JP4487475B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体に対してインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に関し、より詳しくは、記録媒体の反りを矯正する手段を有するインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
さらに、本発明はインクジェット記録媒体に関するものであり、特にカール特性が改良されたインクジェット記録媒体に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
記録媒体の記録面上に微小液滴状のインクを噴射させて画像記録を行うインクジェット記録装置は、近年の技術進歩により銀塩写真に迫る高画質化並びに装置の低コスト化が可能となるに及び、急速に普及するに至っている。
【0004】
係るインクジェット記録装置においては、微小液滴状のインクを噴射させて画像記録を行う構成となっているために、より高画質の画像プリントを実現するためには、所定の位置に適切にインクを着弾させることが必須条件とされている。従って、このような理由から記録ヘッドと記録媒体を可能な限り近接させて記録を行うことが要求されることになった。
【0005】
しかしながら、係るインクジェット記録装置に用いられる記録媒体の基材は、主として紙材等により構成されているために、該記録媒体には反りが生じ、これを原因として、該記録媒体と当該インクジェット記録装置における記録ヘッドが接触するという問題が生じる場合があった。
【0006】
このように、記録媒体に反りが生じ、該記録媒体と当該インクジェット記録装置における記録ヘッドが接触してしまうと、より高画質の画像プリントを実現するための必須条件とされている「所定の位置に適切にインクを着弾させること」を満たすことが不可能になるために、画像プリントの画質劣化を招くことになった。また、記録ヘッドとの接触により、該記録媒体の記録面が傷つき汚れたり、最悪の場合には、当該記録媒体が装置内部で詰まってしまう、所謂紙詰まりが生じることになった。
【0007】
特に、該記録媒体がロール状に巻かれたロール状記録媒体である場合には、巻き癖によって該記録媒体の反りの度合いが強まるために、該記録媒体と当該インクジェット記録装置の記録ヘッドとの接触の問題はより深刻になった。
【0008】
仮に、この接触問題を解決するために、該記録媒体と当該インクジェット記録装置の記録ヘッド間の距離を適切な値に設定しようとしても、該記録媒体の特性によってその反りの度合いは変化するために、さらには、同一の記録媒体であっても、ロール状に巻かれたロール状記録媒体においては、その巻き残量によってその反りの度合いが変化するために、該記録媒体と当該インクジェット記録装置の記録ヘッド間の距離を適切な値に設定することは困難であった。
【0009】
また一方で、前記記録媒体が当該インクジェット記録装置より排出された後においても、その反りを有していると、これを重ねて載置する排紙トレイでのストック性が悪くなるという問題があった。さらに、反りを有する記録媒体は取扱い性が悪く、これを製品や商品として扱うことは困難であるという問題があった。
【0010】
一方、近年、インクジェット記録においては、高画質、高速印字が求められてきている。その為には、インク吸収量及びインク吸収速度を高め、光沢性等を改良したインクジェット記録媒体が要求されてきている。
【0011】
インクジェット記録媒体としては、インク吸収層の形態により大きく2種類に分けられる。一方は、膨潤型インク吸収層を有するインクジェット記録媒体であり、光沢性に優れているが、インク吸収速度が遅く、カラーブリード、あるいはビーディングが発生し、画質劣化を引き起こす。
【0012】
一方、少量の水溶性バインダーと架橋剤、及び多量の無機顔料で構成される多孔質な空隙層からなるインク吸収層を有する空隙型インクジェット記録媒体であり、インク吸収速度が速く高画質を得られるが、空気が乾燥しているときなどは、割れやすく記録媒体表面に細かなひびが発生し、画質を損ねる。
【0013】
これらのインクジェット記録媒体に用いられる水溶性バインダー或いは吸水性樹脂を増加させることで安定な皮膜を形成させることができるが、水溶性バインダーを多く用いると、環境条件、主に湿度の変化によって、樹脂自体が膨潤、収縮して体積変化を起こす結果、記録媒体がカールを生じる。
【0014】
これらのインク吸収層に用いられる水溶性バインダーの代わりに樹脂微粒子を添加し環境変動を抑制しても、水性インクで記録し、インクを吸収した直後は部分的凹凸を生じる。
【0015】
特に記録媒体の基材が紙の両面を樹脂でコートした、所謂RC原紙の場合、基材の環境変動による体積変化が小さいので、インク吸収層側と基材側とでの膨張率の差が大きくなり、よりカールが生じやすい。
【0016】
また、画像の連続、大量作製では、シートではなくロール紙の必要性が高まってきている。商業用プリンター(大判プリンター)だけでなく、パーソナルユースのプリンターでもロール状記録媒体が使われ始めている。
【0017】
ロール状記録媒体の取扱い性や装置の大きさの制約等から、コア芯の直径も小さいものが求められ、ロール状記録媒体では印字前で既にカールが生じており、環境条件によらず記録媒体はカールを有している。
【0018】
このようなカールが生じたままで、インクジェットによる画像記録が行われると、前述のように記録時にはヘッドに接触したり、ヘッドと記録媒体との距離に変動が起こったりして印字品質に問題が発生し、また、印字後においては、そのままカールや部分的凹凸が残ったままとなると、画像鑑賞する際の品質を損ねるだけでなく、記録媒体をアルバム、額縁、袋などに保存する場合に障害となる。また、画像をそのまま壁等に貼り付けした場合、カールによって画像の一部が見えなくなったりもする。こうした強いカールを手などで強制的に矯正しようとすると画像部分に損傷を与えてしまうこともあった。
【0019】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、記録媒体に対して加熱加圧処理を施すことで、前記記録媒体の反りを平坦に矯正するインクジェット記録装置、更には、記録媒体の特性、反りの度合い、巻き残量等に応じて、適切に加熱加圧処理を施すことで、前記記録媒体の反りを平坦に矯正して、高画質の画像プリントを実現し、また、反りの無い画像プリントを作成することのできるインクジェット記録装置を提供するものである。
【0020】
本発明の別の目的は印字前の媒体に特定のカールを付与し、ある特定の加熱、加圧の同時処理を行ったとき、矯正カールがほぼ平面とすることが可能なインクジェット記録媒体を提供することにあり、さらには、それを用いた画像形成方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は以下の構成により達成される。
【0022】
請求項1に記載のインクジェット記録装置は、巻回されていたロール状記録媒体を引出し搬送する記録媒体搬送部と、前記ロール状記録媒体の巻き残量を検知する検知手段と、引き出された前記ロール状記録媒体の反りの度合いを検出する反りセンサと、ゴムローラである加圧ローラ、前記ゴムローラの2倍以上の強度を有する金属ローラでなり加熱装置を有する加熱ローラ、前記加熱ローラに懸架され前記加熱ローラに従動する従動ベルト、及び、前記従動ベルトに対向する位置に設けられた押圧部を備え、前記加熱ローラと前記加熱ローラに対向する位置に設けられた前記加圧ローラとにより、搬送されてきた前記ロール状記録媒体の凸状の反りが前記加熱ローラ側になるように受けて、前記従動ベルトと前記押圧部とで押圧して搬送する間に、前記ロール状記録媒体に対して熱と圧力を加えることにより、巻回されていた前記ロール状記録媒体の反りを矯正する矯正装置と、前記検知手段から出力される巻き残量及び前記反りセンサから出力される反りの度合いに応じて、前記矯正装置における前記加熱ローラによる加熱温度と前記加圧ローラによる加圧圧力とを制御する制御手段と、前記矯正装置により前記反りが矯正された前記ロール状記録媒体に対してインクを噴射して記録させる記録ヘッドと、を有することを特徴とするものである。
【0023】
請求項2に記載のインクジェット記録装置は、巻回されていたロール状記録媒体を引きし搬送する記録媒体搬送部と、前記ロール状記録媒体の巻き残量を検知する検知手段と、
引き出された前記ロール状記録媒体の反りの度合いを検出する反りセンサと、ゴムローラである加圧ローラ、前記ゴムローラの2倍以上の強度を有する金属ローラでなり加熱装置を有する加熱ローラ、前記加熱ローラより前記ロール状記録媒体の搬送方向にあって前記加熱ローラに従動する第1従動ローラ、前記加熱ローラと前記第1従動ローラに懸架された加熱ベルト、前記第1の従動ローラに対向する位置にあって前記加圧ローラに従動する第2従動ローラ、及び、前記加圧ローラと第2従動ローラに懸架された加圧ベルトを備え、前記加熱ベルトと前記加熱ベルトに対向する位置に設けられた前記加圧ベルトとにより、搬送されてきた前記ロール状記録媒体の凸状の反りが前記加熱ローラ側になるように受けて、前記加熱ベルトと前記加圧ベルトとで挟み込んで搬送する間に、前記ロール状記録媒体に対して熱と圧力を加えることにより、巻回されていた前記ロール状記録媒体の反りを矯正する矯正装置と、前記検知手段から出力される巻き残量及び前記反りセンサから出力される反りの度合いに応じて、前記矯正装置における前記加熱ローラによる加熱温度と前記加圧ローラによる加圧圧力とを制御する制御手段と、前記矯正装置により前記反りが矯正された前記ロール状記録媒体に対してインクを噴射して記録させる記録ヘッドと、を有することを特徴とするものである。
【0026】
請求項3に記載のインクジェット記録装置は、前記ロール状記録媒体の厚さ及び種類を入力する入力手段を有し、前記制御手段は、前記入力手段による入力に応じて加熱温度の制御又は前記入力手段による入力に応じて加圧温度の制御のいずれかを行うことを特徴とするものである。
【0027】
請求項4に記載のインクジェット記録装置は、前記ロール状記録媒体は、無機、水溶性バインダを含有するインク吸収層を有しており、前記ロール状記録媒体のインク吸収層における前記無機顔料と前記水溶性バインダの質量比が3:1〜9:1であることを特徴とするものである。
