JP4489686B2 - ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
中でも(チューブ状)ポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルム、ケーシングは、魚肉、生肉等をレトルト殺菌処理し、長期保存可能な製品とすることができるため有用である。レトルト殺菌は、通常120℃で20分程度の加熱処理によって行われるが、この加熱処理時に内容物の膨張によりフィルム、特にそのシール部が破裂する場合が有り、製品歩留まりを下げる要因となっている。これは、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の再結晶化速度が充分ではないために、シール強度が低いということが原因の一つとして上げられる。
1.ポリ塩化ビニリデン系樹脂(A)、層状ケイ酸塩を有機オニウム塩によって処理することによって得られる有機化層状ケイ酸塩(B)、エポキシ系添加剤(C)からなることを特徴とするポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物。
2.エポキシ系添加剤がエポキシ化ステアリン酸オクチルであることを特徴とする1.記載のポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物。
3.有機オニウム塩が極性基を含有することを特徴とする1または2記載のポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物。
4.層状ケイ酸塩が式(a)に表されるような合成フッ素化雲母であることを特徴とする1〜3のいずれかに記載のポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物。
Na(orK)Mg2.5Si4O10(FαOH1−α)2 (a)
5.ポリ塩化ビニリデン系樹脂(A)、有機化層状ケイ酸塩(B)、エポキシ系添加剤(C)を溶融混練してポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物を得る際、有機化層状ケイ酸塩を予めエポキシ系添加剤で膨潤処理した後、ポリ塩化ビニリデン系樹脂と溶融混練することを特徴とする1〜4のいずれかに記載のポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物の製造方法。
6.前記1.〜4.のいずれかに記載のポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物をインフレーション成形することによって得られるポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルム。
本発明におけるポリ塩化ビニリデン系樹脂とは、塩化ビニリデンと塩化ビニリデンに共重合可能な少なくとも一種の他の単量体との共重合体である。共重合体中の他の単量体量は40〜2質量%、押出加工性とガスバリア性とのバランスから好ましくは35〜4質量%が好ましい。他の単量体としては塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アルキルアクリレート、アルキルメタアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリルニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、ビニルアルキルエーテル、ビニルアルキルケトン、アクロレイン、アリルエステルおよびエーテル、ブタジエン、クロロプレンを含む。三元、四元以上の共重合体であってもよい。中でも塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体及び塩化ビニリデン−アルキルメタクリレート共重合体が好ましく用いられる。
本発明に用いる塩化ビニリデン系共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法による重量平均分子量が8万以上15万以下であるものが好ましく、フィルム強度の観点から、分子量は8万以上、溶融粘度、押出成形時熱分解の抑止の観点から、分子量は15万以下が好ましい。
Na(orK)Mg2.5Si4O10(FαOH1−α)2 (a)
本発明における有機オニウム塩による層状ケイ酸塩の処理方法としては特に制限はないが、水やアルコールなどの親水性溶媒に層状ケイ酸塩を分散させ、さらに有機オニウム塩を添加、溶解して攪拌混合することでイオン交換処理を行った後、ろ過、洗浄、乾燥する方法を用いることができる。アミン化合物や両性イオン化合物を用いる場合においては、塩酸等により親水性溶媒を酸性にした上で層状ケイ酸塩を分散させ、アミン化合物や両性イオン化合物を陽イオン化した上でイオン交換を行う方法を用いることができる。このようにして得られる有機化層状ケイ酸塩の一例として、SouthernClay社製Cloisiteシリーズ、コープケミカル社製ソマシフシリーズがあげられるが、上述のような水酸基を含む有機変性剤を含有するものとしてはSouthernClay社製のCloisite30B(商品名)、コープケミカル社製ソマシフMEE(商品名)が挙げられる。
