8、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2のアルキル基を挙げることができる。なお一般式(8)で表されるモノマーは1種類でもよく、2種以上用いてもよい。
【0048】
また、単量体単位(b)である炭素数10以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単位は、一般式(9):
CH2=C(R5)COOR7 (9)
(式中R5は前記に同じ。R7は炭素数10以上のアルキル基を示す)で表される。
【0049】
前記一般式(9)のR7としては、たとえばラウリル基、トリデシル基、セチル基、ステアリル基、炭素数22のアルキル基、ビフェニル基などの炭素数10以上、通常は10〜30、好ましくは10〜20の長鎖アルキル基が挙げられる。なお一般式(9)で示されるモノマーは1種類でもよく、例えば炭素数12と13との混合物のように、2種以上混合した基であってもよい。
【0050】
共重合体(II)−aの分子鎖は実質的に(a)および(b)の単量体単位からなるが、ここでいう実質的に(a)および(b)の単量体単位からなるとは、共重合体(II)−a中に存在する(a)および(b)の単量体単位の割合が50%をこえることを意味し、好ましくは70%以上である。(a)および(b)の単量体単位の割合が50%未満になるとポリエーテルオリゴマー(I)と共重合体(II)−aの相溶性が低下し、白濁する傾向が生じるとともに接着特性も低下しがちになる。
【0051】
また(a)の単量体単位と(b)の単量体単位の割合は、重量比で95:5〜40:60が好ましく、90:10〜60:40がさらに好ましい。前記割合が95:5より大きくなると相溶性が低下し、40:60より小さくなるとコスト的に不利になりがちになる。
【0052】
共重合体(II)にはアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキル単量体単位の外に、これらと共重合性を有する単量体単位が含有されていてもよい。たとえばアクリル酸、メタクリル酸等のアクリル酸;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含む単量体;その他アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に起因する単量体単位などがあげられる。
【0053】
共重合体(II)は、コンタクト接着性の点から軟化点が比較的高いものが望ましく、0℃以上、より好ましくは20℃以上の軟化点を有するものがよい。軟化点が低い共重合体(II)を使用する場合は、コンタクト接着性を改善する目的で粘着付与樹脂を使用することも可能である。
【0054】
共重合体(II)成分の分子量には特に制限はないが、GPCにおけるポリスチレン換算での数平均分子量が500から100,000であるものが好ましい。さらには1,000〜10,000のものが取り扱いの容易さなどの点から好ましい。
【0055】
共重合体(II)は、通常のビニル重合の方法によって得ることができる。たとえば、ラジカル反応による溶液重合法や塊重合法などによって重合させることで得ることができるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。反応は、通常前記単量体およびラジカル開始剤や連鎖移動剤、溶剤などを加えて50〜150℃で反応させることにより行われる。
【0056】
前記ラジカル開始剤の例としては、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイドなど、連鎖移動剤の例としては、n−ドデシルメルカプタン,t−ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタンなどのメルカプタン類や含ハロゲン化合物などがあげられる。溶剤としては、たとえばエーテル類、炭化水素類、エステル類のごとき非反応性の溶剤を使用するのが好ましい。
【0057】
共重合体(II)には、コンタクト接着性、最終接着強度の点から、シロキサン結合を形成することによって架橋しうるケイ素含有基(以下、反応性ケイ素基という)を有していることが好ましい。
【0058】
共重合体(II)に反応性ケイ素基を導入する方法には種々の方法があるが、たとえば、(A)重合性不飽和結合と反応性ケイ素基を有する化合物を、単量体(a)および(b)とともに共重合させる方法、(B)重合性不飽和結合と反応性官能基(以下Y基という)を有する化合物(たとえばアクリル酸)を単量体(a)および(b)とともに共重合させ、そののち生成した共重合体を反応性ケイ素基およびY基と反応しうる官能基(以下Y’基という)を有する化合物(たとえばイソシアネート基と−Si(OCH3)3基を有する化合物)と反応させる方法、(C)連鎖移動剤として反応性ケイ素基を含有するメルカプタンの存在下、単量体(a)および(b)を共重合させる方法、(D)反応性ケイ素基を含有するアゾビスニトリル化合物やジスルフィド化合物を開始剤として単量体(a)および(b)を共重合させる方法、(E)リビングラジカル重合法によって単量体(a)および(b)を重合させ、分子末端に反応性ケイ素基を導入する方法、などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、(A)〜(E)の方法を各々任意に組み合わせることも可能である。例えば、(A)と(C)の組み合わせとして、連鎖移動剤として反応性ケイ素基を含有するメルカプタンの存在下、重合性不飽和結合と反応性ケイ素基を有する化合物を、単量体(a)および(b)ともに共重合させる方法をとることも可能である。
【0059】
(A)記載の重合性不飽和結合と反応性ケイ素基を有する化合物は、一般式(10):
CH2=C(R5)COOR8−[Si(R3 2-b)(Xb)O]mSi(R4 3-a)Xa (10)
