JP4782330B2 - 有機化合物低放散性の湿気硬化性組成物 - Google Patents

有機化合物低放散性の湿気硬化性組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用の分野】
1分子中に少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を含有する反応性組成物を塗工した後の大気中への有機化合物の放散量が少ないため、建築物の接着剤、シーリング材等に用いた場合、居住者に対する影響度が比較的軽微である室温硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物のシーリング材、接着剤として従来はシリコーン系、ポリウレタン系、ポリサルファイド系、エポキシ系、変成シリコーン系、溶剤系クロロプレン系、溶剤系酢酸ビニル系等に種々の反応性重合体または非反応性重合体が使用されている。
【0003】
近年、建築物の主として内部に使用する壁装材、床材、天井材等部材のシールおよび接着接合においては、シックハウスの観点から居住者の健康への配慮のため室内空気への有機物の放散量の少ないことが、より求められるようになってきた。また建築物に内部に設置する家具、空調設備、テレビ等の家電製品についても同様の要求がある。
建築物に使用する接着剤のシーリング材に用いられる重合体や添加剤に含有される有機溶剤や液状物は、作業性を確保するために好ましいものであるが、それらの従来の製品は室内空気に揮発し放散されやすい性質を有している。放散量の一部はこのような溶剤や低沸点添加剤由来と推定されているが、これらを除くと作業性、保存安定性、接着性等が大きく低下する傾向がある。また、溶剤に溶解せしめた接着剤、シーリング材であって施工後、単に溶剤が揮発し残存した非反応性重合体が固着する組成物の場合は製品中の溶剤を無くすことは作業が全くできないことを意味する。
【0004】
さらに溶剤や低沸点添加物を除去して高沸点の添加物を使用しても、放散量が減少しない場合があるといわれている。
1分子中に少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を含有しない他の湿気硬化性組成物の放散量を請求項記載のGEV法にて測定した結果、高い放散量を有することが判った。
【0005】
1分子中に少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を含有するオキシアルキレン重合体(A)、1分子中に少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を含有するアクリル系重合体(B)または1分子中に少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を含有するポリイソブチレン重合体(C)からなる群から選択される少なくとも1種から成りかつ溶剤を添加しない反応性組成物(D)は既に知られている。しかし、単に溶剤の添加有無だけでは放散量は規定されず、シックハウスの観点から全有機化合物または特定の有機化合物の大気への放散量を意図的に削減せしめた反応性組成物は知られていなかった。
【0006】
水系組成物を同用途向けに使用することは過去から実施されているが、乾燥が遅いという致命的欠点とともに、場合によっては商業的に必要な作業性改善のために添加した有機物助剤が放散するケースもある。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は1分子中に少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を含有する反応性組成物であって、良好な性能と室内空気への有機化合物の放散量が少ないことを併有する組成物を提供することにある。
【0008】
有機化合物の放散量とはいわゆるTVOC(トータル・ボラタイル・オーガニック・コンパウンド;全揮発性有機化合物)といわれるものであり、建築物の室内に放散されることにより居住者への健康に対し一定の影響を及ぼすものと言われている。このような建築物の室内TVOCの測定法はいくつかすでに提案されており、また現在でも測定法そのものの検討が鋭意なされている状況である。既知の測定法として知られている方法のひとつが、ドイツの床接着剤からの放散量の測定に係る団体であるGEV(ゲマインシャフト・エミッションコントリールテ・フェリーゲヴェルクシュトッフェ・エー・ヴェー)の定めるGEVスペシフィケーション・アンド・クラシフィケーション・クライテリア2001年2月14日版に記載の測定法である。
【0009】
GEV法の概略は容積100リッター以上のチャンバーに試料塗工量0.4M2/M3で試験片を投入し、23℃相対湿度50%の条件下で、新鮮な空気で換気を0.5回/HRで行うものである。放散量の測定は、投入後10日目の2時間分のチャンバー排気をすべて吸着管で捕集し、その後脱着させて、ガスクロマトグラフィーと質量分析機で同定と定量を行うものである。同定のレベルは5段階のカテゴリーに分類されており、トルエン換算で定量をする場合、同定をしない場合等が定められている。脱着量をチャンバー容積M3あたりにした値(μg/M3)でTVOCを表す。10日目に測定するのは、10日以前に揮散するものは施行時から居住開始までに放散しうるものであり居住者への影響は少ないと考え、10日以降のものは10日目の放散量で代表しうると設定されたものと思われる。どの沸点範囲の溶剤の放散量が少ないと居住者にとって好ましいのかは一概に言えないと考えられる。
【0010】
GEVのTVOC表示のランクは3段階に別れており、500μg/M3以下をEMICODE EC−1;Very Low Emission(エミコード イーシー1;非常に低放散量)、500〜1,500μg/M3をEMICODE EC−2;Low Emission(エミコード イーシー2;低放散量)、1500μg/M3以上をEMICODE EC−3;Not Low Emission(エミコード イーシー3;低放散量ではない)の3ランクである。
【0011】
また発ガン性(または疑いのある物質)としてGEV法は7種の化合物(ベンゼン、アクリルアミド、アクリロニトリル、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、酢酸ビニル、1,4ジオキサン)を指定し、1日目の2時間捕集量をもって測定している。
