本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
図1を参照して、本発明の実施形態を示すインクジェット記録装置1について説明する。図1は、インクジェット記録装置1の概略構成図である。
図1に示すように、インクジェット記録装置1は、シートSの両面印刷を行うことが可能である。インクジェット記録装置1は、具体的には、筐体10と、排出トレイ11と、収容部12と、第1搬送装置20と、画像形成部30と、第2搬送装置40と、第3搬送装置50と、第4搬送装置60と、排出装置70と、戻し装置80と、第1分岐ガイド90とを備える。
筐体10は、収容部12と、第1搬送装置20と、画像形成部30と、第2搬送装置40と、第3搬送装置50と、第4搬送装置60と、排出装置70と、戻し装置80とを収容する。排出トレイ11は、筐体10の外面に設置される。
収容部12は、シートSを収容する。収容部12は、例えば、カセットである。シートSは、例えば、普通紙、厚紙、OHPシート、封筒、ハガキ、又は送り状である。
第1搬送装置20は、収容部12に収容されたシートSを送出する。第1搬送装置20は、具体的には、給送ローラー21と、送出路22と、第1ローラー23と、レジストローラー24とを有する。給送ローラー21は、収容部12に収容されたシートSを取り出し、送出路22へ送出する。送出路22は、収容部12と画像形成部30との間に位置する。第1ローラー23は、送出路22に設置され、給送ローラー21が送出したシートSをレジストローラー24に向けて搬送する。レジストローラー24は、画像形成部30に対してシートSの搬送方向Xの上流であり、画像形成部30の直前に設置される。シートSの搬送方向Xとは、インクジェット記録装置1がシートSに画像を形成するジョブを実行するときに、インクジェット記録装置1内でシートSが移動する方向を示す。レジストローラー24は、第1ローラー23が搬送したシートSを、画像形成部30による画像形成のタイミングに合わせて画像形成部30に送る。
画像形成部30は、第1搬送装置20に対し搬送方向Xの下流に設置される。画像形成部30は、インクを吐出する。具体的には、画像形成部30は、複数のヘッドを有し、複数のヘッドの各々からインクを吐出する。
画像形成部30は、シートSにインクを吐出し、シートSに画像を形成する。インクの色は、例えば、ブラック色、シアン色、マゼンダ色、及びイエロー色である。インクは、例えば、水系インクである。
第2搬送装置40は、画像形成部30に対向する。第2搬送装置40は、具体的には、一対の第2ローラー41と、第1ベルト42と、第1吸気部43とを有する。一対の第2ローラー41は、搬送方向Xに間隔を空けて設置される。第1ベルト42は、一対の第2ローラー41に架けられる。第1ベルト42には複数の孔が設けられる。第1ベルト42は、一対の第2ローラー41と共に回動する。第1吸気部43は、第1ベルト42の内側に設置される。第1吸気部43は、第1ベルト42の孔を介して吸気する。
第2搬送装置40は、以下の手順でシートSを搬送する。
第1ベルト42には、レジストローラー24の送出したシートSが載置される。第1吸気部43は、吸気する。その結果、シートSのうち吸着面S2が第1ベルト42に吸着する。そして、第1ベルト42が回動し、シートSを搬送方向Xに搬送する。なお、シートSのうち吸着面S2の裏側の面を、画像形成面S1と記載する。
画像形成部30は、第1ベルト42上のシートSに対し、インクを吐出する。画像形成部30は、シートSのうち画像形成面S1にインクを吐出し、画像形成面S1に画像を形成する。つまり、シートSの両面印刷のうち表面印刷が行われる。画像は、画像形成面S1に付着したインクにより形成される。
第3搬送装置50は、画像形成部30に対し、搬送方向Xの下流に設置される。また、第3搬送装置50は、第2搬送装置40に対し、搬送方向Xの下流に設置される。第3搬送装置50は、シートSを搬送して、シートSに付着したインクを自然乾燥させる。第3搬送装置50は、具体的には、一対の第3ローラー51と、第2ベルト52と、第2吸気部53とを有する。一対の第3ローラー51は、搬送方向Xに間隔を空けて設置される。第2ベルト52は、一対の第3ローラー51に架けられる。第2ベルト52には複数の孔が設けられる。第2ベルト52は、一対の第3ローラー51と共に回動する。第2吸気部53は、第2ベルト52の内側に設置される。第2吸気部53は、第2ベルト52の孔を介して吸気する。
第3搬送装置50は、以下の手順でシートSを搬送する。
第2ベルト52には、第3搬送装置50の送出したシートSが載置される。第2吸気部53は、吸気し、第2ベルト52にシートSの吸着面S2を吸着させる。そして、第2ベルト52が回動し、シートSを搬送方向Xに搬送する。
第3搬送装置50がシートSを搬送する間、シートSの画像形成面S1に付着したインクは、外気に触れて乾燥していく。従って、例えば、第3搬送装置50を大型化し、第3搬送装置50によるシートSの搬送距離を長くする程、インクの乾燥を促進させることができる。
第4搬送装置60は、第3搬送装置50に対し、搬送方向Xの下流に設置される。第4搬送装置60の詳細な説明は後述する。
排出装置70は、第4搬送装置60に対し、搬送方向Xの下流に設置される。排出装置70は、画像形成部30を通過したシートSを筐体10の外部に排出する。排出装置70は、具体的には、排出路71と、排出ローラー72とを有する。排出路71は、第4搬送装置60と排出トレイ11との間に位置する。排出ローラー72は、排出路71を通じて搬送されたシートSを排出トレイ11に排出する。
戻し装置80は、第4搬送装置60に対し、搬送方向Xの下流に設置される。戻し装置80は、具体的には、反転路81と、戻り路82と、第2分岐ガイド83と、反転ローラー84と、戻しローラー85とを有する。
反転路81は、第4搬送装置60に連結される。戻り路82の一端は、反転路81と第4搬送装置60との連結部81aに連結される。戻り路82の他端は、送出路22に連結される。戻り路82の他端と送出路22との連結部82aは、レジストローラー24よりも搬送方向Xの上流に位置する。
第2分岐ガイド83は、連結部81aに設置される。第2分岐ガイド83は、回動可能に支持される。第2分岐ガイド83の姿勢は、第1案内姿勢と第2案内姿勢とに変更可能である。第1案内姿勢は、反転路81と戻り路82との連通を遮断しつつ、反転路81と第4搬送装置60とを連通させる第2分岐ガイド83の姿勢を示す。第2案内姿勢は、反転路81と第4搬送装置60との連通を遮断しつつ、反転路81と戻り路82とを連通させる第2分岐ガイド83の姿勢を示す。
反転ローラー84は、反転路81に設置される。戻しローラー85は、戻り路82に設置される。
戻し装置80が、シートSを第4搬送装置60から送出路22に搬送する手順について説明する。
まず、第2分岐ガイド83は、第1案内姿勢になる。その結果、第2分岐ガイド83が、シートSを第4搬送装置60から反転路81に案内する。
次に、反転ローラー84が、シートSを反転路81から第2分岐ガイド83に向けて戻す。
