JP4455716B2 - 硬化性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーと、反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー中のケイ素基よりもH2Oと反応し易いケイ素原子に結合した加水分解性基を有する加水分解性シリコン化合物、とを含有する貯蔵安定性の良い硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーと種々の添加剤、シラノール縮合触媒を含有する室温硬化性組成物が知られており、シーラント、接着剤等に用いられてきた。さらに、該オリゴマーを1成分系硬化性組成物として利用する際、該オリゴマー中のケイ素基よりもH2Oと反応し易いケイ素原子に結合した加水分解性基を有する加水分解性シリコン化合物を添加することにより、系中の脱水が行われ、貯蔵安定性が確保できることも公知である(特開平5−287188号公報)。
【0003】
しかし、この方法はH2Oとの反応性の違いのみによる脱水方法であるため、反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーのケイ素基とH2Oが反応する場合の反応速度と、脱水剤とH2Oが反応する場合の反応速度を比較して、それらの間の速度差が小さい場合には貯蔵安定性が低下する原因になっていた。さらにH2O量が多くなると貯蔵安定性の低下は顕著に現れていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーのケイ素基の近傍にメチル基を導入し、該オリゴマーのケイ素基の反応性を低下させることによって、脱水剤として添加する加水分解性シリコン化合物と、該オリゴマーのケイ素基との間の、H2Oとの反応における反応速度差を拡大させ、これまでより貯蔵安定性の良い硬化性組成物を得ることにある。さらに、該オリゴマーのケイ素基の反応性の低下により、これまで用いることの出来なかった加水分解性シリコン化合物を用いる事が可能になり、使用できる脱水剤の幅が広がる利点を持つ硬化性組成物を得ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の第1は、(A)分子中に以下に示す一般式(1):
−O−R1−CH(CH3)−CH2−(Si(R2 2-b)(Xb)O)mSi(R3 3-a)Xa (1)
(式中R1は水素、酸素、及び窒素からなる群より選択される1種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基を示し、R2およびR3は同一または異なった炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基または(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R2またはR3が二個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR’は炭素数1から20の一価の炭化水素基であり3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが二個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1、または2をそれぞれ示す。またm個の(Si(R2 2-b)(Xb)O)基におけるbについて、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。mは0から19の整数を示す。但し、a+Σb≧1を満足するものとする)で表される構造部分を有する反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー、及び(B)上記反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー中のケイ素基よりもH2Oと反応し易いケイ素原子に結合した加水分解性基を有する加水分解性シリコン化合物を含有する硬化性組成物に関する。
【0006】
好ましい実施態様としては、(A)のR1がCH2であることを特徴とする前記硬化性組成物に関する。
【0007】
更に好ましい実施態様としては、(A)が分子中に次式で表される構造部分を有する反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーであることを特徴とする前記硬化性組成物に関する。
−O−CH2−CH(CH3)−CH2−Si(CH3)(OCH3)2
別の好ましい実施態様としては、(A)が、一般式(2):
−O−R1−C(CH3)=CH2 (2)
(R1は前記と同じ)で表される不飽和結合を導入したポリエーテルオリゴマーと、一般式(3):
H−(Si(R2 2-b)(Xb)O)mSi(R3 3-a)Xa (3)
(R2、R3、a、b、m、Xは前記と同じ)で表される反応性ケイ素基を有する化合物とを酸素を有する雰囲気下、触媒、及び硫黄化合物が存在する系中で反応して得られる反応性ケイ素基を有する反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーであることを特徴とする前記硬化性組成物に関する。
【0008】
別の更に好ましい実施態様としては、(A)が、次式で表される不飽和結合を導入したポリエーテルオリゴマー
−O−CH2−C(CH3)=CH2
と反応性ケイ素基を有する化合物
H−Si(CH3)(OCH3)2
とを酸素を有する雰囲気下で、触媒、及び硫黄化合物が存在する系中で反応して得られる以下に示す構造を有する反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーであることを特徴とする前記硬化性組成物に関する。
−O−CH2−CH(CH3)−CH2−Si(CH3)(OCH3)2
別の更に好ましい実施態様としては、反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーの末端のうち、85%以上が反応性ケイ素基であることを特徴とする前記硬化性組成物に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明すると、本発明で用いられる(A)成分である反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーは一般式(1):
−O−R1−CH(CH3)−CH2−(Si(R2 2-b)(Xb)O)mSi(R3 3-a)Xa (1)
(式中R1は水素、酸素、及び窒素からなる群より選択される1種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基を示し、R2およびR3は同一または異なった炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基または(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R2またはR3が二個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR’は炭素数1から20の一価の炭化水素基であり3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが二個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1、または2をそれぞれ示す。またm個の(Si(R2 2-b)(Xb)O)基におけるbについて、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。mは0から19の整数を示す。但し、a+Σb≧1を満足するものとする)で表される構造を側鎖または末端に少なくとも1個含有し、主鎖がポリエーテルからなるポリエーテル系オリゴマーであればよい。
