JP2010106330A - スパッタリングターゲットの製造方法、スパッタリングターゲット、スパッタリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の一形態に係るスパッタリングターゲットの製造方法は、第1の組成を有する金属酸化物焼結体からなる、被スパッタ面を有する複数の板状のターゲット片を準備することを含む。これらの複数のターゲット片は、各々の被スパッタ面が面一となるように並べられる。これらの複数のターゲット片は、その境界部分に、第1の組成と構成原子種が同一である第2の組成を有する合金材料を充填されることで連結される。境界部分は、被スパッタ面に合わせて平滑化される。
これにより、成膜性に優れる金属酸化物の大型スパッタリングターゲットを得ることができる。
【選択図】図2
Description
一方、ターゲットの材料が金属酸化物である場合、脆く、硬いため上述のような方法で大型のターゲットを製造することは困難である。そこで、例えば、原料粉末を成型して高温で焼結し、切削加工及び研削加工により製造される(粉末焼結法)。
製造されたターゲットは、冷却機構を有するバッキングプレート上にロウ材(接合媒体)によりボンディング(貼付)される。
また、特許文献2には、複数のITO(Indium Tin Oxide)ターゲット片の間隙に金属Inを充填したITOターゲットが開示されている。
特許文献2に記載ITOターゲットでは、インジウムが酸化されて絶縁体となり、ターゲット片間で異常放電が発生するおそれがあり、また、ターゲット片と金属インジウムの材質が異なるため、成膜された透明導電膜の特性にむらが生じるおそれがある。
上記複数のターゲット片は、各々の上記被スパッタ面が面一となるように並べられる。
上記複数のターゲット片は、その境界部分に、上記第1の組成と構成原子種が同一である第2の組成を有する合金材料を充填されることで連結される。
上記境界部分は、上記被スパッタ面に合わせて平滑化される。
上記第1の部分は、第1の組成を有する金属酸化物焼結体からなり、被スパッタ面を形成する第1の面を有する。
上記第2の部分は、上記複数の第1の部分の境界部分に形成されて上記複数の第1の部分を連結し、上記第1の組成と構成原子種が同一である第2の組成を有する合金材料からなる、上記第1の面と面一な第2の面を有する。
上記ターゲットは、第1の組成を有する金属酸化物焼結体からなり被スパッタ面を形成する第1の面を有する複数の第1の部分と、上記複数の第1の部分の境界部分に形成されて上記複数の第1の部分を連結し上記第1の組成と構成原子種が同一である第2の組成を有する合金材料からなる上記第1の面と面一な第2の面を有する第2の部分とを有する。
上記スパッタ機構は、上記ターゲットをスパッタする。
上記真空槽は、上記ターゲットを収容する。
上記複数のターゲット片は、各々の上記被スパッタ面が面一となるように並べられる。
上記複数のターゲット片は、その境界部分に、上記第1の組成と構成原子種が同一である第2の組成を有する合金材料を充填されることで連結される。
上記境界部分は、上記被スパッタ面に合わせて平滑化される。
上記第1の部分は、第1の組成を有する金属酸化物焼結体からなり、被スパッタ面を形成する第1の面を有する。
上記第2の部分は、上記複数の第1の部分の境界部分に形成されて上記複数の第1の部分を連結し、上記第1の組成と構成原子種が同一である第2の組成を有する合金材料からなる、上記第1の面と面一な第2の面を有する。
上記ターゲットは、第1の組成を有する金属酸化物焼結体からなり被スパッタ面を形成する第1の面を有する複数の第1の部分と、上記複数の第1の部分の境界部分に形成されて上記複数の第1の部分を連結し上記第1の組成と構成原子種が同一である第2の組成を有する合金材料からなる上記第1の面と面一な第2の面を有する第2の部分とを有する。
上記スパッタ機構は、上記ターゲットをスパッタする。
上記真空槽は、上記ターゲットを収容する。
図1は、本実施形態に係るスパッタリング装置1を示す模式図である。
なお、以下に示すスパッタリング装置1はマグネトロンスパッタリング装置であるとするが、これに限られず、他の形式のスパッタリング装置であってもよい。
バッキングプレート6は、基板ステージ3との間に電場を発生させる第1の電極としての機能と、ターゲット5を冷却する機能を有する。バッキングプレート6は導電性を有し、冷却機構を備える。また、バッキングプレート6は図示しない外部電源に接続されている。
支持部7は、バッキングプレート6を支持し、真空槽4に対して電気的に絶縁する。