次に、第2分岐ガイド83は、第2案内姿勢になる。その結果、第2分岐ガイド83が、シートSを反転路81から戻り路82に案内する。
次に、戻しローラー85が戻り路82から送出路22にシートSを搬送する。
戻し装置80により送出路22へ搬送されたシートSは、再度、画像形成部30へ搬送される。
戻し装置80により搬送されたシートSは、表面(画像形成面S1)の位置と裏面(吸着面S2)の位置とが反転している。また、戻し装置80により搬送されたシートSは、搬送方向Xの先端側の位置と後端側の位置とが反転している。従って、シートSの画像形成面S1が、第1ベルト搬送部13に吸着される。そして、シートSの吸着面S2に対し、画像形成部30がインクを吐出して画像を形成する。つまり、シートSの両面印刷のうち裏面印刷が行われる。
次に、図2及び図3を参照して、第4搬送装置60と第1分岐ガイド90とについて説明する。図2は、第4搬送装置60と第1分岐ガイド90とを示す拡大図である。
図2に示すように、第4搬送装置60は、デカール装置61と、案内部62とを備える。
デカール装置61は、第1デカール部63と、第2デカール部64とを有する。
第1デカール部63は、シートSが搬送される。第1デカール部63は、画像形成部30に対し、搬送方向Xの下流に設置される。また、第1デカール部63は、第3搬送装置50に対し、搬送方向Xの下流に設置される。従って、第3搬送装置50を通過したシートSが第1デカール部63に送出される。
第1デカール部63は、具体的には、第1矯正ローラー63aと、第2矯正ローラー63bとを有する。第1矯正ローラー63aと第2矯正ローラー63bとの各々は、回動可能に支持される。第1矯正ローラー63aと第2矯正ローラー63bとはシートSを挟持しつつ回動してシートSを搬送する。詳細には、第1矯正ローラー63aと第2矯正ローラー63bとは、第1矯正ローラー63aの外周面と、第2矯正ローラー63bの外周面とでシートSを挟持しつつ回動する。
第1矯正ローラー63aと第2矯正ローラー63bとがシートSを挟持する際、シートSのうち第1矯正ローラー63aと第2矯正ローラー63bとの間に位置する部分が平坦な形状に形成される。その結果、シートSのカールを緩和することができる。シートSのカールは、シートSの画像形成面S1にインクが付着し、シートSの端部が吸着面S2側に湾曲することを示す。
第1矯正ローラー63aと第2矯正ローラー63bとには、セラミック粒子、及び/又は、ガラスビーズのような粒子がコーティングされる。従って、第1矯正ローラー63aの単位面積に対する、シートSの接触面積の増加を抑制することができる。また、第2矯正ローラー63bの単位面積に対する、シートSの接触面積の増加を抑制することができる。その結果、シートSに付着したインクが第1矯正ローラー63aと第2矯正ローラー63bとの各々に転写することを抑制することができる。
第2デカール部64は、シートSが搬送される。第2デカール部64は、画像形成部30に対し、搬送方向Xの下流に設置される。さらに、第2デカール部64は、第1デカール部63に対し、搬送方向Xの下流に設置される。
図3は、第2デカール部64を示すブロック図である。
図2及び図3に示すように、第2デカール部64は、具体的には、第1乾燥ローラー(第1ローラー)64aと、第2乾燥ローラー(第2ローラー)64bと、第1加熱部64cと、第1検知部64dと、第2加熱部64jと、第2検知部64kとを有する。第1乾燥ローラー64aと第2乾燥ローラー64bとの各々は、回動可能に支持される。第1乾燥ローラー64aと第2乾燥ローラー64bとはシートSを挟持しつつ回動してシートSを搬送する。詳細には、第1乾燥ローラー64aと第2乾燥ローラー64bとは、第1乾燥ローラー64aの外周面と、第2乾燥ローラー64bの外周面とでシートSを挟持しつつ回動する。
第1乾燥ローラー64aと第2乾燥ローラー64bとには、セラミック粒子、及び/又は、ガラスビーズのような粒子がコーティングされる。従って、第1乾燥ローラー64aの単位面積に対する、シートSの接触面積の増加を抑制することができる。また、第2乾燥ローラー64bの単位面積に対する、シートSの接触面積の増加を抑制することができる。その結果、シートSに付着したインクが第1乾燥ローラー64aと第2乾燥ローラー64bとに転写することを抑制することができる。
第1加熱部64cは、例えば、ハロゲンヒーターである。第1加熱部64cは、具体的には、第1熱源64eと、第1熱源64eを収容する第1熱源筐体64fと、第1動力源64gとを有する。
第1熱源64eは、発熱可能な部材である。第1熱源64eは、例えば、フィラメントである。
第1熱源64eは、第1乾燥ローラー64aに設置される。本実施形態では、第1熱源64eが第1乾燥ローラー64aに内蔵される。第1熱源64eが第1乾燥ローラー64aに内蔵された状態は、第1乾燥ローラー64aの内部に空所が形成され、空所に第1熱源64eが設置された状態、及び、第1乾燥ローラー64aが略筒形状を有し、第1乾燥ローラー64aの内周面で囲まれた空間に第1熱源64eが設置された状態を含む。第1熱源64eは、例えば、第1乾燥ローラー64a、及び/又は、第1軸部材に取り付けられる。第1軸部材は、第1乾燥ローラー64aに貫入し、第1乾燥ローラー64aを回動可能に支持する。
第1動力源64gは、第1熱源64eに動力を供給し、第1熱源64eを稼働させる。本実施形態の第1動力源64gは、電源である。従って、第1動力源64gは、第1熱源64eに電力を供給し、第1熱源64eを稼働させる。その結果、第1熱源64eが発熱し、第1乾燥ローラー64aの温度が上昇する。
第1検知部64dは、第1乾燥ローラー64aの端部の温度を検知する。第1乾燥ローラー64aの端部は、第1乾燥ローラー64aのうち第1熱源64eと軸方向Z1の位置が重なる箇所を示す。軸方向Z1は、第1乾燥ローラー64aの回動軸Zの延びる方向を示す。なお、第1乾燥ローラー64aの端部の温度を検知することには、第1熱源64eの温度を検知すること、及び、第1熱源筐体64fの端部の温度を検知することも含まれる。第1熱源筐体64fの端部は、第1熱源筐体64fのうち第1熱源64eと軸方向Z1の位置が重なる箇所を示す。第1検知部64dは、例えば、サーミスターによって構成される。
第2加熱部64jは、例えば、ハロゲンヒーターである。第2加熱部64jは、具体的には、第2熱源64mと、第2熱源64mを収容する第2熱源筐体64nと、第2動力源64pとを有する。
第2熱源64mは、発熱可能な部材である。第2熱源64mは、例えば、フィラメントである。
第2熱源64mは、第2乾燥ローラー64bに設置される。本実施形態では、第2熱源64mが第2乾燥ローラー64bに内蔵される。具体的には、本実施形態では、第2乾燥ローラー64bが中空に形成され、第2乾燥ローラー64bの内部に第2熱源64mが設置される。第2熱源64mは、第2乾燥ローラー64b、及び/又は、第2軸部材に取り付けられる。第2軸部材は、第2乾燥ローラー64bに貫入し、第2乾燥ローラー64bを回動可能に支持する。
