JP2015089967A - スパッタリングターゲット材およびその製造方法 - Google Patents

スパッタリングターゲット材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エロージョン部が非エロージョン部より肉厚となっているなどの複雑な構造とした場合であっても、基材に接合するときに割れや反りが生じにくく、またスパッタ効率がよいセラミックス製のスパッタリングターゲット材、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】第1スパッタリングターゲット材11と、該第1スパッタリングターゲット材11と実質的に同じ組成を有する第2スパッタリングターゲット材12と、接合層13とを備えたスパッタリングターゲット材10であって、前記スパッタリングターゲット材10をX線透過法により撮影して得られた画像において、前記接合面に対応する画像上の領域の面積に対する、前記接合層が第1スパッタリングターゲット材および第2スパッタリングターゲット材に付着している領域に対応する画像上の領域の面積の比率である接合面積比が90%以上であるスパッタリングターゲット材。
【選択図】図1

Description

本発明はスパッタリングターゲット材およびその製造方法に関し、詳しくは、基材に接合するときに割れにくいスパッタリングターゲット材、およびその製造方法に関する。
透明導電膜形成用ITO、ZnO系等のセラミックス製の薄膜は、液晶ディスプレイ、タッチパネル、ELディスプレイ等を中心とする表示デバイスの透明電極として広く用いられている。多くの場合ITO等の透明導電膜形成用酸化物薄膜はスパッタリングによって形成される。スパッタリングに使用されるスパッタリングターゲットは、スパッタリングターゲット材を基材に半田材により半田接合して作製される。
近年、スパッタ効率の高いマグネトロンスパッタリング装置が開発され、これが現在のITO薄膜等の透明導電膜形成用スパッタリング装置の主流になっている。このマグネトロンスパッタリング装置は高速かつ低温で成膜できるが、磁場によってプラズマが閉じこめられるため、スパッタイオンガスがターゲット材の一定の部分にのみに集中し、これによってターゲット材が局部的に侵食される。一般に、この局部的な侵食部をエロージョン部と呼ぶ。このエロージョン部の底部が、ターゲット材が接合されている基材の表面に達すると、それ以上スパッタリングを続行することはできない。このため、エロージョン部が一定以上の深さになると、エロージョン部以外の部分がスパッタに供されずに残っているにもかかわらず、もはやスパッタリングができなくなる。つまり、エロージョン部がターゲット材全体の寿命を決めてしまうことになる。このようにマグネトロンスパッタリング装置は、ターゲット材の使用効率が低いという問題があった。特に透明導電膜を形成するITO等のターゲット材は大面積であることが多いので、この問題は重大であった。
このようなマグネトロンスパッタリング装置におけるターゲット材の使用効率の向上等を目的として、平板状などの単純な構造ではない複雑な構造を有するターゲット材が開発されている。
特許文献1に、パーツを組み合わせた組立体のターゲットであって、エロージョン部となる部分を肉厚に形成し、中央の非エロージョン部にはセラミックス焼結体が存在しない構成としたターゲットが開示されている。しかし、このターゲットをスパッタすると、スパッタ中にパーツとパーツとの分割部からゴミが発生し、スパッタ効率を低下させたり、製膜された薄膜の性能を低下させたりするおそれがある。
特許文献2には、エロージョン部が非エロージョン部より肉厚となる焼結体が焼成により得られるような形状を有する成形体を焼成し、得られた焼結体を加工して製造されたITOターゲット材が開示されている。このような形状を有する成形体を焼成すると、加わる熱量が大きい外周部分が反りあがったり、割れが発生したりする問題がある。また削り代が多く、加工コストが高くなる問題がある。
また、特許文献3には、複数の分割ターゲット材を接合して平板状のセラミックスターゲット材を作製する技術が開示されているが、このようなターゲットは強度が低く、基材に接合するときに分割ターゲット材間の接合部に割れを生じることが多い。特に、上記のエロージョン部が非エロージョン部より肉厚となっているようなターゲット材を、複数の分割ターゲット材を接合することにより製造した場合には、ターゲット材を基材に接合した後の冷却時にターゲット材に大きな引張応力が加わり、強度の低い接合部から破断が生じやすいという問題がある。
