JP4492138B2 - 積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品の製造方法に関し、より詳細には、キャリアフィルムに支持された長尺状のセラミックグリーンシートをキャリアフィルムを剥離しつつ積層する工程を備えた積層セラミック電子部品の製造方法に関する。
従来、積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品の製造に際しては、数枚のマザーのセラミックグリーンシートが積層されて、マザーの積層体が得られている。このようなマザーの積層体を得る工程を含む積層セラミック電子部品の製造方法の一例が、下記の特許文献1に開示されている。
図10は、特許文献1に記載のマザーのセラミックグリーンシートの積層工程を説明するための正面断面図である。
図10に示すように、キャリアフィルム101上に長尺状のマザーのセラミックグリーンシート102が支持されている。マザーのセラミックグリーンシート102上には、内部電極103が印刷されている。長尺状のマザーのセラミックグリーンシート102は、キャリアフィルム101に支持されたまま、加熱ロール104に供給される。加熱ロール104は、マザーのセラミックグリーンシート102を矢印Aで示すように、積層ステージ105側に押圧する。このようにして、マザーのセラミックグリーンシート102が、先に積層されているマザーのセラミックグリーンシート102Aに熱圧着される。
しかる後、剥離爪106及び剥離ロール107を用いて、積層体上部からキャリアフィルム101が剥離される。
この先行技術に記載の製造方法では、キャリアフィルム101を剥離爪106を用いて積層体の上面と所定の剥離角をなすように方向転換させて剥離することにより、セラミックグリーンシート102からキャリアフィルム101を無理なく剥離することが可能であるとされている。
他方、下記の特許文献2には、図11に示すマザーの積層体の製造工程が示されている。図11に示すように、ここでは、キャリアフィルムに支持されたマザーのセラミックグリーンシート121が、繰り出しロール122から供給される。上記キャリアフィルムに支持された長尺状のセラミックグリーンシート121は、積層ロール123と剥離ロール124との間に供給される。そして、セラミックグリーンシート121が積層ロール123に先に積層されていたセラミックグリーンシート上に熱圧着されるとともに、キャリアフィルム125が、セラミックグリーンシート121から剥離され、巻取りロール126に巻き取られる。
また、積層ロール123上において、印刷装置127により内部電極パターンが印刷される。このようにして、内部電極パターンが印刷されたセラミックグリーンシートが積層ロール123上において順次積層され、マザーの積層体が得られる。なお、所定の枚数のマザーのセラミックグリーンシートが積層された後、積層ロール123からマザーの積層体が取り外される。次に、このマザーの積層体は、平面状に延ばされ、切断される。
特開2000−252161号公報 特開平9−129483号公報
特許文献1及び特許文献2に記載の製造方法では、長尺状のマザーのセラミックグリーンシートが積層されるため、マザーの積層体の製造効率を高めることができる。また、長尺状のマザーのセラミックグリーンシートの送り方向を制御するだけでよいため、長方形のマザーのセラミックグリーンシートを積層する場合に比べて、積層装置等を簡略化することができる。
さらに、先に積層されていたマザーのセラミックグリーンシート上に次のマザーのセラミックグリーンシートを積層していく場合、直線状の圧着部分が順次移動することになるため、面的に圧着する場合に比べて、圧着力を低くすることができる。従って、圧着力の小さい製造設備を用いて積層を行なうことができる。加えて、直線状の圧着部分がセラミックグリーンシートの長さ方向に移動して積層が行なわれるため、セラミックグリーンシート間にエアーの噛み込みが生じ難く、セラミックグリーンシートの損傷が生じ難い。
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の方法では、積層に際して、セラミックグリーンシートはキャリアフィルムに支持した状態で取り扱われていた。そのため、セラミックグリーンシートを積層した後に、セラミックグリーンシートからキャリアフィルムを剥離しなければならなかった。
すなわち、マザーのセラミックグリーンシートがキャリアフィルムに支持された状態で、先に積層されていたマザーのセラミックグリーンシートに圧着した後、キャリアフィルムがマザーのセラミックグリーンシートから剥離されていた。従って、キャリアフィルムの剥離を行なうために、上記圧着工程及び剥離工程を実施しなければならなかった。また、セラミックグリーンシート同士の密着力を、セラミックグリーンシートとキャリアフィルムとの間の密着力よりも高くしなければならなかった。その結果、圧着ローラーなどによる仮圧着に際しての圧力及び温度を高く設定しなければならず、そのため、既に積層されていたセラミックグリーンシートに高温下で高い圧力が何度も加えられていた。従って、既に積層されていたマザーのセラミックグリーンシートが圧着方向と直交する方向に展延され、内部電極パターンの面方向の位置ずれが生じるという問題があった。
また、上記のように、何度も、圧着−剥離工程を実施しなければならないため、製造装置が複雑になりがちであった。加えて、キャリアフィルムとマザーのセラミックグリーンシートとの密着力に比べて、マザーのセラミックグリーンシート同士の密着力を高くしなければならないため、セラミックグリーンシートの組成にも制限があった。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、キャリアフィルムに支持された長尺状のセラミックグリーンシートを用いて、マザーの積層体を高精度にかつ効率よく得ることができる工程を備えた積層セラミック電子部品の製造方法を提供することにある。
本発明は、長尺状のキャリアフィルム上に保持された長尺状のセラミックグリーンシートを用意する工程と、前記長尺状のキャリアフィルムに保持された長尺状のセラミックグリーンシートを、回転可能であり、かつ前記セラミックグリーンシートを保持し得る保持ロールに保持しながら、前記セラミックグリーンシートから前記キャリアフィルムを剥離する工程と、前記保持ロールに保持されているセラミックグリーンシートを、前記保持ロールから剥離し、積層部において積層し、マザーの積層体を得る工程と、マザーの積層体から個々の積層セラミック電子部品単位の積層体を得るために、マザーの積層体を切断する工程と、切断により得られた積層体を焼成する工程とを備え、前記セラミックグリーンシートの積層部における積層が、前記セラミックグリーンシートを積層部において保持ロールにより仮圧着し、しかる後、保持ロールから剥離することにより行なわれる積層セラミック電子部品の製造方法である。
上記保持ロールにセラミックグリーンシートを保持しながらキャリアフィルムをセラミックグリーンシートから剥離する工程においては、セラミックグリーンシートが保持ロールに保持された状態でセラミックグリーンシートからキャリアフィルムが剥離される限り、セラミックグリーンシートが保持されている保持ロール上の位置と、キャリアフィルムがセラミックグリーンシートから剥離される位置は、いずれが上流側であっても下流側であってもよい。
本発明のある特定の局面では、前記保持ロールにセラミックグリーンシートを保持しながら、該セラミックグリーンシートからキャリアフィルムを剥離する工程において、セラミックグリーンシートが保持ロールに先ず保持され、該セラミックグリーンシートが保持されている位置範囲内のいずれかの位置でキャリアフィルムの剥離が開始される。
この場合、保持ロール上にセラミックグリーンシートの保持を開始した位置において、キャリアフィルムの剥離が開始されてもよいが、好ましくは、キャリアフィルム開始位置が、セラミックグリーンシートの保持開始位置よりも保持ロールの外周面において下流側に位置される。それによって、キャリアフィルムの剥離をより確実に行うことができる。
本発明のある特定の局面では、前記セラミックグリーンシートを保持し、前記キャリアフィルムを剥離し、積層部への積層のためにセラミックグリーンシートを保持ロールから剥離する各工程が、前記保持ロールの外周面において同時にまたは連続的に行なわれる。
本発明の他の特定の局面では、前記保持ロールがサクションロールまたは外周面が粘着性を有する粘着ロールである。
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法のさらに他の特定の局面では、前記セラミックグリーンシートの積層部における積層が、前記セラミックグリーンシートを積層部において保持ロールにより仮圧着し、しかる後、保持ロールから剥離することにより行なわれる。
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法のさらに別の特定の局面では、前記セラミックグリーンシートが積層部で保持ロールから剥離されて積層された後に、前記保持ロール以外の圧着用ロールによりセラミックグリーンシート同士の仮圧着が行なわれる。
