JP4485715B2 - 空気調和機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、室内機と室外機とから構成される空気調和機に係り、特に、室内機における吸込み口を開閉自在としたパネルの駆動構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
室内機と室外機とから構成される空気調和機が多用されている。室内機においては、本体に吸込み口および吹出し口を備え、本体内部には熱交換器および送風機などが収容される。
【0003】
上記吹出し口にはルーバーが設けられていて、冷房運転と暖房運転との切換えに応じて最適な方向へ吹出せるよう切換えが可能となっている。たとえば、冷房運転時にはほとんど水平方向へ向けて冷風が直接当たらないようにし、暖房運転時にはいわゆる頭寒足熱をなすよう足元に温風を吹出す。
【0004】
これに対して吸込み口の場合は、室内から吸込み口を介して本体内が見えないよう、内部を遮蔽するためのグリルを備えている。実質的に、吸込み口は完全開放状態にあり、特に運転停止時において塵埃の侵入が容易になっている。
【0005】
長期の使用に亘ると、本体内に侵入した塵埃が熱交換器に付着堆積して熱交換効率の低下を招いたり、送風機ファンに付着して送風効率の低下したり、送風路やドレンパンに付着してカビの発生があるなど、種々の弊害がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、近時は、吸込み口を開閉する前面パネルを備えた室内機が提供される傾向にある。上記前面パネルは、以下のような機構によって開閉駆動されるようになっている。
【0007】
たとえば、吸込み口に前面パネルを対向させ、前面パネルの裏面側で左右両側部および上下部に、平行にステーを突設する。いずれかのステーの端部にラックとピニオンの組合わせによる駆動機構が設けられ、ステーを進退駆動することにより前面パネルが吸込み口を開閉する。
【0008】
あるいは、吸込み口に前面パネルを対向させ、前面パネルの裏面側の左右両側部および上下部と本体との間を平行リンク機構で連結してなる。この平行リンク機構を駆動することにより、前面パネルが吸込み口を開閉する。
【0009】
この他、前面パネルを開閉駆動する機構として種々のものが考えられるが、いずれにしても機構的に大きく、配置スペースも大きくなって、設計的に窮屈なものとなっている。
【0010】
すなわち、近時の傾向として熱交換器の前面側に電気集塵機を備えており、電気集塵機と閉成状態の前面パネルとの間のスペースが僅かでしかなく、上述の開閉駆動機構を配置するには無理がある。
【0011】
また、本体の高さ寸法を抑制するため、熱交換器の上部は本体の上部に近接して収容され、ここに開閉駆動機構を配置する余裕がない。熱交換器の下部にはドレンパンが配置され、その下部には吹出し口を備えているので、ここには開閉駆動機構を配置できない。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、パネルに、小スペースですむ開閉駆動機構を備えて吸込み口を開閉自在とし、本体の小形化の障害とならずにすむとともに、不使用時における本体内部への塵埃の侵入を阻止して清浄化を保持する空気調和機を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を満足するため本発明は、熱交換器および送風機を収容する空気調和機本体と、この空気調和機本体に設けられる熱交換空気の吸込み口と、この吸込み口近傍に設けられる開閉駆動機構と、この開閉駆動機構に支持され、上記吸込み口を開閉自在なパネルとを具備した空気調和機において、
上記開閉駆動機構は、パネルの幅方向に沿って所定間隔を存して複数組備えられリンク部材と、これらリンク部材相互を連結する駆動軸と、この駆動軸を回動駆動する駆動源とから構成され、
