JP4475234B2 - 積層型セラミックコンデンサ - Google Patents

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Description

本発明は、積層型セラミックコンデンサに関し、さらに詳しくは、誘電体層が薄い小型の積層型セラミックコンデンサであって、誘電率が高く、取得静電容量が大きい積層型セラミックコンデンサに関するものである。
積層型セラミックコンデンサは、小型、大容量、高信頼性の電子部品として広く利用されており、電子機器中に多数使用されている。近年の電子機器の小型化・高性能化に伴い、積層型セラミックコンデンサにおいても、小型化、大容量化、低価格化及び高信頼性化の要求がますます厳しくなっている。
積層型セラミックコンデンサは、誘電体層と内部電極層とが1つずつ交互に所定数積層されている積層誘電体素子本体に外部電極を形成したものである。積層誘電体素子本体は、内部電極層になる原料組成物層と誘電体層になる原料組成物層との積層体を焼成することによって作製されるので、内部電極層の原料組成物は、誘電体層の原料組成物と同時に焼成しても当該誘電体層の原料組成物と反応しないものである必要がある。そのため、従来は、内部電極層の材料に白金(Pt)又はパラジウム(Pd)などの貴金属を用いていた。しかし、これらの貴金属は高価であり、積層セラミックコンデンサの大容量化に伴って内部電極層の割合が増加するに従い、コスト的にあわないという問題が生じた。
そこで、内部電極層の材料に安価な卑金属であるニッケルを用いると共に、ニッケルが酸化しない還元雰囲気中において焼成可能な誘電体材料や、これらの材料を用いたときの焼成条件の開発が進められた結果、大幅なコストダウンが実現されている。
ところで、電子機器の小型、高機能化に伴い、電子部品である積層セラミックコンデンサに対しても小型化が要求されており、積層型セラミックコンデンサを小型化するとその有効面積が減少して、静電容量も低下する。積層型セラミックコンデンサの静電容量Cは、式 C=ε×ε×n×S/d (式中、Cは静電容量[F]、nは有効誘電体層数、εは真空の誘電率、εは比誘電率、Sは有効面積[m]、dは誘電体層の厚み[m]を表している。)によって表すことができる。
積層セラミックコンデンサを小型化しても小型化前と同じ静電容量を得るためには、個々の誘電体層の薄層化、及び誘電体層の多層化が必須条件となることが上記の式よりわかる。しかしながら、個々の誘電体層を薄くし且つその積層数を多くすると、構造欠陥が発生し易くなるという問題が生じる。この問題は、誘電体層の積層数が多くなるほど顕著になり、積層型セラミックコンデンサに対する小型化及び大容量化の要求により個々の誘電体層の薄層化、及び誘電体層の多層化が進んで積層数が増加している近年においては、特に深刻である。
こうした問題に対しては、従来より、多方面からの検討が行われている。例えば、特許文献1には、圧縮残留応力を50MPa以下にして機械的強度の向上を図った積層型セラミックコンデンサが記載されている。また、特許文献2には、積層型セラミックコンデンサを構成する内部電極層中の含有成分を調整することにより、積層方向の膨張率や幅方向の膨張率を所定の範囲にすることができ、製造過程でのクラックの発生を抑制して不良率を低減させることができることが記載されている。
特開平8−236386号公報 再公表特許WO 01/033588号公報
本発明は、積層型セラミックコンデンサを小型化する際に行う誘電体層の薄層化と多層化とに伴って発生する問題についての検討中に得られた知見に基づいてなされたものであって、その目的は、誘電率が高く且つ取得静電容量が大きい信頼性の高い積層型セラミックコンデンサを提供することにある。
本件発明者等は、積層型セラミックコンデンサの誘電体層を薄くし且つ積層数を多くした場合に多く発生する構造欠陥と、積層型セラミックコンデンサの各種の物性との関係を詳細に検討している過程で、積層型セラミックコンデンサに残存する応力と誘電率との間に密接な関係があることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、積層型セラミックコンデンサがある値以上の残留応力を有する場合に、その積層型セラミックコンデンサの誘電率が高くなり、その結果、取得静電容量が大きくなることを見出した。
本発明は上記の知見に基づいてなされたものであって、本発明の第1の観点による積層型セラミックコンデンサは、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された積層誘電体素子本体と、当該内部電極層を当該積層誘電体素子本体の両端部で交互に接続する一対の外部電極とを有する積層型セラミックコンデンサにおいて、前記積層誘電体素子本体内部には、当該積層誘電体素子本体での電界方向と平行な方向の引張応力が残留しており、前記電界方向と平行に前記積層誘電体素子本体内部から露出させた露出面でX線回折測定により算出される前記引張応力の値が50MPa以上であることを特徴とする。
この発明の積層型セラミックコンデンサでは、積層誘電体素子本体内部に上記の引張応力が残留しているので、そうした積層型セラミックコンデンサでは、結果として高い誘電率が得られ、且つ大きな取得静電容量が得られる。なお、一般に、引張応力はプラス(+)の値で表される。
本発明の第2の観点による積層型セラミックコンデンサは、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された積層誘電体素子本体と、当該内部電極層を当該積層誘電体素子本体の両端部で交互に接続する一対の外部電極とを有する積層型セラミックコンデンサにおいて、前記積層誘電体素子本体内部には、前記両端部同士を繋ぐ方向の圧縮応力が残留しており、前記積層誘電体素子本体での電界方向と平行に前記積層誘電体素子本体内部から露出させた露出面でX線回折測定により算出される前記圧縮応力の値が50MPa以上であることを特徴とする。
この発明の積層型セラミックコンデンサでは、積層誘電体素子本体内部に上記の圧縮応力が残留しているので、そうした積層型セラミックコンデンサでは、結果として高い誘電率が得られ、且つ大きな取得静電容量が得られる。なお、一般に、圧縮応力はマイナス(−)の値で表される。
本発明の第3の観点による積層型セラミックコンデンサは、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された積層誘電体素子本体と、当該内部電極層を当該積層誘電体素子本体の両端部で交互に接続する一対の外部電極とを有する積層型セラミックコンデンサにおいて、前記積層誘電体素子本体の外表面には、前記両端部同士を繋ぐ方向の圧縮応力が残留しており、当該積層誘電体素子本体での電界方向と直交する外表面でX線回折測定により算出される前記圧縮応力の値が100MPa以上であることを特徴とする。
この発明の積層型セラミックコンデンサでは、電界方向と直交する外表面に上記の圧縮応力が残留しているので、そうした積層型セラミックコンデンサでは、結果として高い誘電率が得られ、且つ大きな取得静電容量が得られる。
そして、本発明の第4の観点による積層型セラミックコンデンサは、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された積層誘電体素子本体と、当該内部電極層を当該積層誘電体素子本体の両端部で交互に接続する一対の外部電極とを有する積層型セラミックコンデンサにおいて、前記積層誘電体素子本体の外表面には、前記両端部同士を繋ぐ方向の応力が残留しており、当該積層誘電体素子本体での電界方向と直交する外表面でX線回折測定により算出される前記応力の値をLSとし、前記誘電体層の積層数をnとし、Bを比例定数としたとき、式 LS=−Ln(n)×B (式中、Lnは自然対数を表す。)、10≦B≦300 が成り立つことを特徴とする。なお、LS=−Ln(n)×B、50≦B≦200、の関係が成り立つことがより好ましい。
