JP2007036198A - プリント配線板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】補強板付きのプリント配線板を製造する方法であって、加工工程が簡単であり、工程の数が少なく、容易にかつ簡単に短時間で実施でき、しかもバッチ式によらずに一括して大量に生産できる方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも1個の回路領域が規定された長尺の基材フィルムを作製する工程、回路領域のそれぞれに配線パターン層を形成する工程、基材フィルムを連続して移動させるととともにその移動中の基材フィルムの所定の位置に、補強板を接着剤層を介して貼付する工程、基材フィルムと補強板の積層体を切断して、それぞれ配線パターン層及び補強板を有するプリント配線板を個別に分離する工程を含み、かつ補強板貼付工程を仮付け工程とその後段の本接着工程の2段階で実施するように、構成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、プリント配線板の製造方法に関し、さらに詳しく述べると、基材フィルムとその表面の回路領域に作り込まれた配線パターン層とを含むものであって、その少なくとも一部の領域にさらに補強板を備えているフレキシブルなプリント配線板を製造する方法に関する。本発明はまた、かかる製造方法によって製造されたフレキシブルなプリント配線板に関する。
周知の通り電子デバイスの進展には目覚しいものがあり、近年、高性能化、小型化された各種の電子デバイスが実現されている。また、したがって、電子デバイスに広く使用されているプリント配線板においても改良が進んでおり、小型化、薄型化、フレキシブル化、素子の高密度実装などが一般的な課題となっている。特にフレキシブルなプリント配線板は、電子デバイスの小型化、軽量化、素子の高密度実装に有効であるばかりでなく、部品どうしの接続や搭載部品点数の増加に対応できるので、需要が増大している。また、フレキシブルなプリント配線板は、その柔軟性による欠点(例えば、部品どうしの接続強度の低下、部品搭載時の破損など)を補うため、金属材料や樹脂材料からなる補強板を接着剤で貼り付けることがしばしば行われている。
従来、フレキシブルなプリント配線板に対する補強板の貼り付けは、いろいろな方法で実施されている。例えば、特許文献1は、フレキシブルプリント配線板と補強板とを熱硬化性樹脂接着剤を用いて貼り合せる製造方法において、補強板付フレキシブルプリント配線板をシート単位毎にヒートロールプレス工程で加圧圧着した後、単板熱圧プレス工程でシート単位毎に加熱加圧することを特徴とする補強板付フレキシブルプリント配線板の製造方法を記載している。すなわち、この特許文献は、フレキシブルプリント配線板と補強板の仮圧着工程、ヒートロールプレスによる加圧圧着工程、単板熱圧プレスによる加熱加圧工程、そしてアフターベーキング工程から構成される製造方法を提案している。しかし、この製造方法は多くの加工工程を含むので、作業が煩雑となるばかりでなく、製造に時間とコストがかかり、また、シート毎にバッチ式で加工を行っているので、大量生産に不向きであり、歩留まりが悪いという欠点がある。
一方、特許文献2は、フィルム基材上に導体配線が形成されたフレキシブル配線基板に補強板を貼り付ける補強板貼り付け方法であって、補強板及びフレキシブル配線基板を向かい合わせて配置し、熱硬化性接着剤を用いて貼り合せる工程と、補強板及びフレキシブル配線基板の貼り合せ体に両側から圧力を加える圧着工程とを有し、上記圧着工程において、補強板側及びフレキシブル配線基板側の少なくとも一方に対して、任意の領域で変形する弾力性を有する部材によって圧力を加えることを特徴とする補強板貼り付け方法を記載している。すなわち、この特許文献は、熱プレス機の上下の圧着面に熱伝導性ゴムやクッション材を貼り付け、熱プレス機での不均一な圧力適用を解消する改良された熱プレス方式を提案している。しかし、この方式を採用すると、フレキシブル配線基板に対する均一な圧力適用が、フレキシブル配線基板の回路領域(すなわち、すでに形成されている導体配線のパターンを含む領域)に悪影響を及ぼすという問題を避けることができない。なぜなら、熱プレス機の加圧面には一定の長さと幅があるため、フレキシブル配線基板上の回路領域の長さや幅が変化すると、場合によっては回路領域に、加圧されない部分や、2回にわたって加圧される部分が生じるからである。
さらに加えて、上述のような手法でプリント配線板に対して接着剤を介して補強板を貼り付ける場合、本来密着した状態で一体化していなければならないプリント配線板と補強板の間に気泡が取り込まれという不具合(エア噛みなどともいう)が発生する。プリント配線板上に気泡が残ったままであると、後工程や使用中に補強板の膨れや剥がれなどといったトラブルが発生するので、積極的に気泡の問題を解消することが望ましい。
特開2003−283094号公報(特許請求の範囲、段落0008、図1) 特開2004−281460号公報(特許請求の範囲、図1)
本発明の目的は、フレキシブルプリント配線板に対して補強板を貼り付けるために従来採用されている方法を改良して、加工工程が簡単であり、工程の数が少なく、したがって、作業を熟練者でなくても容易にかつ簡単に短時間で実施でき、しかもバッチ式によらずに一括して大量に生産できる補強板付きフレキシブルプリント配線板及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、フレキシブル配線基板上の回路領域の長さや幅が変化した場合であっても、補強板の圧着時にその回路領域に非加圧や過剰圧着等の不具合が発生することのない補強板付きフレキシブルプリント配線板及びその製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、デバイスの欠陥や歩留まりの低下を引き起こすエア噛みの問題をプリント配線板と補強板の間で発生することがない補強板付きフレキシブルプリント配線板及びその製造方法を提供することにある。
さらにまた、本発明の目的は、プリント配線板を外部環境(温度、ホコリ、水分等)の悪影響から保護し、絶縁性なども高めることのできる補強板付きフレキシブルプリント配線板及びその製造方法を提供することにある。
本発明のこれらの目的やその他の目的は、以下の詳細な説明から容易に理解することができるであろう。
本発明者らは、上述の課題を解決するために鋭意研究した結果、フレキシブルプリント配線板及び補強板をそれぞれ長尺物から製造し、かつ好ましくはそれらの出発材料をロールの形態から製造プロセスに案内し、しかも補強板貼付工程を仮付け工程(仮接着工程)とその後段の本接着工程の2段階で実施することが有効であるという知見を得、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、基材フィルムとその表面の回路領域に作り込まれた配線パターン層とを少なくとも含みかつ表面及び(又は)裏面の少なくとも一部の領域に補強板を備えたフレキシブルなプリント配線板を製造する方法であって、
前記プリント配線板に対応する少なくとも1個の回路領域が規定された長尺の基材フィルムを作製する工程、
前記回路領域のそれぞれに前記配線パターン層を形成する工程、
前記回路領域のそれぞれに前記配線パターン層を形成する前、その間もしくはその後、前記基材フィルムを連続して移動させるととともにその移動中の基材フィルムの所定の位置に、現場でもしくは別の場所で作製した補強板を、接着剤層を介して貼付する工程、
前記基材フィルムと前記補強板の積層体を切断して、それぞれ前記配線パターン層及び前記補強板を有する前記プリント配線板を個別に分離する工程
を含み、かつ
前記補強板貼付工程を補強板仮付け工程とその後段の補強板本接着工程の2段階で実施することを特徴とするフレキシブルなプリント配線板の製造方法にある。
また、本発明のプリント配線板の製造方法では、補強板に接着剤を塗布した状態で使用することの他、形成された接着剤層の表面に微細な溝(凹凸、チャネルなどともいうことができる)パターンを加工する工程をさらに含むことが好ましい。例えば、微細な溝パターンの加工工程は、溝パターンに対応する突起パターンを備えた加工治具、例えば突起パターンを表面に供えた歯状ブロックや歯状回転ロールを、予め定められた搬送速度で送られてきた補強板の接着剤層の表面に圧接し、突起パターンを接着剤層の表面に転写することによって有利に実施することができる。なお、微細な溝パターンは、以下に詳細に説明するように、いろいろなパターンでかついろいろな技法を使用して形成することができる。