本発明におけるポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物の調製方法は特に限定はなく、通常の当該分野で用いられる方法が使用できる。中でも好ましい方法として、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、層状ケイ酸塩、エポキシ系添加剤を予め混合した後、押し出し機によって溶融混練する方法が良い。中でも最初に層状ケイ酸塩とエポキシ系添加剤を予め混合(膨潤処理)した後、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を添加する方法が好ましい。この方法で得られるポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物の透明性、ガスバリア性は高くなる。層状ケイ酸塩とエポキシ系添加剤を混合するための混合機自体には特に制限は無く、通常用いられるミキサーを用いることができる。例えば、ダルトン社製の万能混合機、カワタ社製のスーパーミキサーなどが挙げられる。次にポリ塩化ビニリデン系樹脂を添加して混合する場合の混合機としては、ヘンシェルミキサー、ターンブレンダーなどを用いことができる。また、溶融混練の際の押し出し機に特に制限はなく、単軸、2軸どちらでも使用できる。
得られるポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物のガスバリア性の観点から、有機化層状ケイ酸塩は上記下限値以上が好ましい。一方、得られるポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物の透明性の観点から、有機化層状ケイ酸塩は上限値以下が好ましい
また、得られるポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物の透明性の観点から、エポキシ系添加剤は上記下限値以上が好ましく、得られるポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物のガスバリア性の観点から、上記上限値以下が好ましい。
本発明のポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物は、押出成形上必要に応じて、その他各種添加剤を加えることも可能である。
本発明によるポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物は、公知の成形手段、例えば、インフレーション法、Tダイ法等の押出成形法、射出成形法、ブロー成形法により、発泡シート、ボード成型、ラップ、フィルム、シート等に成形することができる。また、本発明の組成物は共押出やラミネートなどの方法により多層フィルムや多層シートに成形することもできる。中でもインフレーション成型によって得られるフィルムは、ガスバリア性、力学物性に優れる。
1)透明性予備試験
ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物シートの透明性予備試験評価は、下記の指標に基づき、実施例で示す方法で得られる熱プレスシートを目視で観察することによって行った。
◎:ポリ塩化ビニリデン系樹脂のみのシートと全く同等の優れた透明性を有する
○:ポリ塩化ビニリデン系樹脂のみのシートよりは若干透明性が劣るが、ほぼ同等の透明性を有する
△:ポリ塩化ビニリデン系樹脂のみのシートよりかなり透明性が劣り、全体にヘイズは悪化している。
×:熱分解による着色がひどく、茶色っぽいシミがシート全体に認められる。
フィルムの酸素ガス透過係数(OTR)測定はガス透過測定装置(東洋精機社製)を用い40℃、65RHの条件で測定した。
3)フィルムの引っ張り弾性率
ASTM−D−882に従いフィルムの引っ張り弾性率を測定した。
4)へイズ測定
27℃の室温において、ASTM−D−1003に従いヘイズを測定した。測定装置としては、日本電色社製NDH−300A(商品名)を用いた。
実施例に記載の方法で得られたフィルムから、5〜10mgの試料を採取してアルミニウム製パンに挟み、熱示差分析装置(パーキンエルマー社製PYRISDiamond(商品名))を用いて再結晶化(下記ステップ3)に伴う発熱量(H1)、温度(Tc)を測定し、再結晶化速度の指標とした。測定は窒素雰囲気下で行い、測定の際には以下のステップの順で温度を変化させた。
ステップ1:昇温速度10℃/minで30℃から200℃まで昇温
ステップ2:200℃で2minの定温保持
ステップ3:降温速度30℃で200℃から10℃まで降温
有機化層状ケイ酸塩としてコープケミカル社製MEE(商品名)3.0gとエポキシ系添加剤としてエポキシ化ステアリン酸オクチル(EOSt)3.0gを乳鉢で混合することで複合材料を得た。これに、懸濁重合で得られた重量平均分子量が12万であるポリ塩化ビニリデン系系共重合体樹脂(ポリ塩化ビニリデン/塩化ビニル共重合体=88/12重量%、平均粒子径300μm)を94g加え、更に手動で10分混合した。この組成物を東洋精機社製、ラボプラストミル(商品名)を用いて溶融混練した。混練温度は170℃、混練時間は2分、ローターの回転数は50rpmであった。得られたポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物をこの組成物を熱プレス機によって170℃で2分加熱し、0.4mmの厚みにプレス成形したものを、冷却水を循環させた低温プレス機により30℃付近まで急冷することでシートを得た。