特開2000−119847号公報 特開2002−302762号公報 特開昭59−20470号公報
本発明は、エロージョン部が非エロージョン部より肉厚となっているなどの複雑な構造とした場合であっても、基材に接合するときに割れや反りが生じにくく、またスパッタ効率がよいセラミックス製のスパッタリングターゲット材を提供することおよびその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成する本発明のスパッタリングターゲット材は、
平板状であるセラミックス製の第1スパッタリングターゲット材と、該第1スパッタリングターゲット材と実質的に同じ組成を有するセラミックス製の第2スパッタリングターゲット材と、該第2スパッタリングターゲット材を前記第1スパッタリングターゲット材の上面に接合するセラミックス製の接合層とを備えたスパッタリングターゲット材であって、
前記第2スパッタリングターゲット材の上方から、第2スパッタリングターゲット材における前記接合層が付着している面である接合面に対して垂直方向に、前記スパッタリングターゲット材をX線透過法により撮影して得られた画像において、前記接合面に対応する画像上の領域の面積に対する、前記接合層が第1スパッタリングターゲット材および第2スパッタリングターゲット材に付着している領域に対応する画像上の領域の面積の比率である接合面積比が90%以上であるスパッタリングターゲット材である。
前記スパッタリングターゲット材において、前記接合層の組成が、前記第1スパッタリングターゲット材および第2スパッタリングターゲット材の組成と実質的に同じであることが好ましい。
前記スパッタリングターゲット材において、前記第2スパッタリングターゲット材および接合層が、エロージョン部が形成される領域に設けられていることが好ましい。
前記スパッタリングターゲット材において、前記第1スパッタリングターゲット材、第2スパッタリングターゲット材および接合層はたとえばITO製またはIGZO製である。
本発明のスパッタリングターゲットは、前記スパッタリングターゲット材が基材に接合されてなる。
本発明のスパッタリングターゲット材の第1の製造方法は、
平板状であるセラミックス製の第1スパッタリングターゲット材と、該第1スパッタリングターゲット材と実質的に同じ組成を有するセラミックス製の第2スパッタリングターゲット材との間に接合用セラミックス材料を挟み、前記第1スパッタリングターゲット材、第2スパッタリングターゲット材および接合用セラミックス材料を熱処理することで前記第1スパッタリングターゲット材と第2スパッタリングターゲット材とを接合するスパッタリングターゲット材の製造方法であって、
前記接合用セラミックス材料がシート材料であり、該接合用セラミックス材料を挟む前記第2スパッタリングターゲット材の面よりも大きい面積を有し、前記接合用セラミックス材料を前記面の周囲からはみ出るように挟む前記スパッタリングターゲット材の製造方法である。
本発明のスパッタリングターゲット材の第2の製造方法は、
平板状であるセラミックス製の第1スパッタリングターゲット材と、該第1スパッタリングターゲット材と実質的に同じ組成を有するセラミックス製の第2スパッタリングターゲット材との間に接合用セラミックス材料を挟み、前記第1スパッタリングターゲット材、第2スパッタリングターゲット材および接合用セラミックス材料を熱処理することで前記第1スパッタリングターゲット材と第2スパッタリングターゲット材とを接合するスパッタリングターゲット材の製造方法であって、
前記接合用セラミックス材料が、前記第1スパッタリングターゲット材を製造したときの焼成温度T1と第2スパッタリングターゲット材を製造したときの焼成温度T2とが同じ場合にはその焼成温度の±50℃の温度範囲で、前記T1とT2とが異なる場合にはそれらのうち低い方の焼成温度の±50℃の温度範囲で焼成して得られ、かつ前記第1スパッタリングターゲット材および第2スパッタリングターゲット材と実質的に同組成を有するセラミックス焼結粉を使用して作製され、
前記熱処理を、前記T1とT2とが同じ場合にはその温度より低い温度で、前記T1とT2とが異なる場合にはそれらのうち低い方の温度より低い温度で行う前記スパッタリングターゲット材の製造方法である。
前記第2の製造方法において、前記接合用セラミックス材料はたとえばシート材料またはペースト材料である。