上記リンク部材は、互いの一端部が近接しかつ回動自在に空気調和機本体に支持され、互いの他端部が互いに離間して上記パネルに連結され、他端部相互を近接・離間するよう回動することにより、吸込み口の幅方向とは直交する方向の一側部が、他側部より大きく開放するようパネルを吸込み口に対して開閉駆動し、
上記リンク部材は、長さの異なる2本のリンクを備えていて、一方のリンクが他方のリンクよりも長く形成され、上記リンクのうちのいずれか一方のリンクは、一端部が駆動軸に連結される駆動側リンクであり、他方のリンクは駆動側リンクの回動方向とは逆方向に従動する従動側リンクであり、
上記吸込み口が設けられる空気調和機本体部位は、一部がリンク部材を取付ける平坦部で、残り部分が手前側に突出する湾曲成状をなし、吸込み口は空気調和機本体の幅方向に亘って開口され、上記パネルは、空気調和機本体の平坦部と間隙を存して手前側に突出する湾曲成状で空気調和機本体の幅方向から両側部に亘って折曲形成される。
【0019】
さらに、上記駆動側リンクと従動側リンクは、それぞれギヤ部を備えていて、これらギヤ部が互いに噛合して駆動力が伝達される。
【0020】
さらに、上記駆動側リンクと従動側リンクは、弾性部材によってパネルの閉成方向に弾性力が付勢される。
【0021】
さらに、上記駆動側リンクと従動側リンクの一端部は互いに近接して、両側からリンクカバーで挟み込まれ、上記駆動側リンクと従動側リンクに設けられるギヤ部は、リンクカバー間に設けられる。
【0022】
このような課題を解決する手段を採用することにより、熱交換器の前面と上部および下部にスペース的に余裕のない状態であっても、パネルに小スペースですむ開閉駆動機構を備えて吸込み口を開閉自在とし、不使用時における本体内への塵埃の侵入を阻止して清浄化を保持した。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面にもとづいて説明する。
図1は、空気調和機を構成する室内機の断面を模式的に示している。
【0024】
図中1は、ユニット本体(空気調和機本体)であり、これは側面視で湾曲成される前面部を備えている。上面部と下面部および左右両側部は、ほぼ平板状をなしている。
【0025】
このユニット本体1の上面部に上部吸込み口2が設けられ、前面部に前部吸込み口3が設けられている。上記前部吸込み口3を覆うように、ユニット本体1の前面を構成する前面パネル4が取付けられる。
【0026】
さらに、前面パネル4は、上下端部を除いて凹陥形成され、凹陥部分は周部を除いて開口している。前面パネル4の凹陥部分には、後述する開閉駆動機構5に支持される可動パネル6が取付けられ、開口部である前部吸込み口3を開閉自在となす。
【0027】
上記可動パネル6が前面パネル4の凹陥部分に嵌め込まれた状態で、パネル相互は所定の曲率で手前側に突出するよう湾曲成される。しかも、パネル6,4相互の合わせ面に段差がない同一曲面であり、かつそれぞれが極めて平滑な面に形成されている。
【0028】
前部吸込み口3の下部に沿って吹出し口7が設けられていて、この吹出し口7は、それぞれ別個に回動制御される2枚の吹出しルーバー8A,8Bによって開閉自在である。
【0029】
ユニット本体1内には、前側熱交換器部9Aと後側熱交換器部9Bとで略逆V字状に形成される熱交換器9が配置される。上記前側熱交換器部9Aは、前面パネル4と間隙を存してほぼ平行な湾曲形状に形成され、かつ後側熱交換器部9Bは、直状であるが斜めに傾斜して上部吸込み口2と対向する。
【0030】
上記熱交換器9の前側熱交換器部9Aの前面側には、電気集塵機10が取付けられている。この電気集塵機10は、荷電側電極と集塵側電極とから構成されていて、荷電側電極は空気中の塵埃に電荷を与え、そのあと集塵側電極において電荷を与えられた塵埃を引きつけ、塵埃を除去するようになっている。
【0031】
上記熱交換器9の前後側熱交換器部9A,9Bの相互間で、かつ上記吹出し口7との間に送風機11が配置される。この送風機11は、熱交換器9の幅方向寸法と略同一の軸方向寸法を備え、熱交換器9と対向して配置される横流ファンと、この横流ファンを回転駆動するファンモータとから構成される。
