JP4470029B2 - 分割itoスパッタリングターゲット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明導電性薄膜製造の際に使用されるITOスパッタリングターゲット、特に複数枚のターゲット材を単一のバッキングプレート上に配置した分割部を有するITOスパッタリングターゲットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
Indium Tin Oxide(ITO)薄膜は高導電性、高透過率といった特徴を有し、更に微細加工も容易に行えることから、フラットパネルディスプレイ用表示電極、太陽電池用窓材、帯電防止膜等の広範囲な分野に渡って用いられている。特に液晶表示装置を始めとしたフラットパネルディスプレイ分野では近年大型化および高精細化が進んでおり、その表示用電極であるITO薄膜に対する需要もまた急速に高まっている。
【0003】
このようなITO薄膜の製造方法はスプレー熱分解法、CVD法等の化学的成膜法と電子ビーム蒸着法、スパッタリング法等の物理的成膜法に大別することができる。中でもスパッタリング法は大面積化が容易でかつ高性能の膜が得られる成膜法でることから、様々な分野で使用されている。
【0004】
スパッタリング法によりITO薄膜を製造する場合、用いるスパッタリングターゲットとしては金属インジウムおよび金属スズからなる合金ターゲット(ITターゲット)あるいは酸化インジウムと酸化スズからなる複合酸化物ターゲット(ITOターゲット)が用いられる。このうち、ITOターゲットを用いる方法は、ITターゲットを用いる方法と比較して、得られた膜の抵抗値および透過率の経時変化が少なく成膜条件のコントロールが容易であるため、ITO薄膜製造方法の主流となっている。
【0005】
近年、液晶パネルの大型化および生産性向上のため、液晶パネル生産用のマザーガラスサイズが増大している。一般に液晶パネル製造の第2期ラインの当初では360mm×460mmであったマザーガラスサイズは、2期の後半には410mm×520mm、第3期では550mm×650mmとなっている。これにともない、前記ガラス基板にITO薄膜を形成する際に使用されるITOターゲットのサイズも徐々に増大し、例えば第3期ではインライン型のスパッタリング装置で約300mm×800mm、枚葉式スパッタリング装置で約800mm×840mmとなっている。
【0006】
しかし、ITOターゲットに使用されるITO焼結体はセラミクスであり、このような大きな焼結体を歩留まり良く製造することは困難であり、また歩留まりが低いことから高価なものとなっている。そこで、前記のような大型のターゲットを製造する場合には、複数枚の小さな焼結体を1枚のバッキングプレート上に配置して大型ターゲットとする方法が採用されている。例えば、800mm×840mmの大型ターゲットを製造する場合、800mm×280mmの比較的小さな焼結体3枚を1枚のバッキングプレート上に並べて配置することにより大型のターゲットを得る方法である。
【0007】
このような複数枚のITO焼結体を1枚のバッキングプレート上に並べて配置することにより形成されたITOスパッタリングターゲットは、大型ターゲットを歩留まり良く製造できる反面、ターゲットの使用時間の増加に伴い、焼結体同士の隣接部分(以降、「分割部」と称する)および該分割部周辺にノジュールが多量に発生するという新たな問題を引き起こした。
【0008】
ノジュールとは、ITOターゲットをアルゴンガスと酸素ガスとの混合ガス雰囲気中で連続してスパッタリングした場合、積算スパッタリング時間の増加にともないターゲット表面に発生する黒色物を意味している。 インジウムの低級酸化物と考えられているこの黒色の付着物は、スパッタリング時の異常放電の原因となりやすく、またそれ自身が異物(パーティクル)の発生源となることが知られている。 そのため、連続してスパッタリングを行った場合、形成された薄膜中に異物欠陥が発生し、これが液晶表示装置等のフラットパネルディスプレイの製造歩留まり低下の原因となっている。
【0009】
分割部のない1枚物のターゲットの場合には、例えば特開平08−060352号のように、ターゲットの密度を6.4g/cm3以上とするとともにターゲットの表面粗さを制御することにより、ノジュールの発生を低減できることが報告されている。しかしながら、複数枚の焼結体を組み合わせて分割部を有するターゲットとした場合においては、この分割部および分割部周辺でのノジュールの発生を抑制することは困難であった。