【0010】
従来使用されてきた反応性シリル基含有オリゴマーは、例えば−O−CH2−CH2−CH2−構造のような直鎖状のアルキレンオキシ基を介して、反応性ケイ素基がオリゴマーの主鎖と結合しているものであり、反応性が大きすぎて脱水剤である加水分解性シリコン化合物と共に使用した場合には、貯蔵安定性に劣る場合があった。本発明においては、分岐したメチル基を有する−O−R1−CH(CH3)−CH2−構造を介して、反応性ケイ素基がオリゴマーと結合しているものである。このようにメチル基を分岐させる事により、硬化速度を調節し、貯蔵安定性の良い硬化組成物を得ることができる。
【0011】
R1としては水素、酸素、及び窒素からなる群より選択される1種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基で、例えば−CH2−、−C2H4−、−C3H6−、−C4H8−、−C5H10−、−C6H4−、−C6H12−、−C7H14−、−C8H16−、−C9H18−、−C10H20−、−CH(CH3)−、−CH2−CH(CH3)−、−CH2−CH(CH3)−CH2−、−C2H4−CH(CH3)−、−CH2−C6H4−、−CH2−C6H4−CH2−、−C2H4−C6H4−、−C(O)−、−C(O)−CH2−、−C(O)−C6H4−、−C(O)−NH−、−C(O)−NH−CH2−、−C(O)−NH−C6H4−、−C(O)−O−、−C(O)−O−CH2−、−C(O)−O−C6H4−等の基が例示される。合成が容易である点で−CH2−、−C2H4−、−CH2−CH(CH3)−、−C(O)−、−C(O)−NH−が好ましく、さらに、原料入手の容易さから、−CH2−が特に好ましい。
【0012】
R2、およびR3の具体例としては、例えばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基、R’がメチル基やフェニル基等である(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基などが挙げられる。R2、R3、R’としてはメチル基が特に好ましい。
【0013】
一般式(1)で表される反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーに含有される反応性ケイ素基は一般式(4):
−(Si(R2 2-b)(Xb)O)mSi(R3 3-a)Xa (4)
で表される基が挙げられる。
(式中R2およびR3は同一または異なった炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基または(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R2またはR3が二個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR’は炭素数1から20の一価の炭化水素基であり3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが二個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1、または2をそれぞれ示す。またm個の(Si(R2 2-b)(Xb)O)基におけるbについて、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。mは0から19の整数を示す。但し、a+Σb≧1を満足するものとする。)
本発明において、反応性ケイ素基とは、相互間の縮合反応によりシロキサン結合を形成して架橋しうる基である。
【0014】
上記Xのうちの加水分解性基は特に限定されず、従来公知の加水分解性基であれば良い。具体的には例えば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、加水分解性が穏やかで取り扱いやすいという点でメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基が好ましい。
【0015】
この水酸基や加水分解性基は1個のケイ素原子に1〜3個結合することができ、(a+Σb)は1から5であるのが好ましい。水酸基や加水分解性基が反応性ケイ素基中に2個以上存在する場合には、それらは同一であっても良く、異なっていてもよい。
【0016】
反応性ケイ素基中のケイ素原子の数は1個でもよく2個以上でもよいが、シロキサン結合等によりケイ素原子の連結された反応性ケイ素基の場合には20個程度でもよい。
【0017】
なお下記一般式(5)で表される反応性ケイ素基が入手が容易であるため好ましい。
−Si(R3 3-a)Xa (5)
(式中R3、X、aは前記と同じ。)
上記反応性ケイ素基はポリエーテルオリゴマーの各分子鎖末端に対し、平均して少なくとも0.1個存在するのがよく、硬化性の点からは好ましくは0.5から5個存在するのがよい。さらに好ましくは、0.8から2個存在するのがよい。良好なゴム弾性挙動を示す硬化物が得られる点からは、0.9から1個存在するのが特によい。
【0018】
具体的には、(A)が分子中に次式で表される構造部分を有する反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーであることが好ましい。
−O−CH2−CH(CH3)−CH2−Si(CH3)(0CH3)2
本発明の(A)成分のポリエーテルオリゴマーの分子量には特に制限はないが、数平均分子量が1,000から100,000であることが好ましい。数平均分子量が1,000未満では得られる反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーの硬化物が脆くなり、100,000を越えると官能基濃度が低くなりすぎ、硬化速度が低下する、また、オリゴマーの粘度が高くなりすぎ、取り扱いが困難となるため好ましくない。さらに、数平均分子量が5,000から50,000であることが、得られる反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーの粘度の点から特に好ましい。
【0019】
ここでのポリエーテルオリゴマーの数平均分子量とは、JISK1557の水酸基価の測定方法と、JISK0070のよう素価の測定方法の原理に基づいた滴定分析により、直接的に末端基濃度を測定し、ポリエーテルオリゴマーの構造を考慮して求めた数平均分子量と定義している。また、数平均分子量の相対測定法として一般的なGPC測定により求めたポリスチレン換算分子量と上記末端基分子量の検量線を作成し、GPC分子量を末端基分子量に換算して求めることも可能である。
