JP4474079B2 - エアバッグ装置 - Google Patents
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- Air Bags (AREA)
- Vehicle Interior And Exterior Ornaments, Soundproofing, And Insulation (AREA)
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インフレータおよびエアバッグを収納したエアバッグモジュールをインストルメントパネルの内部に固定し、車両の衝突時にインフレータが発生するガスで膨張するエアバッグの圧力でインストルメントパネルのティアラインを破断し、そこに形成される開口を通してエアバッグを車室内に展開させるエアバッグ装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
自動車の助手席用のエアバッグモジュールはインストルメントパネルに内部に収納されており、例えば左右のフロントピラー間を接続するピラートゥピラーパイプに支持される。このとき、インストルメントパネルの下面とエアバッグモジュールの上面とを位置決めして固定する手法として、合成樹脂製のインストルメントパネルに下面に一体に突出させたボスをエアバッグモジュールのリテーナに形成した取付孔に嵌合させ、そのボスを熱カシメしてインストルメントパネルにエアバッグモジュールを固定するものが、特開平７−２９１０７８号公報により提案されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、インストルメントパネルの構造が表皮と基材との間に発泡層を備えた高級車仕様のものであれば、基材の下面にボルトでエアバッグモジュールを固定することで、ボルトがインストルメントパネルの美観を損ねるのを回避しながらエアバッグモジュールを確実に固定することができ、また前記基材の下面に一体に突出させたボスを熱カシメすることでも、インストルメントパネルにエアバッグモジュールを固定することができる。
【０００４】
しかしながら、インストルメントパネルが発泡層を持たぬ単一層で構成されている場合、上述したボルトを用いる固定方法では、そのボルトがインストルメントパネルの表面に露出して美観を損ねる問題があり、また上述したボスを熱カシメする固定方法では加工時間や加工コストの面で不利であるばかりか、加工条件の変化等により安定した固定強度を得ることが困難であり、しかもボスの位置に対応するインストルメントパネルに表面にヒケが発生して美観を損ねる問題がある。
【０００５】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、インストルメントパネルの表面の美観を損ねることなく、インストルメントパネルの下面にエアバッグモジュールを容易かつ確実に固定できるようにすることを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項１に記載された発明によれば、インフレータおよびエアバッグを収納したエアバッグモジュールをインストルメントパネルの内部に固定し、車両の衝突時にインフレータが発生するガスで膨張するエアバッグの圧力でインストルメントパネルのティアラインを破断し、そこに形成される開口を通してエアバッグを車室内に展開させるエアバッグ装置において、インストルメントパネルの表面にエンブレムの本体部の裏面を当接させ、このエンブレムの本体部の裏面にインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを締結したことを特徴とするエアバッグ装置が提案される。
【０００７】
上記構成によれば、インストルメントパネルの表面にエンブレムの本体部の裏面を当接させ、このエンブレムの本体部の裏面にインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを締結したので、従来の熱カシメのような確実性が低くコストが嵩む加工を必要とせずに、エアバッグモジュールをインストルメントパネルに確実にかつ精度良く固定することができる。また熱カシメのためのボスをインストルメントパネルの下面に突出させる必要がないため、発泡層を含まぬ単一層のインストルメントパネルであっても、ボスの位置に対応するインストルメントパネルの表面にヒケが発生するのを防止して商品性を高めることができ、しかもエンブレムがインストルメントパネルの装飾となるために美観が向上する。
【０００８】