この発明の積層型セラミックコンデンサでは、上述した残留応力LSと誘電体層の積層数nと比例定数Bとが、LS=−Ln(n)×B、10≦B≦300、の関係を満たすので、そうした積層型セラミックコンデンサでは、結果として高い誘電率が得られ、且つ大きな取得静電容量が得られる。
上記第1〜第4の観点の各積層型セラミックコンデンサにおいては、前記内部電極層がニッケル又はニッケル合金からなり、当該内部電極層の材料粉の平均粒径が0.5μm以下であることが好ましい。この材料粉の平均粒径は、0.3μm以下であることがより好ましく、0.15μm以下であることがさらに好ましい。
内部電極層の材料粉の平均粒径が上記範囲の積層型セラミックコンデンサでは、内部電極層が形成される焼成温度が低くなるので、誘電体層が形成される焼成温度との温度差を大きくすることができると共に、収縮率の差も大きくすることができる。その結果、上記第1〜第4の観点の各積層型セラミックコンデンサに大きな残留応力を付与でき、結果として、当該積層型セラミックコンデンサの誘電率を高くする共に、その取得静電容量を大きくすることができる。
本発明のいずれの観点の積層セラミックコンデンサにおいても、隣り合う2つの内部電極層によって挟まれた誘電体層の厚さが5μm以下であることが好ましい。この誘電体層の厚さは、より好ましくは2μm以下である。個々の誘電体層の厚さが薄く、且つ内部電極層の厚さとの差が小さければ、誘電体と内部電極材料(ニッケル、又はニッケル合金等)との焼結挙動の差に起因する効果がより強くなるため、積層誘電体素子本体での残留応力が大きくなり、結果として高い誘電率の積層型セラミックコンデンサを得ることができる。
本発明のいずれの観点の積層型セラミックコンデンサにおいても、(1)前記誘電体層が主成分としてチタン酸バリウムを含有すること、(2)前記誘電体層に焼結助剤が含まれており、当該焼結助剤が、ケイ素酸化物を主成分として含有していると共に、Mの酸化物(ただし、Mは、Ba、Ca、Sr及びMgから選ばれる少なくとも1種の元素)、リチウム酸化物、及びホウ素酸化物の少なくとも1種を含有していること、(3)前記誘電体層が、マグネシウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物、ストロンチウム酸化物、及びクロム酸化物から選択される少なくとも1種の第1副成分と、R1の酸化物(ただし、R1はSc、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Dy、Ho、Tb、Gd及びEuから選択される少なくとも1種)から選択される少なくとも1種の第2副成分とを含むこと、(4)前記誘電体層が、バナジウム酸化物、モリブデン酸化物、及びタングステン酸化物から選択される少なくとも1種の第3の副成分を含有していること、が好ましい。また、(5)前記誘電体層が、マンガン酸化物及びクロム酸化物から選択される少なくとも1種の第4の副成分を含有していてもよい。
本発明いずれの観点の積層型セラミックコンデンサにおいても、内部電極層の材料粉の平均粒径を、誘電体層の主成分であるチタン酸バリウムの原料の平均粒径よりも小さくした場合には、両者の焼結挙動の差が大きくなり、焼成後に大きな残留応力が積層誘電体素子本体に残存することが予想できる。
以上説明したように、本発明のいずれの観点の積層型セラミックコンデンサも、積層誘電体素子本体での残留応力が大きくなると誘電率が大きくなるという関係を有しており、大きな残留応力をもつ積層型セラミックコンデンサは、大きな取得静電容量をもつことができるので、より一層の小型化を達成できる。また、誘電体層と内部電極層との焼結挙動の差を利用して積層型セラミックコンデンサに大きな残留応力を付与できることが本発明によって明らかとなったので、高い誘電率を有すると共に大きな取得静電容量を有する積層型セラミックコンデンサを製造することが容易になる。
本発明の積層型セラミックコンデンサの一例を概略的に示す部分切欠き斜視図である。 本発明の積層型セラミックコンデンサの基本構造を概略的に示す断面図である。 第1の観点又は第2の観点による本発明の積層型セラミックコンデンサでいう「露出面」を説明するための斜視図である。 第3の観点又は第4の観点による本発明の積層型セラミックコンデンサでいう「電界方向と直交する外表面」を説明するための斜視図である。
以下、本発明の積層型セラミックコンデンサについて、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
(積層型セラミックコンデンサ)
図1及び図2に示すように、本発明の積層型セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された積層誘電体素子本体10と、各内部電極層2を積層誘電体素子本体10の両端部で交互に接続する一対の外部電極4、4とを有している。
上記の積層誘電体素子本体10においては、複数の誘電体層2と複数の内部電極層3とが1つずつ交互に積層されており、この積層誘電体素子本体10の両端部に外部電極4がそれぞれ1つずつ形成されて対をなしている。内部電極層3のうちの1つおきの内部電極層3が一対の外部電極4、4の一方に接続しており、残りの内部電極層3が一対の外部電極4、4の他方に接続している。
積層誘電体素子本体10の形状は、通常、直方体状であるが、直方体状に限定されるものではない。また、その寸法も特に制限はないが、通常、長辺の長さが0.4〜5.6mm程度、短辺の長さが0.2〜5.0mm程度、高さが0.2〜1.9mm程度である。
<誘電体層>
個々の誘電体層2は、チタン酸バリウムを主成分として含有している。これらの誘電体層2は、さらに、焼結助剤とその他の副成分とを含んでいることが好ましい。焼結助剤の具体例としては、ケイ素酸化物を主成分として含有していると共に、Mの酸化物(ただし、Mは、Ba、Ca、Sr及びMgから選ばれる少なくとも1種の元素である。)、リチウム酸化物、及びホウ素酸化物の少なくとも1種を含むものが挙げられる。また、各誘電体層2に含まれるその他の副成分としては、マグネシウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物、ストロンチウム酸化物、及びクロム酸化物から選択される少なくとも1種の第1副成分と、R1の酸化物(ただし、R1はSc、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Dy、Ho、Tb、Gd及びEuから選択される1種の元素である。)から選択される少なくとも1種の第2副成分とを挙げることができる。また、各誘電体層2には、第3の副成分として、バナジウム酸化物、モリブデン酸化物、及びタングステン酸化物から選択される少なくとも1種を含有させることができる。さらに、各誘電体層2は、第4の副成分として、マンガン酸化物及びクロム酸化物から選択される少なくとも1種を含んでもよい。
各誘電体層2に含まれる焼結助剤成分とその他の副成分それぞれの含有量は、当該誘電体層2に含まれる各成分を化学量論比の酸化物、例えば、チタン酸バリウムをBaTiO に、マグネシウム酸化物をMgOに、イットリウム酸化物をYに、バリウム酸化物をBaOに、カルシウム酸化物をCaOに、ケイ素酸化物をSiO に、マンガン酸化物をMnOに、バナジウム酸化物をVに、モリブデン酸化物をMoO にそれぞれ換算したときのBaTiO 100モルに対する値で、例えば、MgO:0.1〜3モル、Y:0モル超5モル以下、BaOとCaOの合量:2〜12モル、SiO :2〜12モル、MnO:0モル超0.5モル以下、V:0〜0.3モル、MoO :0〜0.3モル、V とMoO の合量:0モル超とすることが好ましい。
