JPWO2009020040A1 - 硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

溶剤系アスファルト組成物や水系アスファルト組成物の欠点であった、無溶剤、速硬化、接着性等の物性を確保しつつ、作業性や貯蔵安定性が良好な硬化性組成物を提供することである。(A)一般式(1):−Si(R13-a)X1a(1)で表される反応性ケイ素基を有する有機重合体100重量部、(B)一分子中に、一般式(2):−Si(R23-b)X2b(2)で表される反応性ケイ素基とアミノ基を有するシランカップリング剤0.1〜20重量部、(C)アスファルト1〜200重量部、(D)可塑剤10〜120重量部、(E)含水ケイ酸アルミニウム1〜100重量部、(F)無機フィラー10〜500重量部、(G)硬化触媒0.1〜10重量部を含有し、JIS K 7117に準拠する方法で測定される粘度(2rpm、ローターNo.7、BS形粘度計)が、23℃で800Pa・s以下である硬化性組成物を用いる。

Description

本発明は、建築、土木、工業用途等における、防水材や接着剤、シーリング材として有用な硬化性組成物に関する。
アスファルトは粘着性、加工性、防水性に優れ、安価で使い易い材料であることから、道路舗装材やルーフィング材、シーリング材、接着剤、水路ライニング材、制振材、防音材等の分野で幅広く使用されている。
例えば、アスファルトをルーフィング材として使用する場合、複数枚のアスファルトシートを熱アスファルトによって積層し、防水層を形成させる所謂アスファルト防水熱工法が、従来より数多く使用されている。該工法の防水信頼性は非常に高いが、アスファルトを溶融する際に煙や匂いが大量に発生し、周辺の環境を著しく汚染するといった環境問題があるため、近年は住宅密集地域や都市中心部において敬遠され、採用される物件が減少しつつある。また、作業者が火傷をおう危険もあり、作業者の安全性の点からも敬遠される傾向にある。
こうした熱工法の問題点を克服するため、冷工法として粘着剤層を有するアスファルト防水シートの利用が広がっている。しかし、施工時に発生する剥離紙の廃材問題や、粘着剤層では下地との接着性が不完全となり漏水が発生する等の問題が発生している。
冷工法としては、この他アスファルトを溶剤で希釈し、常温で施工可能な粘度に調整した溶剤系アスファルトや、アスファルトをエマルション化した水系アスファルトの利用によるアスファルトシートの貼り合わせが行われている。しかし、溶剤系アスファルトは溶剤による臭気や揮散にともなう環境問題、更には溶剤が揮散するまで十分な接着性が発現しないという様々な欠点がある。また、水系アスファルト組成物では、冬場の硬化性低下や最終的な接着強度を十分に確保できない点等が問題となっている。
こうした問題を改善するため、アスファルトと反応性ケイ素基を有する有機重合体の混合による無溶剤かつ非水系の硬化性組成物が提案されている(特許文献1〜4)。しかしながら、該組成物により上記溶剤系アスファルト組成物や水系アスファルト組成物の欠点は改善されたものの、作業性を高めた低粘度組成においては、系の安定性が低下し、貯蔵後に分離現象が見られる等、十分な貯蔵安定性が得られないという問題があった。この場合の貯蔵後の分離とは、密閉容器内で組成物を貯蔵中に、低粘度成分からなる液状成分が分離する現象のことを指す。
US2005−0107499号公報 WO2006−046472号公報 WO2006−046473号公報 WO2006−046474号公報
本発明が解決しようとする課題は、溶剤系アスファルト組成物や水系アスファルト組成物の欠点であった、無溶剤、速硬化、接着性等の物性を確保しつつ、作業性や貯蔵安定性が良好な硬化性組成物を提供することである。
上記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討した結果、以下の硬化性組成物が有効であることを見出した。
すなわち本発明は、
(A)下記一般式(1):
−Si(R1 3-a)X1 a (1)
(式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基を示し、X1は水酸基または加水分解性基を示す。aは1、2または3を示す。)
で表される反応性ケイ素基を有する有機重合体100重量部、
(B)一分子中に、下記一般式(2):
−Si(R2 3-b)X2 b (2)
(式中、R2は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基を示し、X2は水酸基または加水分解性基を示す。bは2または3を示す。)で表される反応性ケイ素基とアミノ基を有するシランカップリング剤0.1〜20重量部、
(C)アスファルト1〜200重量部、
(D)可塑剤10〜120重量部、
(E)含水ケイ酸アルミニウム1〜100重量部、
(F)無機フィラー10〜500重量部
(G)硬化触媒0.1〜10重量部
を含有し、JIS K 7117に準拠する方法で測定される粘度(2rpm、ローターNo.7、BS形粘度計)が、23℃で800Pa・s以下である硬化性組成物に関する。
好ましくは、(H)粘着付与樹脂1〜80重量部を含有する硬化性組成物に関する。
更に好ましくは、(A)成分が、一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体(a1)および/またはビニル系重合体(a2)である硬化性組成物に関する。
また、更に好ましくは、(a1)成分の主鎖骨格が、ポリオキシプロピレン系重合体である硬化性組成物に関する。
また、更に好ましくは、(a2)成分の主鎖骨格が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体である硬化性組成物に関する。
また、更に好ましくは、(C)成分であるアスファルトに含まれるアスファルテンの重量%が10重量%以下である硬化性組成物に関する。
また、更に好ましくは、(E)成分が、カオリンおよび/またはクレーである硬化性組成物に関する。
また、更に好ましくは、(H)成分が、テルペンフェノール樹脂、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族/芳香族混合型炭化水素樹脂、またはこれらを(アルキル)フェノールで変性した樹脂の少なくとも1種以上である硬化性組成物に関する。
また、更に好ましくは、(D)成分が、エステル系化合物である硬化性組成物に関する。
また、更に好ましくは、(E)成分が、カオリンである硬化性組成物に関する。
また、更に好ましくは、JIS K 7117に準拠する方法で測定される粘度(2rpm、ローターNo.7、BS形粘度計)が、23℃で500Pa・s以下である上記いずれかに記載の硬化性組成物に関する。
また、上記いずれかに記載の硬化性組成物を用いてなる防水材に関する。
また、上記いずれかに記載の硬化性組成物を用いてなる接着剤に関する。
また、上記いずれかに記載の硬化性組成物を用いてなるシーリング材に関する。
本発明により、煙や臭気を発生せず、作業性や硬化性、接着性、貯蔵安定性に優れた硬化性組成物を得ることができる。
本発明の硬化性組成物は、(A)反応性ケイ素基を有する有機重合体100重量部に対して、(B)反応性ケイ素基とアミノ基を有するシランカップリング剤を0.1〜20重量部、(C)アスファルトを1〜200重量部、(D)可塑剤を10〜120重量部、(E)含水ケイ酸アルミニウムを1〜100重量部、(F)無機フィラーを10〜500重量部、(G)硬化触媒を0.1〜10重量部を含有し、JIS K 7117に準拠する方法で測定される粘度(2rpm、ローターNo.7、BS形粘度計)が、23℃で800Pa・s以下であることを特徴とする。
本発明の硬化性組成物では、反応性ケイ素基を有する有機重合体(A)の種類により、その重合体独特の特性を発現することが可能である。反応性ケイ素基を有する有機重合体(A)には特に限定はなく、例えばその主鎖骨格は一般に知られているポリオキシアルキレン系重合体、ビニル系重合体、ポリエステル系重合体等の有機重合体を使用することができる。特に、反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体(a1)および/または反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(a2)が、組成物の作業性や硬化性、硬化物の機械物性や接着性等の点から好ましい。
本発明の(A)成分として使用される反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体(a1)の反応性ケイ素基としては、特に限定されるものではなく、代表的なものを示すと、例えば、一般式(1):
−Si(R1 3-a)X1 a (1)
(R1は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラルキル基を示し、X1は水酸基または加水分解性基を示す。aは1、2または3を示す。)で表される基が挙げられる。
上記X1で示される加水分解性基は特に限定されず、従来公知の加水分解性基であれば好適に使用できる。具体的には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられるが、加水分解性が穏やかで取り扱い易いという点から、メトキシ基等のアルコキシ基が特に好ましい。
この水酸基や加水分解性基は1個のケイ素原子に1〜3個結合することができ、反応性ケイ素基中に2個以上存在する場合には、それらは同一であっても異なっていても良い。
上記一般式(1)におけるR1の具体例としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。R1としてはメチル基が特に好ましい。
