JP2002274020A - インクジェット記録用紙の製造方法及び塗布方法 - Google Patents

インクジェット記録用紙の製造方法及び塗布方法

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JP2002274020A
JP2002274020A JP2001080361A JP2001080361A JP2002274020A JP 2002274020 A JP2002274020 A JP 2002274020A JP 2001080361 A JP2001080361 A JP 2001080361A JP 2001080361 A JP2001080361 A JP 2001080361A JP 2002274020 A JP2002274020 A JP 2002274020A
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ink
liquid
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Koji Nakajima
孝治 中嶋
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インク吸収量に優れ、濃度ムラや重色滲みが
ないインクジェット記録用紙を、塗布はじきや両端部の
厚膜等の塗布故障がなく、かつ高生産性の製造方法及び
塗布方法を提供する。 【解決手段】 支持体上に少なくとも2層以上のバイン
ダー中に無機微粒子を含むインク吸収層を設けるインク
ジェット記録用紙の製造方法において、最上層の塗布液
の動的表面張力(DST)を40〜60mN/mにする
ことを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法及
び塗布方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録用紙の製造方法及び塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェット記録は急速に画質
が向上してきており、写真に画質が迫りつつある。この
様な写真画質をインクジェット記録で達成するために、
記録用紙の面でも改善が進んでおり、高平滑性の支持体
上にインク吸収性として微小な空隙を有する多孔質層を
設けた記録用紙は高インク吸収性や高乾燥性であること
からもっとも写真画質に近いものの一つになりつつあ
る。
【0003】この多孔質インク吸収層は一般に親水性バ
インダーと微粒子で形成されるが、微粒子として無機ま
たは有機の微粒子が知られているが、より小粒子で光沢
性が高い無機微粒子が一般に用いられる。そして微粒子
に対して比較的少量の親水性バインダーを使用すること
で微粒子間に空隙が形成されて多孔質層が得られる。
【0004】一方支持体については、インクジェット記
録用紙として紙等の吸水性支持体と、ポリエステルフィ
ルムや樹脂被覆紙等の非吸水性支持体が知られている。
前者は支持体がインクを吸収できるために高インク吸収
量である利点がある反面、支持体の吸水性に起因するプ
リント後のシワの発生(コックリング)という問題があ
り、高品位なプリントが得にくく、プリント時にコック
リングに伴うヘッドによるプリント表面の擦りが起き易
いなどの弱点がある。
【0005】これに対して非吸水性支持体を使用する場
合にはこの問題はなく高品位なプリントが得られる利点
があるがインク吸収量に制限を受ける。インク吸収層
は、無機微粒子の分散液にバインダーを加えたインク吸
収層塗布液を、支持体上に塗布乾燥して得られた塗布層
であり、インクを吸収して画像として定着させることを
目的に設けるものである。近年、高い発色性や光沢性、
色素の滲みや耐水性等のインク吸収性の各層での機能分
離が求められ、かつ生産性の要求を満たすためには、2
層以上で同時重層塗布する必要性が生じている。
【0006】ここでインク吸収層の製造上、求められる
塗工品質とは塗布層の厚みが均一であり、塗布むらや塗
布欠点の発生がないことである。インク吸収層の塗布層
の厚みが均一であることは、インクの吸収性をインク吸
収層において、吸収すべきインク量が平面方向で等量の
場合、インクが均一に吸収されることを意味し、さら
に、かかる塗布層の厚みが、均一でない場合には、画像
濃度にむらを生じることを意味する。両端部の厚膜の発
生は、その内側の薄膜部分の存在と巻き取り時に巻きず
れが生じ、巻きじわ発生によって膜面品質を著しく低下
させることを意味する。また、部分的な塗布むらとして
観察されるはじき等の塗布欠点も、同様に画像濃度むら
の発生の原因となる。
【0007】2層以上からなるインクジェット記録用紙
を生産する場合、最上層塗布液の表面張力が高い場合
は、はじきや両端部の厚膜等の塗布欠陥が発生しやすく
なる。特にインクジェット層の付量を増す場合やライン
スピードが100m/min以上の高速で塗布する場
合、はじきが多発し、厚膜が増大する傾向にある。
【0008】厚膜については、塗布液がスライド面を流
れるとき、最端部は速度が低下し流量が下がり、サイド
プレートを離れた後にNeck−Inと呼ばれる縮流現
象を引き起こしてしまうことが主因であり、カーテン塗
布の場合は、エッジガイドと呼ばれるサイド部の棒(も
しくは板状のもの)で膜を形成し、ウェッブに乗り移る
直前で同様の縮流現象が顕著に見られる。さらに、ゼラ
チン等の有機バインダー塗膜と異なり、無機微粒子で形
成される塗膜の両端部厚膜は、乾燥時にヒビワレを生
じ、さらに厚膜となり、最終的に巻きじわを発生させ、
著しく生産性を低下させる。
【0009】これを解決する手段として、活性剤を添加
する方法が知られているが、添加量が多い場合、乾燥し
ている際ヒビワレが生じる場合や、吸収層形成後の印字
時に重色滲みやブリーディングを引き起こし、画像を劣
