JP4485765B2 - 防草シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は雑草の成長を阻止する防草シートに関し、詳細には遮光性、貫通抵抗、透水性に優れた防草シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
庭園、グリーンベルト、中央分離帯等の植え込みにおいては、美観維持のため雑草が除去される。ところが、雑草は成長が早いだけでなく、根を深く降ろすため頻繁に抜き取らなければならならず、多大な労力と時間を要する。枯葉剤などの除草剤を散布して雑草を除去する方法もあるが、除草剤による効果は一時的であり、また近年の環境意識の高まりから、公害問題を生じる除草剤の使用はできるだけ控えることが望まれている。こうした背景から、地面に防草シートを敷設して雑草の発芽自体を阻止する技術が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。
【0003】
【特許文献1】
特開平1−16543号
【特許文献2】
特開平8−103177号
【特許文献3】
特開平10−262472号
【特許文献4】
特開平9−99980号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、都市景観に対する美的意識が高まるにつれて、植込みだけでなく、高架下、法面、空き地、発電所、変電所敷地内、道路、インターロッキングなどにおいても雑草がない状態に維持・管理されていることが望まれ、防草シートの需要は大幅に増大している。こうした中にあって長繊維不織布層を用いた防草シートは汎用的なものの一つである。ところが長繊維不織布層を用いた防草シートでは、厚手の不織布が得られ難く、貫通抵抗が弱いという欠点があり、設置場所によっては容易に破損してしまうという問題があった。一方、短繊維不織布層を用いた防草シートでは、十分な遮光性が得られないという欠点があり、長期間に渡って雑草の生長を抑制することは難しかった。この様な状況の下、貫通抵抗、遮光性、透水性、取扱性等を十分に満たす様な防草シートが求められている。
【0005】
本発明はこうした現状に鑑みてなされたものであって、その目的は貫通抵抗、遮光性、透水係数に優れ、且つ取扱性にも優れた防草シートを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は長繊維不織布層と短繊維不織布層を積層してなる複合不織布からなり、熱融着性繊維を用いた熱融着性網状シートを介在させて、長繊維不織布層と短繊維不織布層とを熱圧着することにより、前記長繊維不織布層と短繊維不織布層の少なくとも一部が熱融着性繊維で接着され、前記長繊維不織布層と短繊維不織布層の間に熱融着性繊維が点状および/または線状で存在することに要旨を有する防草シートである。
【0007】
前記長繊維不織布層の表面には連続的に凹凸が形成されており、且つ該凹部で繊維が圧着されていることが望ましく、例えば長繊維不織布の表面にはエンボス加工が施されていることが好ましい。
【0008】
また前記積層不織布の光遮断率(JIS L1055.6Aに基づく)が90%以上であって、且つ貫通抵抗が1.0N以上、透水係数[JIS A1218の3.1(1)に基づく]が1.0×10-2cm/sec〜1.0cm/secであることが推奨される。
【0009】
本発明では、上記長繊維不織布層の繊度が1.0〜10デシテックスであって、且つ目付量が75〜250g/m2であることが好ましく、上記短繊維不織布層の目付量が80〜1200g/m2であることも好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の防草シートは、長繊維不織布層と短繊維不織布層が、熱融着性繊維を用いた熱融着性網状シートを介在させて、長繊維不織布層と短繊維不織布層とを熱圧着することにより、点状および/または線状で存在する熱融着性繊維によって接着・一体化しているところに要旨を有する。
【0012】
本発明者らの研究の結果、短繊維不織布層と長繊維不織布層を熱融着性繊維で接着して複合不織布とすれば、厚手の不織布が得られ難くて、貫通抵抗が弱いという長繊維不織布層の欠点と、十分な遮光性が得られ難いという短繊維不織布の欠点が互いに補完され、短繊維単独の不織布や長繊維単独の不織布では得られない、貫通抵抗、遮光性、透水性、取扱性等の上記諸特性に優れた防草シートを提供できることを見出した。特に熱融着性繊維を利用することで、物理的交絡処理で一体化した際に問題となる遮光性の低下という問題も解消できた。
