JP4476126B2 - ウエビング巻取装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用のシートベルト装置を構成するウエビング巻取装置に関する。
ウエビング巻取装置としては、ウエビングが巻き取られるスプール(巻取軸)と、車両の加速度を検出する加速度センサを有する加速度検出機構と、車両の緊急時にスプールをウエビング巻取方向へ強制的に回転させるプリテンショナ機構と、を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
このウエビング巻取装置では、フレームの一側にプリテンショナ機構が配置される一方、フレームの他側に加速度検出機構が配置されて、フレームの一側と他側とで機構の配置バランス(スペース上のバランス)が良好にされている。
一方、このようなウエビング巻取装置に、例えば車両の衝突が予測された際にウエビングを巻き取るモータリトラクタ機構等のある程度配置スペースが必要な他の機構を追加する場合がある。この場合、例えば、当該他の機構をフレームの一側に配置し、プリテンショナ機構と加速度検出機構とを共にフレームの他側に配置することで、機構の配置バランスを良好にできる。
ところで、上述の如きプリテンショナ機構では、例えば、巻取軸に対して同軸的に設けられたピニオンと、ピニオンの近傍に設けられたシリンダと、シリンダ内に移動可能に設けられたピストンとを備えており、車両の緊急時には、シリンダ内のピストン一側にガスが供給されてピストンが他側へ移動することで、ピストンに形成されたラックがピニオンに噛合して、ピニオンを巻取方向へ回転させるようになっている。ピニオンにはクラッチが設けられており、ピニオンの回転時にはこのクラッチを介してピニオンと巻取軸とが連結され、巻取軸が巻取方向へ回転される。
さらに、上述の如きプリテンショナ機構では、一般にピストンのフランジ部には小さなガス抜き孔が形成されており、シリンダ内に供給された高圧のガスはこのガス抜き孔を介して排出されるようになっている。これにより、シリンダ内におけるガス圧の極度の上昇が防止されるようになっている。
ところが、前述の如く、プリテンショナ機構と加速度検出機構(加速度センサなど)とを共にスプールの同じ側に配置した場合には、ピストンのガス抜き孔から排出されるガスが加速度検出機構に影響を及ぼさないように何らかの対策を施す必要がある。
特開平8−133015号公報
本発明は上記事実を考慮し、巻取軸を巻取方向へ回転させるためのガスが他の構成部品に影響を及ぼすことを防止できるウエビング巻取装置を得ることを目的とする。
請求項に係る発明のウエビング巻取装置は、乗員拘束用のウエビングが巻取り引出し可能に巻き回される巻取軸と、前記巻取軸に係合可能に設けられ、前記巻取軸に係合した状態では前記巻取軸の引出方向への回転を阻止するロック部材と、前記巻取軸の軸線方向一側に設けられ、装置の移動加速度及び前記ウエビングの引出加速度を検出すると共に、当該検出結果に基づいて前記ロック部材を前記巻取軸に係合させる加速度検出機構と、前記加速度検出機構の近傍に設けられ、シリンダ内に供給したガスをピストンに形成されたガス抜き孔から排出しつつ前記シリンダ内のガス圧によって前記ピストンを移動させて前記巻取軸を巻取方向へ回転させるプリテンショナ機構と、前記加速度検出機構に対して前記プリテンショナ機構側に設けられ、前記排出ガスを前記プリテンショナ機構側へ案内し、前記排出ガスの前記加速度検出機構への吹き付けを遮断する遮断壁と、を備えたことを特徴としている。
請求項記載のウエビング巻取装置では、巻取軸の軸線方向一側に設けられた加速度検出機構が装置の移動加速度及びウエビングの引出加速度を検出し、当該検出結果に基づいてロック部材を巻取軸に係合させる。これにより、巻取軸の引出方向への回転が阻止される。
また、加速度検出機構の近傍に設けられたプリテンショナ機構のシリンダ内にガスが供給されると、このガスの圧力によってピストンが移動して巻取軸が巻取方向へ回転される。このピストンにはガス抜き孔が形成されており、シリンダ内に供給されたガスはこのガス抜き孔から排出される。
ここで、加速度検出機構に対してプリテンショナ機構の側には遮断壁が設けられており、ピストンのガス抜き孔から排出されたガスの加速度検出機構への吹き付けが、この遮断壁によって遮断される。これにより、当該排出ガスが加速度検出機構(他の構成部品)に影響を及ぼすことを防止できる。