【0028】
請求項5に記載のインクジェット記録装置は、前記ロール状記録媒体において、前記インク吸収層が、ガラス転移点Tgが20℃以下で、かつポリビニルアルコールを分散媒としたエマルジョン樹脂を含有することを特徴とするものである。
【0029】
請求項6に記載のインクジェット記録装置は、前記ロール状記録媒体が、前記インク吸収層上に、熱可塑性樹脂を含有する表層を有することを特徴とするものである。
【0030】
請求項7に記載のインクジェット記録装置は、前記表層が更に無機顔料を含有することを特徴とするものである。
【0032】
請求項8に記載のインクジェット記録装置は、前記インク吸収層の、JIS B−0601に規定される中心線平均粗さが、基準長が2.5mm、カットオフ値が0.8mmにて測定を行った時、0.8μm以上且つ4μm以下であることを特徴とするものである。
【0033】
請求項9に記載のインクジェット記録装置は、前記インクが、顔料インクであることを特徴とするものである。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るインクジェット記録装置の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態におけるインクジェット記録装置の概略構成図である。図2は、本実施形態におけるインクジェット記録装置の他例を示す概略構成図である。
【0054】
[第一の実施形態]
図1に、本実施形態におけるインクジェット記録装置の概略構成を示す。同図に示すように、本実施形態におけるインクジェット記録装置は、主に、記録媒体1がロール状に巻かれた記録媒体元巻2と、記録媒体1に対して加熱加圧処理を施すことで反りを平坦に矯正する手段である矯正部3と、矯正後の記録媒体1を平坦に保持する手段である保持部4と、記録媒体1を搬送する手段である記録媒体搬送部5と、記録媒体1の記録面上に所定の画像を記録する手段である記録ヘッド6と、記録後の記録媒体を所定の大きさに裁断する手段である裁断部7により構成されている。
【0055】
前記記録媒体1は、その記録面が外側になるように巻回されたロール状記録媒体であって、前記記録媒体搬送部5に設けられた搬送ローラ(駆動ローラ)51及び従動ローラ52によって、記録媒体元巻2より引出され、図における右方向へと搬送される。
【0056】
尚、前記搬送ローラ(駆動ローラ)51及び従動ローラ52の設置位置及び設置個数は、これに限定されるものではない。
【0057】
また、前記記録媒体1として、予め所定の大きさに裁断されたシート状記録媒体を用いることも可能であり、このような場合には、当該インクジェット記録装置は、図2に示すような形態、即ち、前記裁断部7が省略された形態を採るものとする。
【0058】
図3に、前記矯正部3(図1参照)近傍の部分拡大図を示す。同図に示すように、前記矯正部3は、主に、加熱手段を有する加熱ローラ31と、該加熱ローラ31に対向する位置に設けられた加圧手段を有する加圧ローラ32とから構成されている。前記加熱ローラ31は、中空状の金属ローラからなり、その軸方向に沿って熱源であるハロゲンヒータ等の発熱体31aを内蔵している。そして、該発熱体31aの発熱によって当該加熱ローラ31を加熱させて、これに押圧される記録媒体1の反りを熱によって矯正する。また、前記加圧ローラ32は、ゴムローラからなり、前記加熱ローラ31に向かって当該加圧ローラ32を押圧するバネ等からなる加圧部32aを有している。そして、該加圧部32aの押圧力によって当該加圧ローラ32を加熱ローラ31へと押圧して、これらローラ間に挟持される記録媒体1の反りを圧力によって矯正する。
【0059】
また、前記加熱ローラ31及び加圧ローラ32は、前記記録媒体1の厚さ及び種類を入力する手段である入力部8からの入力内容に応じて前記加熱ローラ31による加熱温度及び前記加圧ローラ32による加圧圧力の制御を行う手段である制御部9に接続されており、ユーザが記録媒体の厚さ及び種類を前記入力部8から入力することで、当該制御部9が、前記記録媒体1の厚さ及び種類に応じて、適切に前記加熱ローラ31による加熱温度及び前記加圧ローラ32による加圧圧力の制御を行うように構成されている。
【0060】
さらに、前記加熱ローラ31及び加圧ローラ32は、前記記録媒体1の反りの度合いを検知する手段である近接センサ等の反りセンサ10と、前記記録媒体元巻2の巻き残量を検知する手段である近接センサ等の巻き残量センサ11からの検知結果に応じて前記加熱ローラ31による加熱温度及び前記加圧ローラ32による加圧圧力の制御を行う手段である制御部9に接続されており、当該制御部9が、前記反りセンサ10及び前記巻き残量センサ11からの検出結果に基づいて、記録媒体の反りの度合い及び記録媒体元巻2の巻き残量に応じて、適切に前記加熱ローラ31による加熱温度及び前記加圧ローラ32による加圧圧力の制御を行うように構成されている。
【0061】
尚、前記加熱ローラ31による加熱温度の制御は、前記制御部9が、該加熱ローラ31内部の発熱体31aへの供給電力を制御することによって行われる。これにより、前記加熱ローラ31の表面温度が適切な温度範囲内に維持されることとなり、良好に記録媒体1の反りを矯正することができる。具体的には、60℃以上130℃以下の範囲内であることが、良好に記録媒体の反りを矯正する上で好ましく、更に、80℃以上100℃以下の範囲内であることが好ましい。
【0062】
また、前記加圧ローラ32による加圧圧力の制御は、前記制御部9が、前記加圧部32aの当該加圧ローラ32への押圧力を制御することによって行われる。例えば、前記加圧部32aは、バネ32b及び偏心カム32c等により構成されており、前記制御部9が、該偏心カム32cに接続された図示省略の駆動モータの回転位置を制御することで、前記バネ32bの前記加圧ローラ32への押圧力を制御する。これにより、前記加圧ローラ32の記録媒体1に対する加圧力が適切に制御されることとなり、良好に記録媒体1の反りを矯正することができる。
【0063】
図4に、前記加熱ローラ31及び前記加圧ローラ32近傍の部分拡大図を示す。前述のように、前記加熱ローラ31は金属ローラであって、且つ、前記加圧ローラ32はゴムローラであるために、これらの間に挟持されつつ搬送される記録媒体1は、強調して図示すると同図に示すような状態となる。即ち、記録媒体の反りが凸状となる面を前記金属ローラである加熱ローラ31側とした上でこれらローラ間を搬送することで、当該記録媒体1は、その反りが逆向きに強制されることになるため、平坦に矯正されることとなる。これに加熱及び加圧による効果も加わることで、当該記録媒体1は、その反りがより平坦に矯正されることとなる。
【0064】
尚、前記加熱ローラ31と前記加圧ローラ32の硬度差は、2倍以上であることが好ましい。その根拠となる実施結果を以下に示す。
【0065】
評価は以下の3段階を用いて行った。
A:反りが完全に矯正された
B:若干反りが残るもののほぼ矯正された
C:実用上問題ないが、反りが残っていた
実施結果1;ローラ硬度差 1倍・・・記録媒体の反りの矯正具合:C
実施結果2;ローラ硬度差 1.3倍・・・記録媒体の反りの矯正具合:C
実施結果3;ローラ硬度差 1.5倍・・・記録媒体の反りの矯正具合:C
実施結果4;ローラ硬度差 1.8倍・・・記録媒体の反りの矯正具合:B
実施結果5;ローラ硬度差 2倍以上・・・記録媒体の反りの矯正具合:A
となった。
【0066】
このように、前記加熱ローラ31と前記加圧ローラ32の硬度差が、2倍以上になると、記録媒体1の反りは適切に矯正されることが確認されたため、前記加熱ローラ31と前記加圧ローラ32の硬度差は、2倍以上であることが好ましいとされた。
【0067】
従って、前記加圧ローラ32を構成するゴム素材としては、JIS規格であるK‐6253(ISO 48-1994及びISO 7619-1997に対応)に規定される硬度測定方法によって、前記加熱ローラ31を構成する金属素材の半分以下の硬度とされたものを使用するものとする。
【0068】
また、当該矯正部3は、前記加熱ローラ31及び前記加圧ローラ32の一対のローラから構成されるために、前記記録媒体1は、その反りが凸状となる面を上面として搬送されることが好ましい。これは、図5(a)に示すように、記録媒体1の反りが凸状となる面を上面として搬送すると、該記録媒体1は、比較的滑らかに当該矯正部3に進入するのに対して、図5(b)に示すように、記録媒体1の反りが凸状となる面を下面として搬送すると、該記録媒体1は、その先端が当該矯正部3に突き当たってしまい、滑らかに当該矯正部3に進入することが不可能となるからである。このように、記録媒体1が当該矯正部3に滑らかに進入することが妨げられると、記録媒体1の記録面に傷や皺等が生じる場合があるため、前記記録媒体1は、その反りが凸状となる面を上面として搬送されることとする。
【0069】
前記保持部4は、上記矯正部3に従属するものであって、上記矯正部3の記録媒体搬送方向下流位置に設けられる。上記矯正部3によって加熱加圧処理を施された記録媒体1は、その平坦さを維持するために、加熱加圧処理後、充分に冷却するまで、その平坦を保持する必要がある。従って、当該保持部4を設けることで、これを行うこととする。当該保持部4は、板金等により平坦に形成されるものであって、記録媒体1を上下方向から挟みこむことで、これを平坦に矯正する。
【0070】
以上に説明した矯正部3及び保持部4は、前記記録ヘッド6の記録媒体搬送方向上流側に設けることで、前記記録ヘッド6による記録が行われる前に記録媒体1の反りを矯正するものである。これにより、前記記録ヘッド6によって良好な記録が行われることとなる。
【0071】
しかしながら、当該矯正部3及び保持部4は、排紙後の記録媒体に反りを生じさせない目的で、排紙直前位置、即ち、前記裁断部7の記録媒体搬送方向下流側に設けられる場合がある。現実に、前記排紙後の記録媒体の反りも非常に大きな問題とされているため、このような形態も好ましく用いられる。
【0072】
このような場合には、当該インクジェット記録装置は、図6に示すような形態、即ち、当該矯正部3及び保持部4が前記裁断部7の記録媒体搬送方向下流位置に設けられた形態を採るものとする。
【0073】
