JP4485693B2 - 導電性の熱可塑性エラストマーおよびそれから作られた製品 - Google Patents
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Description
本発明は、実質的に非導電性のマトリックス材およびフィラー部を備える導電性の熱可塑性エラストマーに関する。
【0002】
本発明はさらに、シールおよび/またはEMI遮蔽製品に関する。
【0003】
電子機器の連続的な増進は、一方では他の電子機器から生じる電磁干渉からその機器を遮蔽する必要性を、他方では、その機器自身が引き起こす外部への干渉を減少させる必要性を生じてきた。医療機器や、航空機の制御および航行機器のような、操作の不調が肉体的な傷害を引き起こし得る装置を遮蔽することは特に重要である。用語EMI(電磁干渉)遮蔽は一般に、機器の電磁遮蔽を言うのに用いられる。当該電磁干渉の周波数範囲は一般的に、100MHz〜10GHzである。
【0004】
EMI遮蔽は、導電性材料で作られたケーシングによってなされ得る。この材料の抵抗率は約1Ωcm以下であるべきである。EMI遮蔽ケーシングのために、いくつかの導電性プラスチック複合材料が開発されており、この複合材料は通常、熱可塑性プラスチックまたはプラスチック化合物を、金属粉末、金属繊維またはカーボンブラックのような一つまたはそれ以上の導電フィラーとともに含有する。ケーシング複合材料のEMI遮蔽レベルはほとんどの場合充分であるが、ケーシング部の接合部や継ぎ目は問題を生じる。もし、シールまたは接着剤がケーシングの異なる部分の間に導電性の架橋を形成しなければ、ケーシング材の優れた遮蔽能は優れた遮蔽効果を保証しない。このシールの問題を解決するために、マトリックス材として作用する実質的に非導電性のポリマーが、導電フィラーとして作用する金属または金属粒子、炭素、グラファイト、またはそれらの混合物とともに混合されている、種々の導電性の架橋された熱硬化性エラストマーが開発されてきた。ここで、用語エラストマーとは、延性と、張力が解放された後の素早い元の形状への回復とによって特徴付けられる、高分子で作られた材料を言うということに言及すべきである。シールの適用においては、容易な取り付けと適切な効果を保証するために、エラストマーの硬度は好ましくは65ショアA未満であるべきである。前記先行技術の、金属フィラーを含む導電性エラストマーの抵抗率は一般的に10−3〜10−1Ωcmの範囲であり、炭素フィラーを含む該エラストマーの抵抗率は約0.5Ωcm以上である。上述したように、先行技術の導電性エラストマーは、弾性特性を獲得し、かつ製品の加工性を可能にするために架橋が必要な、例えばシリコーン系のような架橋されたマトリックス材を基材としている。架橋は、特殊な架橋手段だけでなく多くのエネルギーと時間をも必要とし、これが製品の生産を遅くし、かつ費用がかかるようにする。
【0005】
先行技術は、また、カーボンブラックが導電性フィラーとして混合された、導電性の熱可塑性エラストマーを包含する。しかしながら、これらの材料の抵抗率は、架橋されたエラストマーを基材とする材料よりもかなり高い。本出願においては、略語TPEは、導電性の熱可塑性エラストマーの代わりに用いられることに注意すべきである。例えば刊行物US4321162は、カーボンブラックとともにエチレン−コポリマー−プロピレンポリマー化合物を含有するTPEを開示する。該材料について記載された抵抗率は104Ωcm以上であり、これはEMIへの適用にとって充分に低くない。抵抗率は、材料中のカーボンブラックの割合を増やすことによっていく分かは下げることができるが、加工性と最終用途特性が実質的に悪化する。
【0006】
刊行物US5736603は、熱可塑性エラストマーに導電繊維を含浸させた導電性複合材料を開示する。報告された体積抵抗率は106Ωcm以上であり、これはEMI遮蔽に充分ではない。繊維の長さは約10mmであり、これは、製品の種々の方向において実質的に類似した電気特性を有する規模の小さな製品は、この原料から生産され得ないことを意味する。さらに、この材料の生産方法は、いくつかの費用がかかる面を有する。
【0007】
本発明の目的は、改良された熱可塑性の導電性エラストマーと、シールおよび/またはEMI遮蔽製品を提供することにある。
【0008】
本発明の熱可塑性の導電性エラストマーは、エラストマーの分子レベル構造および/または添加剤が、該エラストマーが射出成形および/または押出成形され得るようなものであり、かつフィラーが、該導電性の熱可塑性エラストマーの抵抗率が1Ωcm以下となるような高い割合で金属を含有することを特徴とする。
【0009】
本発明の本質的な思想は、導電性の熱可塑性エラストマーの抵抗率が1Ωcm以下、好ましくは0.1Ωcm以下となるように、TPEが金属含有導電性フィラーで充填されることである。さらに、本発明の思想は、導電性TPEが、射出成形および押出成形方法を用いて使用され得ることである。一つの好ましい態様の思想は、TPEマトリックス材の粘度が、粘度曲線η=43625.7・γ0.152374−1より低い、好ましくはη=22197.62・γ0.120327−1より低いことである。この方程式は粘度曲線の一般式
