JP4519460B2 - 切開が設けられたタイヤトレッド - Google Patents
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Description
一般にこれらの切開は、本質的に横方向に配向されたゴム縁部を形成すべく配置されており、真直路を走行中に駆動トルクまたは制動トルクを受けたときにタイヤのグリップ力に効果を与えるようになっている。このような切開が設けられたリッジの接触面に対して接線方向の力を受けたとき、対向壁に対して壁が確実に阻止されるとしても、この阻止が即効性を有することにはならない。駆動車軸に駆動トルクを加えることからなる重車両での騒音測定試験中に、本件出願人は、上記文献1に開示された形式の切開の個数が多くなるほど、車両の通過時に大きい騒音が記録されることを見出した。実際には、壁間の阻止が全く生じない方向がある。
平均幅Eをもつ各切開は、リッジの一方の側方面と他方の側方面との間で、一連の切開部分を有し、これらの切開部分の幾つかは、少なくとも切開の最大深さHiの1/2に等しい高さHeに亘って、および該高さHe内でとった、新品状態での接触面に平行な任意の平面について、トレッドの長手方向に対して最大でも15°の平均角度βを形成する条跡を有し、前記条跡が平均角度βを形成する切開部分は、長手方向への投影で見て、少なくともリッジの幅Lの1/5に等しい全長Ltを有し、
前記条跡が平均角度βを形成する切開部分には、その対向壁に振幅Kのレリーフ要素が設けられており、該レリーフ要素は、路面接触ゾーンを通るときに互いに協働して、一方の切開壁と他方の切開壁との間の、トレッドの厚さ方向および長手方向の相対移動を阻止するように設計されており、レリーフ要素の振幅Kは切開の平均幅Eの4〜10倍であることを特徴とするタイヤ用トレッドを提供する。
切開の平均幅Eは、その対向壁を分離する平均距離として定義される。
所望の結果を得るためには、トレッドの長手方向(トレッドがタイヤの一部であるときは周方向に一致する)に対して小さい角度を形成する充分な長さの切開部分と、これらの切開部分にレリーフ要素を設けて(これは、切開の最大高さHiの少なくとも2/3に等しい全高Heに亘って行なわれる)、該切開部分の表面上に含まれるあらゆる方向への切開部分の壁の移動の阻止を達成する。もちろん、この高さHeは、本発明の上記特定条件すなわち角度および長さの条件を満たす幾つかの非連結部分の高さの合計として考えることができる。
かくして、路面接触ゾーンを通るとき、本発明による切開が設けられたリッジは、機械的に連続したリッジ(すなわち切開)にリンクされる。なぜならば、切開の対向壁は互いに少なくとも局部的に移動阻止され、前記壁に平行な方向(すなわち、これらの壁に対して垂直以外の方向)のあらゆる相対移動が防止される、
最大でも15°の平均角度βを形成する各切開部分は、トレッドの長手方向上への投影において、2つの切開間の平均距離の1/4〜1/2の長さを有することが好ましい。
阻止効果を更に高めるには、最大でも15°の平均角度βを形成する各切開部分は、長手方向上の投影において、リッジの幅の少なくとも1/5に等しい長さを有することが好ましい。
最大でも15°の平均角度を形成する切開の壁には、新品状態での走行面から切開の最大深さの少なくとも50%に亘ってレリーフ要素が設けられることが好ましい。これらのレリーフ要素(凹凸要素)は、レベルが走行面に対して本質的に平行である少なくとも3つのラインに沿って分布されることが有利である。
切開壁の長手方向の移動を一層有効に阻止するには、平均角度βは最大でも5°であるのが好ましい。
全ての切開部分には、これらの壁上にレリーフ要素を設けるのが好ましい。これらのレリーフ要素は、互いに協働して、前記壁に平行な方向に沿うあらゆる移動を防止するように設計される。
また、本発明によるトレッドパターンは付加的摩耗を受けないこと、より詳しくは、不規則摩耗を受けないことが判明している(すなわち、観察される摩耗はリッジの接触面全体に亘って本質的に均一である)。
