JP4482488B2 - 無機性廃水の処理方法及び処理装置 - Google Patents

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本発明は、亜鉛等の重金属を含有する無機性廃水の処理方法及び装置に関し、クロスフロー式ろ過装置を用いて無機性廃水中の重金属を除去する無機性廃水の処理方法及び装置に関する。
重金属(例えば、クロム(Cr)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、カドミウム(Cd)、マンガン(Mn)、鉛(Pb)、鉄(Fe)等)を含有する無機性廃水中から重金属を除去する方法として、例えば中和凝集沈殿法が知られている。この方法は、水酸化カルシウム等のアルカリ剤によって無機性廃水のpHを上昇させ、重金属イオンを不溶性の水酸化物とした後に、沈殿池等でその不溶性水酸化物を沈殿させることにより無機廃水中から重金属を除去する方法である。
また、アルカリ剤によるpH調整のみでは重金属イオンの凝集が困難な場合には、硫化物を添加して重金属の硫化物を凝集させる硫化物沈殿法、イオン交換樹脂やキレート樹脂を用いて重金属を吸着させる方法等も用いられる。なお、中和凝集沈殿法に関連して公知の文献がある(例えば、特許文献1を参照。)。
特開平2−157090号公報
上記の中和凝集沈殿法は安価であり広く用いられるが、重金属の不溶性水酸化物の粒径が微細なため沈降速度が遅く、沈殿分離が安定しない場合がある。この微細な不溶性水酸化物の沈殿分離性能への影響は、廃水中の不純物濃度が200mg/l以下、特に150mg/l以下の場合に問題となり、廃水中の不純物濃度が50mg/lの場合に、その影響が特に顕著となる。その対策として、塩化第二鉄、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄等の凝集剤を添加して重金属の不溶性水酸化物の凝集物(フロック)を粗大化し、沈降速度を速めることが行われる。しかしながら、凝集剤を添加すると凝集物の汚泥が大量に発生してしまう。また、分離し切れない微細な不溶性水酸化物が処理水(重金属除去後の廃水)内に混在してしまい、処理水中の重金属を1mg/L程度以下とすることが困難である。
そこでさらに除去効率を向上させるため、沈殿池の下流に例えば砂ろ過器を設置して清澄ろ過を行う場合もある。しかし、そうすると、ろ材内に微細な不溶性水酸化物フロックが堆積して目詰まりさせてしまい、ろ過速度が低下してしまって実用的とは言えなくなってしまう。
イオン交換樹脂やキレート樹脂を用いて重金属を吸着させる方法によれば、極めて低濃度にまで重金属の除去が可能である。しかしながらこれらの方法を実現するには高いコストが必要となり、さらに吸着後の樹脂を適正に廃棄処理する必要も生じる。
そこで、例えば、重金属を含有する無機性廃水にアルカリ剤を加えて重金属の不溶性水酸化物フロックを生成させ、その無機性廃水をクロスフロー式ろ過装置でろ過する方法も提案されている。この方法によれば不溶性水酸化物フロックの沈殿を待つ必要もなく、より効率よく安定して重金属の分離を行うことができる。
上述のろ過装置では、ろ材として一般に、孔径0.1〜1μm程度の精密ろ過膜(MF膜)が用いられているが、ろ過速度が遅い、膜が閉塞しやすい等の問題がある。そのため、クロスフロー方式で通水したり、空気によって膜表面を連続的に洗浄することで、膜表面へのケーキ層の形成を抑制している。
クロスフロー式ろ過装置のろ過効率を考慮して、用いるろ材(ろ過膜)の孔径を1μm〜10μmとすると、やはり微細な重金属の不溶性水酸化物が分離しきれず処理水内に混在してしまうという問題がある。無機性廃水に含まれる不純物が重金属の場合、排水基準が数mg/lと非常に低い。そのため、この微細な不溶性水酸化物の処理水内への混在は、汚泥発生量の削減、或いは、重金属の回収を目的として、凝集剤を添加しないで重金属含有廃水を処理するときに特に問題となる。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、クロスフロー式のろ過装置を用いて高いろ過速度を維持しつつ充分な不純物除去能力を発揮し、低不純物濃度の処理水を高い流束で安定して得ることのできる無機性廃水の処理方法及び処理装置を提供することを例示的課題とする。
