JP4502491B2 - チタン製排気管の集合部構造 - Google Patents

チタン製排気管の集合部構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、自動二輪車等のチタン製排気管に係り、特に、チタン材のエキゾーストパイプとジョイントパイプの接続端部に鉄又はステンレス材の接合管を固着し、この接合管を鉄又はステンレス材の集合管と溶着させることで、チタン材部分での溶接を無くしたチタン製排気管の集合部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車、自動二輪車等の排気管について、その軽量化を図る手段としてチタン材を使用した排気管が提供されている。上記排気管は、チタン材で形成された複数本のエキゾーストパイプと1本のジョイントパイプとを、チタン材の集合管により連結したものである。上記集合管は、複数の部品片を溶接して1つの部材を形成させたものとなっている。
【0003】
上記チタン製排気管を溶接して製造する場合、チタン材はその特性上、溶接で脆くなることから、特別な溶接設備にて溶接部をシールドガスによりバックシールド及びアフターシールドさせながら溶接し、所定の溶接強度を確保する必要がある。このため、集合管は、通常の溶接機では、その構造が複雑でシールドガスによる溶接作業に無理があることから、エキゾーストパイプやジョイントパイプとの接続部にガスケットを挿入し、クランプ材で締め付けている。
【0004】
また、上記チタン製の集合管を予めロストワックスで鋳造成形する場合においても、この鋳造の集合管に、複数本のエキゾーストパイプと1本のジョイントパイプはガスケットを介在して差込み、溶接したりバンド締めしている。
【0005】
上記集合管について、複数の部品片を溶接して1つの部材を形成させたものにおいては、その溶接作業が繁雑で特殊な溶接設備を必要とする。このため、集合管及びチタン製排気管の製造コストを高いものにする問題点がある。また、上記チタン製の集合管を予めロストワックスで鋳造成形させたものでは、集合管の重量が多くなるとともに、専用の鋳造設備を必要とするから、集合管及びチタン製排気管の製造コストを高いものにする問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来のチタン製排気管及びこの製造方法が持つ問題点に鑑みてなされたもので、複数本のエキゾーストパイプと1本のジョイントパイプとの接続端に鉄又はステンレス材の接合管を嵌着し、この両管を繋ぐ集合管を鉄又はステンレス材とすることで、この集合管の溶接作業を既存の溶接設備で可能としたチタン製排気管の集合部構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明に係る請求項1記載のチタン製排気管の集合部構造は、複数本のチタン材のエキゾーストパイプの各排気接続管端に鉄材又はステンレス材の接合管を嵌着し、また、1本のチタン材のジョイントパイプの吸気接続管端に鉄材又はステンレス材の接合管を嵌着し、上記エキゾーストパイプの各接合管及び上記ジョイントパイプの接合管に対して、鉄材又はステンレス材で分割形成された集合管におけるエキゾーストパイプ側端部およびジョイントパイプ側端部を各々被せてその接合縁を溶着し、且つ各接合管と集合管との重合縁を溶着したことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載におけるチタン製排気管の集合部構造は、4本のチタン材のエキゾーストパイプの各排気接続管端に鉄材又はステンレス材の接合管を嵌着し、1本のチタン材のジョイントパイプの吸気接続管端に鉄材又はステンレス材の接合管を嵌着し、上記4本のエキゾーストパイプに嵌着した各接合管に対して、鉄材又はステンレス材で分割形成された集合管における第1分割接続管片と第2分割接続管片及び第3分割接続管片と第4分割接続管片のエキゾーストパイプ側端部を各々被せて第1分割接続管片と第2分割接続管片及び第3分割接続管片と第4分割接続管片をその接合縁で溶着し、更に、上記集合管における第1分割接続管片と第2分割接続管片のジョイントパイプ側端部を上記ジョイントパイプの接合管に被せてその接合縁で溶着し、且つ各接合管とエキゾーストパイプ及びジョイントパイプとの重合縁を溶着したことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載のチタン製排気管の集合部構造は、複数本のチタン材のエキゾーストパイプの各排気接続管端に鉄材又はステンレス材の接合管を嵌着し、また、1本のチタン材のジョイントパイプの吸気接続管端に鉄材又はステンレス材の接合管を嵌着し、上記エキゾーストパイプの各接合管を1本に束ねた状態で鉄材又はステンレス材で分割形成された集合管におけるエキゾーストパイプ側端部およびジョイントパイプ側端部を被せてその接合縁を溶着し、且つ各接合管とエキゾーストパイプ及びジョイントパイプとの重合縁を溶着したことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載におけるチタン製排気管の集合部構造は、4本のチタン材のエキゾーストパイプの各排気接続管端に鉄材又はステンレス材の接合管を嵌着し、1本のチタン材のジョイントパイプの吸気接続管端に鉄材又はステンレス材の接合管を嵌着し、上記エキゾーストパイプの各接合管を、1本に束ねた状態で鉄材又はステンレス材で分割形成された集合管における第1分割接続管片と第2分割接続管片のエキゾーストパイプ側端部を各々被せ、更に、上記第1分割接続管片と第2分割接続管片のジョイントパイプ側端部を上記ジョイントパイプ接合管に被せて、第1分割接続管片と第2分割接続管片の接合縁を溶着し、且つ各接合管とエキゾーストパイプ及びジョイントパイプとの重合縁を溶着したことを特徴とする。
【0011】
【作用】
請求項1のチタン製排気管の集合部構造によると、複数本のエキゾーストパイプの各排気側に設けた各排気接続管端と、1本のジョイントパイプの吸気接続管端には、鉄材又はステンレス材の接合管が嵌着される。上記両パイプを結合する集合管は、複数の部品片に分割形成された鉄材又はステンレス材で構成している。上記両パイプは、その鉄材又はステンレス材の各接合管が、上記集合管におけるエキゾーストパイプ側端部やジョイントパイプ側端部とにより被せられて接合された後、この接合縁が通常の溶接手段で溶着される。更に、集合管における各接合管との重合縁も溶接され、管内外の気密性を確保して一体に溶着される。
【0012】
しかして、上記チタン製排気管の集合部構造によると、複数本のチタン製エキゾーストパイプ及び1本のチタン製ジョイントパイプとを、分割された集合管で繋ぐ溶接作業について、各パイプの接続端部には、鉄材又はステンレス材の接合管を備え、この各接合管と鉄材又はステンレス材とした集合管との採用により、既存の設備である簡便な溶接機でも確実に溶着できる。従って、上記チタン製排気管は、ローコストに製造できるとともに、軽量化されて構造が堅牢なものとなり、長期間の使用にも高い耐久性が得られる。
【0013】
請求項2におけるチタン製排気管の集合部構造によると、4本のエキゾーストパイプの各排気側に設けた各排気接続管端と、1本のジョイントパイプの吸気接続管端には、鉄材又はステンレス材の接合管が嵌着されている。上記両パイプを結合する集合管は、複数の部品片に分割形成された鉄材又はステンレス材で構成している。上記両パイプは、その鉄材又はステンレス材の各接合管が、上記集合管におけるエキゾーストパイプ側端部やジョイントパイプ側端部とにより被せられて接合された後、この接合縁が通常の溶接手段で溶着される。更に、集合管における各接合管との重合縁も溶接され、管内外の気密性を確保して一体に溶着される。
【0014】
しかして、上記チタン製排気管の集合部構造によると、4本のチタン製エキゾーストパイプ及び1本のチタン製ジョイントパイプとを、分割形成された集合管で繋ぐ溶接作業について、各パイプの接続端部に嵌着した鉄材又はステンレス材の接合管を備え、この各接合管と鉄材又はステンレス材とした集合管との採用により、既存の設備である簡便な溶接機でも確実に溶着できる。従って、上記チタン製排気管は、ローコストに製造できるとともに、軽量化されて構造が堅牢なものとなり、長期間の使用にも高い耐久性が得られる。
【0015】
