JP4501466B2 - 昇降ガラスの水滴誘導構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の窓部の昇降ガラスを伝って浸入する水滴を所望する位置に滴下させる昇降ガラスの水滴誘導構造に関する。
窓ガラスを自動で昇降させる駆動機構を内蔵するドアを備える自動車がある。これらの駆動機構は、モータなどの電気部品を有しているので、雨水などの水がかからないように対策が施されている。その一例として、特許文献1に記載の自動車用ドアの排水構造は、ウインドガラスの下端部を中央部が高くなる円弧状に形成するとともにこの円弧に沿って樋を設けている。また、樋の両端部は、ドア内に設けられる排水ガイドレールに連接している。したがって、ウインドガラスを伝って浸入した水は、樋から排水ガイドレールへ導かれる。
実用新案登録第2603761号公報
しかしながら、中央部で高くなる円弧状にウインドガラス(昇降ガラス)の下縁全体を構成した特許文献1に記載の形状の場合、排水がガイドレールに沿って流れる十分な傾斜を有している必要があるため、必然的に昇降ガラスの両端部における移動方向に沿う寸法が大きくなる。したがって、ドア内部に昇降ガラスを引き込むためにより大きな奥行きが必要となる。言い換えると、奥行きが同じであれば、下縁が真っ直ぐな昇降ガラスに比べてドア内部に昇降ガラスを引き込める量が小さくなる。そして、この傾向は、窓の横幅が大きくなればなるほど顕著になる。
また、下縁が全体的に円弧に形成されており、両端部が下がっているので、昇降ガラスが下がる場合、昇降ガラスに接するガイドレールのリップ部がガイドレールから掻き出される方向に摩擦力が作用する。この結果、昇降ガラスを動かすために大きな力が必要となり、駆動機構に負担が掛かる。また、ガイドレールのリップ部が摩耗する原因となる。
そこで、本発明は、昇降ガラスの引き込み量を変えることなく、昇降ガラスを伝ってドア内に浸入する水を好適に誘導することができる昇降ガラスの水滴誘導構造を提供することを目的とする。
本発明に係る昇降ガラスの水滴誘導構造は、ランチャンネルとベルトラインモールと凸部とガラスホルダと駆動機構と凹部とを備える。ランチャンネルは、車両の窓に取り付けられる昇降ガラスの両側縁部に沿って嵌合し上下に延びる。ベルトラインモールは、窓の車室外側の下枠に基端が取り付けられて昇降ガラスに先端が摺接する。凸部は、昇降ガラスの下縁の両端よりに形成されて昇降ガラスを伝う水滴を最下部から滴下させるべく下方に向かって円く延びる。ガラスホルダは、凸部よりも中央寄りの昇降ガラスの下縁に取り付けられる。駆動機構は、ガラスホルダに連結されて昇降ガラスを上下方向に移動させる。凹部は、ガラスホルダと凸部との間の下縁に、上方に向かって凹んで形成される。そして、昇降ガラスが、その両側縁部から凹部を有する下縁へ、凸部を介してなだらかに形成されている。
本発明に係る昇降ガラスの水滴誘導構造は、ランチャンネルとベルトラインモールとの隙間から流れ込む水滴を昇降ガラスの両端寄りに形成した凸部から積極的に滴下させることで、昇降ガラスの下方に配置される機器類に水が掛かることを軽減することができる。
本発明に係る一実施形態の昇降ガラスの水滴誘導構造について、自動車のフロントドア10の昇降ガラス1を一例に図1から図4を参照して説明する。フロントドア10は、図1に示すように、上半分に窓20が形成され、下半分にドアパネル30が装着されている。窓20の枠に相当するサッシュ21の内周の両端部21aおよび上部21bには、図2に示すようにランチャンネル2が装着されている。昇降ガラス1の両側縁部1aに沿って嵌合するランチャンネル2は、ドアパネル30で覆われたフロントドア10の内側まで延びている。
窓20の車室外側の下枠22には、図2及び図3に示すように、ベルトラインモール23が取り付けられている。ベルトラインモール23の先端23aは、昇降ガラス1に摺接している。したがって、雨水や洗車などによって昇降ガラス1に掛かった水のうち、ベルトラインモール23が接している範囲の水滴Wは、図3に示すように昇降ガラス1からベルトラインモール23へと伝い車室の外へ流れ落ちる。また、組み付け上、ベルトラインモール23の両端23bとランチャンネル2との間には、隙間Gができる。