【0012】
平成13年7月の段階で日本の厚生労働省は室内空気への放散量を規制すべき対象物質として11物質を定めている。例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、パラジクロロベンゼン、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−ブチル等である。
【0013】
従来技術による組成物は、高分子量ポリマーの場合や比較的低分子量であっても分子間の凝集力が高い場合は作業性の確保のため溶剤や流動性改質剤の添加が必須であり、その寄与も一部あると推定されるが、予想外に高い放散量となることがGEV放散量の測定結果で初めて明らかになった。本発明の解決すべき課題はGEV法によるTVOCがエミコード EC−1を満足し、かつ厚生労働省が指針値を策定した物質を放散量中に非検出となる湿気硬化性組成物を得ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
1分子中に少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を含有するオキシアルキレン重合体(A)、1分子中に少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を含有するアクリル系重合体(B)または1分子中に少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を含有するポリイソブチレン重合体(C)からなる群から選択される少なくとも1種を必須成分とする反応性組成物(D)は、従来技術では困難であった低放散量で良好な性能とすることが可能となった。オキシアルキレン重合体(A)がエポキシ樹脂(E)を含有するする場合も従来技術では困難であった低放散量を得られた。
【0015】
本発明の係る分子中に少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を含有するオキシアルキレン重合体(A)は1分子中に少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を含有し、本発明でいう加水分解性ケイ素基は特に限定されるものではないが、代表的なものを示すと、例えば下記一般式(1)で表わされる基が挙げられる。
−(−Si(R1 2-b)Xb−O−)m−Si(R2 3-a)Xa ……(1)
式中、R1およびR2は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または(R′)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、3個のR′は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1または2をそれぞれ示す。また、m個の一般式(2)
−Si(R1 2-b)Xb−O− ……(2)
におけるbは異なっていてもよい。mは0〜19の整数を示す。但し、a+Σb≧1を満足するものとする。
【0016】
上記Xで示される加水分解性基は特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基が好ましいが、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点からアルコキシ基またはアルケニルオキシ基が好ましい。また(a+Σb)は1〜5であるのが好ましい。加水分解性ケイ素基としては、ジメチルモノメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジイソプロペニルオキシシリル基およびトリイソプロペニルオキシシリル基からなる群から選択される少なくとも1種が加水分解性活性の高い点と分解性が穏やかで取扱いやすい点とを勘案すると更に好ましい。
【0017】
反応性ケイ素基はオキシアルキレン重合体1分子中に少なくとも1個、好ましくは1.1〜5個存在するのがよい。重合体1分子中に含まれる反応性ケイ素基の数が1個未満になると、硬化性が不充分になり、良好なゴム弾性挙動を発現しにくくなる。反応性ケイ素基はオキシアルキレン重合体分子鎖の末端に存在してもよく、内部に存在してもよい。反応性ケイ素基が分子鎖の末端に存在すると、最終的に形成される硬化物に含まれるオキシアルキレン重合体成分の有効網目鎖量が多くなるため、高強度、高伸びで、低弾性率を示すゴム状硬化物が得られやすくなる。
【0018】
本発明の(A)成分の重合主鎖を構成するオキシアルキレ重合体は一般式(3)に示す構造のもの使用できる。
−R3−O− ……(3)
(式中、R3は炭素数1〜4の2価のアルキレン基)
入手容易の点からは、一般式(4):
−CH(CH3)CH2−O− ……(4)
で示される繰り返し単位を含有するオキシプロピレン重合体が好ましい。このオキシプロピレン重合体は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、あるいは、これらの混合物であってもよい。また、他の単量体単位等が含まれていてもよいが、一般式(4)に表わされる単量体単位が、重合体中に50重量%以上、好ましくは80重量%以上存在することが好ましい。
【0019】
本発明における高分子量で分子量分布が狭く(ゲル浸透クロマトグラフィによるMw/Mnが小さく)官能基を有するオキシアルキレン重合体は、オキシアルキレンの通常の重合法(苛性アルカリを用いるアニオン重合法)やこの重合体を原料とした鎖延長反応方法によって得ることは極めて困難であるが、特殊な重合法であるセシウム金属触媒、特開昭61−197631号、特開昭61−215622号、特開昭61−215623号、特開昭61−218632号に例示されるポルフィリン/アルミ錯体触媒、特公昭46−27250号及び特公昭59−15336号等に例示される複合金属シアン化錯体触媒、特開平10−273512に例示されるポリフォスファゼン塩からなる触媒を用いた方法等により得ることができる。実用上、複合金属シアン化錯体触媒を用いる方法が好ましい。なお、反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の分子量分布は、対応する反応性ケイ素基導入前の重合体の分子量分布に依存するため、導入前の重合体の分子量分布はできるだけ狭いことが好ましい。