更に優れた移動阻止効果を得るには、最大でも15°の平均角度βを形成する切開部分を、リッジの全幅に亘って分布させるのが有利である。このためには、
Leが、レリーフ要素を有しかつ各リッジの側方面の最も近くに位置する切開部分を分離する最大距離であり、および
Liが、レリーフ要素を有しかつ各リッジの中間部の最も近くに位置する切開部分を分離する最大距離であるとき、これらの距離が下記関係すなわち、
1/3≦Le/L≦2/3
1/4≦Li/L
を満たすことが有利である。
図1は、315/80R22.5のサイズをもつ重車両用タイヤのトレッドのリッジ1を示す部分図である。トレッドは全部で8個のリッジを有し、該トレッドは、周方向(図1にYで示す方向)に配向された15mmの平均幅をもつ溝により画定されている。
リッジ1は、走行中に路面と接触することを意図した接触面2と、2つの縁部5、6に沿って接触面2と交差する2つの側方面3、4とを有している。リッジ1には各側方面上に開口する複数の切開7が設けられており、各切開7は、新品状態でのタイヤの走行面で見て、リッジの縁部5、6上の点Aと点Bとの間に延びている線に沿って接触面2と交差している。走行面上での切開7の平均角度は、点Aと点Bを結ぶ線分ABとトレッドの横方向(図面にXで示す方向)とのなす角度αに等しく、本実施形態ではこの角度αは7°である。所与のリッジの各切開は、0.6mmの平均幅Eと、その全長(点Aと点Bとの間の長さ)に亘って事実上一定の深さとを有しており、リッジ1を画定する溝の深さに等しい。
切開7の2つの切開部分71、72の走行面上の条跡は、トレッドの長手方向(図1にYで示す方向)に対してそれぞれβ1およびβ2の角度を形成し、この実施形態では、この角度は両方とも7°である。これらの2つの切開部分71、72は、長さL1およびL2を有し、両長さとも5mmに等しい。長手方向Yに投影されるこれらの長さの合計長さLtは、この実施形態では、リッジの幅Lの1/3に等しい。
ここに示す例では、切開の部分70、73、74も真直であり、かつ7°に等しい同じ角度αを形成する真直条跡に沿って走行面と交差する。また、これらの切開部分には、部分71、72に設けられたものと同様な複数のレリーフ要素が設けられている。
ここに説明する例では、回転方向は、図1にYで示す方向とは逆である。
全体的に、切開7は、新品状態において、走行面に対して垂直である。すなわち、各部分70、71、72、73、74は、前記走行面に対してほぼ垂直である。
変更形態として、各切開は、その絶対値が最大でも15°(走行面に対して垂直な方向に対して15°)の角度で傾斜させることができる。すなわち、所与のリッジにおける切開は、正または負の角度で交互に傾斜させることができる。
切開を備えていないパターン(ケース1)と、
走行面上に真直条跡(rectilinear trace)をもつ平切開を備えたパターン(ケース2)と、
上記文献2に開示されているような複数のレリーフ要素を備えた平切開を備えたパターン(ケース3)と
本発明による切開を備えたパターン(ケース4)
とを比較して示すものである。
この最後のケース4では、タイヤは8個のリッジを有し、各リッジには、図1に示すような複数の切開が設けられている。肩部のリッジの方が幅広であるため、これらの切開にはより大きい振幅の付加波型部が設けられている点で、肩部のリッジの切開は他のリッジの切開とは異なっている。
各トレッドパターンの溝比率(grooving proportion)は、新品状態でのリッジの切開の合計面積と、前記リッジの全面積との比として定義される。
また、同じパターンが設けられたタイヤ(ケース2、3および4)と、切開の対向壁がゴムブリッジにより連結されたブリッジ型真直切開が設けられたタイヤ(ケース5)についても測定を行なった。これらの測定値を下記表IIに示す。