化させる場合があり、性能上添加量の制約が存在する。
【0010】特開平6−183132号公報には、イン
ク受理層塗液の粘度が40〜2000cps、塗液の表
面張力が23〜55dyne/cmの塗液を支持体上に
カーテン塗布装置を用いて塗布させる方法が記載されて
いる。この特許中にも記載があるように、ここで規定し
ている表面張力とは白金リング釣り上げ法により測定し
た値であり、液の流動がない静的な表面張力である。
【0011】しかしながら、本発明者らの検討によれ
ば、ある種の界面活性剤を添加し、一般的な表面張力を
示す静的表面張力を下げるだけでは、はじき故障が発生
してしまい、活性剤添加の効果は得られないことが判明
した。この現象は特に高速で塗工する場合に顕著であ
り、活性剤の配向が液の引き伸ばしに追随しないことが
原因と考えられる。
【0012】また、両端部の厚膜を解決する手段として
は、特公昭49−35447号公報、特公昭58−22
266号に補助液の使用が開示されている。しかしなが
ら、ゼラチン等の有機バインダー塗膜に対して効果ある
これらの技術であっても、無機微粒子液を含む塗布液固
有の問題である下記現象に十分対処できないことが判明
した。サイドプレート上の塗布液乾燥による縮流の発
生塗膜形成後、乾燥中端部からの乾燥不均一性から厚
膜を助長する。
【0013】また、厚膜塗り部を吸引除去する方法が、
特開2000−254567号等に開示されているが、
補助液を使用しない場合、塗布前に吸引してしまうと縮
流を逆に助長してしまう。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、イン
ク吸収量に優れ、濃度ムラや重色滲みがないインクジェ
ット記録用紙を、塗布はじきや両端部の厚膜等の塗布故
障がなく、かつ高生産性の製造方法及び塗布方法を提供
することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の構成によって達成された。
【0016】1.支持体上に少なくとも2層以上のバイ
ンダー中に無機微粒子を含むインク吸収層を設けるイン
クジェット記録用紙の製造方法において、最上層の塗布
液の動的表面張力(DST)を40〜60mN/mにす
ることを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方
法。
【0017】2.最上層のDSTを該最上層より下層の
いずれの層のDSTより2〜10mN/m低くすること
を特徴とする前記1記載のインクジェット記録用紙の製
造方法。
【0018】3.無機微粒子質量/バインダー質量が3
〜9であることを特徴とする前記1または2記載のイン
クジェット記録用紙の製造方法。
【0019】4.乾燥後のインク吸収層膜厚が20〜6
0μmであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1
項記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【0020】5.ラインスピードを100〜400m/
minで塗布することを特徴とする前記1〜4のいずれ
か1項記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【0021】6.カーテン塗布法を用いることを特徴と
する前記1〜5のいずれか1項記載のインクジェット記
録用紙の製造方法。
【0022】7.支持体上に少なくとも2層以上の無機
微粒子を含むインク吸収層を設けるインクジェット記録
用紙の製造方法において、両端部に本来の塗布液より粘
度が低い液を片側1〜8ml/min流下させることを
特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
【0023】8.支持体上に少なくとも2層以上の無機
微粒子を含むインク吸収層を設けるインクジェット記録
用紙の塗布方法において、スライド面を有する塗布方法
を用い、かつ両端部に本来の塗布液より粘度が低い液を
片側1〜8ml/min流下させる際、該本来の塗布液
より粘度が低い液を、流下膜の70〜120%の供給高
さとすることを特徴とする塗布方法。
【0024】9.塗布直前に塗布巾が本来の液流下巾よ
り片側1〜4mm広げることを特徴とする前記8記載の
塗布方法。
【0025】10.カーテン塗布方法により、本来の液
流下巾より、スライド面上で片側1〜2mm、垂直落下
部で片側1〜2mm広げて塗布することを特徴とする前
記8または9記載の塗布方法。
【0026】11.カーテン塗布方法により、支持体と
の接触部の塗布巾両端のエッジガイド下部より塗布液を
吸引することを特徴とする前記8〜10のいずれか1項
記載の塗布方法。
【0027】本発明を更に詳しく説明する。本発明は、
支持体上に少なくとも2層以上のバインダー中に無機微
粒子を含むインク吸収層を設けるインクジェット記録用
紙の製造の際、最上層の塗布液の動的表面張力(DS
T)を40〜60mN/mにするが、40〜55mN/
mにすることが更に好ましい。又、最上層のDSTを該
最上層より下層のいずれかの層のDSTより4〜10m
N/m低くすることも好ましい態様である。更に、これ
ら2層以上のインク吸収層は生産性の向上から同時重層
塗布により形成される。
【0028】連続搬送される支持体(紙、金属、プラス
チックフィルムなど)の上に、バインダー中に無機微粒
子を含む塗布液を塗布することによってインク吸収層を
形成する技術としては、スライドビード塗布、ロッド塗
布、エクストルージョン塗布、カーテン塗布などの方式
があげられる。この中でも同時重層塗布方法としては、
スライドビード塗布及びカーテン塗布方式が好ましく、
特にカーテン塗布方式は、高速かつ薄膜の塗布が可能で
あり、大量生産・省エネルギーの面でスライドビード塗
布よりも優れている。
【0029】まず、図を用いて、スライドビード塗布及
