JP4502094B2 - 粉砕ロール装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
互いに逆方向に回転する一対のロール間に穀粒を投入して粉砕する粉砕ロール装置に関し、ロールの交換に係る作業を簡略にして、これに費やす時間を短縮した粉砕ロール装置の回転伝達機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3及び図4に示す粉砕ロール装置100は、互いに逆方向に回転する一対のロール101,102間に穀粒を投入して粉砕する粉砕ロール装置であって、一方のロール101の回転軸103を回動自在に軸受けする固定軸受けケーシング104と、固定軸受けケーシング104に設けた軸105によって回動自在に固定軸受けケーシング104に連結され他方のロール102の回転軸106を回動自在に軸受けする可動軸受けケーシング107と、固定軸受けケーシング104と可動軸受けケーシング107とに架設され、ロール101とロール102の間隙を調節する連結ロッド108を備えるロール間隙調節手段109と、回転軸103と回転軸106のそれぞれに軸着されたギア110,111とこれらギアに巻回され相互に回転力を伝達するよう掛け渡されその両面に伝達面を備えるベルト112とからなる回転伝達手段と、固定軸受けケーシング104と可動軸受けケーシング107とは別機枠となる機枠113に支点軸114が設けられ該支点軸114を中心に回動してベルト112を回転伝達可能な緊張状態と伝達解除の状態とに切り替えるテンション機構116を備える伝達調節手段と、を備えた粉砕ロール装置の回転伝達機構である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一対のロール101,102の交換は、図の場合、ロール101,102と固定軸受けケーシング104と可動軸受けケーシング107及びロール間隙調節手段109を一体として取り外す機構となっている。
【0004】
しかしながら、粉砕ロール装置100の稼働では、伝達調節手段のテンション機構116によってギア110,111に巻回したベルト112を緊張させていることから、交換のためロール101,102を取り外すにはテンション機構116の調節機構117によってベルト112の緊張を解除してベルト112を取り外した後に一対のロールを一体にして取り外す必要がある。
【0005】
つまり、ロール101,102を交換するためには最適に調整されたベルト112を取り外さなければならず、ロール交換時間に長時間を要する要因となっていた。このことはロールの取り付け時にも同様の手間がかかるものとなっている。
【0006】
つまりロール101,102の取り付けにおいてはベルト112をギア110,111に巻回して、更にテンション機構116の調節機構117によってベルト112の張力調整を行わなくてはならない。
【0007】
またこの張力調整においては、テンション機構116が別の機枠に回動支点があることから、テンション機構116とギア110,111におけるベルトのセンター出しの難しさが伴う。そのため、一度取り外したベルト112を再度取り付けるための調整作業に手間取ることがあった。
【0008】
以上のロールの交換における、ベルトの取り外しと取り付けにかかる時間を削減してロール交換時間を短縮することによって、ロール交換に伴う粉砕ロール装置の停止時間を短縮して効率のよい粉砕ロール装置の稼働を実現することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、互いに逆方向に回転する一対のロール間に穀粒を投入して粉砕する粉砕ロール装置において、一方のロールの回転軸を回動自在に軸受けする固定軸受けケーシングと、固定軸受けケーシングに回動自在に連結され他方のロールの回転軸を回動自在に軸受けする可動軸受けケーシングと、固定軸受けケーシングと可動軸受けケーシングとに架設されロール間隙を調節するロール間隙調節手段と、一対のロールのそれぞれの回転数を所定の回転比率に維持して一対のロールに回転力を伝達する回転伝達手段と、固定軸受けケーシングに支点を置き該支点を中心に回動させて回転伝達手段を回転伝達状態と伝達解除状態との間で調節する伝達調節手段と、を備える粉砕ロール装置とした。