また請求項２に記載された発明によれば、請求項１の構成に加えて、エンブレムの本体部の裏面に突出するボルトがインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを貫通し、このボルトに螺合するナットとエンブレムの本体部との間にインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを挟んで固定することを特徴とするエアバッグ装置が提案される。
【０００９】
上記構成によれば、エンブレムの本体部の裏面に突出するボルトがインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを貫通するので、インストルメントパネルに対してエアバッグモジュールを精度良く位置決めすることができ、しかもボルトに螺合するナットとエンブレムの本体部との間にインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを挟むので、両者を強固に固定することができる。
【００１０】
また請求項３に記載された発明によれば、請求項１の構成に加えて、エンブレムの本体部の裏面に突出するナットがインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを貫通し、このナットに螺合するボルトとエンブレムの本体部との間にインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを挟んで固定することを特徴とするエアバッグ装置が提案される。
【００１１】
上記構成によれば、エンブレムの本体部の裏面に突出するナットがインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを貫通するので、インストルメントパネルに対してエアバッグモジュールを精度良く位置決めすることができ、しかもナットに螺合するボルトとエンブレムの本体部との間にインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを挟むので、両者を強固に固定することができる。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【００１３】
図１〜図４は本発明の第１実施例を示すもので、図１は自動車の車室前部の斜視図、図２は図１の２−２線拡大断面図、図３は図２の３部拡大図、図４はエンブレムおよびナットの分解斜視図である。
【００１４】
図１に示すように、自動車の運転席シート１１の前側に臨むステアリングホイール１２の内部には運転席用のエアバッグモジュール１３が収納され、助手席シート１４の前側に臨むインストルメントパネル１５の内部には助手席用のエアバッグモジュール１６が収納される。
【００１５】
図２〜図４から明らかなように、インストルメントパネル１５の内部には左右のフロントピラー（図示せず）を接続するピラートゥピラーパイプ１７が配置されており、このピラートゥピラーパイプ１７にモジュール支持ブラケット１８が溶接される。助手席用のエアバッグモジュール１６は、上面が開口したロアリテーナ１９と、上面および下面が開放したアッパーリテーナ２０とを備えており、ロアリテーナ１９の上縁とアッパーリテーナ２０の下縁とが重ね合わされて複数本のボルト２１…で結合される。ロアリテーナ１９およびアッパーリテーナ２０の結合部には折り畳んだエアバッグ２２の開口部が重ね合わされ、前記複数本のボルト２１…で共締めされる。ロアリテーナ１９の内部に一対のブラケット２３，２３により円筒状のインフレータ２４が支持されており、このインフレータ２４を点火するスクイブ２５がリード線２６を介して図示せぬ点火制御装置に接続される。
【００１６】
インストルメントパネル１５は発泡層を持たない合成樹脂の単一層で構成されるもので、エアバッグモジュール１６に臨む内面にＨ形のティアライン１５ａおよび２本の直線状のヒンジライン１５ｂ，１５ｂが薄肉に形成され、それらティアライン１５ａおよびヒンジライン１５ｂ，１５ｂに囲まれた領域がエアバッグ２２の展開時に開放する２枚のリッド１５ｃ，１５ｃとなる。即ち、アッパーリテーナ２０の内部で膨張するエアバッグ２２の圧力がリッド１５ｃ，１５ｃの内面に作用すると、ティアライン１５ａが破断してリッド１５ｃ，１５ｃがヒンジライン１５ｂ，１５ｂまわりに外側に開放し、そこにエアバッグ２２が展開する開口が形成される。このときヒンジライン１５ｂ，１５ｂが破断してリッド１５ｃ，１５ｃが飛散しないように、ヒンジライン１５ｂ，１５ｂを含むリッド１５ｃ，１５ｃの下面に薄い金属製のヒンジ板２７，２７が積層される。ヒンジ板２７，２７のヒンジライン１５ｂ，１５ｂに対応する位置は、容易に屈曲できるようにＵ字状に折り曲げられる。