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法の他の特定の局面では、前記積層部が加熱されており、積層部において複数枚のセラミックグリーンシート同士が熱圧着される。
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法のさらに別の特定の局面では、前記保持ロールに保持されているセラミックグリーンシートが冷却される。
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法のさらに他の特定の局面では、1つの積層部に対し、複数の前記保持ロールが用いられる。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法のさらに別の特定の局面では、前記複数の保持ロールのうち、奇数個目の保持ロールによる積層方向と、偶数個目の保持ロールによる積層方向とが180°異ならされている。
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法のさらに他の特定の局面では、積層部における積層に際しての圧着力をA(Pa)、積層後のグリーンシート同士の密着力をB(Pa)、積層体を変形させる最低圧力をC(Pa)としたときに、C>A>Bとされている。
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法のさらに別の特定の局面では、積層部は、外周面上でセラミックグリーンシートが積層される積層ロールを有する。
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法のさらに他の特定の局面によれば、前記保持ロールの周速と、前記積層ロールの周速とが同一とされている。
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法のさらに別の特定の局面では、前記セラミックグリーンシートの長さ方向において、該キセラミックグリーンシートのテンションが、セラミックグリーンシートを圧着する部分の曲率の上昇に応じて徐々に高められている。
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法さらに他の特定の局面では、前記積層部が、平板状の積層ステージを用いて構成されている。
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法のさらに他の特定の局面によれば、前記積層ステージが、セラミックグリーンシートの長さ方向に沿って移動されるように構成されており、該積層ステージの移動速度と、前記保持ロールの周速とが等しくされている。
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造装置のある広い局面によれば、長尺状のキャリアフィルム上に保持された長尺状のセラミックグリーンシートを積層して積層体を得る積層セラミック電子部品の製造装置であって、回転可能に設けられ、その外周面上でセラミックグリーンシートを保持する保持ロールと、前記セラミックグリーンシートを介して前記保持ロールと外周面同士が当接するように回転可能に設けられ、前記保持ロールから前記セラミックグリーンシートをその外周面上に受け取るとともに、前記セラミックグリーンシートをその外周面上または外周面上に積層されたセラミックグリーンシート上に連続的に積層する積層ロールと、前記保持ロールと外周面同士が前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートを介して当接するように回転可能に設けられ、その外周面上で前記キャリアフィルムを保持して、前記保持ロールに保持された前記セラミックグリーンシートから前記キャリアフィルムを剥離する剥離ロールとを備える積層セラミック電子部品の製造装置が提供される。
発明に係る積層セラミック電子部品の製造装置の他の広い局面によれば、長尺状のキャリアフィルム上に保持されたセラミックグリーンシートを積層して積層体を得る積層セラミック電子部品の製造装置であって、回転可能に設けられ、その外周面上でセラミックグリーンシートを保持する保持ロールと、前記セラミックグリーンシートを介して前記保持ロールの外周面とその主面とが当接するように設けられ、前記保持ロールから前記セラミックグリーンシートをその主面上に受け取るとともに、前記セラミックグリーンシートをその主面上または主面上に積層されたセラミックグリーンシート上に積層する積層テーブルと、前記セラミックグリーンシート及び前記キャリアフィルムを介して前記保持ロールと外周面同士が当接するように回転可能に設けられ、その外周面上で前記キャリアフィルムを保持して、前記保持ロールに保持された前記セラミックグリーンシートから前記キャリアフィルムを剥離する剥離ロールとを備える積層セラミック電子部品の製造装置が提供される。
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法では、キャリアフィルムに保持された長尺状のセラミックグリーンシートを保持ロールに保持しながら、セラミックグリーンシートからキャリアフィルムが剥離される。そして、保持ロールに保持されているセラミックグリーンシートが、該保持ロールから剥離されて積層部において積層され、マザーの積層体が得られる。積層に際し、キャリアフィルムに支持されたセラミックグリーンシートを先に積層されていたセラミックグリーンシートに圧着し、キャリアフィルムを剥離する従来法では、キャリアフィルムを剥離する必要があるため、圧着に際し、高温下において大きな圧力を加えねばならなかった。これに対して、本発明では、上記のように積層部における積層に先立って、キャリアフィルムがセラミックグリーンシートから分離される。従って、長尺状のセラミックグリーンシートのみを積層部において積層すればよいため、積層に際しての圧着力を低減することができる。よって、セラミックグリーンシートに高温下において大きな圧力が何度も加わり難いため、セラミックグリーンシートが展延され難い。また、マザーの積層体における内部電極の面方向の位置ずれや積層ずれが生じ難い。従って、精度が高く、信頼性に優れた積層セラミック電子部品を提供することができる。
先に積層されていたセラミックグリーンシートに、キャリアフィルムに支持されたセラミックグリーンシートを圧着し、キャリアフィルムを剥離する従来法では、セラミックグリーンシート同士の密着力を、キャリアフィルムとセラミックグリーンシートとの密着力よりも高くなるように設定しなければならなかった。これに対して、本発明では、キャリアフィルムが積層に先立ちセラミックグリーンシートから分離されているため、キャリアフィルムとセラミックグリーンシートとの密着力よりもセラミックグリーンシート同士の密着力を重くする必要がない。従って、様々な組成のセラミックグリーンシートを用いることができる。
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法において、先ずセラミックグリーンシートが保持ロールに保持され、該セラミックグリーンシートが保持ロール上に保持されている位置範囲内においてキャリアフィルムの剥離が開始される場合には、膜厚が薄いセラミックグリーンシートを用いた場合であっても、セラミックグリーンシートに損傷を与えることなく、キャリアフィルムを確実かつ容易に剥離することが可能となる。
キャリアフィルムに保持された長尺状のセラミックグリーンシートが、保持ロールに保持されるとともに、セラミックグリーンシートからキャリアフィルムが剥離される。そして、保持ロールに保持されているセラミックグリーンシートのみが、該保持ロールから剥離されて積層部において積層され、マザーの積層体が得られる。積層に際し、キャリアフィルムに支持されたセラミックグリーンシートを先に積層されていたセラミックグリーンシートに圧着し、キャリアフィルムを剥離する従来法では、キャリアフィルムを剥離する必要があるため、圧着に際し、高温下において大きな圧力を加えねばならなかった。これに対して、本発明では、上記のように積層部における積層に先立って、キャリアフィルムがセラミックグリーンシートから分離される。従って、長尺状のセラミックグリーンシートのみを積層部において積層すればよいため、積層に際しての圧着力を低減することができる。よって、セラミックグリーンシートに高温下において大きな圧力が何度も加わり難いため、セラミックグリーンシートが展延され難い。また、マザーの積層体における内部電極の面方向の位置ずれや積層ずれが生じ難い。従って、精度が高く、信頼性に優れた積層セラミック電子部品を提供することができる。また、先に積層されていたセラミックグリーンシートに、キャリアフィルムに支持されたセラミックグリーンシートを圧着し、キャリアフィルムを剥離する従来法では、セラミックグリーンシート同士の密着力を、キャリアフィルムとセラミックグリーンシートとの密着力よりも高くなるように設定しなければならなかったのに対し、本発明では、キャリアフィルムが積層に先立ちセラミックグリーンシートから分離されているため、キャリアフィルムとセラミックグリーンシートとの密着力に比べてセラミックグリーンシート同士の密着力を高くする必要がない。従って、様々な組成のセラミックグリーンシートを用いることができる。
