JP4492737B2 - 電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品に関し、サーミスタを内蔵した電子部品に関する。
サーミスタを内蔵した従来の電子部品としては、例えば、特許文献1に記載の積層サーミスタが知られている。図10は、該積層サーミスタ110の構成図である。図10(a)は、積層サーミスタ110を積層方向(z軸方向)から透視した図であり、図10(b)は、積層サーミスタ110のxz平面における断面構造図である。積層サーミスタ110は、外部電極114aに接続されている内部電極106aと、外部電極114bに接続されている内部電極106bと、内部電極106a及び内部電極106bに重なり合うように配置された内部電極107とを備えている。
ところで、サーミスタを内蔵した電子部品は、携帯電話、パーソナルコンピュータ或いは電源部品等、種々の用途に用いられている。そのため、種々の用途に対応できるように所望の抵抗変化率や耐圧等のサーミスタ特性を大きく変更することなく、サーミスタの抵抗値のバリエーションを増やすことが求められている。すなわち、種々の抵抗値が求められているサーミスタ間において、構造を大きく変更することなく、抵抗値の調整を容易にかつ微小な範囲で変更できる電子部品が求められている。
しかしながら、特許文献1に記載の積層サーミスタ110では、以下に説明するように、構造を大きく変更することなく、抵抗値を変更することは困難である。より詳細には、積層サーミスタ110において抵抗値は、内部電極106aと内部電極107とが重なっている領域E11の面積S11及び内部電極106bと内部電極107とが重なっている領域E12の面積S12との総和に依存している。そこで、積層サーミスタ110において抵抗値を調整したい場合には、これら2つの領域E11,E12の面積S11,S12の総和を変更することが考えられる。
ところが、積層サーミスタ110の場合、内部電極107がそのx軸方向にずれて、内部電極106aと内部電極107とが重なっている領域E11の面積S11が増加したとしても、内部電極106bと内部電極107とが重なっている領域E12の面積S12が減少するので、前記2つの面積S11,S12の総和は、一定に保たれる。そのため、積層サーミスタ110において、抵抗値を変化させる場合には、種々のサーミスタ毎に内部電極106a,106b,107の大きさや形状を設計変更する必要がある。すなわち、特許文献1に記載の積層サーミスタ110は、構造を大きく変更することなく、容易に抵抗値を変化させることは困難である。また、所望の抵抗値毎に内部電極106a,106b、107の形状を変更する方法では、例えば、抵抗値を所望の範囲に微調整することは困難であった。
特開平05−243007号公報
そこで、本発明の目的は、基本構造を大きく変更することなく、抵抗値を変化させることができ、特に抵抗値の微調整が可能な電子部品を提供することである。
本発明の一形態に係る電子部品は、セラミック層が積層されてなる積層体と、前記積層体の表面に形成されている第1の外部電極及び第2の外部電極と、前記積層体内において所定方向に延在していると共に、前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極に接続されていない中空電極と、前記第1の外部電極と接続されていると共に、前記中空電極の一端において前記セラミック層を挟んで対向している第1の内部電極と、前記第2の外部電極と接続されていると共に、前記中空電極の他端において前記セラミック層を挟んで対向している第2の内部電極と、を備え、積層方向から平面視したときに、前記中空電極において前記第1の内部電極及び前記第2の内部電極と重なっていない非重複部分が該第1の内部電極及び該第2の内部電極の少なくとも一方と接している部分の両端間の前記所定方向に垂直な第1の幅は、該非重複部分が該第1の内部電極及び該第2の内部電極の他方と接している部分の両端間の該所定方向に垂直な第2の幅よりも大きいこと、を特徴とする。