請求項に係る発明のウエビング巻取装置は、乗員拘束用のウエビングが巻取り引出し可能に巻き回される巻取軸と、前記巻取軸の軸線方向一側に設けられ、装置の移動加速度を検出する加速度センサと、筒状に形成されて前記加速度センサの近傍に設けられたシリンダと、前記シリンダの内面に移動可能に嵌合されると共に一側から他側へ貫通するガス抜き孔が形成されたフランジ部と該フランジ部の他側へ延設されたラックバーとを有し、所定時に前記シリンダ内の前記フランジ部一側にガスが供給されることで前記ガス抜き孔からガスを排出しつつ他側へ移動するピストンと、前記巻取軸に対して同軸的に設けられ、前記ピストンの移動時に前記ラックバーに噛合して回転されることで前記巻取軸に連結して前記巻取軸を巻取方向へ回転させるピニオンと、前記ピニオンと前記加速度センサとの間に設けられ、前記排出ガスを前記ピニオン側へ案内し、前記排出ガスの前記加速度センサへの吹き付けを遮断する遮断壁と、を備えたことを特徴としている。
請求項記載のウエビング巻取装置では、巻取軸の軸線方向一側に設けられた加速度センサが装置の移動加速度を検出する。また、加速度センサの近傍にはシリンダが設けられており、このシリンダの内面にはピストンのフランジ部が移動可能に嵌合している。このピストンは、所定時にシリンダ内のフランジ部一側にガスが供給されることで、フランジ部に形成されたガス抜き孔からガスを排出しつつ他側へ移動する。このため、フランジ部の他側へ延設されたラックバーが、巻取軸に対して同軸的に設けられたピニオンに噛合してピニオンを巻取方向へ回転させる。これにより、巻取軸が巻取方向へ回転されてウエビングが巻き取られる。
ここで、ピニオンと加速度センサとの間には遮断壁が設けられており、ピストンのガス抜き孔から排出されたガスの加速度センサへの吹き付けが、この遮断壁によって遮断される。これにより、当該排出ガスが加速度センサ(他の構成部品)に影響を及ぼすことを防止できる。
請求項に係る発明のウエビング巻取装置は、請求項記載のウエビング巻取装置において、前記遮断壁は、前記巻取軸と前記ピニオンとの間に設けられて前記巻取軸の軸線方向位置を所定位置で保持する樹脂製のギヤケースに一体的に形成され前記巻取軸とは反対側へ向けて立設されている、ことを特徴としている。
請求項記載のウエビング巻取装置では、巻取軸とピニオンとの間には、巻取軸の軸線方向位置を所定位置で保持する樹脂製のギヤケースが設けられている。このギヤケースには、巻取軸とは反対側へ向けて遮断壁が一体的に立設されており、この遮断壁によって、ピストンのガス抜き孔から排出されるガスの加速度センサへの吹き付けが遮断される。このように樹脂製のギヤケースに遮断壁を一体的に形成した構成であるため、遮断壁の製造が容易である。
以上説明した如く、本発明に係るウエビング巻取装置では、巻取軸を巻取方向へ回転させるためのガスが他の構成部品に影響を及ぼすことを防止できる。
図3には、本発明の実施の形態に係るウエビング巻取装置10の構成が分解斜視図にて示されている。
本実施の形態に係るウエビング巻取装置10は、上面視コ字形板状のフレーム12を備えており、フレーム12は、車室内に固定されている。フレーム12の一側壁12A上端と他側壁12B上端との間には連結片14が架け渡されており、連結片14は、車室内に固定されると共に、挿通孔16が形成されている。また、フレーム12の一側壁12Aには、略円形の貫通孔15が形成されており、他側壁12Bには、円形の貫通孔13が形成されている。
フレーム12の一側壁12Aと他側壁12Bとの間には、巻取軸としての円筒状のスプール18が回転自在に支持されている。スプール18には、長尺帯状の乗員拘束用ウエビング20の基端部が、円柱状のシャフト22によって係止されており、スプール18をその軸線周り一方(以下、この方向を「巻取方向」と称する)へ回転させると、ウエビング20がその基端側からスプール18の外周部に巻き取られる。一方、ウエビング20をその先端側から引っ張れば、これに伴いスプール18が回転しながらウエビング20が引き出される(以下、ウエビング20を引き出す際のスプール18の回転方向を「引出方向」と称する)。