なお、本出願において、「処理水」とは、ろ過装置を通過した後のろ過済みの廃水をいう。また、「流束」と「ろ過速度」と「ろ過効率」とを略同義として、「不純物の除去」と「不純物の分離」とを略同義として用いる。また、ろ過によって除去される不純物量、すなわち、無機性廃水中に含有される不純物濃度をいかに低濃度とすることができるかの指標を「ろ過能力」と表現することとする。
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての無機性廃水の処理方法は、不純物を含有する無機性廃水にアルカリ剤を添加することにより不純物の不溶性水酸化物を生成させた後に、クロスフロー式ろ過装置を用いて無機性廃水をろ過することによって無機性廃水中から不純物の不溶性水酸化物を分離し、不純物が除去された処理水を得る無機性廃水の処理方法であって、処理水を排水せずにクロスフロー式ろ過装置の通過後であってろ過前の無機性廃水をクロスフロー式ろ過装置より上流側に所定時間循環させる循環工程を有することを特徴とする。
例えばクロスフロー式ろ過装置に孔径が1μm〜10μmのろ材を用いると、高いろ過速度を実現することができる。さらに、処理水を排水せずにクロスフロー式ろ過装置の通過後であってろ過前の無機性廃水(以下、このろ過装置の通過後であってろ過前の無機性廃水を「ろ過装置通過後廃水」という。)をクロスフロー式ろ過装置より上流側に所定時間循環させることにより、ろ材表面に不純物の不溶性水酸化物フロックをケーキ層として積極的に堆積させることができる。このケーキ層は第2のろ材として機能し、微細な不純物不溶性水酸化物フロックを捕捉する。したがって、最終的に得られる処理水中の不純物濃度を低濃度とすることができ、ろ過効率とろ過能力とを高次元で両立させることができる。
上記処理方法において、不純物が、クロム(Cr)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、カドミウム(Cd)、マンガン(Mn)、鉛(Pb)、又は鉄(Fe)のうち少なくともいずれか1つの重金属であってもよい。また、アルカリ剤が、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、又は炭酸ナトリウムのうち少なくともいずれか1つであってもよい。
上述した重金属を含有する無機性廃水中に上述したアルカリ剤を添加することにより、重金属の不溶性水酸化物フロックのケーキ層をろ材表面に形成することができる。この重金属の不溶性水酸化物フロックのケーキ層が第2のろ材として機能し、循環された処理水中から微細な水酸化フロックを除去する。したがって、循環後再度ろ過された処理水中の重金属を低濃度とすることができる。
アルカリ剤を、無機性廃水のpHをアルカリ性、好ましくはpH9〜11、より好ましくはpH10〜10.5となるように添加してもよい。無機性廃水のpHが9より小さい場合は、重金属等の不純物の水酸化反応が安定せず、不純物の不溶性水酸化物が安定的に生成されない。一方、無機性廃水のpHが11より大きくなると不純物が可溶性の錯イオンとなってしまい、無機性廃水中に再溶解してしまう。
例えば、亜鉛(Zn)を含有する無機性廃水にアルカリ剤として水酸化ナトリウム(NaOH)を添加した場合、無機性廃水のpHを9より大きく11未満に制御すると不溶性の水酸化亜鉛(Zn(OH))が安定して生成されるが、pHが11以上になると、水酸亜鉛イオン(Zn(OH) 2−)となり無機性廃水中に再溶解してしまう。したがって、アルカリ剤を添加する際には無機性廃水のpHが9以上11以下、好ましくは10以上10.5以下となるように制御するのがよい。
上述の循環工程を、ろ過開始直後、クロスフロー式ろ過装置に用いられるろ材の洗浄直後、又はろ材の交換直後に行ってもよい。ろ過開始直後、ろ材の洗浄直後、又はろ材の交換直後はろ材表面に不溶性水酸化物フロックによるケーキ層がまだ形成されていない。したがって、この状態のときに循環工程を行い、ろ材表面にケーキ層を形成すると、効果的にろ過能力を向上させることができ、低不純物濃度の処理水を得ることができる。
所定時間が1分以上5分以下であってもよい。循環工程を1分未満とするとケーキ層の形成が不充分で、充分なろ過能力を得ることができない。一方循環工程を5分より多く行うと、ケーキ層が厚くなり過ぎてろ過効率が低下してしまう。したがって、ろ過能力とろ過効率の両面を考慮すると、循環工程は1分以上5分以下とするのがよい。
