JP2010106159A - アスファルト防水シート用接着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、建築、土木等の防水分野において、無溶剤型のアスファルト防水シート用接着剤組成物を提供することである。
【解決手段】下記一般式(1):
−Si(R1 3-a)Xa (1)
(式中、R1は炭素数1から10のアルキル基、炭素数6から10のアリール基または炭素数7から10のアラルキル基を示し、Xは水酸基または加水分解性基を示す。aは1、2または3を示す。R1またはXが2個以上ある場合は、それぞれ同一であってもよく異なっていても良い。)で表される反応性基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)100重量部に対し、(B)成分として隣接する炭素上または1つおいた炭素上に、それぞれ水酸基を1個ずつ有する化合物0.1〜50重量部を含有することを特徴とするアスファルト防水シート用接着剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、建築、土木等における、防水材として使用されるアスファルト防水シート用接着剤組成物に関する。
分子中に少なくとも1個の反応性ケイ素基を有する有機重合体は、室温においても湿分等による反応性ケイ素基の加水分解反応を伴うシロキサン結合の形成によって架橋し、ゴム状硬化物になることが知られている。
これらの反応性ケイ素基を有する重合体の中で、主鎖骨格がポリオキシアルキレン系重合体や(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体は、既に工業的に生産され、シーリング材や接着剤、注入材、パテ材、コーティング材等の用途に幅広く使用されている(例えば、特許文献1〜4)。
特に、近年、溶剤系の接着剤が敬遠される用途において、反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体や(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体を用いた硬化性組成物は、溶剤を添加しなくても十分な作業性と各種物性が確保できる環境対応型素材として注目され、実績を伸ばしている(例えば、特許文献5〜8)。
建築用の屋根防水に使用されるアスファルト防水シートの接着においても、環境対応の点から、現行の溶剤系接着剤を、反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体や(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体を含有する接着剤へ置き換える検討が行われている。しかし、反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体や(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体を含有する現行の接着剤では、コンクリート上に塗布するアスファルト系プライマーへの接着性が不十分であり、そのままアスファルト防水シート用の接着剤として置き換えることは困難であった。
特許第1396791号公報 特許第1682540号公報 特許第1611744号公報 特許第1517827号公報 特許第2911991号公報 特許第3563981号公報 特許第3718366号公報 特許第3739307号公報
本発明の課題は、建築、土木等の防水分野において、無溶剤型のアスファルト防水シート用接着剤組成物を提供することである。
上記課題を解決する為に本発明者らが鋭意検討した結果、以下の硬化性組成物が有効であることを見出した。
すなわち、本発明は、
(I).
下記一般式(1):
−Si(R1 3-a)Xa (1)
(式中、R1は炭素数1から10のアルキル基、炭素数6から10のアリール基または炭素数7から10のアラルキル基を示し、Xは水酸基または加水分解性基を示す。aは1、2または3を示す。R1またはXが2個以上ある場合は、それぞれ同一であってもよく異なっていても良い。)で表される反応性基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)100重量部に対し、(B)成分として隣接する炭素上または1つおいた炭素上に、それぞれ水酸基を1個ずつ有する化合物0.1〜50重量部を含有することを特徴とするアスファルト防水シート用接着剤組成物、
(II).
(A)成分の主鎖骨格が、ポリオキシプロピレン系重合体であることを特徴とする(I)に記載のアスファルト防水シート用接着剤組成物、
(III).
(A)成分の分子末端への一般式(1)で表される反応性基の導入率が、平均して50%以上65%未満であることを特徴とする(I)または(II)のいずれかに記載のアスファルト防水シート用接着剤組成物、
(IV).
(A)成分の主鎖骨格の構造が直鎖状であることを特徴とする(I)〜(III)のいずれかに記載のアスファルト防水シート用接着剤組成物、
(V).
(B)成分が、グリセリンモノカルボン酸エステル化合物、ペンタエリスリトールモノカルボン酸エステル化合物、およびソルビタンモノカルボン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、(I)から(IV)のいずれかに記載のアスファルト防水シート用接着剤組成物、
(VI).
(B)成分が、グリセリンモノカルボン酸エステル化合物であることを特徴とする(I)〜(V)のいずれかに記載のアスファルト防水シート用接着剤組成物、
(VII).
(A)成分が、下記一般式(2)で表される基を有することを特徴とする(I)〜(VI)のいずれかに記載のアスファルト防水シート用接着剤組成物、
−NR2−C(=O)− (2)
(式中、R2は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基を示す。)
(VIII).