反応性ケイ素基としては、特に制限されないが、加水分解活性の高い点と加水分解性が穏やかで取り扱い易い点から、ジメチルモノメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、トリエトキシシリル基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体(a1)の主鎖構造としては、一般式(3):
−R3−O− (3)
(R3は水素、酸素、及び窒素からなる群より選択される1種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基を示す。)
で示される構造を繰り返し単位とする重合体であればよい。また 繰り返し単位の全てが同一である単独重合体であっても良く、2つ以上の種類の繰り返し単位を含む共重合体であっても良い。更に主鎖中に分岐構造を有していても良い。
反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体(a1)の主鎖ポリマーは、2価アルコール又は多価アルコール及び水酸基を有する各種オリゴマーを開始剤とし、種々の重合触媒の存在下、モノエポキシ化合物を開環重合させることによって得られる。
開始剤の具体例としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、メタリルアルコール、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ポリブタジエンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール(ポリオキシプロピレンジオール)、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシプロピレンテトラオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリオキシプロピレンジオールやポリオキシプロピレントリオール等が挙げられる。特に、ポリオキシプロピレングリコールやポリオキシプロピレントリオールを使用するのが、製造のし易さ等の点から好ましいが、それ以外のものであっても良い。
また、モノエポキシ化合物の具体例としては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、α−ブチレンオキサイド、β−ブチレンオキサイド、ヘキセンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、α−メチルスチレンオキシド等のアルキレンオキサイド類、およびメチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のアルキル又はアリル又はアリールグリシジルエーテル類を挙げることができる。特に、プロピレンオキサイドを使用するのが、最終的に得られる(a1)成分の作業性や硬化後の柔軟性、接着性等を確保し易い点で好ましいが、それ以外のものであっても良い。
また、重合触媒の具体例としては、例えばKOH、NaOH等のアルカリ触媒、トリフルオロボラン−エーテラート等の酸性触媒、アルミノポルフィリン金属錯体やシアン化コバルト亜鉛−グライム錯体触媒等の複合金属シアン化物錯体触媒等の既に公知のものが用いられる。特に副反応が少ない複合金属シアン化物錯体触媒である亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒の使用が好ましいが、それ以外のものであってもよい。
これら重合に関する具体的としては、例えば、KOHのようなアルカリ触媒による重合法、例えば、特開昭61−215623号公報に示される有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる錯体に代表される遷移金属化合物−ポルフィリン錯体触媒による重合法、例えば、特公昭46−27250号、特公昭59−15336号、米国特許3278457号、米国特許3278458号、米国特許3278459号、米国特許3427256号、米国特許3427334号、米国特許3427335号各公報に示される複合金属シアン化物錯体触媒による重合法、例えば、特開平11−60723号公報に示されるフォスファゼンを用いた重合法等が挙げられる。中でも複合金属シアン化物錯体触媒による重合法、フォスファゼンを用いた重合法は、着色が殆どなく、また、高分子量であっても分子量分布が狭いポリオキシアルキレン系重合体を得ることができるために高分子量ながら低粘度のポリオキシアルキレン系重合体が得られる特徴があるので好ましい。
この他にも、反応性ケイ素基を含有するポリオキシアルキレン系重合体(a1)の主鎖ポリマーは、水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体を塩基性化合物、例えばKOH、NaOH、KOCH3、NaOCH3等の存在下、2官能以上のハロゲン化アルキル、例えばCH2Cl2、CH2Br2等による鎖延長等によっても得ることができる。また、2官能や3官能のイソシアネート化合物によって水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体を鎖延長する方法等も挙げられる。
反応性ケイ素基をポリオキシアルキレン系重合体の重合体末端に導入する方法としては、特に限定されず、種々の方法を用いることができる。特に、アルケニル基を末端に有するポリオキシアルキレン系重合体と反応性ケイ素基含有ヒドロシラン化合物とを8族遷移金属触媒の存在下で反応させる方法が好ましい。
ヒドロシラン化合物としては、たとえば、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、フェニルジクロロシランのようなハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシランのようなアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシランのようなアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシランのようなケトキシメートシラン類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちでは特にハロゲン化シラン類、アルコキシシラン類が好ましい。
これ以外にも水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体への反応性ケイ素基含有イソシアネート化合物の添加や、イソシアネート基末端ポリオキシアルキレン系重合体と反応性ケイ素基含有アミン化合物との反応、イソシアネート基末端ポリオキシアルキレン系重合体と反応性ケイ素基含有メルカプタン化合物との反応等によっても得ることができる。
アルケニル基を末端に有するポリオキシアルキレン系重合体の製造法としては、従来公知の方法を用いればよく、例えば水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体にアルケニル基を有する化合物を反応させて、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合等により結合させる方法等が挙げられる。例えば、エーテル結合によりアルケニル基を導入する場合は、ポリオキシアルキレン系重合体の水酸基末端を−ONaや−OK等のオキシメタル基にした後、一般式(4):
CH2=CH−R4−Y (4)
または一般式(5):
CH2=C(R5)−R4−Y (5)
(式中、R4は炭素数1〜10の2価のアルキレン基、R5は炭素数10以下のアルキル基、Yはハロゲン原子。)で示される不飽和基含有化合物を反応させる方法が挙げられる。
末端水酸基をオキシメタル基にする方法としては、Na、Kのごときアルカリ金属;NaHのごとき金属水素化物;NaOCH3のごとき金属アルコキシド;NaOH、KOH等のアルカリ水酸化物等と反応させる方法が挙げられる。
一般式(4)または(5)で示される不飽和基含有化合物の具体例としては、CH2=CH−CH2−Cl、CH2=CH−CH2−Br、CH2=CH−C24−Cl、CH2=CH−C24−Br、CH2=CH−C36−Cl、CH2=CH−C36−Br、CH2=C(CH3)−CH2−Cl、CH2=C(CH3)−CH2−Br、CH2=C(CH2CH3)−CH2−Cl、CH2=C(CH2CH3)−CH2−Br、CH2=C(CH2CH(CH32)−CH2−Cl、CH2=C(CH2CH(CH32)−CH2−Br、等が挙げられ、特に反応性の点から、CH2=CH−CH2−Cl、CH2=C(CH3)−CH2−Clが好ましい。
不飽和基の導入方法としては、これ以外にCH2=CH−CH2−基やCH2=C(CH3)−CH2−基等を有するイソシアネート化合物、カルボン酸、エポキシ化合物等を用いることもできる。
8族遷移金属触媒としては、白金、ロジウム、コバルト、パラジウム及びニッケル等の8族遷移金属元素から選ばれた金属錯体触媒等が使用される。例えば、H2PtCl6・6H2O、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体、Ptメタル、RhCl(PPh33、RhCl3、Rh/Al23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2等のような化合物が使用できるが、ヒドロシリル化の反応性の点から、H2PtCl6・6H2O、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体のいずれかであることが特に好ましい。
この様な製造法は、例えば、特許公報第1396791号、特許公報第1727750号、特許公報第2135751号、特開平3−72527号公報に示されている。