図1に戻って説明を続ける。前記記録媒体搬送部5は、図示省略の駆動モータによって回転駆動される搬送ローラ51と、該搬送ローラ51と対向する位置に設けられる従動ローラ52とから構成されており、記録媒体1を該搬送ローラ21と従動ローラ22の間に挟持して、前記搬送ローラ21の回転駆動によって、後述する記録ヘッド6による画像記録に応じて、また、後述する裁断部7による裁断に応じて、記録媒体1を図における右方向へと所定量搬送するように構成されている。
【0074】
前記記録ヘッド6は、前記記録媒体1の幅方向に亘り該記録媒体1の搬送方向と略直交するように架設された図示省略の走査ガイドに沿って、主走査移動可能に構成された往復走査型の記録ヘッドである。該記録ヘッド6は、例えばY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)等の各色のインクを貯留した複数のインクタンクを有し、走査ガイドに沿って主走査移動しながら、画像データに応じて所定のインクを所定のタイミングで噴射させることにより、上記搬送手段5による記録媒体1の搬送と協働して、記録媒体1の記録面上に所定の画像を記録形成する。
【0075】
前記裁断部7は、例えば、前記記録媒体1の幅方向に亘り該記録媒体1の搬送方向と略直交するように架設された図示省略の走査ガイドに沿って主走査移動可能に構成された往復走査型の円形カッターであって、当該裁断部7は、図示省略の制御手段によって、記録媒体1を所定の大きさに裁断する。尚、当該裁断部7の設置位置は、これに限られるものではなく、例えば、前記矯正部3の記録媒体搬送方向上流側に設けることとしても良い。
【0076】
当該裁断部7により所定の大きさに裁断された記録媒体1は、インクジェット記録装置の外部、即ち、排紙トレイへと排出される。
【0077】
[第二の実施形態]
次に、記録媒体に対して、定着処理を行うインクジェット記録装置について説明する。
【0078】
図7に、本実施形態におけるインクジェット記録装置の概略構成を示す。同図に示すように、本実施形態におけるインクジェット記録装置は、主に、記録媒体1がロール状に巻かれた記録媒体元巻2と、記録媒体1に対して加熱加圧処理を施すことで反りを平坦に矯正する手段である矯正部3と、矯正後の記録媒体1を平坦に保持する手段である保持部4と、記録媒体1を搬送する手段である記録媒体搬送部5と、記録媒体1の記録面上に所定の画像を記録する手段である記録ヘッド6と、記録後の記録媒体を所定の大きさに裁断する手段である裁断部7と、記録媒体に対して加熱加圧処理を施すことで当該記録媒体表層のインク吸収層の定着処理を行う手段である定着部12により構成されている。
【0079】
前記記録媒体1は、所謂、表層にインク吸収層を有する記録媒体であって、該インク吸収層を有する記録面が外側になるように巻回されたロール状記録媒体である。本実施形態におけるインクジェット記録装置に、好ましく用いられる記録媒体としては、前記インク吸収層のJIS規格B‐0601(ISO 468-1982、ISO 3274-1975、ISO 4287/1-1984、ISO 4287/2-1984及びISO 4288-1985に対応)に規定される中心線平均粗さが、基準長が2.5mm、カットオフ値が0.8mmにて測定を行った時に、0.8μm以上且つ4μm以下の条件を満たすもの等を挙げることができる。このような記録媒体を用いることで、良好に当該記録媒体の反りを矯正することができる。当該記録媒体1は、記録媒体搬送部5に設けられた搬送ローラ(駆動ローラ)51及び従動ローラ52によって、記録媒体元巻2より引出され、図における右方向へと搬送される。
【0080】
尚、前記搬送ローラ(駆動ローラ)51及び従動ローラ52の設置位置及び設置個数は、これに限定されるものではない。
【0081】
また、前記記録媒体1として、予め所定の大きさに裁断されたシート状記録媒体を用いることも可能であり、このような場合には、当該インクジェット記録装置は、図8に示すように、前記裁断部7を省略した形態を採るものとする。
【0082】
図3を準用して、前記矯正部3(図7参照)近傍の部分拡大図を示す。同図に示すように、前記矯正部3は、主に、加熱手段を有する加熱ローラ31と、該加熱ローラ31に対向する位置に設けられた加圧手段を有する加圧ローラ32とから構成されている。前記加熱ローラ31は、中空状の金属ローラからなり、その軸方向に沿って熱源であるハロゲンヒータ等の発熱体31aを内蔵している。そして、該発熱体31aの発熱によって当該加熱ローラ31を加熱させて、これに押圧される記録媒体1の反りを熱によって矯正する。また、前記加圧ローラ32は、ゴムローラからなり、前記加熱ローラ31に向かって当該加圧ローラ32を押圧するバネ等からなる加圧部32aを有している。そして、該加圧部32aの押圧力によって当該加圧ローラ32を加熱ローラ31へと押圧して、これらローラ間に挟持される記録媒体1の反りを圧力によって矯正する。
【0083】
また、前記加熱ローラ31及び前記加圧ローラ32は、前記記録媒体1の厚さ及び種類を入力する手段である入力部8からの入力内容に応じて前記加熱ローラ31による加熱温度及び前記加圧ローラ32による加圧圧力の制御を行う手段である制御部9に接続されており、ユーザが前記記録媒体1の厚さ及び種類を前記入力部8から入力することで、当該制御部9が、前記記録媒体1の厚さ及び種類に応じて、適切に前記加熱ローラ31による加熱温度及び前記加圧ローラ32による加圧圧力の制御を行うように構成されている。
【0084】
さらに、前記加熱ローラ31及び前記加圧ローラ32は、前記記録媒体1の反りの度合いを検知する手段である反りセンサ10と、前記記録媒体元巻2の巻き残量を検知する手段である巻き残量センサ11からの検知結果に応じて前記加熱ローラ31による加熱温度及び前記加圧ローラ32による加圧圧力の制御を行う手段である制御部9に接続されており、当該制御部9が、前記記録媒体1の反りの度合い及び前記記録媒体元巻2の巻き残量に応じて、適切に前記加熱ローラ31による加熱温度及び前記加圧ローラ32による加圧圧力の制御を行うように構成されている。
【0085】
尚、前記加熱ローラ31による加熱温度の制御は、前記制御部9が、該加熱ローラ31内部の発熱体31aへの供給電力を制御することによって行われる。これにより、前記加熱ローラ31の表面温度が適切な温度範囲内に維持されることとなり、良好に記録媒体1の反りを矯正することができる。具体的には、60℃以上130℃以下の範囲内であることが、良好に記録媒体の反りを矯正する上で好ましく、80℃以上100℃以下の範囲内であることが、更に好ましい。
【0086】
また、前記加圧ローラ32による加圧圧力の制御は、前記制御部9が、前記加圧部32aの当該加圧ローラ32への押圧力を制御することによって行われる。例えば、前記加圧部32aは、バネ32b及び偏心カム32c等により構成されており、前記制御部9が、該偏心カム32cに接続された図示省略の駆動モータの回転位置を制御することで、前記バネ32bの前記加圧ローラ32への押圧力を制御する。これにより、前記加圧ローラ32の記録媒体1に対する加圧力が適切に制御されることとなり、良好に記録媒体1の反りを矯正することができる。
【0087】
図4を準用して、前記加熱ローラ31及び前記加圧ローラ32近傍の部分拡大図を示す。前述のように、前記加熱ローラ31は金属ローラであって、且つ、前記加圧ローラ32はゴムローラであるために、これらの間に挟持されつつ搬送される前記記録媒体1は、強調して図示すると同図に示すような状態となる。即ち、記録媒体の反りが凸状となる面を前記金属ローラである加熱ローラ31側とした上でこれらローラ間を搬送することで、当該記録媒体1は、その反りを逆向きに強制されることになるため、平坦に矯正されることとなる。これに加熱及び加圧による効果も加わることで、当該記録媒体1は、その反りをより平坦に矯正されることとなる。
【0088】
尚、前記加熱ローラ31と前記加圧ローラ32の硬度差は、2倍以上であることが好ましい。その根拠となる実施結果は、前記第一の実施形態の場合と同様である。
【0089】
前記加熱ローラ31と前記加圧ローラ32の硬度差が、2倍以上になると、記録媒体1の反りは適切に矯正されるため、前記加熱ローラ31と前記加圧ローラ32の硬度差は、2倍以上であることが好ましいとされた。
【0090】
従って、前記加圧ローラ32を構成するゴム素材としては、JIS規格であるK‐6253に規定される硬度測定方法によって、前記加熱ローラ31を構成する金属素材の半分以下の硬度とされたものを使用することが好ましい。
【0091】
また、当該矯正部3は、前記加熱ローラ31及び前記加圧ローラ32の一対のローラから構成されるために、前記記録媒体1は、その反りが凸状となる面を上面として搬送されることが好ましい。これは、図5(a)に示すように、記録媒体1の反りが凸状となる面を上面として搬送すると、該記録媒体1は、比較的滑らかに当該矯正部3に進入するのに対して、図5(b)に示すように、記録媒体1の反りが凸状となる面を下面として搬送すると、該記録媒体1は、その先端が当該矯正部3に突き当たってしまい、滑らかに当該矯正部3に進入することが不可能となるからである。このように、記録媒体1が当該矯正部3に滑らかに進入することが妨げられると、記録媒体1の記録面に傷や皺等が生じる場合があるため、前記記録媒体1は、その反りが凸状となる面を上面として搬送されることとする。
【0092】
前記保持部4は、上記矯正部3に従属するものであって、上記矯正部3の記録媒体搬送方向下流位置に設けられる。上記矯正部3によって加熱加圧処理を施された記録媒体1は、その平坦さを維持するために、加熱加圧処理後、充分に冷却するまで、その平坦を保持する必要がある。従って、当該保持部4を設けることで、これを行うこととする。当該保持部4は、板金等により平坦に形成されるものであって、記録媒体1を上下方向から挟みこむことで、これを平坦に矯正する。
【0093】
以上に説明した矯正部3及び保持部4は、前記記録ヘッド6の記録媒体搬送方向上流側に設けることで、前記記録ヘッド6による記録が行われる前に記録媒体1の反りを矯正するものである。これにより、前記記録ヘッド6によって良好な記録が行われることとなる。
【0094】