本発明に係るスパッタリングターゲット材は、強度が高いので、エロージョン部が非エロージョン部より肉厚となっているなどの複雑な構造とした場合であっても、基材に接合したときに割れや反りが生じにくい。本発明に係るスパッタリングターゲット材は、一体に接合されており分割部がないので、分割部に基づくゴミが発生することがなく、スパッタ効率が高い。本発明に係るスパッタリングターゲット材の製造方法は、上記のスパッタリングターゲット材を効率的に、確実に製造することができる。
図1(A)は、スパッタリングターゲット10の正面図である。図1(B)は、スパッタリングターゲット10の上面図である。 図2は、ターゲット材10の正面図の部分拡大図である。 図3は、スパッタリングターゲット10をX線透過法により撮影する方法を示す説明図である。 図4は、スパッタリングターゲット10をX線透過法により撮影して得られる画像の模式図である。 図5は、製造方法1によりスパッタリングターゲットを製造する方法を示す説明図である。 図6は、製造方法1によりスパッタリングターゲットを製造する方法を示す説明図である。
本発明のスパッタリングターゲット材は、平板状であるセラミックス製の第1スパッタリングターゲット材と、該第1スパッタリングターゲット材と実質的に同じ組成を有するセラミックス製の第2スパッタリングターゲット材と、該第2スパッタリングターゲット材を前記第1スパッタリングターゲット材の上面に接合するセラミックス製の接合層とを備える。
前記スパッタリングターゲット材(以下、ターゲット材ともいう)においては、下から第1スパッタリングターゲット材(以下、第1ターゲット材ともいう)、接合層、第2スパッタリングターゲット材(以下、第2ターゲット材ともいう)の順に積層されている。
第1ターゲット材は平板状であり、その平面形状、大きさ等に特に制限はない。第2ターゲット材は、第1ターゲット材の上面に接合できるかぎり、その形状、大きさ等に特に制限はない。
第1ターゲット材と第2ターゲット材とは、実質的に同じ組成を有するセラミックス製である。実質的に同じとは、不可避的不純物の含有を許容しないということではなく、本発明の効果を損なわない程度の組成の違いであれば許容され、決して完全同一まで要求するものではない。
前記セラミックスとしては、たとえば酸化インジウム−酸化錫系材料(ITO)、酸化アルミニウム−酸化亜鉛系材料(AZO)、酸化インジウム−酸化ガリウム−酸化亜鉛系材料(IGZO)、ZnOなどを挙げることができる。セラミックスがITOである場合には、Inの含有量はIn23量換算で通常99〜90質量%、Snの含有量はSnO2量換算で通常1〜10質量%である。セラミックスがAZOである場合には、Alの含有量はAl23量換算で通常0.1〜5質量%、Znの含有量はZnO量換算で通常99.9〜95質量%である。セラミックスがIGZOである場合には、Inの含有量はIn23量換算で通常40〜60質量%、Gaの含有量はGa23量換算で通常20〜40質量%、Znの含有量はZnO量換算で通常10〜30質量%である。
前記接合層は、第1ターゲット材と第2ターゲット材とを接合できるように、第1ターゲット材と第2ターゲット材との間に形成される。接合層はセラミックス製である。本発明のターゲット材を用いてスパッタリングを行うと、まず最上部に位置する第2ターゲット材がスパッタされ、スパッタされた部分が侵食される。その侵食部が第2ターゲット材の下に位置する接合層に達すると接合層がスパッタされ、さらにその次に第1ターゲット材がスパッタされる。このため、スパッタにより得られる薄膜には、第1および第2ターゲット材に由来する組成を有する部位の他に、接合層に由来する組成を有する部位も含まれることになる。本発明における接合層は第1および第2ターゲット材と同じくセラミックス製であるので、本発明のターゲット材をスパッタすることにより得られる薄膜には、第1および第2ターゲット材に由来する組成を有する部位と大きく組成を異にする部位を生じることがない。
接合層の組成は、第1ターゲット材および第2ターゲット材の組成と実質的に同じであることが好ましい。この場合、本発明のターゲットをスパッタすることにより得られる薄膜には、分割ターゲット材に由来する組成と異なる組成を有する部位を生じることが実質的になく、均一な組成を有する薄膜を得ることができる。ここで、実質的に同じとは、不可避的不純物の含有を許容しないということではない。本発明の効果を損なわない程度の組成の違いであれば許容され、決して完全同一まで要求するものではない。