セラミックグリーンシートを保持し、キャリアフィルムを剥離し、積層部への積層のためにセラミックグリーンシートを保持ロールから剥離する各工程が、保持ロールの外周面に対して同時にまたは連続的に行なわれる場合には、本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法の生産性を高めることができる。
保持ロールがサクションロールまたは外周面が粘着性を有する粘着ロールである場合には、吸引または粘着力を利用して、保持ロールの外周面にセラミックグリーンシートを確実に保持することができる。
セラミックグリーンシートの積層部における積層が、積層部において先に積層されていたセラミックグリーンシートに保持ロールに保持されているセラミックグリーンシートを仮圧着し、しかる後、保持ロールから該セラミックグリーンシートを剥離することにより行なわれる場合には、セラミックグリーンシート同士を確実に密着させることができる。なお、この場合においても、キャリアフィルムを剥離する必要がないため、仮圧着力を従来法における圧着力よりも低くすることができる。従って、得られるマザーの積層体における積層ずれや内部電極の位置ずれが生じ難い。
セラミックグリーンシートが積層部で保持ロールから剥離されて積層された後に、保持ロール以外の圧着用ロールによりセラミックグリーンシート同士の圧着が行なわれる場合には、該圧着用ロールを用いてセラミックグリーンシート同士が確実に密着される。この場合にも、圧着用ロールによる圧着力は、従来の製造方法の場合の圧着力に比べて低くてよいため、マザーの積層体における積層ずれや内部電極の位置ずれは生じ難い。
積層部は加熱されていてもよく、従って、該積層部において複数枚のセラミックグリーンシート同士が熱圧着されてもよい。このように、複数枚のセラミックグリーンシート同士が熱圧着された場合には、セラミックグリーンシート同士の密着力を高めることができる。
保持ロールに保持されているセラミックグリーンシートが冷却される場合には、保持ロール上におけるセラミックグリーンシートの伸び等を抑制することができ、寸法精度に優れたセラミックグリーンシートを保持ロールから積層部に供給することができる。
一つの積層部に対し、複数の保持ロールが用いられてもよく、その場合には複数の保持ロールからセラミックグリーンシートをそれぞれ積層部に供給することにより、様々な内部電極パターン等を有するセラミックグリーンシートを積層することができる。
複数の保持ロールの内、奇数個目の保持ロールにおける積層方向と、偶数個目の保持ロールによる積層方向を180°異ならせた場合には、積層部の両側からセラミックグリーンシートを積層することができ、積層工程の効率を高めることができる。
積層部における積層に際しての圧力をA(Pa)、積層後の積層後のグリーンシート同士の密着力をB(Pa)、積層体を変形させる最低圧力をC(Pa)としたときに、C>A>Bとされている場合には、マザーの積層体の変形を生じることなく、圧着によりセラミックグリーンシート同士を確実に密着させることができる。
積層部が、外周面上でセラミックグリーンシートが積層される積層ロールを有する場合には、積層ロール上において、複数枚のセラミックグリーンシートが積層されたマザーの積層体を効率よく得ることができ、かつ積層ロールからマザーの積層体を連続的に取り出すことができる。
保持ロールの周速と、積層ロールの周速が同一とされている場合には、保持ロールの外周面からセラミックグリーンシートを確実に積層ロールの外周面に連続的に積層することができる。
セラミックグリーンシートの長さ方向においてセラミックグリーンシートのテンションが、セラミックグリーンシートを圧着する部分の曲率の上昇に応じて徐々に高められている場合には、セラミックグリーンシートが圧着される部分、すなわち先に積層されている圧着する部分の表面の曲率が大きくなっていた場合、該曲率に応じて、セラミックグリーンシートが延ばされて積層される。従って、積層ロール上において、複数層のセラミックグリーンシートを高精度に積層することができる。
積層部が、平板状の積層ステージを用いて構成されている場合には、平板状の積層ステージ上において、マザーの積層体が得られる。従って、混ざっていない状態のマザーの積層体を直ちに得ることができ、マザーの積層体の曲がりを強制する必要がない。
積層ステージが、セラミックグリーンシートの長さ方向に沿って構成されており、該積層ステージの移動速度と、保持ロールの周速とが等しくされている場合には、保持ロールを回転させつつ、保持ロールを効率よくセラミックグリーンシートを積層ステージにおいて積層することができる。
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造装置では、回転可能に設けられ、その外周面でセラミックグリーンシートを保持する保持ロールと、前記保持ロールからセラミックグリーンシートを受け取るように設けられた上記積層ロールまたは積層テーブルを備えるため、本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法に従って積層セラミック電子部品を製造することが可能となる。すなわち、積層に先立ち、フィルムをセラミックグリーンシートから分離し、しかる後、セラミックグリーンシートを積層することができ、セラミックグリーンシートのみを積層ロールまたは積層テーブルにおいて積層することが可能となる。よって、高精度であって、信頼性に優れた積層セラミック電子部品を製造することが可能となる。
本発明の製造装置において、上記剥離ロールが備えられているので、積層に先立ち、セラミックグリーンシートからキャリアフィルムを容易にかつ確実に剥離することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層セラミック電子部品の製造方法を説明するための積層装置の概略構成図である。
本実施形態では、キャリアフィルムに支持された長尺状の第1,第2のマザーのセラミックグリーンシート1,3が図示の矢印A1,B1で示す方向に供給される。図2に示すように、第1のマザーのセラミックグリーンシート1は、長尺状の第1のキャリアフィルム2に支持されている。第1のマザーのセラミックグリーンシート1上には、内部電極パターン5が形成されている。内部電極パターン5は、導電ペーストのスクリーン印刷等によりセラミックグリーンシート1上に形成されている。本実施形態では、積層セラミック電子部品として積層セラミックコンデンサが製造される。従って内部電極パターン5は、積層セラミックコンデンサの内部電極を構成するために設けられている。
他方、第2のマザーのセラミックグリーンシート3は、積層セラミックコンデンサの外層部分すなわち、内部電極が形成されていないセラミック層部分を構成するために積層される。従って、マザーのセラミックグリーンシート3上には内部電極パターンは印刷されていない。
図1に示すように、第1のマザーのセラミックグリーンシート1は、ロール6aとカッター6bとの間を経て、保持ロール7と剥離ロール8との間に供給される。カッター6bは、マザーのセラミックグリーンシート1の両側縁の外側の余剰部分を切断するために設けられている。剥離ロール8は、保持ロール7の外周面にマザーのセラミックグリーンシート1を押しつけるように作用する。
保持ロール7は、その外周面にマザーのセラミックグリーンシート1を一旦保持するために用意されており、図示のように時計方向に回転されている。保持ロール7は、マザーのセラミックグリーンシート1をその外周面に保持するために用いられているものであるため、好ましくは、外周面に開いた多数の吸引孔を有するように構成されている。吸引孔から吸引することにより、マザーのセラミックグリーンシート1を確実に保持ロール7の外周面に吸引・保持することができる。あるいは、保持ロール7の外周面は粘着面とされていてもよく、粘着面の粘着力を利用してマザーのセラミックグリーンシート1を保持してもよい。もっとも、保持ロール7の外周面には、吸引孔が設けられずともよく、また粘着面が形成される必要も必ずしもない。すなわち保持ロール7の外周面にマザーのセラミックグリーンシート1を保持し得る限り、保持ロール7の外周面は様々な形態とされ得る。
剥離ロール8によりマザーのセラミックグリーンシート1が保持ロール7の外周面に押しつけられ、かつマザーのセラミックグリーンシート1を支持していたキャリアフィルム2が剥離される。キャリアフィルム2は、ロール9を経て巻き取られる。