反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体(a1)は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、あるいは、これらの混合物であってもよい。また、他の単量体単位等が含まれていてもよいが、適度に低粘度である点や適度な柔軟性を有する硬化物を与える点から、上記一般式(3)で表わされる構成単位が、ポリオキシアルキレン系重合体中に50重量%以上、好ましくは80重量%以上存在することが好ましい。
反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体(a1)の分子量には特に制限はないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定におけるポリスチレン換算での数平均分子量が500〜100,000であることが好ましい。更には取り扱いの容易さ等から1,000〜70,000であることが好ましい。数平均分子量が500未満であると硬化物が脆くなるため好ましくなく、100,000を越えると重合体の粘度が高くなりすぎるため好ましくない。
更に、この反応性ケイ素基を有する含有ポリオキシアルキレン系重合体(a1)においては、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw /Mn )が2.5以下であるのが好ましく、より好ましくは2.0以下であり、更に好ましくは1.6以下である。分子量分布は各種の方法で測定可能であるが通常GPC法での測定が一般的である。上記Mw/Mn が2.5以下の反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を用いた組成物は低粘度であり、良好な作業性を示す。
次に、本発明の(A)成分として使用可能な反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(a2)について説明する。ビニル系重合体(a2)の主鎖は、制御ラジカル重合あるいはフリーラジカル重合により得ることができる。
まず制御ラジカル重合の場合について説明する。
発明者らは、これまでに様々な架橋性官能基を重合体末端に有するビニル系重合体、その製造法、硬化性組成物、及び用途に関して数々の発明を行ってきた(特開平11−080249、特開平11−080250、特開平11−005815、特開平11−116617、特開平11−116606、特開平11−080571、特開平11−080570、特開平11−130931、特開平11−100433、特開平11−116763、特開平9−272714号、特開平9−272715号等を参照)。本発明のビニル系重合体(a2)としては特に限定されないが、上に例示した発明で開示される重合体をすべて好適に用いることができる。
本発明のビニル系重合体(a2)の主鎖を構成するビニル系モノマーとしては、特に限定されず、各種のものを用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等の芳香族ビニル系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニル系モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアクリロニトリル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。
ビニル系重合体(a2)の主鎖が、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1つのモノマーを主として重合して製造されるものであることが好ましい。ここで「主として」とは、ビニル系重合体を構成するモノマー単位のうち50モル%以上、好ましくは70%以上が、上記モノマーであることを意味する。
なかでも、生成物の物性等から、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましい。より好ましくは、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーであり、特に好ましくはアクリル酸エステルモノマーであり、更に好ましくは、アクリル酸ブチルである。本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40%以上含まれていることが好ましい。なお上記表現形式で例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/あるいはメタクリル酸を表す。
なお、限定はされないが、ゴム弾性を要求する用途にはビニル系重合体(a2)のガラス転移温度が室温ないしは使用温度よりも低いことが好ましい。
ビニル系重合体(a2)の分子量分布、すなわち、GPCで測定した重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1.8未満であり、より好ましくは1.7以下であり、更に好ましくは1.6以下であり、なお好ましくは1.5以下であり、特に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。
ビニル系重合体(a2)の数平均分子量は特に制限はないが、GPCで測定した場合、500〜1,000,000の範囲が好ましく、1,000〜100,000がより好ましく、5,000〜50,000が更に好ましい。
ビニル系重合体(a2)の主鎖を合成するための制御ラジカル重合としては、リビングラジカル重合が好ましく、その中でも原子移動ラジカル重合が好ましい。
原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられる。成長末端構造を1分子内に2つ以上有する重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いるのが好ましい。こうした開始剤の具体例としては、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル等が挙げられる。
この重合において用いられるビニル系モノマーとしては特に制約はなく、既に例示したものをすべて好適に用いることができる。
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、又は11族元素を中心金属とする金属錯体である。更に好ましいものとして、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルを中心金属とする錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジル及びその誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等の配位子が添加される。好ましい配位子は、含窒素化合物であり、より好ましい配位子は、キレート型含窒素化合物であり、更に好ましい配位子は、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミンである。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh33)も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。更に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh32)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl2(PPh32)、及び、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr2(PBu32)も、触媒として好適である。
重合は無溶剤又は各種の溶剤中で行うことができる。溶剤の種類としては、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒等が挙げられ、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
また、限定はされないが、重合は0℃〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは50〜150℃である。
本発明の原子移動ラジカル重合には、いわゆるリバース原子移動ラジカル重合も含まれる。リバース原子移動ラジカル重合とは、通常の原子移動ラジカル重合触媒がラジカルを発生させた時の高酸化状態、例えば、Cu(I)を触媒として用いた時のCu(II’)に対し、過酸化物等の一般的なラジカル開始剤を作用させ、その結果として原子移動ラジカル重合と同様の平衡状態を生み出す方法である(Macromolecules 1999,32,2872参照)。
ビニル系重合体(a2)は、少なくとも1個の架橋性シリル基を有するものである。また、組成物の硬化性及び硬化物の物性の観点から、架橋性シリル基の数は平均して、好ましくは1.1個以上4.0以下、より好ましくは1.2個以上3.5以下である。
本発明の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物にゴム的な性質が特に要求される場合には、ゴム弾性に大きな影響を与える架橋点間分子量が大きくとれるため、架橋性シリル基の少なくとも1個は分子鎖の末端にあることが好ましい。より好ましくは、全ての架橋性官能基を分子鎖末端に有するものである。