さらに、本発明のプリント配線板の製造方法では、プリント配線板を外部の悪影響から保護したり絶縁性を高めたりするため、カバーレイフィルムを設ける工程をさらに含むことが好ましい。その際、カバーレイフィルムとして、その接着剤層の表面に微細な溝パターンを上記と同様な方法で加工処理したものを用いることができる。
また、本発明は、本発明のこのような製造方法によって製造されるフレキシブルなプリント配線板にある。
以下の詳細な説明から理解されるように、本発明によれば、フレキシブルプリント配線板に対して補強板を貼り付ける場合に、加工及び貼り付け工程が簡単であり、加工工程の数が少なくて済み、熟練者でなくても容易にかつ簡単に短時間で作業を実施でき、しかもバッチ式によらなくても済むので、補強板付きフレキシブルプリント配線板を一括して大量に生産することができる。プリント配線板をリールから巻き出し、最終的に得られる補強板付きフレキシブルプリント配線板を再びリールに巻き取る方式を採用することで、これらの効果をより有利に具現することができる。
また、本発明によれば、フレキシブル配線基板上の回路領域の長さや幅が変化した場合であっても、補強板の圧着時にその回路領域に非加圧や過剰圧着等の不具合が発生することがない。
さらに、本発明によれば、補強板の接着剤層に微細な溝パターンを機械的加工やその他の技法によって形成した場合、従来の技術において配線基板と補強板の間で発生可能であったエア噛みの問題を解消し、デバイスの欠陥の防止や歩留まりの向上を図ることができる。補強板の接着面に微細な溝(凹凸)があるため、後段の熱ロール、熱プレス等による加圧工程で、配線基板と補強板の間に取り込まれていた空気がそれらの溝を「逃げ道」として外部に駆出されるからである。よって、配線基板と補強板の接着剤層における気泡の発生を極力防止することが可能となる。なお、接着面の微細な溝は、加圧工程で潰されてしまうので、配線基板と補強板の間の接着力が低下せしめられるようなことはない。
さらにまた、本発明によれば、配線基板の配線パターン層の側にカバーレイフィルムを設けた場合、プリント配線板、そして最終的に得られる電子デバイスにおいて、例えば温度、ホコリ、水分等の外部の悪影響を排除することが可能であるばかりでなく、絶縁性などの特性も高めることができる。その際、カバーレイフィルムとして、接着剤層に微細な溝パターンのあるものを使用すれば、補強板貼付の場合と同様に、エア噛みの問題を解消し得る。
もちろん、本発明によれば、フレキシブルなプリント配線板に由来する効果、すなわち、電子デバイスの小型化、軽量化、素子の高密度実装を実現できるばかりでなく、部品どうしの接続や搭載部品点数の増加に容易に対応でき、また、補強板を取り付けたことで、部品どうしの接続強度の向上、部品搭載時の破損の防止などの効果も実現することができる。
本発明によるフレキシブルプリント配線板及びその製造方法は、いろいろな形態で有利に実施することができる。以下、本発明の好ましい実施の形態を添付の図面を参照しながら説明するけれども、本発明がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
本発明のプリント配線板は、自体フレキシブルであり、任意の形状に変形可能な基材フィルムと、この基材フィルムの表面の回路領域に作り込まれた配線パターン層とを少なくとも含み、また、任意の位置において、少なくとも部分的に補強板を備えている。補強板は、通常、回路領域の配線パターン層に邪魔にならない領域、すなわち、回路領域の配線パターン層以外の部位に備えられる。補強板は、通常、基材フィルムの裏面に全面的に取り付けられるが、必要ならば部分的に取り付けられてもよく、さもなければ基材フィルムの表面に取り付けてもよい。
一般的に、本発明の補強板付きプリント配線板は、通常、複数個の補強板付きプリント配線板を備えた長尺フィルムの形態で作製された後、裁断によって個々のプリント配線板に分離可能である。すなわち、本発明のプリント配線板は、その前駆体において、長尺フィルムに複数個が、互いに所定間隔をあけて連続して形成されている。図1は、かかる補強板付きプリント配線板の長尺物の好ましい1形態を示した平面図である。
図1に示した長尺のプリント配線板10は、それを搬送するためのスプロケットホール12を備えたTABテープの形態でありかつフレキシブルなフィルム基材1からなる。フィルム基材1は、それを裁断線cで裁断することによって個々のプリント配線板10−1、10−2、…に加工することができる。それぞれのプリント配線板は、その構成や使途などに応じていろいろなサイズで形成することができるけれども、図示の例の場合、テープの幅wが70mm、長さlが38mm、そしてスプロケットホール12のピッチpが4.75mmである。それぞれのプリント配線板は、その実質的な領域である中央部に回路領域2を有している。回路領域2は、通常、矩形である。また、回路領域2は、図示しないけれど、素子類を搭載する実装部とその近傍に任意の所望のパターンで形成された配線パターン層とを備えている。また、配線パターン層は、通常、プリント配線板に一般的なように、配線、インナーリード、アウターリードなどからなる。さらに、プリント配線板の回路領域2の裏面、つまりフィルム基材1の配線パターン層を備えた面とは反対の面には、図示されるように、本発明方法に従い補強板3がさらに取り付けられている。補強板3は、フィルム基材1を介してみると、回路領域2の一部外にも及んでいる。なお、図示のプリント配線板10において、補強板3の配置パターンはほんの一例であり、以下において詳細に説明するように、いろいろに変更可能である。
本発明のプリント配線板において、フレキシブルなフィルム基材は、フィルム基材に対して可とう性を付与し得るいろいろな材料から形成することができるけれども、通常、樹脂材料から任意の成形法によってフィルムの形態に成形するのが有利である。フィルム基材に好適な樹脂材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などを挙げることができる。また、このような樹脂材料の成形法としては、例えば、各種のコーティング法、カレンダー成形法などを挙げることができる。フィルム基材は、プリント配線板の構成や使途などに応じていろいろな厚さで使用することができるけれども、通常、約300μm以下であり、好ましくは約50〜200μmの範囲であり、さらに好ましくは約50〜150μmの範囲である。フィルム基材が薄くなり過ぎると、作業性が低下し、破損しやすくもなる。反対に、フィルム基材が厚すぎると、軽量化に逆行することとなり、リール等への巻き取りも困難になる。また、フィルム基材は、通常、長尺物として形成され、好ましくはリールに巻き取って保存及び搬送され、プリント配線板の製造時、必要に応じて巻きだして使用される。
フィルム基材の回路領域には、上記した通り、素子類を搭載する実装部や配線等を含む配線パターン層などの回路要素が任意の所望なパターンで設けられる。これらの要素は、プリント配線板に一般的に採用されているものと同様なパターンで、かつ同様な技法で形成することができる。例えば配線などの配線パターン層は、銅、ニッケル、金などの導体金属やその合金からめっき、蒸着などの技法を使用して形成することができる。また、フィルム基材の全面に導体フィルムを貼付した後、それを選択的にエッチングすることによって配線パターン層を形成してもよい。必要ならば、はんだ付けなどの技法を使用して配線パターン層を形成してもよい。配線パターン層は、プリント配線板の構成や配線パターン層の構成などに応じていろいろな厚さで使用することができるけれども、通常、約50μm以下であり、好ましくは約5〜40μmの範囲であり、さらに好ましくは約10〜30μmの範囲である。
フィルム基材の裏面には、配線パターン層と関連させて、少なくともその一部分、好ましくはその全面に補強板が取り付けられる。補強板は、回路領域において、配線パターン層やその他の機能素子が作り込まれていない空き領域を利用して取り付けられ、したがって、連続もしくは不連続の任意のパターンで配置することができる。一例を挙げると、補強板のパターンは、例えば、矩形、L字形、円形などがある。いずれのパターンも、好ましくはシート状の補強板から打ち抜きなどの常用の技法を使用して容易に形成することができる。補強板の配置個所としては、例えば、コネクタ部などを挙げることができる。