しかしながら、当該矯正部3及び保持部4は、排紙後の記録媒体に反りを生じさせない目的で、排紙直前位置、即ち、前記裁断部7の記録媒体搬送方向下流側に設けられる場合がある。現実に、前記排紙後の記録媒体の反りは非常に大きな問題とされているため、このような形態も好ましい。
【0095】
図7に戻って説明を続ける。前記記録媒体搬送部5は、図示省略の駆動モータによって回転駆動される搬送ローラ51と、該搬送ローラ51と対向する位置に設けられる従動ローラ52とから構成されており、記録媒体1を該搬送ローラ51と従動ローラ52の間に挟持して、前記搬送ローラ51の回転駆動によって、後述する記録ヘッド6による画像記録に応じて、また、後述する裁断部7による裁断に応じて、記録媒体1を図における右方向へと所定量搬送するように構成されている。
【0096】
前記記録ヘッド6は、前記記録媒体1の幅方向に亘り該記録媒体1の搬送方向と略直交するように架設された図示省略の走査ガイドに沿って、主走査移動可能に構成された往復走査型の記録ヘッドである。該記録ヘッド6は、例えばY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)等の各色の顔料インクを貯留した複数のインクタンクを有し、走査ガイドに沿って主走査移動しながら、画像データに応じて所定のインクを所定のタイミングで噴射させることにより、上記搬送手段5による記録媒体1の搬送と協働して、記録媒体1の記録面上に所定の画像を記録形成する。
【0097】
前記裁断部7は、例えば、前記記録媒体1の幅方向に亘り該記録媒体1の搬送方向と略直交するように架設された図示省略の走査ガイドに沿って主走査移動可能に構成された往復走査型の円形カッターであって、当該裁断部7は、図示省略の制御手段によって、記録媒体1を所定の大きさに裁断する。尚、当該裁断部7の設置位置は、これに限られるものではなく、例えば、前記矯正部3の記録媒体搬送方向上流側に設けることとしても良い。
【0098】
当該裁断部7により所定の大きさに裁断された記録媒体1は、さらに定着部12へと搬送される。
【0099】
図9に前記定着部12の一実施形態を示す。当該定着部12は、前記記録ヘッド6により画像が記録形成された後の記録媒体1に対して定着処理(加熱加圧処理)をするべく前記記録ヘッド6の記録媒体搬送方向下流側に設けられるものである。尚、当該定着部には、既に公知となっているローラ定着方式、ベルト定着方式等、種々の定着方式を採る定着装置を用いることが可能であるため、本実施形態においては、前記ローラ定着方式を採る定着装置を例に採り、以下に簡単に説明するに留めるものとする。
【0100】
同図に示すように、当該定着部12は、主に、加熱手段を有する加熱ローラ12aと、該加熱ローラ12aに対向する位置に設けられた加圧手段を有する加圧ローラ12bとから構成されている。加熱ローラ12aは、中空状の金属ローラからなり、その軸方向に沿って熱源であるハロゲンヒータ等の発熱体12cを内蔵している。そして、該発熱体12cの発熱によって当該加熱ローラ31を加熱させて、これに押圧される記録媒体1のインク吸収層を熱によって溶融する。また、加圧ローラ12bは、ゴムローラからなり、加熱ローラ12aに向かって当該加圧ローラ12bを押圧するバネ等からなる加圧部12dを有している。そして、該加圧部12dの押圧力によって当該加圧ローラ12bを加熱ローラ12aへと押圧して、これらローラ間に挟持される記録媒体1のインク吸収層を平坦化する。
【0101】
当該定着部12により、インク吸収層の定着処理を施された記録媒体1は、充分に冷却された後、インクジェット記録装置の外部、即ち、排紙トレイへと排出される。
【0102】
以下、前記[第一の実施形態]及び[第二の実施形態]における前記矯正部3の他例を示す。
【0103】
(他例1)
図10に、前記矯正部3の他例を示す。同図に示すように、本例における矯正部3−1は、主に、加熱手段を有する加熱ローラ31−1と、該加熱ローラ31−1に従動する従動ローラ32−1と、これらに懸架される加熱ベルト33−1と、前記加熱ローラ31−1に対向する位置に設けられ加圧手段を有する加圧ローラ34−1と、前記加熱ベルト33−1と対向する位置に設けられ加圧手段を有する押圧板35−1から構成されている。加熱ローラ31−1は、中空状の金属ローラからなり、その軸方向に沿って熱源であるハロゲンヒータ等の発熱体31a−1を内蔵している。そして、該発熱体31a−1の発熱によって当該加熱ローラ31−1、さらには、前記加熱ベルト33−1を加熱させて、これに押圧される記録媒体1の反りを熱によって矯正する。また、加圧ローラ34−1は、ゴムローラからなり、加熱ローラ31−1に向かって当該加圧ローラ34−1を押圧するバネ等からなる加圧部34a−1を有している。そして、該加圧部34a−1の押圧力によって当該加圧ローラ34−1を前記加熱ローラ31−1へと押圧して、これらローラ間に挟持される記録媒体1の反りを圧力によって矯正する。さらに、押圧板35−1は、板金部材からなり、加熱ベルト33−1に向かって当該押圧板35−1を押圧するバネ等からなる加圧部35a−1を有している。そして、該加圧部35a−1の押圧力によって当該押圧板35−1を前記加熱ベルト33−1へと押圧して、これらの間を搬送される記録媒体1の反りを圧力によって矯正する。尚、当該押圧板35−1を適当な位置に固定するものとして、前記加圧部35a−1を省略しても良い。
【0104】
このように、矯正部をベルト方式にて構成することで、記録媒体の反りを矯正するのに充分な時間、加熱及び加圧処理を施すことができるので、当該記録媒体の反りをより平坦に矯正することができる。
【0105】
(他例2)
図11に、前記矯正部3のさらに他例を示す。同図に示すように、本例における矯正部3−2は、主に、加熱手段を有する加熱ローラ31−2と、該加熱ローラ31−2に従動する従動ローラ32−2と、これらに懸架される加熱ベルト33−2と、前記加熱ローラ31−2に対向する位置に設けられ加圧手段を有する加圧ローラ34−2と、該加圧ローラ34−2に従動する従動ローラ36−2と、これらに懸架される加圧ベルト37−2とから構成されている。加熱ローラ31−2は、中空状の金属ローラからなり、その軸方向に沿って熱源であるハロゲンヒータ等の発熱体31a−2を内蔵している。そして、該発熱体31a−2の発熱によって当該加熱ローラ31−2、さらには、前記加熱ベルト33−2を加熱させて、これに押圧される記録媒体1の反りを熱によって矯正する。また、加圧ローラ34−2は、加熱ローラ31−2に向かって当該加圧ローラ34−2を押圧するバネ等からなる加圧部34a−2を有し、該加圧部34a−2の押圧力によって当該加圧ローラ34−2を前記加熱ローラ31−2へと押圧して、これらローラ間に挟持される記録媒体1の反りを圧力によって矯正する。さらに、加圧ベルト37−2は、その張力又は図示省略の押圧手段によって記録媒体1を前記加熱ベルト33−2へと押圧して、これらの間を搬送される記録媒体1の反りを圧力によって矯正する。
【0106】
このように、矯正部をベルト方式にて構成することで、記録媒体の反りを矯正するのに充分な時間、加熱及び加圧処理を施すことができるので、当該記録媒体の反りをより平坦に矯正することができる。
【0107】
(他例3)
図12に、前記矯正部3のさらに他例を示す。同図に示すように、本例における矯正部3−3は、主に、加熱手段及び加圧手段を有する加熱加圧ローラ31−3と、該加熱加圧ローラ31−3に従動する従動ローラ32−3と、これらに懸架される加熱加圧ベルト33−3と、該加熱加圧ベルト33−3に対向する位置に設けられたドラムローラ38−3とから構成されている。加熱加圧ローラ31−3は、中空状の金属ローラからなり、その軸方向に沿って熱源であるハロゲンヒータ等の発熱体31a−3を内蔵している。そして、該発熱体31a−3の発熱によって当該加熱加圧ローラ31−3、さらには、前記加熱加圧ベルト33−3を加熱させて、これに押圧される記録媒体1の反りを熱及び圧力によって矯正する。また、前記加熱加圧ローラ31−3は、ドラムローラ38−3に向かって当該加熱加圧ローラ31−3を押圧するバネ等からなる加圧部31b−3を有し、該加圧部31b−3の押圧力によって当該加熱加圧ローラ31−3を前記ドラムローラ38−3へと押圧して、これらローラ間に挟持される記録媒体1の反りを圧力によって矯正する。さらに、加熱加圧ベルト33−3は、その張力又は図示省略の押圧手段によって記録媒体1を前記ドラムベルト38−3へと押圧して、これらの間を搬送される記録媒体1の反りを圧力によって矯正する。
【0108】
このように、矯正部をベルトとドラムローラにて構成して、該ドラムローラの曲率によって、記録媒体の反りを矯正する構成を採ることで、当該矯正部の構造を簡略化することができると共に、記録媒体の反りを矯正するのに充分な時間、加熱及び加圧処理を施すことができる。従って、製造コストが低減されると共に、当該記録媒体の反りをより平坦に矯正することができる。
【0109】
(他例4)
図13に、前記矯正部3のさらに他例を示す。同図に示すように、本例における矯正部3−4は、主に、加圧手段を有する加圧ローラ34−4と、該加圧ローラ34−4に従動する従動ローラ32−4と、これらに懸架される加圧ベルト33−4と、該加圧ベルト33−4に対向する位置に設けられた加熱手段を有するドラムローラ38−4とから構成されている。ドラムローラ38−4は、中空状の金属ローラからなり、その軸方向に沿って熱源であるハロゲンヒータ等の発熱体38a−4を内蔵している。そして、該発熱体38a−4の発熱によって当該ドラムローラ38−4を加熱させて、これに押圧される記録媒体1の反りを熱によって矯正する。また、前記加圧ローラ34−4は、前記ドラムローラ38−4に向かって当該加圧ローラ34−4を押圧するバネ等からなる加圧部34a−4を有し、該加圧部34a−4の押圧力によって当該加圧ローラ34−4を前記ドラムローラ38−4へと押圧して、これらローラ間に挟持される記録媒体1の反りを圧力によって矯正する。さらに、前記加圧ベルト33−4は、その張力又は図示省略の押圧手段によって記録媒体1を前記ドラムベルト38−4へと押圧して、これらの間を搬送される記録媒体1の反りを圧力によって矯正する。
【0110】
このように、矯正部をベルトとドラムローラにて構成して、該ドラムローラの曲率によって、記録媒体の反りを矯正する構成を採ることで、当該矯正部の構造を簡略化することができると共に、記録媒体の反りを矯正するのに充分な時間、加熱及び加圧処理を施すことができる。従って、製造コストが低減されると共に、当該記録媒体の反りをより平坦に矯正することができる。