【0032】
上記前側熱交換器部9Aの下端部は前ドレンパン12A上に載り、後側熱交換器部9Bの下端部は後ドレンパン12B上に載って、それぞれの熱交換器部9A,9Bから滴下するドレン水を受け、図示しない排水ホースを介して外部に排水できるようになっている。
【0033】
また、前後ドレンパン12A,12Bの一部側壁外面は送風機11に近接した位置に設けられていて、これらで送風機11のファンに対するノーズを構成している。
【0034】
ノーズを構成する前後ドレンパン12A,12Bの側壁部分と、吹出し口7の各辺部との間は、隔壁部材13によって連結される。この隔壁部材13で囲まれる空間が、ノーズと吹出し口7とを連通する吹出し通風路14となる。
【0035】
一方、前部吸込み口3と上部吸込み口2とに対向し、これら吸込み口3,2と前側熱交換器部9Aと後側熱交換器部9Bとの間にフィルタ15が取付けられる。このフィルタ15は、吹出し口7上端の開放した前面パネル4の下端から挿着され、必要に応じて同部位から取外し自在である。
【0036】
つぎに、上記可動パネル6と前面パネル4および開閉駆動機構5について詳述する。
可動パネル6と対向する前面パネル4の一部は、垂直な平坦部1Aに形成されている。
【0037】
上記開閉駆動機構5は、複数組のリンク部材20と、これらリンク部材20を連結する駆動軸21と、この駆動軸21を駆動する、ここでは図示しない駆動源とから構成される。
【0038】
複数組のリンク部材20は全て、前面パネル4の平坦部1Aに取付けられる。駆動軸21はリンク部材20とともに、平坦部1Aと前部吸込み口3を閉成する状態の可動パネル6裏面との、極く僅かなスペースに収容されている。
【0039】
上記駆動源は、駆動軸21の一側部にあって、吹出し口7を開閉する吹出しルーバー8A,8Bの駆動源のごく近傍位置に設けられ、電気配線を共通化して、配線作業の簡素化を図っている。
【0040】
図2と、図3は、前面パネル4から可動パネル6を取外したユニット本体1と、前面パネル4に取付けられる開閉駆動機構5の一部を斜視図として示している。
そして、図2は、ここでは図示しない可動パネル6が前部吸込み口3を閉成したときの開閉駆動機構5の状態を示し、図3は同様に図示しない可動パネル6が吸込み口3を開放したときの開閉駆動機構5の状態を示している。
【0041】
上記左右両側の平坦部1Aと、ほぼ中央の平坦部1Aに、開閉駆動機構5を構成するリンク部材20が取付けられている。リンク部材20は複数組備えられていて、各リンク部材20は水平方向に設けられる1本の上記駆動軸21によって連結される。
【0042】
この駆動軸21の左側端部はリンク部材20から外方へ突出していて、この端部に詳細は示していないが、駆動源である駆動モータと、この駆動モータの駆動力を上記駆動軸に伝達する機構からなる駆動源22が取付けられる。
【0043】
このような構成であるから、上記駆動源22に通電して駆動力が駆動軸21に伝達されると、複数組のリンク部材20が一斉に同一の動作をなすように設定される。
【0044】
図4は、複数組全てのリンク部材20を拡大して示す斜視図であり、特に、図3の状態を拡大している。
各リンク部材20は全て同一の形状構造をなしており、これらリンク部材20が取付けられる前面パネル4の上記平坦部1A側もまた、同一の構造をなしている。
【0045】
すなわち、上記平坦部1Aには凹部30が形成されていて、先に図2に示したように可動パネル6が前部吸込み口3を閉成したときに、凹部30にリンク部材20の一部が挿入するように設計されていて、リンク部材20の平坦部1Aからの突出量が僅かですむ。
【0046】
各リンク部材20は、上記駆動軸21に一端部が嵌着される上部側リンク23Aと、一端部が上部側リンク23Aと後述するように機械的に連結される下部側リンク23Bとを備えている。上部側リンク23Aの他端部は上方に延出され、下部側リンク23Bの他端部は下方に延出される。