補強板は、プリント配線板の分野で一般的に実施されているように、プリント配線板の特性などに悪影響を及ぼさない金属材料、樹脂材料などから金属層、樹脂層もしくはその複合体として形成することができる。適当な金属材料としては、例えばステンレス鋼、チタンなどを挙げることができ、また、適当な樹脂材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ガラスエポキシ樹脂などを挙げることができる。また、複合体としては、金属層どうし、樹脂層どうし、あるいは金属層と樹脂層が積層された複合層を挙げることができる。樹脂層どうしでは、たとえば、ポリイミド層とポリイミド層を接着剤で貼り合わせたものがあり、金属層と樹脂層が積層された複合層は、たとえば、ステンレス鋼層とポリイミド層を接着剤で貼り合わせたものがある。補強板は、一般的にフィルムの形で用いられ、その厚さは、広い範囲で変更することができるというものの、通常、約300μm以下であり、好ましくは約25〜200μmの範囲である。薄すぎると、所望とするレベルの補強効果を達成することができない。なお、回路領域に占める補強板の面積割合は、回路領域の面積や配線パターン層の形成面積などに依存するので一概に規定することはできないけれども、例えばプリント配線板の幅が70mmで長さが38mmであるとき、一般的には20〜70%の範囲である。
補強板は、基材フィルムに対して接着剤層を介して接着し、固定する。ここで使用する接着剤は、必要に応じて熱可塑性接着剤であってもよいけれども、一般的には熱硬化性の接着剤が有用である。熱硬化性接着剤には、常温で接着性があるものとないものとがあるが、本発明の実施には両方とも使用することができる。適当な熱硬化性接着剤としては、例えば、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤などを挙げることができる。
接着剤層は、接着剤の種類、補強板の種類や使途などに応じていろいろな厚さで使用することができる。接着剤層の厚さは、通常、約15〜100μmの範囲であり、好ましくは約25〜40μmの範囲である。接着剤層の厚さが15μmを下回ると、基材フィルムに対して補強板を強固に固定することができなくなるおそれがある。反対に、接着剤層の厚さが100μmを上回っても、所望とする以上の良好な接着効果を得ることができないであろう。
本発明では、基材フィルムに対する補強板の固定を一段階で行うのではなくて、以下に詳細に説明するように、少なくとも2段階で実施する。すなわち、補強板を基材フィルムの予め定められた位置に位置決めした後、第1の段階で、補強板の一部を基材フィルムに仮付け(本発明では、「仮接着」ともいう)し、引き続く第2の段階で補強板の本接着を実施する。すなわち、本発明のプリント配線板は、その基材フィルムに取り付けられた補強板に関して、仮接着部と本接着部とを組み合わせて有している。
補強板は、好ましくは、その片面にすでに接着剤層を設けた状態で用いられる。図7は、本発明で使用される補強板3の好ましい1形態を示したもので、図示されるように、補強板3の片面に接着剤層4が設けられている。接着剤層4は、ほぼ同じ厚さで設けられており、したがってその露出面はほぼ平坦である。
補強板の接着剤層は、その表面に微細な溝パターンを加工した後で用いることも好ましい。ここで、微細な溝パターンは、いろいろな断面形状で形成することができる。例えば、溝の断面としては、V字形、U字形、逆台形などを挙げることができる。それぞれの溝のサイズは、接着剤層の厚さ、溝の断面形状などによって任意に変更することができるが、通常、約1〜10μmの幅、好ましくは約2〜6μmの幅、そして約5〜30μmの深さ、好ましくは約8〜12μmの深さである。なお、本願明細書において、補強板3の接着剤層4の表面は、特に断りのない限り、平坦であってもよく、さもなければ、上述のように微細な溝パターンが付与されていてもよい。
また、接着剤層の溝パターンは、いろいろな配置パターンで形成することができる。例えば、溝の配置パターンとしては、ストレートパターン、格子(グリッド)パターンなどを挙げることができる。格子パターンの場合には、相交わる溝が直交していてもよく、直交していなくてもよい。すなわち、格子状に配置された溝は、正方形、長方形、ひし形などの配置パターンを示すことができる。このような溝パターンにおいて、隣接する溝のピッチは、接着剤の種類、溝のサイズなどによって任意に変更することができるが、通常、約500μm以下でり、一般的には約200から400μmの範囲である。溝のピッチは、場合によっては200μmを下回っていてもよい。
図8は、補強板3の片面に接着剤層4が設けられているとともに、V溝状の微細な溝44が形成されている補強板3を示している。溝44のピッチ及びサイズは、広い範囲で変更し得るというものの、通常、ピッチは約200〜400μmであり、また、溝の幅及び深さは、それぞれ、約5〜30μmの範囲、好ましくは約10〜25μmの範囲である。溝44の配置は、図10に示されるようなストレート溝パターンであってもよく、図11に示されるような格子溝パターンであってもよい。もちろん、必要ならば、図10及び図11に示した以外の任意の溝パターンを本発明の実施において使用できる。
図9は、補強板3のさらにもう1つの好ましい形態を示したものである。補強板3は、その片面に接着剤層4が設けられているとともに、逆台形の断面をもった溝44が形成されている。溝44のピッチ及びサイズは、広い範囲で変更し得るというものの、通常、ピッチは約200〜400μmであり、また、溝の幅及び深さは、それぞれ、約5〜30μmの範囲、好ましくは約10〜25μmの範囲である。溝44の配置は、図10に示されるようなストレート溝パターンであってもよく、図11に示されるような格子溝パターンであってもよい。もちろん、必要ならば、図10及び図11に示した以外の任意の溝パターンを本発明の実施において使用できる。
補強板の接着及び固定において、補強板仮付け工程は、例えば加熱ピンやヒータ棒を使用して、補強板を基材フィルムに部分的に押し付け、接着することによって実施するのが有利である。本発明によれば、補強板を基材フィルムに部分的に仮付けするこの仮付け工程は、4軸機構ロボットを使用して有利に実施することができる。また、補強板本接着工程は、例えば複数段から構成される熱ロールを使用して、有利に実施することができる。
上記したような補強板付きプリント配線板は、本発明に従い、下記の工程:
プリント配線板に対応する少なくとも1個の回路領域が規定された長尺の基材フィルムを作製する工程、
前記回路領域のそれぞれに前記配線パターン層を形成する工程、
前記回路領域のそれぞれに前記配線パターン層を形成する前、その間もしくはその後、前記基材フィルムを連続して移動させるととともにその移動中の基材フィルムの所定の位置に、現場でもしくは別の場所で作製した補強板を、接着剤層を介して貼付する工程、
前記基材フィルムと前記補強板の積層体を切断して、それぞれ前記配線パターン層及び前記補強板を有する前記プリント配線板を個別に分離する工程
を順次実施することによって製造することができる。また、本発明の方法の場合、基材フィルムに対する補強板の貼付工程を、補強板仮付け工程と、その後段の補強板本接着工程の2段階で実施する。なお、このフレキシブルプリント配線板の製造方法において、プリント配線板の構成などは、前記した通りであるので、以下においては詳細に説明しない。
このような本発明方法は、いろいろな態様で有利に実施することができる。図2は、本発明による補強板付きプリント配線板の製造方法を順を追って示した工程図である。
本発明方法に従うと、まずプリント配線板を作製する。プリント配線板は、プリント配線板に対応する少なくとも1個の回路領域が規定された長尺の基材フィルムを作製する工程と、その回路領域のそれぞれに配線パターン層を形成する工程とによって製造することができる。特に基材フィルムは、複数個の回路領域を有していることが好ましい。また、それぞれの回路領域には、加工性などを考慮して通常同一の回路パターン層が形成されていることが好ましいけれども、必要ならば異なる回路パターン層が形成されていてもよい。また、長尺の基材フィルムは、予め作製してリールなどに巻き取って保存し、必要に応じて巻き出して使用することが好ましい。さらに、引き続く配線パターン層形成工程では、リールなどから基材フィルムを巻き出した後、配線等の形成と同時にあるいは別のタイミングで、プリント配線板に必要とされるその他の構成要素、例えばインナーリード、アウターリード、外部接続端子などを形成することができる。
