JP5432225B2 - 硬化性組成物の貯蔵後の硬化遅延を抑制する方法 - Google Patents
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Description
また、末端に架橋性シリル基を有するビニル系重合体を必須成分とする硬化性組成物に関する例としては、特許文献17〜45に記載したものがある。しかし、これらでは、本発明で示される、メチルエステル基を有する化合物を必須な構成単位とすることについては言及されていない。また、貯蔵後の硬化遅延の改善についてその解決策を示したものはない。
本発明の目的は、貯蔵後の硬化性および/または硬化後の硬化物の機械特性が改善された、架橋性シリル基を末端に有する硬化性組成物を提供することである。
また、本発明の目的は、架橋性官能基を末端に有し、貯蔵後の硬化性および/または硬化後の硬化物の機械特性が改善された硬化性組成物を与え得る重合体を提供することである。
−[Si(R1)2−b(Y)bO]m−Si(R2)3−a(Y)a(1)
{式中、R1、R2は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。}
(I)上記一般式(1)で示される架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体
(II)メチルエステル基を有する(I)以外の化合物
を必須成分とする貯蔵安定性が改善された硬化性組成物である。
本発明の第一は、(I)一般式(1)で示される架橋性シリル基を少なくとも1個末端に有し、メチルエステル基を含有するモノマーを必須な構成単位とするビニル系重合体を必須成分とする硬化性組成物である。
−[Si(R1)2−b(Y)bO]m−Si(R2)3−a(Y)a(1)
{式中、R1、R2は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。}
一般式(1)で示される架橋性シリル基
加水分解性基としては、たとえば、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などの一般に使用されている基があげられる。これらのうちでは、アルコキシ基、アミド基、アミノオキシ基が好ましいが、加水分解性がマイルドで取り扱い易いという点から、アルコキシ基がとくに好ましい。
−Si(R3)3−a(Y)a(2)
(式中、R3、Y、aは前記と同じ。)で表される架橋性シリル基が、入手が容易であるので好ましい。
ビニル系重合体の架橋性官能基の数は、特に限定されないが、より架橋性の高い硬化物を得るためには、平均してビニル系重合体1分子当たり1個以上、好ましくは1.2個以上、より好ましくは1.5個以上である。
本発明の硬化性組成物を硬化させてなる成形体にゴム的な性質が特に要求される場合には、ゴム弾性に大きな影響を与える架橋点間分子量が大きくとれるため、架橋性シリル基の少なくとも1個は分子鎖の末端にあることが好ましい。より好ましくは、全ての架橋性官能基が分子鎖末端に有するものである。
メチルエステル基を含有するモノマーとしては特に限定されないが、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、メチルエステル置換スチレン等が挙げられる。重合のしやすさ、及び、硬化遅延抑制効果の高さから、アクリル酸メチルとメタクリル酸メチルが好ましく、特に、アクリル酸メチルが好ましい。
ビニル系重合体の主鎖を構成するビニル系モノマーとしては生成物の物性等から、(メタ)アクリル酸アルキル又は/及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルを主成分とすることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルとしては(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル等が例示されるが、アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチルが特に好ましい。
ビニル系重合体の主たる構成単位である(メタ)アクリル酸アルキル又は/及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルの組成比を変えることで耐油、耐熱、耐寒性等の特性を調整することができる。
上記ビニル系重合体の分子量分布、すなわち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量と数平均分子量の比は特に限定されないが、通常は1.8以下であり、好ましくは1.7以下であり、より好ましくは1.6以下であり、さらに好ましくは1.5以下であり、特に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。本発明でのGPC測定においては、通常、移動相としてクロロホルムを用い、ポリスチレンゲルカラムにておこない、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
本発明における、ビニル系重合体の重合法は、限定はされないが、制御ラジカル重合が好ましく、リビングラジカル重合がより好ましく、原子移動ラジカル重合が特に好ましい。以下にこれらについて説明する。
ラジカル重合法は、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物などを用いて、特定の官能基を有するモノマーとビニル系モノマーとを単に共重合させる「一般的なラジカル重合法」と、末端などの制御された位置に特定の官能基を導入することが可能な「制御ラジカル重合法」に分類できる。
C6H5−CH2X、C6H5−C(H)(X)CH3、C6H5−C(X)(CH3)2
(ただし、上の化学式中、C6H5はフェニル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
R11−C(H)(X)−CO2R12、R11−C(CH3)(X)−CO2R12、R11−C(H)(X)−C(O)R12、R11−C(CH3)(X)−C(O)R12、
(式中、R11、R12は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
R11−C6H4−SO2X
(上記の各式において、R11は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
等が挙げられる。
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としては限定されず、例えば、一般式(3)に示す構造を有するものが例示される。
(式中、R13は水素、またはメチル基、R14、R15は水素、または、炭素数1〜20の1価のアルキル基、アリール基、またはアラルキル、または他端において相互に連結したもの、R16は、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、またはo−,m−,p−フェニレン基、R17は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいても良い、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
置換基R14、R15の具体例としては、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。R14とR15は他端において連結して環状骨格を形成していてもよい。
XCH2C(O)O(CH2)nCH=CH2、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2)nCH=CH2、(H3C)2C(X)C(O)O(CH2)nCH=CH2、CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2)nCH=CH2、
XCH2C(O)O(CH2)nO(CH2)mCH=CH2、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mCH=CH2、(H3C)2C(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mCH=CH2、CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mCH=CH2、
o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)n−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)n−CH=CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)n−CH=CH2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)n−O−(CH2)mCH=CH2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−O−(CH2)n−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)n−CH=CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)n−CH=CH2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−O−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに一般式(4)で示される化合物が挙げられる。
H2C=C(R13)−R17−C(R14)(X)−R18−R15(4)
(式中、R13、R14、R15、R17、Xは上記に同じ、R18は、直接結合、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、または、o−,m−,p−フェニレン基を表す)
R17は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基(1個以上のエーテル結合を含んでいても良い)であるが、直接結合である場合は、ハロゲンの結合している炭素にビニル基が結合しており、ハロゲン化アリル化物である。この場合は、隣接ビニル基によって炭素−ハロゲン結合が活性化されているので、R18としてC(O)O基やフェニレン基等を有する必要は必ずしもなく、直接結合であってもよい。R17が直接結合でない場合は、炭素−ハロゲン結合を活性化するために、R18としてはC(O)O基、C(O)基、フェニレン基が好ましい。