(A)成分100重量部に対して、(C)成分として一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するビニル系重合体1〜100重量部を含有することを特徴とする(I)〜(VII)のいずれかに記載のアスファルト防水シート用接着剤組成物、
に関する。
本発明により、無溶剤型のアスファルト防水シート用接着剤組成物を提供することが可能となる。本発明の組成物は、アスファルト系プライマーへの接着性に優れており、アスファルト防水シート用接着剤として優れる。
本発明の(A)反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体における主鎖骨格は、本質的に一般式(3)で表される繰り返し単位を有するものがあげられる。
−R3−O− (3)
(式中、R3は2価の有機基であり、炭素数1〜14の直鎖または分岐アルキレン基を示す。)
一般式(3)で表される繰り返し単位の具体例としては、例えば、−CH2CH2O−、−CH(CH3)CH2O−、−CH(C25)CH2O−、−C(CH32CH2O−、−CH2CH2CH2CH2O−などがあげられる。
ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなっていてもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなっていてもよい。特に−CH(CH3)CH2O−を繰り返し単位とするポリオキシプロピレンが非晶質であり、重合体を適度に低粘度化できる点や硬化物に適度な柔軟性を付与できる点から好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体の合成法としては、例えばKOHのようなアルカリ触媒による重合法、例えば特開昭61−215623号に示される有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる錯体のような遷移金属化合物−ポルフィリン錯体触媒による重合法、例えば特公昭46−27250号および特公昭59−15336号などに示される複金属シアン化物錯体触媒による重合法等をあげることができるが、特に限定されるものではない。
本発明の(A)反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体における反応性ケイ素基は、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シラノール縮合触媒によって、触媒される反応によりシロキサン結合を形成しうる基である。反応性ケイ素基としては、下記一般式(1)で表される基があげられる。
−Si(R1 3-a)Xa (1)
(式中、R1は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(RO)3Si−で表されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1が2個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここで、Rは炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、3個のRは同一でもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは1、2または3を示す。)
上記一般式(1)のXが加水分解性基であるとき、特に限定されず、公知の加水分解性基であればよい。具体的には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などがあげられる。これらの中では、加水分解性が穏やかで取扱い易いという点でメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基などのアルコキシ基が特に好ましい。
上記一般式(1)のR1は炭素数1から10のアルキル基、炭素数6から10のアリール基または炭素数7から10のアラルキル基であり、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基などがあげられる。これらの中では、原料入手性の点からメチル基が特に好ましい。
上記一般式(1)で表される反応性ケイ素基の具体的な構造としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、メトキシジエトキシシリル基、エトキシジメトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジイソプロポキシメチルシリル基、メトキシジメチルシリル基、エトキシジメチルシリル基、イソプロポキシジメチルシリル基を挙げることができる。特に、反応性、入手性などの点から、トリメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基が好ましく、メチルジメトキシシリル基が特に好ましい。
また、反応性ケイ素基は1種で使用しても良く、2種以上を併用してもかまわない。
ポリオキシアルキレン系重合体への反応性ケイ素基の導入は公知の方法で行えばよい。例えば、以下に示す方法があげられる。
(i)分子中に水酸基等の官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基および不飽和基を有する有機化合物を反応させて、不飽和基を含有するポリオキシアルキレン系重合体を得る。もしくは、たとえばエポキサイドを開環重合してポリオキシアルキレン系重合体を得る際に、不飽和基含有エポキサイドを開環共重合させて、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体を得るなど、重合反応に関与しない不飽和基を有するモノマーを共重合させて不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体を得る。ついで、得られた反応生成物に反応性ケイ素基を有するヒドロシランを付加させてヒドロシリル化する。
(i)の方法において、反応性ケイ素基を高い導入率で導入するためには、CH2=C(R4)−CH2−またはCH(R4)=CH2−CH2−(式中、R4は水素、または炭素数1〜10の炭化水素基)で表される不飽和基を含有するポリオキシアルキレン系重合体にヒドロシラン化合物を付加させることにより導入することが好ましい。より好ましくは、R4が水素またはメチル基である。
(i)の方法において用いるヒドロシラン化合物の具体例としては、例えば、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、フェニルジクロロシランのようなハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシランのようなアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシランのようなアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシランのようなケトキシメートシラン類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちではとくにハロゲン化シラン類、アルコキシシラン類が好ましく、特にアルコキシシラン類は、得られる組成物の加水分解性が穏やかで取り扱い易いために最も好ましい。
(ii)(i)法と同様にして得られた不飽和基を含有するポリオキシアルキレン系重合体にメルカプト基と反応性ケイ素基とを有する化合物を反応させる。
(ii)の合成法としては、たとえば、ラジカル開始剤および/またはラジカル発生源存在下で、メルカプト基および反応性ケイ素基を有する化合物をラジカル付加反応によってポリオキシアルキレン系重合体の不飽和結合部位に導入する方法などがあげられるが、特に限定されるものではない。前記メルカプト基および反応性ケイ素基を有する化合物の具体例としては、たとえば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
(iii)分子中に水酸基、エポキシ基やイソシアネート基などの官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、この官能基に対して反応性を示す官能基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる。
(iii)の合成法のうち、末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物とを反応させる方法としては、たとえば、特開平3−47825号公報に示される方法などがあげられるが、特に限定されるものではない。前記イソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物の具体例としては、たとえば、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシランなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