アースシールド8は、バッキングプレート6や支持部7等のターゲット5以外の部材がスパッタされることを防止する。
磁気回路9は、ヨーク10と、磁石11を有し、ターゲット5のスパッタ表面に磁場分布を形成する。
真空槽4は、槽内の圧力を維持する。真空槽4には、排気ライン12とガス導入ライン13が接続されている。
スパッタ粒子の放出と同時に発生する二次電子は、磁場によるローレンツ力によって捉えられ、サイクロイドまたはトロコイド運動することによりアルゴンガスとのイオン化衝突の頻度が増大し、ターゲット5付近に高密度プラズマが生成し、成膜速度が高速化する。
以上のようにして、ターゲット5の構成原子が基板Wに成膜される。
図2はターゲット5を示す斜視図である。
図2(A)はバッキングプレート6にボンディングされたターゲット5を示し、図2(B)は図2(A)の一部を拡大して示す。
本実施形態に係るターゲット5は、ITO(Indium Tin Oxide)ターゲットである。組成比は、例えば、In2O390%−SnO210%である。
ターゲット領域5aはバッキングプレート6に、図示しないインジウム製のロウ材によりボンディングされている。
連結領域5bは、ターゲット領域5aの材料組成と構成原子種が同一の組成を有する合金材料で構成される。本実施形態では、連結領域5bは、酸化インジウムスズの合金材料からなる。組成は、例えばIn−Sn10%−O0.5%である。連結領域5bは、隣接するターゲット領域5aを連結している。連結領域5bは、ターゲット領域5aの表面に合わせて平滑化され、ターゲット領域5a及び連結領域5bの表面によって、被スパッタ面が構成されている。連結領域5bは直線状に限られず、隣接するターゲット領域5aの形状に合わせて段状、曲線状等であってもよい。
なお、スパッタリング装置1の磁気回路9の配置により、連結領域5bを、スパッタが進行しない、または遅い領域(非エロージョン領域)上とすることも可能である。
図3は、ターゲット5の製造方法を示す図である。
同図に示すように、本実施形態のターゲットの製造方法は、ターゲット片5cを作製あるいは準備する工程と、ターゲット片5cをバッキングプレート6に接合する工程と、ターゲット片5cの間に合金溶液5dを充填する工程とを有する。
ITO粉末を型に充填して成型し、焼結する。又は、ホットプレス、HIP(Hot Isostatic Pressing)等により焼成する。
切削加工及び研削加工により所定の厚み、大きさに切り出す。切り出す大きさは、熱応力による変形(クラック、反り等)が発生しない大きさである。
In−Sn合金にITO粉末を添加し、酸素雰囲気中でプラズマ溶解してIn−Sn−O合金インゴットとする。In−Sn−O合金インゴットの酸素含有量はITO添加量及び酸素雰囲気の酸素濃度で制御される。In−Sn−Oの合金材料インゴットを大気中で融点以上に加熱し、合金溶液とする。
以上のようにして、ターゲット5が製造される。
本実施形態に係るターゲット5は、当該変形を生じない程度の大きさであるターゲット領域5aが、延性を有する連結領域5bで連結されて形成されているため、連結領域5bにより熱応力が緩和され、変形を生じない。
本実施形態に係るターゲット5は、ターゲット領域5aが導電性を有する連結領域5bで連結されて形成され、かつ、平滑化されているため、間隙に起因する異常放電は発生し得ない。
本実施形態に係るターゲット5は、ロウ材が連結領域5bにより封止されているため、ロウ材に起因するパーティクルが発生しない。また、連結領域5bは、ターゲット領域5aと構成原子種が同一であるため、連結領域5bがスパッタされてもパーティクルの発生量を低減することができる。
ITO(In2O390%−SnO210%)焼結体からなるターゲット片5cを2枚作製した。密度は99%、大きさは150mm×400mmで、厚さは6mmとした。
In−Sn10%−O0.5%の合金材料インゴットを加熱し、合金溶液5dを作製した。
合金溶液5dが冷却され固化した後、バリを取り平滑化した。
以上のようにして、ターゲット領域5aが連結領域5bにより連結された、大きさ150mm×800mm、厚さ6mmのITOターゲット5が作製された。
スパッタ条件は、スパッタガス(アルゴンガス)圧力0.5Pa、酸素濃度1%、投入電力はターゲット面積当たり1W/cm2である。成膜対象物である基板Wとしてガラス基板を用いた。
基板W上に成膜されたITO薄膜について粒径0.5μm以上のパーティクルの個数を計数した。