【0020】
反応性ケイ素基の導入は公知の方法で行なえばよい。すなわち、例えば、以下の方法が挙げられる。例えば複合金属シアン化錯体触媒を用いて得られるオキシアルキレン重合体の場合は特開平3−72527に、ポリフォスファゼン塩と活性水素を触媒として得られるオキシアルキレン重合体の場合は特開平11−60723に記載されている。
【0021】
(1)末端に水酸基等の官能基を有するオキシアルキレン重合体と、この官能基に対して反応性を示す活性基及び不飽和基を有する有機化合物を反応させるか、もしくは不飽和基含有エポキシ化合物との共重合により、不飽和基含有オキシアルキレン重合体を得る。次いで、得られた反応生成物に反応性ケイ素基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する。
【0022】
(2)(1)法と同様にして得られた不飽和基含有オキシアルキレン重合体にメルカプト基及び反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる。
【0023】
(3)末端に水酸基、エポキシ基やイソシアネート基等の官能基(以下、Y官能基という)を有するオキシアルキレン重合体に、このY官能基に対して反応性を示す官能基(以下、Y′官能基という)及び反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる。
【0024】
このY′官能基を有するケイ素化合物としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロペニルオキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジイソプロペニルオキシシランなどのようなアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどのようなメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのようなエポキシシラン類;γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジイソプロペニルオキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロペニルオキシシランなどのようなビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどのような塩素原子含有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルジメチルメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのようなイソシアネート含有シラン類;ジメチルメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジイソプロペニルオキシシラン、トリイソプロペニルオキシシランなどのようなハイドロシラン類などが具体的に例示されうるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
1分子中に少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を含有するアクリル系重合体(B)の製法としては、ラジカル共重合法、リビング重合法が使用できるがこれに限定されるものではない。重合においては、単量体を通常の溶液重合法や塊重合法などにより重合させることにより得られる。
【0026】
一般的なラジカル重合法の例としては、特開昭59−168014号、特開昭54−123192号、特開昭63−112642号等が例示される。
【0027】
リビング重合法としては特開平11−080249、特開平11−005815、特開平11−116617、、特開平11−080571、特開平11−080570、特開平11−130931、特開平11−116763、特開平9−272714号、特開平9−272715号等が例示される。
【0028】
アクリル系重合体(B)に用いられる(メタ)アクリル酸エステル単量体は一般式(5)で示される単量体が好ましい。
CH2=C(R4)COOR5……(5)
式中、R4は水素原子またはメチル基、R5は置換または非置換の1価の炭化水素基を示す。
【0029】
前記一般式(5)中のR5としては、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基などの炭素数1〜8のアルキル基;ラウリル基、トリデジル基、セチル基、ステアリル基、炭素数22のアルキル基、ベヘニル基などの炭素数10以上のアルキル基;グリシジル基、アミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などの置換炭化水素基をあげることができる。これらの中ではR5としてメチル基やn−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ステアリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体が好ましい。
【0030】
これらは単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。2種以上の(メタ)アクリル酸エステル単量体の混合例としては、炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体との組み合わせが、加水分解性ケイ素基を含有するオキシアルキレン重合体(A)との混合物の透明性の点から好ましい。また、炭素数1〜6のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と炭素数8〜10のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体との組み合わせが、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の取り扱いやすさ及び加水分解性ケイ素基を含有するオキシアルキレン重合体(A)との相溶性の点から好ましい。また別の組み合わせとして、炭素数1〜2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と炭素数4以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体との組み合わせが、経済性の点から好ましい。本アクリル重合体(B)中には(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の単量体に起因する単位が含まれていてもよいが、本アクリル系重合体(B)中の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に起因する単位の量は50重量%以上、さらには70重量%以上が好ましい。