スプール18の軸心部には、フォースリミッタ機構を構成するトーションシャフト24(エネルギー吸収部材)が配置されている。トーションシャフト24は、鉄等の金属材料によって形成されており、所定値以上の捩れ荷重を付与されることで捩れ変形可能な捩れ変形部23と、捩れ変形部23の軸線方向一端部(矢印A方向側の端部)に同軸的かつ一体的に設けられた支軸部25とを備えている。この支軸部25は、一側壁12Aの貫通孔15を非接触状態で貫通してフレーム12の外側(矢印A方向側)へ突出している。
また、捩れ変形部23の軸線方向他端部(矢印B方向側の端部)には、ネジ部材26が螺合されており、このネジ部材26によって、捩れ変形部23の軸線方向他端部とスプール18の軸線方向他端部(矢印B方向側の端部)とが一体的に連結されている。これにより、トーションシャフト24はスプール18と一体に回転する。
スプール18の軸線方向一側(矢印A方向側)には、フォースリミッタ機構を構成するロックギヤ28が設けられている。ロックギヤ28は、一側壁12Aの貫通孔15内に配置されて、捩れ変形部23の軸線方向一端部(矢印A方向側の端部)に係止されており、捩れ変形部23が捩れ変形された際以外には、ロックギヤ28はトーションシャフト24及びスプール18と一体に回転する。ロックギヤ28の外周には、ラチェット歯30が形成されている。さらに、ロックギヤ28の中心部には円形のローレット孔32が形成されており、ローレット孔32は軸線方向一側(矢印A方向側)へ開放されると共に、ローレット孔32の内周面全体にはローレット加工が施されてローレット面34が形成されている。
フレーム12の他側(矢印B方向側)には、付勢機構36が設けられている。付勢機構36はスプリングシート38を有しており、スプリングシート38はフレーム12の他側壁12Bの外側に取り付けられている。スプリングシート38は、ネジ部材26をフレーム12の他側へ突出させた状態で、スプール18の他側面を被覆している。スプリングシート38の他側(矢印B方向側)はスプリングカバー40に被覆されており、スプリングカバー40はフレーム12の他側壁12Bの外側に取り付けられている。スプリングカバー40には略円柱状の凹部42が形成されており、凹部42は一側(矢印A方向側)へ開口している。
スプリングカバー40の凹部42内には、渦巻きスプリング44が設けられており、渦巻きスプリング44の外側端は凹部42の内周面に固定されている。渦巻きスプリング44の内側端はネジ部材26に固定されており、渦巻きスプリング44は、ネジ部材26を介して、トーションシャフト24、スプール18及びロックギヤ28を巻取方向へ付勢している。
フレーム12の一側壁12Aの外側(矢印A方向側)には、樹脂製のギヤケース52が設けられている。ギヤケース52はロックギヤ28の軸線方向一側(矢印A方向側)を被覆しており、ロックギヤ28すなわちスプール18の軸線方向位置を所定位置で保持している。ギヤケース52の中央部には円孔54が形成されており、円孔54は、ロックギヤ28のローレット孔32を露出させている。また、ギヤケース52の斜め下部には、略板状の支持部53が一体的に形成されており、図2に示す如く、支持部53には円状の支持孔55が貫通形成されている。この支持孔55は、後述するロック部材46に対応している。
さらに、図1にも示す如く、円孔54の斜め下部には、円孔54と同心の円弧状に形成された遮断壁57がギヤケース52の一側(図1では紙面に垂直な方向手前側、図2及び図3では矢印A方向側)へ向けて一体的に立設されている。遮断壁57の湾曲方向一端部(下端部)は、円孔54の径方向外側へ向けて屈曲しており、ギヤケース52の外周部(下端部)まで延出されている。
フレーム12の一側壁12Aと他側壁12Bとの間には、ロック部材46が架け渡されており、ロック部材46は他側(矢印B方向側)への移動をフレーム12の他側壁12Bに阻止されている。ロック部材46の一側端(矢印A方向側の端部)にはロックプレート48が設けられている。ロックプレート48はロックギヤ28の斜め下方に配置されている。ロックプレート48の一端(矢印D方向側の端部)には円軸状の回動軸49が一体に形成されており、回動軸49がギヤケース52の支持孔55(図2参照)に挿通されることで、ロックプレート48が回動軸49においてギヤケース52の支持部53に回動可能に支持されている。ロックプレート48の他端(矢印C方向側の端部)にはロック歯50が形成されており、ロックプレート48は、反ロックギヤ28側に配置されて、ロック歯50がロックギヤ28のラチェット歯30に噛合できない状態にされている。