【００１７】
ロアリテーナ１９に溶接したモジュール取付ブラケット２８をピラートゥピラーパイプ１７に溶接したモジュール支持ブラケット１８にボルト２９…で締結することで、エアバッグモジュール１６はピラートゥピラーパイプ１７に強固に支持される。
【００１８】
エアバッグモジュール１６のアッパーリテーナ２０の上縁に形成したフランジ状の取付部２０ａを、インストルメントパネル１５のティアライン１５ａおよびヒンジライン１５ｂ，１５ｂに対して位置決めした状態で固定すべく、金属で一体に形成したエンブレム３０が利用される。エンブレム３０は表面にエアバッグ装置を表すＳＲＳの文字（あるいは車名、ブランド名等）を表示した板状の本体部３０ａと、この本体部３０ａの裏面から突出する２本のボルト３０ｂ，３０ｂとを備えており、２本のボルト３０ｂ，３０ｂがインストルメントパネル１５、ヒンジ板２７およびアッパーリテーナ２０の取付部２０ａを上から下に貫通し、それらを挟み付けるようにナット３１，３１で締結される。
【００１９】
このように、エンブレム３０を利用してエアバッグモジュール１６の上面をインストルメントパネル１５の下面に位置決めして固定することができるので、従来の熱カシメ等の加工性が安定せずコスト高となる手法が不要になるだけでなく、２本のボルト３０ｂ，３０ｂがインストルメントパネル１５、ヒンジ板２７およびアッパーリテーナ２０の取付部２０ａを貫通することで、インストルメントパネル１５に対するエアバッグモジュール１６の位置決め精度が向上する。その結果、熱カシメを行うためにインストルメントパネル１５の下面にボスを突出させる必要がなくなり、発泡層を含まぬ単一層のインストルメントパネル１５であっても、その表面の前記ボスの影響でヒケが発生するのを防止して商品性を高めることができる。更に、エンブレム３０がインストルメントパネル１５の装飾となるために美観が向上する。
【００２０】
次に、図５に基づいて本発明の第２実施例を説明する。
【００２１】
第２実施例のエンブレム３０は、その本体部３０ａが合成樹脂製であり、本体部３０ａに頭部を埋め込まれた２本のボルト３０ｂ，３０ｂが下方から突出している。本第２実施例によれば、エンブレム３０の本体部３０ａを合成樹脂製とすることでコストの削減を図ることができる。
【００２２】
次に、図６に基づいて本発明の第３実施例を説明する。
【００２３】
第３実施例のエンブレム３０は、その本体部３０ａの裏面から突出する２個のナット３０ｃ，３０ｃがインストルメントパネル１５、ヒンジ板２７およびアッパーリテーナ２０の取付部２０ａを貫通し、前記ナット３０ｃ，３０ｃに螺合する２本のボルト３２，３２で締結される。本第２実施例によっても、第１実施例と同様の作用効果を達成することができる。
【００２４】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【００２５】
例えば、実施例ではエンブレム３０が２本のボルト３０ｂ，３０ｂあるいは２個のナット３０ｃ，３０ｃを備えているが、ボルトやナットの数は必要に応じて適宜変更可能である。また２個以上のエンブレム３０を使用することも可能である。
【００２６】
またエンブレム３０の締結手段はボルトやナットに限定されず、クリップ等の適宜の締結手段を採用することができる。
【００２７】
またエンブレム３０の全体を合成樹脂で形成することも可能である。
【００２８】
【発明の効果】
以上のように請求項１に記載された発明によれば、インストルメントパネルの表面にエンブレムの本体部の裏面を当接させ、このエンブレムの本体部の裏面にインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを締結したので、従来の熱カシメのような確実性が低くコストが嵩む加工を必要とせずに、エアバッグモジュールをインストルメントパネルに確実にかつ精度良く固定することができる。また熱カシメのためのボスをインストルメントパネルの下面に突出させる必要がないため、発泡層を含まぬ単一層のインストルメントパネルであっても、ボスの位置に対応するインストルメントパネルの表面にヒケが発生するのを防止して商品性を高めることができ、しかもエンブレムがインストルメントパネルの装飾となるために美観が向上する。
【００２９】