(式中R5は前記に同じ。R8は炭素数1〜6の2価のアルキレン基を示す。R3,R4,X,a,b,mは前記と同じ。)または一般式(11):
CH2=C(R5)−[Si(R3 2-b)(Xb)O]mSi(R4 3-a)Xa(11)
(式中R3,R4,R5,X,a,b,mは前記と同じ。)で表される。
【0060】
前記一般式(10)のR8としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基などの炭素数1〜6、好ましくは1〜4を挙げることができる。
【0061】
また、式(10)または(11)における加水分解性基Xの具体例としては、たとえばハロゲン原子、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等があげられる。これらのうちでも加水分解性の緩やかさの点からメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基が好ましい。なお一般式(10)または(11)で表されるモノマーは1種類でもよく、2種以上用いてもよい。
【0062】
一般式(10)または(11)で表される、重合性不飽和結合と反応性ケイ素基を有する化合物としては、たとえば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のγ−メタクリロキシプロピルアルキルポリアルコキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のγ−アクリロキシプロピルアルキルポリアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルアルキルポリアルコキシシランなどがあげられる。
【0063】
(B)記載のY基およびY’基の例としては、種々の基の組み合わせがあるが、例えば、Y基としてアミノ基、水酸基、カルボン酸基を、Y’基としてイソシアネート基をあげることができる。また別の一例として、特開昭54−36395号公報や特開平01−272654号公報、特開平02−214759号公報に記載されているように、Y基としてはアリル基、Y’基としては水素化ケイ素基(H−Si)をあげることができる。この場合、VIII族遷移金属の存在下で、ヒドロシリル化反応によりY基とY’基は結合しうる。
【0064】
(C)記載の連鎖移動剤として使用する反応性ケイ素基を含有するメルカプタンとしては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等をあげることができる。また、特開昭59−78222号公報に記載されているように、単量体(a)および(b)を、2官能ラジカル重合性化合物および連鎖移動剤としてアルコキシシリル基を含有するメルカプタンの存在下で共重合させる方法も可能である。
【0065】
(D)記載の、反応性ケイ素基を含有するアゾビスニトリル化合物やジスルフィド化合物としては、特開昭60−23405号公報、特開昭62−70405号公報等に記載されている、アルコキシシリル基を含有するアゾビスニトリル化合物やアルコキシシリル基を含有するジスルフィド化合物を例としてあげることができる。
【0066】
(E)記載の方法としては、特開平09−272714号公報などに記載されている方法をあげることができる。
【0067】
その他に、特開昭59−168014号公報、特開昭60−228516号公報などに記載されている、反応性ケイ素基をもつメルカプタンと反応性ケイ素基をもつラジカル重合開始剤を併用する方法もあげることができる。
【0068】
共重合体(II)に含有される反応性ケイ素基の数は、特に限定されるものではないが、接着力への効果、コストの点から、共重合体(II)一分子中に平均0.1個以上2.0個以下、さらに好ましくは0.5個以上1.5個以下がよい。
【0069】
本発明の組成物におけるポリエーテルオリゴマー(I)と共重合体(II)との使用割合は、共重合体(II)の量がポリエーテルオリゴマー(I)100重量部に対して10〜200重量部の範囲が特性改善の効果の点から好ましく、更に好ましくは20〜160重量部の範囲であり、通常、目的とする用途、性能に応じて選択される。
【0070】
本発明に用いる(III)成分である、硬化促進剤は特に限定はなく、通常使用される反応性ケイ素基の反応を促進するシラノール縮合用触媒が用いられる。この様な硬化促進剤の具体例としては、たとえば有機すず化合物、有機チタネート化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、アミン化合物、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルとアミン化合物との反応物、飽和または不飽和の多価カルボン酸またはその酸無水物、カルボン酸化合物とアミン化合物との塩などの反応物、オクチル酸鉛などがあげられる。前記すず化合物としては、ジブチルすずジラウレート、ジブチルすずマレエート、ジブチルすずジアセテート、ジオクチルすずマレエート、ジブチルすずフタレート、オクチル酸すず、ナフテン酸すず、ステアリン酸すず、バーサチック酸すず、ジブチルすずオキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジブチルすずジアセチルアセトナート等のキレート化合物、ジブチルすすオキサイドなどがあげられる。前記有機チタネート化合物としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、トリエタノールアミンチタネートなどのチタン酸エステル、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物などがあげられる。前記有機アルミニウム化合物としては、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等があげられる。