【0010】
即ち、一対のロールのそれぞれの回転数を所定の回転比率にして回転力を伝達する回転伝達手段を、回転伝達状態と伝達解除状態とに切り替える伝達調節手段によって切り替えるとともに、この伝達調節手段を固定軸受けケーシングに支点を置き該支点を中心に回動させる構成としているので、伝達調節手段は固定軸受けケーシングと一体である。つまりロールの交換時には、一対のロール及び各軸受けケーシングと同時に回転伝達手段もそのままで粉砕ロール装置から取り外すことが可能となり、ロールの交換のために伝達調節手段によって回転伝達手段を調整する手間は生じない。よってロール交換にともなう作業時間が短縮できる。
【0011】
加えてロール交換に伴うロールの取り付け時においても伝達調節手段を調整することがないので、回転伝達手段の再度の調整は不要であり、取り外し及び取り付けにおける回転伝達手段を調整するための作業時間が短縮できる。
【0012】
伝達調節手段は固定軸受けケーシングと一体的に構成されているので、固定軸受けケーシングと可動軸受けケーシングとに架設されたロール間隙調節手段による各軸受けケーシング間の間隙維持に抗して、可動軸受けケーシングに軸受けされたロール回転軸を固定軸受けケーシング側に引っ張る状態にして伝達調節手段による回転伝達手段の接触あるいは係合調整が可能であることから、固定軸受けケーシングから遠い側にある可動軸受けケーシングのロール回転軸であっても、伝達調節手段の調整によって回転伝達手段は可動軸受けケーシング側のロールにも回転力を伝達でき、加えて伝達調節手段は固定軸受けケーシングにその可動支点が設けられていることから、言うまでもなく伝達調節手段によって回転伝達手段は固定軸受けケーシング側のロール回転軸にも回転力を伝達できるよう調整することができる。ロール間隙および無端ベルトの張力調整が固定軸受けケーシング側で可能である。
【0013】
回転伝達手段の回転力伝達要素を無端ベルトとすることによって、ロール回転軸への回転力の伝達及び伝達のための張力調整は容易となり、加えて騒音低減の効果もある。また、ベルトの両面に係合部を備える無端ベルトとし、該係合部に係合するプーリをロール回転軸側にも備えることで、回転力の伝達力を向上させることができる。
【0014】
伝達調節手段をテンション機構とすることで、従来の無端ベルト張り機構が流用できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に本発明に係る粉砕ロール装置について説明する。従来技術(図3)と重複する全体構造部分は省略し、本発明の特徴部分である粉砕ロール装置の駆動部について説明する。図1に示す駆動部1は、互いに逆方向に回転する一対の粉砕ロール31,32(直接的に見えないので2点鎖線で表してある)間に穀粒を投入して粉砕する粉砕ロール装置の駆動部の正面図であって、一方の粉砕ロール31の回転軸33を回動自在に軸受けする固定軸受けケーシング34と、固定軸受けケーシング34の連結部34aに設けた軸35によって固定軸受けケーシング34に回動自在に連結され、他方の粉砕ロール32の回転軸36を回動自在に軸受けする可動軸受けケーシング37とを備える。これによって、可動軸受けケーシング37は固定軸受けケーシング34に対して遠近に可動する構造となり、粉砕ロール31と粉砕ロール32との間隙が大小に調整可能となっている。
【0016】
また、固定軸受けケーシング34と可動軸受けケーシング37との間に架設され、これらを連結ロッド38によって連結したロール間隙調節手段39を備え、ロール間隙調節手段39によって粉砕ロール31と粉砕ロール32とのロール間隙が所定間隔に調整可能となっている。
【0017】
固定軸受けケーシング34に軸受けされた回転軸33には表面に係合部(ラック)が形成されたプーリ40が軸着され、可動軸受けケーシング37に軸受けされた回転軸36には表面に係合部(ラック)が形成されたプーリ41が軸着されている。これらプーリ40,41と、これらプーリ40,41に巻回され相互に回転力を伝達するよう掛け渡されその両面にプーリ40,41との係合(伝達)面を備える無端ベルト42とから回転伝達手段を構成している。