昇降ガラス1は、窓20を閉めた状態で両側縁部1aと上縁1bとがランチャンネル2に嵌り合う。昇降ガラス1の下縁1cの両端寄りの部分には、図1及び図4に示すように、下方に向かって延びる凸部3が形成されている。さらに、昇降ガラス1の下縁1cには、ガラスホルダ4が取り付けられている。また、凸部3とガラスホルダ4との間の昇降ガラス1の下縁1cは、上方に向かって引っ込んだ凹部5が形成されている。昇降ガラス1の両側縁部1aと嵌り合うランチャンネル2の間には、昇降ガラス1を上下に移動させる駆動機構40が配置されている。駆動機構40は、ガラスホルダ4に連結されている。
以上のように構成されたフロントドア10は、昇降ガラス1に雨水などの水が掛かると、上述のように、ベルトラインモール23が昇降ガラス1と接している範囲は、このベルトラインモール23によって水滴Wが拭い取られる。図2に示すように、ベルトラインモール23とランチャンネル2との間にできる隙間Gからフロントドア10内部に浸入した水滴Wの一部は、図4に示すように、ランチャンネル2と昇降ガラス1とで作られるクレビスCを伝って流れる。
昇降ガラス1の下縁1cまで到達した水滴Wは、図4に示すように、昇降ガラス1の凸部3に向かって伝い、最下部から滴下する。この場合、凸部3とガラスホルダ4との間に凹部5が形成されているので、水滴Wがガラスホルダ4の側にまで伝うことは無い。水滴Wを凸部3によって積極的に所望する個所に滴下させ、凸部3よりも内側に伝わないので、昇降ガラス1の下方に配置される機器類に水滴Wが掛かることを軽減することができる。
また、昇降ガラス1は、両側縁部1aから下縁1cへと凸部3を介してなだらかに形成されているとともにランチャンネル2のリップ部2aの先端2bがランチャンネル2の内側に向いた状態で接している。そのため、昇降ガラス1が下がる場合、ランチャンネル2のリップ部2aをランチャンネル2の内側に押し込む方向に摩擦力が作用し、摩擦抵抗の増加を抑えることができる。したがって、駆動機構40にかかる負荷の変化を抑えることができる。
なお、本実施形態において、昇降ガラスの水滴誘導構造は、フロントドアの昇降ガラスを一例に説明したが、リアドアの昇降ガラスなど同じ構成を有した昇降ガラスを備える窓に適用することができるものである。
本発明に係る一実施形態の昇降ガラスの水滴誘導構造を有したフロントドアを示す模式図。 図1に示したフロントドアのサッシュと昇降ガラスとの部分断面図。 図1に示したフロントドアの窓の外側の下隅の斜視図。 図1に示したフロントドアの昇降ガラスの下縁の端部の斜視図。
符号の説明
1…昇降ガラス、1a…両側縁部、2…ランチャンネル、3…凸部、4…ガラスホルダ、5…凹部、20…窓、22…下枠、23…ベルトラインモール、23a…先端、40…駆動機構、W…水滴。

Claims (1)

  1. 車両の窓に取り付けられる昇降ガラスの両側縁部に沿って嵌合し上下に延びるランチャンネルと、
    前記窓の車室外側の下枠に基端が取り付けられて前記昇降ガラスに先端が摺接するベルトラインモールと、
    前記昇降ガラスの下縁の両端寄りに形成されて前記昇降ガラスを伝う水滴を最下部から滴下させるべく下方に向かって円く延びる凸部と、
    前記凸部よりも中央寄りの前記昇降ガラスの下縁に取り付けられるガラスホルダと、
    前記ガラスホルダに連結されて前記昇降ガラスを上下方向に移動させる駆動機構と、
    前記ガラスホルダと前記凸部との間の前記下縁に、上方に向かって凹んで形成された凹部と、を備え、
    前記昇降ガラスが、前記両側縁部から前記凹部を有する前記下縁へ、前記凸部を介してなだらかに形成されている
    ことを特徴とする昇降ガラスの水滴誘導構造。
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