前記ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムテトライソプロポキサイド、ジルコニウムテトラブトキサイド、ジルコニウムテトラアセチルアセトナートなどがあげられる。前記アミン化合物としては、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等があげられる。またこれらのアミン化合物とカルボン酸等との塩も用いることができる。また、過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂や過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物等が例示される。この他に、オクチル酸鉛等の有機鉛化合物、ナフテン酸鉄等の有機鉄化合物、有機バナジウム化合物、ビスマス−トリス(2−エチルヘキソエート)、ビスマス−トリス(ネオデカノエート)等のビスマス塩と有機カルボン酸または有機アミンとの反応物等も例示される。これらの硬化促進剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。これらのシラノール縮合触媒のうち、有機金属化合物類、または有機金属化合物類とアミン系化合物の併用系が硬化性の点から好ましい。
【0071】
これらの硬化促進剤の使用量は、通常、目的とする用途、性能に応じて選択すればよいが、ポリエーテルオリゴマー(I)成分と共重合体(II)成分との合計量100重量部に対し、0.1〜20部が好ましく、さらにはコストの点から0.5〜10部がより好ましい。
【0072】
本発明の硬化性樹脂組成物を用いたコンタクト型接着剤には、有効成分である(I)成分、(II)成分、(III)成分以外に、さらに粘着付与樹脂、充填剤、可塑剤、顔料、接着付与剤、シリコン化合物、紫外線吸収剤、老化防止剤、光安定剤、溶剤などを必要に応じて添加することができる。
【0073】
充填剤としては、公知の充填剤が使用可能であり、たとえば重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、クレー、ベントナイト、有機ベントナイト、シリカ、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、カーボンブラック、ガラスバルーン等が挙げられる。これらの充填剤は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0074】
可塑剤としては公知の可塑剤が使用でき、たとえばジオクチルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル類、脂肪族カルボン酸エステル類、非芳香族2塩基酸エステル類、グリコールエステル類、リン酸エステル類等が挙げられ、比較的高分子量タイプの可塑剤としては、例えば2塩基酸と2価アルコールとのポリエステル類、ポリプロピレングリコールやその誘導体、ポリスチレン類、パラフィン、塩素化パラフィン、エポキシ化大豆油等が挙げられる。これら可塑剤は単独もしくは混合して使用できる。
【0075】
また、接着性、硬化性、貯蔵安定性の改良のために、種々のアミノシラン、エポキシシラン等のシリコン化合物を添加することができる。たとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、 N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1,3−ジアミノイソプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが例示されるが、特にこれらに限定されるものではない。これらのシリコン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0076】
溶剤としては、たとえば炭化水素類、酢酸エステル類、アルコール類、エーテル類、ケトン類のごとき非反応性のものが挙げられるが、このような溶剤であれば特に限定はない。
【0077】
(I)成分、(II)成分、(III)成分を含有する本発明の硬化性樹脂組成物を用いたコンタクト型接着剤の製造法は特に限定されず、例えば(I)成分、(II)成分、(III)成分を配合し、ミキサー、ロール又はニーダー等を用いて常温下又は加熱下で混練したり、適当な溶剤を少量使用して上記成分を溶解させ、混合したりする等の通常の方法が採用されうる。
【0078】
また、これら成分を適当に組み合わせることにより、一液型、二液型いずれの形態で使用してもよく、場合によっては三液以上の形態で使用してもよい。接着剤の塗布方法にも特に限定はなく、へら、ロール、スプレーなどの通常の方法で塗布することが可能である。また、接着剤を保存する容器(チューブ、カートリッジなど)から直接塗布することも可能である。
【0079】
接着方法としては、まず接着剤を塗布した後一定時間空気中に放置すると、空気中の湿気により接着剤の硬化が進行し、接着剤層にタックが発現する。この際、タックの発現を促進させるために、加熱、加湿を行なうことも可能である。接着剤層のタックが発現している間に、被着体の接着を行なう。
【0080】
【実施例】
本発明をより一層明らかにするために、以下具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例1)