請求項3のチタン製排気管の集合部構造によると、上記複数本のエキゾーストパイプの各排気側に設けた各排気接続管端と、1本のジョイントパイプの吸気接続管端には、鉄材又はステンレス材の接合管が嵌着される。更に、上記両パイプを結合する集合管は、複数の部品片に分割形成された鉄材又はステンレス材で構成している。上記集合管におけるエキゾーストパイプ側端部は、1つに束ねられたエキゾーストパイプの各接合管に被せて接合した後、この接合縁が通常の溶接手段で溶着される。これと同時に、ジョイントパイプ側端部は、ジョイントパイプの吸気接続管端に取付けられた接合管に被せて接合した後、この接合縁が通常の溶接手段で溶着される。更に、集合管における各接合管との重合縁も溶接され、管内外の気密性を確保して一体に溶着される。
【0016】
しかして、上記チタン製排気管の集合部構造によると、複数本のチタン製エキゾーストパイプ及び1本のチタン製ジョイントパイプとを、分割された集合管で繋ぐ溶接作業について、各パイプの接続端部に鉄材又はステンレス材の接合管を備え、この各接合管と鉄材又はステンレス材とした集合管との採用により、既存の設備である簡便な溶接機でも確実に溶着できる。従って、上記チタン製排気管は、ローコストに製造できるとともに、軽量化されて構造が堅牢なものとなり、長期間の使用にも高い耐久性が得られる。更に、集合管は、その分割数を極力減少させたから、溶接箇所の低減や構造の単純化が図れる。そして、既存設備の利用により製造コストの低減がより一層図れる。
【0017】
請求項4におけるチタン製排気管の集合部構造によると、4本のエキゾーストパイプの各排気側に設けた各排気接続管端と、1本のジョイントパイプの吸気接続管端には、鉄材又はステンレス材の接合管が嵌着されている。上記両パイプを結合する集合管は、複数の部品片に分割形成された鉄材又はステンレス材で構成している。上記両パイプは、その鉄材又はステンレス材の各接合管が、上記集合管におけるエキゾーストパイプ側端部やジョイントパイプ側端部とにより被せられて接合された後、この接合縁が通常の溶接手段で溶着される。更に、集合管における各接合管との重合縁も溶接され、管内外の気密性を確保して一体に溶着される。
【0018】
しかして、上記チタン製排気管の集合部構造によると、4本のチタン製エキゾーストパイプ及び1本のチタン製ジョイントパイプとを、分割形成された集合管で繋ぐ溶接作業について、各パイプの接続端部には、鉄材又はステンレス材の接合管を備え、この各接合管と鉄材又はステンレス材とした集合管との採用により、既存の設備である簡便な溶接機でも確実に溶着できる。従って、上記チタン製排気管は、ローコストに製造できるとともに、軽量化されて構造が堅牢なものとなり、長期間の使用にも高い耐久性が得られる。更に、集合管は、その分割数を極力減少させたから、溶接箇所の低減や構造の単純化が図れる。そして、既存設備の利用により製造コストの低減がより一層図れる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態を説明する。図1と図2は、自動二輪車等のエンジンに取り付けられるチタン製排気管の集合部構造について、全体外観図である。図3は、連結された集合部の断面を示し、図4は、チタン製排気管の集合部構造の展開斜視図である。図5〜図7は、その製造工程図である。
【0020】
図1と図2は、自動二輪車等のエンジンに取り付けられるチタン製排気管の集合部構造50を示し、例えば、4気筒エンジンの排気口に接続されるものである。上記チタン製排気管の集合部構造50は、4本の湾曲したチタン材のエキゾーストパイプ1と、1本の屈曲したチタン材のジョイントパイプ5と、エキゾーストパイプ1とジョイントパイプ5とを繋ぐ鉄材又はステンレス材の集合管3とからなる。上記ジョイントパイプ5の排気側には、消音器9が取り付けられる。上記チタン材は、純粋なチタニウムやこのチタニウムと他の金属を混合したチタン合金からなるものが適宜に選択使用される。
【0021】
図3と図4により、第1実施形態となる上記チタン製排気管の集合部構造50とその製造工程を説明する。先ず、図3に示すように、上記チタン製排気管の集合部構造50から説明する。上記エキゾーストパイプ1の各排気側に設けた排気接続管端1A,1B,1C,1Dには、膨張黒鉛のシール材Sを介在して鉄材又はステンレス材からなる短い寸法の接合管7A,7B,7C,7Dが嵌合後、膨張又は縮小されてカシメられ、気密状態に嵌着されている。また、上記ジョイントパイプ5の吸気接続管端5Aには、膨張黒鉛のシール材Sを介在して鉄材又はステンレス材からなる短い寸法の接合管8Aが嵌合後、膨張又は縮小されてカシメられ、気密状態に嵌着されている。尚、シール材Sは膨張黒鉛以外のものを使用しても良いし、省略しても良い。