各酸化物の酸化状態は特に限定されず、各酸化物を構成する金属元素の比率が上記範囲内であればよい。なお、各誘電体層2には、本発明の目的及び作用効果の範囲内で他の化合物が含まれていてもよい。
上記焼結助剤成分及びその他の副成分の含有量の限定理由は下記のとおりである。
(1) マグネシウム酸化物の含有量が前記範囲未満であると、積層型セラミックコンデンサ1の静電容量が所望の範囲に収まる温度範囲が狭くなり、その実用性が低下する。一方、マグネシウム酸化物の含有量が前記範囲を超えると、積層誘電体素子本体10を作製する際の誘電体層2の焼結性が急激に悪化して当該誘電体層2の緻密化が不十分となり、積層型セラミックコンデンサ1の絶縁抵抗について加速寿命試験を行ったときの素子寿命(以下、このときの素子寿命を「IR加速寿命」という。)が低下する。また、比誘電率が高い誘電体層2を得られなくなる。
(2) イットリウム酸化物は、IR加速寿命を向上させる効果を有し、積層型セラミックコンデンサ1の直流バイアス特性も向上させる。イットリウム酸化物の含有量が少ないと、当該イットリウム酸化物を添加したことによる効果が不十分となる。一方、イットリウム酸化物の含有量が前記範囲を超えると誘電体層2の比誘電率が低下する。また、積層誘電体素子本体10を作製する際の誘電体層2の焼結性が低下して当該誘電体層2の緻密化が不十分となる。
(3) バリウム酸化物とカルシウム酸化物の合量が前記範囲未満であると、積層型セラミックコンデンサ1に直流電界を印加したときの容量の経時変化が大きくなる。また、IR加速寿命が不十分となる。さらには、積層型セラミックコンデンサ1の静電容量が所望の範囲に収まる温度範囲が狭くなる。一方、バリウム酸化物とカルシウム酸化物の合量が前記範囲を超えると、IR加速寿命が不十分となる。また、誘電体層2の比誘電率の急激な低下が起こる。
(4) ケイ素酸化物の含有量が前記範囲未満であると、積層誘電体素子本体10を作製する際の誘電体層2の焼結性が低下して当該誘電体層2の緻密化が不十分となる。一方、ケイ素酸化物の含有量が前記範囲を超えると、積層型セラミックコンデンサ1の初期絶縁抵抗が低くなりすぎる。
(5) マンガン酸化物は誘電体層2を緻密化する作用とIR加速寿命を向上させる作用とをもつが、含有量が多すぎると、積層型セラミックコンデンサ1に直流電界を印加したときの容量の経時変化を小さくすることが困難となる。
(6) バナジウム酸化物及びモリブデン酸化物は、積層型セラミックコンデンサ1に直流電界を印加したときの容量の経時変化を改善する。また、バナジウム酸化物は積層型セラミックコンデンサの絶縁破壊電圧を向上させ、モリブデン酸化物はIRの加速寿命を向上させる。バナジウム酸化物及びモリブデン酸化物の少なくとも一方が多すぎると、初期絶縁抵抗の極端な低下を招く。
なお、各誘電体層2中には、アルミニウム酸化物が含有されていてもよい。アルミニウム酸化物は比較的低温での焼結を可能にする作用をもつ。誘電体層2でのアルミニウム酸化物の含有量は、Alに換算したときの値で1重量%以下とすることが好ましい。アルミニウム酸化物の含有量が多すぎると誘電体層2の比誘電率が著しく低下してしまい、同時にIR加速寿命も短くなってしまう。
誘電体層2での誘電体の平均結晶粒径は、0.6μm以下であることが好ましく、0.45μm以下であることがより好ましく、0.25μm以下であることがさらに好ましい。この平均結晶粒径を0.6μm以下とすることにより、容量の経時変化が小さく、IR加速寿命が向上した積層型セラミックコンデンサを得易くなる。特に、上記誘電体の平均結晶粒径が0.45μm以下にまで小さくなると結晶の異方性が小さくなるため、積層型セラミックコンデンサの容量の経時変化がさらに小さくなる。また、上記誘電体の平均結晶粒径が0.25μm以下にまで小さくなると、IR加速寿命もさらに向上する。この平均結晶粒径の下限は特にないが、上記誘電体の平均結晶粒径を小さくするためには、これに対応して平均粒径が著しく小さい誘電体原料粉末を使うことが必要となり、そのペースト化が難しくなる。このため、通常、誘電体層2での誘電体の平均結晶粒径は0.05μm以上にすることが好ましい。なお、上記誘電体の平均結晶粒径は、誘電体層2を研磨し、研磨面を化学エッチングや熱エッチングした後、プラニメトリック(planimetoric)法を利用して走査型電子顕微鏡像より算出する。
誘電体層2の一層あたりの厚さは特に限定されないが、本発明においては、各誘電体層2の厚さを5μm以下、さらには2μm以下とした場合であっても、高誘電率の積層型セラミックコンデンサ1が得られる。なお、誘電体層2となる原料組成物層を印刷法により形成する場合、誘電体層2の厚さの下限は通常0.5μm程度となる。積層誘電体素子本体10における誘電体層2の積層数は、通常2〜1500程度であるが、本発明では50以上、より好ましくは100以上で効果が認められる。
<内部電極層>
個々の内部電極層3は、1つの端面のみが、積層誘電体素子本体10において互いに対向する2つの端部のうちの所定の一方から露出するように積層されている。1つおきの各内部電極層3は、積層誘電体素子本体10において互いに対向する2つの端部のうちの一方においてのみ露出するように積層されており、残りの内部電極3それぞれは、積層誘電体素子本体10における上記2つの端部の他方においてのみ露出するように積層されている。なお、後述する外部電極4は、積層誘電体素子本体10の上記2つの端部それぞれに形成され、当該端部に露出している各内部電極層3の端面に接続して、積層型セラミックコンデンサ1を構成している。
内部電極層3を構成する導電材は特に限定されないが、誘電体層2の構成材料が耐還元性を有することから、卑金属を用いることができる。内部電極層3の導電材として用いる卑金属としては、ニッケル又はニッケル合金が好ましい。なお、ニッケル又はニッケル合金からなる導電材中には、誘電体層2の主成分と同じ組成の誘電体や誘電体層2と同組成の誘電体が30重量%以下添加されていてもよい。内部電極層3に含有させる誘電体の平均粒径は、当該内部電極層3を構成する導電材の粉末の平均粒径より小さい方が好ましい。また、各内部電極層3には、リン(P)等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。個々の内部電極層3の厚さは、積層セラミックコンデンサ1の用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、0.2〜2.5μm、特に0.4〜1.5μm程度であることが好ましい。
各内部電極層3は、構成材料の粉末又は当該粉末を含有したペーストを焼結することにより形成される。本発明においては、内部電極層3と誘電体層2との焼結挙動の差が大きくなり、焼成後に大きな残留応力が残存することが予想できる。内部電極層3を形成するための材料粉としては、ニッケル又はニッケル合金の粉体を用いることが好ましく、その平均粒径は0.5μm以下、特に0.25μm以下とすることが好ましい。
ニッケル又はニッケル合金からなる粉末の平均粒径を0.5μm以下とすることにより、誘電体層2が形成される際の焼成温度よりも内部電極層3が形成される際の焼成温度の方が低くなり、誘電体層2と内部電極層3との収縮挙動や収縮率の差を大きくすることができる。このときの焼成温度の差は、200〜800℃程度であることが好ましい。こうした材料粉を用いて内部電極層3を形成することにより、積層型セラミックコンデンサ1に大きな残留応力を付与でき、結果として、高い誘電率を有すると共に大きな取得静電容量を有する積層型セラミックコンデンサ1を得ることができる。なお、内部電極層3の材料粉の平均粒径は、走査型電子顕微鏡による観察から算出した。