各切開部分CD、EF、GH、IJは、長手方向Yに対して平均角度β(ぞの絶対値は5°である)を形成している(角度βは、各切開部分の両端部を連結するセグメントのなす角度である)。これらの全ての切開部分には、これらの全深さに亘って複数のレリーフ要素(図3において、走行面上の波線8で象徴的に示されている)が設けられている。
トレッドの長手方向に対して15°以下の角度βで傾斜している切開部分は、切開の対向壁の移動阻止がリッジの全幅に亘ってできる限り均一になるようにリッジの幅方向に分布させるのが有利である。この実施形態の場合には、レリーフ要素を備えた切開部分を分離しかつ各リッジの側方面の最も近くに位置する最大幅Le(両切開部分CDおよびIJに相当するする幅、より詳しくは、点Cと点Jとの間の距離)は、リッジ10の幅Lの2/3に等しく、一方、リッジの中間部に最も近接して位置するレリーフ要素の切開部分を分離する最大幅Liは、幅Lの1/3に等しい。
この実施形態では、レリーフ要素が設けられていない切開部分DE、HIは、図4に示すように、新品の状態のトレッドの走行面への垂線に対して傾斜している。図3のIV−IV線に沿う断面図である図4は、切開部分HIの条跡が、走行面と切開部分との交点を通る、走行面に対する垂線に対して角度γ1で傾斜していることを示す。一方、切開部分DE、HIに対して線分ABの反対側に位置する切開部分FGは、切開部分FGのV−V線に沿う断面図である図5に示すように、角度と同値であるが逆符号の角度γ2で傾斜している。
トレッドのより良い機能的平衡および切開壁の移動のより良い阻止のためには、長さL′、L″は、事実上長手方向に配向された切開部分に従って重み付けするするのが有利であり、この実施形態では、本質的にL″の長さをL′の長さの2倍にするのが好ましい。
レリーフ要素は、該レリーフ要素が設けられた切開の壁が互いに接触するとあらゆる移動を確実に阻止するように協働すべく設計された溝およびリッジの形態にすることができる。必ずしも真直ではない溝およびリッジを、平均方向(走行面に対して垂直であるか否かを問わない)に沿って対向壁に形成することができる。
幾つかの半径方向部分106は、トレッドの長手方向に対して0°に等しい角度を形成する切開部分を成形するように設計されている(この場合、他の部分は前記方向に対して垂直である)。
ここに説明する層状要素101は、走行面との交差が「コ」の字型の形状(crenellated geometry)を有し、「コ」の字の振幅は深さとともに(従って、トレッドが摩耗するにつれて)徐々に増大する。或る深さを越えると、全高Hiの少なくとも1/2に等しい少なくとも残余の深さHeに亘って、長手方向への投影で見て、長手方向に対して0°の角度の切開部分を成形する半径方向部分106は、少なくとも層状要素の長さLの1/5に等しい全長Ltを有する(全長とは、前記半径方向部分の長手方向の長さの合計を意味する)。
切開202(その全高はHiである)の特別な特徴は、切開202が、摩耗の進行につれて、前記切開の両端部A、Bを結ぶ線分に対して第一側に位置する「コ」の字の形状から、幾何学的条跡が本質的に真直になる中間位置(図示の例では、切開の約1/2下方)を通って、同じ線分に対して反対側に位置する「コ」の字の形状をもつ他の「コ」の字へと進行させる幾何学的条跡203を走行面上に形成することである。幾何学的条跡の形状は、深さHe1後にのみ変化し始め、切開の底から距離He2に位置するレベルに一致する深さまで単調に変化を続ける。
ゴム要素の長手方向に整合する切開部分204の少なくとも対向壁には、凹凸部(図示せず)が設けられており、高さHe1とHe2との合計に等しい前記部分の長手方向および高さHe上に投影された長さの合計は、少なくともゴム要素201の幅Lの1/5に等しい。ここでは、高さHeは切開の全高Hiの1/2に等しい。
本発明は、以上説明しかつ図示した例に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更を行なうことができる。より詳しくは、乗用車用タイヤ並びに重車両の非駆動車軸用タイヤに適用することもできる。
7 切開
70、71、72、73、74 切開部分
