JP6632296B2 - 農業用マルチシート - Google Patents

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本発明は農業用マルチシートに関する。
農作物栽培における地温の確保(保温)および農作物の保護を目的として、フィルムあるいは布帛(織物、編物または不織布)からなる農業用マルチシートが使用されている。このようなマルチシートに用いられるフィルムや布帛は、保温性に優れる観点から、黒色を呈するものであることが一般的である。
黒色のフィルムからなる農業用マルチシートは、保温効果に優れるだけでなく、太陽光を遮蔽することにより雑草の育成を防止することができる。つまり防草効果を奏する。その反面、このような黒色のフィルムは、透水性に乏しいため農作物の生長に必要な水分を地面まで到達させることができず、加えて、吸水性にも乏しいため農作物の生長に必要とされる水分を十分に保持できず、したがって農作物の栽培にきわめて適しているとはいえない。
一方、黒色布帛からなる農業用マルチシートは、透水性に優れるものの、吸水性が過大であるために、その表面に結露などによる水分が多量に保持され、この水分を多量に保持したマルチシートが農作物に接触すると、その水分により農作物が損傷してしまうという問題がある。さらに、黒色布帛は繊維からなるものであるため、毛羽が発生しやすい。すると、例えばこのマルチシートをいちごの栽培用マルチシートとして使用した場合に、いちごは非常にデリケートであるため、その毛羽がいちごに絡みついて、いちごの生長を阻害したり、いちごを傷めてしまったりするという問題がある。
このような問題を解消するために、特許文献1においては、多孔性フィルムと不織布とが積層されてなる農業用保温材が検討されている。この保温材は保温性および透水性を備えているものの、保温性を重視しているため、春先などの暖かい季節に使用すると、地温や保温材表面の温度が上がりすぎてしまい、農作物の根が腐ったりしてしまう場合がある。つまり、このような農業用保温材は、栽培期間を通して使用することが困難であるという問題がある。
特許文献2には、農業用マルチングフィルムとしての、白色表面層/黒色中間層/白色裏面層という構成を有する合成樹脂積層フィルムが記載されている。しかし、この積層フィルムは透水性および吸水性を有するものではないため、農作物の生長に必要な水分を供給するために、このフィルムの下に灌水チューブなどを設置する必要があり、コストや設備の簡易化などの観点において好ましくない。また、フィルム表面において結露などにより発生する水滴により、農作物が傷んでしまうという問題がある。
特開平9−300511号公報 特開2004−166541号公報
本発明は、このような現状に鑑み、地温の過度な上昇および雑草の生長を効果的に抑制し、かつ結露などで発生する水分による農作物の損傷を防止し、さらに農作物の生長に必要な水分の保持を達成し得る農業用マルチシートを提供することを目的とする。
本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)表面層と中間層と裏面層とを有し、表面層は白色のスパンポンド不織布にて構成され、中間層は黒色のメルトブローン不織布にて構成され、裏面層は黒色のスパンボンド不織布にて構成されていることを特徴とする農業用マルチシート。
(2)表面層が酸化チタンを3〜30g/m含有したものであることを特徴とする(1)の農業用マルチシート。
(3)黒色の不織布の全体でカーボンブラックを0.1〜2g/m含有したものであることを特徴とする(1)または(2)の農業用マルチシート。
(4)通気度が5cc/cm/s以上であることを特徴とする(1)から(3)までのいずれかの農業用マルチシート。
(5)耐水高さが50mm以上であることを特徴とする(1)から(4)までのいずれかの農業用マルチシート。
(6)上記(1)から(5)までのいずれかの農業用マルチシートを使用する方法であって、裏面層を地面側に配することを特徴とする農業用マルチシートの使用方法。
本発明の農業用マルチシートによれば、表面層と裏面層とのスパンボンド不織布によって所要のシート強度を保持しながら、中間層のメルトブローン不織布によって通気性を制御することができ、このため地温の過度な上昇を抑制することができる。また表面層が白色の不織布で構成されているため、太陽光を十分に反射させることができ、この点によっても地温の過度な上昇を抑制することができる。また裏面層が黒色の不織布で構成されているため、太陽光を十分に遮蔽することができ、それによって雑草の生長を効果的に抑制することができる。中間層がメルトブローン不織布にて構成されているため、結露などで発生した水分を地面側に通しにくく、したがってその水分によって農作物が傷んでしまうことを防止できる。