前記電子部品によれば、第1の幅は、第2の幅よりも大きい。そのため、該電子部品では、中空電極を所定方向に移動させると、第1の内部電極と中空電極とが重なっている部分の面積の増減量が、第2の外部電極と中空電極とが重なっている部分の面積の増減量よりも大きくなる。これにより、第1の内部電極と中空電極とが重なっている部分の面積と第2の内部電極と中空電極とが重なっている部分の面積との総和を増減させることができ、電子部品の抵抗値を減少又は増加させることができる。その結果、中空電極の大きさや形状等を設計変更をすることなく、中空電極を移動させるだけで抵抗値の微調整を行うことができる。
前記電子部品において、前記第1の幅は、前記中空電極が所定方向に移動した場合でも、前記第2の幅よりも大きくてもよい。
前記電子部品において、前記中空電極の前記所定方向に垂直な幅は、該中空電極の一端から他端にいくにしたがって、小さくなっており、前記第1の内部電極及び前記第2の内部電極の前記所定方向に垂直な幅のそれぞれは、前記中空電極の一端及び他端における前記所定方向に垂直な幅以上の大きさであってもよい。
前記電子部品では、中空電極の所定方向に垂直な幅は、該中空電極の一端から他端にいくにしたがって小さくなっている。そのため、中空電極の移動量に関らず、第1の幅は、第2の幅よりも常に大きくなる。その結果、中空電極の移動量を大きくして、抵抗値の調整幅を大きく取ることが可能となる。更に、前記電子部品では、第1の内部電極及び第2の内部電極の所定方向に垂直な幅はそれぞれ、中空電極の一端及び他端における幅以上の大きさである。そのため、電子部品の積層体の作成時において、セラミックグリーンシートの積層ずれにより中空電極が所定方向に垂直な方向にずれたとしても、中空電極が第1の内部電極及び第2の内部電極からはみ出しにくくなる。その結果、電子部品の抵抗値のばらつきが抑制される。
前記電子部品において、前記中空電極には、導電膜が形成されていない空白部が形成されており、前記空白部の前記所定方向に垂直な幅は、前記中空電極の一端から他端にいくにしたがって大きくなっていてもよい。これにより、中空電極の外形を矩形上に保つことができ、抵抗値のばらつきを抑制できる。
前記電子部品において、前記中空電極、前記第1の内部電極及び前記第2の内部電極の前記所定方向に垂直な幅は、該中空電極の一端から他端にいくにしたがって、大きくなっており、前記中空電極、前記第1の内部電極及び前記第2の内部電極の電極パターンは、同一形状であってもよい。これにより、1種類の電極パターンにより中空電極、第1の内部電極及び第2の内部電極を作成することができ、電子部品の製造効率が向上する。
本発明の一形態に係る電子部品によれば、積層方向から平面視したときに、中空電極において第1の内部電極及び第2の内部電極と重なっていない非重複部分が該第1の内部電極と接している部分の両端間の所定方向に垂直な第1の幅は、該非重複部分が該第2の内部電極と接している部分の両端間の該所定方向に垂直な第2の幅よりも大きいので、構造を大きく変更することなく、抵抗値を変化させることができ、特に、抵抗値を微小に変化させることができる。これにより、サーミスタ特性を大きく変更することなく、微小に異なる抵抗値のバリエーションを容易に増やすことができる。
以下に、本発明の一実施形態に係る電子部品について説明する。該電子部品は、NTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタを内蔵した積層型電子部品である。
(電子部品の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品10aの外観斜視図である。図2は、電子部品10aの積層体12の分解図である。以下では、電子部品10aの形成時に、セラミックグリーンシートが積層される方向を積層方向と定義する。そして、この積層方向をz軸方向とし、電子部品10aの長手方向をx軸方向とし、x軸とz軸とに直交する方向をy軸方向とする。x軸、y軸及びz軸は、電子部品10aを構成する辺に対して平行である。図3(a)は、電子部品10aをz軸方向から平面視した透視図である。図3(b)は、電子部品10aのxz平面の断面構造図である。
電子部品10aは、図1に示すように、内部にサーミスタを内蔵する直方体状の積層体12、及び、積層体12の表面に形成された外部電極14a,14bを備えている。外部電極14a,14bはそれぞれ、x軸方向の両端に位置する積層体12の側面を覆うように形成されている。