第2動力源64pは、第2熱源64mに動力を供給し、第2熱源64mを稼働させる。第2熱源64mが稼働すると、第2熱源64mが発熱し、第2乾燥ローラー64bの温度が上昇する。なお、第2動力源64pと第1動力源64gとは、単一の動力源であってもよく、別体の動力源であってもよい。
第2検知部64kは、第2乾燥ローラー64bの中央部の温度を検知する。第2乾燥ローラー64bの中央部は、第2乾燥ローラー64bのうち第2熱源64mと軸方向Z1の位置が重なる箇所を示す。なお、第2乾燥ローラー64bの中央部の温度を検知することには、第2熱源64mの温度を検知すること、及び、第2熱源筐体64nの中央部の温度を検知することも含まれる。第2熱源筐体64nの中央部は、第2熱源筐体64nのうち第2熱源64mと軸方向Z1の位置が重なる箇所を示す。第2検知部64kは、例えば、サーミスターによって構成される。
案内部62は、シートSを案内する。案内部62は、具体的には、第1案内路65と、第2案内路66と、第3案内路67と、第3分岐ガイド68とを有する。
第1案内路65は、第2デカール部64に対し、搬送方向Xの下流に位置する。第1案内路65の一端は、第1デカール部63に連結される。第1案内路65の他端は、第2デカール部64に連結される。
第2案内路66は、第2デカール部64に対し、搬送方向Xの上流に位置する。第2案内路66の一端は、第2デカール部64に連結される。従って、第2案内路66と第1案内路65との間に、第2デカール部64が位置する。
第2案内路66の他端は、戻し装置80に連結される。具体的には、第2案内路66の他端は、反転路81に連結される。第2案内路66の中途部には、排出路71が連結される。
第3案内路67は、第2デカール部64を経由することなく、第1案内路65と第2案内路66とを結ぶ。第3案内路67の一端は、第1案内路65の中途部に連結される。第3案内路67の他端は、第2案内路66の中途部に連結される。従って、第3案内路67は、第1案内路65から分岐して、第2案内路66に通じる。
第3案内路67と第2案内路66との連結部67aは、第2案内路66と排出路71との連結部66aよりも、搬送方向Xの上流に位置する。その結果、第3案内路67を通過したシートSを、排出路71に搬送し、排出トレイ11へ排出することができる。
第3分岐ガイド(分岐ガイド)68は、第1案内路65と第3案内路67との連結部65aに設置される。第3分岐ガイド68は、回動可能に支持される。第3分岐ガイド68の姿勢は、第3案内姿勢(第1案内姿勢)と第4案内姿勢(第2案内姿勢)とに変更可能である。第3案内姿勢は、第1案内路65と第3案内路67との連通を遮断しつつ、第1案内路65と第2デカール部64とを連通させる第3分岐ガイド68の姿勢を示す。第4案内姿勢は、第1案内路65と第2デカール部64との連通を遮断しつつ、第1案内路65と第3案内路67とを連通させる第3分岐ガイド68の姿勢を示す。
第3分岐ガイド68が第3案内姿勢のとき、シートSは、第1案内路65、第2デカール部64、及び第2案内路66の順に搬送される。
これに対し、第3分岐ガイド68が第4案内姿勢のとき、シートSは、第1案内路65、第3案内路67、及び第2案内路66の順に搬送される。従って、第3分岐ガイド68が第4案内姿勢のとき、シートSは、第2デカール部64を通過することなく第2案内路66へ搬送される。
第1分岐ガイド90は、連結部66aに設置される。第1分岐ガイド90は、回動可能に支持される。第1分岐ガイド90の姿勢は、第5案内姿勢と第6案内姿勢とに変更可能である。第5案内姿勢は、第2案内路66と排出路71との連通を遮断しつつ、第2案内路66と戻し装置80とを連通させる第1分岐ガイド90の姿勢を示す。第6案内姿勢は、第2案内路66と戻し装置80との連通を遮断しつつ、第2案内路66と排出路71とを連通させる第1分岐ガイド90の姿勢を示す。
第1分岐ガイド90が第5案内姿勢のとき、シートSは、第2案内路66から戻し装置80に搬送される。その結果、シートSの裏面印刷が行われる。
これに対し、第1分岐ガイド90が第5案内姿勢のとき、シートSは、第2案内路66から排出路71に搬送される。その結果、シートSは、排出トレイ11へ排出される。
以上、図2及び図3を参照して説明したように、第1熱源64eを第1乾燥ローラー64aに設置する。また、第2熱源64mで第2乾燥ローラー64bを加熱する。従って、シートSに向けて温風を送る従来の装置に比べて、簡素な装置構成で、シートSに付着したインクの乾燥を促進することができる。
また、第1熱源64eは、第1乾燥ローラー64aを加熱する。また、第2熱源64mは、第2乾燥ローラー64bを加熱する。従って、第1乾燥ローラー64aと第2乾燥ローラー64bとがシートSを挟持しつつ回動してシートSを搬送するとき、第1乾燥ローラー64aの熱と第2乾燥ローラー64bの熱とで、シートSに付着したインクの乾燥を促進させることができる。その結果、シートSのカールを緩和することができ、シートSの耳折れ、及びJAMのような問題の発生を抑制できる。
また、第1乾燥ローラー64aと第2乾燥ローラー64bとがシートSを挟持する際、シートSのうち第1乾燥ローラー64aと第2乾燥ローラー64bとの間に位置する部分が平坦な形状に形成される。その結果、シートSのカールを緩和することができる。
また、シートSのカールが緩和されると、シートSの裏面印刷を行う際に、シートSを第1ベルト42に効果的に吸着させることができる。従って、シートSの端部が第1ベルト42から浮くことを抑制できる。その結果、画像形成部30に対するシートSの擦れの発生を抑制でき、シートSの裏面印刷を円滑に行うことができる。
また、第1乾燥ローラー64aと第2乾燥ローラー64bとでシートSを加熱することで、シートSに付着したインクの水分を蒸発させ、インクの乾燥を促進させることができる。従って、第3搬送装置50を用いてシートSに付着したインクを自然乾燥させる必要性が低下する。その結果、第3搬送装置50がシートSを搬送する距離を短くし、又は、第3搬送装置50を除去して、インクジェット記録装置1を小型化することが可能となる。
次に、図4〜図6(b)を参照して、第2デカール部64について説明する。図4は、第2デカール部64の側面図である。図5(a)は、第1乾燥ローラー64aとシートSとの平面図である。図5(b)は、第1熱源筐体64fの部位と、第1熱源筐体64fの温度との関係を示す図である。
図4〜図5(b)に示すように、第1熱源64eは、一対設けられる。一対の第1熱源64eは、軸方向Z1に互いに間隔を空けて設置される。一対の第1熱源64eは、軸方向Z1に寸法YAの間隔を空けて設置される。寸法YAは、0よりも大きく、シートSの幅寸法YBよりも小さい(0<YA<YB)。幅寸法YBは、第1乾燥ローラー64a上に位置するシートSの軸方向Z1の寸法を示す。
第1乾燥ローラー64aと第2乾燥ローラー64bとでシートSを挟持する際、一対の第1熱源64eは、シートSのうち軸方向Z1の両端部U1に対向する。一対の第1熱源64eは、第1乾燥ローラー64aの端部を加熱する。詳細には、一対の第1熱源64eは、第1乾燥ローラー64aのうち軸方向Z1の両端部を加熱する。その結果、一対の第1熱源64eは、シートSのうち軸方向Z1の両端部U1を加熱する。