η=Kγn−1
(ここで、ηは粘度[Pas]、γは材料のせん断速度[s−1]、およびK、nは材料特異的な定数である)に基づく。第2の好ましい態様の思想は、TPEが、粘度が低いためにフィラーを混合するのが特に容易なスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンコポリマー(SEBS)系のマトリックス材を含有することである。第3の好ましい態様の思想は、TPEが、これも粘度が低いためにフィラーを混合するのが容易なスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンコポリマー(SEPS)系のマトリックス材を含有することである。第4の好ましい態様の思想は、フィラーの含有量が、TPE全体積の少なくとも5体積%であることである。第5の好ましい態様の思想は、金属含有フィラーの充填率は材料の全体積の少なくとも30体積%であり、これがさらに低い抵抗率値を達成することを可能にするということである。第6の好ましい態様の思想は、TPEが、少なくとも2つの粒子形状の異なる導電性フィラーで充填され、かつ金属を含有することによって少ないフィラー含量で低いTPE抵抗率値が得られることである。
【0010】
本発明は、材料をシール用に使用できるために十分なレベルでTPEの低硬度および他の機械的特性を維持しながら、この材料が、たとえば射出成形された完成製品において優れたEMI遮蔽効果を提供するという利点を提供する。この材料の生産はいかなる特別な装置または方法をも必要とせず、たとえば二軸スクリュー押出機または練りロール機のような、材料成分が互いに好適な割合で混合される通常の混合手段だけを必要とする。材料は、射出成形、押出成形、熱成形または他の好適な方法のような、プラスチック工業において一般的に使用される装置と方法によって、多用途に使用され得る。材料の溶融粘度は、正確な形状で高品質な製品の生産を可能にするために十分に低い。
【0011】
図1は、本発明の導電性TPEのいくつかの態様における抵抗率を、種々のフィラーの含有量の関数として表した図である。より正確には、この図は曲線のパーコレーション閾(percolation threshold)の細区分を示し、この閾は、材料が絶縁材料から導電性材料に変化するフィラー含量で生じる。本出願において、用語フィラーは、一つまたはそれ以上の、金属粒子、混合金属粒子、金属被覆された有機または無機粒子、または導電ポリマーで被覆された金属粒子のような物質を含むフィラーのことを言う。含有量の単位はTPE全体の体積から計算された体積%である。これに関連して、別段の指摘がない限り、本出願において後に出てくる百分率は、TPE全体の体積から計算された体積分率であることに注意するべきである。本TPEマトリックス材はSEPS系であり、またフィラーは、銀被覆アルミニウム粒子、銀被覆ガラス球、銀被覆銅フレーク、銀被覆ガラス繊維またはニッケル被覆グラファイトのいずれかである。フィラー含量は10〜50%である。以下のようにTPEを作製し、抵抗率を測定した。
【0012】
実施例1
SEPS系マトリックス材(商品名クレイバーグ(Kraiburg)TP1AAA)を、ブラベンダー・プラスチコーダー・ミキサー内で、回転速度70min−1で160℃の温度において溶融させた。使用した回転速度における計算上の最高せん断速度は約120s−1である。マトリックス材の粘度の挙動は、次の式
η=147.7405・γ0.671878−1
によって表すことができる。
【0013】
本出願に提供される全ての粘度値は、キャピラリーレオメーターで160℃の温度で、20〜6000s−1の範囲の見掛けせん断速度において測定された見掛け粘度値であることに注意すべきである。フィラーを溶融したマトリックス材にゆっくりと添加した。全てのフィラーをマトリックス材に添加した後、ミキサーのトルク曲線を平衡化させ、その後4〜6分間混合を続けた。抵抗率と硬度を測定するために、寸法が3×6cm、厚さが2mmの試験片を、混合したTPE原液から圧縮成形によって作製した。
【0014】
図1に示す抵抗率は、試験片を2本の電極の間に設置し、その系を5000gの重りの下に設置することによって試験片から測定された。次のように、電極に接続された計器で測定することによって得られた抵抗値Rから、材料特異的な抵抗率を計算した
σ=(A・R)/z
(ここで、σは抵抗率[Ωcm]、Aは電極と試験片との総接触面積[cm2]、zは試験片の厚さ[cm]、およびRは試験片によって生じる抵抗[Ω]である)。
【0015】
