JP4596676B2 - マルチ資材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、農作物や果実植物の根本周辺の地表面に敷設するマルチ資材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、農作物や果実植物の根本周辺に、作物が良好に育つためにマルチ資材を敷設している。また、果実植物においては、雨水が多量に土に浸透しないように調節し、糖度などの品質を向上させる目的で使用されている。
【0003】
このようなマルチ資材として、フラッシュ紡糸不織布が用いられている。フラッシュ紡糸不織布は、耐水性が高いため、水滴を通さず、雨水が土中に浸透することを防ぐことができ、また、水蒸気などの気体を通過させることができる透湿性を有するので、根の呼気を損なわないようにすることができる。
【0004】
しかし、フラッシュ紡糸不織布からなるマルチ資材では、耐水性が高いために、雨が降ると大きな水溜りとなってマルチ資材上に長い間存在するため、その排水性に問題があり、また、水溜りが存在するマルチ資材上は、人の歩行が困難となり滑りやすいという問題があった。また、フラッシュ紡糸不織布からなるマルチ資材は、地表面に直に敷設するため、マルチ資材上の歩行を重ねると、地表に存在する鋭利な石等によって部分的に破れが生じた場合に、その部分より容易に引き裂かれ、水滴が土中に浸透するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決するものであって、雨水の浸透を調節し、糖度等の品質を向上させるマルチ資材において、マルチ資材上に水溜りを生じさせず、また、使用において破れ等が起こり難い耐候性・耐久性に優れたマルチ資材を提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討の結果、本発明に到達した。
【0008】
本発明は、熱可塑性重合体からなる長繊維不織布(A)とフィルムと熱可塑性重合体からなる長繊維不織布(B)とが積層されてなる積層体であり、長繊維不織布(A)とフィルムとは、部分的に存在する接着剤により接着されており、フィルムと長繊維不織布(B)とは、熱ラミネートにより積層されており、積層体の耐水圧が300mm以上であることを特徴とするマルチ資材を要旨とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のマルチ資材は、熱可塑性重合体からなる長繊維不織布(A)とフィルムと熱可塑性重合体からなる長繊維不織布(B)とが積層されてなる積層体である。
【0010】
長繊維不織布(A)および(B)を構成する熱可塑性重合体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系重合体、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系重合体等が挙げられる。また、繊維の形態は、1種の重合体からなる単相形態や、2種の重合体からなる芯鞘型、サイドバイサイド型等の複合形態であってもよい。
【0011】
本発明において、複合形態の繊維を用いる場合は、芯部に高融点重合体、鞘部に低融点重合体が配された芯鞘型複合繊維を用いることが好ましい。芯部と鞘部に配する重合体の組み合わせとしては、高融点のポリエステル系重合体/低融点のポリエステル系重合体、ポリエステル系重合体/ポリオレフィン系重合体、ポリエステル系重合体/ポリアミド系重合体、ポリアミド系重合体/ポリオレフィン系重合体、プロピレン系重合体/エチレン系重合体等が挙げられるが、本発明においては、耐候性と強力の点から鞘部にポリオレフィン系重合体を配し、かつ芯部にポリエステル系重合体を配してなる芯鞘型複合繊維を用いることが好ましい。
【0012】
長繊維不織布(A)および/または長繊維不織布(B)に、強力の向上および不織布表面の毛羽発生を防止する目的で、バインダー樹脂を付与してもよい。バインダー樹脂としては、アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸ブチル,メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸ブチル,アクリロニトリル,スチレン等のモノマーを、2種以上組み合わせて所望のモル比で共重合した共重合体を採用することが好ましい。
【0013】
また、マルチ資材として敷設する際に、外側(日光に晒される側)の長繊維不織布に付与するバインダー樹脂には、公知の紫外線吸収剤および/または酸化防止剤を添加させてもよい。バインダー樹脂に上記添加剤を添加することにより、マルチ資材の耐候性を向上させることができる。
【0014】