第1熱源筐体64fのうち一対の第1熱源64eに対向する部位の温度は、第1所定温度T1に略均一になるように加熱される。その結果、第1乾燥ローラー64aのうち一対の第1熱源64eに対向する部位が第1所定温度T1まで加熱される。なお、第1所定温度T1は、予め決められている。第1所定温度T1は、シートSの両端部U1に付着したインクの乾燥を促進させるのに適した温度であり、例えば、試験によって決められる。
図6(a)は、第2乾燥ローラー64bとシートSとの平面図である。図6(b)は、第2熱源筐体64nの部位と、第2熱源筐体64nの温度との関係を示す図である。
図4、図6(a)及び図6(b)に示すように、第2熱源64mは、軸方向Z1の位置が一対の第1熱源64eの間に略位置するように設置される。つまり、第2熱源64mの軸方向Z1の寸法が、寸法YAと同じ、又は、寸法YAよりも僅かに大きい。
第1乾燥ローラー64aと第2乾燥ローラー64bとでシートSを挟持する際、第2熱源64mは、シートSのうち軸方向Z1の軸方向Z1の中央部U2に対向する。第2熱源64mは、第2乾燥ローラー64bのうち軸方向Z1の中央部を加熱する。その結果、第2熱源64mは、シートSのうち軸方向Z1の中央部U2を加熱する。
第2熱源筐体64nのうち第2熱源64mに対向する部位の温度は、第2所定温度T2に略均一になるように加熱される。その結果、第2乾燥ローラー64bのうち第2熱源64mに対向する部位が第2所定温度T2まで加熱される。なお、第2所定温度T2は、予め決められている。第2所定温度T2は、シートSの中央部U2に付着したインクの乾燥を促進させるのに適した温度であり、例えば、試験によって決められる。なお、第1所定温度T1と第2所定温度T2とは、互いに等しくてもよく、互いに異なっていてもよい。
第1乾燥ローラー64aと第2乾燥ローラー64bとがシートSを挟持すると、第1乾燥ローラー64aがシートSの画像形成面S1と対向し、第2乾燥ローラー64bがシートSの吸着面S2と対向する。従って、第1乾燥ローラー64aは、シートSの両端部U1を画像形成面S1側から加熱する。これに対し、第2乾燥ローラー64bは、シートSの中央部U2を吸着面S2側から加熱する。
また、第1乾燥ローラー64aと第2乾燥ローラー64bとは、シートSを挟持しつつ回動する。その結果、シートSは、第1乾燥ローラー64aの熱と、第2乾燥ローラー64bの熱とを伝導されつつ、第1乾燥ローラー64aと第2乾燥ローラー64bとの間を通過する。
以上、図4〜図6(b)を参照して説明したように、第1乾燥ローラー64aと第2乾燥ローラー64bとで、シートSの加熱する領域を異ならせる。従って、インクの付着したシートSの領域に対応させて、シートSの加熱する領域を変更することができる。その結果、必要以上に一対の第1熱源64eと、第2熱源64mとを稼働させることを抑制でき、装置のランニングコストを低減することができる。
また、一般に、シートSの中央部U2よりも両端部U1の方が、インクが付着するとカールしやすい。従って、第1乾燥ローラー64aが画像形成面S1側からシートSの両端部U1を加熱することで、両端部U1を効果的に加熱することができ、シートSのカールを効果的に緩和することができる。
次に、図7〜図8(b)を参照して、インクジェット記録装置1について説明する。図7は、インクジェット記録装置1を示すブロック図である。図8(a)は、シートSの表面印刷が行われるときの、第1乾燥ローラー64aとシートSとの平面図である。図8(b)は、シートSの裏面印刷が行われるときの、画像形成部30とシートSとの側面図である。
図7〜図8(b)に示すように、インクジェット記録装置1は、記憶部100と、制御装置110とをさらに備える。
記憶部100は、記憶装置を含む。記憶装置は、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)のような主記憶装置(例えば、半導体メモリー)を含み、補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)をさらに含んでもよい。主記憶装置及び/又は補助記憶装置は、制御装置110によって実行される種々のコンピュータープログラムを記憶する。
記憶部100は、所定温度Tを示す情報を記憶する。
制御装置110は、CPU(Central Processing Unit)及びMPU(Micro Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。制御装置110は、インクジェット記録装置1の各要素を制御する。具体的には、プロセッサーは、記憶装置に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、第1搬送装置20と、画像形成部30と、第2搬送装置40と、第3搬送装置50と、第4搬送装置60と、排出装置70と、戻し装置80と、第1分岐ガイド90と、記憶部100とを制御する。
制御装置110は、受信部111と、第1算出部112と、第2算出部113と、判定部114と、制御部115とを有する。具体的には、プロセッサーが、記憶装置に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、受信部111、第1算出部112、第2算出部113、判定部114、及び制御部115として機能する。
受信部111は、画像データを受信する。画像データは、画像形成部30がシートSに形成する画像を示すデータである。受信部111は、例えば、外部のコンピューターから画像データを受信する。なお、インクジェット記録装置1が画像読取部を備える場合、受信部111は、画像読取部から画像データを受信することができる。
第1算出部112は、受信部111から画像データを取得する。そして、第1算出部112は、画像データに基づいて、インクの第1吐出量を算出する。図8(a)に示すように、インクの第1吐出量は、詳細には、シートSの後端部S3のうち第1領域α1に向けて画像形成部30が吐出するインクの量を示す。シートSの後端部S3は、シートSの表面印刷が行われる際の、シートSのうちの搬送方向Xの後端部S3を示す。第1領域α1は、シートSの後端部S3のうちシートSの幅方向の両側部に位置する領域を示す。シートSの幅方向は、搬送方向Xに対して垂直であり、かつ、画像形成面S1に平行な方向を示す。また、第1領域α1は、例えば、インクが付着するとカールしやすい領域を示す。第1領域α1の大きさは、例えば、試験によって決定される。第1領域α1を示す情報は、予め記憶部100に記憶される。
第2算出部113は、受信部111から画像データを取得する。そして、第2算出部113は、画像データに基づいて、インクの第2吐出量を算出する。インクの第2吐出量は、詳細には、シートSの後端部S3のうちの第2領域α2に向けて画像形成部30が吐出するインクの量を示す。第2領域α2は、シートSの後端部S3のうちシートSの幅方向の中央部に位置する領域を示す。また、第2領域α2は、例えば、インクが付着するとカールしやすい領域を示す。第2領域α2の大きさは、例えば、試験によって決定される。第2領域α2を示す情報は、予め記憶部100に記憶される。