【0047】
各リンク部材20は、駆動軸21に巻装される弾性部材24を備えている。この弾性部材24は、いわゆるねじりばねであって、リンク部材20の左右両側に位置している。
【0048】
一方のねじりばね24は、一端が平坦部1Aに係止され、他端が上部側リンク23Aに係止される。他方のねじりばね24は、一端が平坦部1Aに係止され、他端が下部側リンク23Bに係止される。
【0049】
これらねじりばね24は、上部側リンク23Aと下部側リンク23Bの他端部を平坦部1Aに当接する方向に弾性的に押圧付勢している。したがって、図4では、ねじりばね24の弾性力に抗して上下部側リンク23A,23Bが突出している状態を示している。
【0050】
図5は、開閉駆動機構5を説明するための可動パネル6の裏面側の斜視図であり、図6(A)は可動パネル6の裏面側一部を拡大した斜視図、図6(B)はリンク部材20の正面図である。
【0051】
上部側リンク23Aの一端部には、丸孔の一部を平坦にした断面ほぼD字状をなす孔部aが設けられていて、ここに断面がD字状をなす上記駆動軸21が挿入され嵌着される。
【0052】
上下部側リンク23A,23Bの一端部は互いに近接して、両側からリンクカバー20aで挟み込まれる。リンク23A,23Bの端部に、それぞれピン部25a,25bが設けられていて、これらがリンクカバー20aに回転自在に支持される。
【0053】
上記リンクカバー20aで挟み込まれる各リンク23A,23Bの一端部にはギヤ部26a,26bが設けられている。これらギヤ部26a,26bはリンク23A,23Bの幅方向よりも僅かに大きい範囲に亘って形成されていて、ピン部25a,25bの全周に亘って設けられるものではない。
【0054】
上下部側リンク23A,23Bのギヤ部26a,26bは互いに噛合状態にあるので、駆動軸21に連結される上部側リンク23Aを回動することにより、各ギヤ部26a,26bを介して下部側リンク23Bが従動する。
【0055】
したがって、上部側リンク23Aが駆動側リンクであり、下部側リンク23Bが従動側リンクとなる。なお、上下部側リンク23A,23Bの互いの回動角度は、平坦部1Aに対してほぼ同一をなすよう設定されている。
【0056】
互いのリンク23A,23Bの先端部は厚さ方向に二股状に形成されていて、これらの内側にピン部27a,27bが一体に突設される。二股状の端部間に上記可動パネル6の裏面側に設けられる係合部材28A,28Bが挿入され、かつ上記ピン部27a,27bが係合部材28A,28Bに設けられる孔部29a,29bに係合している。
【0057】
特に、図6(B)に示すように、上部側リンク23Aにおける孔部aと先端ピン部27aの中心間の長さLaが、下部側リンク23Bにおけるピン部25bと27bの中心間の長さLbよりも長く(La>Lb)形成される。すなわち、上部側リンク23Aの全長Laは、下部側リンク23Bの全長Lbよりも長い。
【0058】
上部側係合部材28Aに設けられる孔部29aは丸孔であり、上部側リンク23Aのピン部27aは孔部29aに回動自在に支持される。一方、下部側係合部材28Bに設けられる孔部29bは長孔からなり、下部側リンク23Bのピン部27bは孔部29bに回動自在で、かつ移動自在に支持される。
【0059】
このようにして構成される空気調和機の室内機であって、再び図1に示すように、停止時は可動パネル6が前部吸込み口3を閉成していて、この吸込み口からユニット本体1内部に塵埃の侵入はない。吹出し口7も2枚の吹出しルーバー8A,8Bによって閉成されている。
【0060】
リモコンの運転スイッチをオンに切換えると、後述するように開閉駆動機構5が作動して可動パネル6が手前側に移動し、前部吸込み口3が開放される。
図7は、可動パネル6が前部吸込み口3を開放した状態の側面図、図8は同じ状態の室内機の側面図、図9は同じ状態の室内機の斜視図である。
【0061】