【0013】
防草シートの遮光性が低いと、透過した光によって防草シート下の雑草の出芽・成長が促進されるため、遮光性は高い程望ましい。したがって防草シートは、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは100%の遮光性を有することが望ましい。
【0014】
また防草シートは高い透水性[JIS A1218の3.1(1)に基づく透水係数]を有することが望ましい。透水性が低いと、防草シート下が乾燥状態となり、育成すべき本来の植物にまで水が供給されなくなって枯死する恐れがある。また防草シート表面に水溜りが生じたり、或いは防草シート表面を水が流れ、低地に水が集中するという問題も生じる。したがって防草シートは、好ましくは1.0×10-2cm/sec以上の透水性を有することが望ましい。一方、透水性が高くなりすぎると接地面の土壌の砂状化が生じることがあるので、好ましくは1.0cm/sec以下の透水性であることが望ましい。
【0015】
尚、好適範囲の透水性を有しているものであれば、通気性も十分確保することができる。
【0016】
更に防草シートは高い貫通抵抗を有することが望ましい。貫通抵抗が低いと雑草が出芽した場合に、該雑草の成長によって防草シートが破断する恐れがあると共に、石や窪みなど地面の凹凸に起因して、防草シートが破断する恐れもある。したがって本発明においては、雑草の成長による貫通力のみならず、防草シート上から踏みつけ等による圧力が負荷されても、防草シート下に存在する石などの突起物によってシートが破損することのない強度(貫通抵抗)を有することが望ましい。したがって防草シートは、好ましくは1.0N以上、より好ましくは2.0N以上、更に好ましくは3.0N以上の貫通抵抗を有することが望ましい。一方、貫通抵抗を高めると防草シートが硬くなって取扱性が低下することがある。したがって防草シートは、好ましくは20N以下、より好ましくは17N以下、更に好ましくは15N以下とすることが望ましい。
【0017】
また防草シートは取扱い性に優れていることが望ましい。防草シートは上記の様に様々な場所に設置され、設置地面の状態も異なることから、地面の凹凸になじむと共に、施工時の引き回し性にも優れていることが望まれる。即ち、施工時に引き回しが困難でないことや、設置後、防草シートの浮上がりが発生しないことが好ましい。
【0018】
また防草シートは形状安定性に優れていることが望ましい。特に繊維が容易に解けないことが好ましく、少なくとも3年以上は安定した形状を維持できることが望ましい。
【0019】
以下、図1(概略断面図)に例示する本発明の防草シートを参照しながら本発明を説明するが、本発明の防草シートの構成は図1に限定されず、適宜変更を加えることも可能である。本発明の防草シート4は長繊維不織布層1と短繊維不織布層2を熱融着性繊維3を介在させて積層している。尚、図示例の場合、熱融着性繊維3が点状で存在している状態を示したが、後記する様に線状で存在していてもよい。
【0020】
長繊維不織布層を構成する長繊維の種類は特に限定されず、所望のフィラメントを用いればよい。また後記する様に長繊維不織布層表面に凹凸を形成して該凹部の圧着度合を高めるには、ポリエチレンテレフタレートなどポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性繊維を用いることが望ましく、特に耐候性や耐久性に優れているポリエステル系繊維を用いることが推奨される。また繊維を2種以上組み合せた混繊や複数の成分からなる合成繊維などを用いた長繊維不織布層を用いてもよい。
【0021】
本発明の長繊維不織布層表面には凹凸が連続的に形成(例えばエンボス加工)されている。本発明では防草シートが所望の特性を発揮できればよく、個々の凹凸のサイズ、形状は特に限定されない。ここで「連続的」とは凹凸が交互に形成されていることをいい、また「圧着」とは接着剤などを用いることなしに、繊維同士が密着(融着又は圧接)している状態をいう。この凹凸の凹部は繊維が圧接されて溶融接着していることが望ましく、凸部の長繊維は、溶融や接着していない状態であることが望ましい。この様に凹凸を形成すると、凹部で繊維の破断が抑制されるため、例えば繊維が下記細径のものであっても高い貫通抵抗を示す。また全体的に繊維密度が高まるため、長繊維不織布層の形状安定性や遮光性が向上する。一方、凹部は繊維が圧着されているため透水性は低くなるが、凸部は高透水性が維持されているため、長繊維不織布層全体としては優れた透水性を発揮する。この様に表面に凹凸を形成した長繊維不織布層は優れた透水性と遮光性を発揮すると共に、形状安定性や貫通抵抗にも優れている。