判定部114は、第1算出部112の算出したインクの第1吐出量に基づいて、第1熱源64eを稼働させるか否かを判定する。第1熱源64eを稼働させるとは、第1動力源64gが第1熱源64eに動力を供給し、第1熱源64eの温度を上昇させることを示す。
第1算出部112の算出したインクの第1吐出量が所定の第1基準量よりも多いとき、判定部114は、第1熱源64eを稼働させる旨の判定をする。これに対し、第1算出部112の算出したインクの第1吐出量が所定の第1基準量以下のとき、判定部114は、第1熱源64eを稼働させない旨の判定をする。第1熱源64eを稼働させないとは、第1動力源64gが第1熱源64eに動力を供給しないことを示す。所定の第1基準量は、例えば、JAMのような問題の発生を抑制して、シートSを円滑に搬送できるときの、第1領域α1に対するインクの吐出量の最大値を示す。所定の第1基準量は、例えば、試験によって決定される。所定の第1基準量を示す情報は、予め記憶部100に記憶される。
図8(b)を参照して、所定の第1基準量の一例について説明する。所定の第1基準量は、例えば、シートSの第1領域α1のカールの高さβ1が、画像形成部30と第2搬送装置40との間の寸法β2未満になるときの、第1領域α1に対するインクの吐出量の最大値を示す。従って、第1領域α1に向けて吐出されるインクの第1吐出量が多く、カールの高さβ1が寸法β2よりも大きくなると想定されるとき、判定部114は、第1熱源64eを稼働させる旨の判定をする。これに対し、第1領域α1に向けて吐出されるインクの第1吐出量が少なく、カールの高さβ1が寸法β2よりも小さくなると想定されるとき、判定部114は、第1熱源64eを稼働させない旨の判定をする。
シートSの裏面印刷が行われるとき、シートSのうち後端部S3が先頭に位置する。従って、所定の基準量を一例のように設定すると、シートSの裏面印刷の際、シートSの第1領域α1が画像形成部30に接触することを抑制できる。また、第1熱源64eを必要以上に稼働させることを抑制し、第1熱源64eを効率的に稼働させることができる。
また、判定部114は、第2算出部113の算出したインクの第2吐出量に基づいて、第2熱源64mを稼働させるか否かを判定する。
第2算出部113の算出したインクの第2吐出量が所定の第2基準量よりも多いとき、判定部114は、第2熱源64mを稼働させる旨の判定をする。これに対し、第2算出部113の算出したインクの第2吐出量が所定の第2基準量以下のとき、判定部114は、第2熱源64mを稼働させない旨の判定をする。所定の第2基準量は、例えば、JAMのような問題の発生を抑制して、シートSを円滑に搬送できるときの、第2領域α2に対するインクの吐出量の最大値を示す。所定の第2基準量は、例えば、試験によって決定される。所定の第2基準量を示す情報は、予め記憶部100に記憶される。
所定の第2基準量の一例は、シートSの第2領域α2のカールの高さが、画像形成部30と第2搬送装置40との間の寸法β2未満になるときの、第2領域α2に対するインクの吐出量の最大値を示す。
所定の第2基準量を一例のように設定すると、シートSの裏面印刷を行うとき、シートSの第2領域α2が画像形成部30に接触することを抑制できる。また、第2熱源64mを必要以上に稼働させることを抑制し、第2熱源64mを効率的に稼働させることができる。
図7を参照して、制御部115の説明を続ける。制御部115は、第1搬送装置20に接続され、第1搬送装置20を制御する。具体的には、制御部115は、給送ローラー21と第1ローラー23とレジストローラー24とを制御する。
制御部115は、画像形成部30に接続され、画像形成部30を制御する。具体的には、制御部115は、画像形成部30がシートSにインクを吐出するように、画像形成部30を制御する。
制御部115は、受信部111から画像データを取得する。そして、制御部115は、画像データに基づいて画像形成部30を制御する。その結果、画像形成部30は、画像データに対応した画像をシートSに形成する。
制御部115は、判定部114の判定結果に基づいて、第1熱源64e、第2熱源64m、及び画像形成部30を制御する。
制御部115は、第2搬送装置40に接続され、第2搬送装置40を制御する。具体的には、制御部115は、一対の第2ローラー41と、第1ベルト42と、第1吸気部43とを制御する。
制御部115は、第3搬送装置50に接続され、第3搬送装置50を制御する。具体的には、制御部115は、一対の第3ローラー51と、第2ベルト52と、第2吸気部53とを制御する。
制御部115は、案内部62に接続され、案内部62を制御する。具体的には、制御部115は、第3分岐ガイド68を制御する。
制御部115は、第1デカール部63に接続され、第1デカール部63を制御する。具体的には、制御部115は、第1矯正ローラー63aと、第2矯正ローラー63bとを制御する。
制御部115は、第2デカール部64に接続され、第2デカール部64を制御する。具体的には、制御部115は、第1乾燥ローラー64aと、第2乾燥ローラー64bと、第1加熱部64cと、第1検知部64dと、第2加熱部64jと、第2検知部64kとを制御する。
制御部115は、排出装置70に接続され、排出装置70を制御する。具体的には、制御部115は、排出ローラー72を制御する。
制御部115は、戻し装置80に接続され、戻し装置80を制御する。具体的には、制御部115は、第2分岐ガイド83と、反転ローラー84と、戻しローラー85とを制御する。
制御部115は、第1分岐ガイド90に接続され、第1分岐ガイド90を制御する。
なお、給送ローラー21、第1ローラー23、レジストローラー24、第2ローラー41、第3ローラー51、第3分岐ガイド68、第1矯正ローラー63a、第2矯正ローラー63b、第1乾燥ローラー64a、第2乾燥ローラー64b、排出ローラー72、第2分岐ガイド83、反転ローラー84、戻しローラー85、及び第1分岐ガイド90のようなシートSを搬送する搬送部材は、例えば、ギア及びクラッチを介してモーターに接続されている。制御部115は、例えば、ギア、クラッチ、及びモーターを操作して、搬送部材の動作を制御する。
次に、図9〜図11を参照して、制御装置110の動作について説明する。図9〜図11は、制御装置110の動作を示すフローチャートの一例である。
図9に示すように、ステップS10において、受信部111は、シートSに形成予定の画像を示す画像データを受信する。画像データは、例えば、外部のコンピューターから受信部111へ送信される。
ステップS20において、第1算出部112は、受信部111から画像データを取得する。そして、第1算出部112は、シートSの第1領域α1に向けて吐出されるインクの第1吐出量を算出する。
ステップS30において、第2算出部113は、受信部111から画像データを取得する。そして、第2算出部113は、シートSの第2領域α2に向けて吐出されるインクの第2吐出量を算出する。