また請求項２に記載された発明によれば、エンブレムの本体部の裏面に突出するボルトがインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを貫通するので、インストルメントパネルに対してエアバッグモジュールを精度良く位置決めすることができ、しかもボルトに螺合するナットとエンブレムの本体部との間にインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを挟むので、両者を強固に固定することができる。
【００３０】
また請求項３に記載された発明によれば、エンブレムの本体部の裏面に突出するナットがインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを貫通するので、インストルメントパネルに対してエアバッグモジュールを精度良く位置決めすることができ、しかもナットに螺合するボルトとエンブレムの本体部との間にインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを挟むので、両者を強固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】自動車の車室前部の斜視図
【図２】図１の２−２線拡大断面図
【図３】図２の３部拡大図
【図４】エンブレムおよびナットの分解斜視図
【図５】本発明の第２実施例に係る、前記図３に対応する図
【図６】本発明の第３実施例に係る、前記図３に対応する図
【符号の説明】
１５ インストルメントパネル
１５ａ ティアライン
１６ エアバッグモジュール
２０ａ 取付部
２２ エアバッグ
２４ インフレータ
３０ エンブレム
３０ａ 本体部
３０ｂ ボルト
３０ｃ ナット
３１ ナット
３２ ボルト
【発明の属する技術分野】
本発明は、インフレータおよびエアバッグを収納したエアバッグモジュールをインストルメントパネルの内部に固定し、車両の衝突時にインフレータが発生するガスで膨張するエアバッグの圧力でインストルメントパネルのティアラインを破断し、そこに形成される開口を通してエアバッグを車室内に展開させるエアバッグ装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
自動車の助手席用のエアバッグモジュールはインストルメントパネルに内部に収納されており、例えば左右のフロントピラー間を接続するピラートゥピラーパイプに支持される。このとき、インストルメントパネルの下面とエアバッグモジュールの上面とを位置決めして固定する手法として、合成樹脂製のインストルメントパネルに下面に一体に突出させたボスをエアバッグモジュールのリテーナに形成した取付孔に嵌合させ、そのボスを熱カシメしてインストルメントパネルにエアバッグモジュールを固定するものが、特開平７−２９１０７８号公報により提案されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、インストルメントパネルの構造が表皮と基材との間に発泡層を備えた高級車仕様のものであれば、基材の下面にボルトでエアバッグモジュールを固定することで、ボルトがインストルメントパネルの美観を損ねるのを回避しながらエアバッグモジュールを確実に固定することができ、また前記基材の下面に一体に突出させたボスを熱カシメすることでも、インストルメントパネルにエアバッグモジュールを固定することができる。
【０００４】
しかしながら、インストルメントパネルが発泡層を持たぬ単一層で構成されている場合、上述したボルトを用いる固定方法では、そのボルトがインストルメントパネルの表面に露出して美観を損ねる問題があり、また上述したボスを熱カシメする固定方法では加工時間や加工コストの面で不利であるばかりか、加工条件の変化等により安定した固定強度を得ることが困難であり、しかもボスの位置に対応するインストルメントパネルに表面にヒケが発生して美観を損ねる問題がある。
【０００５】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、インストルメントパネルの表面の美観を損ねることなく、インストルメントパネルの下面にエアバッグモジュールを容易かつ確実に固定できるようにすることを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項１に記載された発明によれば、インフレータおよびエアバッグを収納したエアバッグモジュールをインストルメントパネルの内部に固定し、車両の衝突時にインフレータが発生するガスで膨張するエアバッグの圧力でインストルメントパネルのティアラインを破断し、そこに形成される開口を通してエアバッグを車室内に展開させるエアバッグ装置において、インストルメントパネルの表面にエンブレムの本体部の裏面を当接させ、このエンブレムの本体部の裏面にインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを締結したことを特徴とするエアバッグ装置が提案される。
