JP2020068288A - 導電性エラストマー材料、およびシール材 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬化不良および腐食を抑制することが可能な導電性エラストマー材料、および導電性エラストマー材料を用いたシール材を提供する。【解決手段】導電性エラストマー材料においては、導電性フィラーが、シリコーン樹脂等のエラストマー材料に添加されている。このエラストマー材料には、当該エラストマー材料に対し、ポリアニリン系導電性高分子が、0.05〜3.0重量%の比率で含まれている。【選択図】なし
Description
本発明は、導電性エラストマー材料、および導電性エラストマー材料を用いたシール材に関する。
従来、電磁波を遮蔽するシールド装置に用いられる導電性エラストマー材料として、例えばシリコーンゴム等のエラストマー材料に導電性が付与されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。導電性エラストマー材料は、例えば、金属粉末や、金属繊維、カーボン等の導電性フィラーをペースト状態のエラストマー材料に含有させることによって製造される。
上述のように、ペースト状態に形成された導電性エラストマー材料は、シールド装置を構成する金属板等に塗布され、その後、硬化されることによって、パッキン等のシール材として利用することが可能である。しかし、高温多湿の環境下では、導電性エラストマー材料の腐食等の劣化が問題となる可能性があり、また、導電性エラストマー材料の硬化不良が発生し、その弾力性が低下する可能性がある。
本発明は上述したような実情を考慮してなされたもので、硬化不良および腐食を抑制することが可能な導電性エラストマー材料、およびそのような導電性エラストマー材料を用いたシール材を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、導電性フィラーがエラストマー材料に添加された導電性エラストマー材料であって、前記エラストマー材料には、当該エラストマー材料に対し、導電性高分子が、0.05〜3.0重量%の比率で含まれていることを特徴としている。
上記構成によれば、導電性フィラーに加えて、導電性高分子をエラストマー材料に分散(配合)することによって、導電性エラストマー材料の導電性を向上させることができ、電磁波シールド装置に用いられる導電性エラストマー材料として好適となる。また、導電性材料として例えばカーボンブラック等を用いた場合に比べて、導電性エラストマー材料の柔軟性を向上させることができ、腐食や、マイグレーション等の発生を抑制することができる。
ここで、エラストマー材料に対する導電性高分子の配合比率が大きくなると(例えば3.0重量%以上)、高温多湿の環境下では導電性エラストマー材料に腐食が発生する可能性がある。また、エラストマー材料に対する導電性高分子の配合比率がさらに大きくなると(例えば30.0重量%以上)、導電性エラストマー材料の硬化不良が発生し、導電性エラストマー材料の弾力性が低下する可能性がある。そこで、エラストマー材料に対する導電性高分子の配合比率を、0.05〜3.0重量%とすることによって、導電性エラストマー材料の硬化不良および腐食を抑制することが可能になる。
本発明の導電性エラストマー材料において、前記導電性高分子が、ポリアニリン系導電性高分子であることが好ましい。
上記構成によれば、導電性高分子としてポリアニリン系導電性高分子を用いることによって、硬化不良および腐食を抑制可能な導電性エラストマー材料を容易に製造することができる。
本発明の導電性エラストマー材料において、前記ポリアニリン系導電性高分子が、前記エラストマー材料に対し、0.1〜1.0重量%の比率で含まれていることが好ましい。
上記構成によれば、エラストマー材料に対するポリアニリン系導電性高分子の配合比率を0.1〜1.0重量%とすることによって、導電性エラストマー材料の導電性をよりいっそう向上させることができ、電磁波シールド装置に用いられる導電性エラストマー材料としてよりいっそう好適となる。