びカーテン塗布方式を説明する。図1はスライドビード
塗布装置の1例を示す断面図であって、3層同時塗布可
能の塗布装置である。同図において、複数の塗布液13
(最上層塗布液)、14(下層塗布液)及び15(下層
塗布液)は幅方向に広がるポケット7ならびにスリット
4を通ってスライド面5に至り、塗布液はスライド面を
流下して塗布機先端(リップ)6に至りここでビード1
2と称する液溜まりを介してバックアップロール1に抱
かれて走行する支持体10上に塗布される。3は減圧装
置であって、ビードを下方に引っ張ることによりビード
の安定を図る。このようにして、バインダー中に無機微
粒子を含むインク吸収層の最上層塗布液と下層塗布液
は、支持体上に同時に塗布され、塗布膜11として、イ
ンク吸収層を形成する。
【0030】図2にカーテン塗布装置の側面図を示す。
図2において、塗布装置21は、バックアップローラR
によって搬送方向が反転される過程の支持体Bに、3層
同時にカーテン塗布を行う。また、搬送方向がバックア
ップローラRによって反転される過程において塗布が行
われるため、塗布液がはねて搬送方向上流側の支持体を
汚すことがない。
【0031】支持体Bは図示しない搬送手段によって搬
送される。搬送される支持体は、紙、コート紙、プラス
ティックフィルム、樹脂製フィルム、金属薄板等が用い
られ、目的の被塗布物を得るために、適宜選択できる。
また、バックアップローラRは、支持体に接触するもの
であっても、接触しないものであってもよい。支持体に
接触しないバックアップローラである場合は、ローラ表
面に設けられた多数の小孔からエア等の流体を吹き出
す、いわゆるエアバックロールを用いることができる。
【0032】塗布装置21は少なくともスライド面22
と、塗布液供給スリット23と、エッジガイド24,2
4′、サイドプレート25,25′を具えている。
【0033】塗布液は塗布液供給スリットから幅手方向
に均一に供給され、スライド面を流下することにより、
塗布液の薄膜が形成される。この薄膜はスライド面を流
下し、スライド面下端部分の両端に設けられた一対のエ
ッジガイド24,24′の間をカーテン膜状に伝搬して
流下し、搬送される支持体Bに衝突して塗布層が形成さ
れる。
【0034】また、塗布液を均一に供給するスリットは
必要に応じて所定数設けることが可能で、複数のスリッ
トから塗布液を流下させることにより、薄膜状の塗布液
を積層させることができる。図2には3つのスリットを
設けたスライド面の側面図が示されている。
【0035】図3には、スライド面の斜視図が示されて
いる。塗布装置21のスライド面22の両側端部には、
サイドプレート25,25′が設けられており、スリッ
ト23から供給される塗布液がスライド面側端から流れ
落ちないように、規制するようになっている。そしてサ
イドプレート25,25′には注液口26が設けられて
いる。この注液口26の形状は矩形で、その一辺がスラ
イド面に接している。この注液口26は図示しない注液
機構につながっており、本来の塗布液より粘度が低い補
助液(サイド液)を供給する。この注液口26から補助
液を供給することにより、スライド面上を流下する塗布
液は、サイドプレートとの境界部分に、補助液を伴って
流下し、そのまま補助液を介してエッジガイド間を伝搬
し、支持体に塗布される。また、両側の注液手段から、
それぞれ等しい量の補助液を流下させるが、その量は片
側につき1〜8ml/minの範囲で設定する。これに
より、カーテン膜を安定に形成することができるととも
に、エッジガイド付近の膜厚不均一を低減できる。
【0036】更にサイド液が塗布液と混合してしまう虞
れがなくなる。その上、塗膜形成後乾燥中においては、
端部から乾燥進行を抑制することにより、膜収縮による
厚膜低減効果を発揮する。また、注液口26の断面積の
大きさ及び高さは、スライド面を流下する塗布液の全て
の層に接触する高さに適宜設計・調整できる。
【0037】更に、補助液を確実に塗布液の端部に沿わ
せることができるように、流下膜の70〜120%の供
給高さとすることにより、サイドプレート上での塗布液
の乾燥を防ぎ、両端部の厚膜による巻きじわの発生がな
いインクジェット記録用紙が効率よく生産できる。
【0038】以下、本発明のインクジェット記録用紙に
ついて述べる。本発明のインクジェット記録用紙のイン
ク吸収層は無機微粒子と少量の親水性ポリマーからなる
バインダーから形成される。このような無機微粒子の例
としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、
炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カ
ルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水
酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、
珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸
マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、
アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化
アルミニウム、リトポン、水酸化マグネシウム等の白色
無機顔料等を挙げることが出来る。
【0039】その様な無機微粒子は、1次粒子のまま用
いても、また、2次凝集粒子を形成した状態で使用する
こともできる。
【0040】本発明においては、プリント時に高い最高
濃度と好ましい面質を得る観点から平均粒径が500n
m以下、特に200nm以下の微粒子を使用することが
好ましい。
【0041】また、インクジェットで記録した際に高い
濃度を得る観点から微細な空隙を形成させることが必要