<外部電極>
積層誘電体素子本体10の両端部に分かれて形成されている一対の外部電極4、4は、それぞれ、積層誘電体素子本体10の内部に配置され所定の内部電極層3と導通する電極である。各外部電極4に含有される導電材は特に限定されないが、本発明では安価なNiやCu、あるいは、これらの合金を用いることができる。各外部電極4の厚さは、積層セラミックコンデンサ1の用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、10〜50μm程度であることが好ましい。
<残留応力>
本発明の積層セラミックコンデンサ1は、上述した構成を有すると共に、以下の4つの特徴のいずれか1又は2以上を満たす。
第1の特徴は、積層誘電体素子本体10の内部に、当該積層誘電体素子本体10での電界方向(図2中の矢印Aを参照。)と平行な方向の引張応力が残留しており、電界方向と平行に積層誘電体素子本体10の内部から露出させた露出面でX線回折測定により算出される上記引張応力の値が50MPa以上であることである。
また、第2の特徴は、積層誘電体素子本体10の内部に、当該積層誘電体素子本体10において外部電極4、4が形成されている両端部同士を繋ぐ方向(図2中の矢印Bを参照。)の圧縮応力が残留しており、積層誘電体素子本体10での電界方向と平行に当該積層誘電体素子本体10の内部から露出させた露出面でX線回折測定により算出される上記圧縮応力の値が50MPa以上であることである。
第3の特徴は、積層誘電体素子本体10の外表面に、上記両端部同士を繋ぐ方向の圧縮応力が残留しており、当該積層誘電体素子本体10での電界方向と直交する外表面でX線回折測定により算出される上記圧縮応力の値が100MPa以上であることである。
そして、第4の特徴は、積層誘電体素子本体10の外表面に、上記両端部同士を繋ぐ方向の応力が残留しており、当該積層誘電体素子本体10での電界方向と直交する外表面でX線回折測定により算出される上記応力の値をLSとし、誘電体層の積層数をnとし、Bを比例定数としたとき、式 LS=−Ln(n)×B (式中、Lnは自然対数を表す。)、10≦B≦300 が成り立つことである。
(1)最初に、第1の特徴を有する積層型セラミックコンデンサについて説明する。
この積層型セラミックコンデンサの積層誘電体素子本体内部に残留している上記の引張応力の大きさは、積層誘電体素子本体の大きさや積層数により変わるので、その範囲は一概に規定できないが、当該引張応力が50MPa以上である場合には、積層セラミックコンデンサの誘電率が高くなると共に、その取得静電容量が大きくなる。この引張応力が50MPa未満の場合には、積層セラミックコンデンサの誘電率が低く、所望の取得静電容量が得られないことがある。
第1の特徴を有する積層型セラミックコンデンサでいう積層誘電体素子本体内部に残留する応力とは、積層誘電体素子本体をその中央部又は略中央部まで研磨することにより現れた面で測定した残留応力のことであり、電界方向方向と平行に積層誘電体素子本体の内部から露出させた露出面とは、図3に示すように、矢印Aで示す電界方向と平行に積層誘電体素子本体10を研磨した場合に現れる面S のことである。また、電界方向とは、図3に矢印Aで示すように、内部電極層3の表面のうちの誘電体層2を挟んでいる側の面での法線方向、すなわち誘電体層2と内部電極層3との積層方向のことである(図2中の矢印Aも参照)。したがって、積層誘電体素子本体内部に残留する上記の引張応力は、積層誘電体素子本体10をその中央部又は略中央部まで電界方向と平行に研磨して現れた面S で測定した電界方向の残留応力のことである。残留応力をX線回折測定により算出した場合、引張応力はプラス(+)の値で表される。
この態様の積層型セラミックコンデンサにおいて、上述した引張応力の上限はおよそ500MPaであることが好ましい。この引張応力が上限値を超えると、構造欠陥が生じることがある。
(2)次に、第2の特徴を有する積層型セラミックコンデンサについて説明する。
この積層型セラミックコンデンサの積層誘電体素子本体内部に残留している前述の圧縮応力の大きさは、積層誘電体素子本体の厚さ、誘電体層における誘電体粒子の平均結晶粒径、誘電体層の積層数、及び内部電極層の物性によって変わるので、その範囲は一概に規定できないが、当該圧縮応力が50MPa以上である場合には、積層セラミックコンデンサの誘電率が高くなると共に、その取得静電容量が大きくなる。この圧縮応力は、100MPa以上であることが好ましく、200MPa以上であることがより好ましい。当該圧縮応力が50MPa未満の場合には、積層セラミックコンデンサの誘電率が低く、所望の取得静電容量が得られないことがある。
第2の特徴を有する積層セラミックコンデンサでいう積層誘電体素子本体内部に残留する応力、及び、電界方向方向と平行に積層誘電体素子本体の内部から露出させた露出面それぞれの意味は、第1の特徴を有する積層セラミックコンデンサについての説明の中で述べた意味と同じである。ここで、両端部同士を繋ぐ方向とは、積層誘電体素子本体の両端部に形成されている一対の外部電極が互いに対向する方向のことであり(図2中の矢印Bを参照。)、通常は積層誘電体素子本体を平面視した面の長尺方向である。本願においては、この方向を端子間方向ともいう。したがって、積層誘電体素子本体内部に残留する上記の圧縮応力とは、図3に示したように積層誘電体素子本体10をその中央部又は略中央部まで電界方向と平行に研磨して現れた面S で測定した端子間方向の残留応力のことである。残留応力をX線回折測定により算出した場合、圧縮応力はマイナス(−)の値で表される。
この態様の積層型セラミックコンデンサにおいて、上述した圧縮応力の上限はおよそ600MPaであることが好ましい。この圧縮応力が上限値を超えると、構造欠陥が生じることがある。
(3)次に、第3の特徴を有する積層型セラミックコンデンサについて説明する。
この積層型セラミックコンデンサの積層誘電体素子本体表面に残留している前述の圧縮応力の大きさは、積層誘電体素子本体の厚さ、誘電体体層における誘電体粒子の平均結晶粒径、誘電体層の積層数、及び内部電極の特性により変わるので、その範囲は一概に規定できないが、当該圧縮応力が100MPa以上である場合には、積層セラミックコンデンサの誘電率が高くなると共に、その取得静電容量が大きくなる。この圧縮応力は200MPa以上であることが好ましく、400MPa以上であることがより好ましい。当該圧縮応力が100MPa未満の場合には、積層セラミックコンデンサの誘電率が低く、所望の取得静電容量が得られないことがある。
第3の特徴を有する積層セラミックコンデンサでいう電界方向と直交する外表面とは、図4に示すように積層誘電体素子本体10での電界方向(矢印Aの方法)が鉛直方向と平行になるように当該積層誘電体素子本体10を置いたときの上面S 又は下面(図4には現れていない。)のことである。また、両端部同士を繋ぐ方向とは、第2の特徴を有する積層セラミックコンデンサについての説明の中で述べたように、積層誘電体素子本体の両端部に形成されている一対の外部電極が互いに対向する方向(端子間方向)のことであり、図4に示す積層誘電体素子本体10では図中の矢印Bの方向である。圧縮応力は、前述のように、マイナス(−)の値の応力として表される。
この態様の積層型セラミックコンデンサにおいて、上述した圧縮応力の上限はおよそ1000MPaであることが好ましい。この圧縮応力が上限値を超えると、構造欠陥が生じることがある。