【0111】
尚、以上に説明した矯正部3−1〜3−4においても、前述した矯正部3と同様に加熱温度及び加圧圧力の制御が行われるものとする。そして、当該矯正部3−1〜3−4においても、その記録媒体搬送方向下流には前記ガイド4が設けられるものとする。
【0112】
以下、本発明で好ましく用いられるインクジェット記録媒体について詳述する。
【0113】
インクジェット記録媒体は、水性インクにより画像印字した場合や大気中の湿度により、吸湿あるいは膨潤してカールを形成する場合がある。又、ロール状で提供されたインクジェット記録媒体においては、予め強制されたカールが形成されていることもある。
【0114】
本発明におけるカール値は以下の方法で測定する。
【0115】
〈カール値〉
記録媒体を20cm×20cmの大きさにして、23℃/50%RHの環境下で2時間放置してから、水平の台に置いて、4角の浮き上がり量の平均値をカール値とする。この際、インク吸収層を内側にしてカールしたものをプラス値、インク吸収層を外側にしてカールしたものをマイナス値とした。
【0116】
インクジェット記録媒体のカール特性を評価するために、下記のような処理及び測定を行う。
【0117】
〈初期カールの設定方法〉
直径6cmの円筒状物の外側に記録媒体のインク吸収層が外側となるように巻き付け、これを40〜50℃の恒温室に数時間〜半日ほど放置し、カール癖を付ける。放置時間は、カール値が−30〜−40mmとなるように設定する。
【0118】
〈加熱、加圧装置及び処理方法〉
直径30mmの円柱状の鉄シリンダ(上ローラ)と、シリコンゴムローラ(直径30mmの下ローラ)が共に、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルエーテル共重合体により被覆され、鉄シリンダ内にヒータを内蔵した定着装置を用い、上ローラがインク吸収層表面に接するように記録媒体を挿入し、ニップ幅0.3mm、線圧が297mmの幅に対して32kgfの条件で加熱及び加圧同時処理を行う。このときの搬送速度は10mm/sである。また、上ローラの表面温度は120℃になるように調整する。尚、鉄ローラに被覆するテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルエーテル共重合体の被覆膜厚を100μmとする。
【0119】
以上の方法により、本発明のインクジェット記録媒体を特定することが可能となる。
【0120】
本発明のインクジェット記録媒体においては、無機顔料と水溶性バインダーの質量比は3:1〜9:1であることが好ましい。
【0121】
上記の目的で使用される無機顔料としては、例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
【0122】
無機顔料としては、シリカ、及びアルミナまたはアルミナ水和物から選ばれた固体微粒子を用いることが特に好ましい。
【0123】
本発明で用いることのできるシリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられるが、特に好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリカまたは気相法で合成された微粒子シリカであり、中でも気相法により合成された微粒子シリカは、高い空隙率が得られるだけでなく、染料を固定化する目的で用いられるカチオン性ポリマーに添加したときに、粗大凝集体が形成されにくいので好ましい。また、アルミナまたはアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、また不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状のものを使用することができる。
【0124】
無機顔料は、カチオン性ポリマーと混合する前の微粒子分散液が一次粒子まで分散された状態であるのが好ましい。
【0125】
無機顔料は、その粒径が100nm以下であることが好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリカの場合、一次粒子の状態で分散された無機顔料の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、100nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜50nm、最も好ましくは4〜20nmである。
【0126】
最も好ましく用いられる、一次粒子の平均粒径が4〜20nmである気相法により合成されたシリカとしては、例えば日本アエロジル社製のアエロジルが市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中に、例えば三田村理研工業株式会社製のジェットストリームインダクターミキサーなどにより、吸引分散することで、比較的容易に一次粒子まで分散することができる。
【0127】
本発明で用いることのできる水溶性バインダーとしては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの水溶性バインダーは、二種以上併用することも可能である。
【0128】
本発明で好ましく用いられる水溶性バインダーは、ポリビニルアルコールである。
【0129】
ポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0130】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。また、ケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0131】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0132】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0133】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0134】
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば特開平1−206088号に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号および同63−307979号に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0135】
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開平7−9758号に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。
【0136】
本発明のインクジェット記録媒体には融点が40℃以下の疎水性有機化合物をからなる油滴を用いることができる。通常、室温で水に対する溶解度が0.1質量%以下、特に好ましくは0.01質量%以下であって融点が40℃以下の疎水性有機化合物である。そのような疎水性有機化合物は、通常、疎水性高沸点有機溶媒として知られている有機化合物や、融点が40℃以下の疎水性ポリマーが挙げられる。
【0137】
例えば、フタル酸エステル類(ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート等)、リン酸エステル類(トリクレジルホスフェート、トリオクチルフォスフェート等)、脂肪酸エステル類(ステアリン酸ブチル、セバチン酸ビス(2−エチルヘキシル)、エチレングリコールジステアレート、グリセロールトリブチレート等)、アミド類(N,N−ジエチルラウリルアミド、N、N−ジエチル−2−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシ)ブタンアミド等)、エーテル類(エチレングリコールジブチルエーテル、デシルエーテル、ジベンジルエーテル等)、シリコンオイルおよび流動パラフィン等を挙げることが出来る。
【0138】
本発明に係るTgが20℃以下で且つポリビニルアルコールを分散剤としたエマルジョン樹脂について説明する。分散剤として使用されるポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、カチオン変性したポリビニルアルコールやカルボキシル基のようなアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール、シリル基を有するシリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。ポリビニルアルコールの平均重合度としては、300〜5000のものが好ましく、ケン化度は70〜100モル%のものが好ましい。
【0139】
ポリビニルアルコールで乳化重合される樹脂としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニル系化合物、スチレン系化合物といったエチレン系単量体、ブタジエン、イソプレンといったジエン系化合物の単独重合体または共重合体が挙げられ、例えばアクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等が挙げられる。
【0140】
これらエマルジョン樹脂は、空隙層形成時に柔軟性を付与するものであり、室温でも柔軟な性質を持つものが適しており、より好ましくは室温で融着して当該層を形成するものであって、このときエマルジョン樹脂をフィルム化した場合のTgが20℃以下であることが好ましく、−40〜10℃であることがより好ましい。
【0141】
本発明に係る熱可塑性樹脂としては、例えばポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、これらの共重合体及びこれらの塩が挙げられる。中でも、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、SBRラテックスが好ましい。