図1は、本実施例において銀メッキされたフィラーを用いると、TPEの抵抗率は、EMI遮蔽材料に設定される抵抗率についての要件、すなわち約1Ωcm以下を満たすように下げられ得ることを示す。フィラーが銀被覆銅フレークである場合、フィラー含量が約12%のときに前記限界を超えず、これは約59重量%に相当し、銀被覆ガラス繊維ではその限界は20%より低く、これは約57重量%に相当し、銀被覆アルミニウム粒子では約28%であり、これは約59重量%に相当し、銀被覆ガラス球では約35%より低く、これは約63重量%に相当する。しかしながら、フィラーとしてニッケル被覆グラファイトを使用することによって、たとえ充填率が50%(約84重量%に相当する)であっても1Ωcmの抵抗率値を超えてしまうが、TPE抵抗率をEMI遮蔽材料に設定された最低値の近くまで下げるのに用いられることもできる。抵抗率の値は最低で約0.05Ωcmであり、その値は銀被覆アルミニウム粒子をフィラー含量約40%で含有するときに達する。圧縮荷重を増加させることによって、これよりもさらに10倍低い抵抗率値(すなわち約0.005Ωcm)に達する。導電性フィラーの粒子の寸法をナノ粒子レベルまで下げることによって、10%未満のフィラー含量において1Ωcm未満の抵抗率値に達することが可能であり、または同様に、ナノ粒子を使用することによって、TPEの抵抗率値を10−4Ωcmにさえ下げることが可能である。本実施例におけるTPEは、密閉型混練装置または二軸スクリュー押出機のような、それ自体知られている通常の方法によって容易に得ることができる。TPEを製品に加工することも、たとえば射出成形のようなそれ自体知られている方法および手段によって、いかなる特別な装置または余分な作業段階をも必要とせずになされ得る。
【0016】
図2は、図1に示す本発明の導電性TPEのいくつかの態様における抵抗率を、硬度の関数として表した図である。導電性フィラーは、銀被覆アルミニウム粒子、銀被覆銅フレーク、または銀被覆ガラス繊維である。TPEの特性を以下のように調べた。
【0017】
実施例2
TPEをマトリックス材およびフィラーで構成し、また試験片を実施例1に記載されるように作製した。TPEの抵抗率を実施例1に記載されるように測定した。図2に示す材料硬度を、ジュロメーター・タイプAで、規格ASTMD2240およびDIN53505に従って測定した。
【0018】
図2に見られるように、この実施例において測定された、全てのフィラーおよびフィラー含量を用いた本発明のTPEの硬度は10〜25ショアAの範囲内にあり、これは、材料硬度がシール材に必要なレベルを維持するための、例えば難燃剤または他の用途特異的な添加剤を用いてのTPEの更なる充填を可能にする。シールへと射出成形された本発明の一つのTPEは、20〜700MHzの周波数範囲において約40dB減衰に達したことに注目すべきである。これに対応するTPEにおいて測定された抵抗率は約0.1Ωcmである。すなわち、本発明におけるTPEは非常に柔軟で、したがってシール材または他の対応する用途によく適している。
【0019】
図3は、本発明の導電性TPEの他のいくつかの態様における抵抗率を表した図である。TPEマトリックス材は依然SEPS系のものであり、フィラーは一つまたはそれ以上の粒子形状を含む。ここでいう粒子形状は、その概念がそれ自体当業者に知られている粒子の基本的な形状のことを言い、この基本的な形状は実質的に球形、立方体、ブロック、フレークまたは繊維であり得る。フィラーの総充填率は35%である。以下のようにTPEを作製し、抵抗率を測定した。
【0020】
実施例3
SEPS系マトリックス材(販売名クレイバーグ(Kraiburg)TP1AAA)を、実施例1と同じ条件で上昇した温度においてミキサー内で溶融させた。フィラーを溶融したマトリックス材に順々にできるだけ素早く加え、フィラーが、
態様1:20%銀被覆アルミニウム粒子と15%銀被覆銅フレーク
態様2:15%銀被覆アルミニウム粒子、15%銀被覆ガラス繊維、および5%銀被覆銅フレーク
態様3:30%銀被覆ガラス繊維と5%銀被覆アルミニウム粒子、および、
態様4:30%銀被覆ガラス繊維と5%銀被覆銅フレーク
となるようにした。
【0021】
全てのフィラーをマトリックス材に添加した後、ミキサーのトルク曲線を平衡化し、その後4〜6分間混合を続けた。抵抗率を測定するために、試験片を混合されたTPE原液から圧縮成形によって作り、実施例1に記載された方法で測定を行った。測定した抵抗率値を図3に示す。
【0022】
実施例3で調製された本発明の各TPEの態様における抵抗率は、EMI遮蔽に必要なレベル(すなわち1Ωcmより下)である。導電性フィラーの含有量は本実施例における35%から容易に増加させることができ、これは、例えば図1において見られるように、さらに低い抵抗率値を生じる。
【0023】
図4は、本発明における導電性TPEのさらなる態様における抵抗率を、フィラー含量の関数として表した図である。TPEマトリックス材はSEPSまたはSEBS系であり、導電性フィラーは、含有量が25、30、35、37または43%の銀被覆ガラス繊維か、または含有量37または40%の銀被覆アルミニウム粒子のいずれかである。TPEを次のように作製した。
【0024】
実施例4