【0022】
図4に示すように、上記集合管3は、2組の2つ割りの分割接続管3A、3Bからなり、分割接続管3Aは、2つの半円弧片からなる第1分割接続管片3H,第2分割接続管片3Iを備え、分割接続管3Bは,2つの半円弧片からなる第3割接続管片3J,第4分割接続管片3Kを備えている。
【0023】
上記分割接続管3Aは、第1分割接続管片3H,第2分割接続管片3Iのエキゾーストパイプ側端部3a,3bを、図3に示すように、エキゾーストパイプ1の各排気側に設けた排気接続管端1A,1Bに嵌着した接合管7A,7Bに両側から被せて接合し、且つその接合縁(イ)を溶着している。また、同様に上記分割接続管3Bは、第3割接続管片3J,第4分割接続管片3Kのエキゾーストパイプ側端部3c,3dを、図3に示すように、エキゾーストパイプ1の各排気側に設けた排気接続管端1C,1Dに嵌着した接合管7C,7Dに両側から被せて接合し、且つその接合縁(イ)を溶着している。
【0024】
また、上記分割接続管3A、3Bは、第1分割接続管片3H,第4分割接続管片3Kのジョイントパイプ側端部3e、3fを、ジョイントパイプ5の吸気接続管端5Aに嵌着した接合管8Aに両側から被せて接合し、且つその接合縁(イ´)を溶着している。尚、上記第2分割接続管片3I、第3割接続管片3Jは、短く切断した端部3g,3hを備え、この部分も接合して溶着される。更に、分割形成された上記集合管3は、各接合管7A〜7Dと第1分割接続管片3H,第2分割接続管片3Iの重合縁(ロ)、及び接合管8Aと第1分割接続管片3H,第4分割接続管片3Kの重合縁(ハ)を溶着して管内外の気密性を確保し、一体化している。
【0025】
尚、図3と図4に示すように、上記集合管3において、エキゾーストパイプ1の各排気接続管端1Aと1B及び1Cと1Dと接続する分割接続管3A、3B内には、整流板90を各々付設している。この整流板90により、各排気接続管端1Aと1B及び1Cと1Dから1本のジョイントパイプ内に排気ガスが円滑に流れ込むように作用させる。
【0026】
本発明の第1実施形態のチタン製排気管の集合部構造50は、上記のように構成され、4本のエキゾーストパイプ1と1本のジョイントパイプ5における接続管端1A,1B,1C,1D及び5Aに、シール材Sを介在して嵌着した鉄材又はステンレス材の接合管7A,7B,7C,7Dと8Aを備え、各接合管を繋ぐ集合管3を鉄材又はステンレス材としたので、既存の設備である簡便な溶接機で溶着作業ができる。
【0027】
これにより、従来、溶接作業が困難であったチタン材からなる4本のエキゾーストパイプ1と1本のジョイントパイプ5とを、鉄材又はステンレス材とした集合管3で繋ぐことで、溶接作業が容易且つ確実にできるとともに、チタン製排気管の集合部構造50をローコストに製造できる。更に、上記チタン製排気管の集合部構造50は、全体が軽量化されるとともに構造が堅牢なものとなり、長期間の使用にも高い耐久性が得られる。
【0028】
続いて、上記チタン製排気管の集合部構造50の製造工程を、図5〜図7により説明する。先ず、チタン材で形成された4本のエキゾーストパイプは、その各排気接続管端1A,1B,1C,1Dに、膨張黒鉛等のシール材Sを介在して鉄材又はステンレス材の接合管7A,7B,7C,7Dが嵌合・カシメされる「第1嵌合・カシメ工程(A1)」。次に、チタン材で形成された1本のジョイントパイプ5は、その吸気接続管端5Aに、膨張黒鉛等のシール材Sを介在して鉄材又はステンレス材の接合管8Aが嵌合・カシメされる「第2嵌合・カシメ工程(A2)」。そして、上記4本のエキゾーストパイプ1を、その接合管7A,7B及び7C,7Dにて2本単位に溶着する「第1溶着工程(B1)」。
【0029】
次に、上記エキゾーストパイプ1を2本単位に接合した接合管7A,7Bに対して、2つの半円弧片からなる第1分割接続管片3H,第2分割接続管片3Iを被せて接合し、第1分割接続管片3Hと第2分割接続管片3Iの接合縁(イ)を溶着する。また、上記エキゾーストパイプ1を2本単位に接合した接合管7C,7Dに対して、2つの半円弧片からなる第3分割接続管片3J,第2分割接続管片3Kを被せて接合し、第3分割接続管片3Jと第4分割接続管片3Kの各接合縁(イ)を溶着する「第2溶着工程(B2)」。
