JP3700445B2 - 昇降ドアガラスのガイド構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のドア本体内にドアガラスの昇降を案内するサッシュを設けた昇降ドアガラスのガイド構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4に示すように、自動車のドア本体1にはインナパネルとアウタパネルの間の前後位置に、ドアガラス3の昇降時にその前後の縦縁部を案内するサッシュ4がドアフレーム10の前後の縦枠部を下方へ延長するように縦方向に設けられている。一方、ドアフレーム10の内周には、ドアベルトライン11よりも上方でドアガラス6の昇降を案内するドアガラスラン2が取付けられている。
【0003】
従来、ドア本体1内のサッシュは金属製のものを用い、これにドアフレーム10のガラスラン2と同種のガラスランを装着していたが、近時、車両の軽量化、コスト低減のために、ナイロン、ポリアセタール等からなる合成樹脂のサッシュが用いられるようになってきた。
【0004】
この合成樹脂のサッシュでは、ガラスランを省略し、昇降ドアガラスの摺動性を良くし、かつドアガラスのガタツキを防ぐために、サッシュの内面から突出してドアガラスの縦縁部を両面から挟むガラスガイド部を一体に形成している。
【0005】
図5はこの種のガラスガイド構造の代表例(特開平9−100676号)を示すもので、断面コ字形の合成樹脂製のサッシュ4の車幅方向に相対向する側壁41a,41bの内面にはそれぞれサッシュ長手方向に所定の間隔をおいて、上記内面からC字状に伸び出して先端が上記内面とは分離している舌片状のガラスガイド部5を形成し、両側のガラスガイド部5でドアガラス3をその両面から挟む構造としている。
【0006】
この構造は、ガラスガイド部5をドアガラス3面に密着するように設定しても、合成樹脂製のサッシュの熱変化による伸縮は舌片状のガラスガイド部5の撓みにより吸収されるから、気温の変化にかかわらず常にガラスガイド部5をガラス面に密着させることができるので、ドアガラス3のガタツキ防止作用においてすぐれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の構造にも、なお解決すべき問題が残されている。すなわち、上記の構造において、ガラス面にほこりや、はね上げられた泥水が付着した状態でドアガラス3を昇降させると、ガラスガイド部5でこすれ状の異音が発生することがある。この異音は、ガラスガイド部5のドアガラス3との摺接面に小型の突出部を形成してドアガラス3との接触面積を小さくすることで若干緩和されるが、異音の発生を防止するには充分でなかった。
【0008】
そこで本発明は、ドアガラスのガタツキがなく、かつドアガラスとの摺動抵抗を極力小さくし、上記異音の発生を完全に防止することができる昇降ドアガラスのガイド構造を提供することを課題としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、自動車ドアの本体内に、ドアガラスの昇降を案内する合成樹脂からなる断面ほぼコ字形のサッシュをドアフレームの縦枠部を下方へ延長する方向に設け、該サッシュの車幅方向に相対向する側壁の内面に、該内面から突出してドアガラスの縦縁部の両面を挟むガラスガイド部をサッシュ長手方向に所定の間隔をおいて形成した昇降ドアガラスのガイド構造において、上記ガラスガイド部を、一端がサッシュの上記側壁の内面に結合し、他端が該内面と分離する撓み性を有する舌片状に形成する。かつ上記側壁のうち、少なくともサッシュの車外側の側壁のガラスガイド部にはサッシュの底面に近接する端部に、先端部が断面刃先状で、ドアガラス面と摺接する尖形の先端縁がドアガラスに向けて凸状の湾曲線をなしてドアガラス昇降方向に延びる突出部を形成し、上記尖状の先端縁のドアガラス面との接触位置を上記ドアフレームの縦枠部に取付けられたドアガラスランのシールリップのドアガラス面との接触位置よりもドアガラスの端縁寄りの位置とした。
【0010】
上記突出部とドアガラス面とは実質的に点接触に近い線接触となるので摺動抵抗が小さい。しかも、上記突出部を上記ガラスガイド部のサッシュ底面に近接する端部に形成したから、上記突出部のドアガラスとの接触位置は、ドアガラスが上昇して閉じられたときにドアガラスの縦縁部を両面から挟むドアガラスランのシールリップのシール位置よりもドアガラスラン内奥側のドアガラスの端縁近接位置となる。この位置のドアガラス面には、はね上げられた泥水が侵入することはほとんどなく、またほこりの堆積も少ないから、上記突出部とドアガラス面との間でこすれ状の異音は発生しない。
【0011】
【発明の実施の形態】