接合層の材料は、第1ターゲット材と第2ターゲット材とを接合することができれば特に制限はない。前述のとおり、セラミックス製接合層の組成は、分割ターゲット材の組成と実質的に同じであることが好ましい。すなわち、たとえば分割ターゲット材の材料がITO、AZOまたはIGZOである場合にはセラミックス製接合層の材料もそれぞれITO、AZOまたはIGZOであることが好ましく、セラミックス製接合層の金属および酸素の比率などの組成も分割ターゲット材の組成と実質的に同じであることが好ましい。
接合層の厚み、すなわち接合層により接合される第1ターゲット材と第2ターゲット材との離間距離は、第1ターゲット材と第2ターゲット材とを接合してターゲット材を形成することができる程度の厚みであればよく、ターゲット材を形成できる限りできるだけ薄いほうがよい。接合層の厚みは、第1ターゲット材および第2ターゲット材の材料、大きさおよび接合層の材料等に応じて適宜決定されるが、本発明においては40〜400μmの厚さにすることが想定されている。
本発明のターゲット材における第1ターゲット材および第2ターゲット材と接合層との体積の比率には特に制限はないが、スパッタの本来の対象である第1ターゲット材および第2ターゲット材の比率をできるだけ高くし、接合層の比率をできるだけ低くすることが好ましい。
本発明のターゲット材において、接合層および第2ターゲット材が形成される第1ターゲット材上の位置については特に制限はない。たとえば、接合層および第2ターゲット材を、本発明のターゲット材においてエロージョン部が形成される領域に形成することができる。マグネトロンスパッタリング装置においては、前述のとおり、ターゲット材に局部的なエロージョン部が形成され、ターゲット材の使用効率が低いという問題があった。エロージョン部が形成される領域に接合層および第2ターゲット材を設けると、平板状の第1ターゲット材が侵食される前に、エロージョン部が形成される領域のみに設けられた接合層および第2ターゲット材および接合層が侵食されるので、ターゲット材の使用効率を高めることができる。
接合層および第2ターゲット材をエロージョン部が形成される領域に設けた本発明のターゲット材の一例であるターゲット材10を図1に示した。図1(A)はターゲット材10の正面図、図1(B)はターゲット材10の上面図である。ターゲット材10は、平面形状が長方形である平板状の第1ターゲット材11と、第2ターゲット材12と、第2ターゲット材を第1ターゲット材の上面に接合する接合層13とを備える。第2ターゲット材12および接合層13は、ターゲット材10においてエロージョン部が形成される領域に設けられている。第2ターゲット材12および接合層13の形状は、エロージョン部の形状に対応してレーストラック状または楕円環状である。本発明のターゲット材においては、エロージョン部の形状に応じて第2ターゲット材および接合層の形状をリング状、ドーナツ状等、適宜変更することができる。
本発明のターゲット材においては、第2ターゲット材は1つである必要はなく、2つ以上あってもかまわない。第2ターゲット材が2つ以上ある場合には、その個数に応じた数の接合層が設けられ、各第2ターゲット材を第1ターゲット材に接合する。
本発明のターゲット材は、前記第2ターゲット材の上方から、第2ターゲット材における前記接合層が付着している面である接合面に対して垂直方向に、前記ターゲット材をX線透過法により撮影して得られた画像において、前記接合面に対応する画像上の領域の面積に対する、前記接合層が第1ターゲット材および第2ターゲット材に付着している領域に対応する画像上の領域の面積の比率である接合面積比が90%以上である。前記接合面積比は、好ましくは95%以上であり、より好ましくは99%以上である。上限は通常100%である。
前記接合面積比を、図1に示したターゲット材10を例にして説明する。図2にターゲット材10の正面図の部分拡大図を示した。第2ターゲット材12が接合層13に付着している面が接合面14であり、第1ターゲット材11が接合層13に付着している面が接合面15である。第2ターゲット材12の上方から接合面14に対して垂直方向に、すなわちターゲット材10の正面図である図3の矢印Xで示した方向に、ターゲット材10をX線透過法により撮影して画像を得る。この画像を模式的に表わした図の一例を図4に示す。図4において、接合面14に対応するのがレーストラック状の領域16であり、接合層13が第1ターゲット材11および第2ターゲット材12に付着している領域に対応するのが斜線を付した領域17である。接合面積比は、領域16の面積に対する領域17の面積の比率(%)である。