積層体12は、以下に説明するように、複数の内部電極と複数のセラミック層とが共に積層されて構成され、内部にサーミスタを内蔵している。より詳細には、積層体12は、図2に示すように、複数のセラミック層5a〜5c,4a,4b,5d〜5fがこの順に積層されることにより構成される。複数のセラミック層5a〜5c,4a,4b,5d〜5fは、それぞれ略同じ面積及び形状を有する長方形の半導体層である。
セラミック層4aの主面上には、図2に示すように、x軸方向の負方向側に位置するセラミック層4aの短辺から垂直にx軸方向の正方向へと延在する長方形状の内部電極6aが形成されている。これにより、内部電極6aは、図3に示すように、x軸方向の負方向側に位置する短辺にて外部電極14aと接続されている。
また、セラミック層4aの主面上には、図2に示すように、x軸方向の正方向側に位置するセラミック層4aの短辺から垂直にx軸方向の負方向へと延在する長方形状の内部電極6bが形成されている。これにより、内部電極6bは、図3に示すように、x軸方向の正方向側に位置する短辺にて外部電極14bと接続されている。
また、図2及び図3に示すように、内部電極6a及び内部電極6bのy軸方向の幅は、それぞれ等しい。更に、内部電極6a及び内部電極6bは、x軸方向に一直線上に並び、かつ、所定の隙間を空けて配置されている。
セラミック層4bの主面上には、図2及び図3に示すように、x軸方向に延在していると共に、外部電極14a,14bに接続されていない等脚台形状の内部電極7(中空電極)が形成されている。より詳細には、図3に示すように、内部電極7のy軸方向の幅は、x軸方向の負方向側の端に位置する辺(以下、下底と称す)からx軸方向の正方向側の端に位置する辺(以下、上底と称す)にいくにしたがって、小さくなっている。また、等脚台形状の内部電極7の高さ方向は、x軸方向と一致している。
ここで、図3に示すように、z軸方向から平面視したときに、内部電極6aは、内部電極7の下底において該内部電極7とセラミック層4aを挟んで対向している。同様に、内部電極6bは、内部電極7の上底において該内部電極7とセラミック層4aを挟んで対向している。これにより、セラミック層4aと内部電極7と内部電極6a,6bとによりサーミスタが構成されている。
図2に示す分解斜視図のセラミック層5a〜5c,4a,4b,5d〜5fをz軸方向の上側からこの順に重ねて積層体12を形成する。更に、積層体12の表面に外部電極14a,14bを形成すると、電子部品10aが得られる。
(効果)
以上のように構成された電子部品10aは、以下に図3ないし図5を用いて説明するように、内部電極7の大きさや形状等を設計変更をすることなく、抵抗値を増加させる方向にも減少させる方向にも変化させることができ、抵抗値の微調整を行うことができる。より具体的には、内部電極7をx軸方向の正方向側に移動させることにより、抵抗値を大きくすることができ、内部電極7をx軸方向の負方向側に移動させることにより、抵抗値を小さくすることができる。すなわち、電子部品10aでは、抵抗値を図3に示す電子部品10aの抵抗値から増加させることも減少させることも可能であり、種々の抵抗値を有する電子部品を得ることができる。また、内部電極7の大きさや形状等を設計変更することなく、電子部品10aの抵抗値を微調整することができる。
ここで、図4(a)は、内部電極7を図3に示した状態からx軸方向の正方向にΔLだけ移動させた場合における、電子部品10aをz軸方向から平面視した透視図である。図4(b)は、内部電極6aと内部電極7との重なっている部分の面積の減少量を示した図であり、図4(c)は、内部電極6bと内部電極7との重なっている部分の面積の増加量を示した図である。図5(a)は、内部電極7を図3に示した状態からx軸方向の負方向にΔLだけ移動させた場合における、電子部品10aをz軸方向から平面視した透視図である。図5(b)は、図5(a)の状態の電子部品10aのxz平面の断面構造図である。
まず、図3(a)において、内部電極7において内部電極6aと重なっている領域を領域E1とし、内部電極7において内部電極6bとが重なっている領域を領域E2とし、内部電極7において内部電極6a,6bと重なっていない領域を領域E3とする。また、領域E1,E2,E3の面積をそれぞれ、面積S1,S2,S3とする。