であり、シリカまたは擬ベーマイトが好ましく、特に平
均粒径が200nm以下の気相法により合成されたシリ
カ、コロイダルシリカおよび擬ベーマイトが好ましい。
【0042】無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあ
るいは空隙層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、10
0個の任意の粒子の粒径を求めてその単純平均値(個数
平均)として求められる。ここで個々の粒径はその投影
面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものであ
る。
【0043】上記インク吸収層に用いられる親水性ポリ
マーとしては、公知の親水性ポリマーの中から適宜選択
して用いることが出来るが、好ましい親水性ポリマーは
ポリビニルアルコールである。
【0044】本発明で用いられるポリビニルアルコール
には、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる一般的な
ポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性した
ポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン
変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコー
ルも含まれる。
【0045】ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られるポ
リビニルアルコールは平均重合度が300以上のものが
好ましく用いられ、特に平均重合度が1000〜500
0のものが好ましく用いられる。
【0046】ケン化度は70〜100%のものが好まし
く、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0047】インク吸収層は多孔質が好ましいが、多孔
質とするためには、無機微粒子に対して少量のバインダ
ーを使用することにより得られるが、バインダーに対す
る無機微粒子の割合は質量比で3〜9倍、好ましくは5
〜7倍である。
【0048】上記多孔質層が親水性ポリマーとしてポリ
ビニルアルコールを含有する場合には皮膜の造膜性を改
善し、また皮膜の強度を高めるために硬膜剤を添加する
のが好ましい。
【0049】バインダーとしてポリビニルアルコールを
用いる場合、硬膜剤としてはエポキシ系硬膜剤またはホ
ウ酸塩が好ましい。
【0050】ホウ酸塩としては、硼素原子を中心原子と
する酸素酸およびその塩のことを示し、具体的にはオル
トほう酸、メタほう酸、次ほう酸、四ほう酸、五ほう酸
およびそれらの塩が含まれる。
【0051】ホウ酸またはその塩の使用量は、塗布液の
無機微粒子や親水性ポリマーの量により広範に変わり得
るが、親水性ポリマーに対して概ね1〜60質量%、好
ましくは5〜40質量%である。
【0052】インク吸収層には上記以外の各種の添加剤
を添加することが出来る。例えば、特開昭57−741
93号公報、同57−87988号公報及び同62−2
61476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−
74192号、同57−87989号公報、同60−7
2785号公報、同61−146591号公報、特開平
1−95091号公報及び同3−13376号公報等に
記載されている退色防止剤、アニオン、カチオン、ベタ
インまたは非イオンの各種界面活性剤(2種以上使用す
ることもできる)、特開昭59−42993号公報、同
59−52689号公報、同62−280069号公
報、同61−242871号公報および特開平4−21
9266号公報等に記載されている蛍光増白剤、消泡
剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、増粘
剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有
させることもできる。
【0053】上記多孔質のインク吸収層の乾燥膜厚はイ
ンク吸収量との関係で決められ、本発明では20〜60
μmであるが、インク溶媒を一時的に全て保持しなけれ
ばならない観点から30〜50μmが好ましい。特に好
ましい乾燥膜厚は35〜50μmである。膜厚が60μ
m以上になるとひび割れやはじき故障が発生し、乾燥速
度が遅くなり著しく生産性が低下する。
【0054】本発明のインクジェット記録用紙は表裏の
静止摩擦係数を0.8以下にすることが連続搬送の点で
好ましい。
【0055】この静止摩擦係数が0.8を越えると一度
に多数枚を搬送したりあるいは給紙しにくく成りやす
い。特に静止摩擦係数を0.7以下にするのが好まし
い。静止摩擦係数の下限は特に制限されないが一般的に
は0.2以上である。
【0056】表裏の静止摩擦係数を0.8以下にするた
めには、インク吸収層の表面特性(面質、バインダーの
滑り性)を調整することで行われる。
【0057】具体的には、インク吸収層の表面に凸部分
を持たせるためにマット剤を添加する方法、或いはイン
ク吸収層の表面の滑り性を付与するためにワックス、シ
リコン系化合物或いはフッ素系化合物などの滑り剤を添
加することなどにより比較的容易に調整することが出来
る。特に有効な手段はマット剤を使用することである。
【0058】マット剤としては無機粒子(シリカ、炭酸
カルシウム、タルク等)や有機ラテックス(ポリスチレ
ン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート等)が用
いられるが、好ましくは有機ラテックスである。
【0059】そのようなマット剤は平均粒径が5μm以
上のものが光沢への影響が比較的少なく滑り性を改善で