上記架橋性シリル基を分子末端に少なくとも1個有するビニル系重合体、中でも(メタ)アクリル系重合体を製造する方法は、特公平3−14068号公報、特公平4−55444号公報、特開平6−211922号公報等に開示されている。しかしながらこれらの方法は上記「連鎖移動剤法」を用いたフリーラジカル重合法であるので、得られる重合体は、架橋性官能基を比較的高い割合で分子鎖末端に有する一方で、Mw/Mnで表される分子量分布の値が一般に2以上と大きく、粘度が高くなるという問題を有している。従って、分子量分布が狭く、粘度の低いビニル系重合体であって、高い割合で分子鎖末端に架橋性官能基を有するビニル系重合体を得るためには、上記「リビングラジカル重合法」を用いることが好ましい。
ビニル系重合体(a2)の反応性ケイ素基としては、前述の一般式(1)で示される反応性ケイ素基が同様に使用できる。
以下に、ビニル系重合体へのシリル基導入法について説明するが、これに限定されるものではない。
反応性ケイ素基を少なくとも1個有するビニル系重合体(a2)の合成方法としては、
(I)アルケニル基を少なくとも1個有するビニル系重合体に反応性ケイ素基を有するヒドロシラン化合物を、ヒドロシリル化触媒存在下に付加させる方法
(II)水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体に一分子中に反応性ケイ素基とイソシアネート基のような水酸基と反応し得る基を有する化合物を反応させる方法
(III)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、1分子中に重合性のアルケニル基と反応性ケイ素基を併せ持つ化合物を反応させる方法
(IV)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、反応性ケイ素基を有する連鎖移動剤を用いる方法
(V)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に1分子中に反応性ケイ素基と安定なカルバニオンを有する化合物を反応させる方法;等が挙げられる。
次にフリーラジカル重合法により製造されたビニル系重合体(a2)について説明する。
ビニル系モノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができ、上述のモノマーをすべて好適に用いることができる。
限定はされないが、ビニル系重合体(a2)の主鎖が、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1つのモノマーを主として重合して製造されるものであることが好ましい。ここで「主として」とは、ビニル系重合体を構成するモノマー単位のうち50モル%以上、好ましくは70%以上が、上記モノマーであることを意味する。
なかでも、生成物の物性等から、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましい。より好ましくは、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーである。本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40%以上含まれていることが好ましい。なお上記表現形式で例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/あるいはメタクリル酸を表す。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。
なお、このビニル系重合体(a2)中には(メタ)アクリル酸エステルモノマー等上記モノマー単位のほかに、これらと共重合性を有する単量体単位が含有されていてもよい。例えば、(メタ)アクリル酸等のカルボン酸基、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含む単量体等は、湿分硬化性、内部硬化性の点で共重合効果が期待できる。その他アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に起因する単量体単位等が挙げられる。
この場合のビニル系重合体(a2)の数平均分子量は特に制限はないが、GPCで測定した場合、500〜100,000のものが取り扱いの容易さの点から好ましい。更に5,000〜30,000のものが硬化物の耐候性、作業性が良好であることからより好ましい。
フリーラジカル重合でビニル系重合体(a2)の主鎖を合成する方法は、通常のビニル重合の方法、例えば、ラジカル反応による溶液重合法により得ることができる。重合は、通常、前記の単量体およびラジカル開始剤や連鎖移動剤等を加えて50〜150℃で反応させることにより行われる。
前記ラジカル開始剤の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック)アシッド、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、アゾビスイソ酪酸アミジン塩酸塩 、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−tert−ブチル等の有機過酸化物系開始剤が挙げられるが、重合に使用する溶媒の影響を受けない、爆発等の危険性が低い等の点から、アゾ系開始剤の使用が好ましい。
連鎖移動剤の例としては、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプタン類や含ハロゲン化合物等が挙げられる。
重合は溶剤中で行なってもよい。溶剤の例としては、エーテル類、炭化水素類、エステル類等の非反応性の溶剤が好ましい。
この場合のビニル系重合体(a2)の反応性ケイ素基の数は、特に限定されないが、組成物の硬化性、及び硬化物の物性の観点から、平均して1個以上有することが好ましく、より好ましくは1.1個以上、更に好ましくは1.2個以上、特に好ましくは1.5以上である。
ビニル系重合体(a2)の反応性ケイ素基としては、前述の一般式(1)で示される反応性ケイ素基が同様に使用できる。
本発明のビニル系重合体(a2)の中に反応性ケイ素基を導入する方法としては、例えば、重合性不飽和結合と反応性ケイ素基とを併せ持つ化合物を(メタ)アクリル酸エステル単量体単位と共重合させる方法が挙げられる。重合性不飽和結合と反応性ケイ素基とを併せ持つ化合物としては、一般式(6):
CH2=C(R6)COOR7−Si(R1 3-a)Xa (6)
(式中、R6は水素原子またはメチル基、R7は炭素数1〜6の2価のアルキレン基を示す。R1,X,aは前記一般式(1)と同様。)
または一般式(7):
CH2=C(R6)−Si(R1 3-a)Xa (7)
(式中、R6は水素原子またはメチル基を示す。R1,X,aは前記一般式(1)と同様。)
で表される単量体、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のγ−メタクリロキシプロピルポリアルコキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のγ−アクリロキシプロピルポリアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルアルキルポリアルコキシシラン等が挙げられる。
また(A)成分の主鎖骨格がオキシアルキレン系重合体の場合は、本発明の硬化性組成物およびそれを含む硬化物に優れた低温特性、可とう性、他成分との優れた相溶性等を付与することができる。
また(A)成分の主鎖骨格がビニル系重合体、特に(メタ)アクリル系の場合は、そのモノマー種の調整により本発明の硬化性組成物およびそれを含む硬化物に優れた耐候性、可とう性、他成分との優れた相溶性等を付与することができる。
これら(A)成分の主鎖骨格は、単一であっても良く、2種以上を組み合わせることで上記の特徴を併せ持つ硬化性組成物およびそれを含む硬化物を得ることが可能である。
本発明の硬化性組成物には、(B)成分として、一分子中に下記一般式(2):
−Si(R2 3-b)X2 b (2)
(式中、R2は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基を示し、X2は水酸基または加水分解性基を示す。bは2または3を示す。)で表される反応性ケイ素基とアミノ基を有するシランカップリング剤を添加することが好ましい。(B)成分としては、特に限定されず、従来公知のものを広く使用することができる。その具体例としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、β−アミノエチルトリメトキシシラン、β−アミノエチルトリエトキシシラン、β−アミノエチルメチルジメトキシシラン、β−アミノエチルメチルジエトキシシラン、α−アミノメチルトリメトキシシラン、α−アミノメチルトリエトキシシラン、α−アミノメチルトリイソプロポキシシラン、α−アミノメチルメチルジメトキシシラン、α−アミノメチルメチルジエトキシシラン、α−アミノメチルメチルジイソプロポキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−β−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−α−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−α−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−α−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−β−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−α−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−α−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−ベンジル−α−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、N−(6−アミノヘキシル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン等のケチミン型シラン類等が挙げられる。