基材フィルムの作製とは別に、補強板を作製する。補強板は、いろいろな方法で製造することができるけれども、通常、複数個の補強板が連続して作り込まれ、必要に応じて個々の補強板に切断可能なように長尺物の形で作製し、リールなどに巻き取って保存し、必要に応じて巻き出して使用することが好ましい。特に矩形の補強板は、それを長尺物の形とし、打ち抜き工程を考慮した幅にスリットされたリールに巻き取って使用することが好ましい。また、特殊な形状の補強板は、リール状態でその形状を金型で加工したものを使用することが好ましい。なお、補強板は、それを基材フィルムに貼付し、固定するために接着剤層を有しているので、貼付の直前までリリースライナー(剥離紙)で保護されていることが好ましい。また、リリースライナーが存在するので、リールなどに巻き取られた補強板どうしが貼り付く問題も避けることができる。
ここで、補強板は、先に図7を参照して説明したように、接着剤層の表面が平坦化されていてもよく、さもなければ、先に図8及び図9を参照して説明したように、接着剤層の表面に、例えばV字形、U字形、逆台形などの断面をもった微細な溝パターンが付与されていてもよい。微細な溝パターンは、通常、平坦化された表面を備えた接着剤層を補強板の表面に積層した後、任意の技法で、一般的には、微細な溝パターンに対応する突起パターンを備えた転写型を使用して、補強板の接着剤層の表面に突起パターンを転写し、目的とする溝パターンを得る転写法を使用して、有利に形成することができる。もちろん、必要ならば、補強板の接着剤層の表面に微細な溝パターンを直接的に機械加工する方法や、表面に微細な溝パターンを備えている接着剤フィルムを補強板の表面に積層する方法なども採用することができる。なお、本発明において、このような微細な溝パターンの形成のことを、総称して「エンボス加工」と呼ぶこともある。
次いで、長尺物の補強板から補強板を一個ずつ切り出し、リリースライナーを剥がした後に基材フィルムの所定の部位に貼り付ける。なお、基材フィルムは、その回路領域のそれぞれに配線パターン層を形成する前であってもよく、配線パターン層を形成する間であってもよく、さもなければ配線パターン層を形成した後であってもよく、いずれにしても最後の段階では、基材フィルムの所定の部位に配線パターン層が形成された状態となる。
基材フィルムは、通常、リールなどから連続して巻き出され、補強板の仮付け部位まで移動された後、現場でもしくは別の場所で作製した補強板が基材フィルムの所定の部位に接着剤層を介して貼付される。なお、ここで行われる補強板接着工程は、本発明でいう補強板仮付け工程であり、補強板が部分的に基材フィルムに接着され、仮付けされる。また、本発明方法では特に、補強板を基材フィルムの移動速度にあわせて連続して案内し、基材フィルムとの合流点において接着剤層を介して基材フィルムに仮付けすることが好ましい。さらに、補強板を加熱ピン、ヒータ棒などの先端で少なくとも部分的に加熱して、その熱を接着剤層に作用させて基材フィルムに仮付けすることが好ましい。なお、仮付け工程の加熱手段は、必要ならば、ヒータ棒などのように先端が細いものに代えて、平板状のヒータ、その他であってもよい。また、この仮付け工程は、4軸機構ロボットを使用して有利に実施することができる。本発明で使用する4軸機構ロボットは、好ましいことに、
(i)所望の大きさに切断された接着剤層付きの補強板を4軸方向に搬送する機能、
(ii)補強板をフレキシブルなプリント配線板上に案内する機能、
(iii)補強板をプリント配線板上で位置決めし、接着剤層を介して重ね合わせる機能、
(iv)補強板を加圧し、プリント配線板に押し付ける機能、そして
(v)補強板の一部分を、付属の加熱手段を使用してプリント配線板に接着し、仮付けする機能、
を同時に奏することができる。すなわち、好ましくは、補強板の幅と端の位置が画像計測装置で計測され、かつプリント配線板の位置も画像計測され、これらの位置情報が4軸機構ロボットに送られ、その位置制御に利用される。したがって、4軸機構ロボットは、切断された補強板をピックアップし、保持し、移動し、そしてプリント配線板の所定位置に押し付ける。同時に、付属の加熱手段を補強板に押し付け、プリント配線板に部分付け(仮付け)する。なお、かかる4軸機構ロボットは、例えば、ヤマハ発動機株式会社から「PCX40」(商品名)として入手可能である。
補強板の仮付け工程が完了した後、補強板の本接着を実施する。補強板本接着工程は、いろいろな方法で実施できるというものの、仮付け後の補強板を全体的に加熱して、接着剤の硬化により補強板を基材フィルムに完全に接着し、固定することが好ましい。なお、補強板は、仮付けによって基材フィルムに仮止めされているので、本接着工程に案内する間に基材フィルムから脱離するような不具合は発生しない。
補強板本接着工程において、補強板の加熱/圧着方法は特に限定されない。例えば、一対の加熱プレス機の間に仮付け後の補強板を挟みこんで、上下の両方向から補強板の加熱及び圧着を行ってもよい。この場合、加熱プレス機の間に挟み込む補強板の数は制限されるものではなく、補強板を1個ずつ処理してもよく、さもなければ、大型の加熱プレス機を使用して、2個もしくはそれ以上の補強板を一括して処理してもよい。
補強板本接着工程において、加熱プレス機の代わりに加熱ローラを使用してもよい。例えば、補強板付きの基材フィルムを少なくとも一対の加熱ローラの間に案内し、加熱し、圧着することができる。特に、例えば2段もしくはそれ以上の段から構成される熱ロールを使用して本接着工程を順次実施することが好ましい。なお、それぞれの熱ロールは、独立に温度及び圧力を設定し、制御することが可能である。熱ロールの回転速度(基材フィルムの搬送速度)は、同一である。熱ロールの温度、圧力及び回転速度は、補強板の厚さや補強板に施工された接着剤層の物性及び種類に応じて適宜決定することができる。
複数段の熱ロールを組み合わせて本接着工程を実施する場合、初段の熱ロールで、フィルム基材と補強板の貼り合わせ部分の間に存在する空気を密着により除去する(空気抜き)。空気抜きは、例えば外観不良を防止できるばかりでなく、素子の自動実装工程などに障害となる空気の存在による厚みの変動や補強板の剥がれを防止することができる。したがって、熱ロールの温度と圧力もこの目的を考慮して設定する。なお、先に説明したような微細な溝パターンが接着剤層の表面に形成されている場合には、溝パターンそのものに空気抜きの機能が備わっているので、かかる配慮を省略することもできる。次いで、第2段及びそれ以降の熱ロールで本接着のための本格的な加熱圧着を行い、したがって、それぞれの熱ロールの温度と圧力もこの目的を考慮して設定する。
以上の一連の工程を経て、長尺の基材フィルムと基材フィルムの各回路領域の所定の部位、基材フィルムの裏面の少なくとも一部分(通常、全面)固定された補強板とからなる補強板付きプリント配線板(積層体)が得られる。この積層体は、有利なことに、それに各種の素子などを搭載する前、リールなどに巻き取った状態で保存し、必要に応じて運搬し、あるいは顧客などに供給することができる。また、積層体をリールなどに巻き取る場合には、通常、巻き取り機構でインターリーフ(差し込みフィルム)と一緒に巻き取るのが有利である。顧客などは、リールから積層体を巻き出して所要の大きさに切断し、それぞれ配線パターン層及び補強板を有するプリント配線板を個別に分離し、得ることができる。この方法によれば、1枚の基材フィルムに多数個のプリント配線板を作り込むことができるので、多数個のプリント配線板を一括して製造し、分離することができる。
本発明方法の実施において、補強板付きプリント配線板は、上記のように製造したままの状態で使用してもよいが、必要ならば、デバイスを汚染や水分などから保護することや絶縁性の向上などの観点から、プリント配線板の配線パターンの側にカバーレイフィルムを積層する工程を経た後で使用してもよい。カバーレイフィルムは、プリント配線板の配線パターンのほぼ全面を覆うように積層されるのが一般的であるが、配線パターン層に由来する凹凸が存在していても、なんら支障が発生することはない。また、カバーレイフィルムを積層するに際して、プリント配線板の電気的接続に必要な回路や端子などは露出させておくことが一般的である。
カバーレイフィルムは、いろいろな材料から形成することができるが、通常、例えばポリイミドフィルム、エポキシ樹脂フィルムなどの絶縁性樹脂フィルムから形成することが好ましい。また、カバーレイフィルムは、それを積層すべきプリント配線板などに応じていろいろな厚さで使用できるが、一般的な厚さは、約5〜50μmの範囲であり、好ましくは約30〜40μmの範囲である。さらに、カバーレイフィルムは、その片面に接着剤層を施し、その接着剤層をさらにリリースライナーで一時的に保護した状態で使用するのが一般的である。カバーレイフィルムの接着剤層には、補強板における接着剤層と同様な方法で微細な凹凸を設けたものが好ましい。