フレーム12の一側壁12Aの外側(スプール18とは反対側)には、プリテンショナ機構56が設けられている。プリテンショナ機構56は、ギヤケース52の一側(矢印A方向側)においてスプール18に対して同軸的に配置されたピニオン58を有している。ピニオン58は、鉄等の金属材料によって形成されており、外周部にピニオン歯が形成されたギヤ部60を有している。
ギヤ部60の軸線方向他側(矢印B方向側)には、円筒状のカム部62が同軸的かつ一体的に設けられており、カム部62の外周には凹凸が交互に形成されている。カム部62は、ギヤケース52の円孔54を介してローレット孔32内に挿入されると共に、ローレット面34に接触しておらず、ロックギヤ28はピニオン58と独立して回転可能とされている。このカム部62は、後述するクラッチプレート64に対応している。
また、ギヤ部60の軸線方向一側(矢印A方向側)には、円筒状の回転支軸部61が同軸的かつ一体的に設けられている。回転支軸部61は、後述するカバープレート80に形成された円孔81を貫通すると共にスナップリング83によって係止されており、ピニオン58はカバープレート80によって回転可能に支持されている。
さらに、ピニオン58(ギヤ部60、カム部62、及び回転支軸部61)の軸心部には、軸線方向に沿って貫通する円形の孔部63が形成されており、トーションシャフト24の支軸部25が同軸的に貫通している。なお、孔部63の内径寸法は、トーションシャフト24の支軸部25の外径寸法に比べて、充分に大きく形成されており、支軸部25は、孔部63を非接触状態で貫通している。
一方、プリテンショナ機構56は、クラッチプレート64を有しており、クラッチプレート64はギヤケース52とピニオン58との間に配置されている。クラッチプレート64の中心側には複数の噛合爪66が形成されており、各噛合爪66はクラッチプレート64から軸線方向他側(矢印B方向側)へ突出している。各噛合爪66は前述したカム部62の各凹部に嵌合されており、これにより、クラッチプレート64がピニオン58に取り付けられている。各噛合爪66は、カム部62と共にギヤケース52の円孔54を介してローレット孔32内に挿入されると共に、ローレット面34に接触しておらず、ロックギヤ28はクラッチプレート64と独立して回転可能とされている。
また、プリテンショナ機構56は、作動源67を備えている。作動源67は略L字形円筒状のシリンダ68を有しており、シリンダ68はピニオン58の下方においてフレーム12の一側壁12Aの外側(矢印A方向側)に固定されている。シリンダ68の一側端(矢印D方向側)には、ガス発生器70が設けられると共に、有底円筒状のジェネレータキャップ72が固定されており、ガス発生器70は、ジェネレータキャップ72が被せられた状態でシリンダ68の一側端を閉塞している。
作動源67は、棒状に形成されてシリンダ68内に設けられたピストン74を有している。ピストン74は、シリンダ68の内面に移動可能に嵌合する鍔状のフランジ部75と、該フランジ部75の他側(矢印C方向側)へ延設されたラックバー78とを有している。フランジ部75の一側(矢印D方向側)にはOリング76が取り付けられており、Oリング76はピストン74の一端とシリンダ68との間をシールしている。また、フランジ部75には、一側から他側へ貫通する図示しないガス抜き孔が形成されている。
一方、プリテンショナ機構56は、金属材料によって略三角柱容器状に形成されたカバープレート80を有しており、カバープレート80は一側壁12Aの外側(矢印A方向側)に固定されている。前述の如く、カバープレート80の円孔81には、ピニオン58が回転可能に支持されており、ピニオン58の孔部63を貫通した支軸部25が、カバープレート80の一側(矢印A方向側)へ突出している。このカバープレート80の他側(矢印B方向側)及び下側(矢印D方向側)は開口されており、カバープレート80は、内部にピニオン58、クラッチプレート64、及び、ピストン74の上部を収容すると共に、フレーム12の一側壁12Aとの間で、ギヤケース52を挟持している。
ここで、図1に示す如く、カバープレート80の下側開口部は、シリンダ68の他端部(矢印C方向側の端部)に対応する部分を除いて、ギヤケース52の遮断壁57により閉塞されている。