他方、保持ロール7の外周面上には、キャリアフィルム2が剥離された長尺状のマザーのセラミックグリーンシート1のみが保持される。なお、保持ロール7の周方向の所定位置に、カッター10が配置されている。カッター10は、セラミックグリーンシート1を積層に供される長さに切断するために配置されている。
他方、第2のマザーのセラミックグリーンシート3も同様に、第2のキャリアフィルム4に支持された状態で、ロール11aとカッター11bとの間を通過される。このカッター11bにより、マザーのセラミックグリーンシート3の両側縁の外側の余剰部分が切断される。
しかる後、キャリアフィルムに支持されたマザーのセラミックグリーンシート3は、保持ロール12と剥離ロール13との間に供給され、保持ロール12に、マザーのセラミックグリーンシート3が圧着される。そして、剥離ロール13により、マザーのセラミックグリーンシート3を支持しているキャリアフィルム4が剥離される。キャリアフィルム4は、ロール14を経て巻き取られる。
保持ロール12の外周面においては、マザーのセラミックグリーンシート3のみが保持され、かつ保持ロール12の周方向のある位置に設けられたカッター15により、第2のセラミックグリーンシート3が積層部において積層される長さに切断される。
第1の保持ロール7と、第2の保持ロール12との間に、積層部を構成している積層ロール16が配置されている。積層ロール16の外周面16a上において、保持ロール7の外周面に保持されており、積層に適当な長さに切断された第1のマザーのセラミックグリーンシート1A(図3参照)と、第2の保持ロール12の外周面に保持されており、かつ積層に適した長さに切断されている第2のマザーのセラミックグリーンシート3A(図3参照)とが積層される。
積層ロール16の外周面16aには、適宜の間隔を経て積層ロールの軸方向に平行に伸びる複数の溝16bが設けられている。溝16b,16b間が、1つのマザーの積層体が積層される積層ステージを構成している。すなわち、溝16b,16b間の積層ロール外周面部分において、マザーのセラミックグリーンシート1A及びマザーのセラミックグリーンシート3Aが積層される。
積層ロール16の外周面には外周面16aから取り外し可能にアンダーフィルム16dが貼り付けられている。
アンダーフィルム16dは、積層後のマザーの積層体の積層ロール16の外周面からの取り外しを容易とするために設けられている。このようなアンダーフィルム16dとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのこしが強いプラスチックフィルムを用いることが望ましい。もっとも、アンダーフィルム16dは、マザーのセラミック積層体を取り出し得る限り、ポリエチレンテレフタレート以外の他の樹脂フィルムにより構成されていてもよい。
また、一般に、セラミックグリーンシートは、キャリアフィルムから剥離された後に収縮する傾向にある。従って、上記アンダーフィルム16d上においてマザーのセラミックグリーンシート1A,3Aが積層された場合、積層後のセラミックグリーンシート1A,3Aの収縮量と、アンダーフィルムの収縮量とが一致しないため、積層したセラミックグリーンシート側に凸となるような変形が生じるおそれがある。このような変形を抑制するには積層ロール16a上にアンダーフィルムを固定する際に、上記収縮差の部分を補正するためのテンションをアンダーフィルム16dに掛けて固定しておけばよい。
さらに、アンダーフィルム16d上へのセラミックグリーンシート1Aの固定力を高めるために、アンダーフィルム16dの表面の表面粗さを粗くしたり、アンダーフィルム16d表面に接着剤を塗布する方法などのアンカー処理を施してもよい。
積層に際しては、先ず外層部を構成するために、第2の保持ロール12上に保持されていた適宜の枚数の第2のマザーのセラミックグリーンシートが積層ロール16の外周面上で積層された後、第1の保持ロール7に保持されていた適宜の枚数の第1のマザーのセラミックグリーンシート1Aが同様にして圧着・積層され、最後に第2の保持ロール12の外周面に保持されていた第2のマザーのセラミックグリーンシート3Aが再度適宜の枚数積層される。
図1では、第1の保持ロール7の外周面に保持されている第1のマザーのセラミックグリーンシート1Aが積層ロール16の外周面に積層される工程が図示されている。この状態では、第1の保持ロール7の外周面に保持されていたマザーのセラミックグリーンシート1Aが、積層ロール16の外周面16aに圧着されるように、第1の保持ロール7が矢印X1で示す方向に移動されている。
他方、第2の保持ロール12上の第2のマザーのセラミックグリーンシート3Aを積層する場合には、図1の矢印X2で示すように、第2の保持ロール12の外周面が積層ロール16の外周面16aに近接される。
なお、積層ロール16の下方には、圧着ロール17が配置されている。圧着ロール17は、積層ロール16の外周面で積層されているマザーの積層体を圧着し、セラミックグリーンシート同士を強固に密着させるために設けられている。従って、圧着ロール17は、矢印X3で示すように、積層ロール16の外周面16a側に向かって移動され得るように構成されている。
なお、カメラ18a,18bは、第1の保持ロール7の外周面に保持されているマザーのセラミックグリーンシートの位置を確認するために設けられている。
上記のようにして、本実施形態では、積層ロール16の外周面16a上においてマザーの積層体が構成される。図3は、図1の二点鎖線Bで示す部分を拡大して示す部分切欠正面図であり、ここでは、積層ロール16の外周面16a上において、適当な長さに切断されていた第2のマザーのセラミックグリーンシート3A上に、適当な長さに切断されていた第1のマザーのセラミックグリーンシート1Aが複数枚積層されている状態が示されている。
このように、本実施形態では、積層ロール16上において、マザーの積層体が構成される。得られたマザーの積層体は、アンダーフィルム16dによる固定を外すことにより、積層ロール16の外周面16aから取り出される。しかる後、マザーの積層体を平坦なステージ上に載置した後、積層セラミックコンデンサ単位の積層体に切断する。そして、該積層体を焼成することにより、焼結体が得られ、得られたセラミック焼結体の外表面に外部電極を形成することにより、積層セラミックコンデンサを得ることができる。なお、焼成に先立ち積層体の外表面に導電ペーストを塗布し、焼成にともなって外部電極の焼付けを行なうことにより外部電極が形成されてもよい。
本実施形態では、保持ロール7,12に、マザーのセラミックグリーンシート1,3が一旦保持され、該マザーのセラミックグリーンシート1,3の保持と同時にキャリアフィルム2,4が剥離される。従って、積層部である積層ロール16において、マザーのセラミックグリーンシート1A,3Aを積層する段階においては、マザーのセラミックグリーンシート1A,3Aはキャリアフィルムにより支持されていない。よって、軽い圧着力でマザーのセラミックグリーンシート1A,3Aを積層することができる。従って、内部電極パターン5の位置ずれが生じ難い。
よって、好ましくは、積層部である積層ロール16における積層に際しての圧着力A(Pa)、積層後のマザーのセラミックグリーンシート同士の密着力B(Pa)、マザーの積層体を変形させる最低圧力C(Pa)としたときに、C>A>Bとされる。
また、軽い圧着力でマザーのセラミックグリーンシート1A,3Aを積層することができ、必ずしも高温下において強く圧着する必要はない。従って、セラミックグリーンシートの歪みや展延も生じ難い。よって精度に優れた積層セラミックコンデンサを得ることができる。
上記積層に際しての仮圧着力は、0.5〜3MPa程度と小さな圧着力でよい。また、仮圧着に際して加熱する必要は必ずしもないが、積層ロール16の外周面16aを40〜80℃程度の温度に加熱し、加熱下において圧着することにより、セラミックグリーンシート同士の圧着力を高めることができる。もっとも、40〜80℃の温度及び0.5〜3MPaの条件は、キャリアフィルムに支持されたマザーのセラミックグリーンシートを圧着し、積層し、キャリアフィルムを剥離する従来法の場合に比べて、かなり穏やかな条件である。従って、セラミックグリーンシートの熱による歪み、圧着に際しての展延または内部電極パターンの位置ずれは生じ難い。
本実施形態では、好ましくは、上記溝16b,16b間にマザーのセラミックグリーンシート1Aを確実に積層するために、前記カメラ18a,18bによりマザーのセラミックグリーンシート1Aの位置が検出されると同時に、カメラ18cにより溝16bの位置、すなわち積層ロール16の周方向位置が検出される。そして、保持ロール7の周速と、積層ロール16が反時計方向に回転している場合の周速とが等しくされている。上記カメラ18a〜18cから検出された情報に基づいて、マザーのセラミックグリーンシート1Aが、確実に溝16bと、次の溝16bとの間の外周面部分内において積層される。第2のマザーのセラミックグリーンシート3Aの積層に際しても、同様にして図示しないカメラを用いて位置の制御が行なわれる。