図3(a)に示すように、電子部品10aでは、内部電極6aのy軸方向の幅は、内部電極7の上底のy軸方向の幅よりも少し大きい。また、内部電極6bのy軸方向の幅は、内部電極7の下底のy軸方向の幅以上である。そのため、等脚台形状の内部電極7の上底近傍と下底近傍とがそれぞれ、内部電極6a,6bに重なると、領域E3が内部電極6aと接している部分の両端間のy軸方向の幅L1は、領域E3が内部電極6bと接している部分の両端間のy軸方向の幅L2よりも大きくなる。
前記のように、幅L1が幅L2よりも大きいと、内部電極7がx軸方向に移動した場合における、領域E1の面積S1の増減量を、領域E2の面積S2の増減量よりも大きくすることが可能となる。すなわち、内部電極6a,6b,7の形状を変更することなく、内部電極7を移動させるだけで、領域E3の面積S3を増減させることが可能となる。以下に詳細に説明する。
内部電極7がx軸方向の正方向にΔLだけ移動した場合には、図4(a)及び図4(b)に示すように、領域E1の面積S1は、等脚台形状の領域ΔE1に相当する面積ΔS1だけ減少する。ここで、抵抗値を調整するための内部電極7の移動量は、0.05mm以下と小さい。したがって、領域ΔE1は、図4(b)に示すように、縦L1横ΔLの長方形と近似することができる。同様に、領域E2の面積S2は、等脚台形状の領域ΔE2に相当する面積ΔS2だけ増加する。したがって、領域ΔE2は、図4(c)に示すように、縦L2横ΔLの長方形と近似することができる。
ここで、領域ΔE1の面積ΔS1と領域ΔE2の面積ΔS2とを比較すると、幅L1が幅L2よりも大きいので、面積ΔS1は、面積ΔS2よりも大きくなる。すなわち、電子部品10aにおいて、内部電極7をx軸方向の正方向に移動させることにより、内部電極6a,6bと内部電極7とが重なっている領域E1,E2の面積S1,S2の総和を減少させることができる。電子部品10aの抵抗値は、面積S1,S2の総和に依存している。そのため、内部電極7をx軸方向の正方向に移動させて面積S1,S2の総和を減少させると、電子部品10aの抵抗値は、大きくなる。
一方、図5に示すように、内部電極7をx軸方向の負方向に移動させると、面積S1,S2の総和が増加して、電子部品10aの抵抗値が、小さくなるが、その原理は、内部電極7をx軸方向の正方向に移動させた場合と同様であるので説明を省略する。
以上のように、電子部品10aでは、幅L1が幅L2よりも大きくなるような構造及び配置を内部電極6a,6b,7がとっている。そのため、電子部品10aでは、内部電極7をx軸方向の正方向又は負方向に移動させて、電子部品10aの抵抗値を減少又は増加させることができる。その結果、内部電極7の大きさや形状等を設計変更をすることなく、抵抗値の微調整を行うことができる。
更に、電子部品10aでは、図3に示すように、x軸方向の正方向にいくにしたがって、内部電極7のy軸方向の幅が小さくなっている。そのため、内部電極7の移動量に関らず、幅L1は、幅L2よりも常に大きくなる。故に、電子部品10aでは、内部電極7の移動量を大きくして、抵抗値の調整幅を大きく取ることが可能となる。
更に、電子部品10aでは、図3に示すように、内部電極6a,6bのy軸方向の幅のそれぞれは、内部電極7の上底及び下底以上の大きさである。そのため、電子部品10aの積層体12の作成時において、セラミックグリーンシートの積層ずれにより内部電極7がy軸方向にずれたとしても、内部電極7が内部電極6a,6bからy軸方向にはみ出しにくくなる。その結果、電子部品10aの抵抗値のばらつきが抑制される。
なお、内部電極をセラミック層に印刷する際に、室温・湿度等の条件によって、印刷にじみやかすれが発生し、所望の抵抗値を有する電子部品を得ることができない場合がある。そこで、電子部品10aにおいて、抵抗値を所望の抵抗値に微調整することを目的として、内部電極7をx軸方向に移動させてもよい。
(シミュレーション結果)
本願発明者は、電子部品10aが奏する効果をより明確にするために、以下に説明するシミュレーションを行った。図6は、シミュレーションに用いたモデルを示した図である。図6(a)は、電子部品10aに相当する第1のモデルをz軸方向から平面視した透視図である。図6(b)は、特許文献1に記載の積層サーミスタに相当する第2のモデルをz軸方向から平面視した透視図である。図6(c)は、第1のモデル及び第2のモデルのxz平面における断面構造図である。本シミュレーションでは、図6に示した2つのモデルの内部電極6a,6b,7,106a,106b,107をx軸方向に移動させて、電子部品10a及び積層サーミスタ110の抵抗値を計算した。以下に、シミュレーション条件について説明する。