(4)次に、第4の特徴を有する積層型セラミックコンデンサについて説明する。
この積層型セラミックコンデンサは、積層誘電体素子本体での電界方向と直交する外表面でX線回折測定により算出される端子間方向の応力の値をLSとし、誘電体層の積層数をnとし、Bを比例定数としたとき、式 LS=−Ln(n)×B (式中、Lnは自然対数を表す。)、10≦B≦300 が成り立つものである。上記の比例定数Bは、式 50≦B≦200 を満たすものであることがより好ましい。
上記の式は、誘電体層の積層数が多くなるにしたがって、積層誘電体素子本体の上面又は下面での圧縮応力が大きくなることを示している。
比例定数Bは、積層型セラミックコンデンサを構成する積層誘電体素子本体の寸法要因に関わるものであり、例えば、(i) 積層誘電体素子本体の寸法が、長辺の長さ:3.0〜3.4mm、短辺の長さ:1.0〜1.8mm、高さ:0.8〜1.8mm、程度の範囲を有し、式 50≦B≦200 が成り立ち、且つ誘電体層の積層数が100〜1000程度の範囲を有するとき、上記の応力LSは、200MPa以上、1500MPa以下の圧縮応力となる。また、(ii)積層誘電体素子本体の寸法が、長辺の長さ:1.8〜2.2mm、短辺の長さ:1.0〜1.4mm、高さ:0.8〜1.4mm、程度の範囲を有し、式 50≦B≦200 が成り立ち、且つ誘電体層の積層数が50〜500程度の範囲を有するとき、上記の応力LSは、200MPa以上、1200MPa以下の圧縮応力となる。そして、積層セラミックコンデンサにおける最近の小型化、高容量化傾向により、(iii) 積層誘電体素子本体の寸法が、長辺の長さ:0.8〜1.2mm、短辺の長さ:0.4〜0.6mm、高さ:0.4〜0.7mm、程度の範囲を有し、式 50≦B≦200 が成り立ち、且つ誘電体層の積層数が50〜300程度の範囲を有するとき、上記の応力LSは、100MPa以上、1000MPa以下の圧縮応力となる。
以上説明した第1から第4の特徴の少なくとも1つを有する本発明の積層型セラミックコンデンサにおいては、積層誘電体素子本体に残留する応力が大きくなるほど誘電率が高くなる。その結果、積層型セラミックコンデンサの小型化を行った場合であっても、その誘電体素子本体に上述した所定の残留応力をもたせることにより、当該積層セラミックコンデンサの取得静電容量を大きくすることができる。
積層誘電体素子本体に応力が残留することによって積層型セラミックコンデンサの誘電率が高くなる理由は、本願出願時点では必ずしも明らかではないが、残留応力により内部電極層中の結晶が配向するためであると考えられる。このことは、内部電極層が形成されていない以外は上述した積層誘電体素子本体と同一の条件の下に作製した試料においては残留応力が生じず、且つ誘電率が低いこととも関連する。
隣り合う2つの内部電極層によって挟まれている誘電体層の厚さが5μm以下で、当該誘電体層での誘電体の平均結晶粒径が0.6μm以下で、各内部電極層での導電材の平均粒径が前記誘電体の平均結晶粒径よりも小さく、誘電体層の積層数が50以上であれば、上述した第1〜第4の特徴を全て満たす積層型セラミックコンデンサを得易くなる。
なお、前述した特許文献1には、積層型セラミックコンデンサの残留応力を50MPa以下にすることが機械的強度向上の点で好ましいと記載されているが、本発明においては、誘電体層での誘電体の平均結晶粒径を0.6μm以下にし、隣り合う2つの内部電極層によって挟まれた誘電体層の厚さを5μm以下にすることにより、機械的強度の点で問題のない積層セラミックコンデンサを得ることができ、且つ製造過程でのクラックの発生も抑制することができる。
<残留応力の測定>
本発明の積層型セラミックコンデンサに残留する応力の測定方法としては、X線回折法を利用したX線残留応力測定方法が用いられる。X線残留応力測定方法は、材料にその弾性限界以内の力が加わると、この力の大きさに比例して結晶の原子間距離が伸びたり縮んだりすることを利用したものであり、残留応力は、X線回折法で結晶面間隔dの変化を測定することにより算出される。
Braggの回折条件は、X線の波長λと結晶面間隔dと回折角θとを用いて次式(1) のように示される。
n・λ=2dsinθ …(1)
また、歪み量εは、結晶面間隔の変化量δdとX線回折角の変化量δθとを用いて、次式(2) のように示される。
ε=δd/d=−cotθ・δθ …(2)
式(2) からわかるように、X線回折角の変化量δθから歪み量εが計算でき、試料面法線と結晶面法線とのなす角ψを変化させたときのsin2ψと2θとの関係より、残留応力σは次式(3) のように示される。なお、Eはヤング率であり、νはポアソン比である。
σ= E/(1+ν)・δε(ψ)/δsin2ψ
=−Ecotθ/2(1+ν)・δ2θ/δsin2ψ …(3)
具体的には、微小部X線応力測定装置を用いて積層誘電体素子本体の表面又は研磨により現れた露出面の中央部にX線を照射した。スポット径は300μmとした。特性X線としてCr−Kα線を用いた。BaTiO の2θ=129.5°付近のピークを用いて、試料面法線と格子面法線とのなす角度を変えたときの回折角の変化量を求め、上記の式(3) により応力を求めた。なお、積層誘電体素子本体内部の残留応力を測定するために積層セラミックコンデンサを研磨した場合には、研磨時に発生する研磨歪の影響が問題になるが、本件発明者等は、平均粒径が1μmのダイヤモンドペーストを用いた仕上げ研磨を十分に行ったときには、積層誘電体素子本体内部の残留応力に研磨歪の影響がないことを確認している。
以上説明した本発明の積層セラミックコンデンサは、上述した残留応力を有することにより、誘電体層での誘電体の平均結晶粒径が0.6μm以下、好ましくは0.45μm以下、より好ましくは0.25μm以下であっても、2500以上の誘電率を保持することができるという効果を有している。
(積層型セラミックコンデンサの製造方法)
本発明の積層型セラミックコンデンサは、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極用の原料組成物を塗布し焼成することにより製造される。
<誘電体層用ペースト>
誘電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練して製造される。誘電体原料には、誘電体層の組成に応じた粉末が用いられる。
誘電体原料の製造方法は特に限定されず、例えば、水熱合成法等により合成したBaTiO に副成分原料を混合するという方法を用いることができる。また、BaCO とTiO と副成分原料との混合物を仮焼して固相反応させる乾式合成法を用いてもよく、水熱合成法を用いてもよい。さらには、共沈法、ゾル・ゲル法、アルカリ加水分解法、沈殿混合法などにより得た沈殿物と副成分原料との混合物を仮焼して合成してもよい。なお、副成分原料には、酸化物や、焼成により酸化物となる各種化合物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等の少なくとも1種を用いることができる。
誘電体原料の平均粒子径は、目的とする誘電体層の平均結晶粒径に応じて決定すればよい。誘電体層の平均結晶粒径を0.6μm以下とする場合、誘電体原料には、通常、平均粒子径0.6μm以下の粉末を用いればよい。
なお、上記の有機ビヒクル(vehicle)とは、有機バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いる有機バインダは特に限定されず、エチルセルロース、ブチラール等の通常の各種有機バインダから適宜選択すればよい。また、用いる有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法など、利用する方法に応じて、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン、アルコール等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