以上の方法の中では、(ii)の方法で得られる重合体はメルカプトシランに起因する臭気が強いことから、(i)の方法、または(iii)の方法が好ましい。
さらに、(iii)の方法のうち、末端に水酸基を有する重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法は、比較的短い反応時間で高い転化率が得られるために好ましい。このような反応で得られるオキシアルキレン系重合体は、反応性ケイ素基とともに、下記一般式(2)で表される基を有する重合体となる。
−NR2−C(=O)− (2)
(式中、R2は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基を示す。)
なお、上記一般式(2)で表される基を有する(A)成分は、上記以外の方法でも得られる。具体例をあげると、トルエン(トリレン)ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族系ポリイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族系ポリイソシアネート類などのジイソシアネート化合物と、前記一般式(3)の繰り返し単位を有するポリオキシアルキレン系重合体との鎖延長反応から得られるものは、反応性ケイ素基の導入方法に係わらず一般式(2)の基を有するものとなる。
反応性ケイ素基の導入方法について言えば、(i)の方法で得られた反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は(iii)の方法で得られる重合体よりも低粘度で作業性の良い組成物となる点において好ましい。一方、(iii)の方法は水酸基含有重合体へのシリル基の導入が1工程で出来るので(A)成分を生産性良く製造できる点において好ましい。
(A)成分は直鎖状、または分岐を有していてもよく、その数平均分子量はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算において3,000以上が好ましく、100,000以下が現実的である。より好ましくは10,000以上であり、50,000以下である。分子量の下限は、15,000以上がさらに好ましく、20,000以上が特に好ましい。数平均分子量が10,000未満では、組成物の硬度が高く不都合な傾向があり、50,000を越えると高粘度となるために作業性の点で不都合な傾向があるからである。
(A)成分中の反応性ケイ素基は、ポリオキシアルキレン系重合体の末端あるいは内部に結合していてもよく、また、末端と内部の両方に結合していてもよい。とくに、反応性ケイ素基が分子末端にのみ結合しているときは、組成物に含まれる重合体成分の網目が効率的に構築されるため、高強度で、高伸びのゴム状硬化物が得られ易くなるなどの点から好ましい。
(A)成分における反応性ケイ素基の導入率を測定する方法としては種々の方法が考えられるが、1H−NMRスペクトルにより、反応性ケイ素基の導入された末端等の積分値から算出することができる。反応性ケイ素基の導入率とは、分子中に存在する反応性ケイ素基の数を分子末端の数で除して百分率で表した数値である。つまり、1分子中に平均して2個の反応性ケイ素基を有する直鎖状の重合体(即ち分子末端数が2個の重合体)の場合の導入率は100%と計算される。このため、分子末端以外の部位に反応性ケイ素基が多数存在するような重合体では、導入率の計算値が100%を越える場合もある。
反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の反応性ケイ素基の導入率は、特に限定されない。NMR測定から求めた全分子末端に対する反応性ケイ素基末端の割合が、50%以上65%未満であることが、アスファルトプライマーへの接着性が効果的に得られるという点で好ましい。反応性ケイ素基導入率が50%未満になると、硬化物の硬化性が不十分になり好ましくない。また導入率が65%以上になると、アスファルトプライマーに対する接着性、特に耐水試験後の接着性が悪化するため好ましくない。
(A)反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の具体例としては、例えば、特公昭45−36319号、同46−12154号、特開昭50−156599号、同54−6096号、同55−13767号、同55−13468号、同57−164123号、特公平3−2450号、米国特許3,632,557、米国特許4,345,053、米国特許4,366,307、米国特許4,960,844などの各公報に提案されているもの、また特開昭61−197631号、同61−215622号、同61−215623号、同61−218632号の各公報に提案されている数平均分子量6,000以上、分子量分布(Mw/Mn)が1.6以下の高分子量で分子量分布が狭い反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体が例示できるが、特にこれらに限定されるものではない。
上記の反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性組成物には、(B)成分として、隣接する炭素上または1つおいた炭素上に、それぞれ水酸基を1個ずつ有する化合物を添加することができる。
(B)成分の具体例としては、例えば、グリセリン;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノイソステアレート、グリセリンモノオレエート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノアセテート、グリセリンモノベヘネート等のグリセリンモノカルボン酸エステル化合物;ペンタエリストール;ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノイソステアレート、ペンタエリスリトールモノオレエート、ペンタエリスリトールモノラウレート等のペンタエリスリトールモノカルボン酸エステル化合物;ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールジオレエート、ペンタエリスリトールジラウレート等のペンタエリスリトールジカルボン酸エステル化合物;ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノベヘネート等のソルビタンモノカルボン酸エステル化合物;ソルビタンジステアレート、ソルビタンジオレエート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンジパルミテート、ソルビタンジベヘネート等のソルビタンジカルボン酸エスエル化合物;グリセリンモノステアリルエーテル、グリセリンモノオレイルエーテル、グリセリンモノラウリルエーテル、グリセリンモノ−2−エチルヘキシルエーテル等のグリセリンモノアルキルエーテル化合物;ペンタエリスリトールモノステアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノオレイルエーテル、ペンタエリスリトールモノラウリルエーテル等のペンタエリスリトールモノアルキルエーテル化合物;ペンタエリスリトールジステアリルエーテル、ペンタエリスリトールジオレイルエーテル、ペンタエリスリトールジラウリルエーテル等のペンタエリスリトールジアルキルエーテル化合物;1,4−、1,5−、3,6−ソルビタン;ソルビタンモノステアリルエーテル、ソルビタンモノオレイルエーテル、ソルビタンモノラウリルエーテル等のソルビタンモノアルキルエーテル化合物;ソルビタンジステアリルエーテル、ソルビタンジオレイルエーテル、ソルビタンジラウリルエーテル等のソルビタンジアルキルエーテル化合物等が挙げられる。
(B)成分の多くは、乳化剤、界面活性剤、分散剤、消泡剤、防曇剤、可溶化剤、増粘剤、滑剤として使用される汎用のものが多く、容易に入手できる。
これら(B)成分は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。(B)成分の添加により、アスファルトプライマーへの接着性が向上する。中でも、グリセリンモノカルボン酸エステル化合物、ペンタエリスリトールモノカルボン酸エステル化合物、ソルビタンモノカルボン酸エステル化合物、グリセリンモノアルキルエーテル化合物が好ましく、グリセリンモノカルボン酸エステル化合物が最も好ましい。
(B)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜50重量部が好ましく、より好ましくは0.2〜30重量部である。0.1重量部未満ではアスファルトプライマーへの接着性が十分には得られず、50重量部を超えると硬化物の破断強度が不足するため好ましくない。
本発明の硬化性組成物には、(C)成分として反応性ケイ素基を有するビニル系重合体を添加することができる。
ビニル系重合体の主鎖は、制御ラジカル重合あるいはフリーラジカル重合により得ることができる。
まず制御ラジカル重合の場合について説明する。
