JP6273735B2 - 円筒形スパッタリングターゲットとその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はセラミックス製の円筒形スパッタリングターゲットに関するものである。
セラミックス製の円筒形スパッタリングターゲットは、高速で成膜でき、かつターゲット材料の使用効率が高いことから近年注目を集めている。しかし、一般にセラミックス材料は金属材料と比較すると強度が低いために大型のターゲットを製造することが難しく、複数個の円筒形セラミックス焼結体(以下、焼結体ということがある)を金属製のバッキングチューブに張り合わせ、一つの大型ターゲットを製造する方法が一般的である。
このような複数の焼結体をバッキングチューブに接合したスパッタリングターゲットは、隣接する焼結体の間に通常0.2〜0.8mm程度の間隔が設けられている。これはスパッタリング中に焼結体表面が加熱され膨張し、隣接する焼結体がお互いにぶつかることにより割れや欠けが生じないようするためである。この一定の間隔をあけた部分を分割部と言う。
分割部を有する円筒ターゲットの製造方法として特許文献1では、複数の円筒形焼結体を封止材を介して積み重ね、その内側に設置されたバッキングチューブとの間に形成されるクリアランスに流動性を有する接合材を流し込み、接合材が固化した後に封止材を除去して一定の間隔を有する分割部を形成する方法が挙げられる。
しかし、この方法では、接合材が固化した後にすべての封止材を除去しなければならず、作業工程が複雑で量産に適した製法ではない。また、封止材の封止が不十分の場合には流動性のある接着剤が分割部より漏れ出し、作業を最初からやり直さなければならないため作業性が悪かった。更に、封止材の種類や封止材を除去する温度により分割部の間隔が大きくばらつく欠点があった。
また、特許文献2には分割部からの不純物の混入が少ないターゲットとして、複数からなる焼結体の間に焼結体と同じ組成からなるセラミックス材を介在させ、そのセラミックス材を焼結することにより焼結体を接合する方法が示されている。しかし、この方法では一度1000℃以上で焼成した焼結体を、分割部にセラミックスを介在させた後に再度1000℃以上で熱処理しなければならず、プロセスが複雑でコストが高くなる欠点があった。
分割部付近での異常放電が発生しにくい方法として特許文献3では、分割部に焼結体とバッキングプレートの接合材よりも高い融点を有する合金を存在させる方法が示されている。しかしながら、円筒形ターゲットは平板形ターゲットよりも高パワーで使用するため、この方法では異常放電が低減できないという問題があった。また、焼結体はスパッタリング中に加熱と冷却が繰り返されるため、分割部の間隔も増加と減少を繰り返すこととなり、単に合金を分割部に充填しただけでは、長時間使用すると焼結体と合金の間に隙間が生じ異常放電の原因となっていた。
特開2008−184640号公報 特開昭59−20470号公報 特開2000−144400号公報
本発明の目的は、分割部からの異常放電の発生が少なく、高い生産性を有するセラミックス製の円筒形スパッタリングターゲットおよびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、セラミックス製の円筒形スパッタリングターゲットの詳細な解析を行い、焼結体の割れ、異常放電および膜の組成変化の原因について考察した。その結果、図1に示すように隣接する円筒形焼結体1の端面2を端面用ハンダ材5により接合することにより、高パワーで使用される円筒形ターゲットにおいてもスパッタリング中に焼結体の割れが発生しないことを見出した。また、その端面用ハンダ材5で接合した後の端面2同士の距離(以下、分割部の間隔ということがある)が0.1mm未満になると急激に異常放電の発生が低下し、スパッタシングにより作製した膜の組成変化が少ないことを見出した。更に、前記端面用ハンダ材5を、円筒形焼結体の裏面3とバッキングチューブ4の接合に用いる裏面用ハンダ材6よりも融点の高い材質にすることにより極めて簡便にセラミックス製の円筒形スパッタリングターゲットが製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の態様は以下の通りである。
(1)円筒形焼結体の裏面とバッキングチューブを裏面用ハンダ材により接合してなる円筒形スパッタリングターゲットにおいて、少なくとも2個以上の円筒形焼結体の端面が、前記ハンダ材よりも高い融点を持つ端面用ハンダ材で接合されており、かつ、分割部の間隔が0.1mm未満であることを特徴とするセラミックス製円筒形スパッタリングターゲット。
