JP4513176B2 - エレベータの制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性力によって制動トルクを発生させる構造の制動装置を有するエレベータの制御装置に係り、詳しくは、ブレーキを開放する方向に開放力を発生するアクチュエータを制動装置に取り付けてなるエレベータの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、エレベータ用ブレーキの制動トルク設定については、負荷や走行条件が最悪の場合を考慮して、制動トルクの設定が行なわれていた。例えば、過積載でかごDN方向に定格速度で走行を行う場合は、通常、エレベータを停止させることができる範囲の大きな制動トルクに固定設定が行われていた。しかしながら、この従来のエレベータ用ブレーキの制動トルク設定では、制動時にエレベータが停止し易い負荷、運転方向であると、過制動となり減速度が大きくなることがあった。
【0003】
例えば、かごに1名だけ乗車してDN走行している場合には、過制動の結果、大きな減速度が発生して乗客に大きな力を与えてしまうことがあった。このため、エレベータが非常停止する際、かご内の荷重(乗客数)によっては、衝撃力が変化して、乗客に不快感を与える場合があった。
【0004】
そこで、この問題を解消する従来のエレベータには、例えば、特開平7−206288号公報に記載されたものが挙げられる。この公報には、上記問題を解消する方法として、ブレーキコイルの通電電流を制御して、減速度を一定値に制御することが記載されている。この公報のエレベータは、ブレーキ解放用のコイルを用いて、制動トルクを制御する方式を採っている。以下に、この従来のエレベータを、図面を参照して説明する。
【0005】
図12は上記特開平7−20688号公報で提案された従来のエレベータの全体構成を示す図である。図12に示すように、エレベータのかご101は、ロープ102を介して釣合重り103に連結されている。モータ104は、回転力によりブレーキドラム(カップリング)105を介してシーブ106を回転させ、シーブ106とロープ102間の摩擦力を利用して、エレベータのかご101を昇降させている。
【0006】
モータ104には、かご101の速度を検出するための速度検出器110が取り付けられている。ブレーキドラム105の周囲には、ブレーキ力を得るためのブレーキシュー107が設けられ、更にこのブレーキシュー107を不勢するためのブレーキばね108が設けられている。ブレーキばね108には、エレベータ制御部111からのブレーキ指令により、ブレーキばね108を動作させるブレーキコイル109が設けられている。
【0007】
ここで、エレベータ制御部111は、エレベータの非常停止指令を出力する非常停止指令発生部112と、エレベータの速度基準パターンに基づく速度基準指令を出力するとともに、非常停止時には、予め設定された減速度(通常時の減速度よりもやや大きい減速度)をもった非常停止用速度基準パターンに基づく速度基準指令を出力する速度基準発生部113とを有する。
【0008】
更に、エレベータ制御部111は、通常時、速度基準発生部113からの速度基準と速度検出部110からの速度帰還量との偏差を増幅演算してトルク指令を出力する速度制御部114と、速度制御部114からのトルク指令に基づいてモータ104への速度指令を出力するモータ制御部115と、非常停止時、速度制御部114からの減速度指令を入力して、ブレーキコイル109へのブレーキトルク指令を出力するブレーキ制御部116とを有する。
【0009】
更に、エレベータ制御部111は、通常時、速度制御部114からのブレーキ動作指令に基づいてブレーキコイル109へのブレーキ電流のオンオフ通電制御(即ち、ブレーキの解放若しくは制動動作の2モード制御)を行うとともに、非常停止時には、所定の減速度パターンによるブレーキ制御部116からのブレーキトルク指令に基づいてブレーキコイル109への通電電流を無段階的に制御するブレーキ制御切替部117とを有している。
【0010】