本発明による補強板付きプリント配線板の製造方法をさらに具体的に説明すると、図3は、本発明による補強板付きプリント配線板の製造方法のうち、補強板準備工程を示した模式断面図である。補強板3は、図示される通り、リール31に巻き取った長尺物の状態で提供される。補強板3は、プリント配線板に貼付する側に接着剤層4を有しており、また、巻き取り状態のときの接着を防止するため、その接着剤層4の表面がリリースライナー5で覆われている。接着剤層4の表面は、図7に示した通り、平坦である。長尺の補強板3は、それを貼付工程で使用するため、リール31から一対の案内ロール32を経由して巻き出される。次いで、補強板3は、リール33でリリースライナー5を剥離して接着剤層4を露出させた後、後段に配置されたカッター34によって必要な大きさに裁断される。裁断された補強板3は、4軸機構ロボット35の下に案内され、そのロボットの下部に吸引された状態で後段の補強板仮付け工程に案内される。ここで、4軸機構ロボット35は、4軸に移動可能に設計されており、また、補強板の仮付けに使用するためのヒータ棒36を装備している。なお、図示の例では、長尺の補強板3をリール31から巻き出して個々の補強板3に加工しているが、必要ならば、すでに単品に加工済みの補強板3を別の場所で用意して本発明の実施に使用してもよい。
図3では、平坦な表面をもった接着剤層4を有する補強板3の使用について説明した。ここで、もしも図8及び図9に示すように微細な溝パターン44を表面にもった接着剤層4を有する補強板3を使用するのであるならば、リール33で補強板3からリリースライナー5を剥離して接着剤層4を露出させた後であって、カッター34によって必要な大きさに切断される前の間に、微細な溝パターンの付与工程を、例えば図14に示すように設けることができる。図示の例は、歯状ブロック方式に基づくものであり、補強板加工用歯状ブロック51を使用している。
図14の溝パターンの付与工程の詳細は、歯状ブロック方式を示した図12をあわせて参照することにより、より容易に理解することができるであろう。図12の歯状ブロック方式に基づく補強板加工装置は、歯状ブロック51と、それ動作させる単軸型ロボット52とを有している。また、補強板3は、予め定められた搬送速度で矢印方向に移動可能である。また、補強板3を介して歯状ブロック51の反対側には、固定ブロック53が配置されている。さらに、図示していないが、単軸型ロボット52の動作を制御するための制御装置も補強板加工装置に付属している。
歯状ブロック51は、任意の材料から形成することができる。歯状ブロック51及びその歯状突起は、例えばステンレス鋼(SUS)、アルミニウム、銅などの金属材料を、金型などを使用して加工することによって有利に形成することができる。場合によっては、歯状突起に相当するような断面をもったカッター刃を金属板に並列で取り付けて歯状ブロック51としてもよい。一例を示すと、歯状ブロック51は、長さ35mm及び幅20mmのサイズであり、歯状突起の高さは、例えば12.5μm、25μmなどである。また、隣接する歯状突起のピッチは、溝パターンの配置がストレート及び格子の両方の場合について共通で、通常、約200〜400μmの範囲である。
歯状ブロック方式の場合、補強板3の送り出し量は、予め設定されたものである。すなわち、補強板3は、歯状ブロック51の歯状長さ分が間欠的に送り出される。また、補強板3の供給は、ドライブロールで制御でき、また、これと同時に、接着剤層4を覆っていたカバーフィルム5が巻き取られる。固定ブロック53は、通常、補強板3のパスラインの直上に、一般的には補強板3の表面から約0.5〜1mmの位置に配置され、また、その位置調整のため、通常、ネジが用いられる。また、歯状ブロック51は、単軸型ロボット52に直結されていて、上下のストロークを例えば2μm単位で管理することができる。単軸型ロボット52のストロークは、通常50mmであるが、タクトタイムを短くするため、実動作は、約5mmに設定することが好ましい。
接着剤層4の表面に溝パターンを付与するため、接着剤層4の表面に向けて歯状ブロック51をゆっくりと上昇させ、所定の位置に達したことを歯状ブロック51及び固定ブロック53のそれぞれに取り付けたセンサ(図示せず)で検知したところで停止させる。接着剤層4の表面に対する歯状ブロック51の押し付け時間は、通常、約0.5〜10秒間の範囲であり、一例を示すと、約1秒間である。接着剤層4に歯状ブロック51の歯状突起が喰い込ませ後、歯状ブロック51を最初の位置まで下降させる。よって、補強板3の供給単位で、接着剤層4の上面に微細な溝パターンを付与することができ、具体的には、例えば図14に示したように、V字形の微細な溝パターン44を接着剤層4の表面に得ることができる。ここで、得られる溝パターン44のサイズについて一例を示すと、接着剤層4の厚さが25μmの場合、例えば10〜15μmの深さで溝パターン44を形成することができ、また、接着剤層4の厚さが50μmの場合、例えば15〜25μmの深さで溝パターン44を形成することができ
本発明方法の実施においては、図12及び図14に示した補強板加工用歯状ブロック51に代えて、図13に模式的に示す補強板加工用歯状回転ロール61を使用してもよい。図13の回転ロール方式に基づく補強板加工装置は、矢印方向に回転可能な歯状回転ロール61からなる。また、補強板3は、予め定められた搬送速度で矢印方向に移動可能である。さらに、補強板3を介して回転ロール61の反対側には、矢印方向に回転可能な押さえロール63が配置されている。
歯状回転ロール61は、図示される通り、その外周面に歯状突起を有している。歯状突起は、先に図12及び図14を参照して説明した歯状ブロック51の歯状突起と同様に構成することができるが、この回転ロール方式の特徴は、補強板3の接着剤層4の表面に対して微細な溝パターンを連続的に付与できるということである。歯状突起の数や分布は、所望とする溝パターンの詳細に応じて変更できる。
歯状回転ロール61は、任意の材料から形成することができる。歯状回転ロール61は、例えばSUS、真鍮などの金属材料から形成することができる。一例として、歯状回転ロール61は、真鍮製で、直径60mm及び長さ50mmである。押さえロール63は、例えばSUS、真鍮などの金属材料から形成することができる。一例として、押さえロール63は、SUS製で、直径60mm及び長さ50mmである。この押さえロール63の加重により、接着剤層4の表面に微細な溝パターンを付与することができる。なお、接着剤層4の厚さに応じて、それに適した形状及びサイズの歯状回転ロール61を選択し、取り替えることができる。なお、この回転ロール方式に動作は、基本的には歯状ブロック方式の動作と同様である。
さらに加えて、リール33で補強板3からリリースライナー5を剥離して接着剤層4を露出させた後であって、カッター34によって必要な大きさに切断される前の間に、補強板の搬送機構を、例えば図15に示すように設けることができる。図示の例では、複数個のダンサーロール及びドライブロールが補強板搬送機構に組み込まれている。補強板搬送機構は、好ましくは、接着剤層に対して微細な溝パターンを付与する工程を含む場合にその溝パターン付与工程の後段に設けることができる。
図15に示す補強板搬送機構は、3個のダンサーロール61、62及び63と、その後段に配置されて一対のドライブロール64とから構成される。ダンサーロール61、62及び63は、それぞれ、約50〜150mmの範囲で長さに余裕をもち、その張力は、通常、約50〜150gfである。補強板(その片面に積層された接着剤層は、説明の簡略化のために省略されている)3は、先に図14を参照して説明したように、予め設定された必要長さ分ずつリールから連続的に送り出され、その接着剤層に微細な溝パターンが付与されたものである。ダンサーロールを図示のように配置したことによって、歯状ブロック51の長さと補強板3の長さの差をダンサーロールによって吸収することができる。
また、ダンサーロールを備えた補強板搬送機構を使用することによって、歯状ブロック51のタクトタイムを制御することができる。例えば、補強板が幅5mm及び厚さ125μmのポリイミド基材からなり、接着剤層の厚さが25μmであり、さらにPET製のカバーフィルムの厚さが25μmであるとき、補強板は、必要長さが20mmであるので、20mm周期でリールから繰り出され、搬送される。搬送中の補強板の接着剤層には、長さ30mmの歯状ブロック51が圧着され、微細な溝パターンが付与される。各ドライブロール64は、3:2の割合で回転が制御される。また、補強板の繰り出しは、後段の工程における製品の搬送に連動して行われる。