CH2=CHCH2X、CH2=C(CH3)CH2X、CH2=CHC(H)(X)CH3、CH2=C(CH3)C(H)(X)CH3、CH2=CHC(X)(CH3)2、CH2=CHC(H)(X)C2H5、CH2=CHC(H)(X)CH(CH3)2、CH2=CHC(H)(X)C6H5、CH2=CHC(H)(X)CH2C6H5、CH2=CHCH2C(H)(X)−CO2R、CH2=CH(CH2)2C(H)(X)−CO2R、CH2=CH(CH2)3C(H)(X)−CO2R、CH2=CH(CH2)8C(H)(X)−CO2R、CH2=CHCH2C(H)(X)−C6H5、CH2=CH(CH2)2C(H)(X)−C6H5、CH2=CH(CH2)3C(H)(X)−C6H5、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等を挙げることができる。
o−,m−,p−CH2=CH−(CH2)n−C6H4−SO2X、o−,m−,p−CH2=CH−(CH2)n−O−C6H4−SO2X、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
等である。
(式中、R13、R14、R15、R16、R17、Xは上記に同じ、R19、R20は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R19またはR20が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする)
XCH2C(O)O(CH2)nSi(OCH3)3、CH3C(H)(X)C(O)O(CH2)nSi(OCH3)3、(CH3)2C(X)C(O)O(CH2)nSi(OCH3)3、XCH2C(O)O(CH2)nSi(CH3)(OCH3)2、CH3C(H)(X)C(O)O(CH2)nSi(CH3)(OCH3)2、(CH3)2C(X)C(O)O(CH2)nSi(CH3)(OCH3)2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは0〜20の整数、)
XCH2C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(OCH3)3、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(OCH3)3、(H3C)2C(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(OCH3)3、CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(OCH3)3、XCH2C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(CH3)(OCH3)2、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)m−Si(CH3)(OCH3)2、(H3C)2C(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)m−Si(CH3)(OCH3)2、CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)m−Si(CH3)(OCH3)2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)2Si(OCH3)3、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)2Si(OCH3)3、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)2Si(OCH3)3、o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−XCH2−C6H4−O−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)3−Si(OCH3)3、o,mp−XCH2−C6H4−O−(CH2)2−O−(CH2)3−Si(OCH3)3、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
等が挙げられる。
(式中、R13、R14、R15、R17、R18、R19、R20、a、b、m、X、Yは上記に同じ)
(CH3O)3SiCH2CH2C(H)(X)C6H5、(CH3O)2(CH3)SiCH2CH2C(H)(X)C6H5、(CH3O)3Si(CH2)2C(H)(X)−CO2R、(CH3O)2(CH3)Si(CH2)2C(H)(X)−CO2R、(CH3O)3Si(CH2)3C(H)(X)−CO2R、(CH3O)2(CH3)Si(CH2)3C(H)(X)−CO2R、(CH3O)3Si(CH2)4C(H)(X)−CO2R、(CH3O)2(CH3)Si(CH2)4C(H)(X)−CO2R、(CH3O)3Si(CH2)9C(H)(X)−CO2R、(CH3O)2(CH3)Si(CH2)9C(H)(X)−CO2R、(CH3O)3Si(CH2)3C(H)(X)−C6H5、(CH3O)2(CH3)Si(CH2)3C(H)(X)−C6H5、(CH3O)3Si(CH2)4C(H)(X)−C6H5、(CH3O)2(CH3)Si(CH2)4C(H)(X)−C6H5、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等が挙げられる。
HO−(CH2)n−OC(O)C(H)(R)(X)
(上記式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
上記アミノ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
H2N−(CH2)n−OC(O)C(H)(R)(X)
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
本発明の末端構造を1分子内に2つ以上有する重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物が開始剤として用いるのが好ましい。具体的に例示するならば、
等が挙げられる。
次に架橋性シリル基の導入方法を説明するが、これに限定されるものではない。
まず、末端官能基変換により架橋性シリル基、アルケニル基、水酸基を導入する方法について記述する。これらの官能基はお互いに前駆体となりうるので、架橋性シリル基から遡る順序で記述していく。
(A−a)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、例えば下記の一般式(7)に挙げられるような一分子中に重合性のアルケニル基と重合性の低いアルケニル基を併せ持つ化合物を第2のモノマーとして反応させる方法。
H2C=C(R24)−R25−R26−C(R27)=CH2(7)
(式中、R24は水素またはメチル基を示し、R25は−C(O)O−、またはo−,m−,p−フェニレン基を示し、R26は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基を示し、1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい。R27は水素、または炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す)
M+C−(R28)(R29)−R30−C(R27)=CH2(8)
(式中、R27は上記に同じ、R28、R29はともにカルバニオンC−を安定化する電子吸引基であるか、または一方が前記電子吸引基で他方が水素または炭素数1〜10のアルキル基、またはフェニル基を示す。R30は直接結合、または炭素数1〜10の2価の有機基を示し、1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい。M+はアルカリ金属イオン、または4級アンモニウムイオンを示す)
R28、R29の電子吸引基としては、−CO2R、−C(O)Rおよび−CNの構造を有するものが特に好ましい。
H2C=C(R27)−R31−O−M+(9)
(式中、R27、M+は上記に同じ。R21は炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい)
H2C=C(R27)−R32−C(O)O−M+(10)
(式中、R27、M+は上記に同じ。R22は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい)
などが挙げられる。
またアルケニル基を少なくとも1個有するビニル系重合体は、水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体から得ることも可能であり、以下に例示する方法が利用できるがこれらに限定されるわけではない。水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体の水酸基に、
(A−g)ナトリウムメトキシドのような塩基を作用させ、塩化アリルのようなアルケニル基含有ハロゲン化物と反応させる方法。
(A−h)アリルイソシアネート等のアルケニル基含有イソシアネート化合物を反応させる方法。
(A−i)(メタ)アクリル酸クロリドのようなアルケニル基含有酸ハロゲン化物をピリジン等の塩基存在下に反応させる方法。
(A−j)アクリル酸等のアルケニル基含有カルボン酸を酸触媒の存在下に反応させる方法;等が挙げられる。
上述の方法により製造されたアルケニル基を有するビニル系重合体は架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物と反応させることによりアルケニル基を架橋性シリル基に変換することができる。架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物としては特に制限はないが、代表的なものを示すと、一般式(11)で示される化合物が例示される。