(2)円筒形焼結体の接合部の各端面の、算術平均粗さ(Ra)が1μm以下であり、最大高さ(Ry)が10μm以下であることを特徴とする(1)に記載のスパッタリングターゲット。
(3)円筒形焼結体の接合部の各端面が鏡面仕上げとなっていることを特徴とする(1)又は(2)に記載のスパッタリングターゲット。
(4)端面で接合された焼結体同士の接合強度が1MPa以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
(5)少なくとも2個以上の円筒形焼結体の端面を端面用ハンダ材で接着固化させた後、溶融した裏面用ハンダ材を焼結体とバッキングチューブのクリアランスに充填し接着固化させることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、少なくとも2個以上の円筒形焼結体の端面が、前記ハンダ材よりも高い融点を持つ端面用ハンダ材で接合されており、かつ、分割部の間隔が0.1mm未満であることを特徴とするセラミックス製円筒形スパッタリングターゲットに関するものである。
本発明で用いる円筒形焼結体は、セラミックスであれば特に限定されないが、例えば透明導電膜材料としてITO(インジウム、錫酸化物)、AZO(アルミニウム、亜鉛酸化物)、IZO(インジウム、亜鉛酸化物)などの材料があげられる。また、IGZO(インジウム、ガリウム、亜鉛酸化物)のような半導体材料は分割部の異常放電が膜質に与える影響が大きく特に本発明が極めて有効である。更に、TiO(チタン酸化物)、Nb(ニオブ酸化物)、SiO(珪素酸化物)などの光学材料にも適している。
焼結体の密度は特に限定されるものではないが、密度が低い場合には円筒形焼結体の端面の加工によりチッピングや割れが発生しやすく、本発明における端面用ハンダ材による分割部の封止が不十分になりやすい。また、密度が低いと焼結体端面の平坦性が悪くなるため、やはり封止が不十分になる。そのため、密度は90%以上が好ましく、更に好ましくは95%以上である。
本発明で用いる円筒形焼結体の厚みは特に限定されないが、3mm以上15mm以下が好ましい。3mmより薄い場合は、ターゲット利用率が低く経済的でない。また、焼結体端面の面積が少なく、端面における封止が不十分となりやすい。15mmより厚い場合には焼結体の密度むらが発生しやすく、中心部分まで均一な品質のターゲットが得られにくい。
本発明で用いる円筒形焼結体の端面は、算術平均粗さ(Ra)、最大高さ(Ry)が小さいほど、端面用ハンダ材との接合強度が強くなるため好ましい。Raは1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましい。さらに鏡面仕上げとなっていることが望ましい。また、Ryは10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、0.5μm以下が特に好ましい。
焼結体の内面および外面の表面粗さは特に限定されないが、表面粗さを小さくするのは研削時間がかかり経済的で無いため、Raは1μm以上であっても問題ない。
焼結体の長さは、取扱いできる長さであれば特に限定されないが、分割部の数を減らすために極力長い方が好ましく、100mm以上が好ましく、200mm以上がより好ましい。
また、本発明では分割部の間隔が0.1mm未満であることを特徴とする。より好ましくは0.01mm未満である。分割部の間隔とは、端面用ハンダ材で接合した後の円筒形焼結体の端面同士の距離のことを指す。
次に本発明のスパッタリングターゲットの製造方法について、工程毎に説明する。
(1)円筒形焼結体製造工程
円筒形焼結体の製造方法は、原料粉末の焼結挙動に適した成形方法および焼成方法を適宜選択することが可能であり、特に限定されるものではない。成形方法は、原料粉末を目的とした形状に成形できる成形方法を適宜選択することが可能であり、特に限定されるものではない。成形方法としてはプレス成形法、鋳込み成形法、射出成形法等が例示できる。成形体の密度は特に限定されるものではないが、密度が高いほど取扱いによる成形体の割れが少なくなり、かつ、焼成した後の焼結体密度も上昇しやすいので可能な限り高めた方が好ましい。そのために冷間静水圧プレス(CIP)成形等の方法を用いることも可能である。また、焼成方法としては、電気炉、ガス炉、HIP(等方熱間プレス)、HP(ホットプレス)およびマイクロ波炉等が例示できる。