本発明の導電性エラストマー材料において、前記導電性フィラーが、金属粉末、金属繊維、またはカーボンであることが好ましい。また、前記エラストマー材料が、シリコーンゴム、ウレタンゴム、またはフッ素ゴムであることが好ましい。
上記構成によれば、これらの導電性フィラーおよびエラストマー材料を用いることによって、硬化不良および腐食を抑制可能な導電性エラストマー材料を容易に製造することができる。
また、本発明は、上述した本発明の導電性エラストマー材料により形成されたシール材であることを特徴としている。本発明のシール材は、開口部を有する筐体と、前記筐体の前記開口部を覆う蓋体との間に介在されることが好ましい。この場合、筐体および蓋体によって電磁波を遮蔽するシールド装置が構成されるが、シール材を形成する導電性エラストマー材料に、当該エラストマー材料に対し、導電性高分子が、0.05〜3.0重量%の比率で含まれているため、シール材を用いたシールド装置の電磁波シールドの性能を向上させることができる。
本発明によれば、導電性エラストマー材料、およびそのような導電性エラストマー材料を用いたシール材において、硬化不良および腐食を抑制することができる。
〔導電性エラストマー材料〕
まず、本発明に係る導電性エラストマー材料について説明する。
まず、本発明に係る導電性エラストマー材料について説明する。
本発明に係る導電性エラストマー材料は、導電性フィラーがエラストマー材料に添加された導電性エラストマー材料であって、エラストマー材料には、当該エラストマー材料に対し、導電性高分子が、0.05〜3.0重量%の比率で含まれていることを特徴とするものである。
エラストマー材料は、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムである。本発明に係る導電性エラストマー材料は、例えば図1に示すように、主剤と硬化剤とを所定の重量比で混合することによって製造される。エラストマー材料をシリコーン樹脂等とすることによって、導電性エラストマー材料の難燃性、耐熱性、および耐候性を向上させることが可能である。
導電性フィラーは、例えば、金属粉末、金属繊維、カーボンである。金属粉末は、例えば、銀、銅、ニッケル、スズ、各種合金(例えば銀−銅合金)等の粉末である。金属繊維は、例えば、銀、銅、ニッケル、スズ、各種合金の金属めっきを、繊維状のカーボン、ゴム、樹脂等に施したものである。金属めっきが施されるカーボン、ゴム、樹脂は繊維状に限らず、例えば球状、ロッド状等の各種の形状であってもよい。また、めっき以外の手法(例えば塗布、コーティング等)を用いて、金属繊維を形成してもよい。なお、非導電性材料の上にめっき等の手法によって導電性材料を付着等させたものであれば、導電性フィラーとして用いることが可能である。
導電性高分子は、例えば、ポリアニリン系導電性高分子である。導電性高分子は、エラストマー材料に対し、0.05〜3.0重量%の比率で配合することが好ましいが、導電性高分子として、ポリアニリン系導電性高分子を用いた場合、エラストマー材料に対し、0.1〜1.0重量%の比率で配合することが好ましい。
−導電性エラストマー材料の製造方法−
ここで、本発明に係る導電性エラストマー材料の製造方法について、図1を参照して説明する。なお、以下に述べる導電性エラストマー材料の製造方法は一例であって、その他の手法により、導電性エラストマー材料を製造してもよい。
ここで、本発明に係る導電性エラストマー材料の製造方法について、図1を参照して説明する。なお、以下に述べる導電性エラストマー材料の製造方法は一例であって、その他の手法により、導電性エラストマー材料を製造してもよい。