【0010】
また、分割部に発生するノジュールを低減させるために、例えば特開平11−061395号のように、分割された焼結体の密度を6.4g/cm3以上とし、分割部の幅を0.05mm以上0.4mm以下とするとともに、分割されたITO焼結体の各エッジ部のうち、スパッタリング面に存在するエッジ部分をR1〜R2に加工する手法が提案されている。
【0011】
しかしながら、近年、液晶表示素子の高精細化、高性能化にともない形成される薄膜の性能を向上させることを目的として、低い印加電力で放電を行う成膜方法が採用されるようになってきた。この低い印加電圧での成膜により、上記のような各手法を取り入れたターゲットを用いた場合においても、ノジュールが発生し問題となってきている。特に、分割部の周辺に発生するノジュールは、特開平08−060352号や特開平11−061395号に記載の技術では低減することができず、特に解決すべき重要な課題となっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、複数のITO焼結体を組み合わせて1枚のターゲットとした分割部を有するITOスパッタリングターゲットを用いて、近年の低印加電力によるスパッタリングを行った場合においても、分割部周辺でのノジュール発生量を低減したITOスパッタリングターゲットを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者等はITOスパッタリングターゲットの分割部周辺におけるノジュールの発生量を低減させるため、分割部周辺に発生するノジュールの形成原因について詳細な検討を行った。その結果、分割部近傍に発生するノジュールは、分割部の底部の残存しているハンダ材である金属インジウムが、スパッタリング中にターゲット表面のエロージョン部に付着し、付着した金属インジウムを核としてターゲットが掘れ残り、ノジュールとなることを見出した。金属インジウムが、掘れ残りを発生させる核となる原因は未だ明らかではないが、ターゲット表面に付着した金属インジウムは、スパッタリングガス中に含まれる酸素と反応して酸化インジウムを形成し、この酸化インジウムはITOと比べて抵抗率が非常に高いために掘れ残るものと考えられる。
【0014】
そこで本発明者等は、スパッタリング中に分割部の底部に存在するハンダ材のターゲット表面への付着防止策について詳細な検討を行った結果、各焼結体の相対密度を99%以上、分割部の幅を0.05mm以上0.2mm以下とするとともに、分割部において相対している各焼結体の表面の中心線平均粗さ(Ra)を0.5μm以上2μm以下とすることにより分割部近傍でのノジュール発生量を低減できることを見出し本発明を完成した。
【0015】
即ち、本発明は実質的にインジウム、スズおよび酸素からなる、複数のITO焼結体を単一のバッキングプレート上に接合した分割ITOスパッタリングターゲットにおいて、各焼結体の相対密度を99%以上とし、隣り合う焼結体により形成される分割部の幅を0.05mm以上0.2mm以下とするとともに、分割部において相対している各焼結体の表面の中心線平均粗さ(Ra)を0.5μm以上2μm以下としたことを特徴とする分割ITOスパッタリングターゲットに関するものである。
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の分割ITOスパッタリングターゲットの一例を示す斜視図であり、図2はそのITO焼結体の長辺およびおよびスパッタリング面に直交する面で切断した断面図である。この例は3枚のITO焼結体2を1枚のバッキングプレート上に並べて配置した分割ITOターゲットであり、ターゲットを構成する個々のITO焼結体2どうしは、それぞれ0.05mm以上0.2mm以下の幅4(分割部の幅)を保って、バッキングプレート1上に並べて配置されている。
【0018】
ITO焼結体のスパッタリング面と分割部を構成するITO焼結体の側面とが交差するエッジ部3は、ノジュールの発生や異常放電をより抑制するため、半径0.5〜2mmの丸みを有するように、すなわち、R0.5〜R2に加工することが好ましい。なお、ITO焼結体2のスパッタリング面に存在する他のエッジ部については、必ずしも必要ではないが、適当な丸み加工を施してもよい。