吹出し口7に備えられる吹出しルーバー8A,8Bは、図の状態では吹出し口を閉成しているが、冷房運転と暖房運転の切換え設定に応じて所定量回動する。送風機11が送風作用をなす一方で、室外機の圧縮機が駆動され冷凍サイクル運転が開始される。
【0062】
室内空気は、上部吸込み口2と前部吸込み口3からユニット本体1内に導かれ、エアーフィルタ15を通過する。室内空気に含まれる塵埃はエアーフィルタ15に捕捉され、塵埃が除去された状態で熱交換器9を通過して熱交換作用が行われる。
【0063】
この熱交換空気は、吹出し通風路14に沿って導かれ、吹出し口7から吹出しルーバー8A,8Bに案内されて室内へ吹出され、効率のよい空気調和運転がなされる。
【0064】
上記電気集塵機10が作用して、エアーフィルタ15で捕捉されなかった塵埃を完全に捕捉する。したがって、清浄化した空気が熱交換器9を介して吹出し口7から室内に吹出される。
【0065】
空調運転を終了させるためリモコンの運転スイッチをオフにすると、圧縮機と送風機11および電気集塵機10の運転が停止し、かつ開閉駆動機構5は可動パネル6を後退移動させ前部吸込み口3は閉成される。
【0066】
つぎに、上記開閉駆動機構5の作用について説明する。
可動パネル6が前部吸込み口3を閉成しているときの開閉駆動機構5では、リンク部材20を構成する上部側リンク23Aと下部側リンク23Bが垂直状になって、あたかも1本の直状リンクのように見える。これらリンク23A,23Bのほぼ半分は本体平坦部1Aに形成される凹部30に挿入され、残りの半分が平坦部1Aから突出する。
【0067】
このとき、下部側リンク23Bの下端のピン部27bは、下部側係合部材28Bの長孔からなる孔部29bの最下部に係合している。各係合部材28A,28Bは最も本体1側に引き寄せられていて、これら係合部材28A,28Bを備えた可動パネル6は前部吸込み口3を完全に閉成する。
【0068】
リモコンの運転スイッチをオンすることにより空調運転が開始され、同時に、開閉駆動機構5の駆動源22は駆動軸21を図1、図2における反時計回り方向に回動駆動する。
【0069】
上部側のねじりばね24の弾性力に抗して上部側リンク23Aの上端部が前方に突出するよう回動し、ギヤ部26a,26bを介して下部側リンク23Bに回動力が伝達される。
【0070】
下部側リンク23Bは、下部側のねじりばね24の弾性力に抗して、その下端部が前方に突出するよう回動する。上述したように、このときの上下部側リンク23A,23Bの回動角は、互いに同一である。
【0071】
駆動軸21を所定量回動したところで、駆動源22が停止する。上下部側リンク23A,23Bは、それぞれの上下端部が互いに接近する方向に回動して、略ハの字状になる。
【0072】
各リンク23A,23Bと係合部材28A,28Bを介して可動パネル6が手前側に突出移動し、前部吸込み口3が開放される。この状態で、下部側リンク23B先端のピン部27bは、下部側係合部材28Bの長孔からなる孔部29bの上端に係合する。
【0073】
上部側リンク23Aの全長Laが下部側リンク23Bの全長Lbよりも長く設定され、上部側係合部材28Aに丸孔からなる孔部29aを備え、下部側係合部材28Bに長孔からなる孔部29bを備えた構成から、可動パネル6は前部吸込み口3の上部側を下部側よりも大きく開放するよう移動する。
【0074】
具体的には、図7および図8に記載のように、可動パネル6の上端縁と前面パネル4との間隔Saは、可動パネル6の下端縁と前面パネル4との間隔Sbよりも大(Sa>Sb)となる。
【0075】
通常、室内機は居室の壁面で、天井に近い高所に取付けられている。したがって、居住者は、ほとんど下から室内機を見上げる。
このような条件下で、空調運転時に可動パネル6が(Sa>Sb)の状態で前部吸込み口3を開放しているので、居住者からは可動パネル6がほとんど移動していないように見え、違和感がなく見栄えがよい。
【0076】