きることから好ましい。特に好ましいマット剤は平均粒
径が7〜30μmのものである。
【0060】またこのマット剤は比較的粒径分布が揃っ
たものが光沢低下が少なく好ましく、粒径分布を測定し
たときに分散度(標準偏差を平均粒径で割った値)が2
以下、特に1.5以下のものが好ましい。
【0061】マット剤の使用量はマット剤の粒径やマッ
ト剤を添加するインク吸収層の乾燥膜厚によって変わる
が記録用紙1m2当たり概ね0.01〜0.5gであ
る。
【0062】本発明でインクジェット記録用紙の支持体
としては、従来インクジェット用記録用紙として公知の
紙支持体、プラスチック支持体、複合支持体など適宜使
用できるが、より高い濃度で鮮明な画像を得るためには
支持体中にインク液が浸透しない疎水性支持体を用いる
のが好ましい。
【0063】透明支持体としては、例えば、ポリエステ
ル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアテセート系樹
脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩
化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロ
イド等の材料からなるフィルム等が挙げられ、中でもO
HPとして使用されたときは輻射熱に耐える性質のもの
が好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好まし
い。このような透明な支持体の厚さとしては、約10〜
200μmが好ましい。透明支持体のインク吸収層側お
よびバック層側には公知の下引き層を設けることが、イ
ンク吸収層やバック層と支持体の接着性の観点から好ま
しい。
【0064】また、透明である必要のない場合に用いる
支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色
顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹
脂被覆紙(いわゆるRCペーパー)、ポリエチレンテレ
フタレートに白色顔料を添加してなるいわゆるホワイト
ペットが好ましい。
【0065】上記支持体とインク吸収層の接着強度を大
きくする等の目的で、インク吸収層の塗布に先立って、
支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ま
しい。さらに、本発明の記録シートは必ずしも無色であ
る必要はなく、着色された記録シートであってもよい。
【0066】本発明のインクジェット記録用紙では原紙
支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体
を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低
コストで高品質の画像が得られるために特に好ましい。
そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体につ
いて以下に説明する。
【0067】紙支持体に用いられる原紙は木材パルプを
主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロ
ピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステ
ルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとし
てはLBKP,LBSP,NBKP,NBSP,LD
P,NDP,LUKP,NUKPのいずれも用いること
が出来るが短繊維分の多いLBKP,NBSP,LBS
P,NDP,LDPをより多く用いることが好ましい。
但し、LBSPおよびまたはLDPの比率は10質量%
以上、70質量%以下が好ましい。
【0068】上記パルプは不純物の少ない化学パルプ
(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いら
れ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも
有用である。
【0069】原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテン
ダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化
チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミ
ド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白
剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散
剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加する
ことが出来る。
【0070】抄紙に使用するパルプの濾水度はCSFの
規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の
繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシ
ュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30
乃至70%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%
は20質量%以下であることが好ましい。
【0071】原紙の坪量は30乃至250gが好まし
く、特に50乃至200gが好ましい。原紙の厚さは4
0乃至250μmが好ましい。
【0072】原紙は抄紙段階または抄紙後にカレンダー
処理して高平滑性を与えることも出来る。原紙密度は