【0019】
本発明の分割ITOスパッタリングターゲットとは、複数枚の焼結体を1枚のバッキングプレート上に配置したものであれば、その分割数や形状は特に限定しない。図1に示したように等しい大きさの焼結体を3枚接合したものでもよいし、図3に示すように異なったサイズの焼結体を3枚接合してもよい。さらに、4分割の場合には、「田」の字状に分割したものであってもかまわない。
【0020】
また本発明で使用するITO焼結体の密度は99%以上とする。好ましくは99.5%以上である。こうすることにより、ITO焼結体の空孔部で発生する異常放電や異常放電によるノジュールの発生を抑制することが可能となるからである。
【0021】
焼結密度99%以上のITO焼結体を製造する方法としては、得られる焼結体の相対密度が99%以上であれば、特に限定されるものではないが、例えば、以下のような方法で製造することができる。
【0022】
始めに、酸化インジウム粉末と酸化スズ粉末との混合粉末或いはITO粉末等にバインダー等を加え、プレス法或いは鋳込法等の成形方法により成形してITO成形体を製造する。この際、使用する粉末の平均粒径が大きいと焼結後の密度が充分に上がらず相対密度99%以上の焼結体を得られなくなる場合があるので、使用する粉末の平均粒径は1.5μm以下であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜1.5μmである。
【0023】
また、混合粉末またはITO粉末中の酸化スズ含有量は、スパッタリング法により薄膜を製造した際に比抵抗が低下する5〜15重量%とすることが望ましい。
【0024】
次に得られた成形体に必要に応じて、CIP等の圧密化処理を行う。この際、CIP圧力は充分な圧密効果を得るため2ton/cm2以上、好ましくは2〜3ton/cm2であることが望ましい。ここで始めの成形を鋳込法により行った場合には、CIP後の成形体中に残存する水分およびバインダー等の有機物を除去する目的で脱バインダー処理を施してもよい。また、始めの成形をプレス法により行った場合でも、成型時にバインダーを使用したときには、同様の脱バインダー処理を行うことが望ましい。
【0025】
このようにして得られた成形体を焼結炉内に投入して焼結を行う。焼結方法としては、焼結体の相対密度が99%以上となる焼結方法であればいかなる方法でもよいが、生産設備のコスト等を考慮すると大気中焼結が望ましい。しかしこの他HP法、HIP法および酸素加圧焼結法等の従来知られている他の焼結法を用いることができることは言うまでもない。
【0026】
また、焼結条件についても焼結体の相対密度が99%以上となる焼結条件を適宜選択することができるが、充分な密度上昇効果を得るため、また酸化スズの蒸発を抑制するため、焼結温度が1450〜1650℃であることが望ましい。また焼結時の雰囲気としては大気或いは純酸素雰囲気であることが好ましい。また焼結時間についても充分な密度上昇効果を得るために5時間以上、好ましくは5〜30時間であることが望ましい。
【0027】
続いて上記の方法により製造した相対密度99%以上のITO焼結体を所望の大きさに研削加工する。ITO焼結体は硬度が高く、研削加工中に焼結体内部にクラックを生じ易いので、加工は湿式加工で行うことが望ましい。ここで、前記研削加工を施された焼結体の各面のうち、分割部を構成する面の中心線平均粗さ(Ra)を0.5μm以上2μm以下、好ましくは0.5μm以上1μm以下に加工する。分割部を構成する面の粗さが前記範囲より小さくなると、本発明の効果が得難くなり、前記範囲より大きくなると粗れた表面から焼結体の一部が容易に折り取られ、パーティクルとなって基板に付着する恐れがあり好ましくない。
【0028】
また、ITO焼結体のスパッタリング面を研磨し、スパッタリング面の表面粗さ(Ra)を0.8μm以下、かつ、最大高さ(Rmax)を7.0μm以下となるように加工することが好ましい。より好ましくは、Raが0.1μm以下、かつ、Rmaxが2μm以下である。こうすることにより、ターゲット表面の凹凸部で発生する異常放電や異常放電によるノジュールの形成を効果的に抑制することが可能となる。
【0029】
このようにして得られた、複数枚のITO焼結体を1枚のバッキングプレート上に接合する。本発明に使用されるバッキングプレートおよび金属接合剤は特に限定されないが、バッキングプレートとしては、無酸素銅およびリン酸銅等が、金属接合剤としては、インジウム半田等をあげることができる。