【0020】
また、(A)成分のポリエーテルオリゴマーの主鎖構造としては、−R−O−で示される構造を繰り返し単位とする重合体であればよく、このとき、Rは水素、酸素、及び窒素からなる群より選択される1種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基であればよい。また繰り返し単位の全てが同一である単独重合体であっても良く、2つ以上の種類の繰り返し単位を含む共重合体であっても良い。さらに主鎖中に分岐構造を有していても良い。本発明の(A)成分は、例えば以下に示す種々の方法で得ることができるヒドロキシ基含有ポリエーテルを用いることができる。
【0021】
本発明の(A)成分を得るにはアルキレンオキサイド類、具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、α−ブチレンオキサイド、β−ブチレンオキサイド、ヘキセンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、α−メチルスチレンオキシド、およびアルキルまたはアリルまたはアリールグリシジルエーテル類、具体的にはメチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等の2個から12個の炭素原子を有する置換または非置換エポキシを用い、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、メタリルアルコール、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ポリブタジエンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の2価アルコール又は多価アルコール及び水酸基を有する各種のオリゴマーを開始剤として種々の触媒の存在下開環重合させることによって得られるポリエーテルを使用することができる。この重合の触媒としてはKOH、NaOH等のアルカリ触媒、トリフルオロボラン−エーテラート等の酸性触媒、アルミノポルフィリン金属錯体やシアン化コバルト亜鉛−グライム錯体触媒等の複合金属シアン化物錯体触媒等の既に公知のものが用いられる。特に副反応が少ない複合金属シアン化物錯体触媒の使用が好ましいがそれ以外のものであってもよい。
このような、水酸基を有するポリエーテルオリゴマーから(A)成分を製造する方法としては、公知の方法を用いればよく、たとえば、水酸基を有するポリエーテルオリゴマーに不飽和結合を導入させた後、反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法が挙げられる。
【0022】
水酸基を有するポリエーテルオリゴマーに不飽和結合を導入する方法としては、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合などにより結合させる方法などが挙げられる。例えばエーテル結合により不飽和基を導入する場合は、ポリエーテルオリゴマーの水酸基のメタルオキシ化により−OM(MはNaまたはK)を生成した後、一般式(6):
H2C=C(CH3)−R1−Y (6)
(式中R1は水素、酸素、及び窒素からなる群より選択される1種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基、Yはハロゲン)で示される有機ハロゲン化合物と反応させて不飽和基を有するポリエーテルを製造する方法が挙げられる。
【0023】
不飽和結合を導入したポリエーテルオリゴマーと反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法としては触媒存在下で行われるヒドロシリル化反応が挙げられる。このヒドロシリル化反応には、反応を促進させるため、酸素を有する雰囲気下での反応、硫黄化合物などの添加剤の添加が好ましい。
【0024】
このヒドロシリル化反応で用いられる反応性ケイ素基を有する化合物とは、上記水酸基や加水分解性基と結合したケイ素基を分子内に1個以上有し、かつ1個以上のSi−H基を分子内に有している化合物であればよい。代表的なものを示すと、例えば下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
一般式(3):
H−(Si(R2 2-b)(Xb)O)mSi(R3 3-a)Xa (3)
(R2、R3、a、b、m、Xは、上記一般式(1)で記載した基と同様のものである)
具体的には、トリクロルシラン、メチルジクロルシラン、ジメチルクロルシラン、フェニルジクロルシラン、トリメチルシロキシメチルクロルシラン、1,1,3,3−テトラメチル−1−ブロモジシロキサンの如きハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、トリメチルシロキシメチルメトキシシラン、トリメチルシロキシジエトキシシランの如きアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシラン、トリアセトキシシラン、トリメチルシロキシメチルアセトキシシラン、トリメチルシロキシジアセトキシシランの如きアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシラン、ビス(ジエチルケトキシメート)トリメチルシロキシシラン、ビス(メチルエチルケトキシメート)メチルシラン、トリス(アセトキシメート)シランの如きケトキシメートシラン類;メチルイソプロペニルオキシシランの如きアルケニルオキシシラン類などが挙げられる。これらの内、特にアルコキシシラン類が好ましく、アルコキシ基の中でもメトキシ基が特に好ましい。
なお下記一般式(7)で表される反応性ケイ素基が入手が容易であるため好ましい。
H−Si(R3 3-a)Xa (7)
(式中R3、X、aは前記と同じ。)
また上記一般式(3)及び一般式(7)におけるR2、およびR3の具体例としては、例えばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基、R’がメチル基やフェニル基等である(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基などが挙げられる。R2、R3、R’としてはメチル基が特に好ましい。
上記ヒドロシリル化反応の具体例としては、一般式(2):
−O−R1−C(CH3)=CH2 (2)
(R1は前記と同じ)で表される不飽和結合を導入したポリエーテルオリゴマーと、一般式(3):
H−(Si(R2 2-b)(Xb)O)mSi(R3 3-a)Xa (3)
(R2、R3、a、b、m、Xは上記一般式(1)で記載した基と同様のものである)で表される反応性ケイ素基を有する化合物とを酸素を有する雰囲気下、触媒、及び硫黄化合物が存在する系中で反応して得られる反応性ケイ素基を有する反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーが好ましく、更に次式で表される不飽和結合を導入したポリエーテルオリゴマー
−O−CH2−C(CH3)=CH2
と反応性ケイ素基を有する化合物
H−Si(CH3)(OCH3)2