【０００７】
上記構成によれば、インストルメントパネルの表面にエンブレムの本体部の裏面を当接させ、このエンブレムの本体部の裏面にインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを締結したので、従来の熱カシメのような確実性が低くコストが嵩む加工を必要とせずに、エアバッグモジュールをインストルメントパネルに確実にかつ精度良く固定することができる。また熱カシメのためのボスをインストルメントパネルの下面に突出させる必要がないため、発泡層を含まぬ単一層のインストルメントパネルであっても、ボスの位置に対応するインストルメントパネルの表面にヒケが発生するのを防止して商品性を高めることができ、しかもエンブレムがインストルメントパネルの装飾となるために美観が向上する。
【０００８】
また請求項２に記載された発明によれば、請求項１の構成に加えて、エンブレムの本体部の裏面に突出するボルトがインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを貫通し、このボルトに螺合するナットとエンブレムの本体部との間にインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを挟んで固定することを特徴とするエアバッグ装置が提案される。
【０００９】
上記構成によれば、エンブレムの本体部の裏面に突出するボルトがインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを貫通するので、インストルメントパネルに対してエアバッグモジュールを精度良く位置決めすることができ、しかもボルトに螺合するナットとエンブレムの本体部との間にインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを挟むので、両者を強固に固定することができる。
【００１０】
また請求項３に記載された発明によれば、請求項１の構成に加えて、エンブレムの本体部の裏面に突出するナットがインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを貫通し、このナットに螺合するボルトとエンブレムの本体部との間にインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを挟んで固定することを特徴とするエアバッグ装置が提案される。
【００１１】
上記構成によれば、エンブレムの本体部の裏面に突出するナットがインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを貫通するので、インストルメントパネルに対してエアバッグモジュールを精度良く位置決めすることができ、しかもナットに螺合するボルトとエンブレムの本体部との間にインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを挟むので、両者を強固に固定することができる。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【００１３】
図１〜図４は本発明の第１実施例を示すもので、図１は自動車の車室前部の斜視図、図２は図１の２−２線拡大断面図、図３は図２の３部拡大図、図４はエンブレムおよびナットの分解斜視図である。
【００１４】
図１に示すように、自動車の運転席シート１１の前側に臨むステアリングホイール１２の内部には運転席用のエアバッグモジュール１３が収納され、助手席シート１４の前側に臨むインストルメントパネル１５の内部には助手席用のエアバッグモジュール１６が収納される。
【００１５】
図２〜図４から明らかなように、インストルメントパネル１５の内部には左右のフロントピラー（図示せず）を接続するピラートゥピラーパイプ１７が配置されており、このピラートゥピラーパイプ１７にモジュール支持ブラケット１８が溶接される。助手席用のエアバッグモジュール１６は、上面が開口したロアリテーナ１９と、上面および下面が開放したアッパーリテーナ２０とを備えており、ロアリテーナ１９の上縁とアッパーリテーナ２０の下縁とが重ね合わされて複数本のボルト２１…で結合される。ロアリテーナ１９およびアッパーリテーナ２０の結合部には折り畳んだエアバッグ２２の開口部が重ね合わされ、前記複数本のボルト２１…で共締めされる。ロアリテーナ１９の内部に一対のブラケット２３，２３により円筒状のインフレータ２４が支持されており、このインフレータ２４を点火するスクイブ２５がリード線２６を介して図示せぬ点火制御装置に接続される。