ステップS40において、判定部114は、第1算出部112の算出したインクの第1吐出量と、第2算出部113の算出したインクの第2吐出量とに基づいて、第1熱源64eと第2熱源64mとを稼働させるか否かを判定する。つまり、シートSに画像が形成されるよりも前に、第1熱源64eと第2熱源64mとを稼働させるか否かを判定部114が判定する。
第1吐出量が所定の第1基準量よりも多く、かつ、第2吐出量が所定の第2基準量よりも多いとき、判定部114は第1判定をする。第1判定は、第1熱源64eと第2熱源64mとを稼働させる旨の判定を示す。
第1吐出量が所定の第1基準量よりも多く、かつ、第2吐出量が所定の第2基準量以下のとき、判定部114は第2判定をする。第2判定は、第1熱源64eを稼働させ、第2熱源64mを稼働させない旨の判定を示す。
第1吐出量が所定の第1基準量以下であり、かつ、第2吐出量が所定の第2基準量よりも多いとき、判定部114は第3判定をする。第3判定は、第1熱源64eを稼働させず、第2熱源64mを稼働させる旨の判定を示す。
第1吐出量が所定の第1基準量以下であり、かつ、第2吐出量が所定の第2基準量以下のとき、判定部114は第4判定をする。第4判定は、第1熱源64eと第2熱源64mとを稼働させない旨の判定を示す。
判定部114が第1判定を行った場合、処理がステップS50に移行する。判定部114が第2判定を行った場合、処理がステップS110に移行する。判定部114が第3判定を行った場合、処理がステップS170に移行する。判定部114が第4判定を行った場合、処理がステップS230に移行する。
図10に示すように、ステップS50において、制御部115は、第1熱源64eと第2熱源64mとを稼働させる。
ステップS60において、第1検知部64dは、第1乾燥ローラー64aの端部の温度を検知する。また、第2検知部64kは、第2乾燥ローラー64bの中央部の温度を検知する。
ステップS70において、制御部115は、第1検知部64dから第1乾燥ローラー64aの端部の温度を示す情報を受信する。また、制御部115は、第2検知部64kから第2乾燥ローラー64bの中央部の温度を示す情報を受信する。そして、第1乾燥ローラー64aの端部の温度が第1所定温度T1以上であり、かつ、第2乾燥ローラー64bの中央部の温度が第2所定温度T2以上であると制御部115が判定すると(ステップS70でYes)、処理がステップS80に移行する。第1乾燥ローラー64aの端部の温度が第1所定温度T1未満であり、又は、第2乾燥ローラー64bの中央部の温度が第2所定温度T2未満であると制御部115が判定すると(ステップS70でNo)、処理がステップS60に移行する。
ステップS80において、画像形成部30が、シートSに画像を形成する。具体的には、まず、第1搬送装置20が収容部12に収容されたシートSを画像形成部30に向けて搬送するように、制御部115が第1搬送装置20を制御する。次に、第2搬送装置40がシートSを画像形成部30の下方へ搬送するように、制御部115が第2搬送装置40を制御する。次に、画像形成部30がシートSに画像を形成するように、制御部115が画像形成部30を制御する。その結果、画像形成部30が、シートSに向けてインクを吐出し、シートSに画像を形成する。
ステップS90において、第1デカール部63が、シートSを搬送する。具体的には、まず、第3搬送装置50がシートSを第1デカール部63に向けて搬送するように、制御部115が第3搬送装置50を制御する。次に、第1デカール部63の第1矯正ローラー63aと第2矯正ローラー63bとがシートSを挟持しつつ回動してシートSを搬送する。その結果、シートSのカールが緩和される。
ステップS100において、第2デカール部64が、シートSを搬送する。具体的には、まず、案内部62がシートSを第2デカール部64に向けて搬送するように、制御部115が案内部62を制御する。つまり、制御部115は、第3分岐ガイド68の姿勢を第3案内姿勢にする。その結果、第3分岐ガイド68がシートSを第2デカール部64へ案内する。次に、第2デカール部64の第1乾燥ローラー64aと第2乾燥ローラー64bとがシートSを挟持しつつ回動してシートSを搬送する。従って、第1乾燥ローラー64aの端部の温度が第1所定温度T1以上の状態で、第1乾燥ローラー64aがシートSの画像形成面S1に接触する。さらに、第2乾燥ローラー64bの中央部の温度が第2所定温度T2以上の状態で、第2乾燥ローラー64bがシートSの吸着面S2に接触する。その結果、シートSの両端部U1と中央部U2とに付着したインクの乾燥を促進させることができ、シートSの両端部U1と中央部U2とのカールを効果的に緩和することが可能となる。
シートSは、第2デカール部64を通過すると、第2案内路66に到達する。
ステップS110において、制御部115は、第1熱源64eを稼働させる。また、制御部115は、第2熱源64mを稼働させない。
ステップS120において、第1検知部64dは、第1乾燥ローラー64aの温度を検知する。
ステップS130において、制御部115は、第1検知部64dから第1乾燥ローラー64aの温度を示す情報を受信する。そして、第1乾燥ローラー64aの温度が第1所定温度T1以上であると制御部115が判定すると(ステップS130でYes)、処理がステップS140に移行する。第1乾燥ローラー64aの温度が第1所定温度T1未満であると制御部115が判定すると(ステップS130でNo)、処理がステップS120に移行する。
ステップS140において、画像形成部30が、シートSに画像を形成する(ステップS80参照)。
ステップS150において、第1デカール部63が、シートSを搬送する(ステップS90参照)。
ステップS160において、第2デカール部64がシートSを搬送する(ステップS100参照)。従って、第1乾燥ローラー64aの端部の温度が第1所定温度T1以上の状態で、第1乾燥ローラー64aがシートSの画像形成面S1に接触する。その結果、シートSの両端部U1に付着したインクの乾燥を促進させることができ、シートSの両端部U1のカールを効果的に緩和することが可能となる。
シートSは、第2デカール部64を通過すると、第2案内路66に到達する。
図11に示すように、ステップS170において、制御部115は、第2熱源64mを稼働させる。また、制御部115は、第1熱源64eを稼働させない。
ステップS180において、第2検知部64kは、第2乾燥ローラー64bの中央部の温度を検知する。
ステップS190において、制御部115は、第2検知部64kから第2乾燥ローラー64bの温度を示す情報を受信する。そして、第2乾燥ローラー64bの温度が第2所定温度T2以上であると制御部115が判定すると(ステップS190でYes)、処理がステップS200に移行する。第2乾燥ローラー64bの温度が第2所定温度T2未満であると制御部115が判定すると(ステップS190でNo)、処理がステップS180に移行する。
ステップS200において、画像形成部30が、シートSに画像を形成する(ステップS80参照)。