この従来のエレベータでは、ブレーキ制御部116によりブレーキコイル109への通電電流を制御して、エレベータの非常停止時に、かご101の減速度を可変制御するようにブレーキの制動力を制御するように構成したため、かご101の減速度を一定に保持することができ、不快感のない安全な走行でエレベータを運転することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記したような従来のエレベータでは、エレベータの非常停止時に、ブレーキコイル109の通電電流を制御して、減速度を一定値に制御するために、ブレーキ開放用のブレーキコイル109を用いて、制動トルクを制御する方式を採っていたが、この方式では、ブレーキ制御に異常が発生すると、制動トルクを加減制御することが困難になるという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、かかる課題を解決するためになされたもので、ブレーキの開放用のコイルは用いずに、ブレーキの制動トルクをブレーキが動作時でも、独立した手段にて緩和することができるエレベータの制御装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、弾性力によって制動トルクを発生させる構造の制動装置を有するエレベータの制御装置において、ブレーキ制動時に、ブレーキを開放する方向に開放力を発生するブレーキ開放手段を前記制動装置とは独立した手段として設けたものである。
【0014】
本発明は、弾性力によって制動トルクを発生させる構造の制動装置を有するエレベータの制御装置において、エレベータの巻上機の回転軸と前記制動装置間の距離を変化させる距離調整駆動手段を有するものである。
【0015】
また、エレベータの制御装置においては、前記制動装置を用いて、エレベータ走行中に制動力を発生する必要が生じた場合に、終端階を行き過ぎることがない範囲で、かつかごの減速度が小さくなる減速パターンを算出する減速パターン算出手段と、この算出された減速パターンに基づいて前記ブレーキ開放手段/前記距離調整駆動手段を制御する開放/駆動手段制御手段とを有するものである。
【0016】
また、エレベータの制御装置においては、前記減速パターン算出手段が、目的階に停止させる減速パターンを算出するものである。
【0017】
また、エレベータの制御装置においては、前記ブレーキ開放手段/前記距離調整駆動手段を制御する前記開放/駆動手段制御手段が故障した場合、その故障した前記開放/距離手段制御手段を停止させる開放/駆動手段停止手段を有するものである。
【0018】
また、エレベータの制御装置においては、減速時に発生する巻上機の発電エネルギーを、前記制御装置の電源に使用するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明における実施の形態を、図面を用いて説明する。
実施の形態1.
本実施の形態は、従来例と対比しながら、説明する。まず、従来例を、図1、2を参照して説明する。
図1は従来のエレベータのシステム構成を示す概略図である。図示例は、制動装置が巻上機に取り付けられ、ディスクブレーキを用いた例である。図1において、1はディスクブレーキ、2はブレーキディスク、3は巻上機シーブ、4はかご、5は釣合重り、6はメインロープ、7は巻上機モータ、8は回転検出器である。この従来のエレベータでは、ディスクブレーキ1により、かご4の保持や緊急時の制動を行なう。
【0020】
図2は図1に示すディスクブレーキの構成を示す図である。図2において、図1と同一符号は同一または相当部分を示し、10、11はブレーキパッド、12はブレーキコイル、13はブレーキスプリング、14は端部にブレーキパッド10、11が設けられたプランジャ、15はブレーキ本体である。A1は、巻上機の軸中心を示している。
【0021】
ここで、この従来のディスクブレーキ1の動作について説明する。ディスクブレーキ1は、巻上機に取り付けられたブレーキディスク2を、ブレーキ本体14に設けられたブレーキパッド10、11で挟み込むことにより、制動力を発生する。このブレーキパッド10、11によるブレーキディスク2への押し付け力は、プランジャ14とブレーキ本体15間に圧縮して装着されたブレーキスプリング13によって発生される。
【0022】
ブレーキを開放する場合は、ブレーキコイル12に通電し、その発生する磁束の吸引力によりブレーキスプリング13を更に圧縮することで、ブレーキパッド10、11が設けられたプランジャ14をブレーキディスク2と離間するように外側に引き付けて、ブレーキを開放する。この時、プランジャ14のブレーキパッド10、11は、ブレーキディスク2と離間される。また、ブレーキを制動する場合は、ブレーキコイル12への通電を遮断し、ブレーキスプリング13の圧縮を開放してそのブレーキスプリング13のばね力により、プランジャ14のブレーキパッド10、11をブレーキディスク2の部分に押し付ける。
【0023】