【0030】
接合は、例えば、次に示すような工程に従って行うことができる。まず、研削加工の施された複数枚のITO焼結体とバッキングプレートとを使用する金属接合剤の融点以上に加熱する。
【0031】
次に加熱されたITO焼結体およびバッキングプレートの接合面に金属接合剤を塗布する。このようにして得られた、金属接合剤塗布済みのITO焼結体とバッキングプレートの接合面どうしを合わせて接合する。このとき、焼結体にR加工を施した場合には、そのエッジ部が分割部のスパッタリング面を向くよう配置するとともに、冷却後の分割部の幅が0.05mm以上0.2mm以下となるように配置する。分割部の幅が0.2mmを越えた場合には、分割部に残存する金属接合剤がスパッタリング中に分割部周辺のターゲット表面に付着し、ノジュール発生の原因となり好ましくない。また、0.05mm未満とすると、真空装置内に設置して実際にスパッタリングした場合に、ITO焼結体が熱膨張により増大し、隣り合った焼結体同士がぶつかりあい破損する恐れがあるので好ましくない。
【0032】
接合のために加熱された状態での分割部の幅は、使用するバッキングプレートの材質、使用する金属接合剤の融点、使用するITO焼結体の大きさおよび最終的なターゲットサイズに合わせて適宜選択すればよい。
【0033】
例えば、800mm×280mmの焼結体3枚を1枚のバッキングプレート上にボンディングして1枚のターゲットとするに際し、バッキングプレートに無酸素銅を使用し、金属接合剤にインジウム半田を使用した場合には、156℃に焼結体およびバッキングプレートを加熱した状態で分割部の幅を0.53mmとすることにより、冷却後の接合部の幅は0.2mmとなる。
【0034】
実際の分割部の幅のコントロールは例えば、以下の様にして実施することができる。まず、分割部に厚さ0.53mmの治具を挿入し、バッキングプレートと焼結体とを接合する。焼結体とバッキングプレートの位置合わせを行い、金属接合材料であるインジウム半田が固化した後、接合部に挿入した治具を抜き取り、室温まで冷却する。
【0035】
分割部に挿入する治具は、接合時の温度に耐えられる材質であれば特に限定されないが、例えば、ステンレス、鉄、真鍮、カーボン、テフロン、ポリイミド樹脂等があげられる。テフロン、ポリイミドなどの樹脂は柔らかいため、金属接合剤固化後の治具の抜き取りが容易であり好ましい。
【0036】
また、1枚のバッキングプレート上に接合される各焼結体間の密度のばらつきは、相対密度で±0.3%以内であることが望ましい。そうすることにより、基板上に形成された薄膜の膜厚分布が向上するからである。さらに、各焼結体の組織例えば、粒径、スズの分散性等も各焼結体間でばらつきが小さいことが望ましい。こうすることにより、基板上に形成された薄膜の膜質(抵抗率、透過率)分布が向上するからである。
【0037】
本発明によりITOスパッタリングターゲットは、特にスパッタリング法を限定することなく使用することができる。ターゲット下部に配置される磁石は、固定型のものでもよいし、揺動型のものでもよく、磁石の強さにも関係なく使用することができる。
【0038】
スパッタリングガスとしては、アルゴンなどの不活性ガスなどに必要に応じて酸素ガスなどが加えられ、通常2〜10mTorrにこれらのガス圧を制御しながら、放電が行われる。放電のための電力印可方式としては、DC、RFあるいはこれらを組み合わせたものが使用可能であるが、放電の安定性を考慮し、DCあるいはDCにRFを重畳したものが好ましい。ターゲットに加えられる電力密度については特に制限はないが、本発明のターゲットは、近年の低電力放電(2.0W/cm2以下)の条件下において、特に有効である。
【0039】
このようにして得られた本発明の分割ITOスパッタリングターゲットは、近年の低印加電力の成膜方法を用いた場合においても、分割部周辺に発生するノジュール発生量を低減することができる。
【0040】