【0022】
尚、凹部の占める割合(面積比率)が高まると、表面がプラスチック状になって、透水係数が低下すると共に、曲げ強度が低下して破断し易くなり、取扱性や貫通抵抗が低下することがある。一方、凸部の占める割合が高まると、繊維が解け易くなり、また繊維密度が十分に高まらないため形状安定性や貫通抵抗、遮光性が低下する。したがって長繊維不織布層表面に形成する凸部と凹部の面積比率は上記遮光性、貫通抵抗、透水性、形状安定性などの特性を考慮して好適範囲に設定するのがよい。
【0023】
長繊維不織布層の目付量も上記特性に影響を及ぼす重大な要素であり、長繊維不織布層の目付量が少なすぎると、十分な遮光性や貫通抵抗が得られないことがある。したがって、目付量は好ましくは75g/m2以上、より好ましくは80g/m2以上とすることが望ましい。一方、目付量が多くなりすぎると、防草シートの柔軟性が失われて取扱性が低下すると共に、凹凸形成による上記効果が十分に得られないことがある。したがって、目付量は好ましくは250g/m2以下、より好ましくは230g/m2以下、更に好ましくは200g/m2以下とすることが望ましい。
【0024】
また長繊維不織布層を構成する繊維の繊度が小さすぎると、繊維が破断し易くなって十分な貫通抵抗が得ら難くなると共に、破断によって遮光性も低下する。したがって長繊維は好ましくは1.0デニール(dtex)以上であることが望ましい。一方、繊維が太くなりすぎると、繊維間に隙間が生じ易いため、遮光性が低下することがある。したがって長繊維は好ましくは10デニール以下、より好ましくは7.0デニール以下、更に好ましくは6.0デニール以下とすることが望ましい。
【0025】
長繊維不織布層の製造方法についても特に限定されず、上記特性を満足する様に製造すればよい。
【0026】
例えばポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を原料として、スパンボンド法などを採用して所望の繊度の長繊維(連続フィラメント)を含むウエッブを得た後、長繊維不織布層表面に凹凸を形成すると共に、凹部の繊維が圧着された状態にするには、表面に所望の形状の凹凸が形成されているローラーを用いてエンボス加工、カレンダーロール加工などの圧接加工を行なえばよい。この際、ローラーの凸部(即ち、不織布に凹部を形成する部分)の温度を高めて長繊維不織布に圧力をかければ、凹部の繊維を圧着できる。好ましくは繊維が切断しない程度に繊維同士を強固に接合(好ましくは繊維の一部の融着による結合)され得る条件下で圧接加工(好ましくは熱エンボス加工)を施して、上記遮光性等の諸特性が得られる様に加工すればよい。尚、所望の目付量となる様にウエッブ形成時に適宜条件を変更すればよい。
【0027】
ところで、凹凸は長繊維不織布層の一方の面(好ましくは短繊維不織布層を積層しない側の表面)に形成してもよいが、両面に凹凸を形成すれば、一方の面に凹凸を形成した場合よりも繊維密度が高まり、遮光性、貫通抵抗、形状安定性といった諸特性を一層向上できるので望ましい。
【0028】
本発明で用いる短繊維不織布層としては、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルなどの各種熱可塑性繊維(短繊維);ウール、綿、麻等の天然繊維;レーヨン、ポリノジックなどの再生繊維などの各種繊維を用いることができる。尚、短繊維は1種、或いは2種以上を組み合せて不織布としてもよい。これらの中でも特にポリエステル繊維単独、或いはポリエステル繊維を必須的に含む構成が望ましい。ポリエステル繊維は耐久性及び価格の点で他の繊維よりも優れているからである。
【0029】
短繊維不織布層の目付量が少ないと十分な厚みが得られず、地面に存在する石や窪みなどによる凹凸に起因する防草シートの破損防止効果が低下する。したがって短繊維不織布層の目付量は80g/m2以上であることが好ましく、より好ましくは90g/m2以上、更に好ましくは100g/m2以上であることが望ましい。一方、目付量が多くなると、弾性が増して石などの突起物に対する貫通抵抗が向上するものの、施工時にもも毛などが生じ易くなって取扱性が低下すると共に、過剰性能となってコストパフォーマンスが低下する。したがって短繊維不織布層の目付量は1200g/m2以下であることが好ましく、より好ましくは1100g/m2以下、更に好ましくは1000g/m2以下であることが望ましい。この様な目付量の短繊維不織布層を使用することによって、石などの突起物や地面の凹凸に起因する防草シートの破損を抑制でき、しかも短繊維不織布層によって地面との滑りも抑制される。