なお、溝16b上においてセラミックグリーンシートを積層しないために、溝16bが保持ロール7と積層ロール16との接点部分に位置した場合に保持ロール7の回転を一旦停止し、溝16bが接点を通過した直後から保持ロール7を回転するように構成してもよい。
また、溝16bと次の溝16bとの間の沿面距離は、マザーのセラミックグリーンシート1Aの長さよりも長くすることが望ましく、それによって、溝16bと溝16bとの間の外周面部分に余裕をもってマザーのセラミックグリーンシート1Aを圧着することができる。
また、上記複数の内部電極パターン5を高精度に積層するには、第1のマザーのセラミックグリーンシート1A上の内部電極パターン5あるいは内部電極パターン5とは別に設けられた位置決めマークをカメラ18a,18bにより検出し、該内部電極パターン5または検出マークにより得られた内部電極パターン5の保持ロール7上における周方向位置に基づいて、保持ロール7から積層ロール16の外周面にマザーのセラミックグリーンシート1Aを圧着させる圧着開始位置を求め、該圧着開始位置に基づいてマザーのセラミックグリーンシート1Aの圧着を開始してもよい。
この場合、上記のように、溝16bにおける圧着を防止するために、一旦保持ロール7の回転を停止し、溝16bが接点を通過した後に、保持ロール7を回転させる方法を採用する場合には、この停止時間を利用して上記圧着位置の補正を行なえばよい。また、同時に内部電極パターン5と、次の層に積層される内部電極パターン5との位置をずらす必要がある場合には、内部電極パターン5,5間のずらしについても、上記圧着開始位置の補正と同様にして行なうことができる。
他方、保持ロール7の回転方向における補正は、保持ロール7の再回転のタイミングもしくは積層ロール16の位相補正により行なうことができる。さらに幅方向の補正は、保持ロール7及び/または積層ロール16の幅方向の位置を変化させることにより行なわれ得る。第2の保持ロール12の回転方向及び幅方向の補正についても、第1の保持ロール7の場合と同様に行なわれ得る。
前述したように、本実施形態では、キャリアフィルムに支持されたマザーのセラミックグリーンシート1,3が保持ロール7,12に保持されると同時に、キャリアフィルム2,4が剥離されていた。しかしながら、本発明においては、上記タイミングでセラミックグリーンシートからキャリアフィルムを剥離する必要は必ずしもない。すなわち、セラミックグリーンシートが保持ロールにセラミックグリーンシートとキャリアフィルムとの密着力以上の密着力で保持された状態でセラミックグリーンシートからキャリアフィルムが剥離される限り、上記セラミックグリーンシートが保持される位置と、キャリアフィルムが剥離される位置の関係は特に限定されず、いずれが上流側にあってもよく、いずれが下流側にあってもよい。
また、好ましくは、セラミックグリーンシートが保持ロールに先ず保持され、該セラミックグリーンシートが保持ロールに保持されている保持ロールの外周面の位置範囲内において、キャリアフィルムの剥離が開始される。この場合には、セラミックグリーンシートが保持ロール上に確実に保持されている位置範囲でキャリアフィルムの剥離が開始される。従って、膜厚の薄いセラミックグリーンシートを用いた場合においても、セラミックグリーンシートに損傷を与えることなく、キャリアフィルムを容易にかつ確実に剥離することができる。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る積層セラミック電子部品の製造方法を説明するための概略構成図である。第2の実施形態では、積層装置は、第1の実施形態の積層装置と同様に構成されている。もっとも、異なるところは、第1,第2の保持ロール7,12の外周面で第1,第2のマザーのセラミックグリーンシート1,3が短冊状に切断されず、長尺状のまま積層ロール16Aに供給され、積層ロール16Aの外周面において積層されていく点にある。
図4において図1と同一部分については、同一の参照番号を付することにより、図1を参照して行なった説明を援用することにより省略する。
第2の実施形態では、長尺状の第1,第2のマザーのセラミックグリーンシート1,3は、第1の実施形態と同様にして長尺状のキャリアフィルム2,4にそれぞれ支持された状態で用意され、かつそれぞれ、第1,第2の保持ロール7,12に供給される。そして、第2の実施形態においても、第1,第2のマザーのセラミックグリーンシート1,3は、保持ロール7,12に保持されるに際して、キャリアフィルム2,4から剥離される。
図4に示すように、第1のマザーのセラミックグリーンシート1は、保持ロール7の外周面に連続的に供給されるが、マザーのセラミックグリーンシート1は短冊状に切断されずに、積層ロール16Aの外周面16aにおいて積層される。積層ロール16Aの外周面には、溝16b(図1参照)は設けられていない。また、積層ロール16Aの外周面16a上には、図示しないアンダーフィルムが取り外し可能に貼り付けられている。このアンダーフィルムは、第1の実施形態で用いたアンダーフィルム16dと同様に構成され得る。本実施形態においても、保持ロール7,12上に、マザーのセラミックグリーンシート1,3が本実施形態の場合と同様にして保持される。
本実施形態においても、最初に、第2の保持ロール12の外周面に供給された第2のマザーのセラミックグリーンシート3が積層され、しかる後、内部電極パターンが印刷されている第1のマザーのセラミックグリーンシート1が図4に示すように積層されていく。
本実施形態においても、保持ロール7,12上に、マザーのセラミックグリーンシート1,3が本実施形態の場合と同様にして保持される。
また、積層ロール16Aの外周面16a上には、図示しないアンダーフィルムが取り外し可能に貼り付けられている。このアンダーフィルムは、第1の実施形態で用いたアンダーフィルム16dと同様に構成され得る。
積層に際しては、外層部分を構成する第2のマザーのセラミックグリーンシート3が先ず外周面16a上において積層される。この場合、矢印X2で示すように、第2の保持ロール12が積層ロール16の外周面16aに近接され、第2の保持ロール12の外周面に保持されていた第2のマザーのセラミックグリーンシート3が積層ロール16の外周面16aに積層されていく。この場合、第2のマザーのセラミックグリーンシート3は所定の長さに切断されていない。従って、外周面16a上において、第2のマザーのセラミックグリーンシート3の積層数に応じて順次積層されていく。言い換えれば、第2のマザーのセラミックグリーンシート3は、積層ロール16の外周面16a上において、数周に渡り積層され得る。
なお、積層に際しては、マザーのセラミックグリーンシート3が積層ロール16の外周面16a上に保持される最低限の圧力を加えればよい。すなわち、仮圧着ロール17による仮圧着に際しての力は、比較的低くてよい。
第2のマザーのセラミックグリーンシート3が外周面16a上において所定の積層数積層された後、第2の保持ロール12が、積層ロール16から遠ざけられる。代わりに、第1の保持ロール7が、積層ロール16側に矢印X1で示すように移動され、第1のマザーのセラミックグリーンシート1の積層が行なわれる。この場合、第1の保持ロール7の近傍において、カメラ18a,18bにより、第1のマザーのセラミックグリーンシート1の上面に設けられている内部電極パターンの位置が検出される。検出された位置情報に基づいて、第1のマザーのセラミックグリーンシート1の積層ロール16の外周面16a上の周方向位置が求められる。そして、この求められた周方向位置に基づいて第1のマザーのセラミックグリーンシート1が積層ロール16の外周面16aに圧着され、積層されていく。
ところで、マザーのセラミックグリーンシート1は、内部電極パターンの積層数に応じて、積層ロール16の外周面16a上において、適宜の積層数となるように巻回・圧着されていく。この場合、積層が進行するにつれて、マザーのセラミックグリーンシート1が積層される部分の外径が大きくなる。すなわち、先に積層されているマザーのセラミックグリーンシート1の積層数が増大するにつれ、積層ステージの外径、すなわち積層される部分の曲率が大きくなる。ここで、積層ステージとは、積層ロール16、並びに該積層ロール16の外周面に先に積層されているマザーのセラミックグリーンシート3及び第2のマザーのセラミックグリーンシート1を含めた構造をいうものとする。
従って、第1のマザーのセラミックグリーンシート1を積層していく場合、上記積層ステージの外径の増大、すなわち積層される部分の曲率に応じて、第1のセラミックグリーンシート1の搬送方向の位置を補正することが望ましい。この補正は、積層ステージの外径の増大に併せて、供給される第1のマザーのセラミックグリーンシート1の搬送方向のテンションを増大させ、該第1のマザーのセラミックグリーンシート1の長さを伸ばすことにより行なわれ得る。なお、積層される第1のマザーのセラミックグリーンシート1の搬送方向の微調整は、積層ロール16上において圧着されたセラミックグリーンシート1のカメラ18cから得られた位置情報に基づいてフィードバック制御を行なうことにより行なわれ得る。