ステップS210において、第1デカール部63が、シートSを搬送する(ステップS90参照)。
ステップS220において、第2デカール部64がシートSを搬送する(ステップS100参照)。従って、第2乾燥ローラー64bの中央部の温度が第2所定温度T2以上の状態で、第2乾燥ローラー64bがシートSの吸着面S2に接触する。その結果、シートSの中央部U2に付着したインクの乾燥を促進させることができ、シートSの中央部U2のカールを効果的に緩和することが可能となる。
シートSは、第2デカール部64を通過すると、第2案内路66に到達する。
ステップS230において、画像形成部30が、シートSに画像を形成する(ステップS80参照)。従って、第1熱源64eと第2熱源64mとが稼働することなく、シートSに画像が形成される。
ステップS240において、第1デカール部63が、シートSを搬送する(ステップS90参照)。
ステップS250において、案内部62がシートSを第3案内路67に搬送するように、制御部115が案内部62を制御する。つまり、制御部115は、第3分岐ガイド68の姿勢を第4案内姿勢にする。その結果、シートSが、第2デカール部64を通ること無く、第3案内路67及び第2案内路66の順に搬送される。
なお、ステップS100、ステップS160、ステップS220、及びステップS250において、シートSが第2案内路66に到達した後、シートSを排出路71へ搬送し、排出トレイ11へ排出してもよい。また、シートSが第2案内路66に到達した後、シートSを反転路81及び戻り路82の順に搬送し、シートSの裏面印刷を行ってもよい。
以上、図9〜図11を参照して説明したように、ステップS40において、判定部114は、第1熱源64eと第2熱源64mとを稼働させるか否かを判定する。従って、第1熱源64eと第2熱源64mとを必要以上に稼働させることを抑制し、第1熱源64eと第2熱源64mとを効率的に稼働させることができる。その結果、デカール装置61のランニングコストを低減することができる。
また、ステップS40に示すように、シートSの加熱する領域を、複数の領域のなかから選択することができる。本実施形態の複数の領域は、両端部U1と中央部U2である。従って、シートSのうちインクの付着した領域に合わせて、シートSの加熱する領域を選択することができる。その結果、装置のランニングコストを効果的に低減することができる。
また、第1熱源64eと第2熱源64mとを必要以上に稼働させないことで、第1乾燥ローラー64aや第2乾燥ローラー64bのような第2デカール部64を構成する部材が第1熱源64eの熱と第2熱源64mとの熱で加熱される機会を抑制できる。その結果、第2デカール部64の耐用期間を延ばすことができる。
また、ステップS250に示すように、シートSを加熱する必要がない場合は、第2デカール部64を通さずにシートSを搬送することができる。その結果、第2デカール部64の稼働の機会を減らし、第2デカール部64の耐用期間を延ばすことができる。
次に、図3、図12(a)及び図12(b)を参照して、第2デカール部64の変形例について説明する。図12(a)は、第2デカール部64の第1変形例である第2デカール部641を示す図である。第2デカール部64は、一対のローラー(第1乾燥ローラー64aと第2乾燥ローラー64b)でシートSを挟持する。これに対し、第2デカール部641は、ローラーとベルトとでシートSを挟持する。以下では、第2デカール部64との異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については同一の部材番号を付し、詳細な説明は省略する。
図3、及び図12(a)に示すように、第2デカール部641は、第1乾燥ローラー64aと、第2乾燥ローラー64bと、第1加熱部64cと、第1検知部64dと、複数の支持ローラー64hと、乾燥ベルト64iと、第2加熱部64jと、第2検知部64kとを有する。
第1変形例では、複数の支持ローラー64hは、2つ支持ローラー64hで構成される。複数の支持ローラー64hは回動可能に支持される。複数の支持ローラー64hは、互いに間隔を空けて設置される。乾燥ベルト64iは、無端状のベルトである。乾燥ベルト64iは、複数の支持ローラー64hに架けられる。乾燥ベルト64iは、回動可能に支持される。具体的には、乾燥ベルト64iは、複数の支持ローラー64hにより回動可能に支持される。乾燥ベルト64iは、複数の支持ローラー64hに接触しつつ、複数の支持ローラー64hと共に回動する。
第1乾燥ローラー64aと乾燥ベルト64iとは、シートSを挟持しつつ回動してシートSを搬送する。詳細には、第1乾燥ローラー64aと乾燥ベルト64iとは、第1乾燥ローラー64aの外周面と乾燥ベルト64iの外側面とでシートSを挟持しつつ回動する。乾燥ベルト64iの外側面は、乾燥ベルト64iのうち複数の支持ローラー64hが接触する面とは反対側の面を示す。
第1乾燥ローラー64aは、乾燥ベルト64iの所定箇所Rとの間にシートSを挟持する。所定箇所Rは、乾燥ベルト64iのうち乾燥ベルト64iを介して第1乾燥ローラー64aと複数の支持ローラー64hとが対向しない箇所を示す。言い換えれば、所定箇所Rは、乾燥ベルト64iのうち複数の支持ローラー64hに非接触の箇所を示す。従って、第1乾燥ローラー64aと乾燥ベルト64iとは、第1乾燥ローラー64aと乾燥ベルト64iの所定箇所RとでシートSを挟持しつつ回動してシートSを搬送する。
また、乾燥ベルト64iの所定箇所Rは、第1乾燥ローラー64aから受ける圧力で撓む。従って、第1乾燥ローラー64aは、乾燥ベルト64iのうち撓んだ箇所との間でシートSを挟持する。
第2乾燥ローラー64bは、乾燥ベルト64iに接触する。具体的には、第2乾燥ローラー64bは、乾燥ベルト64iの外側面に接触する。第2乾燥ローラー64bは、乾燥ベルト64iに接触しつつ回動する。詳細には、第2乾燥ローラー64bは、乾燥ベルト64iに接触しつつ乾燥ベルト64iと共に回動する。
第2熱源64mの熱は、第2乾燥ローラー64bと乾燥ベルト64iとを介してシートSに伝導する。つまり、第2熱源64mは、乾燥ベルト64iを加熱し、乾燥ベルト64iを介してシートSの中央部U2を加熱する。
図12(b)は、第2デカール部64の第2変形例である第2デカール部642を示す図である。第2デカール部642は、3つのローラーで乾燥ベルト64iを支持する点で第2デカール部641と異なる。
図3及び図12(b)に示すように、第2デカール部642は、第1乾燥ローラー64aと、第1加熱部64cと、第1検知部64dと、複数の支持ローラー64hと、乾燥ベルト64iと、第2加熱部64jと、第2検知部64kとを有する。
複数の支持ローラー64hは、互いに間隔を空けて設置される。また、複数の支持ローラー64hは、一列に並ばないように設置される。第2変形例では、複数の支持ローラー64hは、3つの支持ローラー64hで構成される。第2変形例では、3つの支持ローラー64hのうち2つの支持ローラー64hが、シートSの搬送経路上に設置され、他の1つの支持ローラー64hが、シートSの搬送経路から離間した場所に設置される。第1乾燥ローラー64aと乾燥ベルト64iとは、第1乾燥ローラー64aと乾燥ベルト64iの所定箇所RとでシートSを挟持しつつ回動してシートSを搬送する。つまり、第1乾燥ローラー64aは、乾燥ベルト64iの撓んだ箇所との間でシートSを挟持する。