さらに、敷設の際に、外側の長繊維不織布に、撥水剤を塗布等により付与してもよい。撥水剤を付与することにより、マルチ資材の耐水圧をより向上させることができる。
【0015】
長繊維不織布(A)および(B)を構成する繊維の繊度は、1〜11デシテックスであることが好ましい。1デシテックス未満であると、強力が低くなり、使用の際に破れやすいものとなる。一方、11デシテックスを超えると、繊維間の空隙が大きくなる傾向にある。したがって、日光に晒される側の長繊維不織布においては、太陽光線の透過量が増え、フィルムに太陽光線が当たりやすくなるため、フィルムが劣化しやすくなり、目的とする耐水圧を長期に亘って保持しにくくなる。また、土に接する側の長繊維不織布においては、土上に存在する石等の突起物が長繊維不織布を通してフィルムに当たりやすくなって、フィルムが損傷しやすくなる。
【0016】
本発明において用いる長繊維不織布としては、後述する適度な繊維間空隙を有し、また、機械的強力に優れることから、スパンボンド不織布を用いることが好ましい。
【0017】
長繊維不織布(A)および(B)の形態としては、熱エンボス処理により構成繊維が部分的に接着されたもの、ニードルパンチ処理等により構成繊維が交絡してなるもの等を用いることができるが、機械的強力の点から部分的に熱接着されてなるものが好ましい。
【0018】
長繊維不織布(A)および(B)の目付は、10〜100g/m2であることが好ましい。目付が10g/m2未満であると、目的とする引張強力および引裂強力を得にくくなり、補強層としての役割を十分に担えない傾向となる。また、繊維間空隙が少なく、降雨による水分を長繊維不織布内に吸収・拡散することができず、マルチ資材表面に水溜りができやすくなる。一方、目付が100g/m2を超えると、厚みが増し、土表面の形状に追随させて敷設しにくい傾向となる。
【0019】
本発明のマルチ資材において、外側に暴露して敷設される長繊維不織布(通常は、長繊維不織布(A))の嵩密度は、0.04g/cc以上であることが好ましい。嵩密度が0.04g/cc以上の長繊維不織布は、適度な繊維間空隙を有するものであって、降雨等の水分を繊維間に溜め込むことができ、マルチ資材表面に水溜りが生じ難い。嵩密度が0.04g/cc未満であると、目付にもよるが、太陽光線を透過しやすくなり、フィルムに太陽光線が当たりやすくなる。嵩密度の上限としては、0.3g/cc程度とする。密度が高くなりすぎると、繊維間空隙が小さくなって、水分を繊維間に溜め込むことができなくなる。
【0020】
また、本発明のマルチ資材において、土側に接して、直にフィルムが土に接することがないようにするための補強層となる長繊維不織布(通常は、長繊維不織布(B))の嵩密度もまた、0.04g/cc以上であることが好ましい。嵩密度が0.04g/cc以上とすることにより、長繊維不織布内には、適度な繊維間空隙を有することとなる。適度な繊維間空隙を有する長繊維不織布では、地表面の鋭利な石等と接する際に、長繊維不織布が有する空隙内に鋭利な石等を入り込ませることが可能となり、石が長繊維不織布を突き刺して破断させることない。嵩密度が0.04g/cc未満であると、繊維間空隙が大きくなりすぎて、鋭利な石等が長繊維不織布を通じてフィルムに直接当たる可能性がでてくる。また、嵩密度の上限としては、0.3g/cc程度とする。密度が高くなりすぎると、繊維間空隙が小さく、鋭利な石が繊維および不織布に当たりやすくなり、繊維を切断し、不織布の機械的強力が低下しやすく、耐久性に劣る傾向となる。
【0021】
本発明に用いられるフィルムは、本発明のマルチ資材における耐水性を担うものであり、その目的が達するものであればよく、公知のポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ナイロン系フィルム等を用いることができる。また、根の呼気を十分に確保するために、微多孔を有するフィルムを用いることが好ましい。
【0022】
長繊維不織布(A)とフィルムとは、部分的に存在する接着剤により接着されている。部分的に存在する接着剤とは、長繊維不織布面に対して、ドット状、格子状、ストライプ状、ランダムな網目状等に接着剤が存在していることをいい、接着剤が存在していない部分においては、長繊維不織布(A)とフィルムとは接着されてなく、長繊維不織布(A)とフィルム間においては、空気層を含む状態となっている。したがって、日光等に晒した際には、紫外線等が長繊維不織布(A)を通してフィルムに直接あたることなく、長繊維不織布(A)を通した紫外線は、一旦、空気層を通じてフィルムに届くことになる。長繊維不織布(A)とフィルムとの間の空気層がクッション層となって、紫外線がフィルムにアタックしにくい状態をつくり、耐候性が向上する。
【0023】