とを酸素を有する雰囲気下で、触媒、及び硫黄化合物が存在する系中で反応して得られる以下に示す構造を有する反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー
−O−CH2−CH(CH3)−CH2−Si(CH3)(OCH3)2
がより好ましい。
【0025】
更に本発明においては、得られるシリル基中の加水分解性基Xを他の加水分解性基に変換することができる。特にX基がハロゲンである場合には水分による硬化に際し刺激臭の強いハロゲン化水素を発生させるので他の加水分解性基に変換することが好ましい。変換しうる加水分解性官能基としてはアルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基およびメルカプト基などが挙げられる。ハロゲン官能基をこれら加水分解性官能基に変換する方法としては種々の方法が挙げられる。例えばアルコキシ基に変換する方法としては、▲1▼メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、sec−ブタノール、ter−ブタノールおよびフェノールなどの如きアルコール類およびフェノール類、▲2▼アルコール類およびフェノール類のナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルコキシド類、▲3▼オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチルなどの如きオルトギ酸エステル類、▲4▼エチレンオキシド、プロピレンオキシド、アリルグリシジルエーテルなどの如きエポキシ化合物類などをハロゲン官能基と反応させる方法が具体例に挙げられる。特に▲1▼と▲3▼を組み合わせたアルコール類およびフェノール類とオルトギ酸エステル類とからなる反応系、▲1▼と▲4▼を組み合わせたアルコール類およびフェノール類とエポキシ化合物類とからなる反応系を使用すれば容易に反応を行うことができ好ましい結果が得られる。同様にアシルオキシ基に変換する方法としては、▲1▼酢酸およびプロピオン酸の如きカルボン酸類、▲2▼無水酢酸のような酸無水物、▲3▼カルボン酸類のナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩;等をハロゲン官能基と反応させる方法が具体的に挙げられる。同様にアミノオキシ基に変換する方法としては、▲1▼N,N−ジメチルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−メチルフェニルヒドロキシルアミン及びN−ヒドロキシルピロリジンのようなヒドロキシルアミン類、▲2▼ヒドロキシルアミン類のナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩;等をハロゲン官能基と反応させる方法が具体的に挙げられる。同様にアミド基に変換する方法としては、▲1▼ N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N−メチルフェニルアミン及びピロリジンの如き1級および2級アミン類、▲2▼1級及び2級アミン類のナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩;等をハロゲン官能基と反応させる方法が具体的に挙げられる。同様に酸アミドに変換する方法としては、▲1▼アセトアミド、ホルムアミド及びプロピオンアミドの如き窒素原子上に少なくとも1個の水素原子を有する酸アミド類、▲2▼該酸アミド類のナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩;等をハロゲン官能基と反応させる方法が具体的に挙げられる。;アセトキシム、メチルエチルケトキシムの如きケトキシム類;N−オクチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタンの如きメルカプタン類とオルトギ酸エステル類又はエポキシ化合物類とを組み合わせた反応系を使用すれば、それぞれケトキシメート基およびメルカプト基に一部変換させることができ、他の部分はオルトギ酸エステル又はエポキシ化合物から誘導されるアルコキシル基に変換させることができる。上述した如くハロゲン官能基の場合だけ、他の加水分解性官能基に変換するのではなく、種々の加水分解性官能基を別の加水分解性官能基に変換し使用することも可能である。
本発明の製造方法におけるヒドロシリル化反応は、通常10〜200℃、好ましくは20〜150℃、さらに好ましくは40〜120℃の範囲とするのが好適であり、反応温度の調節、反応系の粘度の調整などの必要に応じて、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの溶剤を用いることができる。
【0026】
不飽和結合を導入したポリエーテルオリゴマーと反応性ケイ素基を有する化合物との反応において用いる触媒としては、白金、ロジウム、コバルト、パラジウム、及びニッケル等のVIII族遷移金属元素から選ばれた金属錯体触媒等が有効に使用される。例えば、H2PtCl6・6H2O、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体、Ptメタル、RhCl(PPh3)3、RhCl3、Rh/Al2O3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4等のような化合物が使用できるが、ヒドロシリル化の反応性の点から、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体のいずれかであることが特に好ましい。ここでいう白金−ビニルシロキサン錯体とは、白金原子に対し、配位子として分子内にビニル基を有する、シロキサン、ポリシロキサン、環状シロキサンが配位している化合物の総称であり、上記配位子の具体例としては、1,1,3,3−テトラメチル1,3−ジビニルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。白金−オレフィン錯体のオレフィン配位子の具体例としては1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、1,11−ドデカジエン、1,5−シクロオクタジエン等が挙げられる。上記配位子の中でも1,9−デカジエンが特に好ましい。
【0027】
なお白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体については特公平8−9006号に開示されている。
【0028】
触媒使用量としては特に制限は無いが、通常、アルケニル基1モルに対して白金触媒を10-1から10-8モル使用することが好ましく、更に好ましくは10-3から10-6モルの範囲で使用することができる。触媒の量が少ない場合はヒドロシリル化反応が十分に進行しない可能性がある。また、触媒量が多すぎると触媒消費によるコストの負担が増えたり、製品への残留触媒が増えるなどの問題がある。
【0029】