ポリプロピレングリコールを開始剤とし亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、末端基分析による平均分子量10,000のポリオキシプロピレングリコールを得た。続いてこの水酸基末端ポリエーテルオリゴマーの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、さらに3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを添加して末端の水酸基をメタリル基に変換した。次に得られたオリゴマー500gに対しヘキサン10gを加えて90℃で共沸脱水を行い、ヘキサンを減圧下留去した後、8%O2/N2で容器内を置換した。これに対して硫黄(1重量%のトルエン溶液)25μl、白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のキシレン溶液)56μlを加え、撹拌しながら、DMS(ジメトキシメチルシラン)24.2gをゆっくりと滴下した。90℃で5時間反応させた後、未反応のDMSを減圧下留去し反応性ケイ素基含有ポリオキシプロピレン重合体を得た。得られた重合体の1H−NMR分析より、末端への反応性ケイ素基導入率は98%であることを確認した(ポリマーA)。得られたポリマーAの数平均分子量は約10,000であった。
(合成例2)
ポリプロピレングリコールを開始剤とし亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、末端基分析による平均分子量20,000のポリオキシプロピレングリコールを得た。続いてこの水酸基末端ポリエーテルオリゴマーの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、さらに3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを添加して末端の水酸基をメタリル基に変換した。次に得られたオリゴマー500gに対しヘキサン10gを加えて90℃で共沸脱水を行い、ヘキサンを減圧下留去した後、8%O2/N2で容器内を置換した。これに対して硫黄(1重量%のトルエン溶液)24μl、白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のキシレン溶液)54μlを加え、撹拌しながら、DMS(ジメトキシメチルシラン)11.5gをゆっくりと滴下した。90℃で10時間反応させた後、未反応のDMSを減圧下留去し反応性ケイ素基含有ポリオキシプロピレン重合体を得た。得られた重合体の1H−NMR分析より、末端への反応性ケイ素基導入率は98%であることを確認した(ポリマーB)。得られたポリマーBの数平均分子量は約20,000であった。
(比較合成例1)
ポリプロピレングリコールを開始剤とし亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、末端基分析による平均分子量10,000のポリオキシプロピレングリコールを得た。続いてこの水酸基末端ポリエーテルオリゴマーの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、さらに3−クロロ−1−プロペンを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。次に得られたオリゴマー500gに対しヘキサン10gを加えて90℃で共沸脱水を行い、ヘキサンを減圧下留去した後、窒素置換した。これに対して白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のキシレン溶液)30μlを加え、撹拌しながら、DMS(ジメトキシメチルシラン)9.0gをゆっくりと滴下した。その混合溶液を90℃で2時間反応させた後、未反応のDMSを減圧下留去し反応性ケイ素基含有ポリオキシプロピレン重合体を得た。得られた重合体の1H−NMR分析より、末端への反応性ケイ素基導入率は82%であることを確認した(ポリマーC)。得られたポリマーCの数平均分子量は約10,000であった。
(比較合成例2)
ポリプロピレングリコールを開始剤とし亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、末端基分析による平均分子量10,000のポリオキシプロピレングリコールを得た。続いてこの水酸基末端ポリエーテルオリゴマーの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、さらに3−クロロ−1−プロペンを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。次に得られたオリゴマー500gに対しヘキサン10gを加えて90℃で共沸脱水を行い、ヘキサンを減圧下留去した後、窒素置換した。これに対して白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のキシレン溶液)30μlを加え、撹拌しながら、DMS(ジメトキシメチルシラン)6.5gをゆっくりと滴下した。その混合溶液を90℃で2時間反応させた後、未反応のDMSを減圧下留去し反応性ケイ素基含有ポリオキシプロピレン重合体を得た。得られた重合体の1H−NMR分析より、末端への反応性ケイ素基導入率は65%であることを確認した(ポリマーD)。得られたポリマーDの数平均分子量は約10,000であった。
【0081】
(合成例3)110℃に加熱したトルエン43g中にアクリル酸ブチル28g、メタクリル酸メチル46g、メタクリル酸ステアリル20g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン4.4gおよびトルエン23g混合物に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2.0gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行ない、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が8,500の共重合体を得た(ポリマーE)。