【0030】
次に、第1分割接続管片3Hと第4分割接続管片3Kのジョイントパイプ側端部3e、3fを、ジョイントパイプ5の吸気接続管端5Aに取り付けた接合管8Aに両側から被せて接合する。そして、上記嵌合状態にある接合管8Aに対して、第1分割接続管片3Hと第4分割接続管片3Kの接合縁(イ´)を溶着する「第3溶着工程(B3)」。尚、上記第2分割接続管片3Iと第3分割接続管片Jは、短く切断した端部3g,3hを備え、この組み付け時に接合縁(イ″)として溶着される。
【0031】
さらに、各接合管7A,7B,7C,7D,8Aに対する第1分割接続管片3Hと第2分割接続管片3I及び第3分割接続管片3Jと第4分割接続管片3Kのエキゾーストパイプ側端部との重合縁(ロ)と、接合管8Aに対する第1分割接続管片3Hと第4分割接続管片3Kのジョイントパイプ側端部との重合縁(ハ)を溶着する「第4溶着工程(B4)」。上記溶着作業で、分割集合手段の各接合箇所が一体化され、チタン製排気管の集合部構造50が製造される。
【0032】
尚、上記第1溶着工程(B1)は、省略しても上記チタン製排気管の集合部構造50の製造が可能である。また、上記第4溶着工程(B4)は、上記第2溶着工程(B2)及び第3溶着工程(B3)の中で実行しても良い。
【0033】
上記チタン製排気管の集合部構造50の製造工程によると、集合管3が複雑な構造体に分割形成されたものであっても、これを鉄材又はステンレス材で形成し、更に、各パイプ1,5の接続管端1A,1B,1C,1D及び5Aに、シール材Sを介在して固着した鉄材又はステンレス材の接合管7A,7B,7C,7D及び8Aを嵌着したから、鉄材又はステンレス材とした集合管3との溶接作業を、既存の設備である簡便な溶接機でできる。従って、上記チタン製排気管の集合部構造50の軽量化と製造コストの低廉化が図られる。
【0034】
本発明の第1実施形態は、上記エキゾーストパイプ1を4本のもので説明したが、2本や3本、更に6本や8本のものにおいても、上記製造工程と同様又は類似した製造方法により実施可能である。図8と図9に示す第2実施形態のチタン製排気管の集合部構造60は、上記第1実施形態において、エキゾーストパイプ1を2本構成とし、1本のジョイントパイプ5に接続する集合管3´としたものである。
【0035】
上記2本のエキゾーストパイプ1の排気接続管端1A,1Bには、シール材Sを介在して接合管7A,7Bが固着され、これらは相互に溶着されている。また、ジョイントパイプ5の吸気接続管端5Aにはシール材Sを介在して接合管8Aが固着される。上記エキゾーストパイプ1の排気接続管端1A,1Bに固着した接合管7A,7Bに、集合管3´における2つの半円弧片からなる第1分割接続管片3Hと第4分割接続管片3Kのエキゾーストパイプ側端部3a,3dを上下から被せ、また、ジョイントパイプ5の吸気接続管端5Aに固着した接合管8Aに第1分割接続管片3Hと第4分割接続管片3Kのジョイントパイプ側端部3e,3fを被せて接合し、接合縁(イ)を溶着している。
【0036】
さらに、各接合管7A,7Bに対する第1分割接続管片3Hと第2分割接続管片3Iのエキゾーストパイプ側端部との重合縁(ロ)と、接合管8Aに対する第1分割接続管片3Hと第2分割接続管片3Iのジョイントパイプ側端部との重合縁(ハ)を溶着する。尚、上記集合管3´において、2本を1本に合流する部分の中央位置には、整流板90を付設している。
【0037】
上記第2実施形態となるチタン製排気管の集合部構造60は、上記第1実施形態と同様な作用・効果を奏するから、その説明を省略する。
【0038】
更に、図10〜図14により、本発明の第3実施形態であるチタン製排気管の集合部構造70とその製造工程を説明する。先ず、図10〜図12に示すように、上記チタン製排気管の集合部構造70は、チタン材で形成された4本のエキゾーストパイプ1と、チタン材で形成された1本のジョイントパイプ5と、鉄材又はステンレス材で分割形成された集合管4と、を備えている。上記エキゾーストパイプ1の各排気側に設けた排気接続管端1A,1B、1C,1D及びジョイントパイプ5の吸気側に設けた吸気接続管5Aには、膨張黒鉛のシール材Sが巻かれている。
【0039】