【0142】
また、熱可塑性樹脂は、モノマー組成及び粒径、重合度が違う複数の重合体を混合して用いてもよい。
【0143】
熱可塑性樹脂を選択するに際しては、インク吸収性、加熱及び加圧による定着後の画像の光沢性、画像堅牢性及び離型性を考慮すべきである。
【0144】
インク吸収性については、熱可塑性樹脂の粒径が0.05μm未満の場合は、顔料インク中の顔料粒子とインク溶媒の分離が遅くなり、インク吸収速度の低下を招くことになる。また、10μmを越えると、塗設乾燥後のインクジェット記録媒体の皮膜強度の点及び光沢劣化の点から好ましくない。このために好ましい熱可塑性樹脂径としては好ましくは0.05〜10μm、より好ましくは0.1〜5μmである。更に好ましくは、0.1〜1μmである。
【0145】
また、熱可塑性樹脂の選択の基準としては、ガラス転移点(Tg)が挙げられる。Tgが塗布乾燥温度より低い場合は、例えば、記録媒体製造時の塗布乾燥温度が既にTgより高く、インク溶媒が透過するための空隙が熱可塑性樹脂により消失してしまう。またTgが、支持体の熱による変性を起こす温度以上の場合は、顔料インクによるインクジェット記録後、溶融、成膜するためには、高温での定着操作が必要となり、装置上の負荷及び支持体の熱安定性等が問題となる。熱可塑性樹脂の好ましいTgは50〜150℃である。
【0146】
また、最低造膜温度(MFT)としては、50〜150℃のものが好ましい。熱可塑性樹脂は、環境適性の観点からは水系に分散されたものが好ましく、特に、乳化重合により得られた水系ラテックスが好ましい。この際、ノニオン系分散剤を乳化剤として用いて乳化重合したタイプは、好ましく用いることができる形態である。また、用いる熱可塑性樹脂は、臭気および安全性の観点から、残存するモノマー成分が少ない方が好ましく、重合体の固形分に対して3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい、更に好ましくは0.1質量%以下である。
【0147】
表層に含有される熱可塑性樹脂の固形分量としては、2g/m2以上、20g/m2以下であることが好ましく、より好ましくは2〜15g/m2の範囲、更に好ましくは2.5〜10g/m2の範囲である。熱可塑性樹脂の固形分量が少なすぎると、充分な皮膜が形成されず、顔料を充分に皮膜中に分散することができない。このため、画質、光沢が充分に向上しない。また、熱可塑性樹脂の固形分量が多すぎると、短時間の加熱工程で熱可塑性樹脂を完全に皮膜化できず、微粒子のまま残り不透明性がありかえって画質が低下する。また、インク吸収速度も低下させてしまい境界にじみが発生し問題となる。
【0148】
本発明における熱可塑性樹脂を有する表層は、最表面層に限定されるものではない。表面保護その他の目的で、表層の上に最表面層を有してもよい。本発明のインクジェット記録用紙は、画像記録後、例えば加熱により表層に含まれる熱可塑性樹脂を溶融、皮膜化されることが好ましい。例えば、染料インクでプリントする場合は、画像記録後に加熱処理を加えることで、耐光性あるいは耐水性を向上させることができる。
【0149】
また、顔料インクでプリントする場合、画像記録後に加熱処理を加えることで、画質、例えば光沢性を向上したり、耐擦性を向上したり、ブロンジングの程度を向上させたりすることができる。
【0150】
本発明で用いることのできる硬化剤としては、水溶性バインダーと硬化反応を起こすものであれば特に制限はないが、ホウ酸及びその塩が好ましく、その他にも公知のものが使用でき、一般的には水溶性バインダーと反応し得る基を有する化合物あるいは水溶性バインダーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性バインダーの種類に応じて適宜選択して用いられる。
【0151】
硬化剤の具体例としては、例えばエポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−6H−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
【0152】
ホウ酸またはその塩とは、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことをいい、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸および八ホウ酸およびそれらの塩が挙げられる。硬化剤としてのホウ素原子を有するホウ酸およびその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を混合して使用しても良い。特に好ましいのはホウ酸とホウ砂の混合水溶液である。ホウ酸とホウ砂の水溶液は、それぞれ比較的希薄水溶液でしか添加することが出来ないが両者を混合することで濃厚な水溶液にすることが出来、塗布液を濃縮化する事が出来る。また、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることが出来る利点がある。
【0153】
本発明のインクジェット記録媒体には、記録後の保存による画像のにじみを防止する目的でカチオン性ポリマーが好ましく用いられる。
【0154】
カチオン性ポリマーの例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、エピクロルヒドリン・ジアルキルアミン付加重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・SO2共重合物、ポリビニルイミダゾール、ビニルピロリドン・ビニルイミダゾール共重合物、ポリビニルピリジン、ポリアミジン、キトサン、カチオン化澱粉、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド重合物、(2−メタクロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウムクロライド重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレート重合物などが挙げられる。
【0155】
本発明に係る支持体としては、従来からインクジェット記録媒体に用いられている支持体、例えば普通紙、アート紙、コート紙およびキャストコート紙などの紙支持体、プラスティック支持体、両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体、これらを張り合わせた複合支持体等を、適宜選択して用いることができる。
【0156】
本発明のインクジェット記録媒体では、支持体とインク吸収層との接着強度を高める等の目的で、インク吸収層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明の記録媒体は必ずしも無色である必要はなく、着色された記録用紙であってもよい。
【0157】
本発明のインクジェット記録媒体では、原紙支持体の両面をポリエチレン等でラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、かつ低コストで高品質の画像が得られるため、特に好ましい。そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体について、以下に説明する。
【0158】
紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて、木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSPおよびまたはLDPの比率は10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
【0159】
上記パルプには、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、四級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
【0160】
本発明のインクジェット記録用紙のインク吸収層側の任意の層中には、必要に応じて各種の添加剤を含有させることが出来る。
【0161】
例えば、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号および特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0162】
本発明において、ロール状の記録媒体であるとき、より効果が発揮される。ここでいうロール状の記録媒体とは、コア芯に長尺状の記録媒体を巻きつけたものをいう。コア芯の直径(外径)は特に制限されないが、装置全体が大きくなり過ぎないようコア芯の直径が10cm以下であることが好ましい。より好ましくは10cm以下、2cm以上である。ロール幅としては、特に制限はないが、5〜120cmの範囲で選択できる。また、ロール状の記録媒体の長さも特に制限はないが、5〜200mの範囲で選択できる。
【0163】
次に、本発明のインクジェット記録媒体の製造方法について説明する。
【0164】
インクジェット記録媒体の製造方法としては、インク吸収層を含む各構成層を、各々単独にあるいは同時に、公知の塗布方式から適宜選択して、支持体上に塗布、乾燥して製造することができる。塗布方式としては、例えばロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
【0165】
同時重層塗布を行う際の各塗布液の粘度としては、スライドビード塗布方式を用いる場合には、5〜100mPa・sの範囲が好ましく、更に好ましくは10〜50mPa・sの範囲である。また、カーテン塗布方式を用いる場合には、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、更に好ましくは25〜500mPa・sの範囲である。
【0166】
また、塗布液の15℃における粘度としては、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、更に好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ましいのは10,000〜30,000mPa・sである。