図6(a)に示す第1のモデルには、0603(0.6mm×0.3mm×0.3mm)のチップサイズのモデルが用いられ、図3に示す電子部品10aと同様に、内部電極6a,6b,7が設けられている。ただし、図6(c)に示すように、内部電極6a,6bはそれぞれ、内部電極7を挟んで2枚ずつ設けられている。ここで、内部電極7の上底の長さL11を0.16mm、下底の長さL12を0.2mm、高さL13を0.405mmとした。なお、内部電極6a,6bの幅L12は、0.2mmである。また、内部電極6aと内部電極6bとの間の隙間をL15とする。
図6(b)に示す第2のモデルには、0603(0.6mm×0.3mm×0.3mm)のチップサイズのモデルが用いられ、図10に示す積層サーミスタ110と同様に、内部電極106a,106b,107が設けられている。ただし、図6(c)に示すように、内部電極106a,106bはそれぞれ、内部電極107を挟んで2枚ずつ設けられている。ここで、内部電極107の幅L21を0.2mm、高さL23を0.38mmとした。なお、内部電極106a,106bの幅L21は、0.2mmである。また、内部電極106aと内部電極106bとの間の隙間をL25とする。
以上のようなシミュレーション条件下において、内部電極7,107を基準位置からx軸方向に±0.05mmずらして、抵抗値を計算した。この基準位置とは、内部電極7,107と内部電極106a,106bとの重なりのx軸方向における幅が同じ状態での内部電極7,107の位置である。また、この際、隙間L15,L25を0.15mm〜0.19mmの間で0.01mm刻みで変化させて、抵抗値を計算した。図7は、シミュレーション結果を示したグラフである。縦軸は、抵抗値を示し、横軸は、隙間の大きさを示している。
図7に示すように、特許文献1に記載の積層サーミスタに相当する第2のモデルでは、例えば、隙間L25が0.15mmの場合、抵抗値が11kΩであり、内部電極107を移動させても、抵抗値が不変であることが理解できる。一方、電子部品10aに相当する第1のモデルでは、隙間L15が0.15mmの場合、内部電極7を移動させると、抵抗値が10.7kΩから11.2kΩまで変化することが分かり、内部電極7を移動させるだけで、0.4kΩ〜0.5kΩ変化することが理解できる。すなわち、シミュレーションにより、特許文献1に記載の積層サーミスタでは、内部電極107を移動させても、抵抗値を変化させることができなかったのに対して、電子部品10aでは、内部電極7を移動させて抵抗値を変化させることができる。しかも、微小な抵抗変化が可能である。したがって、電子部品10aでは、多種類の抵抗値の電子部品を得ることが可能となる。
また、図7に示すように、第2のモデルでは、L25を0.150mmで固定して内部電極107を移動させたとしても、抵抗値は11kΩであり、抵抗値が変化しない。また、隙間L25を0.01mmずつ大きくしたとしても、0.4kΩ〜0.5kΩ刻みで不連続にしか抵抗値を変化させることができない。これに対して、図7に示すように、第1のモデルでは、隙間L15を0.01mm大きくすると、抵抗値は、0.4kΩ〜0.5kΩ小さくなっている。更に、隙間L15を固定して内部電極7を0.05mm移動させると、抵抗値は、0.4kΩ〜0.5kΩ変化する。すなわち、隙間L15を0.01mm刻みで調整し、内部電極7を0.05mmの範囲で移動させることにより、第1のモデルでは、8.9kΩ〜11.2kΩの間において抵抗値を連続して変化させることができる。すなわち、電子部品10aでは、広い範囲でより細かな抵抗値の調整を行うことができる。故に、電子部品10aでは、内部電極6a,6b,7の印刷にじみやかすれに起因する抵抗値の小さなずれを、内部電極7の移動量及び隙間L15の大きさを調整することにより補正できる。
(変形例)
ところで、電子部品10aでは、内部電極7が等脚台形を有しているので、内部電極7をx軸方向の正方向又は負方向に移動させて、電子部品10aの抵抗値を減少又は増加させることができることは、上記説明を出すまでもなく図3及び図4より明らかである。しかしながら、内部電極7が等脚台形以外の形状を有している場合においても、幅L1が幅L2よりも大きくなるような構造及び配置を内部電極6a,6b,7がとることにより、同様の原理によって、電子部品の抵抗値を減少又は増加させることが可能である。以下に、電子部品10aの変形例を、図面を参照しながら説明する。図8及び図9は、変形例に係る電子部品10b〜10fをz軸方向から平面視した透視図である。