発明者らは、これまでに様々な架橋性官能基を重合体末端に有するビニル系重合体、その製造法、硬化性組成物、及び用途に関して数々の発明を行ってきた(特開平11−080249、特開平11−080250、特開平11−005815、特開平11−116617、特開平11−116606、特開平11−080571、特開平11−080570、特開平11−130931、特開平11−100433、特開平11−116763、特開平9−272714号、特開平9−272715号等を参照)。本発明のビニル系重合体としては特に限定されないが、上に例示した発明で開示される重合体をすべて好適に用いることができる。
本発明のビニル系重合体の主鎖を構成するビニル系モノマーとしては、特に限定されず、各種のものを用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等の芳香族ビニル系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニル系モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアクリロニトリル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。
ビニル系重合体の主鎖が、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1つのモノマーを主として重合して製造されるものであることが好ましい。ここで「主として」とは、ビニル系重合体を構成するモノマー単位のうち50モル%以上、好ましくは70%以上が、上記モノマーであることを意味する。
なかでも、硬化物の物性等から、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましい。より好ましくは、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーであり、特に好ましくはアクリル酸エステルモノマーであり、更に好ましくは、アクリル酸ブチルである。本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40%以上含まれていることが好ましい。なお上記表現形式で例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/あるいはメタクリル酸を表す。
なお、限定はされないが、ゴム弾性を要求する用途にはビニル系重合体のガラス転移温度が室温ないしは使用温度よりも低いことが好ましい。
ビニル系重合体の分子量分布、すなわち、GPCで測定した重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1.8未満であり、より好ましくは1.7以下であり、更に好ましくは1.6以下であり、なお好ましくは1.5以下であり、特に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。
ビニル系重合体の数平均分子量は特に制限はないが、GPCで測定した場合、500〜1,000,000の範囲が好ましく、1,000〜100,000がより好ましく、5,000〜50,000が更に好ましい。
ビニル系重合体の主鎖を合成するための制御ラジカル重合としては、リビングラジカル重合が好ましく、その中でも原子移動ラジカル重合が好ましい。
原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられる。成長末端構造を1分子内に2つ以上有する重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いるのが好ましい。こうした開始剤の具体例としては、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル等が挙げられる。
この重合において用いられるビニル系モノマーとしては特に制約はなく、既に例示したものをすべて好適に用いることができる。
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、又は11族元素を中心金属とする金属錯体である。更に好ましいものとして、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルを中心金属とする錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジル及びその誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等の配位子が添加される。好ましい配位子は、含窒素化合物であり、より好ましい配位子は、キレート型含窒素化合物であり、更に好ましい配位子は、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミンである。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh33)も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。更に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh32)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl2(PPh32)、及び、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr2(PBu32)も、触媒として好適である。
重合は無溶剤又は各種の溶剤中で行うことができる。溶剤の種類としては、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒等が挙げられ、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
また、限定はされないが、重合は0℃〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは50〜150℃である。
本発明の原子移動ラジカル重合には、いわゆるリバース原子移動ラジカル重合も含まれる。リバース原子移動ラジカル重合とは、通常の原子移動ラジカル重合触媒がラジカルを発生させた時の高酸化状態、例えば、Cu(I)を触媒として用いた時のCu(II’)に対し、過酸化物等の一般的なラジカル開始剤を作用させ、その結果として原子移動ラジカル重合と同様の平衡状態を生み出す方法である(Macromolecules 1999,32,2872参照)。
ビニル系重合体の反応性ケイ素基の導入率は特に限定されないが、NMR測定から求めた全分子末端に対する反応性ケイ素基末端の割合が、50%以上65%未満であることが、アスファルトプライマーへの接着性が効果的に得られるという点で好ましい。
本発明の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物にゴム的な性質が特に要求される場合には、ゴム弾性に大きな影響を与える架橋点間分子量が大きくとれるため、反応性ケイ素基の少なくとも1個は分子鎖の末端にあることが好ましい。より好ましくは、全ての架橋性官能基を分子鎖末端に有するものである。
上記反応性ケイ素基を分子末端に少なくとも1個有するビニル系重合体、中でも(メタ)アクリル系重合体を製造する方法は、特公平3−14068号公報、特公平4−55444号公報、特開平6−211922号公報等に開示されている。しかしながらこれらの方法は上記「連鎖移動剤法」を用いたフリーラジカル重合法であるので、得られる重合体は、架橋性官能基を比較的高い割合で分子鎖末端に有する一方で、Mw/Mnで表される分子量分布の値が一般に2以上と大きく、粘度が高くなるという問題を有している。従って、分子量分布が狭く、粘度の低いビニル系重合体であって、高い割合で分子鎖末端に架橋性官能基を有するビニル系重合体を得るためには、上記「リビングラジカル重合法」を用いることが好ましい。
ビニル系重合体の反応性ケイ素基としては、特に限定されないが、例えば前述の一般式(1)で示される反応性ケイ素基が同様に使用できる。
以下に、ビニル系重合体への反応性ケイ素基導入法について説明するが、これに限定されるものではない。
反応性ケイ素基を少なくとも1個有するビニル系重合体の合成方法としては、
(I)アルケニル基を少なくとも1個有するビニル系重合体に反応性ケイ素基を有するヒドロシラン化合物を、ヒドロシリル化触媒存在下に付加させる方法、
(II)水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体に一分子中に反応性ケイ素基とイソシアネート基のような水酸基と反応し得る基を有する化合物を反応させる方法、
(III)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、1分子中に重合性のアルケニル基と反応性ケイ素基を併せ持つ化合物を反応させる方法、
(IV)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、反応性ケイ素基を有する連鎖移動剤を用いる方法、
(V)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に1分子中に反応性ケイ素基と安定なカルバニオンを有する化合物を反応させる方法;等が挙げられる。
次にフリーラジカル重合法により製造されたビニル系重合体について説明する。