ヒドロシリル化反応の反応促進という点では、酸素の使用による触媒の再活性化(特開平8―283339)や硫黄化合物の添加を行うのが好ましい。硫黄化合物の添加は高価な白金触媒の増量などに伴うコストアップや残留触媒の除去などの問題を起こさず製造時間の短縮を可能とし製造コスト削減、さらには生産性のアップに寄与する。硫黄化合物としては硫黄単体、チオール、スルフィド、スルホキシド、スルホン、チオケトン等が挙げられ、特に硫黄が好ましいがこれに限定されるものではない。液相反応系に硫黄化合物を添加するには、例えば反応液や溶媒の一部にあらかじめ硫黄化合物を溶解混合してから全体に一様に分散することができる。例えばトルエン、ヘキサン、キシレンなどの有機溶媒に硫黄化合物を溶解してから添加することができる。
【0030】
硫黄化合物の添加量については、例えばその量が金属触媒モル数を基準として0.1〜10倍量、もしくはアルケニル基のモル数を基準として10-3から10-6倍量、あるいは反応液全体重量を基準として0.001〜10ppmであるような範囲で設定することができる。添加量が少ないと本発明の効果が十分に達成されない場合がある。硫黄化合物の量が多すぎる場合には触媒活性を低下させたり、反応を阻害するような問題が起こる場合も有り、添加量を適切に選定することが好ましい。
【0031】
本発明の製造方法におけるヒドロシリル化反応は無溶媒系でも、溶媒存在下でも行うことができる。ヒドロシリル化反応の溶媒としては、通常、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、エステル類を用いることができるが、ヘキサン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルを用いることが好ましい。また、特に高分子化合物のヒドロシリル化を行う場合においては、液状化や粘度低下のために溶媒を用いる方法が好ましい。また、高分子化合物の製品化工程において加えられる可塑剤を反応溶媒とすることもできる。
【0032】
本発明の製造方法におけるヒドロシリル化反応において、ヒドロシリル化反応を行う際の反応器気相部は、窒素やヘリウムなどの不活性ガスのみからなってもよいし、酸素等が存在してもよい。ヒドロシリル化反応を行う際には、可燃性物質取扱いの安全性の観点から反応器気相部は窒素やヘリウムなどの不活性ガスの存在下で実施することがある。しかしながら、反応器気相部を窒素やヘリウムなどの不活性ガスの存在下行った場合には、ヒドロシリル化の反応系条件によっては反応速度が低下する場合もある。
【0033】
本発明の製造方法におけるヒドロシリル化反応では、反応器気相部の酸素濃度を爆発性混合組成を回避する値に設定することにより、酸素存在下で安全にヒドロシリル化反応を促進することができる。反応器気相部の酸素濃度は、例えば0.5〜10%とすることができる。
【0034】
さらにヒドロシリル化反応においてポリエーテルオリゴマー、反応溶媒、系中の可塑剤等が酸素により酸化されることを抑制するために、酸化防止剤の存在下でヒドロシリル化反応を行うことができる。酸化防止剤としては、ラジカル連鎖禁止剤の機能を有するフェノール系酸化防止剤、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス{メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、1,1,3−トリス(2−メチルー4−ヒドロキシー5−tert−ブチルフェニル)ブタンなどを用いることができる。同様のラジカル連鎖禁止剤としてアミン系酸化防止剤、例えばフェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミンなどを用いることもできるがこれらに限定されるものではない。
【0035】
本発明の製造方法により、反応性ケイ素含有基の数が平均してポリエーテルオリゴマーの末端数の85%以上であることを特徴とする反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーを得ることが可能である。シリル基導入率が85%以上の物を使用する事によって、シーリング材、接着剤として充分な物性(破断強度、破断時伸び等)とともに、優れた接着強度を有するものを得ることができる。
【0036】
シリル化率の測定方法は種々の方法が考えられるが、現在のところNMRによる測定方法によって正確な値を得ることができる。NMRにより反応性ケイ素含有基の導入された末端と導入されていない末端の比率を算出することでシリル基導入率を求めることができる。
上記(A)成分に用いる反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーは単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0037】
本発明の(B)成分である加水分解性シリコン化合物とは、湿分の存在下で反応する加水分解性官能基を有する低分子量シリコン化合物を総称するもので、(A)成分である反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー中のケイ素基よりもH2Oと反応し易いケイ素原子に結合した加水分解性基を有するものであり、通常は分子量300以下のものが好ましい。
【0038】
加水分解性官能基としては、アルコキシ基、アシロキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミノオキシ基、アミド基、アルケニルオキシ基等が例示できる。又、置換基としてはエポキシ含有基、アミノ含有基、アクリル含有基、メルカプト含有基等が例示できる。このような化合物を具体的に例示すると、Si(OC2H5)4、CH2=CHSi(OC2H5)3、CH2=CHSi(OCH3)3、CH2=CHSi(OAc)3、CH3−Si[ON=C(CH3)(C2H5)]3、CH3Si[N(CH3)2]3、CH3Si[N(CH3)(C2H5)]3、CH3Si[N(CH3)Ac]3、CH3Si[OC(C2H5)=CH2]3、CH2(O)CHCH2O(CH2)3Si(OCH3)3、 CH2(O)CHCH2O(CH2)3Si(OCH2CH3)3、CH3CH2Si(OCH3)3、CH3CH2Si(OCH2CH3)3、CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3、CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH2CH3)3、HS(CH2)3Si(OCH3)3、HS(CH2)3Si(OCH2CH3)3等が挙げられる。
【0039】
これら脱水剤は単独もしくは混合して使用できる。これらの脱水剤は反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー100重量部に対して0.01〜20重量部程度使用するのがよい。
【0040】
本発明の反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーと上記加水分解性シリコン化合物の混合物は硬化触媒の存在下で、大気中の水分により常温で硬化し、金属、ガラスなどに密着性の良い塗膜を与え、建造物、航空機、自動車等の被膜組成物、密封組成物、塗料組成物、接着剤組成物として有用である。
【0041】
硬化触媒としては従来公知のシラノール縮合触媒を使用することができる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0042】