この従来のディスクブレーキ1は、ブレーキの制動時において、ブレーキスプリング13の当初設定の締込み量でブレーキトルクが決まり、ブレーキ動作時、その制動力を変動させることができなかった。そこで、本実施の形態では、図3、4に示すように、ブレーキ制動時に、ブレーキ力を弱めることができるように、ブレーキを開放する方向に力を発生することができるアクチュエータ16(ブレーキ開放手段)を、ディスクブレーキ1とは独立した手段としてエレベータの制御装置に備えた。なお、アクチュエータ16自身は、ディスクブレーキ1に設置している。このアクチュエータ16の動作により、ブレーキスプリング13のばね力だけで決まる制動力を弱めることができる。
【0024】
図3は本発明に係る実施の形態1におけるブレーキ開放状態のディスクブレーキの構成を示す図、図4は本発明に係る実施の形態1におけるブレーキ制動状態のディスクブレーキの構成を示す図である。図3、4において、アクチュエータ16は、例えば、ブレーキパッド11がある側からブレーキ本体15を貫通して外側に突出しているプランジャ14部分とブレーキ本体15外側面との間に配置されている。
【0025】
アクチュエータ16は、ブレーキ制動時に、エレベータの制御装置によりONされると膨張し、接触しているブレーキ本体14部分を、図4の矢印B1に示す方向の如く、ブレーキパッド11がある側とは反対側の外側へ押圧して、ブレーキスプリング13と接触しているプランジャ14部分によりブレーキスプリング13を圧縮する機能を有している。
【0026】
ディスクブレーキ1の制動トルクは、ブレーキスプリング13のばね力による押し付け力により発生される。エレベータの制御装置は、ブレーキ制動時において、アクチュエータ16をONさせてアクチュエータ16を膨張させ、アクチュエータ16と接触しているプランジャ14部分を、図4の矢印B1に示す方向の如く、アクチュエータ16により、ブレーキパッド11がある側とは反対側の外側へ押圧させて、ブレーキスプリング13と接触しているプランジャ14部分によりブレーキスプリング13を圧縮させている。
【0027】
これにより、ブレーキ制動時に、ブレーキパッド10、11のブレーキディスク2への押し付け力が緩められる方向に働き、ブレーキの制動トルクが緩和される。従って、ブレーキ制動時に、ブレーキ開放用のブレーキコイル12を用いずに、ディスクブレーキ1とは独立した手段の、ブレーキを開放する方向に力を発生するアクチュエータ16により、ブレーキの制動トルクを緩和することができる。
【0028】
実施の形態2.
実施の形態1では、アクチュエータ16をディスクブレーキ1にを設置して制動力を緩和する構成の場合を説明したが、本実施の形態では、ブレーキ本体のディスクブレーキ1またはブレーキパッド10、11の位置を変動させることにより、制動力を可変とするように構成している。以下、本実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0029】
図5は制動トルクの関係を説明する図である。
通常、ブレーキトルクTは、ブレーキパッド10、11のブレーキディスク2への押し付け力Fと巻上機の回転軸C1からブレーキパッド10、11の中心までの距離R、およびブレーキパッド10、11とブレーキディスク2の摩擦係数μによって決定される。
【0030】
ブレーキトルクTとブレーキパッド10、11の押し付け力Fと回転軸C1からの距離R、およびブレーキパッド10、11とブレーキディスク2の摩擦係数μとの関係は、T=μ×F×Rとなる。走行中に摩擦係数μや押し付け力Fを変化させずに、回転軸C1からの距離Rを変化させて、制動トルクを変化させる。
【0031】
図6、7は本発明に係る実施の形態2におけるディスクブレーキを説明する図である。図6、7において、図2と同一符号は同一または相当部分を示し、R、rは、巻上機の回転軸からディスクブレーキ1のブレーキパッド10、11の中心までの距離を示している。エレベータの制御装置における距離調整手段は、ブレーキ制動時に、巻上機の回転軸からブレーキパッド10、11の中心までの距離を、図6の通常時の距離Rから図7の距離r(r<R)のように、小さくなるように調整する。
【0032】
これにより、ブレーキ制動時に、ブレーキパッド10、11のブレーキディスク2への押し付け力が緩められる方向に働き、ブレーキの制動トルクが緩和される。従って、ブレーキ制動時に、ブレーキ開放用のブレーキコイル12を用いずに、ディスクブレーキ1とは独立した手段の、巻上機の回転軸からディスクパッド10、11の中心までの距離を、距離R→距離rと小さく設定する距離調整手段により、ブレーキの制動トルクを緩和することができる。
【0033】
実施の形態3.