マトリックス材(SEPS系クレイバーグTP1AAAまたはSEBS系エラストテクニック(Elastoteknik)500120)およびフィラーを、二軸スクリュー押出機内で、スクリュー速度約108min−1で、押出機ゾーンにおいて設定された温度、TP1AAAではゾーン1は60℃、ゾーン2は150℃、ゾーン3〜10は160℃において、500120では、ゾーン3〜10の温度が180℃に設定されるほかは前記と同じ温度において混合した。TP1AAAマトリックス材の粘度の挙動は、次の式
η=147.7405・γ0.671878−1
で、また500120材は次の式
η=3173.134・γ0.380459−1
で表されることができる。
【0025】
試験片を混合された材料から圧縮成形によって作製し、実施例1に記載されるように抵抗率値を測定した。
【0026】
図4は、実施例4において調製された本発明の各TPEは、抵抗率値1Ωcmを超えないことを示す。500120マトリックスと含有量40%の銀被覆アルミニウム粒子の場合に、最低抵抗率値は約0.03Ωcmに達する。
【0027】
本発明におけるTPEのマトリックス材は、SEPSまたはSEBSに加えて、分離した相の集合体すなわち、好ましくは導電性フィラーが一つの成分により形成された連続相と結合したIPN(相互侵入ポリマー網目構造(Interpenetrating Polymer Networks))構造を形成する1またはそれ以上のポリマー成分を含有できる。本発明の一つのIPN材は、次のように作られる。
【0028】
実施例5
SEPS系材料(クレイバーグTP1AAA)とコポリアミド(TRLセメルト(Themelt)830)を65:35の比で、マトリックス材としてミキサー内で回転速度70min−1、160℃の温度で溶融させ、10〜15min混合した。銀を含有するナノ粒子を導電性フィラーとして、フィラー含量が26%となるようにマトリックス材に添加した。マトリックス材とフィラーの混合物をさらに15〜20min混合した。試験片を該材料から圧縮成形によって作り、実施例1に記載されるように抵抗率値を測定した。
【0029】
抵抗率測定において、10−4Ωcmの範囲の値、すなわちEMI遮蔽材料に設定された抵抗率値を見事に達成する値が得られた。
【0030】
図5は、本発明のシール製品の一つの態様の、非常に簡略化した概略図である。上記TPEのうちの一つを材料とするシール1は、横断面が例えば丸い帯、または他の用途に応じて形作られた形の帯であり、その帯は実質的に矩形のシール1を形成する。このシールは、表示端末または他の対応するケーシングを封止し、EMI遮蔽するのに用いられ得る。シールが適用される物体にシールを固定させることができる固定要素2が、シールに配置されている。固定要素2は金属、ポリマー系材料または他のいかなる好適な材料からも成り得る。一般的に、他の構造または要素も、適用される物体の要求に従って、シールに配置されるかまたは組み込まれることができる。本発明の製品は、一般に、種々の形状および構造を有し得る。
【0031】
上記図およびその関連する記載は、本発明の思想を説明する目的のためだけである。本発明は、詳細において請求項の範囲内で変更しても良い。したがって、TPEマトリックス材は2つまたはそれ以上のポリマーを含有する混合物であり得る。該TPEは、上記に挙げたもの以外に、それ自体当業者に既知の他のフィラー、補助剤、添加剤、および強化剤だけでなく、他の導電性フィラーを含有しても良い。該TPEは、必要であれば、例えば放射線への暴露によって架橋されることができ、この場合、使用可能な最高温度は上昇し得る。シール以外に、接着剤、コーティング、および電気センサのような他の製品が、本発明のTPEで製造され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の導電性TPEのいくつかの態様における抵抗率を、フィラー含有量の関数として表した図。
【図2】 図1に示す本発明の導電性TPEの態様における抵抗率を、硬度の関数として表した図
【図3】 本発明の導電性TPEの他のいくつかの態様における抵抗率を表した図。
【図4】 本発明の導電性TPEのさらなる態様における抵抗率を、フィラー含量の関数として表した図。
【図5】 本発明のシール製品の一つの態様の、非常に簡略化した概略図。
【符号の説明】
1…シール
2…固定要素
Claims (20)
- 実質的に非導電性のマトリックス材およびフィラー部を含む導電性の熱可塑性エラストマーであって、該エラストマーの分子レベル構造および/または添加剤が、該エラストマーが射出成形および/または押出成形され得るようなものであり、該フィラーが、該導電性の熱可塑性エラストマーの抵抗率が1Ωcm以下となるように高い割合で金属を含有し、該マトリックス材がスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンコポリマーもしくはスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンコポリマーを含有し、さらに、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンコポリマーもしくはスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンコポリマーと実質的に混合されていないポリマーを含有することを特徴とする導電性の熱可塑性エラストマー。