【００１６】
インストルメントパネル１５は発泡層を持たない合成樹脂の単一層で構成されるもので、エアバッグモジュール１６に臨む内面にＨ形のティアライン１５ａおよび２本の直線状のヒンジライン１５ｂ，１５ｂが薄肉に形成され、それらティアライン１５ａおよびヒンジライン１５ｂ，１５ｂに囲まれた領域がエアバッグ２２の展開時に開放する２枚のリッド１５ｃ，１５ｃとなる。即ち、アッパーリテーナ２０の内部で膨張するエアバッグ２２の圧力がリッド１５ｃ，１５ｃの内面に作用すると、ティアライン１５ａが破断してリッド１５ｃ，１５ｃがヒンジライン１５ｂ，１５ｂまわりに外側に開放し、そこにエアバッグ２２が展開する開口が形成される。このときヒンジライン１５ｂ，１５ｂが破断してリッド１５ｃ，１５ｃが飛散しないように、ヒンジライン１５ｂ，１５ｂを含むリッド１５ｃ，１５ｃの下面に薄い金属製のヒンジ板２７，２７が積層される。ヒンジ板２７，２７のヒンジライン１５ｂ，１５ｂに対応する位置は、容易に屈曲できるようにＵ字状に折り曲げられる。
【００１７】
ロアリテーナ１９に溶接したモジュール取付ブラケット２８をピラートゥピラーパイプ１７に溶接したモジュール支持ブラケット１８にボルト２９…で締結することで、エアバッグモジュール１６はピラートゥピラーパイプ１７に強固に支持される。
【００１８】
エアバッグモジュール１６のアッパーリテーナ２０の上縁に形成したフランジ状の取付部２０ａを、インストルメントパネル１５のティアライン１５ａおよびヒンジライン１５ｂ，１５ｂに対して位置決めした状態で固定すべく、金属で一体に形成したエンブレム３０が利用される。エンブレム３０は表面にエアバッグ装置を表すＳＲＳの文字（あるいは車名、ブランド名等）を表示した板状の本体部３０ａと、この本体部３０ａの裏面から突出する２本のボルト３０ｂ，３０ｂとを備えており、２本のボルト３０ｂ，３０ｂがインストルメントパネル１５、ヒンジ板２７およびアッパーリテーナ２０の取付部２０ａを上から下に貫通し、それらを挟み付けるようにナット３１，３１で締結される。
【００１９】
このように、エンブレム３０を利用してエアバッグモジュール１６の上面をインストルメントパネル１５の下面に位置決めして固定することができるので、従来の熱カシメ等の加工性が安定せずコスト高となる手法が不要になるだけでなく、２本のボルト３０ｂ，３０ｂがインストルメントパネル１５、ヒンジ板２７およびアッパーリテーナ２０の取付部２０ａを貫通することで、インストルメントパネル１５に対するエアバッグモジュール１６の位置決め精度が向上する。その結果、熱カシメを行うためにインストルメントパネル１５の下面にボスを突出させる必要がなくなり、発泡層を含まぬ単一層のインストルメントパネル１５であっても、その表面の前記ボスの影響でヒケが発生するのを防止して商品性を高めることができる。更に、エンブレム３０がインストルメントパネル１５の装飾となるために美観が向上する。
【００２０】
次に、図５に基づいて本発明の第２実施例を説明する。
【００２１】
第２実施例のエンブレム３０は、その本体部３０ａが合成樹脂製であり、本体部３０ａに頭部を埋め込まれた２本のボルト３０ｂ，３０ｂが下方から突出している。本第２実施例によれば、エンブレム３０の本体部３０ａを合成樹脂製とすることでコストの削減を図ることができる。
【００２２】
次に、図６に基づいて本発明の第３実施例を説明する。
【００２３】
第３実施例のエンブレム３０は、その本体部３０ａの裏面から突出する２個のナット３０ｃ，３０ｃがインストルメントパネル１５、ヒンジ板２７およびアッパーリテーナ２０の取付部２０ａを貫通し、前記ナット３０ｃ，３０ｃに螺合する２本のボルト３２，３２で締結される。本第２実施例によっても、第１実施例と同様の作用効果を達成することができる。
【００２４】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【００２５】
例えば、実施例ではエンブレム３０が２本のボルト３０ｂ，３０ｂあるいは２個のナット３０ｃ，３０ｃを備えているが、ボルトやナットの数は必要に応じて適宜変更可能である。また２個以上のエンブレム３０を使用することも可能である。
【００２６】