図4に示すように、自動車のドア本体1内には前後位置にそれぞれ、昇降するドアガラス3の前後の縦縁部を案内するサッシュ4Aが、ドフフレーム10の前後の縦枠部を下方へ延長するように縦方向に設置してある。ドアフレーム10の内周にはこれに沿ってドアガラスラン2が取付けてある。
【0012】
前後のサッシュ4Aはほぼ対称形状で、合成樹脂の射出成形体であり、後側のサッシュ4Aを例にとると、図1に示すように断面ほぼコ字形で、一方の側壁41aの外面にブラケット40を備え、サッシュ4Aはその開口を前方に向けブラケット40によりドア本体1のインナパネルに固定される。なお図では便宜上、サッシュ4Aを上下に直線状としたが、実際はドアガラス3の曲面に対応してドアアウタパネル側へ凸状のゆるやかな曲線形状である。
【0013】
サッシュ4Aの側壁41a,41bの相対向する内面にはそれぞれサッシュ長手方向に所定の間隔をおいて、舌片状のガラスガイド部5Aが形成してあり、側壁41a,41bのガラスガイド部5Aは互い違いの位置としてある。各ガラスガイド部5Aは縦断面ほぼC字形で、上端が上記内面と一体結合して下方へ伸び、下端は上記内面と分離しており、厚さは側壁41a,41bよりも若干薄く、撓み性を有する。ガラスガイド部5Aの幅は、側壁41a,41bの幅の2/3程度で、ガラスガイド部5Aはその一方の側縁が側壁41a,41bの先端縁と合致する位置に形成してある。
【0014】
各ガラスガイド部5Aの凸状の表面にはサッシュ4Aの底面42側の端縁に沿って細幅の突出部6が形成してある。突出部6の上記底面42側の側端面61はガラスガイド部5Aの本体部の上記底面42側の側端面と面一で、対向側面62の先端部は側端面61に対して鋭角をなす傾斜面としてあり、ドアガラス3と摺接する突出部6の先端部は刃先状の断面形状としてある。突出部6はC字形のガラスガイド部5Aの突出中心部に延設してあり、尖状の先端縁63はガラス3に対して凸状でサッシュ4Aの上下方向に延びる湾曲線となっている。なお、サッシュ4Aの底面部のガラスガイド部5Aと対応する位置に存在する穴43は、サッシュ4Aを金型にて射出成形したときにガラスガイド部成形用のスライドピンを抜き取った穴である。
【0015】
図2は、サッシュ4A、ドアフレームに取付けたドアガラスラン2およびドアガラス3の相互の位置関係を示すものである。
【0016】
ドアフレーム10(図4)の後部縦枠部に取付けられたドアガラスラン2は断面コ字形で、ドアガラス3の後部縦縁部をその両面から挟むシールリップ21を備えている。サッシュ4Aとドアガラスラン2は、上下方向(昇降するドアガラス3の後部縦縁部の移動方向)に連なる位置にある。サッシュ4Aにおいて、ドアガラス3を挟む突出部6は、これをガラスガイド部5Aのサッシュ内奥側の端部に設けたことで、突出部6のドアガラス3との接触位置は、ドアガラスラン2のシールリップ21のドアガラス3との接触位置よりもドアガラス3の端縁寄りの位置としてある。すなわち、突出部6はドアガラス昇降時にドアガラス3と、ドアガラスラン2のシールリップ21のガラスシール位置よりもドアガラスラン内奥側の位置で摺接する。
【0017】
上昇して閉じられたドアガラス3の外表面にははね上げられた泥水が付着する。またガラス面、特に外表面にはほこりが堆積する。これらの泥やほこりはドアガラス昇降時に、ドア本体1のウエストライン11(図4)に沿って設けたガラスウエザストリップにより払拭されるが完全には除去されず、特にガラスウエザストリップの前後の端末部、すなわちドアガラス3の前後の端縁部では払拭が不完全になりやすい。
【0018】
しかして本発明のドアガラスのガイド構造では、ドアガラス昇降時、突出部6は、ドアガラスラン2のシールリップ21でシールされて泥水の付着がなく、かつほこりの堆積も僅少な位置でドアガラス3に摺接し、しかもガラス昇降方向に実質的に点接触に近い線接触で摺接するから、摺接抵抗は極めて低く、泥やほこりとのこすれによる異音は発生せず、これによるドアガラス表面の傷付きもない。
【0019】
なお、上記の実施形態では、ドアガラス3の両面を挟むガラスガイド部5Aに突出部6を形成したが、車外側の側壁41bのガラスガイド部5Aのみに突出部6を形成しても異音の発生を防止することができる。
【0020】
図3は本発明の他の実施形態を示すもので、図1に示す実施形態との相違点を中心に説明する。
【0021】