また、第1のマザーのセラミックグリーンシート1の積層に際しての幅方向の位置の補正は、保持ロール7及び/または積層ロール16の幅方向の位置を変化させ得ることにより行ない得る。
さらに、積層セラミックコンデンサを構成するために、上下の内部電極パターンの位置をずらす必要があるが、このずらし量の補正については、積層ロール16の周長を内部電極ピッチ×(n+1/2)に設定しておけばよい。
また、印刷工程において、予め第1のマザーのセラミックグリーンシート1上への内部電極パターン5の印刷位置を上記ずらし量に対応するようにずらしておいてもよい。
本実施形態においては、第1の実施形態の場合と同様に、保持ロール7,12からセラミックグリーンシート1,3を積層ロール16側に積層するに際しては、セラミックグリーンシート1,3が積層ロール16の外周面16a上において保持され得る最低限の圧力を加えて転写すればよい。そして、圧着ロール17による圧着力は前述したように比較的低くてよい。好ましくは、圧着が促進されるように、積層ロール16及び圧着ロール17は昇温しておくことが望ましい。保持ロール7,12については、マザーのセラミックグリーンシート1,3の変形を抑制するために常温下に配置されていることが望ましい。特に、積層中に、積層ステージからの熱伝導により剥離ロール7,12が昇温するおそれがある場合には、場合によっては剥離ロール7,12を冷却してもよい。
本実施形態では、積層ロール16の外周面において、第1のマザーのセラミックグリーンシート1が所定の積層数となるように積層された後、再度第2のマザーのセラミックグリーンシート3が所定の積層数となるように積層される。
しかる後、積層ロール16の外周面において、周方向において適当な長さ毎に積層体が切断され、アンダーフィルムによる積層体の固定が外され、積層体が取り出される。このようにして得られた積層体を、個々の積層セラミックコンデンサ単位の積層体となるように厚み方向に切断し、得られた積層体を用いて、第1の実施形態と同様に積層セラミックコンデンサを得ることができる。
なお、積層ロール16上における切断に際し、積層ロール16上において個々の積層セラミックコンデンサ単位の積層体となるように切断を行ない、該積層体を積層ロール16の外周面から取り出してもよい。
もっとも、好ましくは、切断を容易に行ない得るため上記のように、積層ロール16の外周面において、周方向に所定の長さ毎に切断し、マザーの積層体を得た後に、マザーの積層体を積層ロール16外でさらに個々の積層セラミックコンデンサ単位の積層体に切断することが望ましい。
第2の実施形態においても、上記のように、第1,第2のマザーのセラミックグリーンシート1,3の積層に際しては、比較的低い圧力でマザーのセラミックグリーンシート1,3を積層することができる。従って、内部電極パターンの位置ずれが生じ難く、かつ第1,第2のマザーのセラミックグリーンシート1,3を高精度に積層することができる。また、第1の実施形態に比べて、長尺状のマザーのセラミックグリーンシート1,3を予め切断することなく積層ロール16上で積層するため、積層効率を高めることができる。
図5は、本発明の第3の実施形態に係る積層セラミック電子部品の製造方法を説明するための略図的正面図である。第3の実施形態では、平板状の積層ステージ31が用いられる。平板状の積層ステージ31の上面31a上において、アンダーフィルム32が配置されている。このアンダーフィルム32としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの比較的こしが強いプラスチックフィルムを適宜用いることができる。もっとも、アンダーフィルム32は、ポリエチレンテレフタレートフィルム以外の他の樹脂フィルムによって構成されてもよい。
また、アンダーフィルム32上において、後述するように、マザーのセラミックグリーンシートが積層されるが、一般にセラミックグリーンシートはキャリアフィルムから剥離した後に収縮する。従って、アンダーフィルム32上において、セラミックグリーンシートが積層されると、積層後のセラミックグリーンシートの収縮量と、アンダーフィルム32の収縮量とが一致しないため、積層したセラミックグリーンシート側が凸となるような変形が生じることがある。このような変形を抑制するためには、積層ステージ31の上面31a上にアンダーフィルム32を固定するに際し、上記収縮差を補正するためのテンションをアンダーフィルム32に掛けてアンダーフィルム32を固定することが望ましい。
さらに、アンダーフィルム32上へのセラミックグリーンシートの密着力を高めるために、アンダーフィルム32の上面の表面粗さを大きくしたり、アンダーフィルム32の表面に接着剤を塗布するなどのアンカー処理を施してもよい。図5に示すように、アンダーフィルム32上において、適宜の枚数の第2のマザーのセラミックグリーンシート3Aと、適宜の枚数の第1のマザーのセラミックグリーンシート1Aとが積層されている。第1のマザーのセラミックグリーンシート1Aは、上面に複数の内部電極パターン5を有する。
図5に示すように、本実施形態においても、長尺状のマザーのセラミックグリーンシート1が矢印Cで示すように供給される。このマザーのセラミックグリーンシート1上には、上記のように複数の内部電極パターン5が形成されている。また、長尺状の第1のマザーのセラミックグリーンシート1は、長尺状の第1のキャリアフィルム2により支持されている。このように、キャリアフィルム2に支持されたマザーのセラミックグリーンシート1がロール6aと、カッター6bとの間を通過され、カッター6bにより第1のマザーのセラミックグリーンシート1の両側縁外側の余剰部分が除去される。しかる後、長尺状のマザーのセラミックグリーンシート1は、第1の保持ロール7と、剥離ロール8との間に供給される。そして、第1の実施形態の場合と同様に、第1の保持ロール7の外周面にマザーのセラミックグリーンシート1が圧着されるとともに、キャリアフィルム2が剥離される。キャリアフィルム2は、ロール9を経て巻き取られる。
他方、第1のマザーのセラミックグリーンシート1は、第1の保持ロール7の外周面に圧着され、かつ第1の保持ロール7の外周面において、カッター10により所定の長さの矩形のマザーのセラミックグリーンシート1Aとなるように切断される。また、第1の保持ロール7の外周面近傍には、カメラ18a,18bが配置されている。
本実施形態では、第1の保持ロール7から所定の長さに切断された第1のマザーのセラミックグリーンシート1Aが積層ステージ31上において積層されていく。カメラ18a,18bは、第1のマザーのセラミックグリーンシート1Aを積層するに際して、内部電極パターン5,5の積層位置を制御するために用いられている。すなわち、カメラ18a,18bにより、内部電極パターン5または内部電極パターン5に関連して設けられた検出マークが撮影され、それによって内部電極パターン5の位置が得られる。このようにして得られた位置情報に基づいて内部電極パターン5が所定の位置に積層されるようにマザーのセラミックグリーンシート1Aが積層されていく。上記位置情報に基づく積層位置の補正は、マザーのセラミックグリーンシート1Aを積層ステージ上において圧着させ、積層させていく際の圧着開始位置を調整することにより、あるいは積層ステージ31をその面方向に移動させることにより行ない得る。
本実施形態では、上記第1のマザーのセラミックグリーンシート1Aの圧着は、圧着後にキャリアフィルムを剥離する必要がないため、0.05〜3MPa程度の低い圧力を加えて行なうことができる。そして、積層ステージ31が、矢印Xで示すように移動されて圧着が進行する。積層ステージ31を矢印X方向に移動する方法に代えて、前記保持ロール7、剥離ロール8を含む構造を矢印Xとは反対方向に移動させてマザーのセラミックグリーンシート1Aを積層してもよい。もっとも、積層装置の簡略化を図る上では、積層ステージ31を矢印X方向に移動させることが望ましい。
積層に際しての積層ステージの矢印X方向の移動速度と、保持ロール7の時計方向の回転に際しての周速は一致させておくことが望ましい。
また、マザーのセラミックグリーンシート1Aの積層に際しては、積層されているセラミックグリーンシート同士を十分に密着させるには昇温することが望ましい。従って、積層ステージ31を、40〜80℃程度の温度に昇温しておくことが望ましい。
もっとも、保持ロール7の外周面においては、マザーのセラミックグリーンシート1Aが昇温されると、内部電極パターン5の位置ずれが生じたりする。従って、図5に示す冷却ロール33を配置してマザーのセラミックグリーンシート1Aを保持ロール7の外周面上において冷却してもよい。
しかしながら、マザーのセラミックグリーンシート1Aの組成や厚み等によっては、積層後のマザーのセラミックグリーンシート同士の圧着力を高めるために、保持ロール7の外周面においてもマザーのセラミックグリーンシート1Aを40〜80℃程度の温度に昇温してもよい。
なお、剥離ロール8においては、マザーのセラミックグリーンシート1の変形を抑制するために、剥離ロール8は常温下に配置されていることが望ましい。