前記硬化触媒の具体的な例としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネートなどのチタン酸エステル類;ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズなどのスズカルボン酸塩類;ジブチルスズオキサイドとフタル酸エステルとの反応物;ジブチルスズジアセチルアセトナート;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどの有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナートなどのキレート化合物類;オクチル酸鉛;ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)などのアミン系化合物、あるいはこれらアミン系化合物のカルボン酸などとの塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノ基を有するシランカップリング剤;などのシラノール縮合触媒、さらには他の酸性触媒、塩基性触媒などの公知のシラノール縮合触媒等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。
【0043】
これらのシラノール縮合触媒の使用量は、反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー100重量部に対して0.1〜20重量部程度が好ましく、1〜10重量部程度が更に好ましい。反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーに対してシラノール縮合触媒の使用量が少なすぎると、硬化速度が遅くなり、また硬化反応が充分に進行しにくくなるので、好ましくない。一方、反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーに対してシラノール縮合触媒の使用量が多すぎると、硬化時に局部的な発熱や発泡が生じ、良好な硬化物が得られにくくなるので、好ましくない。
【0044】
本発明の硬化性組成物は、必要に応じ種々の可塑剤、充填剤、溶剤、接着性付与剤やその他の添加剤などを添加することができる。
【0045】
前記可塑剤の具体的な例としては、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸エステル類やジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等の非芳香族2塩基酸エステル類やトリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル等が挙げられ、比較的高分子量タイプの可塑剤としては、例えば2塩基酸と2価アルコールとのポリエステル類等のポリエステル系可塑剤やポリプロピレングリコールやその誘導体等のポリエーテル類やポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン等のポリスチレン類等が挙げられる。
【0046】
特に組成物の貯蔵安定性、貯蔵後の硬化速度の低下を防ぐためポリエーテル類の使用が好ましい。
【0047】
これら可塑剤は単独もしくは混合して使用できる。これらの可塑剤は反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー100重量部に対して20〜400重量部程度使用する。
【0048】
前記充填剤の具体例としては、例えば、木粉、クルミ殻粉、もみ殻粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、グラファイト、けいそう土、白土、カオリン、クレー、タルク、無水ケイ酸、石英粉末、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスビーズ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、ガラスバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の無機充填剤や粉末ゴム、再生ゴム、熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂の微粉末、ポリエチレン等の中空体等が有機充填剤としてあげられる。これらの充填剤は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0049】
充填剤の使用量は作業性の点から(A)成分のポリエーテルオリゴマー100重量部に対して3〜300部程度が好ましく、10〜150部程度が更に好ましい。
【0050】
前記溶剤の具体例としては、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のエーテル類、メチルエチルケトン、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロオクタノン等のケトン類のごとき非反応性の溶剤が挙げられ、このような溶剤であれば特に限定はない。
【0051】
前記接着性付与剤の具体的な例としては、アミノ基含有アルコキシシラン又はアミノ基置換アルコキシシラン誘導体化合物が好ましい。
【0052】
アミノ基含有アルコキシシラン又はアミノ基置換アルコキシシラン誘導体を具体的に例示すると、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1,3−ジアミノイソプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基置換アルコキシシラン及び、上記アミノ基置換アルコキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン様なエポキシシラン化合物との反応物又は、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランの様なメタクリルオキシシラン化合物との反応物が挙げられる。アミノ基置換アルコキシシランとエポキシシラン化合物、又はアクリロイルシラン化合物との反応は、アミノ基置換アルコキシシラン1モルに対し、当該シラン化合物を0.2〜5モルを混合し室温ないし180℃の範囲で1〜8時間撹拌することによって容易に得ることができる。
【0053】
上記アミノ基置換アルコキシシラン、又はアミノ基置換アルコキシシラン誘導体化合物は、末端に架橋可能な加水分解性シリル官能基を有するポリエーテル重合体100重量部に対し0.01〜20重量部使用されるのが好ましい。0.01重量部未満では期待される接着性が発現しにくいし、20重量部をこえると硬化後のゴム物性に悪影響を与えるからである。
【0054】
前記その他の添加剤としては、例えば、水添ヒマシ油、有機ベントナイト、ステアリン酸カルシウム等のタレ防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の老化防止剤が挙げられる。
【0055】