また、本発明によるスパッタリングターゲットは、ITOに付加機能を持たせることを目的として第3の元素を添加したターゲットにおいても有効である。第3元素としては、例えば、Mg,Al,Si,Ti,Zn,Ga,Ge,Y,Zr,Nb,Hf,Ta等を例示することができる。これら元素の添加量は、特に限定されるものではないが、ITOの優れた電気光学的特性を劣化させないため、(第3元素の酸化物の総和)/(ITO+第3元素の酸化物の総和)/100で0%を超え20%以下とすることが好ましい。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例をもって更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
実施例1
平均粒径1.3μmの酸化インジウム粉末と平均粒径0.7μmの酸化スズ粉末をボールミル用ポットに入れ、これに直径10mmのナイロンボールを加え、5時間乾式ボールミル混合して混合粉末を製造した。次に得られた混合粉末を水、分散材およびバインダーとともに混合してスラリー化し、これを鋳込用の樹脂型への中へ注入して130mm×80mm×10mmの成形体3枚を製造した。
【0043】
次に、これら成形体を乾燥炉内に設置し乾燥処理を施した後、3ton/cm2の圧力でCIP処理を行った。これら成形体を脱脂炉に設置し、大気雰囲気中で450℃で10時間加熱して成形体に残存する有機物を除去し、続いて、これら成形体を大気焼結炉内に設置して以下の条件で焼結を実施した。
【0044】
焼結温度:1500℃
昇温速度:25℃/Hr
焼結時間:10時間
得られた焼結体の密度をアルキメデス法により測定したところ全て7.10g/cm3(相対密度:99.2%)であった。
【0045】
この焼結体を100mm×58mm×6mmに加工した。得られた焼結体の面のうち、分割部を構成する面のRaを0.53μm、スパッタリング面のRaおよびRmaxをそれぞれ0.08μm、1.0μmに研磨機を用いて機械加工した。また、スパッタリング面となるエッジ部分に対して、R1の加工を施した。
【0046】
このようにして得られた焼結体とバッキングプレートとを156℃まで加熱した後、それぞれの接合面にインジウム半田を塗布した。次に、これら焼結体をその分割部の幅が0.11mmになるように配置した後、室温まで冷却してターゲットとした。冷却後の分割部の幅は、0.10mmであった。
【0047】
得られたターゲットを、真空装置内に設置し、以下の条件でスパッタリングを実施した。
【0048】
DC電力 :1.3w/cm2
スパッタガス:Ar+O2
ガス圧 :5mTorr
2/Ar :0.1%
以上の条件により連続的にスパッタリング試験を60時間実施した。放電後のターゲットの外観写真に対してコンピュータを用いて画像処理を行い、ノジュール発生量を調べた。その結果、ターゲット表面の7%の部分にノジュ−ルが発生していた。
【0049】
実施例2
平均粒径1.3μmの酸化インジウム粉末と平均粒径0.7μmの酸化スズ粉末をボールミル用ポットに入れ、これに直径10mmのナイロンボールを加え、5時間乾式ボールミル混合して混合粉末を製造した。次に得られた混合粉末を水、分散材およびバインダーとともに混合してスラリー化し、これを鋳込用の樹脂型への中へ注入して165mm×300mm×10mmの成形体2枚を製造した。
【0050】
次に、これら成形体を乾燥炉内に設置し乾燥処理を施した後、3ton/cm2の圧力でCIP処理を行った。これら成形体を脱脂炉に設置し、大気雰囲気中で450℃で10時間加熱して成形体に残存する有機物を除去し、続いて、これら成形体を大気焼結炉内に設置して実施例1と同様の条件で焼結を実施した。
【0051】
得られた焼結体の密度をアルキメデス法により測定したところその密度は、それぞれ7.10(相対密度:99.2%)、および7.11g/cm3(相対密度:99.4%)であった。
【0052】
これらの焼結体を127mm×228.5mm×6mmの焼結体に加工した。得られた焼結体の面のうち、分割部を構成する面のRaを1.8μm、スパッタリング面のRaおよびRmaxをそれぞれ0.08μm、1.1μmに研磨機を用いて機械加工した。また、スパッタリング面となるエッジ部分に対して、R2の加工を施した。
【0053】
このようにして得られた焼結体とバッキングプレートを156℃まで加熱した後、それぞれの接合面にインジウム半田を塗布した。次に、これら焼結体をその接合部が0.43mmになるように配置した後、室温まで冷却してターゲットとした。冷却後の分割部の幅は、0.2mmであった。
【0054】