図8(a)は、第1の変形例に係る電子部品10bをz軸方向から平面視した透視図である。電子部品10bでは、内部電極7は、長方形と半円とが組み合わされた形状を有している。より詳細には、内部電極7は、長方形状の電極のx軸方向の正方向側に半円形状の電極が結合された形状を有している。このような内部電極7を有する電子部品10bにおいても、幅L1は、幅L2よりも大きくなる。その結果、内部電極7をx軸方向の正方向又は負方向に移動させて、電子部品10bの抵抗値を減少又は増加させることが可能となる。
図8(b)は、第2の変形例に係る電子部品10cをz軸方向から平面視した透視図である。電子部品10cでは、内部電極7は、等脚台形と長方形とが組み合わされた形状を有している。より詳細には、内部電極7は、等脚台形状の電極のx軸方向の負方向側に長方形状の電極が結合された形状を有している。このような内部電極7を有する電子部品10cにおいても、幅L1は、幅L2よりも大きくなる。その結果、内部電極7をx軸方向の正方向又は負方向に移動させて、電子部品10cの抵抗値を減少又は増加させることが可能となる。
ここで、上記電子部品10a〜10cでは、幅L1を幅L2よりも大きくするために、内部電極7のy軸方向の幅をx軸方向の正方向側にいくにしたがって小さくしている。しかしながら、幅L1を幅L2よりも大きくする方法はこれに限らない。以下に、他の変形例を挙げて説明する。
図8(c)は、第3の変形例に係る電子部品10dをz軸方向から平面視した透視図である。電子部品10dでは、内部電極7は、長方形状を有している。ただし、内部電極7の内部には、導電膜が形成されていない三角形状の空白部Bが形成されている。該空白部Bは、内部電極7において内部電極6aと重なっている端部から内部電極7において内部電極6bと重なっている端部へといくにしたがって、y軸方向の幅が大きくなる形状を有している。
以上のような電子部品10dでは、図8(c)に示すように、幅L1,L2はそれぞれ、内部電極7のy軸方向の幅から空白部Bのy軸方向の幅を引いた大きさとなる。内部電極7のy軸方向の幅は、x軸方向において一定であるのに対して、空白部Bのy軸方向の幅は、x軸方向の正方向にいくにしたがって大きくなっている。故に、電子部品10dでは、幅L1は、幅L2よりも大きくなる。その結果、内部電極7をx軸方向の正方向又は負方向に移動させて、電子部品10dの抵抗値を減少又は増加させることが可能となる。更に、電子部品10dによれば、内部電極7の外形を矩形上に保つことができるので、電子部品10dの抵抗値のばらつきを抑制できる。なお、電子部品10dにおいて、空白部Bは、台形状であってもよい。
図9(a)は、第4の変形例に係る電子部品10eをz軸方向から平面視した透視図である。電子部品10eでは、内部電極7は、長方形状を有しており、内部電極6a,6bが、等脚台形状を有している。より詳細には、内部電極6a,6bのy軸方向の幅は、x軸方向の正方向に行くにしたがって、大きくなっている。更に、内部電極6aのy軸方向の幅は、内部電極7のx軸方向の負方向側の端部におけるy軸方向の幅(内部電極7は、長方形状であるので、ここでは、内部電極7のy軸方向の幅)以上である(図9では等しい)。このような内部電極6a,6b,7によっても、幅L1を幅L2よりも大きくすることができる。その結果、内部電極7をx軸方向の正方向又は負方向に移動させて、電子部品10eの抵抗値を減少又は増加させることが可能となる。
図9(b)は、第5の変形例に係る電子部品10fをz軸方向から平面視した透視図である。電子部品10fでは、内部電極7は、図3に示した電子部品10aの内部電極7と同様に、等脚台形状を有している。また、内部電極6a,6bは、図9(a)に示した電子部品10eの内部電極6a,6bと同様に、等脚台形状を有している。より詳細には、内部電極6a,6b,7のy軸方向の幅は、x軸方向の正方向にいくにしたがって、大きくなっている。更に、内部電極6aのx軸方向の正方向側の端部におけるy軸方向の幅は、内部電極7のx軸方向の負方向側の端部におけるy軸方向の幅よりも大きい。更に、内部電極6bのx軸方向の負方向側の端部におけるy軸方向の幅は、内部電極7のx軸方向の正方向側の端部におけるy軸方向の幅よりも小さい。このような内部電極6a,6b,7によっても、幅L1を幅L2よりも大きくすることができる。その結果、内部電極7をx軸方向の正方向又は負方向に移動させて、電子部品10fの抵抗値を減少又は増加させることが可能となる。特に、内部電極6a,6b,7に同一形状の電極パターンを用いることができるため、量産上効率的である。