これら(B)成分は、単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。(B)成分の添加により、各種被着体への接着性が向上する。特に、γ−アミノプロピルトリメトキシシランやN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランが、取り扱い易さや入手性、接着性等の点から好ましい。
(B)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部である。0.1重量部未満では接着性の低下を招き、20重量部を超えると耐候性が低下するので好ましくない。
本発明の硬化性組成物には、(C)成分としてアスファルトを添加することが好ましい。(C)成分のアスファルトとしては、特に限定されず、従来公知のものを広く使用することができる。その具体例としては、例えば、トリニダットエピュレ、ギルソナイト、焦質瀝青等のレーキアスファルトやロックアスファルトのような天然アスファルト、およびそれらのカットバックアスファルト、石油精製工程により生産されるストレートアスファルトやブローンアスファルト等の石油アスファルトが挙げられる。また、場合によっては重質油接触分解サイクル油や軽質油接触分解サイクル油、潤滑油、およびそれらの留分または他の留分の抽出、精製、水素添加等の処理を行った石油系プロセスオイル等の物質との混合物でもよい。
これら(C)成分は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。(C)成分の添加により、組成物の耐透湿性や耐水接着性が向上する。特に、ストレートアスファルトが、(A)成分やその他成分との相溶性、分散安定性等の点から好ましく、更には、アスファルテン量が10重量%以下のストレートアスファルトが分散安定性や組成物を容易に低粘度化できる点で好ましい。
アスファルト成分中のアスファルテン量は、アスファルトのカラムクロマトグラフィーによる組成分析法(石油学会規格、JPI−5S−22−83)基づいて測定することができる。
また、石炭精製工程により生産されるコールタールは、前記、アスファルト同様に瀝青質物質に分類されるが、有害なベンツピレンを含んでおり、臭気が大きなことからも好ましくない。
(C)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対して1〜200重量部が好ましく、より好ましくは5〜100重量部である。1重量部未満では耐透湿性や耐水接着性の低下を招き、200重量部を超えると粘度が上昇し作業性が低下するので好ましくない。
本発明の硬化性組成物には、(D)成分として可塑剤を添加するのが好ましい。(D)成分の可塑剤としては、特に限定されず、公知のものが使用できる。具体例としては、例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジ−n−オクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)セバシケート、テトラヒドロフタル酸ジ2−エチルヘキシル等の非芳香族2塩基酸エステル類;パラフィン基油、ナフテン基油、アロマ基油等のプロセスオイル;亜麻仁油、大豆油、桐油等の脂肪酸油;亜麻仁油、大豆油、桐油、ヒマシ油等の脂肪酸を原料とするアルキルエステル類、トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリイソデシル等の芳香族系エステル類;オレイン酸メイル、オレイン酸ブチル、リノール酸メチル、リノレン酸メチル、リシノール酸メチル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル等の脂肪酸エステル類;ポリブテン、水添ポリブテン、水添α−オレフィンオリゴマー等のポリビニル系オリゴマー;水添液状ポリブタジエン等の水添ポリブタジエン系オリゴマー:パラフィン油、塩化パラフィン油等のパラフィン;ナフテン油等のシクロパラフィン;ビフェニル、トリフェニル等の芳香族系オリゴマー;芳香族系オリゴマーの完全または部分水添物;アルキルスルホン酸エステル系化合物類が挙げられる。
これら(D)成分は、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。(D)成分の添加により、組成物の粘度が低下し作業性が向上する。また(A)成分と(C)成分の相溶性や分散安定性が向上する場合もある。特に、フタル酸エステル、大豆油やヒマシ油の脂肪酸を原料とするメチルエステルが、相溶性や分散安定性、取り扱い易さ、作業性等の点から好ましい。
(D)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対して10〜120重量部が好ましく、より好ましくは20〜100重量部である。10重量部未満では粘度低下効果が小さく作業性が不十分となり、120重量部を越えると硬化物の引張り強度が低下する等十分な機械物性が得られないので好ましくない。
本発明の硬化性組成物には、(E)成分として含水ケイ酸アルミニウムを添加するのが好ましい。(E)成分の含水ケイ酸アルミニウムとしては、特に限定されず、従来公知のものを広く使用することができる。その具体例としては、例えば、カオリンやクレーが挙げられる。一般に、国内では、天然の含水ケイ酸アルミニウムでカオリナイトを主成分とする粘土鉱物をカオリン、パイロフィライトを主成分とする粘土鉱物をクレーとして分類される。いずれも不純物を除去するため、湿式で処理されたものが一般的に使用されるが、湿式処理品を焼成して結晶水を除去した焼成カオリンや、鉱物を粉砕しただけの乾式クレー等も使用することができる。
湿式カオリンの具体的な商品名としては、例えば、ASP101、ASP102、ASP170、ASP172、ASP200、ASP400、ASP400P、ASP600、ASP602、ASP672、ASP900、ASP NC、ASP NCS、ASP NC X−1、ASP Ultrafine、ASP Ultrafine HD、ASP RO、BUCA、CATALPO、MetaMax HRM、MetaMax IG、MetaMax PA(以上、ENGERHARD社製)、ユニオンクレーRC−1(竹原化学工業(株)製)、レダクトクレー、MCハードクレー、NCクレー(以上、丸尾カルシウム工業(株)製)等が挙げられ、また、焼成カオリンの具体的な商品名としては、例えば、Satintone Whitex、Satintone Mattex、Satintone OP、Satintone SP−33、Satintone Special、Satintone 5HB、Satintone Plus、Translink37、Translink77、Translink445、Translink555、Translink HF−900(以上、ENGERHARD社製)、グロマックスLL、サテントンW、サテントン5(以上、竹原化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、湿式クレーの具体的な商品名としては、例えば、NNカオリンクレー、SPMAクレー、カオリンクレー5M、ハードシル、STカオリンクレー(以上、竹原化学工業(株)製)、SYカオリン、HAカオリン、OAカオリン、OSクレー、OAクレー、HAクレー、MCクレー、1号クレー、特号クレー、ジークライト白土、上カタルポ(以上、丸尾カルシウム工業(株)製)が挙げられ、乾式クレーの具体的な商品名としては、例えば、5号クレー(竹原化学工業(株)製)、カタルポ(丸尾カルシウム工業(株)製)等が挙げられる。
これら(E)成分は、単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。(E)成分の添加により、組成物の分散安定性が向上し、それに伴い貯蔵安定性が向上する。特に、作業性を向上させるために組成物の粘度を下げていくと、(A)成分と(C)成分の分散安定性が低下し、貯蔵後に分離し易くなる傾向がある。しかし、本(E)成分を含めた本発明の構成成分を組み合わせることにより、分散安定性が大幅に向上し、十分な貯蔵安定性を得ることが可能となる。尚、貯蔵後の分離とは、密閉容器内で組成物を貯蔵中に、低粘度成分からなる液状成分が分離する現象のことを言う。
特に、長期間での貯蔵安定性を必要とする場合は、カオリンを使用することが好ましく、中でも中性付近のpHを示すカオリンの使用がより好ましい。
(E)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対して1〜100重量部が好ましく、より好ましくは2〜80重量部である。1重量部未満では分散安定化の効果発現が不十分であり、また、100重量部を超えると系の粘度が上昇し作業性が低下するため好ましくない。