上記排気接続管端1A,1B、1C,1Dのシール材Sの外周には、鉄材又はステンレス材からなる異形接合管11,12,13,14における円形接合部11A,12A,13A,14Aを嵌合後、膨張又は縮小させカシメ固着されている。また、ジョイントパイプ5の吸気接続管5Aのシール材S外周には、鉄材又はステンレス材からなる接合管8Aを嵌合後、膨張又は縮小させカシメ固着されている。
【0040】
上記異形接合管11,12,13,14における反円形接合部側には、一辺を円弧面とし二辺を平坦面とした円弧形接合部11B,12B,13B,14Bを形成している。上記4本の接合管11,12,13,14を1本に束ねて、円弧形接合部11B,12B,13B,14Bを接合させ、四隅を丸めた四角形接合部15を形成している。この四角形接合部15に対して、鉄材又はステンレス材で分割形成された集合管4における第1分割接続管片4Hと第2分割接続管片4Kとのエキゾーストパイプ側端部4a、4bを、上下から被せて嵌合し、また、第1分割接続管片4Hと第2分割接続管片4Kとのジョイントパイプ側端部4c、4dをジョイントパイプ5の吸気接続管端5Aに固着した接合管8Aに被せて嵌合し、その接合縁(イ)を溶着している。
【0041】
更に、上記各接合管11,12,13,14を1本に束ねた四角形接合部15と第1分割接続管片4Hと第2分割接続管片4Kとのエキゾーストパイプ側端部4a、4bとの重合縁(ロ)と、第1分割接続管片4Hと第2分割接続管片4Kとのジョイントパイプ側端部4c、4dとジョイントパイプ5の接合管8Aとの重合縁(ハ)とを溶着している。
【0042】
尚、上記集合管4において、エキゾーストパイプ1の4本の各排気接続管端と接続し、2本を1本に合流する部分の中央位置には、整流板90を各々付設している。この整流板90により、各排気接続管端1Aと1B及び1Cと1Dから1本のジョイントパイプ5内に排気ガスが円滑に流れ込むように作用させる。
【0043】
本発明の第3実施形態のチタン製排気管の集合部構造70は、上記のように構成されている。この構成により、各パイプ1,5の接続管端1A,1B、1C,1D及び5Aにシール材Sを介在して嵌合・カシメした鉄材又はステンレス材の接合管11,12,13,14と8Aを備え、この各接合管と鉄材又はステンレス材とした集合管4の採用したので、従来、溶接作業が困難であったチタン材からなる4本のエキゾーストパイプ1と1本のジョイントパイプ5とを、鉄材又はステンレス材の集合管4で繋ぐことで、既存の簡便な溶接設備で溶着することにより簡便に製造できる。また、上記チタン製排気管の集合部構造70は、軽量化されるとともに構造が堅牢なものとなり、長期間の使用にも高い耐久性が得られる。
【0044】
続いて、上記チタン製排気管の集合部構造70の製造工程を、図13〜図14により説明する。先ず、上記チタン製排気管の集合部構造70は、エキゾーストパイプ1の各排気側に設けた排気接続管端1A,1B、1C,1Dに、膨張黒鉛のシール材Sが巻かれる。上記シール材Sの外周には、鉄材又はステンレス材からなる異形接合管11,12,13,14の円形接合部11A,12A,13A,14Aが嵌合後、膨張又は縮小させカシメ固着される「カシメ固着工程(A1)」。また、ジョイントパイプ5の吸気接続管5Aのシール材S外周には、鉄材又はステンレス材からなる接合管8Aが嵌合後、膨張又は縮小させカシメ固着される「カシメ固着工程(A2)」。
【0045】
そして、上記異形接合管11,12,13,14における反円形接合部側には、一辺を円弧面とし二辺を平坦面とした円弧形接合部11B,12B,13B,14Bが形成されている。ここで、上記4本の接合管11,12,13,14を1本に束ねて、円弧形接合部11B,12B,13B,14Bを接合させ、四隅を丸めた四角形接合部15を形成する。この時、1本に束ねた部分を溶接して一体化させても良い。
【0046】
続いて、この四角形接合部15に対して、鉄材又はステンレス材で分割形成された集合管4における第1分割接続管片4Hと第2分割接続管片4Kのエキゾーストパイプ側端部4a、4bを上下から被せて接合し。また、第1分割接続管片4Hと第2分割接続管片4Kのジョイントパイプ側端部4c、4dをジョイントパイプ5の吸気接続管端5Aに固着した接合管8Aに被せて嵌合し、その接合縁(イ)を溶着する「第1溶着工程(B1)」。
【0047】