H−[Si(R9)2−b(Y)bO]m−Si(R10)3−a(Y)a
(11)
{式中、R9、R10は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R9またはR10が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。}
これらヒドロシラン化合物の中でも、特に一般式(12)
H−Si(R10)3−a(Y)a(12)
(式中、R10、Y、aは前記に同じ)
で示される架橋性基を有する化合物が入手容易な点から好ましい。
(B)および(A−g)〜(A−j)の方法で用いる水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体の製造方法は以下のような方法が例示されるが、これらの方法に限定されるものではない。
H2C=C(R24)−R25−R26−OH(13)
(式中、R24、R25、R26は上記に同じ)
なお、一分子中に重合性のアルケニル基と水酸基を併せ持つ化合物を反応させる時期に制限はないが、特に成形体にゴム的な性質を期待する場合には重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好ましい。
(B−b)原子移動ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、例えば10−ウンデセノール、5−ヘキセノール、アリルアルコールのようなアルケニルアルコールを反応させる方法。
(B−g)原子移動ラジカル重合により製造される末端に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、一般式(14)に挙げられるような水酸基を有する安定化カルバニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。
M+C−(R28)(R29)−R30−OH(14)
(式中、R28、R29、R30、は上記に同じ)
R28、R29の電子吸引基としては、−CO2R、−C(O)Rおよび−CNの構造を有するものが特に好ましい。
(B−h)原子移動ラジカル重合により製造される末端に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば亜鉛のような金属単体あるいは有機金属化合物を作用させてエノレートアニオンを調製し、しかる後にアルデヒド類、又はケトン類を反応させる方法。
(B−i)原子移動ラジカル重合により製造される末端に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば一般式(15)あるいは(16)に示されるような水酸基を有するオキシアニオンあるいはカルボキシレートアニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。
HO−R31−O−M+(15)
(式中、R31およびM+は前記に同じ)
HO−R32−C(O)O−M+(16)
(式中、R32およびM+は前記に同じ)
(B−j)原子移動ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして、一分子中に重合性の低いアルケニル基および水酸基を有する化合物を反応させる方法。
このような化合物としては特に限定されないが、一般式(17)に示される化合物等が挙げられる。
H2C=C(R24)−R31−OH(17)
(式中、R24およびR31は上述したものと同様である。)
等が挙げられる。
また、一分子中に架橋性シリル基とイソシアネート基のような水酸基と反応し得る基を有する化合物としては、例えばγ−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、必要により一般に知られているウレタン化反応の触媒を使用できる。
(C)の方法で用いる一分子中に重合性のアルケニル基と架橋性シリル基を併せ持つ化合物としては、例えばトリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、メチルジメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレートなどのような、下記一般式(18)で示すものが挙げられる。
H2C=C(R24)−R25−R33−[Si(R9)2−b(Y)bO]m−Si(R10)3−a(Y)a(18)
(式中、R9、R10、R24、R25、Y、a、b、mは上記に同じ。R33は、直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい。)
(E)の方法で用いられる、上述の反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体の合成法は原子移動ラジカル重合法により製造される。一分子中に架橋性シリル基と安定化カルバニオンを併せ持つ化合物としては一般式(19)で示すものが挙げられる。
(式中、R9、R10、R28、R29、Y、a、b、m、は前記に同じ。R34は直接結合、または炭素数1〜10の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい、R35は水素、または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラルキル基を示す。)
R28、R29の電子吸引基としては、−CO2R、−C(O)Rおよび−CNの構造を有するものが特に好ましい。
本発明は上述の架橋性シリル基を有するビニル系重合体を含有する硬化性組成物である。
硬化性組成物の形態
本発明の硬化性組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型として調製しても良いし、硬化剤として別途硬化触媒、充填材、可塑剤、水等の成分を配合しておき、該配合材と重合体組成物を使用前に混合する2成分型として調整しても良い。
本発明で解決される課題である貯蔵安定性の低下は、触媒やシランカップリング剤が混合されてから貯蔵される1成分型で発生する場合が多いので、本発明の効果をより大きく得るためには、1成分型が好ましい。
架橋性シリル基を有する重合体からなる硬化性組成物では、一般に硬化触媒やシランカップリング剤を配合する場合が多い。そして、本発明で解決される課題である貯蔵安定性の低下は、これらの硬化触媒やシランカップリング剤を配合した場合に多く発生するため、本発明の効果をより大きく得るためには、これらを含有する配合物が好ましい。また、目的とする物性に応じて、各種の配合剤を添加しても構わない。
架橋性シリル基を有する重合体は、従来公知の各種縮合触媒の存在下、あるいは非存在下にシロキサン結合を形成することにより架橋、硬化する。硬化物の性状としては、重合体の分子量と主鎖骨格に応じて、ゴム状のものから樹脂状のものまで幅広く作成することができる。
1成分型の場合には、その硬化性から4価スズ化合物を使用する場合が多く、本発明で解決される課題である貯蔵安定性の低下は、この4価スズ化合物を配合した場合に発生することが多いので、本発明の効果をより大きく得るためには、4価スズ化合物が好ましい。
これらの触媒は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。この縮合触媒の配合量は、架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体100部(重量部、以下同じ)に対して0.1〜20部程度が好ましく、1〜10部が更に好ましい。シラノール縮合触媒の配合量がこの範囲を下回ると硬化速度が遅くなることがあり、また硬化反応が十分に進行し難くなる場合がある。一方、シラノール縮合触媒の配合量がこの範囲を上回ると硬化時に局部的な発熱や発泡が生じ、良好な硬化物が得られ難くなるほか、ポットライフが短くなり過ぎ、作業性の点からも好ましくない。なお、特に限定はされないが、硬化性を制御するために錫系硬化触媒を用いるのが好ましい。
硬化性組成物の接着性を確保したり、触媒活性を向上させたりするために、成分(III)アミン化合物を添加することが好ましい。アミン化合物としては、下記の「シランカップリング剤」の項で説明するアミノシラン類が好ましく、特に一級アミノ基を有するアミノシランが好ましい。一方、本発明で解決される課題である貯蔵安定性の低下は、アミン化合物を添加した場合、特に一級アミン化合物を添加した場合に派生することが多いので、本発明の効果をより大きく得るためには、これらを添加した配合物が好ましい。
本発明の硬化性組成物には、シランカップリング剤や、シランカップリング剤以外の接着性付与剤を添加することができる。シランカップリング剤の具体例としては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート基含有シラン類;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、シリル化ポリエステル等もシランカップリング剤として用いることができる。
本発明の硬化性組成物には、各種可塑剤が必要に応じて用いられる。可塑剤としては特に限定されないが、物性の調整、性状の調節等の目的により、例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチルセバケート、コハク酸イソデシル等の非芳香族二塩基酸エステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシリノール酸メチル等の脂肪族エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のポリアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;トリメリット酸エステル類;ポリスチレンやポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン類;ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ブタジエン−アクリロニトリル、ポリクロロプレン;塩素化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル、等の炭化水素系油;プロセスオイル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールとこれらポリエーテルポリオールの水酸基をエステル基、エーテル基などに変換した誘導体等のポリエーテル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤類;セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸等の2塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコールから得られるポリエステル系可塑剤類;アクリル系可塑剤を始めとするビニル系モノマーを種々の方法で重合して得られるビニル系重合体類等を単独、または2種以上混合して使用することができるが、必ずしも必要とするものではない。なおこれら可塑剤は、重合体製造時に配合することも可能である。