本発明の実施の形態の農業用マルチシートの要部の模式断面図である。 同農業用マルチシートにおける各層の繊維形態を模式的に示す要部の断面図である。 本発明の農業用シートの敷設例を示す図である。 本発明の農業用シートの別の例を示す図である。 本発明の実施例と比較例との農業用マルチシートの遮熱性の測定結果を示すグラフである。
本発明の農業用マルチシートは、図1に示すように、互いに積層された表面層11と中間層12と裏面層13とを有し、これらの層11、12、13は、すべて不織布にて構成されている。本発明の効果を阻害しない範囲で他の不織布層を有することは差し支えない。ただし、フィルムにて構成された層は有しない。
表面層11と裏面層13とはスパンボンド不織布にて構成され、中間層12はメルトブローン不織布にて構成されている。スパンボンド不織布は、溶融させた熱可塑性樹脂をノズルから溶出させて紡糸させることで長繊維を形成し、この長繊維にてウェブを構成し、このウェブの構成繊維どうしを互いに熱接着させることで不織布化したものである。メルトブローン不織布は、溶融させた熱可塑性樹脂を高温高速の気流の作用によってダイから噴出させることによってミクロンオーダの極細繊維を形成するとともに、これら繊維どうしを自己接着させることでウェブを構成することにより得られるものである。
いずれの不織布においても、熱可塑性樹脂としては、紡糸可能な任意の樹脂を用いることができる。たとえばポリオレフィン系樹脂などを好適に用いることができ、詳細には、ポリエチレン、ポリプロピレン、複数種のポリオレフィン系樹脂を共重合した共重合ポリオレフィンなどを用いることができる。
スパンボンド不織布における構成繊維同士の熱接着の態様として、特に熱エンボス加工により熱接着されていることが好ましい。熱エンボス加工により熱接着されて得られた不織布は、その凹形状の熱接着部は熱と圧力が付与されて形成されているため、強度などの機械的特性や形態安定性が向上されたものとなっている。これに対し、熱接着されていない部分は、熱や圧力の影響をほとんど受けていないため、柔軟性に富むものとなっている。その結果、本発明の農業用マルチシートは、使用時における機械的特性および形態安定性を維持しつつ、地面に対して追随しやすいものとなるために、地面と当該シートとの間に隙間が生じにくく、したがって容易に敷設作業を行うことができるという利点がある。
スパンボンド不織布の繊維の断面形状は、特に限定されるものではなく、一般的な丸型のみならず、偏平型、トロリーバル型、ヘキサローバル型、W型、H型等の異形断面であってもよい。また四角形や三角形などの多角形状であってもよいし、中空形状であってもよい。
表面層11と中間層12と裏面層13とは、熱接着によって積層一体化されていることが好適である。あるいは、接着剤などによって一体化された構成であっても差し支えない。
表面層11と裏面層13とのスパンボンド不織布は、本発明の農業用マルチシートに所要の機械的強度を付与するためのものである。農業用マルチシートに求められる強力は1kgf/5cm幅以上であり、また農業用マルチシートは地形に追従した状態で敷設されることが必要であるため、求められる伸度は20%以上である。このような機械的特性を示すためには、たとえばポリオレフィン系樹脂にて形成される不織布の場合は、構成繊維の単糸繊度が1〜10デシテックスの範囲であることが好適である。2〜6デシテックスであることがより好ましい。単糸繊度が1デシテックス未満であると紡糸工程において紡出糸条が延伸張力に耐えきれない場合があり、それにより糸切れが発生して操業性が悪化する場合がある。一方、単糸繊度が10デシテックスを超えると、紡糸工程における紡出糸条の冷却性に劣る場合がある。その結果、糸条が熱により密着した状態で開繊装置から出てくるようになるため、得られる不織布の品位が劣る場合がある。そして不織布の目付は、表面層11の不織布と裏面層13の不織布との合計で10〜120g/mの範囲であることが好適である。このような特性を有するスパンボンド不織布であると、本発明の農業用マルチシートに求められる通気性や吸水性なども発揮することができる。