(A)成分、(B)成分を含有する本発明の硬化性組成物の製造法は特に限定されず、例えば(A)成分、(B)成分を配合し、ミキサー、ロール又はニーダー等を用いて混練りする方法、溶剤を用いて各成分を溶解させ混合する等の通常の方法が採用されうる。
【0056】
【実施例】
本発明をより一層明らかにするために、以下具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
合成例1
分子量約2000のポリプロピレンオキシドを開始剤とし亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、数平均分子量約10,000(末端基の濃度測定により算出した末端基分子量)のポリプロピレンオキシドを得た。続いてこの水酸基末端ポリエーテルオリゴマーの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを添加して末端の水酸基をメタリル基に変換し、両末端がメタリル基である数平均分子量約10,000の2官能ポリプロピレンオキシド(a1)を得た。
合成例2
分子量約3000の3官能ポリプロピレンオキシドを開始剤とし亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、数平均分子量約19,000(末端基の濃度測定により算出した末端基分子量)のポリプロピレンオキシドを得た。続いてこの水酸基末端ポリエーテルオリゴマーの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを添加して末端の水酸基をメタリル基に変換し、末端がメタリル基である数平均分子量約19,000の3官能ポリプロピレンオキシド(a2)を得た。
合成例3
分子量約2000のポリプロピレンオキシドを開始剤とし亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、数平均分子量約10,000(末端基の濃度測定により算出した末端基分子量)のポリプロピレンオキシドを得た。続いてこの水酸基末端ポリエーテルオリゴマーの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、3−クロロ−1−プロペンを添加して末端の水酸基をアリル基に変換し、両末端がアリル基である数平均分子量約10,000の2官能ポリプロピレンオキシド(b1)を得た。
合成例4
分子量約3000の3官能ポリプロピレンオキシドを開始剤とし亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、数平均分子量約19,000(末端基の濃度測定により算出した末端基分子量)のポリプロピレンオキシドを得た。続いてこの水酸基末端ポリエーテルオリゴマーの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、3−クロロ−1−プロペンを添加して末端の水酸基をアリル基に変換し、末端がアリル基である数平均分子量約19,000の3官能ポリプロピレンオキシド(b2)を得た。
合成例5
1Lオートクレーブに合成例1で得た(a1)500g、ヘキサン10gを加えて90℃で共沸脱水を行い、ヘキサンを減圧下留去した後、8%O2/N2で容器内を置換した。これに対して硫黄(1重量%のトルエン溶液)25μl、白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のキシレン溶液)56μlを加えた後、ジメトキシメチルシラン24.2gを滴下した。その混合溶液を90℃で5時間反応させた後、未反応のジメトキシメチルシランを減圧下留去し反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー(a)を得た。得られた反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー(a)の数平均分子量は約10,000(GPC測定により求めたポリスチレン換算分子量を末端基分子量に換算)、NMRにより求めたシリル基導入率は97%であった。
合成例6
1Lオートクレーブに合成例2で得た(a2)500g、ヘキサン10gを加えて90℃で共沸脱水を行い、ヘキサンを減圧下留去した後、8%O2/N2で容器内を置換した。これに対して硫黄(1重量%のトルエン溶液)25μl、白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のキシレン溶液)56μlを加えた後、ジメトキシメチルシラン20.5gを滴下した。その混合溶液を90℃で5時間反応させた後、未反応のジメトキシメチルシランを減圧下留去し反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー(b)を得た。得られた反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー(b)の数平均分子量は約19,000(GPC測定により求めたポリスチレン換算分子量を末端基分子量に換算)、NMRにより求めたシリル基導入率は95%であった。
合成例7
1Lオートクレーブに合成例3で得た(b1)500g、ヘキサン10gを加えて90℃で共沸脱水を行い、ヘキサンを減圧下留去した後、窒素置換した。これに対して白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のキシレン溶液)30μlを加えた後、ジメトキシメチルシラン9.0gを滴下した。その混合溶液を90℃で2時間反応させた後、未反応のジメトキシメチルシランを減圧下留去し反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー(c)を得た。得られた反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー(c)の数平均分子量は約10,000(GPC測定により求めたポリスチレン換算分子量を末端基分子量に換算)、NMRにより求めたシリル基導入率は77%であった。
合成例8
1Lオートクレーブに合成例4で得た(b2)500g、ヘキサン10gを加えて90℃で共沸脱水を行い、ヘキサンを減圧下留去した後、窒素置換した。これに対して白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のキシレン溶液)30μlを加えた後、ジメトキシメチルシラン7.0gを滴下した。その混合溶液を90℃で2時間反応させた後、未反応のジメトキシメチルシランを減圧下留去し反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー(d)を得た。得られた反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー(d)の数平均分子量は約19,000(GPC測定により求めたポリスチレン換算分子量を末端基分子量に換算)、NMRにより求めたシリル基導入率は78%であった。
実施例1
密閉可能なガラス容器に、反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー(a)又は(b)50gと、トリメトキシビニルシラン0.5g、H2O0.1gを入れ攪拌し、これに硬化触媒としてジブチルスズジアセチルアセトナート(日東化成(株)製 製品名:ネオスタンU−220)を添加攪拌した。その後、容器を密閉し、3日間室温で養生した後の粘度変化をBM型粘度計(ローターNo4)で測定した。得られた粘度値を表1に示す。