一方、プリテンショナ機構56の一側(矢印A方向側)には、加速度検出機構82が設けられている。加速度検出機構82は、他側(矢印B方向側)が開口された箱状のセンサホルダ84を有している。センサホルダ84は、樹脂材料によって形成されており、一側壁12Aのスプール18とは反対側に取り付けられている。センサホルダ84の底壁には、円形の軸受孔85が形成されており、ピニオン58の孔部63を貫通した支軸部25(トーションシャフト24)の一端部(矢印A方向側の端部)が、この軸受孔85によって回転自在に支持されている。
センサホルダ84の一側(矢印A方向側)は、他側(矢印B方向側)が開口された箱状のセンサカバー86に被覆されており、センサカバー86は、センサホルダ84及びフレーム12の一側壁12Aに固定されている。
センサホルダ84の下部(矢印D方向側の端部)には加速度センサ88が保持されている。加速度センサ88は、シリンダ68の近傍でかつギヤケース52の遮断壁57に対してピニオン58とは反対側に配置されている(加速度センサ88に対して遮断壁57はプリテンショナ機構56側に配置されている)。
この加速度センサ88は、載置部90を有している。載置部90の上面には略逆円錐状の凹部が形成されており、載置部90の凹部には球体92が載置されている。球体92の上方には可動爪94が回動自在に支持されており、可動爪94は球体92上に載置されている。
センサホルダ84とセンサカバー86との間の隙間内には、Vギヤ96が設けられており、Vギヤ96は、支軸部25の軸線方向一端部(矢印A方向側の端部)に一体的に連結されて、トーションシャフト24と一体に回転する。また、Vギヤ96の外周にはラチェット歯98が形成されている。
Vギヤ96にはWパウル100が回動可能に支持されており、Wパウル100にはWマス102が固定されている。Vギヤ96とWパウル100との間にはセンサスプリング104が架け渡されており、センサスプリング104はWパウル100に対してVギヤ96を巻取方向へ付勢している。
センサホルダ84とセンサカバー86との間の隙間内には、Vギヤ96の一側(矢印A方向側)において、略円盤状のギヤセンサ106が設けられており、ギヤセンサ106は、支軸部25の軸線方向一端部に回転可能に支持されている。ギヤセンサ106には、センサカバー86の内面との間でコイルスプリング108が架け渡されており、コイルスプリング108はギヤセンサ106を巻取方向へ付勢している。
ギヤセンサ106の下部(矢印D方向側の端部)には、一側(矢印A方向側)において係合爪110が回転可能に支持されており、係合爪110は、回転中心軸がトーションシャフト24の軸方向に平行にされると共に、Vギヤ96のラチェット歯98に噛合可能とされている。さらに、ギヤセンサ106の下部には、他側(矢印B方向側)において押圧片112が形成された構成である。
ここで、本実施の形態に係るウエビング巻取装置10では、車両の緊急時(例えば急減速時等の所定時)には、プリテンショナ機構56のガス発生器70が作動することでシリンダ68内のフランジ部75(ピストン74)の一側(矢印D方向側)にガスが供給され、このガスの圧力によって、ピストン74がOリング76と共にシリンダ68内を他側(ピニオン58側、矢印C方向側)へ移動されるようになっている。移動されたピストン74は、図1に示す如く、ラックバー78がピニオン58のギヤ部60に噛合し、このラックバー78の移動によりピニオン58が巻取方向へ回転される構成である。
またここで、このプリテンショナ機構56では、上述の如きピストン74の移動の際には、シリンダ68内に供給されたガスが、ピストン74のフランジ部75に形成された図示しないガス抜き孔を介してピニオン58側へ排出されるようになっており、排出されたガスは、ピニオン58と遮断壁57との間を通過してカバープレート80の上端側などから装置の外側へ排出されるようになっている(図1の矢印E参照)。すなわち、遮断壁57は、プリテンショナ機構56の排出ガスの排出方向を所定方向へ案内する案内壁として機能する構成である。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
上記構成のウエビング巻取装置10では、付勢機構36の渦巻きスプリング44が、ネジ部材26を介して、トーションシャフト24、スプール18及びロックギヤ28を巻取方向へ付勢することで、ウエビング20がスプール18へ巻き取られる方向へ付勢されている。