得られた焼結体は、平面研削盤、円筒研削盤、旋盤、切断機、マシニングセンター等の機械加工機を用いて、円筒形状に研削加工する。
また、本発明に用いる円筒形焼結体は外周端面を面取り加工することが好ましい。これは、セラミックスは脆性が高いために鋭角な部分は割れやすく、ターゲット表面がスパッタリング中に加熱され膨張した時に鋭角な端面は割れが生じやすいためである。面取りは大きいとターゲットの寿命が低下するためにR1以下、C1以下が好ましい。更に好ましくはR0.5以下C0.5以下が好ましい。更に好ましくは糸面取りが好ましい。
(2)円筒形焼結体端面の接合工程
次に、円筒形焼結体の端面に端面用ハンダ材を塗布する。ここで用いる端面用ハンダ材は、裏面用ハンダ材の融点よりも高いものを用いる必要がある。裏面用ハンダ材の融点よりも低いハンダ材を用いると、焼結体とバッキングチューブのクリアランスに裏面用ハンダ材を充填するときに、焼結体端部も裏面用ハンダ材の融点以上の温度に加熱されるため、端面用ハンダ材が溶融し、分割部から裏面用ハンダ材が漏れ出てしまい、裏面用ハンダの封止ができなくなる。
また、分割部の接合に用いるハンダ材は、焼結体よりも熱伝導性および電気伝導性が高い材料であることが好ましい。スパッタリングにおいて発生した熱および電気が、隣接する焼結体に伝導して接合された複数の焼結体が一つの焼結体のような特性を示すため、焼結体の割れ防止効果が高まるためである。
端面用ハンダ材および裏面用ハンダ材の材質は融点が上記条件を満たしていれば特に限定されるものではないが、例えば、端面用ハンダ材として錫、錫/銀系および錫/銅系のハンダ材を、また、裏面用ハンダ材としてインジウム、インジウム系および錫/ビスマス系のハンダ材を用いることができる。また、端面用のハンダ材は膜に与える不純物の影響を少なくするために、膜に含まれる材質を選定することが望ましい。
端面用ハンダ材を焼結体端面へ塗布する方法は特に限定されるものではないが、例えばハンダゴテ、超音波ハンダゴテ、メッキ法、スパッタリング法、蒸着法などを用いることができる。ハンダ材と焼結体端面の濡れ性が悪い場合は、ハンダ材を塗布する前に、端面を洗浄することが好ましい。洗浄方法としては、酸洗浄、アルコール洗浄、UV洗浄などが例示される。また、焼結体端面に濡れ性改善、密着力改善のための薄い下地層を形成しても良い。
端面用ハンダの厚みは80μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、10μm以下であることが特に好ましい。80μm以下であれば実質的に膜へ混入するハンダ材は無視できるほど減少する。但し、端面用ハンダの厚みが焼結体端面の最大高さ(Ry)の2倍より小さいと十分な接着強度が得られない場合があるため、Ryの2倍以上の厚みとすることが望ましい。
次に、図1に示す様に端面用ハンダ材が塗布された複数の焼結体を積み重ねる。従来のように封止材を介して焼結体を積み重ねる必要がないので短時間に、かつ精度よく焼結体を積み重ねることができる。分割部の間隔を調整したい場合は、所定の厚みを持つスペーサーを端面の一部に設置して焼結体を積み重ねても良いが、接合後の分割部の間隔が0.1mm未満となるように留意する。スペーサーの材質は融点が端面用ハンダ材より高い材質とし、できればターゲットを構成する成分の中から選定することが好ましい。また、スペーサーがスパッタリングにより膜に混入する量が少なくなるよう、可能な限り小さくすることが好ましい。
焼結体の内側にはバッキングチューブを設置し、焼結体の外側にはヒーターを設置する。バッキングチューブの材質は特に限定されるものではないが、チタンやSUS等の材料が例示される。チタンは熱膨張率がセラミックス材料に近いため好ましい。
次に、前記ヒーターにより焼結体を端面用ハンダ材の融点以上に加熱し、端面用ハンダ材を溶融し、その後、端面用ハンダの融点以下、かつ裏面用ハンダ材の融点以上の温度まで冷却し端面ハンダ材を固化して分割部を接合するとともに封止する。なお、端面用ハンダ材を溶融した際に分割部から溢れたハンダ材については除去を行う。本方法では、分割部をハンダ材により接合し、かつシール性を確保することに特徴がある。接合強度は、特に限定しないが、スパッタリング中に剥離しないように1MPa以上であることが好ましい。
分割部の間隔を調整するためスペーサーを分割部の一部に設置した場合は、端面用ハンダ材が溶融した後、スペーサーが分割部の間隔を決め、スペーサー以外の部分が端面用ハンダ材により接着され封止されることになる。
(3)円筒形焼結体裏面の接合工程