【0018】
更に固定軸受けケーシング34の一対の粉砕ロール31,32間隙と異なる側に形成された突辺43に固定された支点軸44を中心に回動するアーム45と、アーム45の中間部50に回動自在に設けられ無端ベルト42が巻回されるテンションローラ48と、アーム45の支点軸44と異なる側に設けた支点軸51と、アーム45を支点軸44を中心に回動させることで移動するテンションローラ48によってベルト42の張りが調整できるように、固定軸受けケーシング34に固定された固定板49に貫通させて支点軸51に設けられた調整機構47と、を備えて、ベルト42を回転伝達可能な緊張状態と伝達解除の間で調節する伝達調節手段46が設けられている。
【0019】
伝達調節手段46の調整機構47は、支点軸51を回動中心として固定され固定板49に遊嵌させた軸52と、軸52に螺合したコイル収納カップ53と、コイル収納カップ53と固定板49との間で且つ軸52を遊嵌し圧縮状態にして設けたコイルバネ54とを備えて構成され、固定板49とコイル収納カップ53との間におけるコイルバネ54の反発力によってアーム45の支点軸51を押して、アーム45を図1の右方向に付勢している。軸52と螺合したコイル収納カップ53を回転させて付勢力を調整するものであり、コイル収納カップ53を回転させ軸52に沿って図1の右方向にコイル収納カップ53を移動させると付勢力が弱まり、同様に左方向にコイル収納カップ53移動させると付勢力が強まる構造となっている。
【0020】
以上の構成において、ロール31,32の交換に際しては、伝達調節手段46が固定軸受けケーシング34と一体的に構成してあるので、無端ベルト42を取り外すことは不要であり、伝達調節手段46の調整機構47の調整も不要である。このことは取り外しと取り付けにおいて同様である。
【0021】
ロール間隙調節手段39について図2により説明する。なお図2ではロール間隙調節手段39に関する機構だけを表してある。連結ロッド38はカム機構60に固定され、カム機構60はカム機構60に組み込まれた回転軸61に軸着したアーム62の回動によって駆動される。アーム62の回動によってカム機構60を駆動させると、連結ロッド38は図2の左右方向に駆動される。
【0022】
アーム62は次の機構によって駆動される。固定軸受けケーシング34に固定された支点軸63によって回動するアーム64の一方とアーム62との間は入出動機構65(例えばエアーシリンダー)によって連結されている。またアーム64の他方の軸66は、機枠外に設けたハンドル67によって回転可能にした延長軸68が螺合され、ハンドル67の回転で延長軸68が回転し、延長軸68の回転によって螺合した軸66が左右に移動し、この移動によってアーム64が回動する。
【0023】
つまり、ハンドル6を機枠外より手動によって回転させると、延長軸6が回転し、延長軸6の回動によって軸66が例えば図2の左方向に移動すると、アーム64は支点63を中心に左回転して入出動機構65を引き下げ、これによってアーム62が下方に回動する。アーム62の回動によってカム機構60が駆動され、カム機構60は連結ロッド38を右方向に移動させる。連結ロッド38が右方向に移動すると可動軸受けケーシング37は支点軸35を中心にして右方向に回動し、よって回転軸36が右方向に移動するので、ロール間隙は狭められる。
【0024】
また、延長軸6の回動によって軸66が例えば図2の右方向に移動するようハンドル67を回転させるとロール間隙は広められる。
【0025】
ところで入出動機構65の入出動軸69は、通常の稼働においては入動状態としておきハンドル67によってロール間隙を微調整し、粉砕原料が供給されないときには入出動軸69を出動させてアーム62を大きく回動させることでカム機構60を大きく駆動し、ロール間隙を大きく広めるようにする
【0026】