図4は、本発明による補強板付きプリント配線板の製造方法のうち、補強板仮付け工程を模式的に示した断面図である。基材フィルム1は、図示されていないけれども、その回路領域にすでに配線パターン層などが作り込まれており、したがって、本発明のプリント配線板の前駆体と言うことができる。基材フィルム1は、図示される通り、リール11に巻き取った長尺物の状態で提供される。長尺の基材フィルム1は、その裏面に補強板3を取り付けるため、リール11から巻き出されて補強板仮付けステーション15に案内される。ここで、基材フィルム1の案内速度は、先に図3を参照して説明した補強板準備工程で作製され、補強板仮付けステーション15に案内される補強板3の案内速度と同期されているので、基材フィルム1に対する補強板3の取付けを正確にかつ連続的に行うことができる。補強板仮付けステーション15の上に基材フィルム1の所定の部位が到着すると同時に、補強板準備工程で作製された補強板3も4軸機構ロボット35に吸引された状態で到着し、ロボット35の下降によって基材フィルム1に押し付けられ、さらにそのロボット35に付属のヒータ棒(図示せず)によって部分的に仮付けされる。接着剤層4がヒータ棒の先端によってスポット状に加熱されるので、補強板3を基材フィルム1に仮接着し、安定に保持することができる。補強板3を支持した基材フィルム1は、その状態を維持したまま、後段の補強板本接着工程に案内される。なお、後段の補強板本接着工程に移行する前、図示していないけれども、基材フィルム1を補助ロール(段差ロール)に案内して皺取りを行ってもよい。
図5は、本発明による補強板付きプリント配線板の製造方法のうち、補強板本接着工程の好ましい一例を模式的に示した断面図である。基材フィルム1は、それに補強板3を仮付けした後、補強板本接着ステーションに案内される。ここで使用した補強板本接着ステーションは、それぞれ一対の熱ロールからなる第1の熱ロール21及びその後段の第2の熱ロール22から構成されている。それぞれの熱ロールは、任意の加熱手段を装備することができるけれども、一般的にはロールの内部にヒータが内蔵されている形が有利である。基材フィルム1は、それに補強板3を仮付けした状態で第1の熱ロール21に案内され、ここで予備的に加熱され、あわせて空気抜きが行われる。第1の熱ロール21の加熱温度は、通常、約100〜160℃であり、加圧時の圧力は、通常、約3〜7kgである。また、基材フィルム1は、第1の熱ロール21に案内されるとき、適当なテンションをかけた状態で引っ張られていることが好ましく、必要ならば、第1の熱ロール21に案内される前、加熱遅れの是正のために任意のヒータによって前加熱されてもよい。第1の熱ロール21を通過した基材フィルム1は、第2の熱ロール22に案内され、ここで本格的に加熱され、補強板3が基材フィルム1に完全に接着され、固定される。第2の熱ロール22の加熱温度は、通常、約120〜180℃であり、加圧時の圧力は、通常、約5〜10kgである。このようにして段階的な加熱を完了した後、得られた補強板付きプリント配線板10は、製品巻き取りロール25に巻き取られる。この場合の巻き取り速度は、通常、基材フィルム1に対する補強板3の積層速度に同期させるのが好ましい。
別法によれば、補強板本接着ステーションにおいて熱ロールを使用する場合、図示していないが、温度及び圧力の設定及び制御を本発明の目的にそって好適にできるならば、一対の熱ロールだけを使用して補強板の本接着を実施してもよい。例えば、補強板の厚さが150μm、接着剤層の厚さが25μm、そして接着剤の硬化温度が160℃である場合、補強板の搬送速度を0.75mm/分、熱ロールの温度を約160〜170℃、そして圧力を6kgfに設定して、連続的な本接着工程を好適に実施することができる。なお、補強板の搬送速度は、補強板の厚さと接着剤の種類から決定されるであろう。
ところで、上記した補強板本接着ステーションで熱ロールによる圧着を行う場合、本発明方法では、熱ロール圧下力制御を実施するのが有利である。図6は、図5に示した補強板本接着工程における熱ロール圧下力制御機構のメカニズムを示した模式断面図である。図示されるように、一対の熱ロール22a及び22bの間をプリント配線板10を通過させるとき、計測器23で製品位置を計測するとともに、矢印Pで示すように上方から加圧(圧下力)し、基準加圧に対して±10%以内でプリント配線板10の蛇行を制御することができる。なお、加圧時の圧力は、例えば6kg±600gである。
図示のような熱ロール圧下力制御機構は、プリント配線板に貼り付けられている補強板に由来する凹凸状態の問題を解消するのに有効である。プリント配線板に凹凸状態がある場合、皺や蛇行が発生するおそれがあるからである。この機構を採用すると、張力制御下に熱ロール圧着を行うとき、プリント配線板の位置を正確に計測して熱ロールの左右バランスの圧下力制御ができる。また、熱ロールは円筒形の形状を有しているので、プリント配線板内の回路領域の長さ方向の大きさを気にすることなく、常に一定の加圧が可能である。
図16は、接着剤層に溝パターンが付与された補強板を、熱プレス機を使用して一括して本接着する工程を模式的に示した断面図である。この熱プレス方式は、微細な溝パターンを表面にもった粘着剤層を積層した補強板を使用する場合に特に有利である。
図16の補強板本接着装置は、補強板3を仮止めした基材フィルム1を挟んで、上方の熱プレス板61aと下方の熱プレス板61bとから構成される。これらの熱プレス板は、本接着時、矢印方向に加圧され、基材フィルム1に対する補強板3の本接着に寄与することができる。なお、図では、説明の簡略化のために3個の補強板3を一括して本接着する工程が示されているが、2個あるいは4個もしくはそれ以上の補強板を一括して本接着することももちろん可能である。
図示の補強板本接着装置は、例えば、次のようにして運転することができる。熱プレス板61a及び熱プレス板61bは、それぞれ、プレス板の長さ200mm、プレス板の温度160℃、そしてプレス圧力200kgf(補強板単位の加重20kgf)である。プレス時間は、約20秒間から約2分間であり、補強板及び接着剤層の詳細などに応じて変更可能である。熱プレス工程は間欠的に行われるので、プレス時間と補強板搬送時間の繰り返しで、本接着処理を連続的に行うことができる。また、プレス時間及びプレス圧力は、補強板の厚さ及び接着剤の種類によって決定される。
この補強板本接着装置の場合には、基材フィルム1と補強板3の接着剤層の界面に閉じ込められた気泡は、接着剤層の溝を伝わって外部に駆出される。接着剤層に溝があるので、基材フィルムと接着剤層の接着面とは点もしくは線接触の状態で保持されているところを、熱プレス板による加圧の結果、溝から気泡が移動して、短時間のうちに外部に抜け出ることができる。補強板3の温度が、接着剤の熱硬化温度に達する前の段階で気泡が外部に抜け出ることができるので、基材フィルム1と補強板3を完全に一体化することができ、両者の界面に接着剤層の溝が残るようなこともない。実際に、この手法を採用すると、プレス時間を従来の方法の1/10以下にまで短縮することができ、生産性及び品質の向上に大きく貢献することができる。本接着処理工程の完了後、得られた補強板付きプリント配線板10は、製品巻き取りロール25に巻き取られる。
図17は、図16に示した補強板本接着工程において、圧着処理の前(A)及び圧着処理の後(B)における接着剤層の溝パターンの変化を模式的に示した断面図である。圧着処理の前では、補強板3はまだフィルム基材1に仮付け状態であるため、接着剤層4に凹凸がある状態でフィルム基材1に接着されているにすぎない。しかし、圧着処理の完了後では、熱プレス機に加えられた圧力及び温度の作用を受けて、溝の部分を介して気泡を外側に押出しつつ凹凸が押しつぶされるので、接着剤層4がフィルム基材1に完全に密着し、一体的に結合した状態が得られる。なお、図中、参照番号42は、フィルム基材1の表面に予め定められたパターンで形成されている配線パターンを指している。
本発明方法は、以上に説明した一連の工程によって補強板付きプリント配線板を製造した後、プリント配線板に配線パターン層の側にカバーレイフィルムを設ける工程をさらに含むことが好ましい。カバーレイフィルムの積層は、常法に従って実施することができる。カバーレイフィルムは、先に説明したように、例えばポリイミドフィルム、エポキシ樹脂フィルムなどの絶縁性プラスチックフィルムを接着剤層を介してプリント配線板の配線パターン側に貼付することで形成できる。カバーレイフィルムの厚さは、配線パターンの種類や厚さなどに応じて広い範囲で変更することができるが、通常、約5〜50μmの範囲である。