図8は本発明に係る実施の形態3におけるエレベータのシステム構成を示す図である。図示例は、上記実施の形態1、2のような、制動力をブレーキ制動中でも緩めることができるエレベータの制御装置を、エレベータシステムに用いた例である。図8において、図1、3、4と同一符号は同一または相当部分を示し、9は終端階、20は減速パターン発生装置、21は比較器、22は制御指令発生装置、23は速度帰還値、24は回転検出器8の出力パルス、25はアクチュエータ駆動回路、26は終端距離演算器、34は制動力調整装置である。
【0034】
制動力調整装置34は、減速パターン発生装置20、比較器21、制御指令発生装置22、アクチュエータ駆動回路25および終端距離演算器26などから構成される。エレベータが走行中に制動する必要が生じた場合に、エレベータの昇降路の終端階までの残距離を、パルスエンコーダなどの回転検出器8の出力パルス24を終端距離演算器26に入力し、終端距離演算器26により、昇降路終端階9までの距離Lを算出する。
【0035】
減速パターン発生装置20は、エレベータの非常制動開始時の速度V0および算出された終端階までの距離Lから、終端階を行き過ぎることがない範囲で、かつかごの減速度が極力小さくなる減速パターンを算出する。次いで、比較器21は、算出された減速パターンと速度帰還値23とを比較して、その比較結果を制御指令発生装置22へ出力する。
【0036】
制御指令発生装置22は、アクチュエータ駆動回路25にON、OFF指令を出力し、アクチュエータ16による減速トルクを調整して、減速パターン指令に追従するようにアクチュエータ16を制御する。これにより、ブレーキ制動時に、ブレーキパッド10、11のブレーキディスク2への押し付け力が緩められる方向に働き、ブレーキの制動トルクが緩和される。
【0037】
従って、ブレーキ制動時に、ブレーキ開放用のブレーキコイル12を用いずに、ディスクブレーキ1とは独立した手段の、終端階を行き過ぎることがない範囲で、かつかごの減速度が小さくなる減速パターンを算出し、この算出された減速パターンを基にアクチュエータ16による減速トルクを調整する制動力調整装置34により、ブレーキの制動トルクを緩和することができる。
【0038】
なお、上記実施の形態3では、エレベータ走行中に制動力を発生する必要が生じた場合に、終端階を行き過ぎることがない範囲で、かつかごの減速度が小さくなる減速パターンを算出し、この算出された減速パターンを基にアクチュエータ16による減速トルクを調整する構成について説明したが、エレベータ走行中に制動力を発生する必要が生じた場合に、終端階を行き過ぎることがない範囲で、かつかごの減速度が小さくなる減速パターンを算出し、この算出された減速パターンを基に、実施の形態2で説明したエレベータの巻上機の回転軸とディスクブレーキ1間の距離を変化させる距離調整駆動手段を制御するように構成してもよい。これにより、エレベータの巻上機の回転軸からディスクブレーキ1までの距離を小さくすることにより、ブレーキの制動トルクを緩和することができる。
【0039】
実施の形態4.