【0031】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体以外の単量体としては例えばアクリル酸、メタクリル酸などのカルボン酸基含有単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどのアミド基、グリシジルアクリレ−ト、グリシジルメタクリレ−トなどのエポキシ基、ジエチルアミノエチルアクリレ−ト、ジエチルアミノエチルメタクリレ−ト、アミノエチルビニルエ−テルなどのアミノ基を含む単量体;その他アクリロニトリル、イミノールメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレンなどのなどの単量体があげられる。
【0032】
1分子中に少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を含有するアクリル系重合体(B)は、数平均分子量で500〜100,000のものが取扱いの容易さの点から好ましい。
【0033】
本アクリル系重合体(B)にいう加水分解性ケイ素基は前述の一般式(1)と同一のものを用いることができる。経済性などの点から好ましい加水分解性ケイ素基は一般式(6)
−Si(R2 3-a)Xa……(6)
(式中、R2、X、aは前記に同じ)で表わされる基である。上記Xで示される加水分解性基は特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、ハロゲン原子、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などがあげられ加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点からアルコキシ基またはアルケニルオキシ基が好ましい。アクリル系重合体(B)にいう加水分解性ケイ素基としてはジメチルモノメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジイソプロペニルオキシシリル基およびトリイソプロペニルオキシシリル基からなる群から選択される少なくとも1種が加水分解性活性の高い点と分解性が穏やかで取扱いやすい点とを勘案すると更に好ましい。
【0034】
本アクリル重合体(B)中の加水分解性ケイ素基の個数は充分な硬化性をうる点から平均1個以上、さらには1.1個以上、とくには1.5個以上が好ましく、また見掛け上加水分解性ケイ素基1個当りの数平均分子量が300〜4000になるように存在することが好ましい。
【0035】
本アクリル系重合体(B)に加水分解性ケイ素基を導入する方法としては種々のものがあるが、たとえば(イ)重合性不飽和結合と反応性シリコン官能基を有する化合物とを、他の単量体に添加して共重合する方法、(ロ)重合性不飽和結合および反応性官能基(以下、Y基という)を有する化合物(たとえばアクリル酸)を他の単量体に添加して共重合させ、そののち生成した共重合体を反応性珪素基およびY基と反応しうる官能基(以下、Y′官能基という)を有する化合物(たとえばイソシアネート基と−Si(OCH33基を有する化合物)と反応させる方法などがあげられる。
【0036】
前記(イ)の方法で用いられる化合物の具体例としては、たとえば次の化合物があげられる。
CH2=CHSi(CH3)(OCH32、CH2=CHSi(CH3)Cl2、CH2=CHSi(OCH33、CH2=CHSiCl3、CH2=CHCOO(CH22Si(CH3)(OCH32、CH2=CHCOO(CH22Si(OCH33、CH2=CHCOO(CH22Si(CH3)Cl2、CH2=CHCOO(CH22SiCl3、CH2=C(CH3)COO(CH22Si(CH3)(OCH32、CH2=C(CH3)COO(CH22Si(OCH33、CH2=C(CH3)COO(CH23Si(CH3)(OCH32、CH2=C(CH3)COO(CH23Si(OCH33、CH2=C(CH3)COO(CH22Si(CH3)Cl2、CH2=C(CH3)COO(CH22SiCl3、CH2=CHCH2OC(O)−Ph−COO(CH23Si(CH3)(OCH32、CH2=CHCH2OC(O)−Ph−COO(CH23Si(OCH33、CH2=CHCH2OC(O)−Ph−COO(CH23Si(CH3)Cl2、CH2=CHCH2OC(O)−Ph−COO(CH23SiCl3、が挙げられる。但し、Phはパラフェニレン基を示す。
【0037】
これらのシラン化合物は種々の方法により合成されるが、たとえばアセチレン、アリルアクリレ−ト、アリルメタクリレ−ト、ジアリルフタレ−トなどとメチルジメトキシシラン、メチルジクロルシランなどとをVIII族遷移金属の触媒下で反応させることにより製造することができる。このような遷移金属錯体触媒としては、白金、ロジウム、コバルト、パラジウムおよびニッケルから選ばれたVIII族遷移金属錯体化合物が有効に使用される。とくに白金ブラック、塩化白金酸、白金アルコ−ル化合物、白金オレフィンコンプレックス、白金アルデヒドコンプレックス、白金ケトンコンプレックスなどの白金系化合物が有効である。
【0038】