0.7乃至1.2g/m2(JIS−P−8118)が
一般的である。更に原紙剛度はJIS−P−8143に
規定される条件で20乃至200gが好ましい。
【0073】原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良
く、表面サイズ剤としては前記原紙中添加できるサイズ
剤と同様のサイズ剤を使用できる。
【0074】原紙のpHはJIS−P−8113で規定
された熱水抽出法により測定された場合、5〜9である
ことが好ましい。
【0075】原紙表面および裏面を被覆するポリエチレ
ンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)およ
び/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが
他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用すること
が出来る。
【0076】特にインク吸収層側のポリエチレン層は写
真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナ
ターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透
明度および白色度を改良したものが好ましい。酸化チタ
ン含有量はポリエチレンに対して概ね3〜20質量%、
好ましくは4〜13質量%である。
【0077】ポリエチレン被覆紙は光沢紙として用いる
ことも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出
してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行っ
て通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面
を形成した物も本発明で使用できる。
【0078】原紙の表裏のポリエチレンの使用量はイン
ク吸収層やバック層を設けた後で低湿および高湿下での
カールを最適化するように選択されるが、概ねインク吸
収層側のポリエチレン層が20〜40μm、バック層側
が10〜30μmの範囲である。
【0079】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げて説明するが、
本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、
実施例中で「%」は特に断りのない限り絶乾質量%を示
す。
【0080】実施例1 「酸化チタン分散液−1の調製」平均粒径が約0.25
μmの酸化チタン20kg、pH=7.5のトリポリリ
ン酸ナトリウムを150g、ポリビニルアルコール(ク
ラレ株式会社製:PVA235)500g、およびサン
ノブコ株式会社消泡剤・SN381を10gを含有する
水溶液90lに添加し高圧ホモジナイザー(三和工業株
式会社製)で分散したあと全量を100lに仕上げて均
一な酸化チタン分散液−1を得た。
【0081】「シリカ分散液−1の調製」1次粒子の平
均粒径が約0.007μmの気相法シリカ(日本アエロ
ジル工業株式会社製:A300)125kgを、三田村
理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクタ
ーミキサーTDSを用いて、硝酸でpH=2.5に調整
した620lの純水中に室温で吸引分散した後、全量を
694lに純水で仕上げた。
【0082】「シリカ分散液−2の調製」カチオンポリ
マーP−1を1.63kg、エタノール2.2l、n−
プロパノール1.5lを含有する水溶液(pH=2.
3)18lに、シリカ分散液−1の69.4lを攪拌し
ながら添加し、ついで、ホウ酸260gとホウ砂230
gを含有する水溶液7.0lを添加し、前記の消泡剤S
N381を1g添加した。
【0083】この混合液を三和工業株式会社製高圧ホモ
ジナイザーで分散し、全量を純水で97lに仕上げてシ
リカ分散液−2を調製した。
【0084】
【化1】
【0085】「蛍光増白剤分散液−1の調製」チバガイ
ギー株式会社製の油溶性蛍光増白剤UVITEX−OB
の400gをジイソデシルフタレート9000gおよび
酢酸エチル12lに加熱溶解し、これを酸処理ゼラチン
3500g、サポニン50%水溶液6000mlを含有
する水溶液65lに添加混合して三和工業株式会社製の
高圧ホモジナイザーで乳化分散し、減圧で酢酸エチルを
除去した後全量を100lに仕上げた。
【0086】「マット剤分散液−1の調製」総研科学株
式会社製のメタクリル酸エステル系マット剤MX−15
000Hの156gを前記PVA235を3g含有する
純水7l中に添加し、高速ホモジナイザーで分散し全量
を7.8lに仕上げた。
【0087】「塗布液の調製」第1層、第2層、第3層
の塗布液を以下の手順で調製した。第1層用塗布液:シ
リカ分散液−2の600mlに40℃で攪拌しながら、
以下の添加剤を順次混合した。
【0088】 ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203) の10%水溶液: 0.6ml ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235) の5%水溶液: 260ml 蛍光増白剤分散液−1: 25ml 酸化チタン分散液−1: 33ml 第一工業株式会社製:ラテックスイマルジョン・AE−803: 18ml 純水で全量を1000mlに仕上げる。 第2層用塗布液:シリカ分散液−2の650mlに40
℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