(合成例4)110℃に加熱したトルエン43g中にアクリル酸ブチル6.0g、メタクリル酸メチル66g、メタクリル酸ステアリル13g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン5.4g、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン7.0gおよびトルエン23g混合物に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2.6gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行ない、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が2,200の共重合体を得た(ポリマーF)。
(合成例5)110℃に加熱したトルエン43g中にアクリル酸ブチル32g、メタクリル酸メチル62g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン4.4gおよびトルエン23g混合物に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2.0gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行ない、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が8,400の共重合体を得た(ポリマーG)。
(実施例1)合成例1で得られた反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー(ポリマーA)と合成例3で得られた共重合体(ポリマーE)とを固形分比(重量比)60/40でブレンドし、エバポレーターを用い、減圧下、110℃加熱条件で脱揮を行ない、固形分濃度99%以上の透明で粘稠な液体を得た。この液体100重量部に表面処理膠質炭酸カルシウム(平均粒径:0.08μm、商品名:白艶華CCR、白石工業社製)50重量部、シリコン化合物としてビニルトリメトキシシラン(商品名:A−171、日本ユニカー製)3重量部、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:A−1122、日本ユニカー製)2重量部、ジブチルすずジアセチルアセトナート(商品名:U−220、日東化成製)2重量部を添加し、均一に混合して、本発明の硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例2)反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーとして合成例1で得られたポリエーテルオリゴマー(ポリマーA)と、共重合体として合成例4で得られた共重合体(ポリマーF)を使用する以外は、実施例1と同様にして本発明の硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例3)反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーとして合成例2で得られたポリエーテルオリゴマー(ポリマーB)と、共重合体として合成例3で得られた共重合体(ポリマーE)を使用する以外は、実施例1と同様にして本発明の硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例4)反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーとして合成例1で得られたポリエーテルオリゴマー(ポリマーA)と、共重合体として合成例5で得られた共重合体(ポリマーG)を使用する以外は、実施例1と同様にして本発明の硬化性樹脂組成物を得た。ポリマーAとポリマーGとをブレンドし、減圧下、110℃加熱条件で脱揮を行なったものは、白濁した粘稠な液体であった。
(比較例1)反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーとして比較合成例1で得られたポリエーテルオリゴマー(ポリマーC)と、共重合体として合成例3で得られた共重合体(ポリマーE)を使用する以外は、実施例1と同様にして本発明の硬化性樹脂組成物を得た。
(比較例2)反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーとして比較合成例1で得られたポリエーテルオリゴマー(ポリマーC)と、共重合体として合成例4で得られた共重合体(ポリマーF)を使用する以外は、実施例1と同様にして本発明の硬化性樹脂組成物を得た。
(比較例3)反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーとして比較合成例2で得られたポリエーテルオリゴマー(ポリマーD)と、共重合体として合成例3で得られた共重合体(ポリマーE)を使用する以外は、実施例1と同様にして本発明の硬化性樹脂組成物を得た。
(比較例4)反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーとして比較合成例1で得られたポリエーテルオリゴマー(ポリマーC)と、共重合体として合成例5で得られた共重合体(ポリマーG)を使用する以外は、実施例1と同様にして本発明の硬化性樹脂組成物を得た。ポリマーCとポリマーGとをブレンドし、減圧下、110℃加熱条件で脱揮を行なったものは、白濁した粘稠な液体であった。
【0082】
硬化物の物性測定は次のようにして行った。
(1)タック発現時間・強度
実施例1,2,3,4及び比較例1,2,3,4で作成したコンタクト接着剤を、アルミ基材上に塗布して薄くのばし、23℃相対湿度50%の条件下で、タックの発現開始時間、強度および発現時間(タックが発現してから消失するまでの時間)を指蝕で測定した。タックの強度については下記の基準で評価した。
タックの強度 比較例1の硬化性樹脂組成物と比べ ◎:かなり強い、○:ほぼ同じ、△:弱い
(2)剪断接着強度