本発明の硬化性組成物には、各種充填材が必要に応じて用いられる。充填材としては、特に限定されないが、木粉、パルプ、木綿チップ、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、クルミ殻粉、もみ殻粉、グラファイト、ケイソウ土、白土、フュームドシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラックのような補強性充填材;重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、アルミニウム微粉末、フリント粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華、亜鉛末およびシラスバルーンなどのような充填材;石綿、ガラス繊維およびフィラメントのような繊維状充填材等が挙げられる。これら充填材のうちでは沈降性シリカ、フュームドシリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルクなどが好ましい。特に、これら充填材で強度の高い硬化物を得たい場合には、主にヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、結晶性シリカ、溶融シリカ、焼成クレー、クレーおよび活性亜鉛華などから選ばれる充填材を添加できる。また、低強度で伸びが大である硬化物を得たい場合には、主に酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛およびシラスバルーンなどから選ばれる充填材を添加できる。なお、一般的に、炭酸カルシウムは、比表面積が小さいと、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果が充分でないことがある。比表面積の値が大きいほど、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果はより大きくなる。更に、炭酸カルシウムは、表面処理剤を用いて表面処理を施してある方がより好ましい。表面処理炭酸カルシウムを用いた場合、表面処理していない炭酸カルシウムを用いた場合に比較して、本発明の組成物の作業性を改善し、該硬化性組成物の接着性と耐候接着性の改善効果がより向上すると考えられる。前記の表面処理剤としては脂肪酸、脂肪酸石鹸、脂肪酸エステル等の有機物や各種界面活性剤、および、シランカップリング剤やチタネートカップリグ剤等の各種カップリング剤が用いられている。具体例としては、以下に限定されるものではないが、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等の脂肪酸と、それら脂肪酸のナトリウム、カリウム等の塩、そして、それら脂肪酸のアルキルエステルが挙げられる。界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルや長鎖アルコール硫酸エステル等と、それらのナトリウム塩、カリウム塩等の硫酸エステル型陰イオン界面活性剤、またアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、パラフィンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、アルキルスルホコハク酸等と、それらのナトリウム塩、カリウム塩等のスルホン酸型陰イオン界面活性剤等が挙げられる。この表面処理剤の処理量は、炭酸カルシウムに対して、0.1〜20重量%の範囲で処理するのが好ましく、1〜5重量%の範囲で処理するのがより好ましい。処理量が0.1重量%未満の場合には、作業性、接着性と耐候接着性の改善効果が充分でないことがあり、20重量%を越えると、該硬化性組成物の貯蔵安定性が低下することがある。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて生成する硬化物の引張特性を調整する物性調整剤を添加しても良い。物性調整剤としては特に限定されないが、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等のアルキルイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等の官能基を有するアルコキシシラン類;シリコーンワニス類;ポリシロキサン類等が挙げられる。前記物性調整剤を用いることにより、本発明の組成物を硬化させた時の硬度を上げたり、硬度を下げ、伸びを出したりし得る。上記物性調整剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
R40 aSi(OR41)4−a(20)
(式中、R409 およびR41は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の置換あるいは非置換の炭化水素基である。さらに、aは0、1、2、3のいずれかである。)で示されるシラノール基をもたないケイ素化合物を添加しても構わない。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて垂れを防止し、作業性を良くするためにチクソ性付与剤(垂れ防止剤)を添加しても良い。
本発明の硬化性組成物には、硬化性組成物又は硬化物の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤が添加してもよい。このような添加物の例としては、たとえば、難燃剤、硬化性調整剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤、光硬化性樹脂などがあげられる。これらの各種添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明の硬化性組成物には、その他の硬化性ポリマーをブレンドしても構わない。ブレンドする硬化性ポリマーの硬化機構は、エポキシ硬化、ウレタン硬化、ヒドロシリル化硬化、ラジカル硬化のように、本発明の成分(I)のポリマーの架橋性シリル基による縮合型硬化と異なる硬化機構でも構わないが、好ましくは、同じく縮合型硬化のものである。
硬化性ポリマーとしては、シリコーン系、ポリイソブチレン系、ウレタン系、ポリエーテル系等があり限定はされないが、本発明の成分(I)のポリマーとの相溶性や物性等から、ポリエーテル系が好ましい。
以下に本発明においてブレンドすることが好ましい架橋性官能基を有するポリエーテル系重合体について説明する。
本発明における(I)成分である架橋性官能基を少なくとも一個有するポリエーテル系重合体が、主鎖中にウレタン結合ないしはウレア結合を含んでいる場合には、ポリエーテル系重合体として、分子中にウレタン結合またはウレア結合のいずれかを1個以上含み、架橋性官能基を少なくとも1個以上有する有機重合体であればいずれの製造法によって得られるものであっても良い。架橋性官能基は特に限定されず、上述のような各種官能基が挙げられるが、中でも一般式(21)
−SiYaR51 3−a(21)
(ただし、式中R51は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基またはR’3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、3個のR’は同一であってもよく異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2、または3を示す。)
で示されるケイ素含有基であるのが好ましい。さらにポリエーテル系重合体の工業的に容易な製造方法として、末端に水酸基を有するオキシアルキレン重合体(D)の末端水酸基に、過剰のポリイソシアネート化合物(E)を反応させて、ポリウレタン系主鎖(F)の末端にイソシアネート基を有する重合体とした後、または同時に、該イソシアネート基に一般式(22)
W−R52−SiYaR51 3−a(22)
(ただし、式中R51、Y、aは前記に同じ。R52は炭素数1〜20の置換もしくは非置換の2価の有機基、Wは水酸基、カルボキシル基、メルカプト基およびアミノ基(1級または2級)から選ばれた活性水素含有基である。)
で表されるケイ素化合物(G)のW基を反応させる方法により製造されるものや、末端に水酸基を有するオキシアルキレン重合体(D)に一般式(23)
O=C=N−R52−SiYaR51 3−a(23)
(ただし、式中R51、R52、Y、aは前記に同じ。)
で示される加水分解性ケイ素基含有イソシアネート化合物(H)を反応させることにより製造されるものなどを用いることが出来る。
ポリイソシアネート化合物(E)や加水分解性ケイ素基含有イソシアネート化合物(H)との反応を容易とする為には、末端の水酸基が1級となるようにエチレンオキサイドを共重合したオキシアルキレン重合体が好ましい。
ポリイソシアネート化合物(E)に含まれるイソシアネート基の数は、1分子当たり平均して2〜5が好ましく、入手の容易さから2〜3がより好ましい。さらに、オキシアルキレン重合体(D)との反応の際にゲル化を起こさないことから、2が最も好ましい。
また、式(21)で示されるケイ素含有基をポリエーテル系重合体の分子中に導入するために用いられる式(23)で表されるケイ素基含有イソシアネート化合物(H)の具体例としては、γ−トリメトキシシリルプロピルイソシアネート、γ−トリエトキシシリルプロピルイソシアネート、γ−メチルジメトキシシリルプロピルイソシアネート、γ−メチルジエトキシシリルプロピルイソシアネート等が挙げられる。
本発明における硬化性組成物と同様の組成物に関しては、長期の貯蔵後に、その硬化速度が貯蔵前から大きく変化してしまうことは好ましくない。例えば、シーリング材として用いられる場合には、目地に塗工後に表面形状を整えたり、仕上げ材や塗料を塗布したりする作業があるので、表面が硬化する時間、いわゆる皮張り時間が変化することは作業の障害となる。