長繊維不織布(A)とフィルムとを接着剤により、上記したごとく部分的に接着させる方法としては、例えば、接着剤をフィルムと長繊維不織布(A)との間に部分的に配置させて両者を接着させるドライラミネート方法が挙げられる。この場合、塗工方法はスプレー法、グラビアロールによる転写法、押し出しラミネート法等適宜選択される。また、フィルムまたは長繊維不織布(A)にポリエチレン等の合成樹脂からなるパウダーを振り落とし、両者を接着させる方法が挙げられる。さらには、目付が低く、2次元方向において空隙を有する、いわゆるワリフのごとき熱接着性不織布を、フィルムと長繊維不織布(A)との間に挟み、熱接着処理を施すことにより両者を接着させてもよい。
【0024】
本発明においては、長繊維不織布(A)とフィルムとが接着剤によって一体化してなる積層体において、フィルム面側に長繊維不織布(B)を積層して一体化させることが好ましい。引裂強力の比較的弱いフィルムを、長繊維不織布(A)、(B)によって両面より挟み一体化することによって、両表面に長繊維不織布を存在させて、フィルムを表面に露出させず、長繊維不織布(A)、(B)は、フィルムの補強材として担わせ、マルチ資材の耐候性、耐久性を向上させることができる。
【0025】
フィルムの両面に長繊維不織布(A)、(B)を積層する方法としては、例えば、長繊維不織布(B)に押出ラミネートによりフィルムを積層した積層体を得、その後、フィルム表面に、上述したように部分的に接着剤を塗工して、長繊維不織布(A)と接着一体化することが挙げられる。
【0026】
また、図1に示す積層一体化する工程の一例を示す概略説明図のように、長繊維不織布(A)とフィルム(1)との間にホットメルトの接着剤(2)を部分的に、好ましくはストライプ状に塗工して、押圧ローラー(3)間へ導入する。一方、フィルムの上側に長繊維不織布(B)が配されるように、長繊維不織布(B)を押圧ローラー間に導入して、長繊維不織布(A)/接着剤/フィルム/長繊維不織布(B)という積層状態で、押圧ローラー間にて押圧することにより、積層一体化させて積層体(4)を得る。このとき、押圧ローラー間においては、ホットメルト接着剤の熱をフィルムに伝えて、フィルムを軟化または溶融させ、フィルムの軟化または溶融した部分と長繊維不織布(B)とを接着すること、すなわち、部分的にフィルムが軟化または溶融してなる熱ラミネートにより接着することができる。
【0027】
フィルムと長繊維不織布(B)とが強固に接着するためには、フィルムの構成重合体と長繊維不織布(B)の構成繊維表面の構成重合体とが相溶性を有するものであることが好ましい。本発明においては、フィルムがポリオレフィン系重合体からなり、長繊維不織布(B)の構成繊維が、芯鞘複合繊維であって、鞘部を構成する重合体がポリオレフィン系重合体であることが好ましい。
【0028】
本発明のマルチ資材の耐水圧は、300mm以上である。マルチ資材の耐水圧を300mm以上とすることによって、降雨等による水分が必要以上に土中に浸透することを防止し、果実の糖度を向上させることができる。マルチ資材の耐水圧が300mm未満であると、マルチ資材を通して降雨等による多量の水分が土中へ侵入し、果実の糖度を向上させるという本発明のマルチ資材の目的を達成することができなくなる。
【0030】
本発明のマルチ資材においては、通常は、長繊維不織布(A)が外側に暴露する状態で敷設して用いることが耐候性の観点から好ましいが、場合によっては、長繊維不織布(B)側を外側に暴露させてもよい。
【0031】
【実施例】
次に実施例に基づき、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また、特性値については、以下の測定法に基づいて行った。
【0032】
(1)引張強力(N)および引張伸度(%):JIS−L−1096 6.12.1 B法 グラブ法に準拠し、10個の試料片のタテ方向およびヨコ方向について測定し、その平均値を引張強力(N)および引張伸度(%)とした。
【0033】
なお、本発明においては、試料のタテ方向およびヨコ方向における初期引張強力および下記耐候性試験後(300時間照射後)の引張強力ともに20N以上のものを使用において良好とした。
【0034】
また、試料のタテ方向およびヨコ方向における初期引張伸度および下記耐候性試験後(300時間照射後)の引張伸度ともに10%以上のものを使用において良好とした。
【0035】
(2)引裂強力(N):JIS L−1096 6.15.5 D法 ペンジュラム法に基づき、10個の試料片のタテ方向およびヨコ方向について測定し、その平均値を引裂強力(N)とした。
【0036】
なお、本発明においては、初期引裂強力および下記耐候性試験後(300時間照射後)の引裂強力ともに1N以上のものを使用において良好とした。