本発明のターゲット材10においては、この接合面積比が90%以上である。なお、X線透過法においては、接合層13が付着している第1ターゲット材11および第2ターゲット材12のそれぞれ領域は、画像上では統合されて1つの領域として把握される。
2個以上の第2ターゲット材が第1ターゲット材に接合されている場合には、それぞれの第2ターゲット材に対する接合面積比が90%以上である。
本発明に係るターゲット材は、接合面積比が90%以上であるので、強度が高く、基材に接合するときに割れを生じにくい。
スパッタリングターゲット材は一般に金属製の基材に接合してスパッタリングに供される。ターゲット材を基材に接合するとき、一般にターゲット材および基材を加熱し、接合材を塗布して、ターゲット材と基材とを圧着し、冷却する。金属製基材はスパッタリングターゲット材より熱膨張係数がかなり大きいので、冷却時にスパッタリングターゲット材よりも収縮量が大きい。このため冷却時にターゲット材は中央部が持ち上がるように反り、ターゲット材の上面部に引張応力が加わる。ターゲット材が長くなるほど収縮の絶対量が増えるので、ターゲット材の上面部に加わる引張応力は大きくなる。セラミックスは圧縮応力には強いが、引張応力に弱いので、引張応力が加わると破断しやすい。ワイブルの最弱環理論から、母材に応力が加わると、母材の強度の一番低いところから破断する。
本発明のターゲット材のように複数の分割ターゲット材を接合してなるターゲット材においては、一般に接合層が他の部分より強度が低いので、上記のような応力が加わると接合層から破断が生じやすい。従来の複数の分割ターゲット材を接合してなるターゲット材は、接合層の強度が低いので、接合時に接合層に割れを生じやすかった。本発明に係るターゲット材は、接合面積比の最小値が90%以上と大きいので、接合層の強度が高く、接合時に割れを生じにくい。
接合面積比の最小値が90%以上であるターゲット材は、後述する方法により製造することができる。特許文献3に記載された、複数のセラミックス片を、該セラミックス片と同じ組成を有するセラミックス材料で接合するターゲット材の製造方法では、後述するように接合面積比を90%以上にすることができない。このため、特許文献4に記載されたターゲット材おいては、接合面積比の最小値が90%以上でないと推測される。
上記理由により、本発明に係るターゲット材は大型化しても基材に接合するときに割れを生じにくい。このため、本発明に係るターゲット材は、そのスパッタ面の面積をたとえば300,000mm2以上、さらには600,000mm2以上、900,000mm2以上にすることができる。
本発明のターゲット材を接合する基材の材料には特に制限はなく、ターゲット材の種類に応じて、従来使用されている基材の材料の中から適宜選択して使用することができる。基材の材料としては、たとえば、銅、銅合金、ステンレス、チタン等を挙げることができる。
ターゲット材を基材に接合する接合材の種類には特に制限はなく、ターゲット材の種類に応じて、従来使用されている接合材の中から適宜選択して使用することができる。接合材としては、たとえば、インジウムを主成分とする半田やSn−Ag系の半田等が挙げられる。
<スパッタリングターゲット材の製造方法>
上記スパッタリングターゲット材の製造方法としては、たとえば下記製造方法1および2が挙げられる。
製造方法1
製造方法1は、
平板状であるセラミックス製の第1スパッタリングターゲット材と、該第1スパッタリングターゲット材と実質的に同じ組成を有するセラミックス製の第2スパッタリングターゲット材との間に接合用セラミックス材料を挟み、前記第1スパッタリングターゲット材、第2スパッタリングターゲット材および接合用セラミックス材料を熱処理することで前記第1スパッタリングターゲット材と第2スパッタリングターゲット材とを接合するスパッタリングターゲット材の製造方法であって、
前記接合用セラミックス材料がシート材料であり、該接合用セラミックス材料を挟む前記第2スパッタリングターゲット材の面よりも大きい面積を有し、前記接合用セラミックス材料を前記面の周囲からはみ出るように挟む請求項1に記載のスパッタリングターゲット材の製造方法である。
第1スパッタリングターゲット材および第2スパッタリングターゲット材は、粉末焼結法等により製造することができる。その材料、形状、大きさ、個数等は、作製するターゲット材に応じて適宜決定すればよい。
接合用セラミックス材料は、第1スパッタリングターゲット材と第2スパッタリングターゲット材とを接合するための材料であって、後述の操作によって熱処理、すなわち焼成されて前記接合層となる。したがって、熱処理により前記接合層となるような材料が接合用セラミックス材料として使用される。