本実施形態では、上記のように、積層ロールに代えて、矢印X方向に移動される平板状の積層ステージ31が用いられていることを除いては、第1の実施形態と同様にして積層が行なわれる。従って、第2のマザーのセラミックグリーンシート3Aを適宜の枚数積層した後、上記のようにして複数枚の第1のマザーのセラミックグリーンシート1Aを積層し、さらに再度外層部分を構成する所定の長さの第2のマザーのセラミックグリーンシート3Aを積層することにより、マザーの積層体が得られる。そして、このようにして得られたマザーの積層体を用いて、第1の実施形態の場合と同様にして、積層セラミックコンデンサが得られる。
第3の実施形態においても、第1の保持ロール7においてマザーのセラミックグリーンシート1のみが先ず保持され、かつ所定の長さに切断されたマザーのセラミックグリーンシート1Aが積層ステージ31上に積層されているマザーのセラミックグリーンシート3Aまたはマザーのセラミックグリーンシート1A上に圧着されて積層が進行する。従って、圧着に際しての圧着力を比較的低くすることができ、よって内部電極パターン5,5間の位置ずれを抑制することができ、高精度にマザーのセラミックグリーンシート1A,3Aを積層することができる。
また、第1,第2の実施形態と同様に、第3の実施形態においても、セラミックグリーンシート1A,3Aの圧着・積層に際しては、線状の圧着部分が徐々にセラミックグリーンシート1A,3Aの長さ方向に移動しつつ圧着が行なわれる。従って、矩形のセラミックグリーンシートを積層し、圧着する従来法に比べて、セラミックグリーンシート同士を確実に密着させることができる。また、セラミックグリーンシート間の間における空気などの噛み込みも生じ難い。
図6及び図7は、第3の実施形態の積層セラミック電子部品の製造方法の変形例を示すための構成的正面断面図である。積層セラミックコンデンサの製造に際しては、外層部分を構成するマザーのセラミックグリーンシートを積層した後に、内部電極パターンを印刷されたマザーのセラミックグリーンシートが積層される。この場合、上記の内部電極パターンの位置をずらせるように、図6に示されているように、第1の内部電極パターン5A,5Aが印刷された第1のマザーのセラミックグリーンシートの1Aと、第2のマザーの内部電極パターン5B,5Bが印刷された第1のマザーのセラミックグリーンシート1Cとを交互に積層することがある。ここでは、積層ステージ31の上面31a上において、所定の枚数の第2のマザーのセラミックグリーンシート3Aが積層された後に、上記第1のマザーのセラミックグリーンシート1B,1Cが交互に積層されていく。そして、このような積層を実現するために、第1のマザーのセラミックグリーンシート1Bが、第1の保持ロール7Aに、第1のマザーのセラミックグリーンシート1Cが、もう一つの第1の保持ロール7Bに供給されるように構成されている。言い換えれば、図5に示した剥離ロール8及び第1の保持ロール7を有する第1のマザーのセラミックグリーンシート供給機構が二組配置されており、一方の供給機構から第1のマザーのセラミックグリーンシート1Bが供給され、もう1つの供給機構から第1のマザーのセラミックグリーンシート1Cが供給され、交互に第1,第2のマザーのセラミックグリーンシート1B,1Cが積層されるように構成されている。なお、第1のマザーのセラミックグリーンシート1B及び第1のマザーのセラミックグリーンシート1Cは、いずれも、保持ロール7A、7B上において、カッター10A,10Bを用いて所定の長さとなるように切断されている。
また、第1の保持ロール7Bの回転方向は、図示のように反時計方向とされている。従って、積層に際しては、図7に示すように、第1のマザーのセラミックグリーンシート1Bを積層するに際しては、保持ロール7Aが時計歩行に回転されるため、積層ステージ32は、図示の矢印X方向に移動される。他方、第1のマザーのセラミックグリーンシート1Cの積層に際しては、保持ロール7Bが反時計方向に回転されているため、積層ステージ31が矢印Xとは反対方向である−X方向に移動される。このように、第1の保持ロール7Aから第1のマザーのセラミックグリーンシート1Bを積層する工程と、第1の保持ロール7B上の第1のマザーのセラミックグリーンシート1Cを積層する工程とを繰り返すことにより、第1のマザーのセラミックグリーンシート1Bと、第1のマザーのセラミックグリーンシート1Cとが交互に積層されていく。従って、図6に示されているように、上下の内部電極パターン5A,5Bのずらし量を、積層セラミックコンデンサを得るためのずらし量となるように内部電極パターン5A,5B配置することができる。
このように、本発明においては、内部電極パターンが印刷されたマザーのセラミックグリーンシートを積層するためのマザーのセラミックグリーンシート供給機構を複数種用い、それによって、複数の内部電極パターンを所定の位置関係となるように積層することができる。
なお、本実施形態では、第1のマザーのセラミックグリーンシート1Bと、第1のマザーのセラミックグリーンシート1Cとは、180°異なる方向から圧着されていくため、得られる積層体における圧着方向に沿う歪みを抑制することができるとともに、かつ図6における矢印X方向両端における歪みの量を均一化することができる。
なお、図6及び図7に示した構成では、内部電極パターン5Aが形成されている第1のマザーのセラミックグリーンシート1Bと、内部電極パターン5Bが形成されている第1のマザーのセラミックグリーンシート1Cとを交互に積層するために、二組のマザーのセラミックグリーンシート供給機構が用いられていたが、一方を内部電極パターン5が印刷された第1のマザーのセラミックグリーンシート1を供給するための機構として用い、他方を第2のマザーのセラミックグリーンシート3Aを供給するためのマザーのセラミックグリーンシート供給機構として用いてもよい。
図8は、本発明の積層セラミック電子部品の製造方法のさらに他の変形例を説明するための略図的正面図である。図6及び図7に示した構成に加えて、さらに、図8に示すように第3のマザーのセラミックグリーンシート供給機構41を配置してもよい。すなわち、積層ステージ31上において、先ず第3のマザーのセラミックグリーンシート供給機構41から第2のマザーのセラミックグリーンシート3Aを供給し、適宜の枚数のマザーのセラミックグリーンシート3Aが積層される。しかる後、図8の左方に配置されているように、図6及び図7に示した変形例と同様に、第1のマザーのセラミックグリーンシート1Bと、第1のマザーのセラミックグリーンシート1Cとが交互に積層される。しかる後、図8の矢印X3で示すように、積層ステージ31が再度第3の供給機構43の下方に移動される。そして、第3のマザーのセラミックグリーンシート供給機構41から、所定の長さの第2のマザーのセラミックグリーンシート3Aが再度積層される。
このように、3種類のマザーのセラミックグリーンシートを圧着するために3種類のマザーのセラミックグリーンシート供給機構を用いてもよい。
同様に、図1に示したように、積層ロールを用いた製造方法においても、複数のマザーのセラミックグリーンシート供給機構を配置してもよい。図9はこのような変形例を示す略図的正面図である。図9に示す製造装置では、積層ロール16の周囲に4つのマザーのセラミックグリーンシート供給機構51〜54が配置されている。各マザーのセラミックグリーンシート供給機構51〜54は、それぞれ、キャリアフィルムから剥離されたマザーのセラミックグリーンシートのみを外周面に保持する保持ロール51a〜51dを有する。従って、本変形例においても、マザーのセラミックグリーンシートが、積層ロール16の外周面16a上においてより大きな圧着力を加えることなく、圧着により積層することができる。
上記のように、本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法においては、マザーのセラミックグリーンシートをキャリアフィルムから剥離する剥離ロールと、剥離されたマザーのセラミックグリーンシートのみを有するマザーのセラミックグリーンシート供給機構は2以上の適宜の数だけ設けられてもよい。
さらに、本発明においては、マザーのセラミックグリーンシートからキャリアフィルムを剥離するタイミングについては上記のように保持ロールにマザーのセラミックグリーンシートを圧着すると同時にキャリアフィルムをマザーのセラミックグリーンシートから剥離してもよく、あるいは保持ロールにマザーのセラミックグリーンシートを圧着させた後に、キャリアフィルムを該キャリアフィルムのセラミックグリーンシートから剥離してもよい。
いずれにしても、保持ロール上に保持されているのは、マザーのセラミックグリーンシートのみとなり、従ってマザーのセラミックグリーンシートを積層ステージにおいて、比較的穏やかな条件で圧着し、積層することができる。
なお、本発明は、積層セラミックコンデンサの製造方法に限定されず、セラミック多層基板などの様々な積層セラミック電子部品の製造方法に利用することができる。