図1に示す導電性エラストマー材料の製造方法においては、まず、導電性エラストマー材料の主剤および硬化剤を作製する(主剤作製工程、硬化剤作製工程)。作製された主剤および硬化剤を所定の重量比で混合してペースト状態(未硬化状態)の導電性エラストマー材料を作製する(混合工程)。そして、作製されたペースト状態の導電性エラストマー材料を、例えば金属板等の塗布対象物に塗布し(塗布工程)、その後、恒温槽等で硬化させることによって(硬化工程)、硬化状態の導電性エラストマー材料を形成する。なお、主剤作製工程および硬化剤作製工程は、いずれか一方を先に行って、残り一方を後に行うようにしてもよいし、あるいは、両方を並行して行うようにしてもよい。また、導電性エラストマー材料をペースト状態で保存および利用することも可能であり、この場合、混合工程の後、塗布工程および硬化工程を省略して、ペースト状態の導電性エラストマー材料を密封容器に保存し、必要に応じて密封容器から取り出して利用すればよい。
−主剤作製工程−
まず、主剤作製工程について説明する。主剤作製工程では、導電性高分子を第1有機溶剤中に分散させる。そして、この導電性高分子を分散させた第1有機溶剤にエラストマー材料を混合し、ミキサー等によって撹拌して、導電性高分子をエラストマー材料中に分散させる。この導電性高分子を分散させたエラストマー材料に導電性フィラーを混合し、この混合物に第2有機溶剤を混合し、ミキサー等によって撹拌することによって、導電性エラストマー材料の主剤を作製する。
まず、主剤作製工程について説明する。主剤作製工程では、導電性高分子を第1有機溶剤中に分散させる。そして、この導電性高分子を分散させた第1有機溶剤にエラストマー材料を混合し、ミキサー等によって撹拌して、導電性高分子をエラストマー材料中に分散させる。この導電性高分子を分散させたエラストマー材料に導電性フィラーを混合し、この混合物に第2有機溶剤を混合し、ミキサー等によって撹拌することによって、導電性エラストマー材料の主剤を作製する。
本実施形態では、導電性高分子として、例えばポリアニリン系導電性高分子が用いられ、エラストマー材料として、例えばシリコーンゴムが用いられている。また、第1有機溶剤として、例えばトルエンが用いられ、第2有機溶剤として、例えばヘキサンおよびトルエンの混合溶剤が用いられている。また、導電性フィラーとして、金属めっき(例えばニッケル−リンを主体とする合金めっき)を施したカーボン繊維が用いられている。
本実施形態では、詳細には、トルエンに対し、4.0〜5.0重量%のポリアニリン系導電性高分子を混合し、分散させる。ポリアニリン系導電性高分子を分散させたトルエンにシリコーンゴムを混合し、ハイブリッドミキサーによって、1〜10分間、撹拌して、ポリアニリン系導電性高分子をシリコーンゴム中に分散させる。この際、シリコーンゴムに対し、0.06〜0.075重量%の比率でポリアニリン系導電性高分子が含まれるように、シリコーンゴムを混合する。
ポリアニリン系導電性高分子が分散されたシリコーンゴムに対し、導電性フィラーを例えば230〜240重量%の比率で混合する。そして、この混合物に対し、100〜200重量%の比率でヘキサンおよびトルエンの混合溶剤を混合し、ハイブリッドミキサーによって、1〜10分間、撹拌する。この混合溶剤は、ヘキサンおよびトルエンを、例えば10:1〜10:2の重量比で混合することによって調製される。このようにして、ポリアニリン系導電性高分子および導電性フィラーがシリコーンゴム中に分散されたペースト状態の組成物(導電性エラストマー材料の主剤)が得られる。なお、ミキサー以外のものを用いて、上述した撹拌処理を行ってもよい。また、上述した材料(導電性高分子、エラストマー材料、導電性フィラー、第1有機溶剤、および第2有機溶剤)の種類や、これらの配合比率は一例であって、適宜変更することが可能である。
−硬化剤作製工程−