なお、電子部品10a〜10fにおいて、幅L1は、内部電極7がx軸方向に移動しても常に幅L2よりも大きいことが好ましい。ただし、抵抗値の調整のために内部電極7を移動させる移動量は、微小であることが多い。したがって、幅L1は、少なくとも、抵抗値の調整のために内部電極7を移動させる範囲内において、幅L2よりも大きければよく、それ以外の範囲においては、幅L2の方が大きくなっていてもよい。抵抗値の調整のために内部電極7を移動させる移動量の範囲とは、例えば、0.05mmである。
前記実施形態に係る電子部品10a〜10fは、一例であり、前記説明したものに限らない。例えば、内部電極6a,6bは、必ずしも同一平面上に設けられている必要はなく、中空電極7を間に挟んで中空電極7と対向する平面上に設けられていてもよい。
(製造方法)
以下に、電子部品10a〜10fの製造方法について図1及び図2を参照しながら説明する。ここでは、電子部品10a〜10fの製造方法の一例として、電子部品10aの製造方法について説明する。
まず、原料として、Mn34を78.5mol%、NiOを21.5mol%、これらの原料を100mol部としたときTiO2を0.5mol部を用意した。次に、調合後の粉末に純水を加えて、ジルコニアボールとともに10時間混合粉砕処理し、乾燥後、1100℃の温度で2時間仮焼した。
次に、得られた仮焼後の粉末に、有機バインダ、分散剤および水を加えて、ジルコニアボールとともに数時間混合することによって、スラリーを作製した。
次に、スラリーを用いて、ドクターブレード法により、厚さ20〜30μmのセラミックグリーンシートを形成した。
次に、セラミック層4a,4bとなるべきセラミックグリーンシート上に、スクリーン印刷法によって、銀−パラジウムを導電成分として含む導電性ペーストを印刷し、図2に示す内部電極6a,6b,7となるべき導電性ペースト膜を形成した。
次に、内部電極6a,6b,7となるべき導電性ペースト膜に印刷にじみ又は印刷かすれが生じていないかを確認する。印刷にじみ又は印刷かすれの有無の確認は、例えば、画像解析等を用いて行われる。
次に、下から順にセラミック層5f,5e,5d,4b,4a,5c,5b,5aとなるべきセラミックグリーンシートを積層及び圧着し、更に、所定の寸法にカットして、未焼成の積層体12を得る。セラミック層4aの積層の際には、内部電極6a,6bと内部電極7とが重なる領域E1,E2の面積S1,S2が所望の面積となるように、内部電極7の位置を調整しながらセラミック層4aとなるべきセラミックグリーンシートの積層を行う。特に、導電性ペーストに印刷にじみが発生している場合には、面積S1,S2が所望の面積よりも大きくなり、電子部品10aの抵抗値が所望の抵抗値よりも小さくなる。そこで、内部電極7をx軸方向の正方向側に移動させて、セラミック層4aとなるべきセラミックグリーンシートの積層を行う。一方、電性ペーストに印刷かすれが発生している場合には、面積S1,S2が所望の面積よりも小さくなり、電子部品10aの抵抗値が所望の抵抗値よりも大きくなる。そこで、内部電極7をx軸方向の負方向側に移動させて、セラミック層4aとなるべきセラミックグリーンシートの積層を行う。
次に、未焼成の積層体12を、大気中、350℃の温度で20時間脱脂し、大気雰囲気中にて1200℃の温度で2時間焼成した。これにより、焼成された積層体12を得る。
次に、積層体12に対して、Si及びAlの各々からなる研磨メディアを用いたバレル研磨を適用し、積層体12の角隅部および稜線部分の角部を丸く処理した。
次に、積層体12の側面に銀からなる焼付け電極を形成し、次いで、銀電極上にニッケルからなるめっき膜を形成し、更に、錫からなるめっき膜を形成して、外部電極14a,14bを形成する。以上の工程により、電子部品10aが完成する。