表面層11のスパンボンド不織布は、少なくともその表面が、すなわち、少なくとも、中間層12に接している側とは反対側の面が、白色であることが必要である。そのためには、スパンポンド不織布の構成繊維が白色顔料を練り込んだものであったり、不織布の表面に白色の印刷が施されたりしたものであったりすることが好適である。白色を呈するための顔料としては、汎用性の観点から酸化チタンを好ましく用いることができる。酸化チタンとしては、一酸化チタン、二酸化チタン、三酸化チタンなどを挙げることができる。なかでも、太陽光を十分に反射して地温の過度な上昇を抑制する観点から、二酸化チタンがより好ましい。二酸化チタンとしては、板チタン石型の二酸化チタン、鋭錘石型の二酸化チタン、ルチル型の二酸化チタンなどを挙げることができる。なかでも、耐候性に優れる観点からルチル型の二酸化チタンが好ましい。印刷の場合は、必要に応じて、一回塗り、二回塗り等の手法を用いることができる。
本発明の農業用マルチシートに求められる太陽光の反射性を発揮させるためには、表面層11における酸化チタンの含有量は3〜30g/mの範囲が好ましい。3g/m未満では所要の太陽光の反射特性を得ることができない。反対に30g/mを超過するとシートから脱落する恐れがあり、脱落すると農作物に混入する問題が生じる。酸化チタンの粒径は、0.1〜5μmの範囲が好ましい。0.1μm未満の場合は、一般に市場で入手する際にコスト高であり、反対に5μmを超えるとシートから脱落しやすい。
裏面層13のスパンボンド不織布は、黒色であることが必要である。黒色とするためには、不織布の構成繊維がカーボンブラックなどの黒色顔料を練り込んだものであることが好適である。カーボンブラックを用いる場合において、太陽光を遮蔽して雑草の生長を効果的に抑制するためには、上述の範囲の単糸繊度および目付の不織布において、カーボンブラックの含有量が0.1〜2g/mの範囲であることが好適である。カーボンブラックの粒径が小さい方が太陽光の遮蔽性が良好になるので、その粒径は1μm以下であることが好ましい。黒色含量を含有させる際には、熱可塑性樹脂に直接添加してもよいし、熱可塑性樹脂に対し黒色顔料を高濃度で添加することであらかじめマスターバッチを作製しておき、これを熱可塑性樹脂に添加してもよい。生産性および色調安定性に優れる観点から、後者の方法が好ましい。
中間層12のメルトブローン不織布は、地温の過度な上昇を抑制し、かつシート表面に結露等で発生した水分を地面側に通しにくくするために用いられる。また、土壌中の過剰な水分を外側に発散するという役割も担う。このような性能を発揮するためには、たとえばポリオレフィン系樹脂にて形成される不織布の場合は、構成繊維の単糸繊度が0.01〜1デシテックスの範囲であることが好適である。そして不織布の目付は3〜100g/mの範囲であることが好適である。
このような中間層12においては、図2に示すように、極細繊維21が緻密に集合して不織布が形成される。これにより、前述のように、結露などによって表面層11で発生した水分がこの中間層12を通過することを抑制したうえで、所要の通気性を確保することができる。これらの性能を満足するためには、中間層12を有する本発明の農業用マルチシートにおける後述の耐水高さが50mm以上であることが好ましい。かつ、本発明の農業用マルチシートの通気度は、5cc/cm/s以上であることが好ましい。なお、通気度の上限は、100cc/cm/sとする。
これに対し表面層11および裏面層13においては、図2に示すように、中間層12よりも太径の繊維22が中間層12よりも「まばら」に集合した状態で不織布が形成される。
裏面層13の不織布の構成繊維のみならず、中間層12の不織布の構成繊維も、黒色顔料すなわちカーボンブラックの含有などによって黒色を呈していることで、太陽光の遮蔽性の観点からより有利である。このとき、前述したカーボンブラックの含有量は、農業用マルチシートの全体において、すなわち裏面層13と中間層12との両者における合計について、前述の0.1〜2g/mの範囲であることが好適である。
各層11、12、13を構成する不織布には、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、スリップ剤、熱安定剤、難燃剤、核剤、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、肥料などの添加剤が添加されていてもよい。これらの添加剤の添加方法は、特に限定されるものではない。