続いて、硬化剤作製工程について説明する。硬化剤作製工程は、上述の主剤作製工程と略同様の工程となっており、使用する材料(導電性高分子、エラストマー材料、導電性フィラー、第1有機溶剤、および第2有機溶剤)も主剤作製工程と同様となっており、上述の主剤作製工程と略同様にして、ポリアニリン系導電性高分子および導電性フィラーがシリコーンゴム中に分散されたペースト状態の組成物が作製される。硬化剤作製工程が主剤作製工程と異なる点は、作製されたペースト状態の組成物にカップリング剤を添加する点である。つまり、硬化剤作製工程では、上述の主剤作製工程と略同様にして作製されたペースト状態の組成物に対し、所定量のカップリング剤を添加し、ミキサー等により撹拌することによって、導電性エラストマー材料の硬化剤を作製する。なお、カップリング剤としては、シランカップリング剤を用いることが可能であり、例えば、グリシジル系シランカップリング剤を用いることが好ましい。
続いて、硬化剤作製工程について説明する。硬化剤作製工程は、上述の主剤作製工程と略同様の工程となっており、使用する材料(導電性高分子、エラストマー材料、導電性フィラー、第1有機溶剤、および第2有機溶剤)も主剤作製工程と同様となっており、上述の主剤作製工程と略同様にして、ポリアニリン系導電性高分子および導電性フィラーがシリコーンゴム中に分散されたペースト状態の組成物が作製される。硬化剤作製工程が主剤作製工程と異なる点は、作製されたペースト状態の組成物にカップリング剤を添加する点である。つまり、硬化剤作製工程では、上述の主剤作製工程と略同様にして作製されたペースト状態の組成物に対し、所定量のカップリング剤を添加し、ミキサー等により撹拌することによって、導電性エラストマー材料の硬化剤を作製する。なお、カップリング剤としては、シランカップリング剤を用いることが可能であり、例えば、グリシジル系シランカップリング剤を用いることが好ましい。
−混合工程−
続いて、混合工程について説明する。混合工程は、上述の主剤作製工程および硬化剤作製工程で作製された導電性エラストマー材料の主剤および硬化剤を所定の重量比(例えば、1:1)で混合する工程である。この混合工程により、ペースト状態の導電性エラストマー材料が得られる。
続いて、混合工程について説明する。混合工程は、上述の主剤作製工程および硬化剤作製工程で作製された導電性エラストマー材料の主剤および硬化剤を所定の重量比(例えば、1:1)で混合する工程である。この混合工程により、ペースト状態の導電性エラストマー材料が得られる。
−塗布工程−
続いて、塗布工程について説明する。塗布工程は、上述の混合工程で得られたペースト状態の導電性エラストマー材料を、例えばディスペンサ(吐出装置)等によって塗布対象物に塗布する工程である。塗布対象物としては、電磁波を遮蔽するシールド装置を構成する金属板等が挙げられる。なお、導電性エラストマー材料の塗布を、ディスペンサ等を用いずにマニュアルで行ってもよい。
続いて、塗布工程について説明する。塗布工程は、上述の混合工程で得られたペースト状態の導電性エラストマー材料を、例えばディスペンサ(吐出装置)等によって塗布対象物に塗布する工程である。塗布対象物としては、電磁波を遮蔽するシールド装置を構成する金属板等が挙げられる。なお、導電性エラストマー材料の塗布を、ディスペンサ等を用いずにマニュアルで行ってもよい。
塗布対象物に塗布された導電性エラストマー材料は、パッキン等のシール材として利用することが可能である。この場合、シール材を成型するための金型等が不要になり、また、シール材を嵌め込むための溝等を塗布対象物に設けることが不要になる。なお、導電性エラストマー材料の粘度が大きくなると、導電性エラストマー材料の柔軟性を確保することができず、ディスペンサ等による導電性エラストマー材料の塗布が困難になる。このため、ディスペンサ等による塗布を効率的に行う観点からは、ペースト状態での導電性エラストマー材料の粘度が、1500Pa・s以下であることが好ましい。
−硬化工程−
続いて、硬化工程について説明する。硬化工程は、上述の塗布工程で塗布されたペースト状態の導電性エラストマー材料を乾燥させ、硬化させる工程である。具体的には、塗布工程で塗布されたペースト状態の導電性エラストマー材料を、例えば室温で、30分〜24時間、放置して乾燥させる。この際、導電性エラストマー材料に含まれる有機溶剤が揮発される。その後、例えば120〜150℃に設定された恒温槽内で、導電性エラストマー材料を所定時間(例えば、30分間)放置することによって、硬化状態の導電性エラストマー材料が得られる。