得られたターゲットを、真空装置内に設置し、実施例1と同様の条件でスパッタリングを実施した。連続的にスパッタリング試験を60時間実施した後、実施例1と同様にターゲットの外観写真を画像処理したところ、ターゲット表面の8%の部分にノジュ−ルが発生していた。
【0055】
比較例1
実施例1と同じ条件でITO焼結体を3枚製造した。得られた焼結体の密度をアルキメデス法により測定したところ全て7.10g/cm3であった。次に、これらの焼結体を100mm×58mm×6mmに加工した。得られた焼結体の面のうち、分割部を構成する面のRaを0.52μm、スパッタリング面のRaおよびRmaxをそれぞれ0.08μm、1.1μmに研磨機を用いて機械加工した。また、スパッタリング面となるエッジ部分に対して、R1の加工を施した。
【0056】
このようにして得られた焼結体とバッキングプレートとを156℃まで加熱した後、それぞれの接合面にインジウム半田を塗布した。次に、これら焼結体をその分割部の幅が0.27mmになるように配置した後、室温まで冷却してターゲットとした。冷却後の分割部の幅は、0.24mmであった。
【0057】
得られたターゲットを、真空装置内に設置し、実施例1と同様な条件でスパッタリングを実施した。連続的にスパッタリング試験を60時間実施した後、実施例1と同様にターゲットの外観写真を画像処理したところ、ターゲット表面の46%の部分にノジュ−ルが発生していた。
【0058】
比較例2
実施例1と同じ条件でITO焼結体を3枚製造した。得られた焼結体の密度をアルキメデス法により測定したところ全て7.10g/cm3であった。次に、これらの焼結体を100mm×58mm×6mmに加工した。得られた焼結体の面のうち、分割部を構成する面のRaを0.3μm、スパッタリング面のRaおよびRmaxをそれぞれ0.08μm、1.0μmに研磨機を用いて機械加工した。また、スパッタリング面となるエッジ部分に対して、R1の加工を施した。
【0059】
このようにして得られた焼結体とバッキングプレートとを156℃まで加熱した後、それぞれの接合面にインジウム半田を塗布した。次に、これら焼結体をその分割部の幅が0.11mmになるように配置した後、室温まで冷却してターゲットとした。冷却後の分割部の幅は、0.10mmであった。
【0060】
得られたターゲットを、真空装置内に設置し、実施例1と同様な条件でスパッタリングを実施した。連続的にスパッタリング試験を60時間実施した後、実施例1と同様にターゲットの外観写真を画像処理したところ、ターゲット表面の40%の部分にノジュ−ルが発生していた。
【0061】
【発明の効果】
本発明の分割ITOスパッタリングターゲットは、近年の低印加電力の成膜方法を用いた場合においても、分割部周辺に発生するノジュール発生量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の分割ITOスパッタリングターゲットの一例を示す斜視図である。
【図2】 図1に示した分割ITOスパッタリングターゲットの断面を示す図である。
【図3】 本発明の分割ITOスパッタリングターゲットの他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:バッキングプレート
2:ITO焼結体
3:エッジ部
4:分割部の幅

Claims (3)

  1. 実質的にインジウム、スズおよび酸素からなる、複数のITO焼結体を単一のバッキングプレート上に接合した分割ITOスパッタリングターゲットにおいて、各焼結体の相対密度を99%以上とし、隣り合う焼結体により形成される分割部の幅を0.05mm以上0.2mm以下とするとともに、分割部において相対している各焼結体の表面の中心線平均粗さ(Ra)を0.5μm以上2μm以下としたことを特徴とする分割ITOスパッタリングターゲット。
  2. 焼結体のスパッタリング面と分割部を構成する焼結体の側面とが交差するエッジ部をR0.5〜R2に加工したことを特徴とする請求項1に記載の分割ITOスパッタリングターゲット。
  3. ITO焼結体のスパッタリング面の中心線平均粗さ(Ra)が0.8μm以下で、かつ、最大高さ(Rmax)が7.0μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の分割ITOスパッタリングターゲット。
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