接合用セラミックス材料は、通常、セラミックス原料粉末、分散媒、分散剤、バインダーを含有し、その他、可塑剤等を含有してもよい。
セラミックス原料粉末としては、たとえば、ITOである接合層を形成する場合には、In23粉末およびSnO2粉末の混合粉末を使用でき、ITO粉末を使用することもできる。セラミックス原料粉末は、BET(Brunauer-Emmett-Teller)法で測定した比表面積がそれぞれ通常1〜40m2/gである。セラミックス原料粉末は、目的とするセラミックスの組成が得られるような比率で個々の粉末が混合される。
前述の理由により、接合層の組成が第1スパッタリングターゲット材および第2スパッタリングターゲット材の組成と実質的に同じになるように、その接合用セラミックス材料におけるセラミックス原料粉末の配合比率を調整することが好ましい。
粉末の混合は、たとえば、各粉末およびジルコニアボールをポットに入れ、ボールミル混合することにより行うことができる。
分散媒としては、通常水等が使用される。
バインダーとしては、公知の粉末焼結法において成形体を得るときに通常使用されるバインダーを挙げることができ、たとえばポリビニルアルコール(PVA)を使用することができる。
接合用セラミックス材料はシート状である。以下、シート状の接合用セラミックス材料を接合用セラミックスシート材料ともいう。製造方法1の接合用セラミックスシート材料は、下記方法によりシート状に成形できるように、セラミックス原料粉末に分散媒、分散剤等を配合して作製される。通常、セラミックス原料粉末に対して分散媒を0.1〜60質量%、分散剤を0.1〜10質量%、バインダーを0.1〜30質量%配合して混合材を調製する。この混合材をたとえばドクターブレード法、押出成形法等により所定の厚みのシートにすることにより作製することができる。このシートをさらに所定の形状、大きさに切断してもよい。作製されたシートは通常乾燥した後使用する。乾燥の温度は100℃以下であることが好ましい。接合用セラミックスシート材料の厚みは通常10〜2000μm、好ましくは25〜1000μm、より好ましくは50〜500μmである。接合用セラミックスシート材料の厚みは薄いほうが接合しやすいが、薄すぎると接合時に割れが生じやすい。
この接合用セラミックスシート材料を第1スパッタリングターゲット材と第2スパッタリングターゲット材との間に挟む。製造方法1の接合用セラミックスシート材料は、接合用セラミックス材料を挟む第2ターゲット材の面よりも大きい面積を有し、前記面の周囲からはみ出るように挟まれる。このとき、接合用セラミックスシート材料を前記面の周囲から均等にはみ出るように挟むことが好ましい。
たとえば、図1に示したターゲット材10を製造する場合には、図5に示したように、第1ターゲット材11と第2ターゲット材12との間に接合用セラミックスシート材料18を配置し、第1ターゲット材11と第2ターゲット材12とで接合用セラミックスシート材料18を挟む。接合用セラミックスシート材料18の形状は、第2ターゲット材12の形状に応じてレーストラック状または楕円環状である。接合用セラミックスシート材料18は、接合用セラミックス材料18を挟む第2ターゲット材12の面19よりも大きい面積を有する。図6は、第1ターゲット材11と第2ターゲット材12とで接合用セラミックスシート材料18を挟んだ状態を示す上面図である。接合用セラミックスシート材料18は、第2ターゲット材12の面19の周囲から均等にはみ出るように挟まれている。
製造方法1の接合用セラミックスシート材料の面積は、接合用セラミックスシート材料を挟む第2ターゲット材の面の面積の110%以上、好ましくは120%以上、より好ましくは130%以上である。上限は特に制限はないが、実用上200%程度である。
接合用セラミックスシート材料は、必要に応じて2枚以上を重ねて挟んでもよい。
2個以上の第2ターゲット材を第1ターゲット材に接合する場合には、上記の操作をそれぞれの第2ターゲット材に対して行う。
第1ターゲット材と第2ターゲット材とに挟まれた接合用セラミックスシート材料は脱脂してもよい。脱脂は接合用セラミックスシート材料およびこれを挟むターゲット材を加熱することにより行われる。脱脂温度は、通常600〜800℃、好ましくは700〜800℃である。脱脂時間は通常3〜10時間、好ましくは5〜10時間である。
このようにして成形された第1ターゲット材、第2ターゲット材および接合用セラミックスシート材料を熱処理する。