この循環工程においては、ろ過装置通過後廃水だけを循環させてもよいし、ろ過装置通過後廃水と(ろ過後の)処理水との両方を循環させてもよい。特にろ過装置通過後廃水側だけを循環させた場合には、ろ過装置通過後廃水はMF膜を殆ど透過しないため、不溶性微粒子の膜内への侵入を抑制しながらケーキ層を形成することができ、膜の閉塞をより効果的に防止することができる。一方、ろ過装置通過後廃水と処理水との両方を循環させた場合には、ケーキ層の形成を迅速に行うことができる。また、配管中に設けられたバルブの操作等により、循環工程時に通常処理時よりも膜透過水量(処理水量)が少なくなるように運転を行うことによって、上述の2つの特徴(すなわち、膜閉塞の防止効果と迅速なケーキ層形成)を併せ持った運転を行うことができる。
本発明の他の例示的側面としての無機性廃水の処理装置は、不純物を含有する無機性廃水を貯留する原水槽と、無機性廃水にアルカリ剤を添加するアルカリ剤添加装置と、アルカリ剤と原水槽から送られた無機性廃水中の不純物とを反応させ、不純物の不溶性水酸化物を生成させるための反応槽と、反応槽からの無機性廃水をろ過するクロスフロー式ろ過装置と、反応槽からの無機性廃水をクロスフロー式ろ過装置に送るための送水配管と、処理水を排水せずにクロスフロー式ろ過装置の通過後であってろ過前の無機性廃水を原水槽、反応槽、又は送水配管のうち少なくともいずれか1箇所に向けて所定時間循環させる循環装置と、を有することを特徴とする。
例えばクロスフロー式ろ過装置に孔径が1μm〜10μmのろ材を用いると、高いろ過速度を実現することができる。さらに、循環装置が、処理水を排水せずにクロスフロー式ろ過装置の通過後であってろ過前の無機性廃水を原水槽、反応槽、又は送水配管のうち少なくともいずれか1箇所(すなわち、クロスフロー式ろ過装置より上流側)に向けて所定時間循環させるので、ろ材表面に不純物の不溶性水酸化物フロックをケーキ層として積極的に堆積させることができる。このケーキ層は第2のろ材として機能し、微細な不純物不溶性水酸化物フロックを捕捉する。したがって、処理装置から排水されて最終的に得られる処理水中の不純物濃度を低濃度とすることができ、ろ過効率とろ過能力とを高次元で両立させることができる。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、クロスフロー式のろ過装置を用いて高いろ過速度を維持しつつ充分な不純物除去能力を発揮し、低不純物濃度の処理水を高い流束で安定して得ることができる。すなわち、ろ過効率とろ過能力との高次元での両立が可能となる。
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る無機性廃水の処理装置(以下、単に処理装置という。)Sの全体構成を示す概略ブロック図である。この処理装置Sは、原水槽2、反応槽4、アルカリ剤添加装置6、クロスフロー式ろ過装置8、循環装置10を有して大略構成される。
原水槽2は、不純物としての重金属を含有する無機性廃水を貯留するためのものである。重金属としては、例えばクロム(Cr)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、カドミウム(Cd)、マンガン(Mn)、鉛(Pb)、鉄(Fe)等が考えられる。この無機性廃水は、例えば製造工場等の設備から排出される工業用廃水等である。重金属は、無機性廃水中に重金属イオンとして溶解している。
反応槽4は、原水槽2から送られた無機性廃水を内部に貯留して、後述するアルカリ剤添加装置6より添加されるアルカリ剤と無機性廃水との反応を生じさせるためのものである。重金属とアルカリ剤との反応を促進するために、反応槽4はモータ4bによって駆動される撹拌装置4aを有している。この反応槽4内で重金属とアルカリ剤とが反応して重金属の不溶性水酸化物が生成され凝集物(フロック)となる。