加速度検出機構82の加速度センサ88は、車両の加速度(ウエビング巻取装置10の移動加速度)が所定加速度以上であることを検出する。すなわち、車両の加速度が所定加速度以上である際(例えば車両の急減速時)には、加速度センサ88の球体92が載置部90の凹部を反加速度方向側へ移動して上昇し可動爪94を押し上げる。これにより、可動爪94がギヤセンサ106の係合爪110を回転させてVギヤ96のラチェット歯98に噛合させることで、ギヤセンサ106がVギヤ96と連結された状態となる。
加速度検出機構82のWパウル100、Wマス102及びセンサスプリング104は、ウエビング20の引出加速度(スプール18の引出方向への回転加速度)が特定加速度以上であることを検出する。すなわち、ウエビング20の引出加速度が特定加速度以上である際には、スプール18及びトーションシャフト24を介して引出方向へ回転されるVギヤ96に対してWパウル100及びWマス102が慣性により引出方向への回転を抑制されることで、Wパウル100及びWマス102がVギヤ96に対して回動される。これにより、Wパウル100がギヤセンサ106の係合爪110を回転させてVギヤ96のラチェット歯98に噛合させることで、ギヤセンサ106がVギヤ96と連結された状態となる。
以上の如くギヤセンサ106がVギヤ96と連結された状態となった際には、乗員からウエビング20への引出荷重によって、スプール18及びトーションシャフト24を介してVギヤ96及びギヤセンサ106が引出方向へ幾分回転する。なお、この場合、Wパウル100及びWマス102の慣性により増加したセンサスプリング104の付勢力によってVギヤ96及びギヤセンサ106の回転力が低減される。
このようにギヤセンサ106が引出方向へ幾分回転されることで、ギヤセンサ106の押圧片112がロック部材46のロックプレート48をロックギヤ28側へ回動させる。これにより、乗員からウエビング20へ引出荷重が付与されて、スプール18、トーションシャフト24及びロックギヤ28に引出方向へ回転力が付与されることで、ロックプレート48のロック歯50がロックギヤ28のラチェット歯30に噛合して、ロックギヤ28の引出方向への回転が阻止され、ウエビング20の引き出しが阻止される。
さらに、このようにウエビング20の引き出しが阻止された状態において、乗員からウエビング20及びスプール18を介してトーションシャフト24へ付与される捩れ荷重が所定値以上である際には、フォースリミッタ機構が作動されて、トーションシャフト24の捩れ変形部23が捩れ変形されることで、スプール18がロックギヤ28と独立して引出方向へ回転される。これにより、ウエビング20が引き出されて、ウエビング20から乗員へ作用する荷重(エネルギ)が吸収される。
また、車両の緊急時(例えば急減速時等の所定時)には、プリテンショナ機構56のガス発生器70が、シリンダ68内のフランジ部75(ピストン74)一側(矢印D方向側)にガスを供給することで、ピストン74がフランジ部75のガス抜き孔からピニオン58側へ向けてガスを排出しつつ、シリンダ68内を他側(ピニオン58側、矢印C方向側)へ移動される。ピストン74が移動されると、ピストン74のラックバー78がピニオン58のギヤ部60に噛合し、ピニオン58が巻取方向へ回転される。このため、ピニオン58がクラッチプレート64に対して相対回転されて、ピニオン58のカム部62の各凸部にクラッチプレート64の各噛合爪66が嵌合されることで、クラッチプレート64の各噛合爪66が、クラッチプレート64の径方向外側へ移動されて、ロックギヤ28のローレット面34に噛合する。これにより、ピニオン58がクラッチプレート64を介してロックギヤ28に連結され、ロックギヤ28がクラッチプレート64及びロックギヤ28と一体で巻取方向へ回転される。これにより、ロックギヤ28と一体でトーションシャフト24及びスプール18が巻取方向へ回転されて、ウエビング20が巻き取られる。
ここで、本発明の実施の形態に係るウエビング巻取装置10では、上述の如く、プリテンショナ機構56の作動時には、シリンダ68内の作動用ガスが、ピストン74のフランジ部75に形成された図示しないガス抜き孔を介してピニオン58側へ排出されるが、ピニオン58と加速度センサ88との間には遮断壁57が設けられているため、当該排出ガスは、ピニオン58と遮断壁57との間を通過してカバープレート80の上端側などから装置の外側へ排出される(図1の矢印E参照)。これにより、当該排出ガスの加速度センサ88への吹き付けが遮断され、当該排出ガスが加速度センサ88に影響を及ぼすことを防止できる。