【0037】
(3)耐候性:JIS B 7753に準拠して行った。スガ試験機(株)製サンシャインスーパーロングライフキセノンウェザーメーター(WEL−6XS−HC−B−EC)(SW型)を使用し、ガラス製フィルターの仕様としては、分光透光率255nm:1%以下 302nm:71〜86% 360nm以上:91%以上、膨張率は約5×10-1とした。温度条件63±3℃、噴霧条件120分サイクルで102分間照射、続いて18分間の照射および噴霧とした。20時間照射後、40時間照射後、80時間照射後、150時間照射後、300時間照射後における引張強力、引張伸度、引裂強力、耐水圧を測定し、耐候試験前の引張強力、引張伸度、引裂強力(初期値)および、上条件による耐候試験後(300時間照射後)の引張強力、引張伸度、引裂強力(300時間照射後の値)により、それぞれの保持率を算出した。
【0038】
引張強力、引裂強力における強力保持率(%)は、下記式により算出し、引張強力については保持率20%以上のものを、引裂強力については保持率10%以上のものを耐候性が良好であるとした。
【0039】
強力保持率(%)=(300時間照射後の値/初期値)×100
また、引張伸度の伸度保持率(%)は、下記式により算出し、保持率20%以上のものを耐候性が良好であるとした。
【0040】
伸度保持率(%)=(300時間照射後の値/初期値)×100
【0041】
(4)耐水圧:JIS L−1092の5.1.1の低水圧法に準じて測定した。
【0042】
(5)透湿性:JIS L−1099の4.1.1 A−1法の塩化カルシウム法に準じて測定した。なお、根の呼気を考慮する場合は、透湿性が50g/m2・時間以上であることが好ましい。
【0043】
実施例1
まず、長繊維不織布(A)をスパンボンド法により作成した。すなわち、ポリエチレンテレフタレートを繊維断面が円形となる紡糸口金より溶融温度290℃で溶融紡出した。紡出糸条を紡糸速度5000m/分でエアーサッカーにて繊度3.3dtexになるよう引き取り、延伸後の繊維をネット上に、目付18g/m2の不織ウエブになるように捕集した。得られた不織ウエブをエンボスロールと平滑ロールとからなるエンボス装置にて、両ロール表面温度を200℃に設定し、部分熱圧着率30%で部分熱圧着処理を行った。
【0044】
その後、アクリル共重合体のバインダー溶液に浸漬後、マングルにて余剰液を絞り、バインダー付着量2g/m2となるよう調整した。次いで、熱風乾燥機で乾燥後、シリンダー機で熱処理を行い、目付20g/m2、嵩密度0.17g/ccの長繊維不織布(A)を得た。
【0045】
一方、長繊維不織布(B)を以下のようにして作成した。すなわち、ポリエチレンテレフタレートを芯成分、高密度ポリエチレンを鞘成分とし、構成比が質量比1/1とし、芯鞘型複合紡糸口金より溶融温度290℃で溶融紡出した。紡出糸条を紡糸速度5000m/分でエアーサッカーにて繊度3.3dtexになるよう引き取り、延伸後の繊維をネット上に、目付20g/m2の不織ウエブになるように捕集した。得られた不織ウエブをエンボスロールと平滑ロールとからなるエンボス装置にて、両ロールの表面温度を120℃に設定し、部分熱圧着率14%の部分熱圧着処理を行い、目付20g/m2 、嵩密度0.13g/ccの長繊維不織布(B)を得た。
【0046】
フィルムとしては、線状低密度ポリエチレンからなる目付30g/m2 、透湿性フィルムを用意した。
【0047】
<長繊維不織布(A)、フィルムおよび長繊維不織布(B)の積層>
長繊維不織布(A)に、溶融ポリエチレン樹脂(ホットメルト接着剤)を平方メートルあたり10gとなるように、約3mm間隔にて筋状に押し出し、接着剤側に透湿性フィルムを配置するように、また、透湿性フィルムの接着剤の存在しない側に長繊維不織布(B)を配置するように、長繊維不織布(A)、接着剤、透湿性フィルム、長繊維不織布(B)を押圧ロール間に導入し、積層一体化させて積層体を得た。
【0048】
実施例2
実施例1において長繊維不織布(A)として用いたポリエチレンテレフタレートからなる目付20g/m2、嵩密度0.17g/ccの長繊維不織布に代えて、実施例1において長繊維不織布(B)として用いた目付20g/m2 嵩密度0.13g/ccの芯鞘型複合長繊維からなる長繊維不織布を、長繊維不織布(A)として用いた以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
【0049】
得られた実施例1、2および比較例として目付70g/m2のフラッシュ紡糸不織布について、特性値を評価し、その評価結果を表1および表2に示した。
【0050】
また、実施例2における耐候性試験については、長繊維不織布(A)側を外側に暴露した場合と、長繊維不織布(B)側を外側に暴露した場合の両者について試験を行った。
