JP6273734B2 - 平板形スパッタリングターゲットとその製造方法 - Google Patents
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(1)平板形焼結体の裏面とバッキングプレートを裏面用ハンダ材により接合してなる平板形スパッタリングターゲットにおいて、少なくとも2個以上の平板形焼結体の端面が、前記裏面用ハンダ材よりも高い融点を持つ端面用ハンダ材で接合されており、かつ、分割部の間隔が0.1mm未満であることを特徴とするセラミックス製平板形スパッタリングターゲット。
(2)平板形焼結体の接合部の各端面の、算術平均粗さ(Ra)が1μm以下であり、最大高さ(Ry)が10μm以下であることを特徴とする(1)に記載のスパッタリングターゲット。
(3)平板形焼結体の接合部の各端面が鏡面仕上げとなっていることを特徴とする(1)又は(2)に記載のスパッタリングターゲット。
(4)端面で接合された焼結体同士の接合強度が1MPa以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
(5)少なくとも2個以上の平板形焼結体を端面用ハンダ材で接着固化させた後に、裏面用ハンダ材を用いて焼結体とバッキングプレートを接合することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
平板形焼結体の製造方法は、原料粉末の焼結挙動に適した成形方法および焼成方法を適宜選択することが可能であり、特に限定されるものではない。成形方法は、原料粉末を目的とした形状に成形できる成形方法を適宜選択することが可能であり、特に限定されるものではない。成形方法としてはプレス成形法、鋳込み成形法、射出成形法等が例示できる。成形体の密度は特に限定されるものではないが、密度が高いほど取扱いによる成形体の割れが少なくなり、かつ、焼成した後の焼結体密度も上昇しやすいので可能な限り高めた方が好ましい。そのために冷間静水圧プレス(CIP)成形等の方法を用いることも可能である。また、焼成方法としては、電気炉、ガス炉、HIP(等方熱間プレス)、HP(ホットプレス)およびマイクロ波炉等が例示できる。
次に、平板形焼結体の端面に端面用ハンダ材を塗布する。ここで用いる端面用ハンダ材は、裏面用ハンダ材の融点よりも高いものを用いる必要がある。裏面用ハンダ材の融点よりも低いハンダ材を用いると、焼結体とバッキングプレートを裏面用ハンダ材を用いて接合する工程において端面用ハンダの融点以上の温度に加熱されるため、お互いの端面で接合した焼結体が剥がれてしまうからである。
次に、バッキングプレートと複数の焼結体を接合した焼結体の集合体を裏面用ハンダ材により接合する。接合方法は、裏面用ハンダ材の融点以上、端面用ハンダ材の融点以下の温度になるよう、バッキングプレート、裏面用ハンダ材および互い端面で接合された焼結体を加熱する。その後、焼結体とバキングプレートの間に裏面用ハンダ材を配置し冷却固化して焼結体とバッキングプレートを接合する。
平板形IGZO焼結体(密度97%、原子組成比In:Ga:Zn=1:1:1)を作製し、平面研削盤を用いて64mm×254mm、厚さ6mmの焼結体を2個準備した。焼結体端面の算術平均粗さ(Ra)を0.1μm、最大高さ(Ry)を0.7μm、裏面のRaを1.6μm、Ryを10.6μmとした。
(スパッタリング条件)
電源 :DC電源 MDX(5kW)
磁場 :500G
回転数:6rpm
圧力 :0.35Pa
実施例2〜4
焼結体としてITO焼結体(密度99%、重量組成比In2O3:SnO2=90:10)および平板形AZO焼結体(密度99%、重量組成比ZnO:Al2O3=98:2)を用いて、それぞれ平板形ITOスパッタリングターゲットおよび平板形AZOスパッタリングターゲットを作製した。焼結体及び/又は端面用ハンダ材の厚み以外は実施例1と同様の製法でそれぞれのターゲットを作製した。光学顕微鏡で観察した分割部の間隔およびスパッタリング評価の結果を表1に示す。スパッタされた膜からは分割部からSn等の不純物成分は認められず、焼結体の割れも発生していなかった。
実施例と同様のIGZO焼結体、ITO焼結体、AZO焼結体を用い、特許文献1に記載の方法並びに端面用ハンダ材の厚み以外は実施例と同様の方法でターゲットを作製した。光学顕微鏡で観察した分割部の間隔およびスパッタリング評価の結果を表1に示す。スパッタされた膜からは分割部から飛び出したと思われる裏面ハンダ材成分のインジウムパーティクルの発生や、スパッタリング時の熱膨張により焼結体同士が干渉したことによると思われる割れが一部に認められた。
比較例1と同様の平板形IGZO焼結体(密度97%、原子組成比In:Ga:Zn=1:1:1)を作製し、平面研削盤を用いて64mm×254mm、厚さ6mmの焼結体を2個準備した。焼結体端面の算術平均粗さ(Ra)を0.1μm、最大高さ(Ry)を0.7μm、裏面のRaを1.6μm、Ryを10.6μmとし、比較例1と同様の方法で分割部間隔0.3mmのスパッタリングターゲットを作製した。
2 焼結体端面
3 焼結体裏面
4 バッキングプレート
5 端面用ハンダ材
6 裏面用ハンダ材
7 端面用ハンダ材と裏面用ハンダ材の接触部分
Claims (4)
- 平板形焼結体の裏面とバッキングプレートを裏面用ハンダ材により接合してなる平板形スパッタリングターゲットにおいて、少なくとも2個以上の平板形焼結体の端面が、前記裏面用ハンダ材よりも高い融点を持つ端面用ハンダ材で接合されており、平板形焼結体の接合部の各端面の、算術平均粗さ(Ra)が0.5μm以下、最大高さ(Ry)が0.7μm以下、かつ、分割部の間隔が0.05mm以下であることを特徴とするセラミックス製平板形スパッタリングターゲット。
- 平板形焼結体の接合部の各端面が鏡面仕上げとなっていることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
- 端面で接合された焼結体同士の接合強度が1MPa以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲット。
- 少なくとも2個以上の平板形焼結体を厚み80μm以下の端面用ハンダ材で接着固化させた後に、裏面用ハンダ材を用いて焼結体とバッキングプレートを接合することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
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