実施例2
密閉可能なガラス容器に、反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー(a)又は(b)50gと、トリエトキシビニルシラン1.25g、H2O 0.1gを入れ攪拌し、これに硬化触媒としてジブチルスズジアセチルアセトナート(日東化成(株)製 製品名:ネオスタンU−220)を添加攪拌した。その後、容器を密閉し、3日間室温で養生した後の粘度変化をBM型粘度計(ローターNo4)で測定した。得られた粘度値を表1に示す。
比較例1
密閉可能なガラス容器に、反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー(c)又は(d)50gと、トリメトキシビニルシラン0.5g、H2O 0.1gを入れ攪拌し、これに硬化触媒としてジブチルスズジアセチルアセトナート(日東化成(株)製 製品名:ネオスタンU−220)を添加攪拌した。その後、容器を密閉し、3日間室温で養生した後の粘度変化をBM型粘度計(ローターNo4)で測定した。得られた粘度値を表1に示す。
比較例2
密閉可能なガラス容器に、反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー(c)又は(d)50gと、トリメトキシビニルシラン0.5g、H2O 0.1gを入れ攪拌し、これに硬化触媒としてジブチルスズジアセチルアセトナート(日東化成(株)製 製品名:ネオスタンU−220)を添加攪拌した。その後、容器を密閉し、3日間室温で養生した後の粘度変化をBM型粘度計(ローターNo4)で測定した。得られた粘度値を表1に示す。
【0057】
【表1】
表1より、実施例1〜2の硬化性組成物は、比較例1〜2の硬化性組成物に比べて、粘度上昇が少ないことから、貯安性の良いことがわかった。
【0058】
【発明の効果】
オリゴマー中の反応性ケイ素基の近傍にメチル基を導入することによって、反応性ケイ素基の反応性を低下させ、脱水剤として添加する加水分解性シリコン化合物の脱水効果を高めた貯蔵安定性の優れた硬化性組成物が得られた。またこれまで添加できなかった加水分解性シリコン化合物の添加が可能になった。
Claims (6)
- (A)分子中に以下に示す一般式(1):−O−R1−CH(CH3)−CH2−(Si(R2 2−b)(Xb)O)mSi(R3 3−a)Xa (1)
(式中R1は水素、酸素、及び窒素からなる群より選択される1種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基を示し、R2およびR3は同一または異なった炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基または(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R2またはR3が二個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR’は炭素数1から20の一価の炭化水素基であり3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが二個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1、または2をそれぞれ示す。またm個の(Si(R2 2−b)(Xb)O)基におけるbについて、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。mは0から19の整数を示す。但し、a+Σb≧1を満足するものとする)で表される構造部分を有する反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマー、及び(B)Si(OC 2 H 5 ) 4 、CH 2 =CHSi(OC 2 H 5 ) 3 、CH 2 =CHSi(OCH 3 ) 3 、CH 2 =CHSi(OAc) 3 、CH 3 −Si[ON=C(CH 3 )(C 2 H 5 )] 3 、CH 3 Si[N(CH 3 ) 2 ] 3 、CH 3 Si[N(CH 3 )(C 2 H 5 )] 3 、CH 3 Si[N(CH 3 )Ac] 3 、CH 3 Si[OC(C 2 H 5 )=CH 2 ] 3 、CH 2 (O)CHCH 2 O(CH 2 ) 3 Si(OCH 3 ) 3 、CH 2 (O)CHCH 2 O(CH 2 ) 3 Si(OCH 2 CH 3 ) 3 、CH 3 CH 2 Si(OCH 3 ) 3 、CH 3 CH 2 Si(OCH 2 CH 3 ) 3 、CH 2 =C(CH 3 )COO(CH 2 ) 3 Si(OCH 3 ) 3 、CH 2 =C(CH 3 )COO(CH 2 ) 3 Si(OCH 2 CH 3 ) 3 、HS(CH 2 ) 3 Si(OCH 3 ) 3 、及び、HS(CH 2 ) 3 Si(OCH 2 CH 3 ) 3 からなる群より選ばれる加水分解性シリコン化合物を含有する硬化性組成物。 - (A)のR1がCH2であることを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
- 一般式(1)で表される構造部分が、−O−CH 2 −CH(CH 3 )−CH 2 −Si(CH 3 )(OCH 3 ) 2 であることを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
- (A)が、一般式(2):−O−R1−C(CH3)=CH2 (2)
(R1は前記と同じ)で表される不飽和結合を導入したポリエーテルオリゴマーと、一般式(3):H−(Si(R2 2−b)(Xb)O)mSi(R3 3−a)Xa (3)
(R2、R3、a、b、m、Xは前記と同じ)で表される反応性ケイ素基を有する化合物とを酸素を有する雰囲気下、触媒、及び硫黄化合物が存在する系中で反応させる事により得られる反応性ケイ素基を有する反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーであることを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。 - (A)が、次式で表される不飽和結合を導入したポリエーテルオリゴマー
−O−CH2−C(CH3)=CH2
と反応性ケイ素基を有する化合物
H−Si(CH3)(OCH3)2
とを酸素を有する雰囲気下で、触媒、及び硫黄化合物が存在する系中で反応して得られる以下に示す構造部分を有する反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーであることを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
−O−CH2−CH(CH3)−CH2−Si(CH3)(OCH3)2 - 反応性ケイ素基含有ポリエーテルオリゴマーの末端のうち、85%以上が反応性ケイ素基であることを特徴とする請求項4又は5記載の硬化性組成物。
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