(ロ)の方法で用いる化合物中、Y基およびY′基の例としては種々の基の組合わせがあるが、一例としてY基としてビニル基、Y′としてヒドロシリコン基(H−Si)をあげることができる。Y基とY′基とはヒドロシリル化反応をおこし結合しうる。Y基としてビニル基をもち、さらに重合性不飽和結合を有する化合物としては、アリルアクリレート、アリルメタクリレート等をあげることができる。またY′基としてヒドロシリコン基をもち、さらに反応性シリコン官能基を有する化合物の代表例としてのヒドロシラン化合物の具体例としては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン等のアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、トリメチルシロキシメチルアセトキシシランなどのアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシラン、ビス(ジエチルケトキシメート)トリメチルシロキシシランなどのケトキシメートシラン類;ジメチルシラン、トリメチルシロキシメチルシラン、1,1−ジメチル−2,2−ジメチルジシロキサンなどのハイドロシラン類;メチルトリ(イソプロペニルオキシ)シラン、ジメチルトリ(イソプロペニルオキシ)などのアルケニルオキシシラン類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
反応は前記単量体および要すればラジカル開始剤などを、好ましくは数平均分子量500〜100,000の重合体(B)をうるために必要に応じてn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンのごとき連鎖移動剤を加えて50〜150℃で反応させる。本発明では重合溶媒としてキシレン、トルエン等の芳香族溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤、プロパノール、ノルマルブタノール、2−ブタノール、イソブタノール等のアルコール溶剤あるいはこれらの混合物を用いることができる。溶媒は反応終了後あるいはオキシアルキレン重合体(A)または/およびポリイソブチレン重合体(C)と混合後に蒸発等により除去しできるだけ残存量を減少することが必須である。溶剤を用いることなく本オキシアルキレン重合体(A)または/およびポリイソブチレン重合体(C)本の存在下に(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合することによっても本アクリル重合体(B)を得ることができる。
【0040】
1分子中に少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を含有するポリイソブチレン重合体(C)の製法および組成物は特開昭63−6041号、特開昭63−6003号、特開昭63−205304号、特開平1−38407号、特公平4−69659号、特公平7−53768号等に例示されている。一般的には低温度で開始剤の存在下でリビング重合にてイソブチレン単量体を付加せしめて重合体を得た後、末端基と反応性を有する加水分解性ケイ素基含有化合物との反応で1分子中に少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を含有させることができる。加水分解性ケイ素基の導入法は本オキシアルキレン重合体、本アクリル重合体と同様な方法で導入が可能であるが、末端ビニル基にヒドロシラン化合物を付加させる方法が最も一般的である。
【0041】
本発明の組成物には、必要に応じて可塑剤、硬化触媒、充填剤、脱水剤、接着付与剤、その他の添加剤などを加えて使用してもよい。
【0042】
前記可塑剤の具体例としては、低分子量のオキシアルキレン重合体、好ましくは末端基の一部または全部が水酸基、アルキル基等であるポリプロピレンオキシド重合体またはアクリル重合体が使用される。フタル酸ジ−2−エチルヘキシルやフタル酸ジ−n−ブチルは空気中への放散量の高さの点と厚生労働省の指針値策定の対象物質である点の両方から好ましくない。アクリル重合体である可塑剤の具体例としては、特開平2000−178456号等に提案されているリビングラジカル重合により製造した分子量分布が1.8以下の(メタ)アクリル系重合体が例示できるが、特にこれらに限定されるものではない。また、「工業材料」1998年8月号P.110に記載の東亜合成(株)製SGOポリマーも使用できる。
【0043】
これらの可塑剤は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。低い放散量を得るためには一般的な低分子量可塑剤(例えばフタル酸ジ−2−エチルヘキシル等の低分子量フタル酸エステル系可塑剤)の使用を回避することが好ましいが、必要によっては放散量に悪影響を与えない範囲で低分子可塑剤と併用してもよい。これらの可塑剤は、反応性組成物(D)の100重量部に対し5〜100重量部程度使用することが好ましい。
【0044】
前記硬化触媒の具体例としては、スズ金属触媒として、オクチル酸錫、オレイン酸錫、ステアリン酸錫などの2価錫カルボン酸塩類;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ビス(アルキルマレエート)などのジブチル錫ジカルボキシレート類、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジフェノキシド、などのジアルキル錫のアルコキシド誘導体類、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫アセトアセテートなどのジアルキル錫の分子内配位性誘導体類、ジブチル錫オキシドとエステル化合物による反応混合物、ジブチル錫オキシドとシリケート化合物による反応混合物、およびこれらジアルキル錫オキシド誘導体のオキシ誘導体などの4価ジアルキル錫オキシドの誘導体;また、非スズ金属触媒として、オクチル酸やオレイン酸、ナフテン酸、ステアリン酸などをカルボン酸成分とするカルボン酸カルシウム、カルボン酸ジルコニウム、カルボン酸鉄、カルボン酸バナジウム、カルボン酸ビスマス、カルボン酸鉛、カルボン酸チタニウム、カルボン酸ニッケルなどのカルボン酸金属塩類;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラメチルチタネートなどのチタンアルコキシド類;アルミニウムイソプロピレート、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレートなどのアルミニウムアルコキシド類;ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレートなどのジルコニウムアルコキシド類;チタンテトラアセチルアセトナート、チタンエチルアセトアセテート、オクチレングリコレート、チタンラクテートなどのチタンキレート類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどのアルミニウムキレート類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムモノアセチルアセトナート、ジルコニウムビスアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナートビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセテートなどのジルコニウムキレート類;アミン類、アミン塩、4級アンモニウム塩、グアニジン化合物等の塩基性化合物などが挙げられる。