この熱処理に使用される焼成炉には特に制限はなく、セラミックス製スパッタリングターゲット材の製造に従来使用されている焼成炉を使用することができる。
熱処理温度は、特に制限はないが、第1ターゲット材および第2ターゲット材を製造したときの焼成温度より通常100〜250℃低い温度、好ましくは100〜200℃低い温度、より好ましくは100〜150℃低い温度である。
熱処理時間は、通常3〜30時間、好ましくは5〜10時間、より好ましくは5〜8時間である。
昇温速度は通常100〜500℃/hである。降温速度は通常10〜100℃/h、好ましくは10〜50℃/h、より好ましくは10〜30℃/hである。
焼成雰囲気には特に制限はなく、通常、大気雰囲気や酸素雰囲気である。
上記熱処理工程およびその後の冷却工程において、第1ターゲット材と第2ターゲット材とが圧着される方向に圧力を加えてもよい。加圧して熱処理工程および冷却工程を行うと、接合層が緻密化される。加圧方法としては、ターゲット材の自重により加圧する方法、機械的に加圧する方法等が挙げられる。加える圧力は、通常50〜30000gf/cm2、好ましくは100〜10000gf/cm2、より好ましくは200〜1000gf/cm2である。
この熱処理により第1ターゲット材と第2ターゲット材とが一体に接合されて本発明のターゲット材となる。また、この熱処理により、接合用セラミックスシート材料は焼結されて前記接合層となる。熱処理により形成された接合層が第2ターゲット材の面の周囲からはみ出ている場合には、はみ出ている部分を削り取ればよい。
通常の接合用セラミックス材料は、熱処理されると、分散媒等が揮発するので収縮する。このため、分割ターゲット材の接合面となる面の全面に接合用セラミックス材料を付着させても、熱処理により接合用セラミックス材料は収縮し、90%以上の接合面積比を確保することが困難である。製造方法1においては、接合用セラミックスシート材料が、接合用セラミックスシート材料を挟む分割ターゲット材の面よりも大きい面積を有し、前記面の周囲からはみ出るように挟まれるので、熱処理により収縮しても90%以上の接合面積比を確保することが容易である。
製造方法2
製造方法2は、
平板状であるセラミックス製の第1スパッタリングターゲット材と、該第1スパッタリングターゲット材と実質的に同じ組成を有するセラミックス製の第2スパッタリングターゲット材との間に接合用セラミックス材料を挟み、前記第1スパッタリングターゲット材、第2スパッタリングターゲット材および接合用セラミックス材料を熱処理することで前記第1スパッタリングターゲット材と第2スパッタリングターゲット材とを接合するスパッタリングターゲット材の製造方法であって、
前記接合用セラミックス材料が、前記第1スパッタリングターゲット材を製造したときの焼成温度T1と第2スパッタリングターゲット材を製造したときの焼成温度T2とが同じ場合にはその焼成温度の±50℃の温度範囲で、前記T1とT2とが異なる場合にはそれらのうち低い方の焼成温度の±50℃の温度範囲で焼成して得られ、かつ前記第1スパッタリングターゲット材および第2スパッタリングターゲット材と実質的に同組成を有するセラミックス焼結粉を使用して作製され、
前記熱処理を、前記T1とT2とが同じ場合にはその温度より低い温度で、前記T1とT2とが異なる場合にはそれらのうち低い方の温度より低い温度で行う請求項1に記載のスパッタリングターゲット材の製造方法である。
製造方法2における、平板状であるセラミックス製の第1スパッタリングターゲット材と、該第1スパッタリングターゲット材と実質的に同じ組成を有するセラミックス製の第2スパッタリングターゲット材との間に接合用セラミックス材料を挟み、前記第1スパッタリングターゲット材、第2スパッタリングターゲット材および接合用セラミックス材料を熱処理することで前記第1スパッタリングターゲット材と第2スパッタリングターゲット材とを接合する操作については製造方法1と共通である。以下、製造方法1と異なる点を中心に製造方法2を説明する。
以下の説明において、第1スパッタリングターゲット材を製造したときの焼成温度T1と第2スパッタリングターゲット材を製造したときの焼成温度T2とが同じ場合にはその焼成温度(つまりT1およびT2)を、前記T1とT2とが異なる場合にはそれらのうち低い方の焼成温度(つまり、T1>T2のときはT2、T1<T2のときはT1)を基準温度という。