更に、上記各接合管11,12,13,14を1本に束ねた四角形接合部15と第1分割接続管片4Hと第2分割接続管片4Kのエキゾーストパイプ側端部4a、4bとの重合縁(ロ)と、ジョイントパイプ5の接合管8Aと第1分割接続管片4Hと第2分割接続管片4Kのジョイントパイプ側端部4c、4dの重合縁(ハ)とを溶着する「第2溶着工程(B2)」。
【0048】
上記チタン製排気管の集合部構造70の製造工程によると、集合管4が複雑構造体に分割形成されたものであっても、これを鉄材又はステンレス材へ材料変更し、各パイプの接続管端1A,1B、1C,1D及び5Aに嵌着した鉄材又はステンレス材の接合管11,12,13,及び8Aを備えたから、上記各接合管と集合管との溶接作業は、既存の簡便な溶接設備で可能となる。更に、集合管は、その分割数を極力減少させたから、作業工程の低減及び製造コストの低減がより一層図れる。
【0049】
【発明の効果】
本発明の請求項1によると、各パイプの接続管端に嵌着した鉄材又はステンレス材の接合管を備え、この各接合管と鉄材又はステンレス材とした集合管の採用で、既存の簡便な溶接設備でも確実に溶着できる。従って、チタン製排気管の集合部構造は、軽量化されるとともに構造が堅牢なものとなり、長期間の使用にも高い耐久性が得られる。更に、製造コストの低廉化が図られる。
【0050】
請求項2によると、従来、溶接作業が困難であったチタン材からなる4本のエキゾーストパイプと1本のジョイントパイプとを、チタン材の集合管で繋ぐ構成に代え、各パイプの接続管端に嵌着した鉄材又はステンレス材の接合管を備え、この各接合管と鉄材又はステンレス材とした集合管の採用で、既存の簡便な溶接設備でも確実に溶着できる。従って、チタン製排気管の集合部構造は、軽量化されるとともに構造が堅牢なものとなり、長期間の使用にも高い耐久性が得られる。更に、製造コストの低廉化が図られる。
【0051】
請求項3によると、各パイプの接続管端に嵌着した鉄材又はステンレス材の接合管を備え、この各接合管と鉄材又はステンレス材とした集合管の採用で、既存の簡便な溶接設備でも確実に溶着できる。従って、チタン製排気管の集合部構造は、軽量化されるとともに構造が堅牢なものとなり、長期間の使用にも高い耐久性が得られる。更に、集合管は、その分割数を極力減少させたから、溶接箇所の低減や構造の単純化が図れる。そして、既存設備の利用により製造コストの低減がより一層図れる。
【0052】
請求項4によると、従来、溶接作業が困難であったチタン材からなる4本のエキゾーストパイプと1本のジョイントパイプとを、チタン材の集合管で繋ぐ構成に代え、各パイプの接続管端に嵌着した鉄材又はステンレス材の接合管を備え、この各接合管と鉄材又はステンレス材とした集合管の採用で、既存の簡便な溶接設備でも確実に溶着できる。従って、チタン製排気管の集合部構造は、軽量化されるとともに構造が堅牢なものとなり、長期間の使用にも高い耐久性が得られる。更に、集合管は、その分割形状数を極力減少させたから、溶接箇所の低減や構造の単純化が図れる。そして、既存設備の利用により製造コストの低減がより一層図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明チタン製排気管の集合部構造の外観図である。
【図2】本発明チタン製排気管の集合部構造の平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態を示し、チタン製排気管の集合部構造の断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態を示し、チタン製排気管の集合部構造の展開斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態を示し、チタン製排気管の集合部構造の製造工程図である。
【図6】本発明の第1実施形態を示し、チタン製排気管の集合部構造の製造工程図である。
【図7】本発明の第1実施形態を示し、チタン製排気管の集合部構造の製造工程図である。