引張剪断接着強度測定用に、JISK6850に基づき、JISH4000のアルミニウム板A−1050P(100×25×2mmの試験片)を用い、上記の各硬化性樹脂組成物をへらで薄く塗布し、5分後に試験片を貼り合わせ、手で圧着し、試験サンプルを作成した。このサンプルを23℃で2日間、さらに50℃で3日間の硬化養生を行なった後引張試験を行なった。
(3)剥離接着強度
T形剥離接着強度測定用に、JISK6854に基づき、JISH4000のアルミニウム板A−1050P(200×25×0.1mmの試験片)を用い、上記の各硬化性樹脂組成物をへらで薄く塗布し、5分後に試験片を貼り合わせ、ハンドローラーで圧着し、試験サンプルを作成した。このサンプルを23℃で2日間、さらに50℃で3日間の硬化養生を行なった後引張試験を行なった。
【0083】
測定結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
表1より従来技術である比較例1,2,4はタック発現時間が短く、タック発現時間を長くするように調節すると、比較例3のようにタック強さと接着強度が低下することがわかる。これに対して、実施例1,2,4は従来技術と同様の物性を維持しつつ、タック発現時間を長くすることができた。実施例3では、使用する(I)成分のポリエーテルオリゴマーとして高分子量のものを使用することにより、更に物性とタック発現時間を長くすることができた。
【0085】
【発明の効果】
本発明により、最終接着強度に影響を及ぼさずに、タック発現時間の長い、コンタクト型接着剤として有用な硬化性樹脂組成物を提供できる。
Claims (7)
- (I)分子中に以下に示す一般式(1):
−O−R1−CH(R2)−CH2−(Si(R3 2−b)(Xb)O)mSi(R4 3−a)Xa (1)
(式中R1は水素、酸素、及び窒素からなる群より選択される一種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基を示し、R2はCH 3 、R3およびR4は同一または異なった炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基または(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R3またはR4が二個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR’は炭素数1から20の一価の炭化水素基であり3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが二個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1、または2をそれぞれ示す。またm個の−(Si(R3 2−b)(Xb)−O)−基におけるbについて、それらは同一であっても良く、異なっていてもよい。mは0から19の整数を示す。但し、a+Σb≧1を満足するものとする)で表される構造部分を有する反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー、(II)分子鎖が、2種以上のアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキル単量体単位からなる共重合体、及び(III)硬化促進剤を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。 - (I)成分のR1がCH2であることを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
- (I)成分が、分子中に次式で表される構造部分を有する反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーであることを特徴とする請求項1または2記載の硬化性樹脂組成物。
−O−CH2−CH(CH3)−CH2−Si(CH3)(OCH3)2 - (I)成分が、一般式(2):
−O−R1−C(CH3)=CH2 (2)
(R1は前記と同じ)で表される不飽和結合を導入したポリエーテルオリゴマーと、一般式(3):
H−(Si(R3 2−b)(Xb)O)mSi(R4 3−a)Xa (3)
(R3、R4、a、b、m、Xは前記と同じ)で表される反応性ケイ素基を有する化合物とを酸素を有する雰囲気下で、触媒、及び硫黄化合物が存在する系中で反応させる事により得られる反応性ケイ素基を有するポリエーテルオリゴマーであることを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。 - (I)成分が、次式で表される不飽和結合を導入したポリエーテルオリゴマー−O−CH2−C(CH3)=CH2と反応性ケイ素基を有する化合物H−Si(CH3)(OCH3)2とを酸素を有する雰囲気下で、触媒、及び硫黄化合物が存在する系中で反応させて得られる、以下に示す構造部分を有する反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーであることを特徴とする請求項4記載の硬化性樹脂組成物。
−O−CH2−CH(CH3)−CH2−Si(CH3)(OCH3)2 - (II)成分が、分子鎖が(a)炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位と(b)炭素数10以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位とからなる共重合体である請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- (II)成分が、シロキサン結合を形成することによって架橋しうるケイ素含有基を有する共重合体である請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
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