特に、図8および図9に示すように、可動パネル6の両側部6aはユニット本体1の両側部に沿って折曲形成されていて、前部吸込み口3を開放しているときでも、可動パネル6の両側部6aはユニット本体1の側部に沿って移動するのみである。
【0077】
すなわち、前部吸込み口3の両側部は可動パネル6によって閉成されるが、上述の(Sa>Sb)の関係から充分な吸込み空間部が確保されて、熱交換すべき空気の吸込み量が充分にある。そして、上部側からの吸込みが主流になるので、室内における対流効果を高められる。
【0078】
再び空調運転を停止したときの開閉駆動機構5において、下部側リンク23Bのピン部27bが係合部材28Bの孔部(長孔)29bを移動してから、この係合部材28Bを引き上げる。
【0079】
そして、上下部側リンク23A,23Bの全長の相違から、上下係合部材28A,28Bと可動パネル6上下部に対する移動量が前部吸込み口3の開放量に比例し、ついには前部吸込み口3を閉成する。
【0080】
このように、前部吸込み口3を可動パネル6によって開閉でき、運転停止時において前部吸込み口3を完全閉成して、塵埃の本体1内部侵入を阻止し、種々の不具合発生がない。
【0081】
また、開閉駆動機構5を構成するリンク部材20と駆動軸21は、前面パネル4の平坦部1Aと可動パネル6裏面側との僅かな空間部に配置でき、簡素な構成で、本体の小形化を促進する。
【0082】
上記前面パネル4と可動パネル6を湾曲成し、可動パネル6を前面から両側部に亘って折曲形成したので、前部吸込み口3の上下部の開放量を異ならせる機構が簡素化する。
【0083】
リンク部材20として、2本のリンク23A,23Bを備え、1本のリンク23Aを駆動側とし、他方のリンク23Bを従動側としたので、機構の簡素化を得られ、必要最小限の部品で構成できる。なお、駆動側リンクと従動側リンクを逆のリンクに設定しても支障がない。
【0084】
各リンク23A,23Bのそれぞれにギヤ部26a.26bを設けて、互いに噛合する構成としたので、駆動力の伝達が円滑であり、無駄がない。
前面パネル4とリンク部材20との間に弾性部材(ねじりばね)24を設けて、リンク部材20に対して可動パネル6の吸込み口3閉成方向に弾性力を付勢するようにした。
【0085】
この弾性力付勢方向は、可動パネル6が重力により前部吸込み口3を開放するよう移動するのと反対側である。すなわち、弾性部材24の存在により、可動パネル6の開放動作が急激にならずにすむ。また、可動パネル6の閉成動作に必要な駆動トルクが、弾性部材がない場合と比較して小さくてすむ。
【0086】
複数組のリンク部材20を備えて1本の駆動軸21に掛合し、この駆動軸21の回動にともなって全てのリンク部材20を一斉に回動付勢するようにしたから、リンク機構としての作用に無駄がなく、しかも完全に同期した動作なので可動パネル6の移動姿勢に歪みが生じない。
【0087】
すなわち、前部吸込み口3が上下方向と比較して幅方向の長さが極めて大でありながら、可動パネル6は上下方向には勿論のこと幅方向にゆがむことなく開閉でき、高い開閉精度を得られる。
【0088】
上記リンク部材20は駆動軸21に嵌着され、駆動軸21に沿って移動するようなことがないから、たとえ長期の使用に亘って駆動軸21に錆が発生するようなことがあっても、開閉動作としては何らの支障もない。
【0089】
上記リンクカバー20aは、上下部側リンク23A,23Bの一端部に設けられるギヤ部26a,26bを両側から囲繞するので、ギヤ部への塵埃の付着を抑制し、長期に亘って円滑な動作を得られる。
【0090】
なお、上記実施の形態においては、前部吸込み口3を開閉駆動機構5に支持される可動パネル6で開閉するようにしたが、これに限定されるものではなく、上部吸込み口2を開閉自在とする可動パネルと開閉駆動機構に適用してもよい。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、パネルに、小スペースですむ開閉駆動機構を備えて吸込み口を開閉自在とし、本体の小形化の障害とならずにすむとともに、不使用時における本体内部への塵埃の侵入を阻止して清浄化を保持するなどの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す、可動パネルが吸込み口を閉成した状態での、空気調和機を構成する室内機の概略断面図。