【0167】
塗布および乾燥方法としては、塗布液を30℃以上に加温して、同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を1〜15℃に一旦冷却し、10℃以上で乾燥することが好ましい。塗布液調製時、塗布時及び乾燥時おいて、表層に含まれる熱可塑性樹脂が製膜しないように、該熱可塑性樹脂のTg以下の温度で塗布液の調製、塗布、乾燥することが好ましい。より好ましくは、乾燥条件として、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件で行うことである。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜均一性の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
【0168】
また、その製造過程で35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する工程を有することが好ましい。
【0169】
加温条件は、35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する条件であれば特に制限はないが、好ましい例としては、例えば、36℃で3日〜4週間、40℃で2日〜2週間、あるいは55℃で1〜7日間である。この熱処理を施すことにより、水溶性バインダーの硬化反応の促進、あるいは水溶性バインダーの結晶化を促進することができ、その結果、好ましいインク吸収性を達成することができる。
【0170】
本発明のインクジェット記録媒体を用いて画像記録する際には、水性インクを用いた記録方法が好ましく用いられ、水性インクとしては水性染料インクであっても水性顔料インクであってもよい。水性染料インクまたは水性顔料インクとは、下記着色剤および液媒体、その他の添加剤を有する記録液体である。
【0171】
着色剤としては、インクジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料あるいは食品用色素等の水溶性染料、あるいはアゾ顔料、フタロシアニン顔料、染料レーキ等の有機顔料やカーボンブラック等の無機顔料といった水性顔料を使用することができる。
【0172】
その他の水性インクの添加剤としては、例えば水溶性有機溶剤(プロパノール、ヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール、尿素等)、界面活性剤、水溶性ポリマー、防腐剤、防黴剤、粘度調整剤、pH調整剤等を挙げることができる。
【0173】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中に記載の%表示は、特に断りのない限り質量%を表す。
【0174】
実施例1
《シリカ分散液−1の調製》
1次粒子の平均粒径が約0.012μmの気相法シリカ(株式会社トクヤマ製:QS−20)125kgを、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーTDSを用いて、硝酸でpHを2.5に調整した620Lの純水中に室温で吸引分散した後、純水で全量を694Lに仕上げ、シリカ分散液−1を調製した。
【0175】
《シリカ分散液−2の調製》
カチオン性ポリマー(P−1)1.14kg、エタノール2.2L、n−プロパノール1.5Lを含有する水溶液(pH=2.3)18Lに、上記シリカ分散液−1の69.4Lを攪拌しながら添加し、次いでホウ酸260gとホウ砂230gを含む水溶液7.0Lを添加し、更に消泡剤SN381(サンノプコ株式会社製)を1g添加した。この混合液を、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで分散し、全量を純水で97Lに仕上げて、シリカ分散液−2を調製した。
【0176】
《油滴の調製》
ジイソデシルフタレート(mp=−53℃)20gと酸化防止剤(AO−1)20gとを45gの酢酸エチルに加熱溶解し、酸処理ゼラチン8g、カチオン性ポリマー(P−1)2.9gおよびサポニン(イーストマンケミカル社製)10.5gとを含有するゼラチン水溶液210mlと55℃で混合し、高圧ホモジナイザーで乳化分散した後、全量を純水で300mlに仕上げて、油滴を調製した。
【0177】
【化1】
《エマルジョン樹脂の合成》
5%ポリビニルアルコール水溶液(重合度1700、けん化度88.5モル%)400gをpH3.5に調整し、撹拌しながらメタクリル酸メチル50gとアクリル酸ブチル50gを加えて60℃に昇温し、5%過硫酸アンモニウム水溶液10gを添加して重合を開始した。15分後、メタクリル酸ブチル100gとアクリル酸ブチル100gを3時間かけて徐々に添加し、5時間後、重合率が99.9%となったところで冷却した。これをpH7.0に中和し、エマルジョン樹脂を合成した。
【0178】
尚、このエマルジョン樹脂を真空乾燥機にて60℃で乾燥し、示差走査熱容量計によりTgを測定したところ、5℃であった。
【0179】
《塗布液−1の調製》
上記調製したシリカ分散液−2を用いて、下記の塗布液−1を調製した。
【0180】
シリカ分散液−2の600mlを40℃で攪拌しながら、ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の10%水溶液130mlを添加し、純水で全量を1000mlに仕上げ、塗布液−1とした。
【0181】
《塗布液−2〜4の調製》
塗布液−1に添加する10%ポリビニルアルコール130mlを各々110ml、95ml、195mlに変更した以外は、塗布液−1と同様にして各塗布液−2〜4を調製した。
【0182】
《塗布液−5の調製》
塗布液−2に更に上記調製した油滴を30ml添加した以外は、塗布液−2と同様にして塗布液−5を調製した。
【0183】
《塗布液−6の調製》
上記シリカ分散液−2の600mlを40℃で攪拌しながら、ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の10%水溶液100mlを添加し、更に上記合成エマルジョン樹脂6.0gを添加し、純水で全量を1000mlに仕上げ、塗布液−6とした。
【0184】
《シリカと熱可塑性樹脂の混合塗布液−1の調製》
上記塗布液−1、600mlに、ポリビニルアルコール水溶液を乳化剤として用いて乳化重合したスチレン−アクリル系ラテックスポリマー(Tg78℃、平均粒径0.2μm、固形分濃度50%)を熱可塑性樹脂とし、6%硝酸水溶液でpH4.7に調整し、シリカと熱可塑性樹脂の質量比が1:1となるようにして、40℃で撹拌しながら添加、混合した。これを純水で全量を1000mlに仕上げて、シリカと熱可塑性樹脂の混合塗布液−1を調製した。
【0185】
《シリカと熱可塑性樹脂の混合塗布液−2の調製》
塗布液−5に変更した以外は、シリカと熱可塑性樹脂の混合塗布液−1の調製と同様にして、シリカと熱可塑性樹脂の混合塗布液−2を調製した。
【0186】
〔インクジェット記録媒体−1の作製〕
支持体として、坪量が170g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆したポリエチレンコート紙(インク吸収層側のポリエチレン層には8質量%のアナターゼ型酸化チタンを含有し、また、インク吸収層面側に0.05g/m2のゼラチン下引き層を設け、その反対側にはTgが約80℃のラテックスポリマーを0.2g/m2含有するバック層を設けた。)のポリエチレンコート面側から上記調製した塗布液−1を、湿潤膜厚が200μmになるように塗布し、約7℃に一度冷却した後、20〜65℃の温風を吹き付けて乾燥し、本発明のインクジェット記録媒体−1を作製した。
【0187】
〔インクジェット記録媒体−2〜6の作製〕
塗布液−2〜6を用いて、インクジェット記録媒体−1と同様にして、本発明のインクジェット記録媒体2〜6を作製した。
【0188】
〔インクジェット記録媒体−7の作製〕
インクジェット記録媒体−1の上に、上記で調製したシリカと熱可塑性樹脂の混合塗布液−1を湿潤膜厚が50μmになるように塗布し、約7℃に一度冷却した後、20〜65℃の温風を吹き付けて乾燥し、本発明のインクジェット記録媒体−7を作製した。
【0189】
〔インクジェット記録媒体−8の作製〕
インクジェット記録媒体−2の上に、上記で調製したシリカと熱可塑性樹脂の混合塗布液−2を塗布した以外は、インクジェット記録媒体−7と同様にして、本発明のインクジェット記録媒体−8を作製した。
【0190】
〔インクジェット記録媒体−9の作製〕
インクジェット記録媒体−3の上に、上記で調製したシリカと熱可塑性樹脂の混合塗布液−1を塗布した以外は、インクジェット記録媒体−7と同様にして、本発明のインクジェット記録媒体−9を作製した。
【0191】
〔インクジェット記録媒体−10の作製〕
インクジェット記録媒体−6の上に、上記で調製したシリカと熱可塑性樹脂の混合塗布液−1を塗布した以外は、インクジェット記録媒体−7と同様にして、本発明のインクジェット記録媒体−10を作製した。
【0192】
〔インクジェット記録媒体−11の作製〕
インクジェット記録媒体−6の上に、上記で調製したシリカと熱可塑性樹脂の混合塗布液−2を塗布した以外は、インクジェット記録媒体−7と同様にして、本発明のインクジェット記録媒体−11を作製した。
【0193】
〔インクジェット記録媒体−12の作製〕
シリカ分散液−2の調製において、シリカ分散液−1、69.4Lを添加しないシリカの存在しない分散液3を調製し、塗布液−1と同様に塗布液7を調整した。前記塗布液7を用いた以外はインクジェット記録媒体−1と同様にして、インクジェット記録媒体−12を作製した。
【0194】
《カールの測定》
〈初期カールの付与と測定〉
記録媒体を20cm×20cmの大きさに切断てし、直径6cmの円筒状物の外側に記録媒体のインク吸収層が外側になるように巻き付け、これを40℃〜50℃の恒温室に数時間〜半日ほど放置した。放置時間は、カール値が−30〜−40mmとなるようにした。円筒から取りはずし、23℃、50%RHの環境下で2時間放置してから、水平の台に置いて、4角の浮き上がり量の平均値を取った。
【0195】
〈加熱、加圧後のカールの測定〉