本発明の第二は、第一の発明の硬化性組成物を用いたシーリング材、液状ガスケット、接着剤である。本発明の第一の硬化性組成物は、貯蔵安定性が改善されており、シーリング材、液状ガスケット、接着剤に好適に使用される。
本発明の硬化性組成物の上記用途のより詳細な用途、及び、その他の用途としては、限定はされないが、電気・電子部品(重電部品、弱電部品、電気・電子機器の回路や基板のシーリング材(冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、ガスメーター、電子レンジ、スチームアイロンまたは漏電ブレーカー用のシール材)、ポッティング材(トランス高圧回路、プリント基板、可変抵抗部付き高電圧用トランス、電気絶縁部品、半導電部品、導電部品、太陽電池またはテレビ用フライバックトランスのポッティング)、コーティング材(高電圧用厚膜抵抗器もしくはハイブリッドICの回路素子;HIC;電気絶縁部品;半導電部品;導電部品;モジュール;印刷回路;セラミック基板;ダイオード、トランジスタもしくはボンディングワイヤーのバッファー材;半導電体素子;または光通信用オプティカルファイバーのコーティング)もしくは接着剤(ブラウン管ウェッジ、ネック、電気絶縁部品、半導電部品または導電部品の接着);電線被覆の補修材;電線ジョイント部品の絶縁シール材;OA機器用ロール;振動吸収剤;またはゲルもしくはコンデンサの封入)、自動車部品(自動車エンジンのガスケット、電装部品もしくはオイルフィルター用のシーリング材;イグナイタHICもしくは自動車用ハイブリッドIC用のボッティング材;自動車ボディ、自動車用窓ガラスもしくはエンジンコントロール基板用のコーティング材;またはオイルパンのガスケット、タイミングベルトカバーのガスケット、モール、ヘッドランプレンズ、サンルーフシールもしくはミラー用の接着剤;燃料噴射装置、燃料加熱装置、エアダンパ、圧力検出装置、熱交換器用樹脂タンクのオイルクーラー、可変圧縮比エンジン、シリンダ装置、圧縮天然ガス用レギュレータ、圧力容器、筒内直噴式内燃機関の燃料供給システムもしくは高圧ポンプ用のOリング)、船舶(配線接続分岐箱、電気系統部品もしくは電線用のシーリング材;または電線もしくはガラス用の接着剤)、航空機または鉄道車輛、土木・建築(商業用ビルのガラススクリーン工法の付き合わせ目地、サッシとの間のガラス周り目地、トイレ、洗面所もしくはショーケースにおける内装目地、バスタブ周り目地、プレハブ住宅用の外壁伸縮目地、サイジングボード用目地に使用される建材用シーラント;複層ガラス用シーリング材;道路の補修に用いられる土木用シーラント;金属、ガラス、石材、スレート、コンクリートもしくは瓦用の塗料・接着剤;または粘着シート、防水シートもしくは防振シート)、医療(医薬用ゴム栓、シリンジガスケットもしくは減圧血管用ゴム栓用のシール材料)またはレジャー(スイミングキャップ、ダイビングマスクもしくは耳栓用のスイミング部材;またはスポーツシューズもしくは野球グローブ用のゲル緩衝部材)等の様々な用途に利用可能である。特に限定はされないが、その性状から、自動車部品、Oリング、電機部品、各種機械部品などにおいて使用される液状シール剤に適用するのが好ましい。
本発明の第三は、少なくとも1個の架橋性官能基を末端に有し、主鎖がビニル系重合体であり、主鎖を構成するモノマーの内、重量比で2〜80%のモノマーがアクリル酸メチルであることを特徴とする重合体である。
好ましくは、上述の重合体の主鎖のビニル系重合体が(メタ)アクリル系重合体である。
これらの官能基の導入方法は、、限定はされないが、本発明の第一における説明に準ずる。(メタ)アクリロイル基の導入法としては、WO9965963公報記載の方法が挙げられる。
本発明の第四は、第三の発明の重合体を必須成分とする硬化性組成物である。
本発明の第一の硬化性組成物の成分(I)と同様の架橋性シリル基を末端に有する重合体を必須成分とする場合についての諸条件は、本発明の第一における説明に準ずる。
それら以外の架橋性官能基に関しても、同様の配合材を使用しても構わない。
アルケニル基を末端に有する重合体を必須成分とする硬化性組成物について以下に説明する。
アルケニル基を末端にアルケニル基を有するビニル系重合体を硬化性組成物として使用する場合は単独で用いても硬化剤を混合して用いても良いが、第三の発明の重合体(A成分)及びヒドロシリル基含有化合物(B成分)を含有する硬化性組成物がより好ましい。(B)成分のヒドロシリル基含有化合物としては特に制限はなく、各種のものを用いることができる。すなわち、一般式24または25で表される鎖状ポリシロキサン
R60 3SiO−[Si(R60)2O]a−[Si(H)(R61)O]b−[Si(R61)(R62)O]c−SiR60 3(24)
HR60 2SiO−[Si(R60)2O]a−[Si(H)(R61)O]b−[Si(R61)(R62)O]c−SiR60 2H(25)
(式中R60およびR61は炭素数1〜6のアルキル基、または、フェニル基、R62は炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル基、aは0≦a≦100、bは2≦b≦100、cは0≦c≦100の整数を示す)、
一般式26で表される環状シロキサン
これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもかまわない。これらのシロキサンの中でも(メタ)アクリル系重合体との相溶性の観点から、フェニル基を有する、一般式27、28で示される鎖状シロキサンや、一般式29、30で示される環状シロキサンが好ましい。
(CH3)3SiO−[Si(H)(CH3)O]g−[Si(C6H5)2O]h−Si(CH3)3(27)
(CH3)3SiO−[Si(H)(CH3)O]g−[Si(CH3){CH2C(H)(R66)C6H5}O]h−Si(CH3)3(28)
(式中、R66は水素またはメチル基、gは2≦g≦100、hは0≦h≦100の整数、C6H5はフェニル基を示す)
(B)成分のヒドロシリル基含有化合物としてはさらに、分子中に2個以上のアルケニル基を有する低分子化合物に対し、一般式22〜28に示したヒドロシリル基含有化合物を、反応後にも一部のヒドロシリル基が残るようにして付加反応させて得られる化合物を用いることもできる。分子中に2個以上のアルケニル基を有する化合物としては、各種のものを用いることができる。例示するならば、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン等の炭化水素系化合物、O,O’−ジアリルビスフェノールA、3,3’−ジアリルビスフェノールA等のエーテル系化合物、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルトリメリテート、テトラアリルピロメリテート等のエステル系化合物、ジエチレングリコールジアリルカーボネート等のカーボネート系化合物が挙げられる。
また、遷移金属触媒としては、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh3)3,RhCl3,RuCl3,IrCl3,FeCl3,AlCl3,PdCl2・H2O,NiCl2,TiCl4等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもかまわない。触媒量としては特に制限はないが、(A)成分のアルケニル基1molに対し、10−1〜10−8molの範囲で用いるのが良く、好ましくは10−3〜10−6molの範囲で用いるのがよい。10−8molより少ないと硬化が十分に進行しない。またヒドロシリル化触媒は高価であるので10−1mol以上用いないのが好ましい。硬化条件については特に制限はないが、一般に0℃〜200℃、好ましくは30℃〜150℃で10秒〜24時間硬化するのがよい。特に80℃〜150℃の高温では10秒〜1時間程度の短時間で硬化するものも得られる。硬化物の性状は用いる(A)成分の重合体および(B)成分の硬化剤の主鎖骨格や分子量に依存するが、ゴム状のものから樹脂状のものまで幅広く作成することができる。
本発明の第五は、
(I)上記一般式(1)で示される架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体
(II)メチルエステル基を有する(I)以外の化合物
を必須成分とする貯蔵安定性が改善された硬化性組成物である。
一般式(1)で示される架橋性シリル基は、本発明の第一の硬化性組成物の成分(I)と同様である。架橋性官能基の数も、本発明の第一の硬化性組成物の成分(I)と同様である。
ビニル系重合体の主鎖を構成するビニル系モノマーとしては生成物の物性等から、(メタ)アクリル酸アルキル又は/及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルを主成分とすることが好ましい。
ビニル系重合体の主たる構成単位である(メタ)アクリル酸アルキル又は/及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルの組成比を変えることで耐油、耐熱、酎寒性等の特性を調整することができる。
また、耐油、耐寒性を特に重視する場合には、アクリル酸アルキルがビニル系重合体を構成する全ビニル系モノマーの総量に対して重量比で20%以上60%以下かつ、アクリル酸アルコキシアルキルがビニル系重合体を構成する全ビニル系モノマーの総量に対して重量比で40%以上80%以下であるビニル系重合体が好ましい。この場合において、アクリル酸エチル及びアクリル酸ブチルの総量がビニル系重合体を構成する全ビニル系モノマーの総量に対して重量比で20%以上60%以下かつアクリル酸2−メトキシエチルがビニル系重合体を構成する全ビニル系モノマーの総量に対して重量比で40%以上80%以下のものが耐油性および耐寒性がより優れており好ましい。アクリル酸エチルがビニル系重合体を構成する重量比で10%以上30%以下かつアクリル酸ブチルがビニル系重合体を構成する重量比で10%以上30%以下かつアクリル酸2−メトキシエチルがビニル系重合体を構成する重量比で40%以上80%以下では、耐油性、耐寒性が優れる。アクリル酸エチルがビニル系重合体を構成する重量比で0%以上10%以下かつアクリル酸ブチルがビニル系重合体を構成する重量比で30%以上60%以下かつアクリル酸2−メトキシエチルがビニル系重合体を構成する重量比で40%以上80%以下では、特に耐寒性に優れる。アクリル酸エチルが重量比で30%以上60%以下かつアクリル酸ブチルが重量比で0%以上10%以下かつアクリル酸2−メトキシエチルが重量比で40%以上80%以下では耐油性、耐寒性に優れている。