<内部電極層用ペースト>
内部電極層用ペーストは、各種導電性金属や合金からなる導電材の粉末、又は焼成により導電材となる各種酸化物の粉末、有機金属化合物、レジネート(resinate)等と、上記した有機ビヒクルとを混練又は混合して調製する。導電材の粉末としては、平均粒径が0.5μm以下、好ましくは0.25μm以下のニッケル又はニッケル合金の粉体が好ましく用いられる。こうした粉末又は原料粉と前述した誘電体原料とを同時焼成して積層誘電体素子本体を作製することにより、積層型セラミックコンデンサに大きな残留応力を付与できる。
<外部電極用ペースト>
外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。主成分としては銅(Cu)やニッケル(Ni)が主に用いられる。
<有機ビヒクルの含有量>
上記した各ペースト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常の含有量、例えば、有機バインダは1〜10重量%程度、有機溶剤は10〜50重量%程度とすればよい。また、各ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加物が含有されていてもよい。特に内部電極中には、誘電体層又は誘電体層の主成分と同組成の成分(いわゆる「共材」)からなる添加物が添加されることが望ましい。このとき、共材と称される添加物の添加量は30重量%以下が好ましく、また、共材と称される添加物の平均粒径は、内部電極層を形成するための導電材の粉末又は原料粉の平均粒径よりも小さいことが好ましい。
<グリーンチップの作製>
まず、誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを塗布する。同様にして、片面に内部電極層用ペーストが塗布されたグリーンシートを必要数用意し、これらを積層して積層体を得る。このとき、各グリーンシートは、内部電極層用ペーストが塗布された面が同じ方向を向くように、向きを揃えて積層する。次に、上記の積層体の上下に、誘電体層用ペーストを用いて形成されたグリーンシートを所定数積層して、保護層を形成する。保護層の形成に用いるグリーンシートには、内部電極層用ペーストを塗布しない。こうして得られた積層体を必要に応じてその厚さ方向に加圧した後、所定形状に切断して、グリーンチップとする。
<脱バインダ処理工程>
グリーンチップの焼成前に行う脱バインダ処理は、グリーンチップ中の有機バインダを除去する工程であり、その条件は通常のものであってよいが、内部電極層の導電材としてニッケルやニッケル合金等の卑金属を用いた場合には、空気中でグリーンチップの保持温度を200〜400℃として行うか、又は、還元雰囲気中でグリーンチップの保持温度を200〜800℃として行うことが好ましい。
<焼成工程>
グリーンチップ焼成時の雰囲気は、内部電極層用ペースト中の導電材又はその原料の種類に応じて適宜決定すればよいが、導電材としてニッケルやニッケル合金等の卑金属を用いた場合には、焼成雰囲気中の酸素分圧を10−8〜10−12気圧とすることが好ましい。酸素分圧が上記の範囲よりも低いと、内部電極層の導電材が異常焼結を起こし、内部電極層が分断されることがある。また、酸素分圧が上記の範囲よりも高いと、内部電極層が酸化する傾向にある。
焼成時の保持温度は、1000〜1350℃とすることが好ましい。保持温度が前記範囲未満であると緻密化が不十分となり、前記範囲を超えると、内部電極層の導電材としてニッケルを用いた場合にその球状化が進み、最終的に得られる積層型セラミックコンデンサの取得静電容量が低下する。
上記条件以外の各種条件は、昇温速度は50〜500℃/時間、特に200〜300℃/時間がよく、保持温度の継続時間は0.5〜8時間、特に1〜3時間がよく、冷却速度は50〜500℃/時間、特に200〜300℃/時間がよく、焼成雰囲気は還元性雰囲気とすることが好ましく、雰囲気ガスとしては、例えば、窒素ガス(N ガス)と水素ガス(H ガス)との混合ガスを加湿して用いることが好ましい。
<アニール工程>
グリーンチップを還元性雰囲気中で焼成した場合、この焼成で得られた積層誘電体素子本体にはアニールを施すことが好ましい。アニールは、誘電体層を再酸化するための処理であり、これにより積層型セラミックコンデンサのIR加速寿命を著しく長くすることができる。
アニール雰囲気中の酸素分圧は、10−4〜10−7気圧とすることが好ましい。酸素分圧が前記範囲よりも低いと誘電体層の再酸化が困難であり、前記範囲よりも高いと内部電極層が酸化する傾向にある。
アニールの際の保持温度は、1200℃以下、特に900〜1200℃とすることが好ましい。保持温度が900℃未満であると誘電体層の再酸化が不十分となって、得られる積層型セラミックコンデンサの素子寿命が短くなる傾向にあり、1200℃を超えると内部電極層が酸化して、最終的に得られる積層型セラミックコンデンサの容量が低下するだけでなく、内部電極層が誘電体層と反応してしまい、最終的に得られる積層型セラミックコンデンサの素子寿命も短くなる傾向にある。なお、アニール工程は昇温及び降温だけから構成してもよい。この場合、保持温度の継続時間は零であり、保持温度は最高温度と同義である。
上記条件以外の各種条件は、保持温度の継続時間は0〜20時間、特に2〜10時間がよく、冷却速度は50〜500℃/時間、特に100〜300℃/時間がよく、雰囲気用ガスには加湿した窒素ガス(N ガス)等を用いることが好ましい。このアニール工程まで行うことにより、積層誘電体素子本体が得られる。
なお、上記した脱バインダ処理、焼成、及びアニールの各工程において、窒素ガスや混合ガス等を加湿するには、例えばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は5〜75℃程度が好ましい。なお、脱バインダ処理工程、焼成工程、及びアニール工程は、1つの装置で連続して行ってもよいし、独立に行ってもよい。
<外部電極の形成>
上記のようにして得られた積層誘電体素子本体に、例えばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、外部電極用ペーストを印刷ないし転写してから焼成することにより、一対の外部電極を形成する。外部電極用ペーストの焼成は、例えば、加湿した窒素ガス(N ガス)と水素ガス(H ガス)との混合ガス中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度加熱することによって行うことが好ましい。そして、必要に応じ、各外部電極の表面に、めっき等により被覆層を形成する。
このようにして製造された本発明の積層型セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。
(実験1)
最初に、誘電体層用ペースト、内部電極層用ペースト及び外部電極用ペーストを調製した。
誘電体層用ペーストを調製するにあたっては、まず、水熱合成法により製造したBa1.005TiOに、(MgCO・Mg(OH)・5HO、MnCO、BaCO、CaCO、SiO、Y、及びVを添加してボールミルにより16時間湿式混合し、最終組成として100モルのBa1.005TiOにMgOが2モル%、MnOが0.4モル%、Yが2モル%、Vが0.01モル%、及び(Ba、Ca)SiOが3モル%それぞれ添加された組成を有する誘電体原料を得た。次に、この誘電体原料100重量部に、アクリル樹脂4.8重量部、塩化メチレン40重量部、トリクロロエタン20重量部、ミネラルスピリット6重量部、及びアセトン4重量部を加えてボールミルで混合してペースト化し、誘電体層用ペーストを調製した。