表1に示す初期カール値を有する各試料を前記加熱、加圧装置を用いて処理(120℃、線圧297mmの幅に対して32kgf)を施した後のカール値を同様にして測定した。
【0196】
測定結果を表1に示す。
【0197】
【表1】
【0198】
《評価》
さらに表2に環境条件によるカール(反り)の変動、クラック発生に係る評価を示す。
その詳細を以下に説明する。
【0199】
<環境条件によるカールの変動>
記録媒体のそれぞれが、20×20cmの四角片にカットされ、得られたカット見本が数時間から半日の間、10℃、20%RHの環境下に放置した。その後、それらのカット見本が水平面上に置かれ、その水平面からカット見本の4つの角が離れる平均距離L1(mm)を測定した。水平面からから上方への反りを+とし、反対方向への反りはーとして計測した。同時に、カット見本のそれぞれを30℃、80%RHの環境下放置し、水平面からの4つの角の平均距離をL2(mm)とした。上記平均距離の差L1―L2(mm)を表2の環境条件による反りの差として表している。
【0200】
<表面へのクラック発生>
上記のように用意したそれぞれの記憶媒体(見本)を大型インクジェットプリンターIGUAZU1440(コニカ社製)に設置し、カラー画像を準備し、その画像を記録媒体に記録した。画像を記録した記録媒体を、加熱および加圧処理装置で120℃、297mmの幅に対して32kgfの線圧を課した。その後、その見本を1月の間40℃、80%RHの環境下で保存し、その表面へのクラック発生状況を観察した。表2にその観察結果を下記の符号で分類して、示す。
A:クラック発生なし。
B:20×20cm内にクラック数は5個以下である。
C:20×20cm内にクラック数は5個以上10個以下である。
D:20×20cm内にクラック数は10個以上である。
【0201】
【表2】
【0202】
一般に、環境条件、特に湿度、温度が変化するとインクジェットで記録された記録媒体の反りは、媒体内のバインダー、またはその他の成分の膨張もしくは収縮の程度の変化による傾向がある。しかしながら、本発明のインクジェット記録媒体の反りは比較的低い変化を示した。さらに特に、一般には、高温、高湿での保存では記録媒体のインクン吸収層が吸水して膨張する、一方、記録媒体の表面は乾燥し、膜を形成する。したがって記録媒体の内側と外側の歪みによって、クラックが発生しやすい。しかしながら、本発明による記録媒体は、比較的クラックが少ない。
【0203】
実施例2
実施例1で作製したインクジェット記録媒体−7で、塗布後の大きさが幅297mm、長さ20mの試料を直径7.6cmのコア芯に、インク吸収層が外側となるように巻き付けた。これを大判用インクジェットプリンターIGUAZU1440(コニカ社製)に取り付けカラー画像を作製した。この画像を実施例1で用いた加熱、加圧装置にて120℃、線圧297mmの幅に対して32kgfの条件で処理した。カールの認められないインクジェットプリントが得られた。
【0204】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のインクジェット記録装置によれば、記録媒体の特性、反りの度合い、巻き残量等に応じて、適切に加熱加圧処理を施すことで、当該記録媒体の反りを平坦に矯正することができるので、記録ヘッドと記録媒体が接触するようなことも無く、高画質の画像プリントを実現することができる。また、反りの無い画像プリントを作成することができる。
【0205】
本発明によって、優れた平面性を有するインクジェット記録媒体を提供することができた。
【0206】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明である請求項1に係るインクジェット記録装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示すインクジェット記録装置の他例を示す概略構成図である。
【図3】図1に示すインクジェット記録装置の矯正部の制御構成を示す構成図である。
【図4】図1に示すインクジェット記録装置の矯正部近傍の部分拡大図である。
【図5】記録媒体が矯正部に進入する様子を説明するための説明図である。
【図6】図1に示すインクジェット記録装置の他例を示す概略構成図である。
【図7】本発明である請求項2に係るインクジェット記録装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図8】図7に示すインクジェット記録装置の他例を示す概略構成図である。
【図9】図7に示すインクジェット記録装置の定着部の一実施形態を示す概略構成図である。
【図10】本発明に係るインクジェット記録装置の矯正部の他例を示す概略構成図である。
【図11】図10に示す矯正部の他例を示す概略構成図である。
【図12】本発明に係るインクジェット記録装置の矯正部のさらに他例を示す概略構成図である。
【図13】図12に示す矯正部の他例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1・・・記録媒体
2・・・記録媒体元巻
3・・・矯正部
31・・・加熱ローラ
31a・・・発熱体
32・・・加圧ローラ
32a・・・加圧部
32b・・・バネ
32c・・・偏心カム
4・・・保持部
5・・・記録媒体搬送部
51・・・搬送ローラ
52・・・従動ローラ
6・・・記録ヘッド
7・・・裁断部
8・・・入力部
9・・・制御部
10・・・反りセンサ
11・・・巻き残量センサ
12・・・定着部
Claims (9)
- 巻回されていたロール状記録媒体を引出し搬送する記録媒体搬送部と、
前記ロール状記録媒体の巻き残量を検知する検知手段と、
引き出された前記ロール状記録媒体の反りの度合いを検出する反りセンサと、
ゴムローラである加圧ローラ、前記ゴムローラの2倍以上の強度を有する金属ローラでなり加熱装置を有する加熱ローラ、前記加熱ローラに懸架され前記加熱ローラに従動する従動ベルト、及び、前記従動ベルトに対向する位置に設けられた押圧部を備え、前記加熱ローラと前記加熱ローラに対向する位置に設けられた前記加圧ローラとにより、搬送されてきた前記ロール状記録媒体の凸状の反りが前記加熱ローラ側になるように受けて、前記従動ベルトと前記押圧部とで押圧して搬送する間に、前記ロール状記録媒体に対して熱と圧力を加えることにより、巻回されていた前記ロール状記録媒体の反りを矯正する矯正装置と、
前記検知手段から出力される巻き残量及び前記反りセンサから出力される反りの度合いに応じて、前記矯正装置における前記加熱ローラによる加熱温度と前記加圧ローラによる加圧圧力とを制御する制御手段と、
前記矯正装置により前記反りが矯正された前記ロール状記録媒体に対してインクを噴射して記録させる記録ヘッドと、を有することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 巻回されていたロール状記録媒体を引出し搬送する記録媒体搬送部と、
前記ロール状記録媒体の巻き残量を検知する検知手段と、
引き出された前記ロール状記録媒体の反りの度合いを検出する反りセンサと、
ゴムローラである加圧ローラ、前記ゴムローラの2倍以上の強度を有する金属ローラでなり加熱装置を有する加熱ローラ、前記加熱ローラより前記ロール状記録媒体の搬送方向にあって前記加熱ローラに従動する第1従動ローラ、前記加熱ローラと前記第1従動ローラに懸架された加熱ベルト、前記第1の従動ローラに対向する位置にあって前記加圧ローラに従動する第2従動ローラ、及び、前記加圧ローラと第2従動ローラに懸架された加圧ベルトを備え、前記加熱ベルトと前記加熱ベルトに対向する位置に設けられた前記加圧ベルトとにより、搬送されてきた前記ロール状記録媒体の凸状の反りが前記加熱ローラ側になるように受けて、前記加熱ベルトと前記加圧ベルトとで挟み込んで搬送する間に、前記ロール状記録媒体に対して熱と圧力を加えることにより、巻回されていた前記ロール状記録媒体の反りを矯正する矯正装置と、
前記検知手段から出力される巻き残量及び前記反りセンサから出力される反りの度合いに応じて、前記矯正装置における前記加熱ローラによる加熱温度と前記加圧ローラによる加圧圧力とを制御する制御手段と、
前記矯正装置により前記反りが矯正された前記ロール状記録媒体に対してインクを噴射して記録させる記録ヘッドと、を有することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記ロール状記録媒体の厚さ及び種類を入力する入力手段を有し、前記制御手段は、前記入力手段による入力に応じて加熱温度の制御または前記入力手段による入力に応じて加圧温度の制御のいずれかを行うことを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載のインクジェット記録装置。
- 前記ロール状記録媒体は、無機、水溶性バインダを含有するインク吸収層を有しており、前記ロール状記録媒体のインク吸収層における前記無機顔料と前記水溶性バインダの質量比が3:1〜9:1であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のインクジェット記録装置。
- 前記ロール状記録媒体において、前記インク吸収層が、ガラス転移点Tgが20℃以下で、かつポリビニルアルコールを分散媒としたエマルジョン樹脂を含有することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
- 前記ロール状記録媒体が、前記インク吸収層上に、熱可塑性樹脂を含有する表層を有することを特徴とする請求項4乃至5の何れかに記載のインクジェット記録装置。
- 前記表層が更に無機顔料を含有することを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
- 前記インク吸収層の、JIS B−0601に規定される中心線平均粗さが、基準長が2.5mm、カットオフ値が0.8mmにて測定を行った時、0.8μm以上且つ4μm以下であることを特徴とする請求項4乃至7の何れかに記載のインクジェット記録装置。
- 前記インクが、顔料インクであることを特徴とする請求項4乃至8の何れかに記載のインクジェット記録装置。
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