これらは単独もしくは混合して使用できる。
【0045】
低分子量有機化合物(例えば溶剤)、脱離しやすい低分子量配位子(例えば2エチルヘキシルフタレート)を含有する硬化触媒の使用は放散量の点から使用を回避うることが好ましい。特にキシレン等の芳香族溶剤を含有する硬化触媒は使用してはならない。
【0046】
これらの硬化触媒は、硬化性組成物(D)100重量部に対して0.1〜10重量部程度使用できる。
【0047】
前記充填剤としては、たとえば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、シリカ、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、カーボンブラックなどがあげられる。上述の添加剤同様に高い放散量に寄与する低分子量の有機化合物により表面処理された充填剤の使用を回避することが好ましい。その使用量は硬化性組成物(D)の100重量部に対して10〜300重量部の範囲が好ましい。
【0048】
脱水剤としては加水分解性シリコン化合物が好ましい。例えば、Si(OC254、CH2=CHSi(OAc)3、CH2=CHSi(OCH33、HSCH2CH2CH2Si(OCH33、CH2=C(CH3)C(O)OCH2CH2CH2Si(OCH33あるいはCH2=C(CH3)C(O)OCH2CH2CH2Si(OCH2CH2OCH23のようなメタクリルオキシシラン化合物、または上述の加水分解性シリコン化合物の縮合物が使用できる。
【0049】
放散量を抑制するためには充填剤の表面に吸着された水分を配合前乾燥により減少させ、脱水剤使用量を削減することも有効である。また使用する脱水剤の沸点は200℃以上のものが好ましいが200℃以下の脱水剤を使用する場合は反応性組成物(D)中の含有量を5000PPM以下、好ましくは100PPM以下とすることがより好ましい。200℃以下の脱水剤を用いる場合も、該脱水剤の縮合物を用いる方法または反応性組成物(D)をエージングすることにより200℃以下の残存脱水剤を減少させる方法をとることができる。
【0050】
接着付与剤としては、具体的にはH2N(CH26NH(CH23Si(OCH33、H2N(CH28NH(CH23Si(OCH33、H2N(CH26NH(CH23Si(CH3)(OCH32、H2N(CH26NH(CH23 Si(OCH2CH33、H2N(CH22NHCH2−Ph−(CH22Si(OCH33、H2N(CH24NHCH2−Ph−(CH22Si(OCH33等のアミノシラン類(但し、Phはパラフェニレン基を示す。)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のエポキシシラン類が例示できるが、これらに限定されるものではない。これらの接着付与剤は、1種または被着体に応じて2種以上を混合使用してもよい。
【0051】
また使用する接着付与剤の沸点は200℃以上のものが好ましいが200℃以下の接着付与剤を使用する場合は反応性組成物(D)中の含有量を5000PPM以下、好ましくは100PPM以下とすることがより好ましい。200℃以下の接着付与剤を用いる場合も、該接着付与剤物の縮合物を用いる方法または反応性組成物(D)をエージングすることにより200℃以下の残存接着付与剤を減少させる方法をとることができる。
【0052】
前記その他の添加剤としては、たとえば水添ヒマシ油、有機ベントナイトなどのタレ防止剤、着色剤、老化防止剤、などが挙げられる。その他添加剤にはトルエン、キシレン、スチレン、パラジクロロベンゼン、フタル酸ジ2−−エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−ブチル等の厚生労働省が指針値を策定した物質や放散量に悪影響を与える添加物が含まれることは好ましくなく、充分な排除が必要である。
【0053】
このようにして得られる本発明の組成物は建築物の室内部材向けの接着剤、シーリング剤に好適である。また室内に設置する家具、家電製品、事務機器等の接着剤、シーリング剤としても好適である。
【0054】
室内向けの接着剤の例としては日本工業規格のA5536、A5537,A5538、A5547、A5548等が挙げられる。具体的な部材の例としては、根太と梁・大引き、床板との接合、床暖房ヒーターと床板・基材との接合、温水マットとフローリング・コンクリートスラブの接合、各種ボード類と胴縁面との接合、巾木と壁面との接合、木質フロア仕上げ材と合板、パーチクルボード等の下地材との接合、金属製束の接合等に使用される。
【0055】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明の組成物を具体的に説明する。
【0056】
(合成例1)
耐圧重合缶にポリプロピレングルコール(分子量2000)を100g仕込み、水分と酸素を除去した後、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛グライム配位物0.08gを添加しポリプロピレンオキシド500gを90℃にて5時間追加反応せしめた。得られたポリプロピレングリコールの分子量は末端基定量法で12,000、ゲル浸透クロマトグラフィーでの分子量分布(Mw/Mn)は1.25であった。このポリプロピレングリコールの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノ−ル溶液を添加してメタノ−ルを留去し、続いて8gのアリルクロライドを反応させて得られた粗アリル末端ポリプロピレングリコールを3,000gのヘキサンに溶解せしめた。このヘキサン溶液を水と接触せしめて脱塩精製した後、ヘキサンを蒸発させたアリル末端ポリプロピレングリコールにメチルジメトキシシラン11g、塩化白金酸触媒溶液(H2PtCl・6H2Oの8.9gをイソプロピルアルコール178mlに溶解させた溶液)0.34mlを加えたのち80℃で2時間反応させてシリル末端ポリプロピレングリコール510gを得た。