内部電極層用ペーストは、平均粒径0.4μmのニッケル粉末100重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂8重量部をブチルカルビトール92重量部に溶解したもの)40重量部と、ブチルカルビトール10重量部とを3本ロールにより混練し、ペースト化して調製した。なお、ニッケル粉末として、平均粒径が0.1μm、0.2μm、0.3μm、0.4μm、0.5μm、及び0.6μmのものを用いた内部電極層用ペーストをそれぞれ調製し、残留応力に及ぼすニッケル粉末の影響についても検討した。
外部電極用ペーストは、平均粒径2μmの銅粒子100重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂8重量部をブチルカルビトール92重量部に溶解したもの)35重量部と、ブチルカルビトール7重量部とを混練し、ペースト化して調製した。
次に、上記のように調製された誘電体層用ペースト及び内部電極層用ペーストを用い、図4に示される構成の積層型セラミックコンデンサを作製した。まず、誘電体層用ペーストを用いてPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に厚さ5μmのグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷した後、PETフィルムからグリーンシートを剥離した。このようにして作製した複数枚のグリーンシートを、内部電極層用ペーストが印刷された面の向きを揃えて積層し、積層体を得た。この積層体の上下には、内部電極層用ペーストを印刷していないグリーンシート(誘電体層用ペーストを用いて形成したもの)が所定数積層された厚さ200μmの保護層を設けた。保護層まで設けた積層体をその厚さ方向に加圧接着してグリーン積層体を得た。有効誘電体層数が10層、20層、50層、100層、又は200層である5種類のグリーン積層体を作製した。
次いで、グリーン積層体を所定サイズに切断してグリーンチップとし、脱バインダ処理、焼成、及びアニールをそれぞれ下記の条件にて連続的に行い、積層誘電体素子本体を作製した。なお、下記の各条件の雰囲気ガスの加湿にはウェッターを用い、ウェッターの水温は35℃とした。
脱バインダ処理条件;
昇温速度:15℃/時間、保持温度:280℃、保持温度の継続時間:8時間、雰囲気ガス:空気。
焼成条件;
昇温速度:200℃/時間、保持温度:1240℃、保持温度の継続時間:2時間、冷却速度:200℃/時間、雰囲気ガス:加湿した窒素ガスと水素ガスとの混合ガス、酸素分圧:10−9気圧。
アニール条件;
保持温度:1100℃、保持温度の継続時間:3時間、冷却速度:200℃/時間、雰囲気ガス:加湿した窒素ガス、酸素分圧:10−5気圧。
得られた積層誘電体素子本体の両端面をサンドブラストにて研磨した後、上記外部電極用ペーストを前記両端面に転写し、加湿した窒素ガスと水素ガスとの混合ガス雰囲気中で800℃にて10分間焼成して外部電極を形成し、誘電体層の積層数(有効誘電体層数)が10層、20層、50層、100層、又は200層である5種類の積層型セラミックコンデンサを得た。このようにして製造した各積層セラミックコンデンサのサイズは、3.2mm×1.6mm×0.6mmであり、個々の誘電体層の厚さは3μm、個々の内部電極層の厚さは1.5μmであった。また、各積層セラミックコンデンサの誘電体層における誘電体の平均結晶粒径は、0.35μmであった。この平均結晶粒径は、積層セラミックコンデンサの断面の走査型電子顕微鏡写真を用いて算出した。
積層セラミックコンデンサの静電容量を、LCRメータ(リアクタンス、キャパシタンス、及びレジスタンスを測定することができる機器)を用いて、1KHz、1Vrmsの条件下で測定した。
<残留応力の測定及びその結果>
残留応力測定は、株式会社リガクのX線回折装置を用いて行い、上述した式(1) 〜(3) に基づいて残留応力の大きさを計算した。ヤング率として162800MPaを用い、ポアソン比は0.244とした。
次に、上述した5種類の積層セラミックコンデンサについて、誘電体層の積層数と残留応力との関係を測定した。表1はその結果である。表1中の「内部電界方向」は、積層誘電体素子本体内部に残留する応力であって、電界方向と平行な露出面での電界方向の残留応力(引張応力)を表しており、「内部端子間方向」は、積層誘電体素子本体内部に残留する応力であって、電界方向と平行な露出面での端子間方向の残留応力(圧縮応力)を表しており、「表面端子間方向」とは、積層誘電体素子本体の外表面に残留する応力であって、電界方向と直交する外表面での端子間方向の残留応力を表している。なお、応力は、一般に圧縮応力をマイナス(−)の値で表し、引張応力をプラス(+)の値で表す。
Figure 0004475234
表1に示す結果からも明らかなように、内部電界方向の残留応力はいずれの積層セラミックコンデンサにおいても引張応力であったが、それ以外の残留応力は圧縮応力であった。また、各残留応力は、誘電体層の積層数の増加に伴って大きくなった。誘電体層の組成及び厚さが同じ積層型セラミックコンデンサ間では、誘電体層の積層数が多くなるほど、静電容量が大きな値を示した。なお、表1中、誘電体層の積層数が20層のものと10層のものは比較例であり、これらの比較例のいずれにおいても、表面端子間方向の残留応力及び内部端子間方向の残留応力が小さい値を示している。
次に、平均粒径が異なるニッケル粉末を用いた内部電極層用ペーストで内部電極層を形成して得られた積層型セラミックコンデンサについて、ニッケル粉末の平均粒径と、残留応力及び静電容量との関係を測定した。表2はその結果である。
Figure 0004475234
表2に示す結果からも明らかなように、ニッケル粉末の平均粒径が0.5μm以下であると、積層セラミックコンデンサでの残留応力が大きくなり、静電容量の大きな積層型セラミックコンデンサを作製できた。

Claims (12)

  1. 50層以上の誘電体層と内部電極層とが交互に積層された積層誘電体素子本体と、当該内部電極層を当該積層誘電体素子本体の両端部で交互に接続する一対の外部電極とを有する積層型セラミックコンデンサにおいて、
    前記誘電体層が、主成分としてチタン酸バリウムを含有していると共に焼結助剤、第1の副成分、及び第2の副成分を含有しており、前記焼結助剤は、ケイ素酸化物を主成分とし、他にMの酸化物(ただし、Mは、Ba、Ca、Sr及びMgから選ばれる少なくとも1種の元素)、リチウム酸化物、及びホウ素酸化物の少なくとも1種を含有するものであり、前記第1の副成分は、マグネシウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物、ストロンチウム酸化物、及びクロム酸化物から選択される少なくとも1種であり、前記第2の副成分は、R1の酸化物(ただし、R1はSc、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Dy、Ho、Tb、Gd及びEuから選択される1種の元素)から選択される少なくとも1種であり、
    前記内部電極層がニッケル又はニッケル合金からなり、当該内部電極層の材料粉の平均粒径が前記誘電体層の誘電体の平均粒径よりも小さく且つ0.25μm以下で、前記誘電体層での誘電体の平均粒径が0.6μm以下であり、