ビニル系モノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができ、上述のモノマーをすべて好適に用いることができる。
限定はされないが、ビニル系重合体の主鎖が、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1つのモノマーを主として重合して製造されるものであることが好ましい。ここで「主として」とは、ビニル系重合体を構成するモノマー単位のうち50モル%以上、好ましくは70%以上が、上記モノマーであることを意味する。
なかでも、硬化物の物性等から、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましい。より好ましくは、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーである。本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40%以上含まれていることが好ましい。なお上記表現形式で例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/あるいはメタクリル酸を表す。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。
なお、このビニル系重合体中には(メタ)アクリル酸エステルモノマー等上記モノマー単位のほかに、これらと共重合性を有する単量体単位が含有されていてもよい。例えば、(メタ)アクリル酸等のカルボン酸基、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含む単量体等は、湿分硬化性、内部硬化性の点で共重合効果が期待できる。その他アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に起因する単量体単位等が挙げられる。
この場合のビニル系重合体の数平均分子量は特に制限はないが、GPCで測定した場合、500〜100,000のものが取り扱いの容易さの点から好ましい。更に5,000〜30,000のものが硬化物の耐候性、作業性が良好であることからより好ましい。
フリーラジカル重合でビニル系重合体の主鎖を合成する方法は、通常のビニル重合の方法、例えば、ラジカル反応による溶液重合法により得ることができる。重合は、通常、前記の単量体およびラジカル開始剤や連鎖移動剤等を加えて50〜150℃で反応させることにより行われる。
前記ラジカル開始剤の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック)アシッド、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、アゾビスイソ酪酸アミジン塩酸塩 、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−tert−ブチル等の有機過酸化物系開始剤が挙げられるが、重合に使用する溶媒の影響を受けない、爆発等の危険性が低い等の点から、アゾ系開始剤の使用が好ましい。
連鎖移動剤の例としては、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプタン類や含ハロゲン化合物等が挙げられる。
重合は溶剤中で行なってもよい。溶剤の例としては、エーテル類、炭化水素類、エステル類等の非反応性の溶剤が好ましい。
この場合のビニル系重合体の反応性ケイ素基の数は、特に限定されないが、組成物の硬化性、及び硬化物の物性の観点から、平均して1個以上有することが好ましく、より好ましくは1.1個以上、更に好ましくは1.2個以上、もっと好ましくは1.5以上である。
ビニル系重合体の反応性ケイ素基としては、前述の一般式(1)で示される反応性ケイ素基が同様に使用できる。
本発明のビニル系重合体の中に反応性ケイ素基を導入する方法としては、例えば、重合性不飽和結合と反応性ケイ素基とを併せ持つ化合物を(メタ)アクリル酸エステル単量体単位と共重合させる方法が挙げられる。重合性不飽和結合と反応性ケイ素基とを併せ持つ化合物としては、一般式(4):
CH2=C(R5)COOR6−Si(R1 3-a)Xa (4)
(式中、R5は水素原子またはメチル基、R6は炭素数1〜6の2価のアルキレン基を示す。R1,X,aは前記一般式(1)と同様。)
または一般式(5):
CH2=C(R5)−Si(R1 3-a)Xa (5)
(式中、R5は水素原子またはメチル基を示す。R1,X,aは前記一般式(1)と同様。)
で表される単量体、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のγ−メタクリロキシプロピルポリアルコキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のγ−アクリロキシプロピルポリアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルアルキルポリアルコキシシラン等が挙げられる。
これら(C)成分は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。(C)成分の添加により、コンクリート以外の基材に対する接着性が向上する。特に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体が、(A)成分を含めた多くの成分との相溶性に優れ、各種基材への接着性がバランス良く得られるため好ましい。
(C)成分の使用量には特に限定はなく、(A)成分100重量部に対して1〜100重量部が好ましく、より好ましくは2〜80重量部である。1重量部未満では各種基材への接着性が十分には得られず、100重量部を超えると硬化物の伸びが不足するため好ましくない。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じ、シランカップリング剤や硬化触媒、可塑剤、チクソ性付与剤、フィラー、安定剤等を添加することができる。
シランカップリング剤の具体例としては、特に限定されず、従来公知のものを広く使用することができる。例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、β−アミノエチルトリメトキシシラン、β−アミノエチルトリエトキシシラン、β−アミノエチルメチルジメトキシシラン、β−アミノエチルメチルジエトキシシラン、α−アミノメチルトリメトキシシラン、α−アミノメチルトリエトキシシラン、α−アミノメチルトリイソプロポキシシラン、α−アミノメチルメチルジメトキシシラン、α−アミノメチルメチルジエトキシシラン、α−アミノメチルジイソプロポキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−β−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−α−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−α−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−α−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−β−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−α−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−α−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−ベンジル−α−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、N−(6−アミノヘキシル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン等のケチミン型シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、(イソシアネートメチル)トリメトキシシラン、(イソシアネートメチル)ジメトキシメチルシラン等のイソシアネート基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類等を挙げることができる。また、上記シラン類を部分的に縮合した縮合体も使用できる。更に、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、シリル化ポリエステル等もシランカップリング剤として用いることができる。また、メチルシリケートやエチルシリケート等のシリケート類も使用することができる。
これらは、単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。シランカップリング剤の添加により、各種被着体への接着性が向上する。特に、γ−アミノプロピルトリメトキシシランやN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランが、取り扱い易さや入手性、接着性等の点から好ましい。