本発明の硬化性組成物には、(F)成分として無機フィラーを添加するのが好ましい。(F)成分の無機フィラーとしては、特に限定されず、従来公知のものを広く使用することができる。その具体例としては、例えば、重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、硅砂、砕石、砂利、カーボンブラック、溶融シリカ、沈降性シリカ、タルク、無水ケイ酸、石英粉末、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、ガラス繊維、炭素繊維、合成繊維、ガラスビーズ、アルミナ、ガラスバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、フライアッシュ、フライアッシュバルーン、セメント、酸化ケイ素、酸化カルシウム等が挙げられる。 これら(F)成分は、単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。(F)成分の使用により、組成物の分散安定性やタレ性が改善される。特に、炭酸カルシウムやフライアッシュが取り扱い易さや入手性、コスト等の点から好ましい。
(F)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対して10〜500重量部が好ましく、より好ましくは50〜400重量部である。10重量部未満では分散安定性やコスト等の点から不十分であり、500重量部を超えると系の粘度が上昇し作業性が低下する等好ましくない。
本発明の硬化性組成物には、(G)成分として硬化触媒を添加するのが好ましい。(G)成分の硬化触媒としては、特に限定されず、従来公知のものを広く使用することができる。その具体例としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、チタンテトラアセチルアセトナート等のチタン化合物;ジブチルスズジラウレート、ビス(ジブチルスズラウレート)オキサイド、ジブチルスズマレート、ジブチルスズフタレート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジエチルヘキサノエート、ジブチルスズジメチルマレート、ジブチルスズジエチルマレート、ジブチルスズジブチルマレート、ジブチルスズジオクチルマレート、ジブチルスズジトリデシルマレート、ジブチルスズジベンジルマレート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジエチルマレート、ジオクチルスズジオクチルマレート、ジブチルスズジメトキサイド、ジブチルスズジノニルフェノキサイド、ジブテニルスズオキサイド、ジブチルスズビスアセチルアセトナート、ジブチルスズビスエチルアセトアセトナート、ジブチルスズオキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジブチルスズオキサイドとマレイン酸エステルとの反応物、ジブチルスズオキサイドとエチルシリケートとの反応物、ジブチルスズジアルキレートとエチルシリケートとの反応物等の4価のスズ化合物;オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ、ステアリン酸スズ、バーサチック酸スズ等の2価のスズ化合物;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート等のジルコニウム化合物類;ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート);オクチル酸亜鉛;ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ラウリルアミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、フェニルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリルビグアニド、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物、あるいはこれらアミン系化合物のカルボン酸等との塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物、更には他の酸性触媒、塩基性触媒等公知のシラノール縮合触媒等が挙げられる。
これら(G)成分は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。(G)成分の添加により、組成物に適度な硬化性を付与することができる。特に、4価のスズ化合物や2価のスズ化合物とアミンの組合せ、フェニルグアニジンやトリルビグアニド等のアミン化合物が、取り扱い易さや硬化性、機械物性、接着性等の点から好ましく、更には4価のスズ化合物が接着性やコスト等の点からより好ましい。
(G)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.2〜8重量部である。0.1重量部未満では十分な硬化性が得られず、また、10重量部を超えると接着界面へのブリード等が起こって接着性が低下する等好ましくない。
本発明の硬化性組成物においては、(G)成分の活性をより高めるために、一般式R1 4-aSi(OR1a(式中、R1、aは前記一般式(1)と同様。)で示されるケイ素化合物を添加しても構わない。前記ケイ素化合物としては、限定はされないが、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等の一般式中のSi原子に直結するR1の少なくとも1個が、炭素数6〜20のアリール基であるものが、組成物の硬化反応を加速する効果が大きいために好ましい。特に、ジフェニルジメトキシシランやジフェニルジエトキシシランは、低コストであり、入手が容易であるために特に好ましい。このケイ素化合物の配合量は反応性ケイ素基を有する有機重合体(A)の合計量100重量部に対して0.01〜10重量部程度が好ましく、0.1〜8重量部が更に好ましい。ケイ素化合物の配合量がこの範囲を下回ると硬化反応を加速する効果が小さくなる場合がある。一方、ケイ素化合物の配合量がこの範囲を上回ると、硬化物の硬度や引張強度が低下することがある。
本発明の硬化性組成物には、(H)成分として粘着付与樹脂を添加するのが好ましい。(H)成分の粘着付与樹脂としては、特に限定されず、従来公知のものを広く使用することができる。その具体例としては、例えば、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂およびこれを水素添加した水素添加テルペン樹脂、テルペン樹脂をフェノール類で変性したテルペンフェノール樹脂、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、キシレンフェノール樹脂、シクロペンタジエンフェノール樹脂、クマロンインデン樹脂、ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、水添ロジンエステル樹脂、低分子量ポリスチレン系樹脂、石油樹脂(脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族/芳香族混合型炭化水素樹脂、熱反応性炭化水素樹脂等)、水添石油樹脂、石油樹脂をフェノール類で変性したフェノール変性石油樹脂、またこれらの水素添加樹脂、DCPD樹脂等が挙げられる。
これら(H)成分は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。(H)成分の添加により、(A)成分と(C)成分の相溶性や分散安定性が向上する。特に、テルペンフェノール樹脂、芳香族炭化水素樹脂や脂肪族/芳香族混合型炭化水素樹脂、またはこれらを(アルキル)フェノールで変性した樹脂が、その取り扱い易さや分散安定性の点から好ましい。
(H)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対して1〜80重量部が好ましく、より好ましくは2〜70重量部である。1重量部未満では分散安定性が低下する傾向にあり、また、80重量部を越えると粘度が上昇し、作業性が低下する等好ましくない。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じ、シランカップリング剤やチクソ性付与剤、エポキシ樹脂、安定剤等を添加することができる。
シランカップリング剤の具体例としては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、(イソシアネートメチル)トリメトキシシラン、(イソシアネートメチル)ジメトキシメチルシラン等のイソシアネート基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類等を挙げることができる。また、上記シラン類を部分的に縮合した縮合体も使用できる。更に、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、シリル化ポリエステル等もシランカップリング剤として用いることができる。また、メチルシリケートやエチルシリケート等のシリケート類も使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。シランカップリング剤の添加により、組成物の貯蔵安定性や接着性が向上する。特に、ビニルトリメトキシシランやその縮合物、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類、メチルシリケート等のシリケート類が、その入手性や取り扱い易さ、貯蔵安定性への効果といった点から好ましい。シランカップリング剤の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部である。0.1重量部未満では貯蔵安定性が低下する傾向にあり、また、20重量部を越えると接着界面にブリードして接着性が低下する等好ましくない。
チクソ性付与剤の具体例としては、例えば、水添ヒマシ油、有機アミドワックス、有機ベントナイト、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。チクソ性付与剤は、(A)成分100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部である。0.1重量部未満では十分なチクソ性が得られない場合があり、また20重量部を越えると粘度が上昇し作業性が低下する等好ましくない。
エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、エピクロルヒドリン−ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリン−ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAのグリシジルエーテル等の難燃型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、p−オキシ安息香酸グリシジルエーテルエステル型エポキシ樹脂、m−アミノフェノール系エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン系エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、各種脂環式エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリン等のごとき多価アルコールのグリシジルエーテル、ヒダントイン型エポキシ樹脂、石油樹脂等のごとき不飽和重合体のエポキシ化物等が例示されるが、これらに限定されるものではなく、一般に使用されているエポキシ樹脂が使用されうる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。エポキシ樹脂の添加により、硬化物の機械物性や耐水接着性が向上したり、(A)成分と(C)成分の相溶性や分散安定性が向上する場合がある。特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂類が、入手性や取り扱い易さ、機械物性、耐水接着性等のバランスから好ましい。エポキシ樹脂の使用量は、(A)成分100重量部に対して1〜200重量部が好ましく、より好ましくは5〜100重量部である。1重量部未満では十分な機械物性や耐水接着性が得られず、また、200重量部を越えると硬化物が硬くなりすぎるため好ましくない。
エポキシ樹脂用の硬化剤としては、特に限定はなく、公知のエポキシ樹脂用硬化剤が使用できる。具体的には、例えば、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペリジン、m−キシリレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、アミン末端ポリエーテル等の一級、二級アミン類;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリプロピルアミン等三級アミン類、及び、これら三級アミン類の塩類;ポリアミド樹脂類;イミダゾール類;ジシアンジアミド類;各種アミン化合物とケトン化合物の脱水縮合物であるケチミン化合物類;三弗化硼素錯化合物類、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ドデシニル無水琥珀酸、無水ピロメリット酸、無水クロレン酸等の無水カルボン酸類;アルコール類;フェノール類;カルボン酸類;アルミニウムまたはジルコニウムのジケトン錯化合物等の化合物を例示することができるが、これらに限定されるものではない。硬化剤は単独でも2種以上併用してもよい。硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂100重量部に対し、0.1〜100重量部の範囲が好ましい。
安定剤の具体例としては、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
酸化防止剤を使用すると硬化物の耐熱性を高めることができる。酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系、アミン系、ポリフェノール系が例示できるが、特にヒンダードフェノール系が好ましい。酸化防止剤の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部使用することが好ましく、0.2〜5重量部使用することが更に好ましい。
光安定剤を使用すると硬化物の光酸化劣化を防止することができる。光安定剤としてはベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系化合物等が例示できるが、特にヒンダードアミン系が好ましい。光安定剤の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部使用することが好ましく、0.2〜5重量部使用することが更に好ましい。
紫外線吸収剤を使用すると硬化物の表面耐候性を高めることができる。紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチレート系、置換トリル系及び金属キレート系化合物等が例示できるが、特にベンゾトリアゾール系が好ましい。紫外線吸収剤の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部使用することが好ましく、0.2〜5重量部使用することが更に好ましい。
更に、本発明の硬化性組成物には、硬化性組成物又は硬化物の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。このような添加物の例としては、例えば、難燃剤、硬化性調整剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、滑剤、顔料、発泡剤、溶剤、防かび剤等が挙げられる。これらの各種添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明の硬化性組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型として調製することも可能であり、硬化剤として別途硬化触媒、充填材、可塑剤、水等の成分を配合しておき、該配合材と重合体組成物を使用前に混合する2成分型として調製することもできる。
本発明の硬化性組成物の粘度は、JIS K−7117に準拠して測定される粘度(2rpm、ローターNo.7、BS形粘度計)が、23℃で800Pa・s以下であることが、組成物(2成分型の場合は、主剤と硬化剤を混合した後の組成物)の吐出性や流し出し性、櫛目ゴテ等による引き伸ばし作業性等の点から好ましく、更には500Pa・s以下とするのが冬場の作業性等の点から好ましい。尚、本発明から外れる組成において、反応性ケイ素基を含有する有機重合体とアスファルトを混合した組成物の粘度を800Pa・s以下にした場合、両成分の分散安定性は得られず、実用的な貯蔵安定性が得られないので好ましくない。
本発明の硬化性組成物の調整法には特に限定はなく、例えば上記した成分を配合し、ミキサー、ロール、ニーダー等を用いて常温または加熱下で混練したり、適した溶剤を少量使用して成分を溶解させ、混合したりする等の通常の方法を用いることができる。
本発明をより一層明らかにする為に、以下に具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例1)
数平均分子量2,000のポリオキシプロピレンジオールと数平均分子量3,000のポリオキシプロピレントリオールの1/1(重量比)混合物を開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキシドを重合することにより数平均分子量19,800(GPCより求めたポリスチレン換算分子量)のポリオキシプロピレンジオールを得た。得られた重合体にナトリウムメトキシドを反応させた後、塩化アリルを反応させて、末端水酸基を不飽和基に変換した。続いて、ジメトキシメチルシラン0.72[eq/不飽和基]モルを塩化白金酸の存在下反応させ、分子末端にジメトキシメチルシリル基を70%(1H−NMR分析)有する数平均分子量20,000のポリオキシプロピレン系重合体を得た(ポリマーA)。
(合成例2)
数平均分子量5,200のポリオキシプロピレンジオール800g、イソホロンジイソシアネート50.2gを攪拌機付耐圧反応容器に入れて混合した後、錫触媒(ジブチル錫ジラウレートの10%DOP溶液)0.8gを添加した。80℃で4時間攪拌することにより、分子量約15,000のイソシアネート基末端重合体を得た(分子量はイソシアネート基の滴定値(0.579%)より算出)。60℃まで冷却した後、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1.0[eq/NCO基]を加えて約30分間攪拌することにより、分子末端にトリメトキシシリル基を有する数平均分子量17,000(GPCより求めたポリスチレン換算分子量)のポリオキシプロピレン系重合体を得た(ポリマーB)。
(合成例3)
数平均分子量2,000のポリオキシプロピレンジオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒を用いてプロピレンオキシドを重合することにより、数平均分子量22,500(GPCより求めたポリスチレン換算分子量)のポリオキシプロピレンジオールを得た。得られた重合体に、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン0.8[eq/不飽和基]を加えて90℃で5時間反応させることにより、分子末端にトリメトキシシリル基を有する数平均分子量24,000のポリオキシプロピレン系重合体を得た(ポリマーC)。
(合成例4)