【0030】
本発明の短繊維不織布層の製造方法は特に限定されない。例えば任意の短繊維を単独、又は2種以上組み合せたものを用いて均一な繊維ウエッブを作成すればよい。また該繊維ウエッブにニードルパンチ加工やウォータージェット加工などの物理的交絡処理を施し、繊維同士を交絡させて不織布としての一体性を高めることも有効である。尚、ニードルパンチ加工等の交絡処理に採用するニードル数等の交絡数は限定されず、所定の値とすればよい。
【0031】
ところで、短繊維不織布層に物理的交絡処理を施すと該交絡部分の遮光性は低下するが、本発明の防草シートでは長繊維不織布層によって遮光性を確保できる。一方で、短繊維不織布層に上記長繊維不織布層で説明した様な圧接加工を施したり、短繊維の一部を溶融させて繊維同士を結合すると、短繊維不織布層の柔軟性や弾力性が低下し、防草シートが破損し易くなったり、或いは短繊維同士の結合度合が高まることで透水性が低下したり、地面に対して防草シートが滑りやすくなることがある。
【0032】
本発明では、長繊維不織布層と短繊維不織布層を熱融着性繊維の特質を利用して一体化することによって、ニードルパンチ加工の様な物理的交絡処理を施して一体化した場合に生じる遮光性や貫通抵抗が低下するという問題を解消している。
【0033】
特に熱融着性繊維が点状および/または線状で存在していることが望ましい。即ち、長繊維不織布層と短繊維不織布層の層間耐剥離性を高めるには、熱溶融樹脂を用いた孔のないフィルム状シート(以下、熱溶融性シートということがある)を介在させるなどして該不織布全面を接着することも可能であるが、該接着によって繊維同士が固定されてしまうために、接着部分の割合を高めると柔軟性が低下する。また熱溶融性シートを用いると、熱融着性繊維の溶融によって繊維間の隙間が減少し、透水性が不足することもある。同様に液状の接着剤や両面テープの様な粘着フィルムを用いると、一体性は高まるものの、やはり繊維同士が固定化され柔軟性が阻害されたり、透水性が低下してしまう。したがって、熱融着性繊維が点状および/または線状で存在するとは、長繊維不織布層と短繊維不織布層の積層面において該熱融着性繊維の塊(点状)や繊維(線状)が存在していることをいい、これによって接着部分と非接着部分が形成される。そして熱融着性繊維が点状、或いは線状で存在していても、熱融着性繊維全てが接着している必要はなく、例えば線状で熱融着性繊維が存在している場合、該線状繊維に接着部分と非接着部分が存在していてもよい。この様に熱融着性繊維を点状および/または線状で存在させることによって、接着部分で一体性を高めつつ、非接着部分で透水性や柔軟性を確保できる。この様に熱融着性繊維を点状および/または線状で存在させるには、熱融着性繊維を用いた網状シートの様に厚み方向に透孔を有するシート(以下、熱融着性網状シートということがある。)を介在させて長繊維不織布層1と短繊維不織布層2を熱圧着すれば、接着部分と非接着部分ができて防草シートとしての一体性(耐剥離性)を高めて形状安定性が確保でき、且つ優れた透水性、柔軟性、貫通抵抗も発揮する。
【0034】
この際用いる熱融着性繊維とは、熱を加えると繊維の一部が溶けて周囲の繊維(長繊維、短繊維)と融着する性質を有するものをいい、例えば低融点ポリエステル、低融点ポリエチレン、低融点ナイロン、低融点ポリプロピレン等の各種低融点繊維が例示される。また熱融着性繊維の融点は長繊維の融点、及び短繊維の融点よりも低いことが望ましい。長繊維や短繊維の融点よりも高いと、該熱融着性繊維が溶融するまでに長繊維や短繊維が溶融し、これら繊維同士が融着して柔軟性や透水性が失われるなど、不織布の性質が変わってしまうからである。熱融着性繊維は長繊維や短繊維の性質に応じて適宜決定すればよいが、熱融着性繊維の融点は好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下、更に好ましくは180℃以下とすることが望ましい。一方、熱融着性繊維の融点が低すぎると、使用環境によっては熱融着性繊維が再溶融してしまい、防草シートの一体性が低下する恐れがある。したがって使用時に熱融着性繊維が溶融しない融点を有する繊維が望ましく、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上の融点を有する熱融着性繊維が望ましい。