続いて、硬化工程について説明する。硬化工程は、上述の塗布工程で塗布されたペースト状態の導電性エラストマー材料を乾燥させ、硬化させる工程である。具体的には、塗布工程で塗布されたペースト状態の導電性エラストマー材料を、例えば室温で、30分〜24時間、放置して乾燥させる。この際、導電性エラストマー材料に含まれる有機溶剤が揮発される。その後、例えば120〜150℃に設定された恒温槽内で、導電性エラストマー材料を所定時間(例えば、30分間)放置することによって、硬化状態の導電性エラストマー材料が得られる。
−特性−
上述のような手順(図1参照)によって導電性エラストマー材料のサンプルを複数、作製したところ、例えば、次のような特性が確認された。
上述のような手順(図1参照)によって導電性エラストマー材料のサンプルを複数、作製したところ、例えば、次のような特性が確認された。
(サンプル1)硬化状態での導電性エラストマー材料の体積抵抗率を、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、ロレスタEP MCP−T360)で計測したところ、0.02Ω・cmであった。また、硬化状態での導電性エラストマー材料のショアA硬度を計測したところ、A55であった。また、硬化状態での導電性エラストマー材料の圧縮永久歪を計測したところ、20%であった。さらに、このサンプル1の導電性エラストマー材料をアルミニウム製の蓋体に形成し、この蓋体を箱状の筐体に装着し、導電性エラストマー材料によって蓋体および筺体の間をシールした。そして、防水試験を実施したところ、IPX7規格(JIS C0920)の防水性能を満たすことが確認された。
(サンプル2)硬化状態での導電性エラストマー材料の体積抵抗率を、抵抗率計で計測したところ、0.01Ω・cmであった。また、硬化状態での導電性エラストマー材料のショアA硬度を計測したところ、A65であった。また、硬化状態での導電性エラストマー材料の圧縮永久歪を計測したところ、20%であった。さらに、このサンプル2の導電性エラストマー材料をアルミニウム製の蓋体に形成し、この蓋体を箱状の筐体に装着し、導電性エラストマー材料によって蓋体および筺体の間をシールした。そして、防水試験を実施したところ、IPX7規格(JIS C0920)の防水性能を満たすことが確認された。
また、サンプル1、2を含む複数のサンプルから、導電性フィラーおよび導電性高分子の種類および配合比率を適宜調整することによって、導電性エラストマー材料の体積抵抗率を、0.01Ω・cm以上の任意の値に設定可能なことが分かった。同様に、導電性エラストマー材料のショアA硬度についても、A30〜A90の範囲の任意の値に設定可能なことが分かった。このように、導電性エラストマー材料のショアA硬度を、A30〜A90に設定することによって、所定の反発力がシール材に付与されるため、シール材による防水性を向上させることができる。
また、上述のような手順(図1参照)によって、ポリアニリン系導電性高分子の配合比率を変更した導電性エラストマー材料のサンプルを複数、作製したところ、例えば図2に示すような特性が得られた。図2のグラフでは、縦軸が導電性エラストマー材料の抵抗値(Ω)になっており、横軸がシリコーンゴムに対するポリアニリン系導電性高分子の配合比率(重量%)になっている。
図2に示すように、ポリアニリン系導電性高分子の配合比率が0.1〜1.0重量%の場合、全ての導電性エラストマー材料の抵抗値が0.07Ω以下であった。このうち、ポリアニリン系導電性高分子の配合比率が0.3重量%の場合、導電性エラストマー材料の抵抗値が最も小さくなっており、約0.025Ωであった。なお、図示していないが、ポリアニリン系導電性高分子の配合比率を5.0重量%としたところ、導電性エラストマー材料に腐食が発生した。詳細には、アルミニウム材料に導電性エラストマー材料を塗布し、高温多湿の環境下で24時間、放置したところ、導電性エラストマー材料に腐食が発生した。また、ポリアニリン系導電性高分子の配合比率を30.0重量%としたところ、導電性エラストマー材料の硬化不良が発生し、導電性エラストマー材料の弾力性が低下した。