本発明の農業用シートの敷設例を図3に示す。図3において、31は畝であり、作物32が栽培されている。作物32は、畝31の中央部において、畝31の長手方向に間隔をおいて複数が栽培されている。そして、この図3の敷設例では、2枚の所定幅の長尺の農業用シート33a、33bを用い、それぞれの農業用シート33a、33bが畝31の右半分と左半分とを覆うとともに、作物32が植え付けられた畝31の中央部34が露出するように、シート33a、33bの側縁同士の間を開いた状態で、これらの農業用シート33a、33bが敷設されている。このような敷設例は、たとえば作物32が苺などの場合において好適に使用することができ、この作物32がある程度生長してから敷設することができる。
図4は本発明の農業用シートの別の例を示す。この例では、農業用シート33の幅方向及び長さ方向にそれぞれ多数のスリット37が形成されている。このようなシート33は、たとえば種まきの直後の発芽前の段階で敷設することができる。作物は、スリット37を通って生長する。この場合には、シート37における作物が通る部分は、図示のようなスリット37つまり切れ目であること、すなわち実質的な開口面積を有しない構成であることが好適である。これにより、土壌中の病原菌などが農作物に付着することを効果的に防止することができる。また、作物の種類に応じて、スリットではなく、多数の孔を設けてもよい。その孔の大きさ・形・配置場所は、作物の種類や植えつけ時の状態等に応じて、適宜設計すればよい。
以下の実施例、比較例における各種の評価は、下記の手法によって行った。
(1)繊度[デシテックス(dtex)]
不織布を製造する過程において、不織ウェブより20本の繊維を採取し、その繊維径を光学顕微鏡で測定した。その測定値を密度補正した値の平均値を繊度とした。
(2)シートの目付[g/m
標準状態の試料から試料長10cm、試料幅5cmの試料片を10点採取した。各試料片の質量[g]を評量し、得られた値の平均値を単位面積あたりに換算して、目付とした。
(3)シートの厚み[μm]
厚さ測定器を用い、荷重10kPa時の厚みを10箇所測定し、その平均値を厚みとした。
(4)シートの引裂強力[kgf]
JIS L 1913 ペンジュラム法に基づき測定した。
(5)シートの強伸度[kgf/5cm幅][%]
標準状態の試料から試料長20cm、試料幅5cmの試料片を3点採取した。各試料片を掴み間隔100mmでつかみ、引張速度200mm/分で引張り、破断したときの伸度(%)を求めた。得られた値の平均値を不織布の強伸度とした。また、測定の際に得られた引張伸長曲線から、5%伸長時応力、10%伸長時応力の平均値を求めた。
(6)シートの通気度[cc/cm/s]
JIS L 1913 フラジール法に基づき測定した。
(7)シートの遮光率[%]
光電池照度計(東京光学機械社製、型番:SPI5)を用い、試料の表面層(白色層)を光源側として、照度1万ルクス、光源から試料までの距離300mmの条件で測定した。
(8)シートの耐水高さ[mm]
耐水圧試験機(大栄科学精器製作所社製、型番:WP−5k)を用い、水柱高さの上昇速度を100mm/分として、漏水3箇所目までを測定した。
(9)シートの反射率[%]
屋外の平らに舗装された地面に試料を緩みの無いように広げ、照度計(東京光電社製、型番:ANA−F10)を試料から200mmの高さに設置し、6月下旬の午後1時の太陽光により反射率を測定した。3点の試料の測定値の平均値をシートの反射率とした。
(10)シートの遮熱性[℃]
縦49cm、横37cm、高さ14cm、厚さ1.5cmの直方体状の箱形の発泡スチロール製の容器の内底部に温度計を設置した。縦50cm、横40cm、の試料の表面層を上側として、試料の容器の上端の開口部を覆い、レフランプにて表面層から20cmの高さより加熱した。測定時間を45分間として、1分ごとに測定値を取得した。
(実施例1)
<黒色スパンボンド不織ウェブ(裏面層)の作製>
原料ポリマーであるポリプロピレン(融点:169℃、)に対して、粒径約1μmのカーボンブラックを含有したマスターバッチを添加し、カーボンブラックの含有量が1.3質量%であるポリプロピレンを得た。次いで、エクストルーダ型溶融押出機を用いて、このポリプロピレンを溶融し、繊維断面が円形となる紡糸口金より230℃の溶融温度でスパンボンド法により溶融紡出し、単糸繊度が3dtexになるように延伸しながら引き取り、延伸後の繊維を金網上に捕集して、目付が20g/mの不織ウェブを得た。
<黒色メルトブローン不織ウェブ(中間層)の作製>