合成樹脂製のサッシュ4Bの相対向する側壁(図はその一方のみを示す)41aには上下に所定の間隔をおいて舌片状のガラスガイド部5Bが形成してある。ガラスガイド部5Bは側壁41aの先端縁からサッシュ4Bの底面42に向けて側壁41aを横切るように横断面C字状に伸びている。ガラスガイド部5Bの先端部には、かまぼこ型断面形状の突出部7が形成してある。突出部7の円弧状の外周端面71はガラスガイド部根元側すなわちサッシュ4Bの底面42側へ向けて下降する傾斜面としており、該端面71のガラスガイド部先端側の刃先状の尖状端縁72は、ドアガラス3に対して凸状でサッシュ4Bの上下方向に延びる曲線形状となっている。この尖状端縁72のドアガラス3との摺接位置は、ドアガラスランのドアガラスシール位置よりもドアガラス3の端縁寄りの位置としてある。断面コ字形のサッシュ4Bの全体形状は上記サッシュ4Aと実質的に同じである。突出部7を備えたこのサッシュ4Bも、上記サッシュ4Aと実質的に同一の作用効果を奏する。なお、突出部7は、サッシュ4Bの車外側の側壁のガラスガイド部5Bにのみ形成してもよい。
【0022】
【発明の効果】
本発明の昇降ドアガラスのガイド構造によれば、ドアガラス面に車外のほこりや、はね上げられた泥水が付着した状態でドアガラスを昇降させても、低い摺動抵抗でドアガラスを案内することができ、ドアガラスとサッシュとの間でこすれ異音が発生することはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すもので、図1(A)はドアガラスガイド用サッシュの斜視図、図1(B)は図1(A)のIB−IB線に沿う縦断面図、図1(C)は図1(B)のIC−IC線に沿うガラスガイド部の断面図である。
【図2】上記実施形態におけるドアガラスガイド用サッシュとドアガラスランとの位置関係を示す図である。
【図3】本発明の他の実施形態を示すもので、図3(A)はドアガラスガイド用サッシュの要部斜視図、図3(B)は図1(A)の一部拡大斜視図、図3(C)は図3(B)のIIC−IIC線に沿うガラスガイド部の断面図である。
【図4】ドアガラスガイド用サッシュを備えた自動車の側面図である。
【図5】図5(A)は従来のドアガラスガイド用サッシュの斜視図、図5(B)は従来のドアガラスガイド用サッシュの図5(A)のVB−VB線に沿う縦断面図である。
【符号の説明】
1 ドア本体
10 ドアフレーム
2 ドアガラスラン
3 ドアガラス
4,4A,4B サッシュ
41a,41b 側壁
42 底面
5,5A,5B ガラスガイド部
6,7 突出部
63,72 先端縁
Claims (1)
- 自動車ドアの本体内に、ドアガラスの昇降を案内する合成樹脂からなる断面ほぼコ字形のサッシュをドアフレームの縦枠部を下方へ延長する方向に設け、該サッシュの車幅方向に対向する側壁の内面に、該内面から突出してドアガラスの縦縁部を両面から挟むガラスガイド部をサッシュ長手方向に所定の間隔をおいて形成した昇降ドアガラスのガイド構造において、上記ガラスガイド部を、一端がサッシュの上記側壁の内面に結合し、他端が該内面と分離する撓み性を有する舌片状に形成し、サッシュの上記側壁のうち少なくとも車外側の側壁のガラスガイド部にはサッシュの底面と近接する端部に、先端部が断面刃先状で、ドアガラス面と摺接する尖形の先端縁がドアガラスに向けて凸状の湾曲線をなしてドアガラス昇降方向に延びる突出部を形成し、上記尖状の先端縁のドアガラス面との接触位置を上記ドアフレームの縦枠部に取付けられたドアガラスランのシールリップのドアガラス面との接触位置よりもドアガラスの端縁寄りの位置としたことを特徴とする昇降ドアガラスのガイド構造。
Priority Applications (1)
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JP04107399A JP3700445B2 (ja) | 1999-02-19 | 1999-02-19 | 昇降ドアガラスのガイド構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04107399A JP3700445B2 (ja) | 1999-02-19 | 1999-02-19 | 昇降ドアガラスのガイド構造 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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Family Applications (1)
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JP04107399A Expired - Lifetime JP3700445B2 (ja) | 1999-02-19 | 1999-02-19 | 昇降ドアガラスのガイド構造 |
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1999
- 1999-02-19 JP JP04107399A patent/JP3700445B2/ja not_active Expired - Lifetime
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