図9は本発明に係る実施の形態4におけるエレベータのシステム構成を示す図である。図9において、図8と同一符号は同一または相当部分を示し、28は目的停止階距演算器である。本実施の形態は、実施の形態3のエレベータ制御装置を、更に発展させた構成であり、エレベータの停止位置をある適当な目的階に設定している。
【0040】
図10は図9に示すエレベータの挙動を示す図である。
エレベータの昇降路の停止する目的階までの距離Lfを、パルスエンコーダなどの回転検出器8の出力パルス24を目的停止階距離演算器28に入力し、目的停止階距離演算器28により、停止する目的階40までの距離Lfを算出する。
【0041】
減速パターン発生装置20は、エレベータの非常制動開始時の速度V0および算出された目的階40までの距離Lfから、目的階に停止するための減速パターンを算出する。比較器21は、算出された目的階に停止するための減速パターンと速度帰還値23とを比較して、その比較結果を制御指令発生装置22へ出力する。
【0042】
制御指令発生装置22は、アクチュエータ駆動回路25にON、OFF指令を出力し、アクチュエータ16による減速トルクを調整して、減速パターン指令に追従するようにアクチュエータ16を制御する。これにより、目的階に停止することを加味した減速パターンを算出しているので、ブレーキ制動時に、かご4内に乗客を閉じ込めることなく目的階に停止させることができ、しかもブレーキの制動トルクを緩和させることができる。
【0043】
なお、上記実施の形態4では、制動トルクの緩和をアクチュエータ16による制御の場合について説明したが、実施の形態2で説明したエレベータの巻上機の回転軸とディスクブレーキ1間の距離を変化させる場合にも適用させることができる。
【0044】
実施の形態5.
本実施の形態では、実施の形態1〜4で述べたアクチュエータ16/距離調整駆動手段を制御する制御回路が故障した場合、制御切り離し装置により、その故障した制御回路を停止させるように構成してもよい。これにより、ばね力などによる最大の制動トルクを得ることができる。
【0045】
実施の形態6.
上記したように、制動トルクを、アクチュエータ16の制御等により制御するエレベータシステムにおいて、制御装置の電源は、通常、売電が遮断された場合でも動作するようにバックアップ電源(バッテリ)等を有して構成されるのが通常である。
【0046】
図11は本発明に係る実施の形態6におけるエレベータのシステム構成を示す図である。図11において、図9と同一符号は同一または相当部分を示し、30はPMモータ、31はモータ駆動回路、32は制動力調整器、33はコンタクタである。
【0047】
巻上機にPMモータ30を用いた場合は、エレベータの非常制動開始から停止までの空転時に、巻上機が発電機として作用するので、その発生エネルギーを、停電時にONとなるコンタクタ33で、ブレーキ制動力の制御装置34に接続して、制御回路の電源に使用できるよう構成する。これにより、巻上機にPMモータ30を使用し、かご4停止までの発電エネルギーを制御電源として使用するので、バックアップ用のバッテリを不用にすることができるほか、レイアウト性、保守性にも優れたエレベータ制御装置を得ることができる。
【0048】
なお、上記実施の形態1〜6に以上は、ディスクブレーキを制動装置として用いた場合を例示したが、実施の形態2を除き、ドラムブレーキ等方式が異なる制動装置を用いても、同様の効果が期待できる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、弾性力によって制動トルクを発生させる構造の制動装置を有するエレベータの制御装置において、ブレーキ制動時に、ブレーキを開放する方向に開放力を発生するブレーキ開放手段を前記制動装置とは独立した手段として設けて構成することにより、ブレーキ制動時に、ブレーキ開放用のブレーキコイルを用いずに、制動装置とは独立した手段の、ブレーキを開放する方向に力を発生するブレーキ開放手段により、ブレーキの制動トルクを緩和することができる。
【0050】
本発明によれば、弾性力によって制動トルクを発生させる構造の制動装置を有するエレベータの制御装置において、距離調整駆動手段により、エレベータの巻上機の回転軸と前記制動装置間の距離を変化させるように構成することにより、ブレーキ制動時に、ブレーキ開放用のブレーキコイルを用いずに、ディスクブレーキとは独立した手段の、巻上機の回転軸から制動装置までの距離を、小さく設定できる距離調整手段により、ブレーキの制動トルクを緩和することができる。
【0051】