アルカリ剤添加装置6は、反応槽4内の無機性廃水にアルカリ剤を添加するためのものであり、アルカリ剤タンク6a、ポンプ6b、pHコントローラ6cを有している。アルカリ剤タンク6a中に貯留されるアルカリ剤としては、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、炭酸ナトリウム(NaCO)等が考えられる。pHコントローラ6cが反応槽4内のpHを検出し、その検出結果に基づいてポンプ6bにより反応槽4内に添加するアルカリ剤の流量を調整し、無機性廃水のpHをアルカリ性、好ましくはpH9〜11、より好ましくはpH10〜10.5となるように制御している。
クロスフロー式ろ過装置(以下、単にろ過装置という。)8は、反応槽4から送られた無機性廃水をろ過するためのものであり、送水配管12によって反応槽4に接続されている。送水配管12には、ポンプ12aとバルブ12bが設けられており、無機性廃水の流量を調整したり停止したりできるようになっている。ろ過装置8には、ろ材8aとしては、孔径1μm〜10μmの精密ろ過膜(MF膜)が用いられている。ろ過効率及びろ過能力の観点から孔径が1μm未満となるとろ過速度の低下が深刻となり、また、10μmより大きいとろ過能力が低下するからである。もちろんろ材8aとしては、その他各種の浸漬型平膜や中空糸膜を使用することができる。チューブラー型やスパイラル型の膜であってもよく、その材質もポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン、セラミック等、特に制限なく使用することができる。ろ過後の処理水は、バルブ14aを介して処理水排水管14から排水可能となっている。
循環装置10は、ろ過装置8の通過後であってろ過前の無機性廃水(ろ過装置通過後廃水)をろ過装置8より上流側に所定時間循環させるためのものであり、循環路10a中にポンプ10b及びバルブ10cを有して循環水量が調整可能となっている。本実施の形態1においては、循環装置10はろ過装置通過後廃水を送水配管12に向けて循環させるように構成されている。また、循環路10aの途中には、濃縮廃水(ろ過装置通過後廃水やろ材洗浄時の廃水等)を排水するための濃縮廃水排水管16がバルブ16aを有して接続されている。この循環装置10は、図示しない制御手段を有しており、循環工程に必要な所定時間が経過した後にバルブ14aを自動的に開成することができるようになっている。
次に、この処理装置Sによる処理工程について図2のフローチャートを用いて説明する。なお、この処理工程中の循環工程は、この処理装置Sによるろ過開始直後、ろ過装置8に用いるろ材8aの洗浄直後、又はろ材8aの交換直後に行われる。
予め、バルブ10c,12bを開成し、バルブ14a,16aを閉成しておく。さらにポンプ10b,12aは、必要なろ過速度に応じて所定の値に設定しておく。
原水槽2内に貯留された重金属を含有する無機性廃水を反応槽4に送り、貯留する(S.1)。反応槽4内にアルカリ剤添加装置6よりアルカリ剤を投入し、反応槽4内の無機性廃水とアルカリ剤とを混合する(S.2)。この際、アルカリ剤と無機性廃水中の重金属との反応を促進させるために、モータ4bにより撹拌装置4aを駆動しつつアルカリ剤の投入を行う。また、反応槽4内の無機性廃水のpHが9より大きく11未満となるように、pHコントローラ6c及びポンプ6bにより制御しつつアルカリ剤の投入を行う。高分子化合物等を添加する必要はない。アルカリ剤と無機性廃水中の重金属とが反応すると、重金属の不溶性水酸化物がフロックとして生成される(S.3)。
この重金属の不溶性水酸化物フロック(以下、単に水酸化物フロックという。)を含んだ無機性廃水を、送水配管12を介してろ過装置8へと送る(S.4)。ここで、バルブ14aを閉成しているので、ろ過後の処理水は処理水排水管14から排水されない。したがって、ろ過装置8に送られた無機性廃水は、全量がろ過装置通過後廃水として循環装置10へと送られる(S.5)。
濃縮廃水排水管16も閉成されているので、循環装置10は、受け取ったろ過装置通過後廃水の全量を送水配管12へと循環させる(S.6)。送水配管12において、合流したろ過装置通過後廃水と反応槽からの無機性廃水とは、ともにろ過装置8へと送られる。
上記の循環工程を所定時間、例えば5分間行う(S.7)。その間に、ろ過装置8内のろ材8a表面には水酸化物フロックが徐々に堆積しケーキ層が形成される。それにより、ろ過装置8は、ろ過効率を大きく低下させることなく高いろ過能力を発揮することができるものとなる。