    前記積層誘電体素子本体内部には、当該積層誘電体素子本体での電界方向と平行な方向の引張応力が残留しており、前記電界方向と平行に前記積層誘電体素子本体内部から露出させた露出面でX線回折測定により算出される前記引張応力の値が50MPa以上であることを特徴とする積層型セラミックコンデンサ。
  2. 前記誘電体層が、バナジウム酸化物、モリブデン酸化物、及びタングステン酸化物から選択される少なくとも1種の第3の副成分を含有していることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の積層型セラミックコンデンサ。
  3. 前記誘電体層が、マンガン酸化物及びクロム酸化物から選択される少なくとも1種の第4の副成分を含有していることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の積層型セラミックコンデンサ。
  4. 50層以上の誘電体層と内部電極層とが交互に積層された積層誘電体素子本体と、当該内部電極層を当該積層誘電体素子本体の両端部で交互に接続する一対の外部電極とを有する積層型セラミックコンデンサにおいて、
    前記誘電体層が、主成分としてチタン酸バリウムを含有していると共に焼結助剤、第1の副成分、及び第2の副成分を含有しており、前記焼結助剤は、ケイ素酸化物を主成分とし、他にMの酸化物(ただし、Mは、Ba、Ca、Sr及びMgから選ばれる少なくとも1種の元素)、リチウム酸化物、及びホウ素酸化物の少なくとも1種を含有するものであり、前記第1の副成分は、マグネシウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物、ストロンチウム酸化物、及びクロム酸化物から選択される少なくとも1種であり、前記第2の副成分は、R1の酸化物(ただし、R1はSc、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Dy、Ho、Tb、Gd及びEuから選択される1種の元素)から選択される少なくとも1種であり、
    前記内部電極層がニッケル又はニッケル合金からなり、当該内部電極層の材料粉の平均粒径が前記誘電体層の誘電体の平均粒径よりも小さく且つ0.25μm以下で、前記誘電体層での誘電体の平均粒径が0.6μm以下であり、
    前記積層誘電体素子本体内部には、前記両端部同士を繋ぐ方向の圧縮応力が残留しており、前記積層誘電体素子本体での電界方向と平行に前記積層誘電体素子本体内部から露出させた露出面でX線回折測定により算出される前記圧縮応力の値が50MPa以上であることを特徴とする積層型セラミックコンデンサ。
  5. 前記誘電体層が、バナジウム酸化物、モリブデン酸化物、及びタングステン酸化物から選択される少なくとも1種の第3の副成分を含有していることを特徴とする請求の範囲第4項に記載の積層型セラミックコンデンサ。
  6. 前記誘電体層が、マンガン酸化物及びクロム酸化物から選択される少なくとも1種の第4の副成分を含有していることを特徴とする請求の範囲第5項に記載の積層型セラミックコンデンサ。
  7. 50層以上の誘電体層と内部電極層とが交互に積層された積層誘電体素子本体と、当該内部電極層を当該積層誘電体素子本体の両端部で交互に接続する一対の外部電極とを有する積層型セラミックコンデンサにおいて、
    前記誘電体層が、主成分としてチタン酸バリウムを含有していると共に焼結助剤、第1の副成分、及び第2の副成分を含有しており、前記焼結助剤は、ケイ素酸化物を主成分とし、他にMの酸化物(ただし、Mは、Ba、Ca、Sr及びMgから選ばれる少なくとも1種の元素)、リチウム酸化物、及びホウ素酸化物の少なくとも1種を含有するものであり、前記第1の副成分は、マグネシウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物、ストロンチウム酸化物、及びクロム酸化物から選択される少なくとも1種であり、前記第2の副成分は、R1の酸化物(ただし、R1はSc、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Dy、Ho、Tb、Gd及びEuから選択される1種の元素)から選択される少なくとも1種であり、
    前記内部電極層がニッケル又はニッケル合金からなり、当該内部電極層の材料粉の平均粒径が前記誘電体層の誘電体の平均粒径よりも小さく且つ0.25μm以下で、前記誘電体層での誘電体の平均粒径が0.6μm以下であり、
    前記積層誘電体素子本体の外表面には、前記両端部同士を繋ぐ方向の圧縮応力が残留しており、当該積層誘電体素子本体での電界方向と直交する外表面でX線回折測定により算出される前記圧縮応力の値が100MPa以上であることを特徴とする積層型セラミックコンデンサ。
  8. 前記誘電体層が、バナジウム酸化物、モリブデン酸化物、及びタングステン酸化物から選択される少なくとも1種の第3の副成分を含有していることを特徴とする請求の範囲第7項に記載の積層型セラミックコンデンサ。
  9. 前記誘電体層が、マンガン酸化物及びクロム酸化物から選択される少なくとも1種の第4の副成分を含有していることを特徴とする請求の範囲第8項に記載の積層型セラミックコンデンサ。
  10. 50層以上の誘電体層と内部電極層とが交互に積層された積層誘電体素子本体と、当該内部電極層を当該積層誘電体素子本体の両端部で交互に接続する一対の外部電極とを有する積層型セラミックコンデンサにおいて、
    前記誘電体層が、主成分としてチタン酸バリウムを含有していると共に焼結助剤、第1の副成分、及び第2の副成分を含有しており、前記焼結助剤は、ケイ素酸化物を主成分とし、他にMの酸化物(ただし、Mは、Ba、Ca、Sr及びMgから選ばれる少なくとも1種の元素)、リチウム酸化物、及びホウ素酸化物の少なくとも1種を含有するものであり、前記第1の副成分は、マグネシウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物、ストロンチウム酸化物、及びクロム酸化物から選択される少なくとも1種であり、前記第2の副成分は、R1の酸化物(ただし、R1はSc、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Dy、Ho、Tb、Gd及びEuから選択される1種の元素)から選択される少なくとも1種であり、
    前記内部電極層がニッケル又はニッケル合金からなり、当該内部電極層の材料粉の平均粒径が前記誘電体層の誘電体の平均粒径よりも小さく且つ0.25μm以下で、前記誘電体層での誘電体の平均粒径が0.6μm以下であり、
    前記積層誘電体素子本体の外表面には、前記両端部同士を繋ぐ方向の応力が残留しており、当該積層誘電体素子本体での電界方向と直交する外表面でX線回折測定により算出される前記応力の値をLSとし、前記誘電体層の積層数をnとし、Bを比例定数としたとき、式 LS=−Ln(n)×B (式中、Lnは自然対数を表す。)、10≦B≦300 が成り立つことを特徴とする積層型セラミックコンデンサ。
  11. 前記誘電体層が、バナジウム酸化物、モリブデン酸化物、及びタングステン酸化物から選択される少なくとも1種の第3の副成分を含有していることを特徴とする請求の範囲第10項に記載の積層型セラミックコンデンサ。
  12. 前記誘電体層が、マンガン酸化物及びクロム酸化物から選択される少なくとも1種の第4の副成分を含有していることを特徴とする請求の範囲第11項に記載の積層型セラミックコンデンサ。
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