本実施形態では、上述したように、導電性エラストマー材料において、エラストマー材料であるシリコーンゴムに対し、ポリアニリン系導電性高分子が、0.05〜3.0重量%の比率で含まれている。このように、導電性フィラーに加えて、ポリアニリン系導電性高分子をシリコーンゴムに分散(配合)することによって、導電性エラストマー材料の導電性を向上させることができ、電磁波シールド装置に用いられる導電性エラストマー材料として好適となる。また、導電性材料(導電性フィラー)として例えばカーボンブラック等を用いた場合に比べて、導電性エラストマー材料の柔軟性を向上させることができ、腐食や、マイグレーション等の発生を抑制することができる。
ここで、上述したように、シリコーンゴムに対するポリアニリン系導電性高分子の配合比率が、3.0重量%以上になると、高温多湿の環境下では導電性エラストマー材料に腐食が発生する可能性がある。また、シリコーンゴムに対するポリアニリン系導電性高分子の配合比率が、30.0重量%以上になると、導電性エラストマー材料の硬化不良が発生し、導電性エラストマー材料の弾力性が低下する可能性がある。そこで、本実施形態では、シリコーンゴムに対するポリアニリンに対する導電性高分子の配合比率を、0.05〜3.0重量%とすることによって、導電性エラストマー材料の硬化不良および腐食を抑制することが可能になる。
また、本実施形態によれば、エラストマー材料としてシリコーンゴムを用い、導電性高分子としてポリアニリン系導電性高分子を用いることによって、硬化不良および腐食を抑制可能な導電性エラストマー材料を容易に製造することができる。この場合、シリコーンゴムに対するポリアニリン系導電性高分子の配合比率を0.1〜1.0重量%とすることによって、導電性エラストマー材料の導電性をよりいっそう向上させることができ(図2参照)、電磁波シールド装置に用いられる導電性エラストマー材料としてよりいっそう好適となる。
〔シール材〕
次に、本発明に係るシール材について説明する。
次に、本発明に係るシール材について説明する。
本発明に係るシール材は、上述した本発明に係る導電性エラストマー材料によって形成されていることを特徴とするものであって、上述した本発明に係る導電性エラストマー材料と同様の特性を有する。
本発明に係るシール材は、例えば、筐体および蓋体により構成される電磁波のシールド装置に装着する導電性パッキンとして利用することが好適である。具体的には、導電性パッキンは、開口部を有する金属製の筐体と、この筐体に被せられる金属製の蓋体との間に介在され、筐体の開口部の周縁部分と、蓋体の内底面(筐体との対向部分)との隙間をシールする。
この場合、導電性パッキンは、蓋体の筐体との対向部分に周状(環状)に塗布され、例えば、筐体の内底面と内側面との角部に沿って塗布される。具体的には、上述したペースト状態(未硬化状態)の導電性エラストマー材料を、ディスペンサ等によって蓋体に周状に塗布し、導電性エラストマー材料が塗布された蓋体を、室温で所定時間(例えば30分〜24時間)、放置した後、所定温度(例えば、120〜150℃)に設定された恒温槽内で、所定時間(例えば、30分間)放置する。こうして、導電性エラストマー材料を硬化させることによって、蓋体に装着された導電性パッキンが形成される。そして、導電性パッキンが装着された蓋体を、筐体に被せることによって、電磁波を遮蔽可能なシールド装置が形成される。この際、蓋体に装着された導電性パッキンに筐体の開口部の周縁部分が圧接することによって、導電性パッキンが変形して、蓋体の筐体との隙間がシールされる。
本発明に係るシール材(導電性パッキン)によれば、シール材を形成する導電性エラストマー材料に、当該エラストマー材料に対し、導電性高分子が、0.05〜3.0重量%の比率で含まれているため、シール材を用いたシールド装置の電磁波シールドの性能を向上させることができる。