またエンブレム３０の締結手段はボルトやナットに限定されず、クリップ等の適宜の締結手段を採用することができる。
【００２７】
またエンブレム３０の全体を合成樹脂で形成することも可能である。
【００２８】
【発明の効果】
以上のように請求項１に記載された発明によれば、インストルメントパネルの表面にエンブレムの本体部の裏面を当接させ、このエンブレムの本体部の裏面にインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを締結したので、従来の熱カシメのような確実性が低くコストが嵩む加工を必要とせずに、エアバッグモジュールをインストルメントパネルに確実にかつ精度良く固定することができる。また熱カシメのためのボスをインストルメントパネルの下面に突出させる必要がないため、発泡層を含まぬ単一層のインストルメントパネルであっても、ボスの位置に対応するインストルメントパネルの表面にヒケが発生するのを防止して商品性を高めることができ、しかもエンブレムがインストルメントパネルの装飾となるために美観が向上する。
【００２９】
また請求項２に記載された発明によれば、エンブレムの本体部の裏面に突出するボルトがインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを貫通するので、インストルメントパネルに対してエアバッグモジュールを精度良く位置決めすることができ、しかもボルトに螺合するナットとエンブレムの本体部との間にインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを挟むので、両者を強固に固定することができる。
【００３０】
また請求項３に記載された発明によれば、エンブレムの本体部の裏面に突出するナットがインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを貫通するので、インストルメントパネルに対してエアバッグモジュールを精度良く位置決めすることができ、しかもナットに螺合するボルトとエンブレムの本体部との間にインストルメントパネルとエアバッグモジュールの取付部とを挟むので、両者を強固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】自動車の車室前部の斜視図
【図２】図１の２−２線拡大断面図
【図３】図２の３部拡大図
【図４】エンブレムおよびナットの分解斜視図
【図５】本発明の第２実施例に係る、前記図３に対応する図
【図６】本発明の第３実施例に係る、前記図３に対応する図
【符号の説明】
１５ インストルメントパネル
１５ａ ティアライン
１６ エアバッグモジュール
２０ａ 取付部
２２ エアバッグ
２４ インフレータ
３０ エンブレム
３０ａ 本体部
３０ｂ ボルト
３０ｃ ナット
３１ ナット
３２ ボルト
Claims (3)
- インフレータ（２４）およびエアバッグ（２２）を収納したエアバッグモジュール（１６）をインストルメントパネル（１５）の内部に固定し、車両の衝突時にインフレータ（２４）が発生するガスで膨張するエアバッグ（２２）の圧力でインストルメントパネル（１５）のティアライン（１５ａ）を破断し、そこに形成される開口を通してエアバッグ（２２）を車室内に展開させるエアバッグ装置において、
インストルメントパネル（１５）の表面にエンブレム（３０）の本体部（３０ａ）の裏面を当接させ、このエンブレム（３０）の本体部（３０ａ）の裏面にインストルメントパネル（１５）とエアバッグモジュール（１６）の取付部（２０ａ）とを締結したことを特徴とするエアバッグ装置。 - エンブレム（３０）の本体部（３０ａ）の裏面に突出するボルト（３０ｂ）がインストルメントパネル（１５）とエアバッグモジュール（１６）の取付部（２０ａ）とを貫通し、このボルト（３０ｂ）に螺合するナット（３１）とエンブレム（３０）の本体部（３０ａ）との間にインストルメントパネル（１５）とエアバッグモジュール（１６）の取付部（２０ａ）とを挟んで固定することを特徴とする、請求項１に記載のエアバッグ装置。
- エンブレム（３０）の本体部（３０ａ）の裏面に突出するナット（３０ｃ）がインストルメントパネル（１５）とエアバッグモジュール（１６）の取付部（２０ａ）とを貫通し、このナット（３０ｃ）に螺合するボルト（３２）とエンブレム（３０）の本体部（３０ａ）との間にインストルメントパネル（１５）とエアバッグモジュール（１６）の取付部（２０ａ）とを挟んで固定することを特徴とする、請求項１に記載のエアバッグ装置。
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