【0051】
引張強力および引張伸度については、試料片のタテ方向およびヨコ方向について測定した結果、値の小さいヨコ方向の値のみ表1に示した。また、引裂強力については、試料片のタテ方向およびヨコ方向について測定した結果、値の小さいタテ方向の値のみ表1に示した。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
本発明の積層体は、マルチ資材として要される機械的強力を有するものであり、また、耐候性にも優れるものであった。そして、耐候性の試験の際にも、水分を繊維間空隙内に吸収、拡散することができ、局所的に水溜りをつくることがなかった。また、耐候性試験における20時間照射後、40時間照射後、80時間照射後、150時間照射後、300時間照射後の耐水圧は、すべて700mm以上であり、耐水性にも優れたいた。
【0055】
一方、比較例であるフラッシュ紡糸不織布は、耐候性の試験において、水分を不織布内に拡散することができず、局所的に水溜りをつくるものであった。また、耐候性試験の対水圧測定において、80時間照射後の測定値が463mmと低く(20時間照射後、40時間照射後、80時間照射後、150時間照射後、300時間照射後においては、700mm以上)、部分的に耐水圧の低下がみられた。
【0056】
【発明の効果】
本発明のマルチ資材は、長繊維不織布(A)とフィルムとが部分的に接着剤により接着されている。マルチ資材として使用する際には、長繊維不織布(A)が外側に暴露するように敷設する。フィルム表面は長繊維不織布(A)によって覆われているため、長繊維不織布(A)は、フィルムを環境面および物理的な衝撃に対して保護する保護層、補強層として担う。例えば、マルチ資材上の人の歩行や、落下物、雨風等の物理的衝撃は、表層の長繊維不織布(A)が受けて破れることなく、下層のフィルムを保護する。また、日光による紫外線は、長繊維不織布(A)に直接当たるため、下層のフィルムが耐候劣化することを防止する。
【0057】
また、長繊維不織布(A)とフィルムとは、部分的に存在する接着剤により、接着されているため、接着剤が存在していない部分においては、長繊維不織布(A)とフィルムとの間には、空気層が存在することとなる。したがって、日光等に晒した際には、紫外線等が長繊維不織布(A)を通してフィルムに直接あたることなく、長繊維不織布(A)を通した紫外線は、一旦、空気層を通じてフィルムに届くことになるため、長繊維不織布(A)とフィルムとの間の空気層がクッション層となって、紫外線がフィルムにアタックしにくい状態をつくり、耐候性が向上すると考えられる。
【0058】
また、長繊維不織布(A)は、適度な空隙を有しているため、降雨による水分を繊維間空隙内に吸収、拡散することができ、局所的に水溜りをつくることがない。
【0059】
さらに、本発明のマルチ資材は、前記積層体のフィルム側において、さらにフィルムを補強、保護するために長繊維不織布(B)を熱ラミネートにより積層してなる積層体である。通常、マルチ資材として使用する際には、長繊維不織布(B)側が、土に接するように敷設する。土と直に接するのが、長繊維不織布(B)であるため、土の接触において破れ難く、長期に亘って、マルチ資材の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマルチ資材(積層体)を得るための積層一体化する工程の一例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
A 長繊維不織布(A)
B 長繊維不織布(B)
1 フィルム
2 接着剤
3 押圧ローラー
4 積層体
Claims (4)
- 熱可塑性重合体からなる長繊維不織布(A)とフィルムと熱可塑性重合体からなる長繊維不織布(B)とが積層されてなる積層体であり、長繊維不織布(A)とフィルムとは、部分的に存在する接着剤により接着されており、フィルムと長繊維不織布(B)とは、熱ラミネートにより積層されており、積層体の耐水圧が300mm以上であることを特徴とするマルチ資材。
- フィルムと長繊維不織布(B)とが、部分的にフィルムが軟化または溶融してなる熱ラミネートにより積層されていることを特徴とする請求項1記載のマルチ資材。
- 長繊維不織布(B)を構成する繊維が、芯部に高融点重合体、鞘部に低融点重合体が配された芯鞘型複合繊維であることを特徴とする請求項1または2に記載のマルチ資材。
- フィルムの構成重合体と、長繊維不織布(B)の構成繊維表面を構成する重合体とが、互いに相溶性を有することを特徴とする請求項2または3記載のマルチ資材。
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