本発明の第五におけるメチルエステル基を有する(I)以外の化合物は特に限定されず、重合体でないもの、および、重合体のどちらも使用することができる。
メチルエステル基を有する(I)以外の化合物の構造は特に限定されないが、メチルエステル基のα位の炭素原子が一級あるいは二級であるものが、硬化遅延を抑制する効果が大きく、好ましい。
メチルエステル基を有する(I)以外の化合物が重合体でない場合、限定はされないが、ジカルボン酸のジメチルエステルであるものが、化合物の重量当りのメチルエステル濃度が高いため効果が高く、また、揮発もしにくい傾向にあるので、好ましい。
メチルエステル基を有する(I)以外の化合物が重合体でない場合、限定はされないが、次の群から選ばれるものであることが好ましい。
マロン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、酪酸メチル、吉草酸メチル、カプリル酸メチル、カプリン酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、リシノール酸メチル、ヤシ脂肪酸メチル
これらの化合物は単独で用いても、併用しても構わない。
メチルエステル基を有する(I)以外の化合物が重合体の場合は、その構造は特に限定されないが、メチルエステル基を有するモノマーを構成成分として含む重合体であることが好ましい。そのメチルエステル基を有するモノマーは、特に限定されないが、アクリル酸メチルであることが好ましい。
メチルエステル基を有する(I)以外の化合物がメチルエステル基を有するモノマーを構成成分として含む共重合体である場合、メチルエステル基を有するモノマー以外のモノマーが有するエステル基の内、そのエステル基のアルコキシ基に関して、特に限定されないが、一級かつ炭素数5以上であるエステル基が、メチルエステル基に対してモル比で80%以下であることが好ましい。
メチルエステル基を有する(I)以外の化合物がメチルエステル基を有するモノマーを構成成分として含む共重合体である場合、メチルエステル基を有するモノマー以外のモノマーが有するエステル基の内、そのエステル基のアルコキシ基に関して、特に限定されないが、一級かつ炭素数2〜4であるエステル基が、メチルエステル基に対してモル比で400%以下であることが好ましい。
メチルエステル基を有する化合物が重合体である場合、その合成法は限定されないが、公知の種々の重合法が用いられる。そのメチルエステル基を有するモノマーがラジカル重合性モノマーである場合、一般的なフリーラジカル重合、連鎖移動剤を用いたフリーラジカル重合、高温高圧下連続重合(特表昭57−502171号公報、特開昭59−6207号公報、特開昭60−215007号公報、特表平10−511992号公報等に記載)、本特許の成分(I)のポリマーの合成法の項で説明したような原子移動ラジカル重合法を始めとする各種制御ラジカル重合法を用いても構わない。
本発明の第五の硬化性組成物には、本発明の第一の硬化性組成物と同様の物質を添加することができる。
架橋性シリル基を有する重合体からなる硬化性組成物では、一般に硬化触媒やシランカップリング剤を配合する場合が多い。そして、本発明の第五で解決される課題である貯蔵安定性の低下は、これらの硬化触媒やシランカップリング剤を配合した場合に多く発生するため、本発明の効果をより大きく得るためには、これらを含有する配合物が好ましい。また、目的とする物性に応じて、各種の配合剤を添加しても構わない。
本発明の第五の成分(III)縮合硬化触媒は、本発明の第一の成分(II)縮合硬化触媒と同様である。
本発明の第五の成分(IV)アミン化合物は、本発明の第一の成分(III)アミン化合物と同様である。
本発明の第五の成分(IV)アミン化合物の一種であるシランカップリング剤は、本発明の第一の成分(III)アミン化合物の一種であるシランカップリング剤と同様である。
シランカップリング剤以外配合材については、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硫黄、アルキルチタネート類、芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
本発明の第五における硬化性組成物と同様の組成物に関しては、長期の貯蔵後に、その硬化速度が貯蔵前から大きく変化してしまうことは好ましくない。例えば、シーリング材として用いられる場合には、目地に塗工後に表面形状を整えたり、仕上げ材や塗料を塗布したりする作業があるので、表面が硬化する時間、いわゆる皮張り時間が変化することは作業の障害となる。
本発明の第六は、本発明の第五の硬化性組成物を用いたシーリング材、液状ガスケット、接着剤である。
本発明の第七は、メチルエステル基を有する化合物を含有することを特徴とする、(I)上記一般式(1)で示される架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体を必須成分とする硬化性組成物である。
本発明の第七では、成分(I)のビニル系重合体は、(メタ)アクリル系重合体であることが好ましい。また一般式(1)で示される架橋性シリル基は、ビニル系重合体の末端にあることが好ましい。
本発明の第七のメチルエステル基を有する化合物は、成分(I)のビニル系重合体であっても、それ以外の化合物でもよい。メチルエステル基を有する成分(I)のビニル系重合体、またはメチルエステル基を有する成分(I)以外の化合物としては、上記の本発明第一〜第六に記載されたものを挙げることができる。
本発明の第八は、
(I)上記一般式(1)で示される架橋性シリル基を少なくとも1個有し、メチルエステル基を含有するモノマーを構成単位としないビニル系重合体
(II)メチルエステル基を有する化合物
を必須成分とする貯蔵安定性が改善された硬化性組成物である。
本発明の第九は、以下の2成分:
(I)上記一般式(1)で示される架橋性シリル基を少なくとも1個有し、メチルエステル基を含有するモノマーを必須な構成単位とするビニル系重合体
(II)メチルエステル基を有する(I)以外の化合物
を必須成分とする硬化性組成物である。
下記実施例および比較例中「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
下記実施例中、「数平均分子量」および「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodexGPC K−804;昭和電工(株)製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
1Lフラスコに臭化銅(I)3.67g(25.6mmol)、アセトニトリル46mLを仕込み、窒素気流下70℃で20分間加熱攪拌した。これに2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル9.59g(26.6mmol)、アクリル酸ブチル425mL(2.96mol)、アクリル酸メチル41mL(0.44mol)、を加え、さらに80℃で20分間加熱攪拌した。これにペンタメチルジエチレントリアミン(以後トリアミンと称す)0.444mL(2.56mmol)を加えて反応を開始した。さらにトリアミンを0.178mL(0.85mmol)追加した。80℃で加熱攪拌を続け、この間にトリアミン0.178mL(0.85mmol)を追加した。反応開始から180分後、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去した。反応開始から240分後、アセトニトリル140mL、1,7−オクタジエン53mL(0.43mol)、トリアミン1.78mL(8.52mmol)添加し、引き続き80℃で加熱攪拌を続け、反応開始から620分後加熱を停止した。反応溶液を減圧加熱して揮発分を除去して重合体を得た。得られた重合体とキョーワード500SH(協和化学製:重合体100重量部に対して2重量部)、キョーワード700SL(協和化学製:重合体100重量部に対して2重量部)をキシレン(重合体100重量部に対して100重量部)に混合し、130℃で攪拌した。3時間後、珪酸アルミを濾過し、濾液の揮発分を減圧下加熱して留去した。重合体を180℃で減圧下、12時間加熱脱揮した。
重合体とキョーワード500SH(協和化学製:重合体100重量部に対して3重量部)、キョーワード700SL(協和化学製:重合体100重量部に対して3重量部)をキシレン(重合体100重量部に対して100重量部)に混合し、130℃で攪拌した。5時間後、珪酸アルミをろ過し、濾液の揮発分を減圧下加熱して留去しアルケニル末端重合体〔1〕を得た。
1Lフラスコに臭化銅(I)3.40g(23.7mmol)、アセトニトリル47mLを仕込み、窒素気流下70℃で20分間加熱攪拌した。これに2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル7.80g(21.7mmol)、アクリル酸ブチル336mL(2.34mol)、アクリル酸メチル59mL(0.63mol)、アクリル酸ステアリル77mL(0.19mol)を加え、さらに80℃で20分間加熱攪拌した。これにトリアミン0.495mL(2.37mmol)を加えて反応を開始した。さらにトリアミンを0.165mL(0.79mmol)追加した。80℃で加熱攪拌を続け、この間にトリアミン0.165mL(0.79mmol)を追加した。反応開始から180分後、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去した。反応開始から240分後、アセトニトリル141mL、1,7−オクタジエン58mL(0.40mol)、トリアミン1.65mL(7.91mmol)添加し、引き続き80℃で加熱攪拌を続け、反応開始から620分後加熱を停止した。反応溶液を減圧加熱して揮発分を除去して重合体を得た。得られた重合体とキョーワード500SH(協和化学製:重合体100重量部に対して2重量部)、キョーワード700SL(協和化学製:重合体100重量部に対して2重量部)をキシレン(重合体100重量部に対して100重量部)に混合し、130℃で攪拌した。3時間後、珪酸アルミを濾過し、濾液の揮発分を減圧下加熱して留去した。重合体を180℃で減圧下12時間加熱脱揮した。重合体とキョーワード500SH(協和化学製:重合体100重量部に対して3重量部)、キョーワード700SL(協和化学製:重合体100重量部に対して3重量部)をキシレン(重合体100重量部に対して100重量部)に混合し、130℃で攪拌した。5時間後、珪酸アルミをろ過し、濾液の揮発分を減圧下加熱して留去しアルケニル末端重合体〔3〕を得た。重合体〔3〕の数平均分子量は22000、分子量分布は1.2であり、1H−NMR分析より求めた重合体1分子当たりに導入された平均のアルケニル基の個数は2.1個であった。