原料ポリマーであるポリプロピレン(融点:164℃、)に対して、粒径約1μmのカーボンブラックを含有したマスターバッチを添加し、カーボンブラックの含有量が1.3質量%であるポリプロピレンを得た。次いで、エクストルーダ型溶融押出機を用いて、このポリプロピレンを溶融し、繊維断面が円形となる紡糸口金より245℃の溶融温度でメルトブローン法により溶融紡出し、単糸繊度が0.3dtexになるように細化した。そして細化した繊維を上述のスパンボンド法により作製した不織ウェブの上に重ねて捕集することで、目付が10g/mの不織ウェブを得た。
<表面層の不織ウェブの作製>
上記裏面層の不織ウェブの作製手法に対して、カーボンブラックを添加しない点を相違させた。そして、それ以外は同じ手法によって、上述の二層の不織ウェブ上に繊維を捕集して、目付が20g/mの不織ウェブを得た。つまり、合計で目付が50g/mの三層構造の不織ウェブを得た。
<不織布及び農業用マルチシートの作製>
エンボスロールと平滑ロールとを備えたエンボス装置を用い、両ロールの表面温度を135℃に設定し、部分熱圧着率を22%として、上記のようにして得られた積層構造の不織ウェブに部分熱圧着処理を施すことで、不織布を得た。次に、得られた不織布の表面層に印刷処理を施した。すなわち、白色顔料として酸化チタンを55質量%含有したインキを用いて表面層の全面に印刷を施し、目付55g/mの不織布にて構成された農業用マルチシートを得た。酸化チタンの塗布量は5g/m、裏面層と中間層とにおけるカーボンブラックの含有量は、両層の合計で0.39g/mであった。
(実施例2)
実施例1に比べて、表面層への印刷を2回施す点を相違させた。そして、それ以外は実施例1と同様にして、目付60g/mの不織布にて構成された農業用マルチシートを得た。酸化チタンの塗布量は10g/mであった。
実施例1、2の農業用マルチシートの物性の測定結果を表1に示す。
Figure 0006632296
(比較例1)
市販の白黒マルチシート(ポリエチレン製フィルム 厚み20μm 片面が白色で他面が黒色に着色されたもの)を比較例1とした。
実施例1、2、比較例1の農業用マルチシートの性能の測定結果を表2に示す。
Figure 0006632296
実施例1、2、比較例1の農業用マルチシートの遮熱性の測定結果を図5に示す。
表1に示すように、一般的な物性については、実施例1、2の不織布において大差はなかった。
農業用マルチシートの性能に関し、表2に示すように、通気度については、酸化チタンを2回塗りした実施例2のシートが若干低かったほかは、ほぼ同程度であった。遮光率については、両実施例および比較例1のシートとも、遮光率が100%に近かった。耐水圧については、両実施例および比較例1のシートについて、大差はなかった。反射率については、実施例2のシートが最も高く、続いて、実施例1となった。実施例2のシートの反射率は、比較例1のシートの反射率と同程度であった。
図5に示すように、遮熱性については、両実施例と比較例1との間で顕著な差が見られた。すなわち、比較例1のマルチシートに比べ、両実施例のシートは測定温度が数℃低く、良好な遮熱性を示した。実施例2のシートの遮熱性が特に良好であった。

Claims (6)

  1. 表面層と中間層と裏面層とを有し、表面層は白色のスパンポンド不織布にて構成され、中間層は黒色のメルトブローン不織布にて構成され、裏面層は黒色のスパンボンド不織布にて構成されていることを特徴とする農業用マルチシート。
  2. 表面層が酸化チタンを3〜30g/m含有したものであることを特徴とする請求項1記載の農業用マルチシート。
  3. 黒色の不織布の全体でカーボンブラックを0.1〜2g/m含有したものであることを特徴とする請求項1または2記載の農業用マルチシート。
  4. 通気度が5cc/cm/s以上であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の農業用マルチシート。
  5. 耐水高さが50mm以上であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載の農業用マルチシート。
  6. 請求項1から5までのいずれか1項に記載の農業用マルチシートを使用する方法であって、裏面層を地面側に配することを特徴とする農業用マルチシートの使用方法。
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