次に、焼結体裏面とバッキングチューブのクリアランスに裏面用ハンダ材を充填する。充填方法は特に限定されないが、溶融した裏面用ハンダ材を、焼結体とバッキングチューブのクリアランス上部から流し込む場合には、クリアランス下部にゴム等で蓋をして裏面用ハンダ材が漏れ出さないようにする。
焼結体裏面およびバッキングチューブ表面は、ハンダの濡れ性を改善するために、あらかじめUV照射洗浄処理や超音波ハンダゴテによる濡れ性改善処理等の前処理を行っておいたものを使用しても良い。
この方法において図1の(7)で示す部分は、すでに固化した端面用ハンダ材と溶融した裏面用ハンダ材が接触することになる。しかし、端面用ハンダ材は固化した後に表面に薄い酸化被膜が形成されるため、この酸化被膜が端面用ハンダ材と裏面用ハンダ材が直接接触することを防ぐため、両ハンダ材が接触し共晶となることを防止することができる。
裏面用ハンダ材を充填した後、冷却して裏面用ハンダ材を固化させ焼結体とバッキングチューブを密着させる。分割部分に封止材がないため、封止材を除去する必要がなく短時間で接合工程を終了することができる。
本発明により作製された分割部の間隔は0.1mm未満となるため、スパッタリングにおける異常放電が少なく、端面ハンダ材の量も極めて少ないので膜に与える不純物の影響はほとんどない。
またハンダ材にはインジウムや錫などの簡単な金属を用いることができ、融点を調整するための複雑な合金を使用する必要がない。また、分割部を形成した後に、分割部の隙間に合金を充填する必要もないので作業が極めて簡便であり、低コストでターゲットを製造することができる。
本発明のセラミックス製円筒形スパッタリングターゲットを用いることにより、スパッタリングによる異常放電が低減し、かつ、スパッタリングにより得られる膜への不純物の混入を低減することが期待できる。
セラミックス製円筒形ターゲットの断面を示す図である。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
円筒形IGZO焼結体(密度97%、原子組成比In:Ga:Zn=1:1:1)を作製し、マシニングセンターを用いて内径135mm、厚さ6mm、長さ250mmに加工した。焼結体端面の算術平均粗さ(Ra)を0.1μm、最大高さ(Ry)を0.5μm、裏面の粗さ(Ra)を1.0μmとした。
次に、焼結体を超音波洗浄機にて純水で洗浄し不純物を除去した後、乾燥後、焼結体端面と裏面をUV照射して有機物を分解除去した。焼結体の接合する端部以外をマスキングテープにより覆い、スパッタリングにより端部に4μmの錫膜を成膜した。錫の融点は231.9℃、熱伝導率は66.8W/(m・K)、電気抵抗率は150nΩcmであり、IGZOの熱伝導率4W/(m・K)、電気抵抗率0.02Ωcmに比較して熱伝導率は著しく高く、電気抵抗率は著しく低い。
次に、焼結体のマスキングテープを外し、円筒形焼結体の中心にチタン製のバッキングチューブが位置するように焼結体を置いた。続いて、更に2個の焼結体をそれぞれの中心軸が極力一致するように積み重ねた。更に、最下段の焼結体とバッキングチューブのクリアランス部分にリング状のゴムをあてて蓋をした。
焼結体外側にヒーターを設置し、焼結体を240℃まで加熱し、端面用ハンダ材(錫膜)を溶融し、その後165℃まで温度を低下させ、端面用ハンダを固化させた。
次に、最上段の焼結体とバッキングチューブのクリアランスから溶融したインジウム(融点157℃)を流し込みクリアランスにインジウムを充填した。その後、ゆっくりと室温まで冷却し裏面用ハンダを固化させ、円筒形IGZOスパッタリングターゲットを作製した。光学顕微鏡で観察した分割部の間隔を表1に示す。
この様に作製したターゲットをスパッタリングにより評価した。スパッタリングの条件を以下に示す。アーキング数を表1に示す。スパッタされた膜からは分割部からSn等の不純物成分は認められなかった。
(スパッタリング条件)
電源 :DC電源 MDX(5kW)
磁場 :500G
回転数:6rpm
圧力 :0.35Pa
実施例2〜4
円筒形ITO焼結体(密度99%、重量組成比In:SnO=90:10)および円筒形AZO焼結体(密度99%、重量組成比ZnO:Al=98:2)を用いて、それぞれ円筒形ITOスパッタリングターゲットおよび円筒形AZOスパッタリングターゲットを作製した。焼結体及び/又は端面用ハンダ材の厚み以外は実施例1と同様の製法でそれぞれのターゲットを作製した。光学顕微鏡で観察した分割部の間隔および、スパッタリングによるアーキング数を表1に示す。スパッタされた膜からは分割部からSn等の不純物成分は認められなかった。