101 成形要素
102 傾斜部分
103 半径方向部分
104 凹状要素
105 凸状要素
201 ゴム要素
202 切開
Claims (8)
- ほぼ周方向の少なくとも2つの溝により形成されたトレッドパターンを有し、これらの溝は少なくとも2つのリッジ(1)を画定し、各リッジ(1)は路面と接触することを意図した接触面(2)および2つの側方面を備え、これらの側方面は接触面と交差して縁部(5、6)を形成し、平均幅Lをもつ少なくとも1つの前記リッジは新品状態で最大深さHiをもつ複数の切開(7)を備え、該切開(7)は、リッジの接触面および両側方面上に開口し、接触面上の各切開の条跡はリッジの縁部との2つの交点A、Bの間に延びており、前記2つの交点を結ぶ線分ABはトレッドの横方向に対して最大でも40°の角度αを形成している構成のタイヤ用トレッドにおいて、
平均幅Eをもつ各切開(7)は、リッジの一方の側方面から他方の側方面まで、一連の切開部分(70、71、72、73、74)を有し、これらの切開部分の幾つか(71、72)は、少なくとも切開の最大深さHiの1/2に等しい高さHeに亘って、および該高さHeに亘る新品状態での接触面に平行な任意の平面について、トレッドの長手方向に対して最大でも15°の平均角度βを形成する条跡を有し、前記条跡が平均角度βを形成する切開部分(71、72)は、長手方向への投影で見て、少なくともリッジの幅Lの1/5に等しい全長Ltを有し、
前記条跡が平均角度βを形成する切開部分(71、72)には、その対向壁に振幅Kのレリーフ要素が設けられており、該レリーフ要素は、路面接触ゾーンを通るときに互いに協働して、一方の切開壁と他方の切開壁との間の、トレッドの厚さ方向および長手方向の相対移動を阻止するように設計されており、レリーフ要素の振幅Kは切開の平均幅Eの4〜10倍であることを特徴とするタイヤ用トレッド。 - 長手方向Yに対して最大でも15°の平均角度βを形成する切開部分(71、72)の長さの長手方向Y上への投影の合計に等しい全長Ltは、少なくともリッジの幅Lの1/3に等しいことを特徴とする請求項1記載のタイヤ用トレッド。
- 長手方向Yに対して最大でも15°の平均角度βを形成する切開部分を画定する壁は、走行面から下方に向かって、切開の最大深さHiの少なくとも50%に等しい深さまで形成されたレリーフ要素を有していることを特徴とする請求項1または2記載のタイヤ用トレッド。
- 前記平均角度βは最大でも5°であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のタイヤ用トレッド。
- 前記切開の少なくとも一部は、点Aを通り走行面に垂直な平面に対して0°以外の平均角度だけ傾斜していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のタイヤ用トレッド。
- 前記切開の全部が、点Aを通り走行面に対して垂直である平面に対して絶対値が最大でも15°である同じ平均角度だけ傾斜しており、切開は正および負の角度で交互に傾斜していることを特徴とする請求項5記載のタイヤ用トレッド。
- 15°以下の平均傾斜の少なくとも2つの切開部分が設けられ、該切開部分が、点Aを通り走行面に対して垂直である平面に対して逆方向の傾斜を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のタイヤ用トレッド。
- 次式
1/3≦Le/L≦2/3
1/4≦Li/L
を満たし、ここで、
Leは、レリーフ要素を有しかつ各リッジの側方面の最も近くに位置する切開部分を分離する最大距離であり、および
Liは、レリーフ要素を有しかつ各リッジの中間部の最も近くに位置する切開部分を分離する最大距離であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のタイヤ用トレッド。
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