250L耐圧反応器に臭化銅(I)1.09kg(7.61mol)、アセトニトリル11.4kgを仕込み、窒素気流下65℃で15分間加熱攪拌した。これに2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル2.28kg(6.34mol)、アクリル酸ブチル26.0kg(203mol)を加え、さらに65℃で26分間加熱攪拌した。これにトリアミン22.0g(0.127mol)を加えて反応を開始し、80℃で加熱攪拌を続けた。さらにトリアミンを109.8g(0.634mol)を3回にわけて追加した。反応開始30分後から断続的にアクリル酸ブチル104.0kg(811mol)を120分かけて滴下した。またこの間にトリアミン87.8g(0.507mol)を追加した。反応開始から314分後、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去した。減圧開始から150分後、アセトニトリル34.3kg、1,7−オクタジエン14.0kg(187mol)およびトリアミン439g(2.53mol)を添加し、引き続き80℃で加熱攪拌を続けた。オクタジエン添加から8時間後、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去してアルケニル末端重合体〔5〕を得た。得られた重合体〔5〕の数平均分子量は26000、分子量分布1.3であり、1H−NMR分析より求めた重合体1分子当たりに導入された平均のアルケニル基の個数は2.1個であった。
比較例1と同様にして、アクリル酸ブチルと2,5−ジブロモアジピン酸ジエチルのモル比を128:1で、末端にアルケニル基を有するポリ(アクリル酸−n−ブチル)の重合体〔7〕を得た。次に比較例1と同様にして、末端にシリル基を有するポリ(アクリル酸−n−ブチル)の重合体〔8〕を得た。重合体〔8〕の数平均分子量は21000、分子量分布1.3であり、1H−NMR分析より求めた重合体1分子当たりに導入された平均のシリル基の個数は2.0個であった。
(実施例3)
(実施例4)
(比較例3)
(評価1)
実施例3および4と比較例3で作製したそれぞれの1液配合物を、50℃にて4週間貯蔵したものと、貯蔵する前のものにつき、それぞれ室温にて硬化させ、皮張時間を比較評価した。なお、本発明における皮張時間は、硬化触媒と混合した組成物がゴム弾性を発現し金属スパーテルに着かなくなるまでの時間で評価した。
結果を表1に示した。
(実施例5)
実施例3で用いた重合体〔2〕の代わりに比較例2で得られた重合体〔8〕を用いた以外は実施例3と同様にしてシート状硬化物を作製した。
(実施例6)
実施例6で用いた重合体〔1〕の代わりに比較例2で得られた重合体〔7〕を用いた以外は実施例6と同様にしてシート状硬化物を作製した。
評価2と同様に、実施例6および比較例5で得られた硬化物の機械物性を測定した。実施例6の硬化物の方が高強度であった。
250L耐圧反応器に臭化銅(I)1.09kg(7.61mol)、アセトニトリル11.4kgを仕込み、窒素気流下65℃で15分間加熱攪拌した。これに2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル2.28kg(6.34mol)、アクリル酸ブチル26.0kg(203mol)を加え、さらに65℃で26分間加熱攪拌した。これにペンタメチルジエチレントリアミン(以後トリアミンと称す)22.0g(0.127mol)を加えて反応を開始し、80℃で加熱攪拌を続けた。さらにトリアミンを109.8g(0.634mol)を3回にわけて追加した。反応開始30分後から断続的にアクリル酸ブチル104.0kg(811mol)を120分かけて滴下した。またこの間にトリアミン87.8g(0.507mol)を追加した。反応開始から314分後、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去した。減圧開始から150分後、アセトニトリル34.3kg、1,7−オクタジエン14.0kg(187mol)およびトリアミン439g(2.53mol)を添加し、引き続き80℃で加熱攪拌を続けた。オクタジエン添加から8時間後、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去してアルケニル末端重合体[9]を得た。得られた重合体[9]の数平均分子量は26000、分子量分布1.3であり、1H−NMR分析より求めた重合体1分子当たりに導入された平均のアルケニル基の個数は2.1個であった。
(実施例7〜12)
窒素雰囲気下にて、比較例6で得られた重合体[10]100部に、各種メチルエステル化合物を規定部数(表3参照)、ビニルトリメトキシシラン1.5部、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン2部を充分に手混ぜした後、更に、4価Sn触媒(ジブチル錫ジアセチルアセトナート)1部を混合し、1液配合物を調整した。
実施例7で用いたメチルエステル化合物の代わりにDIDP(ジイソデシルフタレート:協和醗酵製)50部を用いた以外は実施例7と同様にして1液配合物を調整した。
実施例7〜12と比較例7で作製したそれぞれの1液配合物を、50℃にて2週間ならびに4週間貯蔵したものと、貯蔵する前のものにつき、それぞれ室温にて硬化させ、皮張時間を比較評価した。なお、本発明における皮張時間は、硬化触媒と混合した組成物がゴム弾性を発現し金属スパーテルに着かなくなるまでの時間で評価した。
結果を表3に示した。
末端に架橋性シリル基を有するポリ(アクリル酸−n−ブチル)合成
2Lフラスコに臭化第一銅8.39g(58.5mmol)、アセトニトリル112mLを仕込み、窒素気流下70℃で30分間加熱攪拌した。これに2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル17.6g(48.8mmol)、アクリル酸ブチル224mL(1.56mol)を加え、さらに70℃で45分間加熱攪拌した。これにペンタメチルジエチレントリアミン(以後トリアミンと称す)0.41mL(1.95mmol)を加えて反応を開始した。引き続き70℃で加熱攪拌を続け、反応開始後80分から断続的にアクリル酸ブチル895mL(6.24mol)を160分かけて滴下した。またこの間にトリアミン1.84mL(8.81mmol)を追加した。反応開始から375分後1,7−オクタジエン288mL(1.95mol)、トリアミン4.1mL(19.5mmol)添加し、引き続き70℃で加熱攪拌を続け、反応開始から615分後加熱を停止した。反応溶液をトルエンで希釈してろ過し、ろ液を減圧加熱することで重合体[11]を得た。得られた重合体[11]の数平均分子量はGPC測定(移動相クロロホルム、ポリスチレン換算)で24100、分子量分布1.27であり、また1H−NMR分析より求めた重合体1分子あたりのアルケニル基の個数は2.6個であった。
窒素雰囲気下、2Lフラスコに上記で得た重合体、酢酸カリウム11.9g(0.121mol)、DMAc900mLを仕込み、100℃で11時間加熱攪拌した。反応溶液を減圧加熱してDMAcを除去し、トルエンを加えてろ過した。ろ液に吸着剤(200g、協和化学製、キョーワード700PEL)を加えて窒素気流下100℃で3時間加熱攪拌した。吸着剤を濾過により除去した後、ろ液のトルエンを減圧留去することにより重合体[12]を得た。
(実施例13)
架橋性シリル基を有するポリ(アクリル酸−n−ブチル/アクリル酸メチル)共重合体の合成
CuBr3.67g(25.6mmol)、アセトニトリル46mL、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル9.59g(26.6mmol)、アクリル酸ブチル425mL(2.96mol)、アクリル酸メチル41mL(0.44mol)、トリアミン2.58mL(12.78mmol)、アセトニトリル140mL、1,7−オクタジエン53mL(0.43mol)を用いた以外は比較例8と同様にして、アルケニル基末端ビニル系共重合体[14]を得た。
(実施例14)
CuBr3.40g(23.7mmol)、アセトニトリル47mL、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル7.80g(21.7mmol)、アクリル酸ブチル336mL(2.34mol)、アクリル酸メチル59mL(0.63mol)、アクリル酸ステアリル77mL(0.19mol)トリアミン2.475mL(11.86mmol)、アセトニトリル141mL、1,7−オクタジエン58mL(0.40mol)、を用いた以外は比較例8と同様にして、アルケニル基末端ビニル系共重合体[16]を得た。
この共重合体[16](260g)と、ジメトキシメチルヒドロシラン(8.46mL、68.6mmo1)、オルトぎ酸ジメチル(2.50mL、22.9mmol)、および白金触媒を用いて、末端にシリル基を有するポリ(アクリル酸−n−ブチル/アクリル酸メチル)共重合体[17]を得た。得られた共重合体の数平均分子量は約23000、分子量分布は1.3であった。共重合体1分子当たりに導入された平均のシリル基の数を1HNMR分析により求めたところ、約1.7個であった。
アクリル系可塑剤の合成(アクリル酸−n−ブチル/アクリル酸メチル共重合体)
105℃に加熱したトルエン50g中に、メチルアクリレート22.4g(0,26mol)、ブチルアクリレート77.6g(0.61mol)、n−ドデシルメルカプタン10g(0.05mol)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)2.7g、トルエン20gを溶かした溶液を5時間かけて滴下し、その後、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.3gをトルエン10gに溶解した溶液を1時間かけて滴下した。さらに、2時間「後重合」を行なってビニル系共重合体[18]を得た。