ここで、塗布以外の手法によって、導電性パッキンを蓋体に装着してもよいが、ペースト状態の導電性エラストマー材料をディスペンサ等によって蓋体に塗布することによって、極めて容易に導電性パッキンを蓋体に装着することができる。これにより、導電性パッキンを成型するための金型等が不要になり、また、導電性パッキンを嵌め込むための溝等を蓋体に設けることが不要になり、導電性パッキンを溝等に嵌め込む作業も不要になる。
また、導電性パッキンは、高さおよび幅の比(幅/高さ)が、蓋体に塗布された状態で、1〜2に設定することが好ましい(高さ<幅)。ここで、高さは、蓋体の表面(塗布面)およびディスペンサ等による蓋体への導電性パッキンの塗布方向に垂直な方向の寸法であり、また、幅は、高さ方向およびディスペンサ等による蓋体への導電性パッキンの塗布方向に垂直な方向の寸法である。これにより、導電性パッキンが蓋と筐体との間に挟まれて変形する(押しつぶされる)際に、蓋と筐体との間に生じる公差を導電性パッキンの変形により効率的に吸収することができる。したがって、上記の比が1よりも小さい場合や、2よりも大きい場合に比べて、導電性パッキンによる防水性、シールド性能(導電性)を向上させることができる。
以上では、本発明のシール材(導電性パッキン)を蓋体に装着した場合について説明したが、導電性パッキンを筐体に装着してもよい。この場合、例えば、筐体の開口部の周縁部分にフランジ(鍔部)を設け、このフランジに導電性パッキンを塗布することが可能である。また、以上では、電磁波を遮蔽するシールド装置が筐体および蓋体によって構成される場合について説明したが、平板状の基板の表面に、開口部を有する蓋体が被せられる構成のシールド装置にも、本発明のシール材(導電性パッキン)を用いることが可能である。この場合、例えば、蓋体の開口部の周縁部分にフランジ(鍔部)を設け、このフランジに導電性パッキンを塗布することが可能である。
今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
本発明は、例えば電磁波を遮蔽するシールド装置に用いられる導電性エラストマー材料およびシール材として利用可能である。
Claims (6)
- 導電性フィラーがエラストマー材料に添加された導電性エラストマー材料であって、
前記エラストマー材料には、当該エラストマー材料に対し、導電性高分子が、0.05〜3.0重量%の比率で含まれていることを特徴とする導電性エラストマー材料。 - 請求項1に記載の導電性エラストマー材料において、
前記導電性高分子が、ポリアニリン系導電性高分子であることを特徴とする導電性エラストマー材料。 - 請求項2に記載の導電性エラストマー材料において、
前記ポリアニリン系導電性高分子が、前記エラストマー材料に対し、0.1〜1.0重量%の比率で含まれていることを特徴とする導電性エラストマー材料。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載の導電性エラストマー材料において、
前記導電性フィラーが、金属粉末、金属繊維、またはカーボンであることを特徴とする導電性エラストマー材料。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載の導電性エラストマー材料において、
前記エラストマー材料が、シリコーンゴム、ウレタンゴム、またはフッ素ゴムであることを特徴とする導電性エラストマー材料。 - 請求項1〜5のいずれか1つに記載の導電性エラストマー材料により形成されたことを特徴とするシール材。
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JP2018200043A JP2020068288A (ja) | 2018-10-24 | 2018-10-24 | 導電性エラストマー材料、およびシール材 |
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