比較例1〜5
実施例と同様のIGZO焼結体、ITO焼結体、AZO焼結体を用い、特許文献1に記載の方法並びに端面用ハンダ材の厚み以外は実施例と同様の方法でターゲットを作製した。光学顕微鏡で観察した分割部の間隔および、スパッタリングによるアーキング数を表1に示す。比較例条件においては、スパッタされた膜より、分割部から飛び出したと思われる裏面ハンダ材成分のインジウムパーティクルの発生や、スパッタリング時の焼結体割れ発生が認められた。
比較例6
実施例1と同様の円筒形IGZO焼結体(密度97%、原子組成比In:Ga:Zn=1:1:1)を作製し、マシニングセンターを用いて内径135mm、厚さ6mm、長さ250mmに加工した。焼結体端面の算術平均粗さ(Ra)を0.1μm、最大高さ(Ry)を0.5μm、裏面の粗さ(Ra)を1.0μmとした。
次に、焼結体を超音波洗浄機にて純水で洗浄し不純物を除去した後、乾燥後、焼結体端面と裏面をUV照射して有機物を分解除去した。次に、円筒形焼結体の中心にチタン製のバッキングチューブが位置するように焼結体を置いた。続いて、更に2個の焼結体をそれぞれの中心軸が極力一致するように積み重ねた。この際焼結体の分割部には厚さ0.4mmのテフロン製のスペーサーを設置した。更に、最下段の焼結体とバッキングチューブのクリアランス部分にリング状のゴムをあてて蓋をした。
焼結体外側にヒーターを設置し、焼結体を220℃まで加熱し、最上段の焼結体とバッキングチューブのクリアランスから溶融したインジウム(融点157℃)を流し込みクリアランスにインジウムを充填した。その後、ゆっくりと室温まで冷却し裏面用ハンダを固化させ、スペーサーを取り除いた。
次に、分割部に充填する低融点合金材料の作製を行なった。ガリウム、スズおよびインジウムを共晶点となる62.5Ga:21.5In:16.0Sn(重量比)の割合で120℃で混合し、室温で液体の低融点合金を得た。次に、銅とスズの合金として市販の20wt.%のスズを含有した銅−スズの合金粉末を用い、これをさらに粉砕して微粉末を得た。得られた合金粉末の平均粒径は30μmであった。そして、得られた低融点合金50.0重量部と合金粉末44.5重量部とを室温で混合しペースト状にし、円筒ターゲットの分割部に充填することにより円筒形IGZOスパッタリングターゲットを作製した。ペーストは、48時間経過後に、完全に固化した。
光学顕微鏡で観察した分割部の間隔および、スパッタリングによるアーキング数を表1に示す。本比較例においては、高い投入電力である為、スパッタリング中にターゲット表面が加熱されることにより、各円筒焼結体が独立して激しい膨張収縮を繰り返し、その結果焼結体同士がクリアランス部分で接触し、クリアランス付近に多数のチッピングが生じ、アーク数の増大が認められた。また、この接触が原因と思われるターゲットに割れが発生していた。また、分割部に介在させた合金組成物の飛び出しと思われるパーティクルの発生も確認された。
Figure 0006273735
1 円筒形焼結体
2 焼結体端面
3 焼結体裏面
4 バッキングチューブ
5 端面用ハンダ材
6 裏面用ハンダ材
7 端面用ハンダ材と裏面用ハンダ材の接触部分

Claims (4)

  1. 円筒形焼結体の裏面とバッキングプレートを裏面用ハンダ材により接合してなる円筒形スパッタリングターゲットにおいて、少なくとも2個以上の円筒形焼結体の端面が、前記ハンダ材よりも高い融点を持つ端面用ハンダ材で接合されており、円筒形焼結体の接合部の各端面の、算術平均粗さ(Ra)が0.5μm以下、最大高さ(Ry)が0.5μm以下、かつ、分割部の間隔が0.04mm以下であることを特徴とするセラミックス製円筒形スパッタリングターゲット。
  2. 円筒形焼結体の接合部の各端面が鏡面仕上げとなっていることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
  3. 端面で接合された焼結体同士の接合強度が1MPa以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲット。
  4. 少なくとも2個以上の円筒形焼結体を厚み80μm以下の端面用ハンダ材で接着固化させた後、溶融した裏面用ハンダ材を焼結体とバッキングチューブのクリアランスに充填し接着固化させることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
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