【図8】本発明の第2実施形態を示し、チタン製排気管の集合部構造の展開斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態を示し、チタン製排気管の集合部構造の断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態を示し、チタン製排気管の集合部構造の断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態を示し、チタン製排気管の集合部構造の断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態を示し、チタン製排気管の集合部構造の展開斜視図である。
【図13】本発明の第3実施形態を示し、チタン製排気管の集合部構造の製造工程図である。
【図14】本発明の第3実施形態を示し、チタン製排気管の集合部構造の製造工程図である。
【符号の説明】
1 エキゾーストパイプ
1A,1B,1C,1D 排気接続管端
3,3´,4 集合管
3a,3b,3c,3d エキゾーストパイプ側端部
3A 分割接続管
3B 分割接続管
3H 第1分割接続管片
3I 第2分割接続管片
3J 第3分割接続管片
3K 第4分割接続管片
3e,3f ジョイントパイプ側端部
4A エキゾーストパイプ側の多管挿入接続管
4Ha 第1分割接続管片
4Ib 第2分割接続管片
4c,4d ジョイントパイプ側端部
5 ジョイントパイプ
5A 吸気接続管端
7A,7B,7C,7D 接合管
8A 接合管
11〜14 異形接合管
11A〜14A 円形接合部
11B〜14B 円弧形接合部
(イ)(イ´)(イ″) 接合縁
(ロ)(ハ) 重合縁
S 膨張黒鉛のシール材
50,60,70 チタン製排気管の集合部構造
90 整流板

Claims (4)

  1. 複数本のチタン材のエキゾーストパイプの各排気接続管端に鉄材又はステンレス材の接合管を嵌着し、また、1本のチタン材のジョイントパイプの吸気接続管端に鉄材又はステンレス材の接合管を嵌着し、上記エキゾーストパイプの各接合管及び上記ジョイントパイプの接合管に対して、鉄材又はステンレス材で分割形成された集合管におけるエキゾーストパイプ側端部およびジョイントパイプ側端部を各々被せてその接合縁を溶着し、且つ各接合管と集合管との重合縁を溶着したことを特徴とするチタン製排気管の集合部構造。
  2. 4本のチタン材のエキゾーストパイプの各排気接続管端に鉄材又はステンレス材の接合管を嵌着し、1本のチタン材のジョイントパイプの吸気接続管端に鉄材又はステンレス材の接合管を嵌着し、上記4本のエキゾーストパイプに嵌着した各接合管に対して、鉄材又はステンレス材で分割形成された集合管における第1分割接続管片と第2分割接続管片及び第3分割接続管片と第4分割接続管片のエキゾーストパイプ側端部を各々被せて第1分割接続管片と第2分割接続管片及び第3分割接続管片と第4分割接続管片をその接合縁で溶着し、更に、上記集合管における第1分割接続管片と第2分割接続管片のジョイントパイプ側端部を上記ジョイントパイプの接合管に被せてその接合縁で溶着し、且つ各接合管とエキゾーストパイプ及びジョイントパイプとの重合縁を溶着したことを特徴とするチタン製排気管の集合部構造。
  3. 複数本のチタン材のエキゾーストパイプの各排気接続管端に鉄材又はステンレス材の接合管を嵌着し、また、1本のチタン材のジョイントパイプの吸気接続管端に鉄材又はステンレス材の接合管を嵌着し、上記エキゾーストパイプの各接合管を1本に束ねた状態で鉄材又はステンレス材で分割形成された集合管におけるエキゾーストパイプ側端部およびジョイントパイプ側端部を被せてその接合縁を溶着し、且つ各接合管とエキゾーストパイプ及びジョイントパイプとの重合縁を溶着したことを特徴とするチタン製排気管の集合部構造。
  4. 4本のチタン材のエキゾーストパイプの各排気接続管端に鉄材又はステンレス材の接合管を嵌着し、1本のチタン材のジョイントパイプの吸気接続管端に鉄材又はステンレス材の接合管を嵌着し、上記エキゾーストパイプの各接合管を、1本に束ねた状態で鉄材又はステンレス材で分割形成された集合管における第1分割接続管片と第2分割接続管片のエキゾーストパイプ側端部を各々被せ、更に、上記第1分割接続管片と第2分割接続管片のジョイントパイプ側端部を上記ジョイントパイプ接合管に被せて、第1分割接続管片と第2分割接続管片の接合縁を溶着し、且つ各接合管とエキゾーストパイプ及びジョイントパイプとの重合縁を溶着したことを特徴とするチタン製排気管の集合部構造。
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