図18は、本発明によるカバーレイフィルムを被覆した補強板付きプリント配線板の好ましい1形態を模式的に示した断面図である。図示のプリント配線板10は、先に図1を参照した長尺のプリント配線板10と同様な構造を有している。すなわち、プリント配線板10は、フレキシブルなフィルム基材1からなり、裁断線cで裁断することによって個々のプリント配線板に加工することができる。それぞれのプリント配線板は、その回路領域に配線パターン42を有している。フィルム基材1の配線パターン42の側には、その全体を覆ってポリイミドからならカバーレイフィルム43が積層されている。フィルム基材1の反対側には、接着剤層4を介して補強板3が積層されている。
実施例1
本例では、図1に示したようなフレキシブルプリント配線板を、補強板及び基材フィルムをそれぞれ図3及び図4に示すようにリールから巻き出して積層し、仮付けし、さらに図5に示すように本接着することによって、製造した。以下、それぞれの工程を説明する。
1.製品の管理
プリント配線板の製品は、品種により1製品の長さ及び幅が異なってくる。本例の製品(補強板取付け前)は、スプロケットホールの数が8個であり、長さが38mm、そして幅が70mmである。図1では便宜上2個の製品のみが示されているが、実際には多数の製品が長尺のテープに連続して、幅方向に1製品ずつ、作り込まれている。したがって、テープ状の製品は、通常、リールに巻き取った上で、1製品の長さと製品幅内での製品数で管理することができる。
2.製品の搬送
リールに巻き取られている製品を巻き出して、補強板仮付けステーションに搬送する。製品の搬送は、製品の長さ単位で行う。製品の長さ単位は、通常、スプロケットホールの数に基づいて設定され、その設定値が予め操作パネルに入力される。
3.補強板の送り出し量
補強板もリールに巻き取った状態で提供され、使用時にリールから送り出され、必要な大きさで切断される。補強板は、予め設定された長さ分だけ送り出される。送り出しは、製品の搬送に連動して行なわれる。
4.製品に対する補強板の貼り付け
製品に対して補強板を貼り付けため、その貼り付け位置についての設計情報を予め各製品に対してテーチングする。この設計情報をCAD情報(設計寸法の情報)をベースに補正し、実製品で補正したテーチング内容(決定された設計情報)が4軸機構ロボットに登録される。
さらに、補強板の幅と端の位置が画像計測器で計測される。製品の位置も画像計測され、それらの情報から、4軸機構ロボットの位置制御機能により高精度で製品位置が認識される。したがって、補強板が製品の所定の部位に正確に押し付けられる。
5.補強板の仮付け
補強板は、補強板仮付けステーションにおいて、製品に押し付けられると同時に、4軸機構ロボットに付属の加熱ピンの当接によってその一部分が数秒間にわたって加圧下に加熱される。加熱ピンの温度と当接時間は、補強板の厚さと補強板の接着剤層の特性によって決定される。一例を挙げると、補強板の厚さが200μmであり、接着剤の硬化温度が140℃である場合、加熱ピンの温度が300℃で加圧時間3秒の短時間で、あるいは加熱ピンの温度が400℃で加圧時間2〜4秒の短時間で、それぞれ製品に対して補強板を仮付けすることができる。
なお、本例では加熱ピンを補強板に押し付けて補強板の仮付けを行っているけれども、必要ならば、製品に加熱ピンを押し付けることによって補強板の仮付けを行ってもよい。また、本例では幅方向に1製品のみ作り込まれている長尺のテープを使用しているけれども、幅方向に2製品の場合には、補強板の仮付けをそれぞれの製品に対して繰り返し実施すればよい。
6.補強板の本接着
補強板を仮付けした製品を、後段の補強板本接着ステーションに搬送する。製品の補強板は、部分付けされているため、脱落せずに熱ロールに搬送される。
補強板本接着ステーションは、2段の熱ロールから構成されている。それぞれの熱ロールは、独立して温度と圧力を設定し、かつ制御することが可能である。熱ロールのサイズ(直径)は、同一でも異なっていてもよいが、回転速度は同一である。それぞれの熱ロールの温度、圧力及び回転速度は、補強板の厚さ、補強板の接着剤層の物性及び種類によって決められる。
補強板を仮付けした製品は、初段の熱ロールを通過されられるとき、先行する工程で製品と補強板の間に巻き込まれた空気を除去することができるばかりでなく、所定の温度及び圧力が熱ロールから加えられるので、製品に対する補強板の接着力を高めることができる。次いで、第2段の熱ロールを通過させられるとき、初段の熱ロールよりも高い温度及び圧力が加えられるので、製品に対する補強板の接着力をより高め、本接着を完了することができる。なお、熱ロールの温度、圧力及び回転速度についての一例を示すと、補強板の厚さが200μmであり、接着剤の硬化温度が140℃であり、接着剤層の厚さが40μmであるとき、
初段の熱ロール:
温度…140〜150℃、圧力…5〜6kg、回転速度…0.75m/分
第2段の熱ロール:
温度…160〜170℃、圧力…6〜7kg、回転速度…0.75m/分
である。
ところで、本例の場合、補強板仮付けステーションと補強板本接着ステーションの間に張力制御のための段差ロールが設けられている。製品の張力は、その製品の幅によって変動するけれども、通常、約200g〜1kgの範囲で制御される。
また、本製品は、補強板を備えているので、その表面に補強板の存在に原因した凹凸からなる表面隆起構造が付与されており、かつ熱ロールは、熱により幅方向(製品の搬送方向と直角な方向)に僅かな膨張差があるので、これらの組み合わせに原因して搬送中の製品が蛇行を生じることがある。しかし、本例の場合、次のような機構でこれを制御している:熱ロールの左右に配置されているシリンダーの圧力を計測することにより、製品が右に寄れば右側のシリンダーの圧力を弱めるか、さもなければ左側のシリンダーの圧力を強める。その反対に製品が左に寄れば左側のシリンダーの圧力を弱めるか、さもなければ右側のシリンダーの圧力を強める。このようにして製品の蛇行を防止することができ、また、その際、圧力の制御範囲は、設定圧力の±10%以内である。
7.完成品の巻き取り
最後の熱ロールを出た完成品(補強板付きの製品)は、その補強板側に当接させたインターリーフ(指しこみフィルム)とともにリールに巻き取られる。リールの巻き取り速度は、補強板本接着ステーションにおける製品の搬送速度と同期されている。
8.監視システム
本例では、監視システムを別に取付け、補強板仮付けステーション及び補強板本接着ステーションを出た後の製品をCCDカメラによって撮影した。撮影された画像を処理することで補強板の位置ズレ、補強板の有無などを計測し、必要に応じて警報ランプの点灯、装置の停止などを行うことができた。
実施例2
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、補強板として、平坦な表面を有する接着剤層を備えた補強板の代わりに、微細な溝パターンを表面に有する接着剤層を備えた補強板を使用した。なお、本例では、先に図12及び図14を参照して説明した歯状ブロック51を使用して、V字形の断面をもったストライプ状の細溝の複数本を接着剤層の表面に付与した。
1.接着剤層に対する細溝パターンの付与
補強板は、その片面に接着剤層を積層した状態でリールに巻き取られている。使用時、予め設定された長さ分だけリールから繰り出される。次いで、繰り出された補強板の接着剤層に補強板加工用歯状ブロックを押し付け、V字形断面の細溝を加工する。歯状ブロックは、SUS製のブロック(長さ35mm×幅20mm)で、その表面に三角形の断面をもった歯状突起が並列で配列されている。本例では、ストレートな細溝パターンを接着剤層の表面に付与することを意図しているからである。歯状突起の高さは、15μm又は25μm(2種類)である。また、隣接した歯状突起のピッチは、200μm又は400μm(2種類)である。歯状ブロックは、付属の単軸ロボットによって上下に移動可能である。補強板の上面には、その補強板の表面から約1mmの距離にSUS製固定ブロックも配置されている。
厚さ125μmのポリイミド樹脂フィルムとその片面に厚さ25μmで積層したアクリル系接着剤の接着剤層とからなる補強板(全厚150μm)を使用した場合には、歯状ブロックの歯状突起の高さが15μmのとき、約50〜80kgfで押し付けるのみで、接着剤層にV字形断面の細溝を加工することができる。
一方、歯状ブロックの歯状突起の高さが25μmのときでは、ストローク制御の初期設定が必要であり、本例ではその方策が施されている。すなわち、単軸ロボットのストローク50mmの下限を原点とする。上限50mmを操作しても固定ブロックのセンサにより100μmで停止可能なように、安全策が施されている。この停止位置は、固定ブロック面から25μmから1,000μmまで設定できる。本例では、停止設定値が150μmである。