【0035】
熱融着性繊維を用いた網状シート(熱融着性網状シート)も、シート厚み方向に多数の孔(熱融着性繊維が存在しない部分)があるシートであればいずれも用いることができ、具体的には、くもの巣状(ウエッブ状)が例示される。この様な網状シートは例えば、製造時に繊維をネット状やウエッブ状に集積させたものでもよい。また長繊維不織布層と短繊維不織布層の剥離を防止して一体性を維持すると共に、全面に均一な透水性を付与するには、シート全面に略均一に孔(熱融着性繊維の存在しない部分)部分と熱融着性繊維部分があることが望ましい。尚、熱融着性繊維の構造は、芯鞘型、サイドバイサイド型などの多成分系の繊維を用いてもよいが、耐剥離性を高めるには単一成分の熱融着性繊維を用いることが望ましい。
【0036】
また上記の様な網状シートを用いる場合、耐剥離性を高めて防草シートの一体性を維持するには、該シートの目付量は7g/m2以上であることが好ましく、より好ましくは10g/m2以上、更に好ましくは15g/m2以上であることが望ましい。一方、目付量が多くなると耐剥離性は高まるものの、透水性が低下すると共に、防草シートの柔軟性も低下することから、好ましくは120g/m2以下、より好ましくは110g/m2以下、更に好ましくは100g/m2以下とすることが望ましい。
【0037】
本発明の防草シートは、長繊維不織布層、熱融着性繊維、短繊維不織布層の順番で積層させた後、加熱ローラなどで熱処理を施すことによって熱融着性繊維の少なくとも一部を溶融させて長繊維や短繊維と融着させることによって得ることができる。
【0038】
尚、本発明の防草シートには必要に応じて着色剤、耐光剤、難燃剤、抗菌剤、防虫剤、芳香剤、染色剤などの任意の添加剤を含ませてもよく、例えば繊維原料中に予め添加したり、或いは長・短繊維不織布層や防草シートに含ませてもよい。
【0039】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明の防草シートは下記実施例に限定されるものではない。
【0040】
【実施例】
実施例に用いた各試料を下記の方法で製造した。
試料1
下記の長繊維不織布層と、下記熱融着性網状シート、及び短繊維不織布層を積層して3層構造とした後、加熱ローラー(ローラー温度:140℃、速度5.5m/min)で熱圧着して図1に示す様な防草シート(試料1)を作成した。
【0041】
長繊維不織布層:
ポリエチレンテレフタレート(グリーン原着)樹脂を原料としてスパンボンド法により、繊度2.4デシテックスを有する繊維層(ウエッブ)を作成した。この繊維層にエンボスカレンダー加工を行なって表面に凹凸の形成された長繊維不織布層(目付量:130g/m2、厚さ:0.6mm)を作成した(尚、凹部の繊維は圧着されている)。
【0042】
短繊維不織布層:
・ポリエチレンテレフタレート繊維A(平均繊度:3.3デシテックス、繊維長:51mm)50質量%
・ポリエチレンテレフタレート繊維B(平均繊度:7.8デシテックス、繊維長:64mm)40質量%
・ポリエチレンテレフタレート繊維C(黒原着、平均繊度:3.3デシテックス、繊維長51mm)10質量%
上記繊維A,B,Cを用いてウエッブを形成した後、ニードルパンチ加工(針深度:9mm、打込み本数300本/cm2)を施して短繊維不織布層(目付量:95g/m2、厚さ:0.6mm)を得た。
【0043】
熱融着性網状シート:
低融点ポリエステル繊維(熱融着性繊維)を用いて網状シート(目付量:20g/m2、融点:120℃、編形状:ウエッブ状)を作成した。
【0044】
試料2
短繊維不織布層の目付量が730g/m2となる様に調整した以外は、試料1と同様にして試料2を作成した。
【0045】
試料3
長繊維不織布層の目付量(200g/m2)、短繊維不織布層の目付量(1000g/m2)、及び熱溶融性網状の目付量(50g/m2)を夫々調整した以外は、試料1と同様にして試料3を作成した。
【0046】
試料4
短繊維不織布層の目付量(600g/m2)、及び熱融着性網状シートの目付量(150g/m2)を夫々調整した以外は、試料1と同様にして試料4を作成した。
【0047】
試料5
長繊維不織布層の目付量(300g/m2)、短繊維不織布層の目付量(1200g/m2)、及び熱融着性網状シートの目付量(80g/m2)を夫々調整した以外は試料1と同様にして試料5を作成した。