所定時間の5分が経過すると、循環装置10の制御手段がバルブ14aを開成する(S.8)。それにより、処理水排水管14からは、ケーキ層及びろ材8aによってろ過された重金属濃度の低い高品位な処理水が排水される。このとき、バルブ10cを開成したままの状態でろ過装置通過後廃水を送水配管12に向けて循環させ続けてもよいし、バルブ10cを閉成するとともにバルブ16aを開成し、ろ過装置通過後廃水を濃縮廃水排水管16から排水してもよい。
[実施の形態2]
図3は、本発明の実施の形態2に係る無機性廃水の処理装置S2の全体構成を示す概略ブロック図である。この処理装置S2は、循環装置20以外の構成については実施の形態1に係る処理装置Sと略同様であるので、同様の符号を付して説明を省略する。
循環装置20は、その主循環路20aにポンプ20bとバルブ20cとを有し、ポンプ20aの下流側が送水配管循環路20dと反応槽循環路20eとに分岐されて、ろ過装置通過後廃水を送水配管12に向けて循環させることも反応槽4に向けて循環させることも可能に構成されている。送水配管循環路20dにはバルブ20fが設けられ、反応槽循環路20eにはバルブ20gが設けられ、各循環路が開閉可能となっている。主循環路20aの途中には、濃縮廃水を排水するための濃縮廃水排水管16がバルブ16aを有して接続されている。
このように構成することにより、ろ過装置通過後廃水を送水配管12又は反応槽4のいずれか一方に、又は両方に循環させることが選択可能となっている。送水配管12へろ過装置通過後廃水を循環させることにより、より迅速に多くの水酸化物フロックを得ることができ、ろ材8a上に迅速にケーキ層を形成することができる。一方、反応槽4へろ過装置通過後廃水を循環させることにより、ろ過装置通過後廃水にアルカリ剤と反応する機会を再度与えることができる。したがって、ろ過装置通過後廃水中に未反応の重金属イオンが残存しているような場合は、効果的に多くの水酸化物フロックを得ることができる。なお、ポンプ20bは、主循環路20a内の圧力よりも高い圧力を有する送水配管12内へろ過装置通過後廃水を圧入するために設置しているが、ろ過装置通過後廃水を反応槽4に循環させる場合には必ずしも必要ではない。いずれの循環方法も、ろ過能力を向上させてより高品質に無機性廃水から重金属を除去する方法であり、廃水処理上の種々の条件(装置コスト、無機性廃水の種類や濃度、アルカリ剤の種類、ろ材8aの種類等)に応じて適宜選択可能である。
[変形例]
上記実施の形態2においては、主循環路20aを送水配管循環路20dと反応槽循環路20eとに分岐したが、さらに原水槽に向けて循環させる原水槽循環路にも分岐するように構成してもよい。そうすることにより、ろ過装置通過後廃水にさらにアルカリ剤との反応の機会(反応時間)を多く与えることが可能となる。もちろん、原水槽2、反応槽4、送水配管12のいずれに向けて循環させるかは廃水処理上の種々の条件(装置コスト、無機性廃水の種類や濃度、アルカリ剤の種類、ろ材8aの種類等)に応じて適宜選択可能である。
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
[性能試験]
上記実施の形態1に係る処理装置Sを用いて、亜鉛を100mg/Lの濃度で含有する無機性廃水A及びカドミウムを100mg/Lの濃度で含有する無機性廃水Bの廃水処理性能試験を行った。
クロスフロー式ろ過装置のろ材としてポリプロピレン製の精密ろ過膜(孔径2μm)を使用し、処理装置Sの運転圧力を0.2MPaとし、循環装置10による循環水量を処理水量の10倍とした。
廃水処理を5分行うごとに、ろ材8aの洗浄を逆洗(処理水をろ材8aに対しろ過方向と逆方向に流してろ材を洗浄する方法)により15秒間行い、廃水処理開始直後及びろ材8aの洗浄直後に毎回循環工程を3分間行った。これによる無機性廃水A,Bの廃水処理性能試験結果を表1に示す。
Figure 0004482488
[比較試験1]
上記性能試験で用いた処理装置S、無機性廃水A,Bを用い、循環工程を行わずに(すなわち、廃水処理開始直後及びろ材8aの洗浄直後にもバルブ14aを開成した状態で)廃水処理を行った。比較試験1の試験結果を表2に示す。
Figure 0004482488
[比較試験2]