反応溶液中の残存ヒドロシリル基の量をIRスペクトル分析法により定量したところ、ほとんど残存していなかった。またNMR法により加水分解性ケイ素基の定量をしたところ、分子末端に(CH3O)2Si(CH3)CH2CH2CH2O−基を1分子当り約1.7個有するオキシプロピレン系重合体が得られた。
【0057】
(合成例2)
105℃に加熱したキシレン43g中にアクリル酸ブチル28g、メタクリル酸メチル46g、メタクリル酸ステアリル20g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン4.4gおよびキシレン23g混合物に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2.0gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行ない、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が8,700の分子内に加水分解性ケイ素基を含有するアクリル重合体を得た。
【0058】
(合成例3)
合成例1で得られた加水分解性ケイ素基含有ポリオキシプロピレン重合体と合成例2で得られた加水分解性ケイ素基含有アクリル系重合体とを固形分比(重量比)60/40でブレンドし、エバポレーターを用い、減圧下、110℃加熱条件で脱揮を行ない、固形分濃度99%以上の本発明の硬化性組成物(D)を得た。
【0059】
(合成例4)
耐圧重合缶にポリプロピレングルコール(分子量2000)を100g仕込み、水分と酸素を除去した後、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛グライム配位物0.08gを添加しポリプロピレンオキシド500gを90℃にて5時間追加反応せしめた。得られたポリプロピレングリコールの分子量は末端基定量法で12,000、ゲル浸透クロマトグラフィーでの分子量分布(Mw/Mn)は1.24であった。このポリプロピレングリコールの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノ−ル溶液を添加してメタノ−ルを留去し、続いて8gのアリルクロライドを反応させて得られた粗アリル末端ポリプロピレングリコールを3000gのヘキサンに溶解せしめた。このヘキサン溶液を水と接触せしめて脱塩精製した後、ヘキサンを蒸発させたアリル末端ポリプロピレングリコールにトリメトキシシラン11g、塩化白金酸触媒溶液(H2PtCl・6H2Oの8.9gをイソプロピルアルコール178mlに溶解させた溶液)0.34mlを加えたのち80℃で2時間反応させてシリル末端ポリプロピレングリコール510gを得た。
【0060】
反応溶液中の残存ヒドロシリル基の量をIRスペクトル分析法により定量したところ、ほとんど残存していなかった。またNMR法により反応性ケイ素基の定量をしたところ、分子末端に(CH3O)3SiCH2CH2CH2O−基を1分子当り約1.7個有するオキシプロピレン系重合体が得られた。
【0061】
(合成例5)
合成例2のキシレンの代りにイソブタノールを用いる以外は合成例2に従い合成例5のポリマーを得た。固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が8,700の分子内に加水分解性ケイ素基を含有するアクリル重合体を得た。
【0062】
(合成例6)
合成例1で得られた加水分解性ケイ素基含有ポリオキシプロピレン重合体と合成例5で得られた加水分解性ケイ素基含有アクリル重合体とを固形分比(重量比)60/40でブレンドし、エバポレーターを用い、減圧下、110℃加熱条件で脱揮を行ない、固形分濃度99%以上の本発明の硬化性組成物(D)を得た。
【0063】
(実施例1〜4)
実施例1は合成例1の組成物を、実施例2は合成例3の組成物を、実施例3は合成例4の組成物を、実施例4は合成例6の組成物をそれぞれ用い、配合する前の重合体中の残存溶剤量をガスクロマトグラフィー法により測定した結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
Figure 0004782330
【0065】
(実施例5)
実施例5は合成例1の重合体100重量部(以下部と表す)に対し、炭酸カルシウム(商品名;白艶華CCR)120部、酸化チタン(同;R820)20部、可塑剤(ジイソデシルフタレート)55部、アミド系チクソ性付与剤(同;ディスパロン6500)2部、加水分解性シラン(同;A171)2部、接着付与剤(同;A−1120)3部、光安定剤(同; LS770)1部、紫外線吸収剤(同;チヌビン327)1部をミキサーで加熱減圧下で混合した後、錫硬化触媒(同;U220)2部を配合し、配合物をカートリッジに充填し1液配合物を得た。本配合物からの有機物の10日後の放散量(TVOC)をGEV法により求めた。
【0066】
(実施例6)
実施例6は合成例3の重合体100重量部(以下部と表す)に対し、炭酸カルシウム(商品名;白艶華CCR)50部、加水分解性シラン(同;A171)3部、接着付与剤(同;A−1122)2部ミキサーで加熱減圧下で混合した後、錫硬化触媒(同;U220)2部を配合し、配合物をカートリッジに充填し1液配合物を得た。本配合物からの有機物の10日後の放散量(TVOC)をGEV法により求めた。
【0067】
(実施例7)
実施例7は実施例5に用いた合成例1の重合体の代わりに合成例4の重合体を用いた他は実施例5と同じ操作を行った。
【0068】
(実施例8)
実施例8は実施例6に用いた合成例3の重合体の代わりに合成例6の重合体を用いた他は実施例6と同じ操作を行った。
【0069】
(実施例9)
実施例9は実施例5に用いたイソデシルフタレートの代わりに可塑剤としてPPG3000を用いた他は実施例5と同じ操作を行った。