本発明の第1の実施形態に係る積層セラミック電子部品の製造方法を説明するための概略構成図。 第1の実施形態で供給されるマザーのキャリアフィルム及びマザーのキャリアフィルムに支持された第1のマザーのセラミックグリーンシートを示す部分切欠正面図。 図1の二点鎖線Bで示す部分を拡大して示す略図的部分切欠正面図。 第2の実施形態に係る積層セラミック電子部品の製造方法を説明するための略図的正面図。 本発明の第3の実施形態に係る積層セラミック電子部品の製造方法を説明するための略図的正面図。 図5に示した製造方法の変形例を説明するための略図的正面図。 図6に示した製造装置を用いた積層工程を説明するための略図的正面図。 図6に示した製造装置の変形例を用いた製造方法を説明するための略図的正面図。 図1に示した積層セラミックコンデンサの製造方法の変形例を説明するための略図的正面図。 従来の積層セラミックコンデンサの製造方法の一例を説明するための部分切欠正面断面図。 従来の積層セラミックコンデンサの製造方法の他の例を説明するための略図的正面図。
符号の説明
1…第1のマザーのセラミックグリーンシート
1A…第1のマザーのセラミックグリーンシート
1B…第1のマザーのセラミックグリーンシート
1C…第1のマザーのセラミックグリーンシート
2…キャリアフィルム
3…第2のマザーのセラミックグリーンシート
3A…第2のマザーのセラミックグリーンシート
4…キャリアフィルム
5…内部電極パターン
5A,5B…内部電極パターン
6a…ロール
6b…カッター
7…第1の保持ロール
8…剥離ロール
9…ロール
10…カッター
11a…ロール
11b…カッター
12…第2の保持ロール
13…剥離ロール
14…ロール
15…カッター
16,16A…積層ロール
16a…外周面
16b…溝
16d…アンダーフィルム
17…圧着ロール
18a〜18c…カメラ
31…積層ステージ
31a…上面
32…アンダーフィルム
33…冷却ロール
41…マザーのセラミックグリーンシート供給機構
51〜54…マザーのセラミックグリーンシート供給機構

Claims (17)

  1. 長尺状のキャリアフィルム上に保持された長尺状のセラミックグリーンシートを用意する工程と、
    前記長尺状のキャリアフィルムに保持された長尺状のセラミックグリーンシートを、回転可能であり、かつ前記セラミックグリーンシートを保持し得る保持ロールに保持しながら、前記セラミックグリーンシートから前記キャリアフィルムを剥離する工程と、
    前記保持ロールに保持されているセラミックグリーンシートを、前記保持ロールから剥離し、積層部において積層し、マザーの積層体を得る工程と、
    マザーの積層体から個々の積層セラミック電子部品単位の積層体を得るために、マザーの積層体を切断する工程と、
    切断により得られた積層体を焼成する工程とを備え
    前記セラミックグリーンシートの積層部における積層が、前記セラミックグリーンシートを積層部において保持ロールにより仮圧着し、しかる後、保持ロールから剥離することにより行なわれる積層セラミック電子部品の製造方法。
  2. 前記保持ロールにセラミックグリーンシートを保持しながら、該セラミックグリーンシートからキャリアフィルムを剥離する工程において、セラミックグリーンシートが保持ロールに先ず保持され、該セラミックグリーンシートが保持されている位置範囲内のいずれかの位置でキャリアフィルムの剥離が開始される、請求項1に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  3. 前記セラミックグリーンシートを保持し、前記キャリアフィルムを剥離し、積層のためにセラミックグリーンシートを前記保持ロールから剥離する各工程が、前記保持ロールの外周面において同時にまたは連続的に行なわれる、請求項1または2に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  4. 前記保持ロールがサクションロールまたは外周面が粘着性を有する粘着ロールである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  5. 前記セラミックグリーンシートが積層部で保持ロールから剥離されて積層された後に、前記保持ロール以外の圧着用ロールによりセラミックグリーンシート同士の仮圧着が行なわれる、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  6. 前記積層部が加熱されており、積層部において複数枚のセラミックグリーンシート同士が熱圧着される、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  7. 前記保持ロールに保持されているセラミックグリーンシートが冷却される、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  8. 1つの積層部に対し、複数の前記保持ロールが用いられる、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  9. 前記複数の保持ロールのうち、奇数個目の保持ロールによる積層方向と、偶数個目の保持ロールによる積層方向とを180°異ならせる、請求項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  10. 積層部における積層に際しての圧着力をA(Pa)、積層後のグリーンシート同士の密着力をB(Pa)、積層体を変形させる最低圧力をC(Pa)としたときに、C>A>Bとされている、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  11. 前記積層部が、外周面上でセラミックグリーンシートが積層される積層ロールを有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  12. 前記保持ロールの周速と、前記積層ロールの周速とが同一とされている、請求項11に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  13. 前記セラミックグリーンシートの長さ方向において、該セラミックグリーンシートのテンションが、セラミックグリーンシートを圧着する部分の曲率の上昇に応じて徐々に高められている、請求項11または12に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  14. 前記積層部が、平板状の積層ステージを用いて構成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  15. 前記積層ステージが、セラミックグリーンシートの長さ方向に沿って移動されるように構成されており、該積層ステージの移動速度と、前記保持ロールの周速とが等しくされている、請求項14に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  16. 長尺状のキャリアフィルム上に保持された長尺状のセラミックグリーンシートを積層して積層体を得る積層セラミック電子部品の製造装置であって、
    回転可能に設けられ、その外周面上でセラミックグリーンシートを保持する保持ロールと、
    前記セラミックグリーンシートを介して前記保持ロールと外周面同士が当接するように回転可能に設けられ、前記保持ロールから前記セラミックグリーンシートをその外周面上に受け取るとともに、前記セラミックグリーンシートをその外周面上または外周面上に積層されたセラミックグリーンシート上に連続的に積層する積層ロールと
    前記保持ロールと外周面同士が前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートを介して当接するように回転可能に設けられ、その外周面上で前記キャリアフィルムを保持して、前記保持ロールに保持された前記セラミックグリーンシートから前記キャリアフィルムを剥離する剥離ロールとを備える積層セラミック電子部品の製造装置。
  17. 長尺状のキャリアフィルム上に保持されたセラミックグリーンシートを積層して積層体を得る積層セラミック電子部品の製造装置であって、
    回転可能に設けられ、その外周面上でセラミックグリーンシートを保持する保持ロールと、
    前記セラミックグリーンシートを介して前記保持ロールの外周面とその主面とが当接するように設けられ、前記保持ロールから前記セラミックグリーンシートをその主面上に受け取るとともに、前記セラミックグリーンシートをその主面上または主面上に積層されたセラミックグリーンシート上に積層する積層テーブルと
    前記セラミックグリーンシート及び前記キャリアフィルムを介して前記保持ロールと外周面同士が当接するように回転可能に設けられ、その外周面上で前記キャリアフィルムを保持して、前記保持ロールに保持された前記セラミックグリーンシートから前記キャリアフィルムを剥離する剥離ロールとを備える積層セラミック電子部品の製造装置。
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