【図2】同実施の形態を示す、ユニット本体と、この本体に取付けられる開閉駆動機構の斜視図。
【図3】同実施の形態を示す、図2とは異なる状態の斜視図。
【図4】同実施の形態を示す、開閉駆動機構の一部を拡大した斜視図。
【図5】同実施の形態を示す、可動パネルの裏面側と、この開閉駆動機構の斜視図。
【図6】同実施の形態を示す、開閉駆動機構の一部を拡大した図と、その側面図。
【図7】同実施の形態を示す、可動パネルが吸込み口を開放した状態での室内機の概略断面図。
【図8】同実施の形態を示す、可動パネルが吸込み口を開放した状態での室内機の側面図。
【図9】同実施の形態を示す、可動パネルが吸込み口を開放した状態での室内機の斜視図。
【符号の説明】
9…熱交換器、
11…送風機、
1…ユニット本体(空気調和機本体)、
3…前部吸込み口、
5…開閉駆動機構、
4…前面パネル、
6…可動パネル、
20…リンク部材、
23A…上部側リンク、
23B…下部側リンク、
21…駆動軸、
22…駆動源、
1A…平坦部、
26a,26b…ギヤ部、
24…ねじりばね(弾性部材)、
20a…リンクカバー。

Claims (4)

  1. 熱交換器および送風機を収容する空気調和機本体と、
    この空気調和機本体に設けられる熱交換空気の吸込み口と、
    この吸込み口近傍に設けられる開閉駆動機構と、
    この開閉駆動機構に支持され、上記吸込み口を開閉自在なパネルとを具備した空気調和機において、
    上記開閉駆動機構は、上記パネルの幅方向に沿って所定間隔を存して複数組備えられリンク部材と、これらリンク部材相互を連結する駆動軸と、この駆動軸を回動駆動する駆動源とから構成され、
    上記リンク部材は、互いの一端部が近接しかつ回動自在に空気調和機本体に支持され、互いの他端部が互いに離間して上記パネルに連結され、他端部相互を近接・離間するよう回動することにより、上記吸込み口の幅方向とは直交する方向の一側部が、他側部より大きく開放するよう、パネルを吸込み口に対して開閉駆動し、
    上記リンク部材は、長さの異なる2本のリンクを備えていて、一方のリンクが他方のリンクよりも長く形成され、
    上記リンクのうちのいずれか一方のリンクは、一端部が上記駆動軸に連結される駆動側リンクであり、他方のリンクは上記駆動側リンクの回動方向とは逆方向に従動する従動側リンクであり、
    上記吸込み口が設けられる空気調和機本体部位は、一部が上記リンク部材を取付ける平坦部で、残り部分が手前側に突出する湾曲成状をなし、
    上記吸込み口は、上記空気調和機本体の幅方向に亘って開口され、
    上記パネルは、空気調和機本体の平坦部と間隙を存して手前側に突出する湾曲成状で、かつ空気調和機本体の幅方向から両側部に亘って折曲形成されることを特徴とする空気調和機。
  2. 上記駆動側リンクと従動側リンクは、それぞれギヤ部を備えていて、これらギヤ部が互いに噛合して駆動力が伝達されることを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
  3. 上記駆動側リンクと従動側リンクは、弾性部材によってパネルの閉成方向に弾性力が付勢されることを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
  4. 上記駆動側リンクと従動側リンクの一端部は互いに近接して、両側からリンクカバーで挟み込まれ、上記駆動側リンクと従動側リンクに設けられるギヤ部は、リンクカバー間に設けられることを特徴とする請求項2記載の空気調和機。
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