シランカップリング剤の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部である。0.1重量部未満では接着性の低下を招き、20重量部を超えると耐候性が低下するので好ましくない。
硬化触媒の具体例としては、特に限定されず、従来公知のものを広く使用することができる。例えば、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、チタンテトラアセチルアセトナート等のチタン化合物;ジブチルスズジラウレート、ビス(ジブチルスズラウレート)オキサイド、ジブチルスズマレート、ジブチルスズフタレート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジエチルヘキサノエート、ジブチルスズジメチルマレート、ジブチルスズジエチルマレート、ジブチルスズジブチルマレート、ジブチルスズジオクチルマレート、ジブチルスズジトリデシルマレート、ジブチルスズジベンジルマレート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジエチルマレート、ジオクチルスズジオクチルマレート、ジブチルスズジメトキサイド、ジブチルスズジノニルフェノキサイド、ジブテニルスズオキサイド、ジブチルスズビスアセチルアセトナート、ジブチルスズビスエチルアセトアセトナート、ジブチルスズオキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジブチルスズオキサイドとマレイン酸エステルとの反応物、ジブチルスズオキサイドとエチルシリケートとの反応物、ジブチルスズジアルキレートとエチルシリケートとの反応物等の4価のスズ化合物;オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ、ステアリン酸スズ、バーサチック酸等の2価のスズ化合物;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート等のジルコニウム化合物類;ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート);オクチル酸亜鉛;ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ラウリルアミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、フェニルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリルビグアニド、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物、あるいはこれらアミン系化合物のカルボン酸等との塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物、更には他の酸性触媒、塩基性触媒等公知のシラノール縮合触媒等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。硬化触媒の添加により、組成物に適度な硬化性を付与することができる。特に、4価のスズ化合物や2価のスズ化合物とアミンの組合せ、フェニルグアニジンやトリルビグアニド等のアミン化合物が、取り扱い易さや硬化性、機械物性、接着性等の点から好ましく、更には4価のスズ化合物が接着性やコスト等の点からより好ましい。
硬化触媒の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.2〜8重量部である。0.1重量部未満では十分な硬化性が得られず、また、10重量部を超えると接着界面へのブリード等が起こって接着性が低下する等好ましくない。
本発明の硬化性組成物においては、硬化触媒の活性をより高めるために、一般式R1 4-aSi(OR1a(式中、R1、aは前記一般式(1)と同様。)で示されるケイ素化合物を添加しても構わない。前記ケイ素化合物としては、限定はされないが、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等の一般式中のSi原子に直結するR1の少なくとも1個が、炭素数6〜10のアリール基であるものが、組成物の硬化反応を加速する効果が大きいために好ましい。特に、ジフェニルジメトキシシランやジフェニルジエトキシシランは、低コストであり、入手が容易であるために特に好ましい。このケイ素化合物の配合量は反応性ケイ素基を有する有機重合体ポリオキシアルキレン系重合体(A)の合計量100重量部に対して0.01〜10重量部程度が好ましく、0.1〜8重量部が更に好ましい。ケイ素化合物の配合量がこの範囲を下回ると硬化反応を加速する効果が小さくなる場合がある。一方、ケイ素化合物の配合量がこの範囲を上回ると、硬化物の硬度や引張強度が低下することがある。
可塑剤の具体例としては、特に限定されず、公知のものが使用できる。例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジ−n−オクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)セバシケート、テトラヒドロフタル酸ジ2−エチルヘキシル等の非芳香族2塩基酸エステル類;パラフィン基油、ナフテン基油、アロマ基油等のプロセスオイル;亜麻仁油、大豆油、桐油等の脂肪酸油;亜麻仁油、大豆油、桐油、ヒマシ油等の脂肪酸を原料とする脂肪酸アルキルエステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のポリアルキレングリコールのエステル類;トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリイソデシル等の芳香族系エステル類;オレイン酸メイル、オレイン酸ブチル、リノール酸メチル、リノレン酸メチル、リシノール酸メチル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル等の脂肪酸エステル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリオールの水酸基を変性した変性ポリエーテルポリオール等のポリエーテルポリオール類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;トリメリット酸エステル類;ポリブタジエン、ポリブテン、水添ポリブテン、水添α−オレフィンオリゴマー等のポリビニル系オリゴマー;水添液状ポリブタジエン等の水添ポリブタジエン系オリゴマー:プロセスオイル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ系可塑剤類;パラフィン油、塩化パラフィン油等のパラフィン類;ナフテン油等のシクロパラフィン類;ビフェニル、トリフェニル等の芳香族系オリゴマー;芳香族系オリゴマーの完全または部分水添物;アルキルスルホン酸エステル系化合物類;セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸等の2塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコールから得られるポリエステル系可塑剤類;アクリル系可塑剤を始めとするビニル系モノマーを種々の方法で重合して得られるビニル系重合体類等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。可塑剤の添加により、組成物の粘度が低下し作業性が向上する。特に、フタル酸エステルやポリエーテルポリオール類が、入手性や取り扱い易さ、作業性等の点から好ましい。
可塑剤の使用量は、(A)成分100重量部に対して1〜100重量部が好ましく、より好ましくは5〜80重量部である。1重量部未満では十分な作業性が得られず、また、100重量部を超えると接着界面へのブリード等が起こって接着性が低下する等好ましくない。
チクソ性付与剤の具体例としては、例えば、水添ヒマシ油、有機アミドワックス、有機ベントナイト、ステアリン酸カルシウム等が挙げられ、これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。チクソ性付与剤の添加により、組成物のチクソ性が向上する。特に、有機アミドワックスが、入手性や取り扱い易さ、チクソ性効果等の点から好ましい。チクソ性付与剤の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜15重量部である。0.1重量部未満では十分なチクソ性が得られず、また、20重量部を超えると粘度の経時変化が大きくなる等好ましくない。