本発明の一実施形態に係る電子部品の外観斜視図である。 図1に示す電子部品の積層体の分解斜視図である。 図3(a)は、図1の電子部品をz軸方向から平面視した透視図である。図3(b)は、図1の電子部品のxz平面の断面構造図である。 図4(a)は、内部電極を図3に示した状態からx軸方向の正方向にΔLだけ移動させた場合における、電子部品をz軸方向から平面視した透視図である。図4(b)は、内部電極同士が重なっている部分の面積の減少量を示した図であり、図4(c)は、内部電極同士が重なっている部分の面積の増加量を示した図である。 図5(a)は、内部電極を図3に示した状態からx軸方向の負方向にΔLだけ移動させた場合における、電子部品をz軸方向から平面視した透視図である。図5(b)は、図5(a)の状態の電子部品のxz平面の断面構造図である。 図6(a)は、図1の電子部品に相当する第1のモデルをz軸方向から平面視した透視図である。図6(b)は、特許文献1に記載の積層サーミスタに相当する第2のモデルをz軸方向から平面視した透視図である。図6(c)は、第1のモデル及び第2のモデルのxz平面における断面構造図である。 シミュレーション結果を示したグラフである。 変形例に係る電子部品をz軸方向から平面視した透視図である。 変形例に係る電子部品をz軸方向から平面視した透視図である。 特許文献1に記載の積層サーミスタの構成図である。
符号の説明
4a,4b,5a〜5f セラミック層
6a,6b,7 内部電極
10a,10b,10c,10d,10e,10f 電子部品
12 積層体
14a,14b 外部電極
B 空白部

Claims (5)

  1. セラミック層が積層されてなる積層体と、
    前記積層体の表面に形成されている第1の外部電極及び第2の外部電極と、
    前記積層体内において所定方向に延在していると共に、前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極に接続されていない中空電極と、
    前記第1の外部電極と接続されていると共に、前記中空電極の一端において前記セラミック層を挟んで対向している第1の内部電極と、
    前記第2の外部電極と接続されていると共に、前記中空電極の他端において前記セラミック層を挟んで対向している第2の内部電極と、
    を備え、
    積層方向から平面視したときに、前記中空電極において前記第1の内部電極及び前記第2の内部電極と重なっていない非重複部分が該第1の内部電極及び該第2の内部電極の少なくとも一方と接している部分の両端間の前記所定方向に垂直な第1の幅は、該非重複部分が該第1の内部電極及び該第2の内部電極の他方と接している部分の両端間の該所定方向に垂直な第2の幅よりも大きいこと、
    を特徴とする電子部品。
  2. 前記第1の幅は、前記中空電極が所定方向に移動した場合でも、前記第2の幅よりも大きいこと、
    を特徴とする請求項1に記載の電子部品。
  3. 前記中空電極の前記所定方向に垂直な幅は、該中空電極の一端から他端にいくにしたがって、小さくなっており、
    前記第1の内部電極及び前記第2の内部電極の前記所定方向に垂直な幅のそれぞれは、前記中空電極の一端及び他端における前記所定方向に垂直な幅以上の大きさであること、
    を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の電子部品。
  4. 前記中空電極には、導電膜が形成されていない空白部が形成されており、
    前記空白部の前記所定方向に垂直な幅は、前記中空電極の一端から他端にいくにしたがって大きくなっていること、
    を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の電子部品。
  5. 前記中空電極、前記第1の内部電極及び前記第2の内部電極の前記所定方向に垂直な幅は、該中空電極の一端から他端にいくにしたがって、大きくなっており、
    前記中空電極、前記第1の内部電極及び前記第2の内部電極の電極パターンは、同一形状であること、
    を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の電子部品。
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