【0089】 ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203) の10%水溶液: 0.6ml ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235) の5%水溶液: 270ml 蛍光増白剤分散液−1: 35ml 純水で全量を1000mlに仕上げる。 第3層用塗布液:シリカ分散液−2の650mlに40
℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
【0090】 ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203) の10%水溶液: 0.6ml ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235) の5%水溶液: 270ml シリコン分散液(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製・ BY−22−839): 15ml サポニン50%水溶液: 4ml マット剤分散液−1: 10ml 純水で全量を1000mlに仕上げる。
【0091】上記のようにして得られた塗布液を、下記
のフィルターで濾過した。 第1層と第2層:東洋濾紙株式会社製TCP10で2段 第3層 :東洋濾紙株式会社製TCP30で2段 ついで170g/m2の原紙両面をポリエチレンで被覆
した紙支持体(厚さ220μm、記録面側に厚さ約35
μmのポリエチレン層中に9質量%のアナターゼ型二酸
化チタンを含有し、裏面は厚さ約30μmのポリエチレ
ン層)上の記録面側(支持体の75度光沢度は32%、
ゼラチン約0.1g/m2下引き層として塗設済み)
に、第1層(50μm)、第2層(100μm)、第3
層(50μm)の順になるように各層を塗布した。かっ
こ内はそれぞれの湿潤膜厚を示す。それぞれの塗布液
は、図1に示すような3層式スライドビード塗布装置
で、第1層〜第3層を同時塗布した。尚、第3層の塗布
液に界面活性剤2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナト
リウムの1%水溶液を添加して、DST(動的表面張
力)を表1に示す価に調整してインクジェット記録用紙
の試料1〜6を作製した。
【0092】[DST測定法]動的表面張力の測定は塗
布液温度40度において、クルス社製BP2(ドイツ)
を使用し、連続的に泡を発生させ、バブルプレッシャー
法により100ms時の表面張力の値を使用した。
【0093】得られたインクジェット記録用紙は、以下
の評価をし、結果を表1に示す。 [はじき評価]得られた記録用紙を目視観察し、表面に
発生した心円状のはじきの有無と大きさにより下記のよ
うに評価した。 ○ はじきが全くみられない △ 0.5mm未満のはじき、実技上問題ない範囲 × 0.5mm以上のはじき。
【0094】[厚膜評価]得られた記録用紙の塗布端部
の厚膜を膜厚計(ソニー製 ミューメイトM30)にて
測定した。定常部の膜厚に対するプラス分を評価した。 ○ 15μm未満、問題なし △ 15μm以上25μm未満、実技上問題ない範囲 × 25μm以上、未乾、巻き取り不可。
【0095】[混色滲み評価]サーマルインクジェット
方式のノズル径45μm、300dpi(dpiは、
2.540cm当たりのドット数)のノズルを有するイ
ンクジェットプリンター及び積層PZTを液室流路の加
圧に使用したノズル径33μm、128dpiのノズル
を有するインクジェットプリンターにて印字を行い、2
色重ね部境界の滲み、画像滲みを目視によりに判断し
た。印字用紙は市販の再生紙、上質紙とボンド紙の3紙
に印字した。いずれの紙においても ○ 良好なもの △ 少なくとも1紙では良好なもの × いずれの1紙でも問題なもの。
【0096】
【表1】
【0097】上記のようにはじきの故障は最上層のDS
Tが低い程良化するが、2−エチルヘキシルスルホコハ
ク酸ナトリウムの1%水溶液を添加し、DSTを必要以
上に下げると今度は混色滲みが劣化してくることがわか
る。
【0098】また、はじき故障はラインスピードが速い
場合顕著に発生する故障であり、高速塗布において有効
である。
【0099】実施例2 実施例1の試料3の塗布液(試料11〜15に使用)及
び5の塗布液(試料16に使用)を、図2及び3に示す
ようなカーテン塗布装置を用い、塗布速度100m/m
inで塗布し、試料11〜16を作製した。但し試料1
1及び12は第1層と第2層の塗布液に2−エチルヘキ
シルスルホコハク酸ナトリウムの1%水溶液を添加して
DSTを表2となるように調整し、試料13〜16も同
様にDSTを表2となるように調整した。
【0100】
【表2】
【0101】上記のようにはじきの故障、厚膜ともに最
上層のDST差が大きい程良化することがわかる。
【0102】実施例3 表3に示す塗布条件になるよう試料3の塗布液に界面活
性剤を添加して調整し、スライド面上で重層させたスラ
イドビード塗布を行った。Front Barの幅規制
プレート上左右1対の注液口から補助液を流下させ、ス
ライド面を流下する塗布液の両端部に沿って流れるよう
にした。塗布速度は、100m/min、支持体はPE
T、補助液は水で実施した。
【0103】
【表3】
【0104】補助液流量を表4に示すように変化させ、
試料21〜27を作製した。尚、表4において、乾燥の
評価は下記の通り。 ○ 未乾燥部なし × 未乾燥部あり。
【0105】
【表4】
【0106】上記の結果から明らかなように補助液を流
下させない場合や流量が小さい場合は境界層が大きくな
り、厚膜度が大きくなる。しかし10ml/minを超
えると今度は水の量が多すぎ、内側の不均一幅が増大し
てしまう。
【0107】実施例4 実施例3で使用した塗布液を、実施例3と同様にスライ
ド面上の両端部に流下液膜2mm及び3mmの水を注液
口の高さを表5のように変化させて供給し、スライド塗