フィラーの具体例としては、特に限定されず、従来公知のものを広く使用することができる。例えば、重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、硅砂、砕石、砂利、カーボンブラック、溶融シリカ、沈降性シリカ、ヒュームドシリカ、タルク、カオリン、クレー、無水ケイ酸、石英粉末、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスビーズ、アルミナ、ガラスバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、フライアッシュ、フライアッシュバルーン、セメント、酸化ケイ素、酸化カルシウム等の無機フィラー;パルプ、木綿チップ、クルミ殻粉、もみ殻粉等の木質フィラー;粉末ゴム、再生ゴム等ゴム系フィラー;熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の微粉末、PEやアクリル樹脂等の中空体等の有機フィラー等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。フィラーの使用により、組成物の作業性が改善される。特に、炭酸カルシウムが入手性や取り扱い易さ、作業性等の点から好ましい。フィラーの使用量は、(A)成分100重量部に対して10〜500重量部が好ましく、より好ましくは50〜400重量部である。10重量部未満では十分な作業性が得られず、500重量部を超えると系の粘度が上昇し作業性が低下する等好ましくない。
安定剤の具体例としては、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
酸化防止剤を使用すると硬化物の耐熱性を高めることができる。酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系、アミン系、ポリフェノール系が例示できるが、特にヒンダードフェノール系が好ましい。酸化防止剤の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部使用することが好ましく、0.2〜5重量部使用することがさらに好ましい。
光安定剤を使用すると硬化物の光酸化劣化を防止することができる。光安定剤としてはベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系化合物等が例示できるが、特にヒンダードアミン系が好ましい。光安定剤の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部使用することが好ましく、0.2〜5重量部使用することがさらに好ましい。
紫外線吸収剤を使用すると硬化物の表面耐候性を高めることができる。紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチレート系、置換トリル系及び金属キレート系化合物等が例示できるが、特にベンゾトリアゾール系が好ましい。紫外線吸収剤の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部使用することが好ましく、0.2〜5重量部使用することがさらに好ましい。
さらに、本発明の硬化性組成物には、硬化性組成物又は硬化物の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。このような添加物の例としては、例えば、希釈剤、難燃剤、硬化性調整剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、滑剤、顔料、発泡剤、溶剤、防かび剤等が挙げられる。これらの各種添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明の硬化性組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型として調製することも可能であり、硬化剤として別途硬化触媒、充填材、可塑剤、水等の成分を配合しておき、該配合材と重合体組成物を使用前に混合する2成分型として調製することもできる。
本発明の硬化性組成物の調整法には特に限定はなく、例えば上記した成分を配合し、ミキサー、ロール、ニーダー等を用いて常温または加熱下で混練したり、適した溶剤を少量使用して成分を溶解させ、混合したりする等の通常の方法を用いることができる。
本発明の硬化性組成物が使用される用途としては、建築用や土木用の防水材、シーリング材、接着剤などとして効果的に利用することができる。特に、本組成物は、アスファルトプライマーやアスファルト防水シートへの接着性や耐水接着性に優れることから、防水分野におけるアスファルト防水シート用接着剤として使用することができる。
本発明の硬化性組成物を実施例に基づいて説明する。以下合成例、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの合成例、実施例に限定されるものではない。
(合成例1)
数平均分子量2,000のポリオキシプロピレンジオールと数平均分子量3,000のポリオキシプロピレントリオールの1/1(重量比)混合物を開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒を用いてプロピレンオキシドを重合することにより数平均分子量19,000(GPCより求めたポリスチレン換算値)のポリプロピレンオキシドを得た。得られた水酸基末端ポリプロピレンオキシドとナトリウムメトキシドを反応させた後、塩化アリルを反応させて、末端水酸基を不飽和基に変換した。この不飽和基末端ポリオキシアルキレンの不飽和基1モルに対してジメトキシメチルシラン0.72モルを塩化白金酸の存在下反応させて、数平均分子量19,000(GPCより求めたポリスチレン換算値)のポリオキシプロピレン系重合体を得た(ポリマーA)。1H−NMR測定による末端のジメトキシメチルシリル基の導入率は70%であった。
(合成例2)
数平均分子量2,000のポリオキシプロピレンジオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒を用いてプロピレンオキシドを重合することにより数平均分子量30,000(GPCより求めたポリスチレン換算値)のポリプロピレンオキシドを得た。得られた水酸基末端ポリプロピレンオキシドとナトリウムメトキシドを反応させた後、塩化アリルを反応させて、末端水酸基を不飽和基に変換した。この不飽和基末端ポリオキシアルキレンの不飽和基1モルに対してジメトキシメチルシラン0.82モルを塩化白金酸の存在下反応させて、数平均分子量30,200(GPCより求めたポリスチレン換算値)のポリオキシプロピレン系重合体を得た(ポリマーB)。1H−NMR測定による末端のジメトキシメチルシリル基の導入率は80%であった。
(合成例3)
数平均分子量2,000のポリプロピレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒を用いてプロピレンオキシドを重合することにより数平均分子量15,000(GPCより求めたポリスチレン換算値)のポリオキシプロピレングリコールを得た。得られたポリプロピレングリコールとナトリウムメトキシドを反応させた後、3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを添加して末端の水酸基をメタリル基に変換した。このメタリル基末端ポリオキシアルキレン重合体のメタリル基1モルに対してジメトキシメチルシラン1.2モルを、酸化防止剤2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、塩化白金酸、硫黄[1eq/Pt]の存在下反応させることにより、分子末端にジメトキシメチルシリル基を97%(1H−NMR分析)有する数平均分子量15,300(GPCより求めたポリスチレン換算値)のポリオキシプロピレン系重合体を得た(ポリマーC)。
(合成例4)
数平均分子量2,000のポリオキシプロピレンジオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒を用いてプロピレンオキシドを重合することにより数平均分子量16,200(送液システムとして東ソー製HLC−8120GPCを用い、カラムは東ソー製TSK−GEL Hタイプを用い、溶媒はTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量)のポリオキシプロピレンジオールを得た。得られたポリオキシプロピレンジオールとナトリウムメトキシドを反応させた後、塩化アリルを反応させて、末端水酸基を不飽和基に変換した。この不飽和基末端ポリオキシプロピレン重合体の不飽和基1モルに対して、ジメトキシメチルシラン0.6モルを白金ジビニルジシロキサン錯体の存在下反応させ、分子末端にジメトキシメチルシリル基を有する数平均分子量16,600(GPCより求めたポリスチレン換算値)、分子量分布が1.30のポリオキシプロピレン系重合体を得た(ポリマーD)。1H−NMR(日本電子製JNM−LA400を用いて、CDCl3溶媒中で測定)測定による末端のジメトキシメチルシリル基の導入率は60%であった。
(合成例5)
数平均分子量2,000のポリオキシプロピレンジオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒を用いてプロピレンオキシドを重合することにより、数平均分子量22,500(GPCより求めたポリスチレン換算分子量)のポリオキシプロピレンジオールを得た。得られた重合体の水酸基1モルに対して、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン0.55モルを加えて90℃で5時間反応させることにより、分子末端にトリメトキシシリル基を有する数平均分子量24,000のポリオキシプロピレン系重合体を得た(ポリマーE)。1H−NMR(日本電子製JNM−LA400を用いて、CDCl3溶媒中で測定)測定による末端のジメトキシメチルシリル基の導入率は54%であった。