110℃に加熱したトルエン43g中にアクリル酸ブチル6.0g、メタクリル酸メチル66g、メタクリル酸ステアリル13g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン5.4g、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン7.0gおよびトルエン23g混合物に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2.6gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行い、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量が2,200の共重合体を得た。
得られた重合体と合成例1で得られたポリマーAを固形分比(重量比)40/60でブレンドし、エバポレーターで揮発分を脱揮(110℃、減圧)することにより、固形分濃度99%以上の透明で粘稠な液体を得た(ポリマーD)。
(合成例5)
臭化第一銅8.39g(58.5mmol)、アセトニトリル112mLを仕込み、窒素気流下70℃で30分間加熱攪拌した。これに2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル17.6g(48.8mmol)、アクリル酸ブチル224mL(1.56mol)を加え、70℃で45分間加熱攪拌した。これにペンタメチルジエチレントリアミン(以後トリアミンと称す)0.41mL(1.95mmol)を加えて反応を開始した。引き続き70℃で加熱攪拌を続け、反応開始後80分から断続的にアクリル酸ブチル895mL(6.24mol)を160分かけて滴下した。またこの間にトリアミン1.84mL(8.81mmol)を追加した。反応開始から375分後に、1,7−オクタジエン288mL(1.95mol)、トリアミン4.1mL(19.5mmol)を添加し、引き続き70℃で加熱攪拌を続け、反応開始から615分後に加熱を停止した。反応溶液をトルエンで希釈してろ過し、ろ液を減圧加熱することにより重合体[1]を得た。得られた重合体[1]の数平均分子量は24,000、分子量分布1.3であり、また1H−NMR分析より求めた重合体1分子あたりのアルケニル基の個数は2.6個であった。
窒素雰囲気下、2Lフラスコに、上記重合体[1]、酢酸カリウム11.9g(0.121mol)、N,N−ジメチル酢酸アミド(以下DMAcともいう)900mLを仕込み、100℃で11時間加熱攪拌した。反応溶液を減圧加熱してDMAcを除去し、トルエンを加えてろ過した。ろ液に吸着剤(200g、協和化学製、キョーワード700PEL)を加えて窒素気流下100℃で3時間加熱攪拌した。吸着剤を濾過により除去した後、ろ液のトルエンを減圧留去することにより重合体[2]を得た。
1L耐圧反応容器に、重合体[2](648g)、ジメトキシメチルヒドロシラン(25.5mL、0.207mol)、オルト蟻酸メチル(7.54mL、0.0689mol)、及び0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体を仕込んだ。ただし、白金触媒の使用量は、重合体のアルケニル基に対してモル比で3×10-3当量とした。混合物を100℃で2時間加熱攪拌した。混合物の揮発分を減圧留去することにより、シリル基末端重合体(ポリマーE)を得た。得られた重合体の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により30,000、分子量分布は1.8であった。重合体1分子当たりに導入された平均のシリル基の数を1H−NMR分析により求めたところ、1.9個であった。
(実施例1〜13、比較例1〜12)
合成例1〜5で得られたポリマーを使用し、表1に示す組成の1液型硬化性組成物を作製し、下記評価を行った。
(1)作業性:BS形粘度計を使用し、回転数2rpmにおける硬化性組成物の粘度を測定した(7号ローター,温度23℃)。判定では、粘度値が500Pa・s未満の場合を○、500Pa・s以上800Pa・s未満の場合を△、800Pa・s以上の場合を×とした。
(2)硬化性:硬化性組成物を金属缶上へ吐出し、経時で組成物表面をスパチュラで触り、スパチュラへ組成物が付着しなくなるまでの時間を測定した。評価は23℃、50%R.H.(相対湿度)の条件下で実施した。判定では、2時間未満の場合を○、2時間以上24時間未満の場合を△、24時間以上の場合を×とした。
(3)接着性:硬化性組成物を、砂付きアスファルト防水シートの裏面へビード状(幅約10mm、厚さ4〜8mm)に塗布し、23℃、50%R.H.(相対湿度)の条件下で1週間養生した。養生後、接着界面にカミソリ刃で約10mmの切り込みを入れ、約180度方向に引っ張った際の破壊状態を観察した。判定では、凝集破壊の場合を○、凝集破壊と界面破壊が混在した場合を△、界面破壊の場合を×とした。
(4)貯蔵安定性:硬化性組成物を作製した後、密閉状態で保管(50℃)し、経時で組成物を取り出して分離の有無を観察した(目視)。判定では、2週間以上分離しなかった場合を○、1週間から2週間の間に分離した場合を△、1週間以内に分離した場合を×とした。
評価結果を表1に示す。
Figure 2009020040
以上、実施例に記載の硬化性組成物は、作業性や硬化性が良好でかつ接着性や貯蔵安定性が良好であった。一方、比較例の組成物では、これら物性をバランス良く発現する系は見られなかった。
本発明の硬化性組成物が使用される用途としては、特に限定はされないが、建築用や土木用の防水材、シーリング材、接着剤等として効果的に利用することができる。特に、本組成物は、臭気がなく作業性や汎用接着性、耐透湿性、耐水接着性が優れることから、防水分野における防水材、シーリング材、接着剤として使用される溶剤系アスファルトや水系アスファルトの代替品として有用である。

Claims (14)

  1. (A)下記一般式(1):
    −Si(R1 3-a)X1 a (1)
    (式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基を示し、X1は水酸基または加水分解性基を示す。aは1、2または3を示す。)
    で表される反応性ケイ素基を有する有機重合体100重量部、
    (B)一分子中に、下記一般式(2):
    −Si(R2 3-b)X2 b (2)
    (式中、R2は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基を示し、X2は水酸基または加水分解性基を示す。bは2または3を示す。)で表される反応性ケイ素基とアミノ基を有するシランカップリング剤0.1〜20重量部、
    (C)アスファルト1〜200重量部、
    (D)可塑剤10〜120重量部、
    (E)含水ケイ酸アルミニウム1〜100重量部、
    (F)無機フィラー10〜500重量部、
    (G)硬化触媒0.1〜10重量部
    を含有し、JIS K 7117に準拠する方法で測定される粘度(2rpm、ローターNo.7、BS形粘度計)が、23℃で800Pa・s以下であることを特徴とする硬化性組成物。
  2. (H)粘着付与樹脂1〜80重量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. (A)成分が、一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体(a1)および/またはビニル系重合体(a2)であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  4. (a1)成分の主鎖骨格が、ポリオキシプロピレン系重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
  5. (a2)成分の主鎖骨格が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性組成物。
  6. (C)成分であるアスファルトに含まれるアスファルテンの重量%が10重量%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物。
  7. (E)成分が、カオリンおよび/またはクレーであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物。
  8. (H)成分が、テルペンフェノール樹脂、芳香族炭化水素樹脂や脂肪族/芳香族混合型炭化水素樹脂、またはこれらを(アルキル)フェノールで変性した樹脂の少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の硬化性組成物。
  9. (D)成分が、エステル系化合物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の硬化性組成物。
  10. (E)成分が、カオリンであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の硬化性組成物。
  11. JIS K 7117に準拠する方法で測定される粘度(2rpm、ローターNo.7、BS形粘度計)が、23℃で500Pa・s以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の硬化性組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の硬化性組成物を用いてなる防水材。
  13. 請求項1〜11のいずれかに記載の硬化性組成物を用いてなる接着剤。
  14. 請求項1〜11のいずれかに記載の硬化性組成物を用いてなるシーリング材。
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