【0048】
試料6
長繊維不織布層の目付量(70g/m2)、短繊維不織布層の目付量(80g/m2)、及び熱融着性網状シートの目付量(10g/m2)を夫々調整した以外は試料1と同様にして資料6を作成した。
【0049】
上記各試料を以下の評価基準に基づいて評価した。
【0050】
単位面積あたりの目付量(質量):
JIS L1906の5.2に記載の方法に基づいて測定した。
【0051】
厚み:
JIS L1906の5.1に記載の方法に基づいて測定した。
【0052】
貫通抵抗:
貫通抵抗測定用シートクランプ治具(サンプルサイズ直径80mm)にデジタル圧力計[アイコーエンジニアリング(株)製]に針太さ(針規格JIS B9076)、針深度×17(23番)、DP×17(23番)、楕円1×17(23番)楕円1.6×1.3をセットしてサンプルの短繊維層からスパンボンド層へ貫通させ、貫通時の圧力を測定した。尚、各サンプルは3回づつ測定した。
【0053】
遮光性:
JIS L1055.6Aに記載の方法に基づいて遮光性を測定した。
【0054】
透水係数:
JIS A1218の3.1(1)に記載の方法に基づいて透水係数を測定した。
【0055】
取扱性:
防草シートを敷工する時の引き回しと、地面とのなじみによる敷工作業の容易性を評価した。評価基準を以下に示す。
○:敷行時の引き回しに何の問題もなく、また地面とのなじみも非常によい。
△:引き回しにやや難がある、および/またはなじみにやや難(浮箇所が少ない)があり、実用上許容されないことがある。
×:引き回しが困難、および/またはなじみに難(浮箇所が多い)があり、実用上許容されない。
【0056】
水はけ性:
地面にサンプルを幅2.1m×長さ5mで敷設し、水20Lをシート一面に散水し、5時間後の各試料シート表面上に残存する水の有無を調べるとともに、該試料シートを除去して地面の濡れの有無を調べた。
○:試料シート上に水が残存していない。
×:試料シート上に水が残存している。
【0057】
防草性能:
各試料シートを屋外の土上に設置し、1年間放置した後、シート上の雑草の有無を調べた。尚、防草シートを設置しない場所には、スギナ、ハナクサビ、チチコクサモドキ、イヌムギ、カタバミ、セイタカアワダチソウなどの雑草が無数に生えていた。
○:試料シート上に雑草が全く存在しない。
△:1〜3本の雑草が試料シートを貫通して成長している。
×:4本以上の雑草が試料シートを貫通して生長している。
【0058】
試験結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】
上記した様に熱融着性繊維を用いた熱融着性網状シートを介在させて、長繊維不織布層と短繊維不織布層とを熱圧着することにより、長繊維不織布層と短繊維不織布層を点状および/または線状で存在する熱融着性繊維で接着して積層した本発明の防草シートは、貫通抵抗、遮光性、透水係数、取扱性に優れた性質を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防草シートの断面概略図
【符号の説明】
1.長繊維不織布層
2.短繊維不織布層
3.熱融着性繊維
4.防草シート
Claims (5)
- 長繊維不織布層と短繊維不織布層を積層してなる複合不織布からなり、熱融着性繊維を用いた熱融着性網状シートを介在させて、長繊維不織布層と短繊維不織布層とを熱圧着することにより、前記長繊維不織布層と短繊維不織布層の少なくとも一部が熱融着性繊維で接着され、前記長繊維不織布層と短繊維不織布層の間に熱融着性繊維が点状および/または線状で存在することを特徴とする防草シート。
- 前記長繊維不織布層の表面には連続的に凹凸が形成されており、且つ該凹部で繊維が圧着されている請求項1に記載の防草シート。
- 前記積層不織布の光遮断率(JIS L1055.6Aに基づく)が90%以上であって、且つ貫通抵抗が1.0N以上、透水係数[JIS A1218の3.1(1)に基づく]が1.0×10−2cm/sec〜1.0cm/secである請求項1または2に記載の防草シート。
- 上記長繊維不織布層の繊度が1.0〜10デシテックスであって、且つ目付量が75〜250g/m2である請求項1〜3のいずれかに記載の防草シート。
- 上記短繊維不織布層の目付量が80〜1200g/m2である請求項1〜4のいずれかに記載の防草シート。
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