(合成例6)
110℃に加熱したトルエン43g中にアクリル酸ブチル6.0g、メタクリル酸メチル66g、メタクリル酸ステアリル13g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン5.4g、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン7.0gおよびトルエン23g混合物に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2.6gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行い、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量が2,200の共重合体を得た(ポリマーF)。
(合成例7)
臭化第一銅8.39g(58.5mmol)、アセトニトリル112mLを仕込み、窒素気流下70℃で30分間加熱攪拌した。これに2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル17.6g(48.8mmol)、アクリル酸ブチル224mL(1.56mol)を加え、70℃で45分間加熱攪拌した。これにペンタメチルジエチレントリアミン(以後トリアミンと称す)0.41mL(1.95mmol)を加えて反応を開始した。引き続き70℃で加熱攪拌を続け、反応開始後80分から断続的にアクリル酸ブチル895mL(6.24mol)を160分かけて滴下した。またこの間にトリアミン1.84mL(8.81mmol)を追加した。反応開始から375分後に、1,7−オクタジエン288mL(1.95mol)、トリアミン4.1mL(19.5mmol)を添加し、引き続き70℃で加熱攪拌を続け、反応開始から615分後に加熱を停止した。反応溶液をトルエンで希釈してろ過し、ろ液を減圧加熱することにより重合体[1]を得た。得られた重合体[1]の数平均分子量は24,000、分子量分布1.3であり、また1H−NMR分析より求めた重合体1分子あたりのアルケニル基の個数は2.6個であった。
窒素雰囲気下、2Lフラスコに、上記重合体[1]、酢酸カリウム11.9g(0.121mol)、N,N−ジメチル酢酸アミド(以下DMAcともいう)900mLを仕込み、100℃で11時間加熱攪拌した。反応溶液を減圧加熱してDMAcを除去し、トルエンを加えてろ過した。ろ液に吸着剤(200g、協和化学製、キョーワード700PEL)を加えて窒素気流下100℃で3時間加熱攪拌した。吸着剤を濾過により除去した後、ろ液のトルエンを減圧留去することにより重合体[2]を得た。
1L耐圧反応容器に、重合体[2](648g)、ジメトキシメチルシラン(25.5mL、0.207mol)、オルト蟻酸メチル(7.54mL、0.0689mol)、及び0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体を仕込んだ。ただし、白金触媒の使用量は、重合体のアルケニル基に対してモル比で3×10-3当量とした。混合物を100℃で2時間加熱攪拌した。混合物の揮発分を減圧留去することにより、シリル基末端重合体(ポリマーG)を得た。得られた重合体の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により30,000、分子量分布は1.8であった。1H−NMR測定による末端のジメトキシメチルシリル基の導入率は95%であった。
(実施例1〜10、比較例1〜4)
合成例1〜7で得られたポリマーを使用し、表1に示す組成の1液型硬化性組成物を作製し、下記評価を行った。
尚、実施例8および比較例2では、合成例1で得られたポリマーAと合成例6で得られたポリマーF(固形分濃度60%のトルエン溶液)を、固形分比(重量比)100/20でブレンドし、エバポレーターで揮発分を脱揮(110℃、減圧)することにより、固形分濃度99%以上の透明で粘稠なポリマー混合物を調製し、使用した。評価結果を表1に示す。
Figure 2010106159
(物性評価)
評価結果は下に示す項目について実施した。
<アスファルト系プライマーへの接着性>
予め、モルタル板の横側と裏側をウレタン系の塗料によってシールして、23℃、50%R.H.で2日間養生した(モルタル板:50×50×15mm、エンジニアリングテストサービス製)。続いて、アスファルト系プライマーをモルタル板の表側へ塗布し、屋外にて1日養生した。その後組成物をアスファルトプライマー側にビード状(厚さ2〜3mm)に塗布し、23℃、50%R.H.下で7日間養生した。その後、硬化物とモルタルの間にナイフで切れ目を入れ、硬化物を引き剥がして接着状態を観察した(初期)。また、上記試験サンプルを23℃水に7日間および14日間浸漬し、取り出した後、同様な操作にて、硬化物を引き剥がして接着状態を観察した(耐水後)。モルタル側へ接着剤が100%残った場合を◎、75%以上の場合を○、50%以上75%未満の場合を△、50%以下を×、全く残らなかった場合を××とした。
<アスファルト防水シートへの接着性>
硬化性組成物を、アスファルト防水シートの表面へビード状(幅約10mm、厚さ4〜8mm)に塗布し、23℃、50%R.H.(相対湿度)の条件下で7日間養生した。その後、硬化物とアスファルト防水シートの間にナイフで切れ目を入れ、硬化物を引き剥がして接着状態を観察した(初期)。また、上記試験サンプルを23℃水に7日間および14日間浸漬し、取り出した後、同様な操作にて、硬化物を引き剥がして接着状態を観察した(耐水後)。アスファルト防水シート側へ接着剤が100%残った場合を◎、75%以上の場合を○、50%以上75%未満の場合を△、50%以下を×、全く残らなかった場合を××とした。
以上、実施例に記載の硬化性組成物は、アスファルトプライマーおよびアスファルト防水シートに対し優れた接着性および耐水接着性を示した。一方、比較例の組成物では、優れた耐水接着性を発現する系は見られなかった。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1):
    −Si(R1 3-a)Xa (1)
    (式中、R1は炭素数1から10のアルキル基、炭素数6から10のアリール基または炭素数7から10のアラルキル基を示し、Xは水酸基または加水分解性基を示す。aは1、2または3を示す。R1またはXが2個以上ある場合は、それぞれ同一であってもよく異なっていても良い。)で表される反応性基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)100重量部に対し、(B)成分として隣接する炭素上または1つおいた炭素上に、それぞれ水酸基を1個ずつ有する化合物0.1〜50重量部を含有することを特徴とするアスファルト防水シート用接着剤組成物。
  2. (A)成分の主鎖骨格が、ポリオキシプロピレン系重合体であることを特徴とする請求項1に記載のアスファルト防水シート用接着剤組成物。
  3. (A)成分の分子末端への一般式(1)で表される反応性基の導入率が、平均して50%以上65%未満であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のアスファルト防水シート用接着剤組成物。
  4. (A)成分の主鎖骨格の構造が直鎖状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアスファルト防水シート用接着剤組成物。
  5. (B)成分が、グリセリンモノカルボン酸エステル化合物、ペンタエリスリトールモノカルボン酸エステル化合物、およびソルビタンモノカルボン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載のアスファルト防水シート用接着剤組成物。
  6. (B)成分が、グリセリンモノカルボン酸エステル化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアスファルト防水シート用接着剤組成物。
  7. (A)成分が、下記一般式(2)で表される基を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のアスファルト防水シート用接着剤組成物。
    −NR2−C(=O)− (2)
    (式中、R2は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基を示す。)
  8. (A)成分100重量部に対して、(C)成分として一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するビニル系重合体1〜100重量部を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のアスファルト防水シート用接着剤組成物。
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