各成分の組成比を、表1に示した値に変える以外は実施例1と全く同じ条件でポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物シートを得た。
実施例1のエポキシ化ステアリン酸オクチル(EOSt)を、エポキシ化大豆油(ESO)に変えること以外は全く実施例1と同じ方法で塩化ビニリデン系樹脂組成物シートを得た。
実施例1のエポキシ化ステアリン酸オクチル(EOSt)を、エポキシ化アマニ油(ELO)に変えること以外は全く実施例1と同じ方法で塩化ビニリデン系樹脂組成物シートを得た。
実施例1の有機化層状ケイ酸塩MEEを、SouthernClay社製Cloisite30B(商品名)に変えること以外は全く実施例1と同じ方法で塩化ビニリデン系樹脂組成物シートを得た。
実施例1の有機化層状ケイ酸塩MEE(商品名)を、コープケミカル社製MAE(商品名)に変えること以外は全く実施例1と同じ方法でポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物シートを得た。
有機化層状ケイ酸塩を使わないこと以外は全く実施例1と同様の方法でポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物シートを作成した。
添加剤を全く用いないこと以外は全く実施例1と同様の方法でポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物シートを作成した。
有機化層状ケイ酸塩としてコープケミカル社製MEE(商品名)100gと添加剤としてエポキシ化ステアリン酸オクチル(EOSt)200gを大型混合釜で、スリーワンモーターを用いて常温で10分間混合することで複合材料を得た。これに、ジブチルセバケート(DBS)640gを加えて混合した。 この混合物と懸濁重合で得られた重量平均分子量が12万であるポリ塩化ビニリデン系共重合体樹脂(ポリ塩化ビニリデン/塩化ビニル共重合体=88/12重量%、平均粒子径300μm)9060gをカワタ社製高速ミキサーを用いて300rpmで5分間混合してポリ塩化ビニリデン系樹脂複合体を得た。本複合体を、先端にスリット1.0mmで口径50mmの円形押出ダイを取り付けた口径40mm、L/D=20の押出機に供給し、管状押出した。この管状体を過冷却後、インフレーション2軸延伸法を用いて流れ方向3倍、幅方向4倍の2軸延伸を行って管状フィルムをピンチロールで折り畳んで、目標厚み40μmの折り巾が約30cmフィルムを作製した。
表2に示すような組成比になるように、組成物の混合比率を変えること以外は、実施例7と同じ条件でポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物フィルムを得た。
有機化層状ケイ酸塩を用いないこと以外は、実施例7と同じ条件でポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物フィルムを得た。
添加剤としてエポキシ化ステアリン酸オクチル(EOSt)の代わりにジブチルセバケート(DBS)を表2に示すような組成比で用いること以外は実施例1と同じ条件で、ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物フィルムを得た。
Claims (6)
- ポリ塩化ビニリデン系樹脂(A)、層状ケイ酸塩を有機オニウム塩によって処理することによって得られる有機化層状ケイ酸塩(B)、エポキシ系添加剤(C)からなることを特徴とするポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物。
- エポキシ系添加剤がエポキシ化ステアリン酸オクチルであることを特徴とする請求項1記載のポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物。
- 有機オニウム塩が極性基を含有することを特徴とする請求項1または2記載のポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物。
- 層状ケイ酸塩が式(a)に表されるような合成フッ素化雲母であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリ塩化ビニリデン系樹脂樹脂組成物。
Na(orK)Mg2.5Si4O10(FαOH1−α)2 (a) - ポリ塩化ビニリデン系樹脂(A)、有機化層状ケイ酸塩(B)、エポキシ系添加剤(C)を溶融混練してポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物を得る際、有機化層状ケイ酸塩を予めエポキシ系添加剤で膨潤処理した後、ポリ塩化ビニリデン系樹脂と溶融混練することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物をインフレーション成形することによって得られるポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルム。
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