得られた溶液をエバポレーターを用いてトルエンを減圧留去して、アクリル系共重合体を得た。得られた共重合体の数平均分子量は2174、分子量分布は2.7粘度はであった。
(実施例15)
(実施例16)
DMA(ジメチルアジペート)を10重量部配合した他は、実施例15と同様の方法で試験を実施した。
(実施例17)
(実施例18)
(実施例19)
(実施例20)
(実施例21)
(合成例2)
105℃に加熱したトルエン50g中に、メチルメタクリレート14.5g(0.14mol)、ブチルアクリレート68.5g(0.53mol)、ステアリルメタクリレート15g(0.08mol)、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン2g(8.6mmol)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.5g、トルエン20gを溶かした溶液を5時間かけて滴下し、その後1時間「後重合」を行なってビニル系共重合体[19]を得た。
攪拌機付耐圧ガラス製反応容器に、主鎖骨格が複合金属シアン化物錯体触媒を用いて得られたものであり、末端がアリル基である数平均分子量20,000の直鎖状ポリプロピレンオキシド500g、ヘキサン10gを加えて90℃で共沸脱水を行った。ヘキサンを減圧下留去した後、窒素置換し、これに対して塩化白金酸触媒20μl(白金換算で5重量%のイソプロパノール溶液)を加え、撹拌しながらDMS(ジメトキシメチルシラン)4.6gをゆっくりと滴下した。その混合溶液を90℃で2時間反応させた後、未反応のDMSを減圧下留去してシリル化ポリマーを得た。このポリマーと比較例8で得られた共重合体[13]を固形分重量比70/30でブレンドした後、溶剤を留去して無溶剤ポリマー[20]を得た。ブレンド比を75/25にした時のポリマー粘度は49.8Pa・sであり、70/30でブレンドすると60.7Pa・s、65/35でブレンドすると86.2Pa・sであった(BM型粘度計、ローターNo.4使用、23℃)。
複合金属シアン化物錯体触媒(亜鉛ヘキサシアノコバルテート)を用いてプロピレンオキシドを重合して得られたオキシプロピレン重合体を用い、特開平5−117521号公報の合成例1の方法に準じて、数平均分子量11,000、Mw/Mnが1.9の反応性ケイ素基末端オキシプロピレン重合体[21]を合成した。また、全末端に対する反応性ケイ素基の導入率は65%であった。
ポリマー[21]と比較例8で得られた共重合体[13]を、固形分重量比70/30でブレンドした後、溶剤を留去してポリマー[22]を得た。
(実施例22)
(実施例23)
DMAを配合しない以外は、実施例15と同様の方法で試験した。
実施例22におけるDMAを添加しない以外は実施例22と同様の方法で試験を実施した。
実施例23におけるDMAを添加しない以外は実施例23と同様の方法で試験を実施した。
実施例15〜23及び比較例11〜13の結果を、表4、表5および表6に示す。
表中の測定項目については以下の通り。
表面硬化時間
初期:1液作成後、7日後に測定。
貯蔵後:50℃×4週間貯蔵後測定。
硬化遅延倍率
貯蔵後の表面硬化時間/初期の表面硬化時間
残留タック
△:指触でタックが感じられる。
○:タックが殆ど感じられない。
◎:タック感が全くない。
105℃に加熱したトルエン50g中に、メチルメタクリレート14.5g、ブチルアクリレート68.5g、ステアリルメタクリレート15g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン2g、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.5g、トルエン20gを溶かした溶液を5時間かけて滴下し、その後1時間「後重合」を行なってビニル系共重合体を得た。
攪拌機付耐圧ガラス製反応容器に、主鎖骨格が複合金属シアン化物錯体触媒を用いて得られたものであり、末端がアリル基である数平均分子量20,000の直鎖状ポリプロピレンオキシド500g、ヘキサン10gを加えて90℃で共沸脱水を行った。ヘキサンを減圧下留去した後、窒素置換し、これに対して塩化白金酸触媒20μl(白金換算で5重量%のイソプロパノール溶液)を加え、撹拌しながらDMS(ジメトキシメチルシラン)4.6gをゆっくりと滴下した。その混合溶液を90℃で2時間反応させた後、未反応のDMSを減圧下留去してシリル化ポリマーを得た。このポリマーと合成例3で得られた共重合体を固形分重量比70/30でブレンドした後、溶剤を留去して無溶剤ポリマー(A)を得た。ブレンド比を75/25にした時のポリマー粘度は49.8Pa・sであり、70/30でブレンドすると60.7Pa・s、65/35でブレンドすると86.2Pa・sであった(BM型粘度計、ローターNo.4使用、23℃)。
(実施例24)
合成例4で得られたポリマー100重量部に対して、可塑剤として数平均分子量3,000のPPG(ポリプロピレングリコール)55重量部、炭酸カルシウム(白石工業(株)製、商品名:CCR)120重量部、酸化チタン(石原産業(株)製、商品名:R−820)20重量部、チクソ性付与剤(楠本化成(株)製、商品名:D−6500)2重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:チヌビン327)1重量部、ヒンダードアミン系光安定剤(三共(株)製、商品名:サノールLS770)1重量部を計量、混合して充分混練りした後、小型3本ペイントロールに3回通した。この後、アジピン酸ジメチル10重量部、ビニルトリメトキシシラン2重量部、アミノシラン化合物(日本ユニカー(株)製、商品名:A−1120)3重量部、硬化促進剤(日東化成(株)製、商品名:U−220)2重量部を加えて混練し硬化性組成物を得た。上記硬化性組成物を23℃×55%R.H.での表面硬化時間を測定すると共に、上記硬化性組成物から、JISA 5758に規定された厚さ3mmのシート状硬化サンプルを作製し、引張試験用ダンベル(JISA型)を作製した。
(実施例25)
実施例24におけるアジピン酸ジメチルの代わりに、セバシン酸ジメチル10重量部を配合する以外は、実施例24と同様の方法で試験を実施した。
実施例24におけるアジピン酸ジメチルを添加しない以外は実施例24と同様の方法で試験を実施した。
実施例24、25、比較例14の各引張試験用ダンベルを用いてオートグラフ(島津製作所製、AG500C型)により引張特性を測定した結果を表7に示す。表中、M100は100%伸張時モジュラス、Tbは破断強度、Ebは破断時伸びを示す。
表中の、引張試験以外の測定項目については以下の通り。
表面硬化時間
初期:1液作成後、7日後に測定。
貯蔵後:50℃×4週間貯蔵後測定。
硬化遅延倍率
貯蔵後の表面硬化時間/初期の表面硬化時間
残留タック
△:指触でタックが感じられる。
○:タックが殆ど感じられない。
◎:タック感が全くない。
また、本発明の第五、第六および第七によれば、メチルエステル基を有する化合物を添加することにより、貯蔵安定性が改善された、架橋性シリル基を有するビニル系重合体を必須成分とする硬化性組成物が得られる。
Claims (12)
- (I)一般式(1)で示される架橋性シリル基を1分子あたり1.2個以上有し、かつ少なくとも1個末端に有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体
−[Si(R1)2−b(Y)bO]m−Si(R2)3−a(Y)a(1)
{式中、R1、R2は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。};および
アミン化合物
を含む硬化性組成物において、(メタ)アクリル酸エステル系重合体として、メチルエステル基を含有するモノマーを必須な構成単位とすることによって、硬化性組成物の貯蔵後の硬化遅延を抑制する方法。 - 前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量と数平均分子量の比が1.8未満である、請求項1記載の硬化性組成物の貯蔵後の硬化遅延を抑制する方法。
- 前記成分(I)の(メタ)アクリル酸エステル系重合体を構成するメチルエステル基を含有するモノマーが、アクリル酸メチルである請求項第1項または第2項に記載の硬化性組成物の貯蔵後の硬化遅延を抑制する方法。
- 前記成分(I)の(メタ)アクリル酸エステル系重合体を構成するメチルエステル基を含有するモノマーが、メタクリル酸メチルである請求項第1項または2項に記載の硬化性組成物の貯蔵後の硬化遅延を抑制する方法。
- 前記成分(I)の(メタ)アクリル酸エステル系重合体が、リビングラジカル重合により合成されたことを特徴とする請求項第1項〜第4項のいずれか1項に記載の硬化性組成物の貯蔵後の硬化遅延を抑制する方法。
- 前記成分(I)の(メタ)アクリル酸エステル系重合体が、原子移動ラジカル重合により合成されたことを特徴とする請求項第1項〜第5項のいずれか1項に記載の硬化性組成物の貯蔵後の硬化遅延を抑制する方法。
- 前記メチルエステル基を含有するモノマーが、アクリル酸メチルであり、(メタ)アクリル酸エステル系重合体におけるアクリル酸メチルの割合が、2〜80重量%であることを特徴とする請求項第1項〜第3項、第5項〜第6項のいずれか1項に記載の硬化性組成物の貯蔵後の硬化遅延を抑制する方法。
- 必須成分として、さらに、縮合硬化触媒を含有する請求項第1項〜第7項のいずれか1項に記載の硬化性組成物の貯蔵後の硬化遅延を抑制する方法。
- 前記縮合硬化触媒が錫系硬化触媒である請求項第8項記載の硬化性組成物の貯蔵後の硬化遅延を抑制する方法。
- 前記アミン化合物のアミノ基が一級アミンである請求項第1項〜第9項のいずれか1項記載の硬化性組成物の貯蔵後の硬化遅延を抑制する方法。
- 前記アミン化合物がシランカップリング剤である請求項第1項〜第10項のいずれか1項記載の硬化性組成物の貯蔵後の硬化遅延を抑制する方法。
- 前記メチルエステル基を含有するモノマーが、メタクリル酸メチルであり、(メタ)アクリル酸エステル系重合体におけるメタクリル酸メチルの割合が、2〜50重量%であることを特徴とする請求項第1項〜第2項、第4項〜第6項、および第8項〜第11項のいずれか1項に記載の硬化性組成物の貯蔵後の硬化遅延を抑制する方法。
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