しかも、遮断壁57によって、上記排出ガスの加速度検出機構82(Wパウル100、Wマス102、センサスプリング104、及びギヤセンサ106など)への吹き付けも遮断されるので、上記排出ガスが加速度検出機構82に影響を及ぼすことを防止できる。
またしかも、遮断壁57は、ロックギヤ28(スプール18)とピニオン58との間に設けられてスプール18の軸線方向位置を所定位置で保持する樹脂製のギヤケース52に一体に形成されている。このため、遮断壁57の成形が容易であると共に、遮断壁57を容易に薄肉に成形できる。またしかも、遮断壁57とギヤケース52が一体であるため、両者を別部品とした場合に比べて部品点数を低減でき低コスト化を図れると共に、組付け作業が容易である。
以上説明した如く、本発明の実施の形態に係るウエビング巻取装置10では、スプール18を巻取方向へ回転させるためのガスが加速度センサ88を含む加速度検出機構82(他の構成部品)に影響を及ぼすことを防止できる。
なお、上記実施の形態では、遮断壁57をギヤケース52に一体に形成する構成としたが、これに限らず、例えば、遮断壁57をカバープレート80に一体に形成する構成としてもよいし、また、遮断壁57をフレーム12の一側壁12Aに一体に形成する構成としてもよい。
本発明の実施の形態に係るウエビング巻取装置の主要部の構成を示す側面図である。 本発明の実施の形態に係るウエビング巻取装置の主要部の構成を示す分解斜視図である。 本発明の実施の形態に係るウエビング巻取装置の全体構成を示す分解斜視図である。
符号の説明
10 ウエビング巻取装置
18 スプール(巻取軸)
20 ウエビング
52 ギヤケース
56 プリテンショナ機構
57 遮断壁(案内壁)
58 ピニオン
68 シリンダ
74 ピストン
75 フランジ部
78 ラックバー
82 加速度検出機構
88 加速度センサ

Claims (3)

  1. 乗員拘束用のウエビングが巻取り引出し可能に巻き回される巻取軸と、
    前記巻取軸に係合可能に設けられ、前記巻取軸に係合した状態では前記巻取軸の引出方向への回転を阻止するロック部材と、
    前記巻取軸の軸線方向一側に設けられ、装置の移動加速度及び前記ウエビングの引出加速度を検出すると共に、当該検出結果に基づいて前記ロック部材を前記巻取軸に係合させる加速度検出機構と、
    前記加速度検出機構の近傍に設けられ、シリンダ内に供給したガスをピストンに形成されたガス抜き孔から排出しつつ前記シリンダ内のガス圧によって前記ピストンを移動させて前記巻取軸を巻取方向へ回転させるプリテンショナ機構と、
    前記加速度検出機構に対して前記プリテンショナ機構側に設けられ、前記排出ガスを前記プリテンショナ機構側へ案内し、前記排出ガスの前記加速度検出機構への吹き付けを遮断する遮断壁と、
    を備えたウエビング巻取装置。
  2. 乗員拘束用のウエビングが巻取り引出し可能に巻き回される巻取軸と、
    前記巻取軸の軸線方向一側に設けられ、装置の移動加速度を検出する加速度センサと、
    筒状に形成されて前記加速度センサの近傍に設けられたシリンダと、
    前記シリンダの内面に移動可能に嵌合されると共に一側から他側へ貫通するガス抜き孔が形成されたフランジ部と該フランジ部の他側へ延設されたラックバーとを有し、所定時に前記シリンダ内の前記フランジ部一側にガスが供給されることで前記ガス抜き孔からガスを排出しつつ他側へ移動するピストンと、
    前記巻取軸に対して同軸的に設けられ、前記ピストンの移動時に前記ラックバーに噛合して回転されることで前記巻取軸に連結して前記巻取軸を巻取方向へ回転させるピニオンと、
    前記ピニオンと前記加速度センサとの間に設けられ、前記排出ガスを前記ピニオン側へ案内し、前記排出ガスの前記加速度センサへの吹き付けを遮断する遮断壁と、
    を備えたウエビング巻取装置。
  3. 前記遮断壁は、前記巻取軸と前記ピニオンとの間に設けられて前記巻取軸の軸線方向位置を所定位置で保持する樹脂製のギヤケースに一体的に形成され前記巻取軸とは反対側へ向けて立設されている、ことを特徴とする請求項記載のウエビング巻取装置。
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