【0070】
実施例5〜9のGEV法有機物の放散量のデータを表2に示す。
【0071】
【表2】
Figure 0004782330
【0072】
表1の結果から、本実施例1、3のポリオキシプロピレン重合体(A)は芳香族溶剤を含め溶剤が未検出であると判る。また実施例2,4のポリオキシプロピレン重合体(A)とアクリル重合体(B)との混合物は芳香族溶剤またはアルコール溶剤が1、000PPMレベルで検出されたと判る。表2の結果から、実施例1〜4の重合体組成、実施例5〜9の配合物ともにすべての例の放散量(TVOC)は500μg/M3以下であり、エミコードの最小放散量レーティングのEC−1に属することが判る。また厚生労働省が指針値を策定した物質のキシレン、トルエン、エチルベンゼン等が重合体に含有されている実施例2、6の場合でさえ同対象物質は放散された有機物中にいずれも非検出であった。
【0073】
【発明の効果】
本発明の組成物は大気への有機化合物の放散量が少ないため室内居住者により好ましい環境を与えることができる。

Claims (15)

  1. 1分子中に少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を含有するオキシアルキレン重合体(A)および1分子中に少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を含有するアクリル系重合体(B)を含む反応性組成物(D)からの空気中への有機化合物の放散量がGEV(ゲマインシャフト・エミッションコントリールテ・フェリーゲヴェルクシュトッフェ・エー・ヴェー)の定めるGEVスペシフィケーション・アンド・クラシフィケーション・クライテリア2001年2月14日版に記載の測定法において、1,500μg/M未満であるところの組成物であって、
    アクリル系重合体(B)が(1)炭素数1〜2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と(2)炭素数4以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体との混合物を重合して得られた、加水分解性ケイ素基を分子鎖の内部または/および末端に有するアクリル系重合体であり、
    オキシアルキレン重合体(A)およびアクリル系重合体(B)を混合し、減圧、加熱条件下で脱揮した後に、充填剤を混合して得られた組成物
  2. 充填剤の混合を、加熱減圧下で行う請求項1記載の組成物。
  3. 反応性組成物(D)からの空気中への有機化合物の放散量が500μg/M未満であるところの請求項1または2に記載の組成物。
  4. 加水分解性ケイ素基を含有するオキシアルキレン重合体(A)の原料であるポリオキシアルキレンがオキシアルキレンの通常の重合法(苛性アルカリを用いるアニオン重合法)、この重合体を原料とした鎖延長反応方法、複合金属シアン化錯体を触媒とする重合法、セシウム金属を触媒とする重合法またはポリフォスファゼン塩を触媒とする重合法からなる群から選択される少なくとも1種である方法によりアルキレンオキシドを重合させ得られたオキシアルキレン重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  5. 加水分解性ケイ素基を含有するオキシアルキレン重合体(A)および/またはアクリル系重合体(B)の加水分解性ケイ素基がジメチルモノメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジイソプロペニルオキシシリル基およびトリイソプロペニルオキシシリル基からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
  6. 加水分解性ケイ素基を含有するオキシアルキレン重合体(A)の原料であるポリオキシアルキレンが複合金属シアン化錯体を触媒とする重合法により得られたものであって、数平均分子量(Mn)が6,000以上かつ分子量分布(Mw/Mn)が1.6以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
  7. 反応性組成物(D)に含有される沸点200℃以下の有機化合物の総量が5,000ppm以下であるところの請求項1〜いずれかに記載の組成物。
  8. 反応性組成物(D)に含有される沸点200℃以下の有機化合物の総量が100ppm以下であるところの請求項7記載の組成物。
  9. 反応性組成物(D)に含有される沸点200℃以下のシリコン系有機化合物の総量が5,000ppm以下であるところの請求項7記載の組成物。
  10. 反応性組成物(D)に含有される沸点200℃以下のシリコン系有機化合物の総量が100ppm以下であるところの請求項9記載の組成物。
  11. 反応性組成物(D)を常温14日続いて50℃14日反応硬化せしめた硬化物からの有機化合物の放散量が100μg/M未満であるところの請求項1〜10いずれかに記載の組成物。
  12. 反応性組成物(D)がトルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、パラジクロルベンゼン、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−ブチル、ホルムアルデヒドのいずれも含有しないことを特徴とする請求項1〜11いずれかに記載の組成物。
  13. 機化合物の放散量がトルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、パラジクロルベンゼン、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−ブチル、のいずれについても1μg/M未満でありかつホルムアルデヒドについて5μg/M未満であることを特徴とする請求項1〜12いずれかに記載の組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の組成物を含む、建築物の室内部材向けの接着剤。
  15. 請求項1〜13のいずれかに記載の組成物を含む、建築物の室内部材向けのシーリング剤。
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