また、エレベータの制御装置においては、前記制動装置を用いて、エレベータ走行中に制動力を発生する必要が生じた場合に、終端階を行き過ぎることがない範囲で、かつかごの減速度が小さくなる減速パターンを減速パターン算出手段により算出し、この算出された減速パターンに基づいて、開放/駆動手段制御手段により、前記ブレーキ開放手段/前記距離調整駆動手段を制御するように構成することにより、ブレーキの制動時に、ブレーキの制動トルクを緩和することができる。
【0052】
また、エレベータの制御装置においては、前記減速パターン算出手段により、目的階に停止させる減速パターンを算出するように構成することにより、目的階に停止することを加味した減速パターンを算出しているので、ブレーキ制動時に、かご内に乗客を閉じ込めることなく目的階に停止させることができ、しかもブレーキの制動トルクを緩和させることができる。
【0053】
また、エレベータの制御装置においては、前記ブレーキ開放手段/前記距離調整駆動手段を制御する前記開放/駆動手段制御手段が故障した場合、開放/駆動手段停止手段により、その故障した前記開放/距離手段制御手段を停止させるように構成することにより、ばね力などによる最大の制動トルクを得ることができる。
【0054】
また、エレベータの制御装置においては、減速時に発生する巻上機の発電エネルギーを、前記制御装置の電源に使用するように構成することにより、バックアップ用のバッテリを不用にすることができるほか、レイアウト性、保守性にも優れたエレベータ制御装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のエレベータのシステム構成を示す概略図である。
【図2】 図1に示すディスクブレーキの構成を示す図である。
【図3】 本発明に係る実施の形態1におけるブレーキ開放状態のディスクブレーキの構成を示す図である。
【図4】 本発明に係る実施の形態1におけるブレーキ制動状態のディスクブレーキの構成を示す図である。
【図5】 制動トルクの発生を説明する図である。
【図6】 本発明に係る実施の形態2におけるディスクブレーキを説明する図である。
【図7】 本発明に係る実施の形態2におけるディスクブレーキを説明する図である。
【図8】 本発明に係る実施の形態3におけるエレベータのシステム構成を示す図である。
【図9】 本発明に係る実施の形態4におけるエレベータのシステム構成を示す図である。
【図10】 図9に示すエレベータの挙動を示す図である。
【図11】 本発明に係る実施の形態6におけるエレベータのシステム構成を示す図である。
【図12】 従来のエレベータのシステム構成を示す図である。
【符号の説明】
1 ディスクブレーキ、2 ブレーキディスク、3 巻上機シーブ、4 かご、5 釣合重り、6 メインロープ、7 巻上機モータ、8 回転検出器、9 終端階、10、11 ブレーキパッド、12 ブレーキコイル、13 ブレーキスプリング、14 プランジャ、15はブレーキ本体、16 アクチュエータ、20 減速パターン発生装置、21 比較器、22 制御指令発生装置、25 アクチュエータ駆動回路、26 終端距離演算器、28 目的停止階距離演算器、30 PMモータ、31 モータ駆動回路、32 制動力調整器、33 コンタクタ、34 制動力調整装置、40 目的階。

Claims (5)

  1. ブレーキコイルの通電に基づいたブレーキスプリングの弾性力によって制動トルクを発生させる構造の制動装置と、
    該制動装置とは独立し、アクチュエータからなりブレーキ制動時にブレーキを開放する方向に開放力を発生するブレーキ開放手段と、
    エレベータの巻上機の回転軸と前記制動装置間の距離を変化させる距離調整駆動手段と、
    を備えたことを特徴とするエレベータの制御装置。
  2. 請求項1に記載のエレベータの制御装置において、前記制動装置を用いて、エレベータ走行中に制動力を発生する必要が生じた場合に、終端階を行き過ぎることがない範囲で、かつかごの減速度が小さくなる減速パターンを算出する減速パターン算出手段と、この算出された減速パターンに基づいて前記ブレーキ開放手段/前記距離調整駆動手段を制御する開放/駆動手段制御手段とを有することを特徴とするエレベータの制御装置。
  3. 請求項2に記載のエレベータの制御装置において、前記減速パターン算出手段は、目的階に停止させる減速パターンを算出することを特徴とするエレベータの制御装置。
  4. 請求項2乃至3に記載のエレベータの制御装置において、前記ブレーキ開放手段/前記距離調整駆動手段を制御する前記開放/駆動手段制御手段が故障した場合、その故障した前記開放/距離手段制御手段を停止させる開放/駆動手段停止手段を有することを特徴とするエレベータの制御装置。
  5. 請求項1乃至4に記載のエレベータの制御装置において、減速時に発生する巻上機の発電エネルギーを、前記制御装置の電源に使用することを特徴とするエレベータの制御装置。
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