同図に示すように、基板W上の、ターゲット領域5aと対向する4点と、連結領域5bと対向する3点でパーティクルを計測した。ターゲット領域5a上の測定点Paにおけるパーティクル数の平均値は13個であり、連結領域5b上の測定点Pbにおけるパーティクル数の平均値は15個であった。
実施例1と同様に、ターゲット5を製造して成膜を行い、パーティクル数を計測した。
実施例1と異なる点は、合金溶液5dとなる合金材料インゴットの組成が、In−Sn10%−O2%である点である。
Paにおけるパーティクル数の平均値は14個、Pbにおける同平均値は15個であった。
実施例1と同様に、ターゲットを製造して成膜を行い、パーティクル数を計測した。
実施例1と異なる点は、合金溶液5dとなる合金材料インゴットの組成が、In−Sn10%−O0.1%である点である。
Paにおけるパーティクル数の平均値は15個、Pbにおける同平均値は23個であった。
実施例1と異なり、連結領域を有しない(間隙を有する)ターゲットを製造して成膜を行い、パーティクル数を計測した。
実施例1と同一のターゲット片を2枚作製し、バッキングプレートに実施例1と同様にボンディングした。
ターゲット片の隔壁に面する面を洗浄してInロウ材等の付着物を除去し、ターゲット5とした。
実施例1と同様に成膜を行い、パーティクル数を計測した。
Paにおけるパーティクル数の平均値は20個、Pbにおける同平均値は35個であった。なお、Pbは、ターゲットの間隙と対向する点である。
2 ターゲット部
3 基板ステージ
4 真空槽
5 ターゲット
5a ターゲット領域
5b 連結領域
5c ターゲット片
5d 合金溶液
6 バッキングプレート
7 支持部
8 アースシールド
9 磁気回路
10 ヨーク
11 磁石
12 排気ライン
13 ガス導入ライン
Claims (9)
- 第1の組成を有する金属酸化物焼結体からなる、被スパッタ面を有する複数の板状のターゲット片を準備し、
前記複数のターゲット片を各々の前記被スパッタ面が面一となるように並べ、
前記複数のターゲット片の境界部分に、前記第1の組成と構成原子種が同一である第2の組成を有する合金材料を充填することで前記複数のターゲット片を連結し、
前記境界部分を前記被スパッタ面に合わせて平滑化する
スパッタリングターゲットの製造方法。 - 請求項1に記載のスパッタリングターゲットの製造方法であって、
前記合金材料を充填する工程は、
前記合金材料を溶融して流入させる工程と、
前記合金材料を固化させる工程とを含む
スパッタリングターゲットの製造方法。 - 請求項1に記載のスパッタリングターゲットの製造方法であって、
前記面一となるように並べる工程は、前記ターゲット片を個々にバッキングプレートに接合する工程を含む
スパッタリングターゲットの製造方法。 - 請求項1に記載のスパッタリングターゲットの製造方法であって、
前記構成原子種は、インジウム、スズ、酸素を含む
スパッタリングターゲットの製造方法。 - 請求項4に記載のスパッタリングターゲットの製造方法であって、
前記第1の組成は、In2O390%−SnO210%であり、
前記第2の組成は、In−Sn10%−O(0.5%〜5%)である
スパッタリングターゲットの製造方法。 - 第1の組成を有する金属酸化物焼結体からなり、被スパッタ面を形成する第1の面を有する複数の第1の部分と、
前記複数の第1の部分の境界部分に形成されて前記複数の第1の部分を連結し、前記第1の組成と構成原子種が同一である第2の組成を有する合金材料からなる、前記第1の面と面一な第2の面を有する第2の部分と、
を具備するスパッタリングターゲット。 - 請求項6に記載のスパッタリングターゲットであって、
前記構成原子種は、インジウム、スズ、酸素を含む
スパッタリングターゲット。 - 請求項7に記載のスパッタリングターゲットであって、
前記第1の組成は、In2O390%−SnO210%であり、
前記第2の組成は、In−Sn10%−O(0.5%〜5%)である
スパッタリングターゲット。 - 第1の組成を有する金属酸化物焼結体からなり被スパッタ面を形成する第1の面を有する複数の第1の部分と、前記複数の第1の部分の境界部分に形成されて前記複数の第1の部分を連結し前記第1の組成と構成原子種が同一である第2の組成を有する合金材料からなる前記第1の面と面一な第2の面を有する第2の部分とを有するターゲットと、
前記ターゲットをスパッタするスパッタ機構と、
前記ターゲットを収容する真空槽と、
を具備するスパッタリング装置。
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