なお、ロールの交換時においては、入出動機構65の入出動軸69とアーム62とを連結する連結軸70を取り外す必要が生じるが、ロール間隙調節装置39は、ハンドル67を回転させて行う微調整が可能であることから、取り付け及び取り外し時の調整は不要で、連結軸70を取り外したり取り付けたりといった、単にアーム62と入出動軸69を連結軸70によって連結したり、連結解除する単純な手順でよい。つまり、無端ベルト42の張り調整のように多くの時間を要することはない。
【0027】
ところで、無端ベルト42は、プーリ40,41と接触するベルトの両面に、プーリ40,41の外周に設けたラック状の係合部と係合するラック状の突辺を複数設けたものを示している。無端ベルト42を平ベルトとし、プーリ40,41の表面を平坦なものとしてもよいが、スリップ防止を考慮すれば本実施例のように構成することが好ましい。
【0028】
【発明の効果】
一対のロールのそれぞれの回転数を所定の回転比率にして回転力を伝達する回転伝達手段を、回転伝達状態と伝達解除状態との間で調節する伝達調節手段によって調節するとともに、この伝達調節手段を固定軸受けケーシングに支点を置き該支点を中心に回動させる構成としているので、伝達調節手段は固定軸受けケーシングと一体である。つまりロールの交換時には、一対のロール及び各軸受けケーシングと同時に回転伝達手段と伝達調節手段もそのままで粉砕ロール装置から取り外すことが可能となる。
【0029】
したがって、ロールの交換のために伝達調節手段によって回転伝達手段を調整する手間は生じない。よってロール交換にともなう作業時間が短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】粉砕ロール装置の駆動部を示す図である。
【図2】粉砕ロール装置の駆動部、特にロール間隙調節装置の機構を示す図である。
【図3】従来の粉砕ロール装置の側面から見た駆動部を示す図である。
【図4】従来の粉砕ロール装置の駆動部である。
【符号の説明】
1 駆動部
31 粉砕ローラ
32 粉砕ローラ
33 回転軸
34 固定軸受けケーシング
35 支点軸
36 回転軸
37 可動軸受けケーシング
38 連結ロッド
39 ロール間隙調節装置
40 プーリ
41 プーリ
42 無端ベルト
43 突辺
45 アーム
46 伝達調節手段
47 調節手段
48 テンションプーリ
49 固定板
50 中間部
51 支点軸
52 軸
53 コイル収納カップ
54 スプリング
60 カム機構
61 回転軸
62 アーム
63 支点軸
64 アーム
65 入出動機構
66 軸
67 ハンドル
68 延長軸
69 入出動軸
70 連結軸

Claims (4)

  1. 互いに逆方向に回転する一対のロール間に穀粒を投入して粉砕する粉砕ロール装置において、一方のロールの回転軸を回動自在に軸受けする固定軸受けケーシングと、固定軸受けケーシングに回動自在に連結され他方のロールの回転軸を回動自在に軸受けする可動軸受けケーシングと、固定軸受けケーシングと可動軸受けケーシングとに架設されロール間隙を調節するロール間隙調節手段と、前記固定軸受けケーシングに軸受けされた回転軸及び前記可動軸受けケーシングに軸受けされた回転軸には、表面に係合部が形成されたプーリがそれぞれ軸着されており、これらプーリに巻回され相互に回転力を伝達するよう掛け渡されその両面にプーリとの係合面を備える無端ベルトから構成され、一対のロールのそれぞれの回転数を所定の回転比率に維持するように、該一対のロールに回転力を伝達する回転伝達手段と、前記回転伝達手段を回転伝達状態と伝達解除状態との間で調節するための、前記固定軸受けケーシングに支点を置き、該支点を中心に回動する伝達調節手段と、を備えることを特徴とする粉砕ロール装置。
  2. 回転伝達手段の回転力伝達要素が無端ベルトであることを特徴とする請求項1記載の粉砕ロール装置。
  3. 無端ベルトの両面に係合部を備え、該係合部と係合するプーリをロール回転軸側に備えるものであることを特徴とする請求項2記載の粉砕ロール装置。
  4. 伝達調節手段がテンション機構からなることを特徴とする請求項2記載の粉砕ロール装置。
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