無機性廃水A,Bを用い、沈殿池を用いた重金属の分離により廃水処理を行った。水面積負荷を0.8m/dとし、従来型の中和凝集沈殿法を用いて、亜鉛を100mg/Lの濃度で含有する無機性廃水A及びカドミウムを100mg/Lの濃度で含有する無機性廃水Bの排水処理性能試験を行った。水酸化物生成条件は、アルカリ剤として苛性ソーダを用い、pHは10.5とし、反応時間は10分間とした。凝集剤は添加しなかった。比較試験2の試験結果を表3に示す。
Figure 0004482488
上記性能試験、比較試験1、及び比較試験2の各結果より、循環工程を用いた廃水処理によりきわめて高品位な処理水を得られることがわかった。
本発明の実施の形態1に係る無機性廃水の処理装置の全体構成を示す概略ブロック図である。 図1に示す無機性廃水の処理装置による処理工程を説明するフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係る無機性廃水の処理装置の全体構成を示す概略ブロック図である。
符号の説明
S,S2:処理装置(無機性廃水の処理装置)
2:原水槽
4:反応槽
4a:撹拌装置
4b:モータ
6:アルカリ剤添加装置
6a:アルカリ剤タンク
6b,10b,12a,20b:ポンプ
6c:pHコントローラ
8:ろ過装置(クロスフロー式ろ過装置)
8a:ろ材
10,20:循環装置
10a:循環路
10c,12b,14a,16a,20c,20f,20g:バルブ
12:送水配管
14:処理水排水管
16:濃縮廃水排水管
20a:主循環路
20d:送水配管循環路
20e:反応槽循環路

Claims (7)

  1. 不純物を含有する無機性廃水にアルカリ剤を添加することにより該不純物の不溶性水酸化物を生成させた後に、クロスフロー式ろ過装置を用いて該無機性廃水をろ過することによって前記無機性廃水中から前記不純物の不溶性水酸化物を分離し、該不純物が除去された処理水を得る無機性廃水の処理方法であって、
    前記処理水を排水せずに前記クロスフロー式ろ過装置の通過後であってろ過前の前記無機性廃水を前記クロスフロー式ろ過装置より上流側に所定時間循環させる循環工程を有することを特徴とする無機性廃水の処理方法。
  2. 前記不純物が、クロム(Cr)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、カドミウム(Cd)、マンガン(Mn)、鉛(Pb)、又は鉄(Fe)のうち少なくともいずれか1つの重金属であることを特徴とする請求項1に記載の無機性廃水の処理方法。
  3. 前記アルカリ剤が、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、又は炭酸ナトリウムのうち少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の無機性廃水の処理方法。
  4. 前記アルカリ剤を、前記無機性廃水のpHが9以上11以下となるように添加することを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の無機性廃水の処理方法。
  5. 前記循環工程を、ろ過開始直後、前記クロスフロー式ろ過装置に用いられるろ材の洗浄直後、又は該ろ材の交換直後に行うことを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の無機性廃水の処理方法。
  6. 前記所定時間が1分以上5分以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の無機性廃水の処理方法。
  7. 不純物を含有する無機性廃水を貯留する原水槽と、
    該無機性廃水にアルカリ剤を添加するアルカリ剤添加装置と、
    前記アルカリ剤と前記原水槽から送られた前記無機性廃水中の前記不純物とを反応させ、該不純物の不溶性水酸化物を生成させるための反応槽と、
    前記反応槽からの前記無機性廃水をろ過するクロスフロー式ろ過装置と、
    前記反応槽からの前記無機性廃水を前記クロスフロー式ろ過装置に送るための送水配管と、
    前記処理水を排水せずに前記クロスフロー式ろ過装置の通過後であってろ過前の前記無機性廃水を前記原水槽、前記反応槽、又は前記送水配管のうち少なくともいずれか1箇所に向けて所定時間循環させる循環装置と、を有することを特徴とする無機性廃水の処理装置。
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