布にて塗布乾燥した。この端部の厚膜を評価し結果を表
5に示す。
【0108】
【表5】
【0109】以上のように流下液膜に対して、補助液の
注液口高さが低い場合は厚膜低減に効果がなく、また高
すぎる場合は上部から補助液が流れすぎ、厚膜低減に効
果がないことがわかる。
【0110】実施例5 実施例3で使用した塗布液を使用し、スライドビード塗
布装置及びカーテン塗布装置を用い、スライド面上の両
端部に3ml/minの水を供給し、先端での本来の流
下巾より表6に示すように広げて塗布乾燥し、端部の厚
膜を評価し結果を表6に示す。
【0111】
【表6】
【0112】以上のように本来のスライド流下巾に比
べ、塗布巾を広げることで端部の厚膜が改善される。
【0113】実施例6 実施例5の試料57と同様にカーテン塗布装置を用いて
塗布した。但し、エッジガイド下端部に吸引口を設け、
サイド液を2ml/min流下させて塗布を行った。吸
引圧を表7のように変化させて塗布し、端部厚膜を評価
し結果を表7に示す。尚、表7において、1mmaq
は、9.80665Paである。
【0114】
【表7】
【0115】以上のように吸引することで厚膜が大幅に
改善される。
【0116】
【発明の効果】上記態様により、重色滲みやはじき故障
のない高品位なインクジェット記録用紙を提供すること
が可能になった。更に、両端部の厚膜による巻きじわの
発生がないインクジェット記録用紙が生産でき、生産性
の向上(DST最適化による塗布速度向上)を図ること
ができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】スライドビード塗布装置の断面図である。
【図2】カーテン塗布装置の側面図である。
【図3】カーテン塗布装置のスライド面の斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 バックアップロール 3 減圧装置 4 スリット 5 スライド面 6 リップ 7 ポケット 10 支持体 11 塗布膜 12 ビード 13,14,15 塗布液 21 塗布装置 22 スライド面 23 塗布液供給スリット 24,24′ エッジガイド 25,25′ サイドプレート 26 注液口 B 支持体 R バックアップローラ

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に少なくとも2層以上のバイン
    ダー中に無機微粒子を含むインク吸収層を設けるインク
    ジェット記録用紙の製造方法において、最上層の塗布液
    の動的表面張力(DST)を40〜60mN/mにする
    ことを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
  2. 【請求項2】 最上層のDSTを該最上層より下層のい
    ずれの層のDSTより2〜10mN/m低くすることを
    特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用紙の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 無機微粒子質量/バインダー質量が3〜
    9であることを特徴とする請求項1または2記載のイン
    クジェット記録用紙の製造方法。
  4. 【請求項4】 乾燥後のインク吸収層膜厚が20〜60
    μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1
    項記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
  5. 【請求項5】 ラインスピードを100〜400m/m
    inで塗布することを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    か1項記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
  6. 【請求項6】 カーテン塗布法を用いることを特徴とす
    る請求項1〜5のいずれか1項記載のインクジェット記
    録用紙の製造方法。
  7. 【請求項7】 支持体上に少なくとも2層以上の無機微
    粒子を含むインク吸収層を設けるインクジェット記録用
    紙の製造方法において、両端部に本来の塗布液より粘度
    が低い液を片側1〜8ml/min流下させることを特
    徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
  8. 【請求項8】 支持体上に少なくとも2層以上の無機微
    粒子を含むインク吸収層を設けるインクジェット記録用
    紙の塗布方法において、スライド面を有する塗布方法を
    用い、かつ両端部に本来の塗布液より粘度が低い液を片
    側1〜8ml/min流下させる際、該本来の塗布液よ
    り粘度が低い液を、流下膜の70〜120%の供給高さ
    とすることを特徴とする塗布方法。
  9. 【請求項9】 塗布直前に塗布巾が本来の液流下巾より
    片側1〜4mm広げることを特徴とする請求項8記載の
    塗布方法。
  10. 【請求項10】 カーテン塗布方法により、本来の液流
    下巾より、スライド面上で片側1〜2mm、垂直落下部
    で片側1〜2mm広げて塗布することを特徴とする請求
    項8または9記載の塗布方法。
  11. 【請求項11】 カーテン塗布方法により、支持体との
    接触部の塗布巾両端のエッジガイド下部より塗布液を吸
    引することを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項
    記載の塗布方法。
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