- 該金属の割合が、該エラストマーの抵抗率が0.1Ωcm以下となるように高いことを特徴とする請求項1に記載の導電性の熱可塑性エラストマー。
- 該フィラーの抵抗率が0.01Ωcm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性の熱可塑性エラストマー。
- 該マトリックス材の分子レベル構造および/または添加剤は、該マトリックス材の粘度が粘度曲線η=43625.7・γ0.152374−1(ここで、ηは見掛け粘度[Pas]、γは見掛けせん断速度[s−1]である)より低いようなものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の導電性の熱可塑性エラストマー。
- 該マトリックス材の分子レベル構造および/または添加剤は、該マトリックス材の粘度が粘度曲線η=22197.62・γ0.120327−1より低いようなものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の導電性の熱可塑性エラストマー。
- 該マトリックス材がスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンコポリマーを含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の導電性の熱可塑性エラストマー。
- 該マトリックス材がスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンコポリマーと実質的に混合されていないポリマーを含有することを特徴とする請求項6に記載の導電性の熱可塑性エラストマー。
- 該マトリックス材がスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンコポリマーを含有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の導電性の熱可塑性エラストマー。
- 該マトリックス材がスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンコポリマーと実質的に混合されていないポリマーを含有することを特徴とする請求項8に記載の導電性の熱可塑性エラストマー。
- 該フィラーの充填率が、該エラストマーの全体積の少なくとも5%であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の導電性の熱可塑性エラストマー。
- 該エラストマーの分子レベル構造、および該フィラーの含有量、寸法、および形状は、該エラストマーの硬度が65ショアAより低いようなものであることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の導電性の熱可塑性エラストマー。
- 該エラストマーの分子レベル構造、および該フィラーの含有量、寸法、および形状は、該エラストマーの硬度が50ショアAより低いようなものであることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の導電性の熱可塑性エラストマー。
- 該マトリックス材が少なくとも部分的に架橋されていることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の導電性の熱可塑性エラストマー。
- 該金属含有フィラーの充填率が該エラストマー全体積の少なくとも30%であることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載の導電性の熱可塑性エラストマー。
- 該金属含有導電性フィラーが金属被覆粒子を含むことを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載の導電性の熱可塑性エラストマー。
- 該被覆金属が銀を含むことを特徴とする請求項15に記載の導電性の熱可塑性エラストマー。
- 該導電性フィラーがニッケルを含むことを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1項に記載の導電性の熱可塑性エラストマー。
- 該導電性フィラーが少なくとも2つの異なる粒子形状を含むことを特徴とする請求項1ないし17のいずれか1項に記載の導電性の熱可塑性エラストマー。
- 製品(1)が、請求項1ないし18のいずれか1項に記載の導電性の熱可塑性エラストマーで製造されることを特徴とするシール製品。
- 製品(1)が、請求項1ないし18のいずれか1項に記載の導電性の熱可塑性エラストマーで製造されることを特徴とするEMI遮蔽製品。
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