第2乾燥ローラー64bは、乾燥ベルト64iの外側面に接触する。第2乾燥ローラー64bは、乾燥ベルト64iに接触しつつ乾燥ベルト64iと共に回動する。
第2熱源64mの熱は、第2乾燥ローラー64bと乾燥ベルト64iとを介してシートSに伝導する。つまり、第2熱源64mは、乾燥ベルト64iを加熱し、乾燥ベルト64iを介してシートSの中央部U2を加熱する。
以上、図3、図12(a)及び図12(b)を参照して説明したように、第1乾燥ローラー64aと乾燥ベルト64iとは、シートSを挟持しつつ回動してシートSを搬送する。従って、シートSが第1乾燥ローラー64aと乾燥ベルト64iとに接触している時間を増加させ、第1熱源64eの熱と第2熱源64mの熱とをシートSに効果的に伝導させることができる。つまり、第1熱源64eの熱でシートSの両端部U1の乾燥を効果的に促進させ、第2熱源64mの熱でシートSの中央部U2の乾燥を効果的に促進させることができる。その結果、シートSのカールを効果的に緩和することができる。
また、第1乾燥ローラー64aと乾燥ベルト64iとがシートSを挟持すると、第1乾燥ローラー64aがシートSの画像形成面S1と対向する。また、第1乾燥ローラー64aと乾燥ベルト64iとがシートSを挟持すると、乾燥ベルト64iがシートSの吸着面S2と対向する。従って、第1乾燥ローラー64aと乾燥ベルト64iとがシートSを挟持しつつ回動してシートSを搬送する際、カール方向と反対方向にシートSが湾曲する。カール方向は、シートSがカールする方向を示す。その結果、シートSのカールを効果的に緩和することができる。
以上、図面(図1〜図12(b))を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、(1)〜(8))。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(1)第2デカール部64、第2デカール部641、及び第2デカール部642を総称して、第2デカール部材と記載する。本実施形態では、第1デカール部63に対し、搬送方向Xの下流に第2デカール部材が設置される。しかし、本発明はこれに限定されない。第1デカール部63に対し、搬送方向Xの上流に第2デカール部材が設置されてもよい。従って、シートSが第1デカール部63に搬送されるよりも前に、第2デカール部材がシートSを加熱し、シートS上のインクの乾燥を促進する。その結果、第1デカール部63のローラー(第1矯正ローラー63aと第2矯正ローラー63b)にシートS上のインクが付着することを効果的に抑制できる。
(2)本実施形態では、第2デカール部材が画像形成部30と、排出路71との間に設置される。しかし、本発明はこれに限定されない。第2デカール部材は、画像形成部30に対し、搬送方向Xの下流に設置されればよい。第2デカール部材は、例えば、戻り路82に設置されてもよい。つまり、第2デカール部材が、戻り路82でシートSの乾燥を促進し、シートSのカールを緩和する。その結果、シートSの裏面印刷を行う際に、画像形成部30に対するシートSの擦れの発生を抑制でき、シートSの裏面印刷を円滑に行うことができる。
(3)本実施形態の第2デカール部材において、第1乾燥ローラー64aに第1熱源64eが設置され、第2乾燥ローラー64bに第2熱源64mが設置される。しかし、本発明はこれに限定されない。第1乾燥ローラー64aに第2熱源64mを設置し、第2乾燥ローラー64bに第1熱源64eを設置してもよい。つまり、第1乾燥ローラー64aでシートSの中央部U2を加熱し、第2乾燥ローラー64bでシートSの両端部U1を加熱する。その結果、第1熱源64eと第2熱源64mとの設置の自由度を向上させることができる。
(4)本実施形態の第1デカール部63、及び/又は、第2デカール部材は、インクジェット記録装置1の筐体10に内蔵される。しかし、本発明はこれに限定されない。第1デカール部63、及び/又は、第2デカール部64は、後処理装置であってもよい。この場合、第1デカール部63、及び/又は、第2デカール部64は、筐体10の外部に設置され、排出装置70に接続される。従って、排出装置70から排出されたシートSは、第1デカール部63、及び/又は、第2デカール部64へ搬送される。その結果、第1デカール部63、及び/又は、第2デカール部64が、排出装置70から排出されたシートSのカールを緩和する。
(5)本実施形態のデカール装置61は、第1デカール部63と、第2デカール部64とを有する。しかし、本発明はこれに限定されない。デカール装置61は、第2デカール部64のみを有していてもよい。つまり、デカール装置61は、第1デカール部63を有しておらず、第2デカール部64のみを用いてシートSのカールを緩和する。その結果、装置の部品点数を削減することができる。
(6)本実施形態では、第1デカール部63は、一対のローラー(第1矯正ローラー63aと第2矯正ローラー63b)でシートSを挟持する。しかし、本発明はこれに限定されない。第1デカール部63は、第1矯正ローラー63aと矯正ベルトとでシートSを挟持してもよい。つまり、第1デカール部63は、第2デカール部641、又は、第2デカール部642と同様の構成でシートSを挟持する(図12(a)及び図12(b)参照)。具体的には、第1デカール部63は、回動可能に支持される第1矯正ローラー63aと、回動可能に支持される矯正ベルトとを有する。第1矯正ローラー63aと矯正ベルトとは、シートSを挟持しつつ回動してシートSを搬送する。第1矯正ローラー63aと矯正ベルトとがシートSを挟持すると、第1矯正ローラー63aがシートSの画像形成面S1と対向する。また、第1矯正ローラー63aと矯正ベルトとがシートSを挟持すると、矯正ベルトがシートSの吸着面S2と対向する。
第1デカール部63を第1矯正ローラー63aと矯正ベルトとで構成すると、第1矯正ローラー63aと矯正ベルトとがシートSを挟持しつつ回動してシートSを搬送する際、シートSがカール方向と反対方向に湾曲する。その結果、シートSのカールを効果的に緩和することができる。
(7)デカール装置61は、後処理装置に内蔵されていてもよい。後処理装置は、インクジェット記録装置1に接続される。後処理装置は、シートSに対して、所定の後処理を行う。所定の後処理は、例えば、パンチ処理、及び/又は、ステープル処理である。パンチ処理は、シートSにパンチ穴を形成する処理である。ステープル処理は、シートSの束を針のような綴じ具で綴じる処理である。
(8)デカール装置61には、インク画像の形成されたシートSが搬送される。インク画像は、インクで形成された画像を示す。しかし、デカール装置61には、インクと異なる液体が塗布されたシートSが搬送されてもよい。デカール装置61は、液体によって湿ったシートSのカールを緩和する。