補強板の接着面に歯状ブロックをゆっくりと上昇させ、所定の位置まで上昇したところでセンサの指示により停止させる。次いで、歯状突起の先端と補強板の接着面への接触状態を確認する。接着面に歯状突起の先端が接触していなければ、微調整で、接触するまで歯状ブロックを上昇させる。もしも歯状突起の先端が接着面に喰い込んでいれば、微調整で、接触点まで下降させる。
上記の歯状ブロックの操作に際して、単軸ロボットのストロークの原点からの位置に喰い込み量(凹凸深さ)15μmを加算する。この加算位置を深さ位置として登録する。この登録が0点(0μm)であり、この深さ位置から−(マイナス)5,000μm(5mm)の位置を操作原点とする。本例の場合、操作ストロークは、5015μmとなり、このストロークのとき、0μmで停止する。なお、センサの停止位置に関して、その微調整の補正値から−10μmを、安全のため、再停止位置として設定してある。また、本例で使用したセンサは、CCDレーザー変位計(商品名「LK−010」、キーエンス社製)である。このようにして、約10〜15μmの深さをもったストライプ状のV字形細溝パターンを補強板の接着剤層に付与することができる。また、カバーレイフィルムを使用する場合には、そのカバーレイフィルムの接着剤層にも上記と同様な方法によって細溝パターンを付与することができる。
2.補強板の切断
V字形細溝パターンを補強板の接着剤層に付与した後、カッターとロボットからなる切断機構(先に図3を参照して説明した工程を参照)に案内し、カッターによって必要長さに切断した後、ロボットによって保持する。製品への補強板の貼り付け位置は、ロボットにより正確に決定することができる。
3.補強板の仮付け
切断後の補強板を製品に仮付けするため、ロボットによって保持された補強板を補強板仮付けステーションに案内する。ここでは、補強板が製品に押し付けられると同時に、4軸機構ロボットに付属の加熱ピンの当接によってその一部分が数秒間にわたって加圧下に加熱される。補強板を仮付けした製品が得られる。
4.補強板の本接着
本例では、図16を参照して先に説明した熱プレス方式を採用した。補強板本接着装置は、上方の熱プレス板と下方の熱プレス板とからなり、その運転条件は、下記の通りである:プレス板の長さ:200mm、プレス板の温度:160℃、プレス圧力:200kgf(補強板単位の加重20kgf)、プレス時間:約30秒間。2枚の熱プレス板の間に基材フィルムをサンドイッチして加圧した。加圧下において、補強板の接着剤層の界面に閉じ込められた気泡は、接着剤層の溝を伝わって外部に駆出された。基材フィルムと補強板が完全に一体化した積層体が得られた。
5.完成品の巻き取り
上記のようにして本接着処理が完了した後、得られた完成品(補強板付きの製品)をその補強板側に当接させたインターリーフとともにリールに巻き取る。
本発明の1態様による補強板付きプリント配線板の好ましい1形態を示した平面図である。 本発明の1態様による補強板付きプリント配線板の製造方法を、順を追って示したフローシートである。 本発明の1態様による補強板付きプリント配線板の製造方法のうち、補強板準備工程を模式的に示した断面図である。 本発明の1態様による補強板付きプリント配線板の製造方法のうち、補強板の仮付け工程を模式的に示した断面図である。 本発明の1態様による補強板付きプリント配線板の製造方法のうち、補強板の本接着工程を模式的に示した断面図である。 図5に示した補強板本接着工程における熱ロール圧力制御のメカニズムを模式的に示した断面図である。 本発明で使用される補強板の好ましい1形態を示した断面図である。 本発明で使用される補強板のもう1つの好ましい形態を示した断面図である。 本発明で使用される補強板のもう1つの好ましい形態を示した断面図である。 本発明の補強板に積層された接着剤層に適用可能な微細なストレート溝パターンを模式的に示した断面図である。 本発明の補強板に積層された接着剤層に適用可能な微細な格子溝パターンを模式的に示した断面図である。 補強板に対する微細な溝パターンの付与方法の一例を模式的に示した断面図である。 補強板に対する微細な溝パターンの付与方法のもう1つの例を模式的に示した断面図である。 図12に示した溝パターン付与工程を含む補強板準備工程を模式的に示した断面図である。 溝パターンを付与した後の補強板の搬送工程を模式的に示した断面図である。 熱プレス機を使用した補強板の一括本接着工程を模式的に示した断面図である。 図16の本接着工程において、処理の前(A)及び処理の後(B)における接着剤層の溝パターンの変化を模式的に示した断面図である。 本発明による補強板付きプリント配線板のもう1つの好ましい形態を模式的に示した断面図である。
符号の説明
1 フィルム基材
2 回路領域
3 補強板
4 接着剤層
5 リリースライナー
10 補強板付きプリント配線板
11 フィルム基材のリール
21 熱ロール
22 熱ロール
25 製品巻き取りロール
31 補強板のリール
34 カッター
35 4軸機構ロボット
36 仮付けヒータ棒
42 配線パターン
43 カバーレイフィルム
44 微細な溝パターン

Claims (11)

  1. 基材フィルムとその表面の回路領域に作り込まれた配線パターン層とを少なくとも含みかつ表面及び(又は)裏面の少なくとも一部の領域に補強板を備えたフレキシブルなプリント配線板を製造する方法であって、
    前記プリント配線板に対応する少なくとも1個の回路領域が規定された長尺の基材フィルムを作製する工程、
    前記回路領域のそれぞれに前記配線パターン層を形成する工程、
    前記回路領域のそれぞれに前記配線パターン層を形成する前、その間もしくはその後、前記基材フィルムを連続して移動させるととともにその移動中の基材フィルムの所定の位置に、現場でもしくは別の場所で作製した補強板を、接着剤層を介して貼付する工程、
    前記基材フィルムと前記補強板の積層体を切断して、それぞれ前記配線パターン層及び前記補強板を有する前記プリント配線板を個別に分離する工程
    を含み、かつ
    前記補強板貼付工程を補強板仮付け工程とその後段の補強板本接着工程の2段階で実施することを特徴とするフレキシブルなプリント配線板の製造方法。
  2. 前記補強板を前記基材フィルムの移動速度にあわせて連続して案内し、前記基材フィルムとの合流点において前記接着剤層を介して前記基材フィルムに貼付することを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
  3. 前記補強板において、前記基材フィルムに対する貼付面に前記接着剤層が積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント配線板の製造方法。
  4. 前記補強板の前記接着剤層の表面に微細な溝パターンを形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のプリント配線板の製造方法。
  5. 前記補強板仮付け工程において、前記補強板を少なくとも部分的に加熱して前記基材フィルムに仮接着することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  6. 前記補強板本接着工程において、仮付け後の補強板を全体的に加熱して、前記接着剤層の硬化により前記補強板を前記基材フィルムに完全に接着し、固定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  7. 前記配線パターン層を有するかもしくは有しない基材フィルムをリールに巻き取った状態で使用し、後段の工程に案内する間に前記リールから巻き出す工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  8. 前記補強板をリールに巻き取った状態で使用し、前記補強板貼付工程に案内する前、前記リールから巻き出し、所要の大きさに切断する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  9. 前記プリント配線板分離工程の前、前記基材フィルムと前記補強板の積層体をリールに巻き取る工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  10. 前記プリント配線板の配線パターン層の側にカバーレイフィルムを被覆する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法によって製造されたことを特徴とするフレキシブルなプリント配線板。
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