接合用セラミックス材料は、前記基準温度の±50℃の温度範囲で焼成して得られ、かつ第1スパッタリングターゲット材および第2スパッタリングターゲット材と実質的に同組成を有するセラミックス焼結粉を使用して作製される。たとえば、第1および第2スパッタリングターゲット材がITO製である場合には、前記セラミックス焼結粉はITO粉であり、第1および第2スパッタリングターゲット材のITOと実質的に同組成であり、前記基準温度の±50℃の温度範囲で焼成して得られたものである。たとえば第1スパッタリングターゲット材および第2スパッタリングターゲット材がともに1600℃で焼成して製造されたものならば、前記セラミックス焼結粉は1550〜1650℃の範囲で焼成して得られたものが使用され、第1スパッタリングターゲット材が1600℃で焼成して製造されたものであり、第2スパッタリングターゲット材が1580℃で焼成して製造されたものならば、前記セラミックス焼結粉は1530〜1630℃の範囲で焼成して得られたものが使用される。
前記温度範囲は、基準温度の±40℃の温度範囲であることが好ましく、±30℃の温度範囲であることがより好ましい。製造方法2においては、第1スパッタリングターゲット材、第2スパッタリングターゲット材およびセラミックス焼結粉がすべて実質的に同じ焼成温度で得られたものであることが好ましい。
また、セラミックス焼結粉は第1および第2スパッタリングターゲット材と完全に同一組成である必要はなく、セラミックス焼結粉および第1および第2スパッタリングターゲット材を構成する各元素の濃度を質量%で表わし、その小数点以下を四捨五入して得られた各元素の濃度がセラミックス焼結粉と第1および第2スパッタリングターゲット材とにおいて同じであればよい。
接合用セラミックス材料は、通常、前記セラミックス焼結粉、分散媒、分散剤、バインダーを含有し、その他、可塑剤等を含有してもよい。分散媒、バインダーおよび混合方法等については製造方法1と同様である。
前記セラミックス焼結粉は、たとえば接合される第1および第2スパッタリングターゲット材の原料となる原料粉を分割ターゲット材と実質的に同組成となるように混ぜ、これを、前記基準温度の±50℃の温度範囲で焼成して作製することができる。また接合される第1および第2スパッタリングターゲット材と同じターゲット材またはこの第1および第2スパッタリングターゲット材の製造に用いられた焼結体を粉砕して作製することもできる。セラミックス焼結粉は、BET法で測定した比表面積が通常1〜40m2/gである。
接合用セラミックス材料は、シート状またはペースト状もしくはスラリー状である。シート状の接合用セラミックス材料はすなわち接合用セラミックスシート材料である。ペースト状もしくはスラリー状である接合用セラミックス材料を以下接合用セラミックスペースト材料ともいう。また、製造方法2において接合用セラミックスシート材料を用いる方法を製造方法2A、接合用セラミックスペースト材料を用いる方法を製造方法2Bともいう。
製造方法2Aの接合用セラミックスシート材料は、シート状に成形できるように、セラミックス原料粉末に分散媒、分散剤、バインダー等を配合して作製される。通常、セラミックス原料粉末に対して分散媒を0.1〜60質量%、分散剤を0.1〜10質量%、バインダーを0.1〜30質量%配合して混合材を調製する。混合材から接合用セラミックスシート材料を得る方法は製造方法1と共通である。
製造方法2Aの接合用セラミックスシート材料は、製造方法1の接合用セラミックスシート材料とは異なり、接合用セラミックスシート材料を挟む第2ターゲット材の面よりも大きい面積を有する必要はない。後述の加熱処理をした後、90%以上の接合面積比が得られるのに十分な面積を有していればよい。
この接合用セラミックスシート材料を第1ターゲット材と第2ターゲット材との間に挟む。製造方法2Aの接合用セラミックスシート材料は後述のように熱処理によりほとんど収縮しないので、製造方法1と異なり、前記面の周囲からはみ出るように挟まれる必要はない。通常、前記面内に収まるように挟まれる。
2個以上の第2ターゲット材を第1ターゲット材に接合する場合には、上記の操作をそれぞれの第2ターゲット材に対して行う。
製造方法2Bの接合用セラミックスペースト材料は、ペースト状に成形できるように、セラミックス原料粉末に分散媒、分散剤、バインダー等を配合して作製される。通常、セラミックス焼結粉に対して分散媒を0.1〜80質量%、分散剤を0.1〜10質量%、バインダーを0.1〜10質量%配合して混合することにより調製することができる。
この接合用セラミックスペースト材料を第1ターゲット材と第2ターゲット材との間に挟む。たとえば、第1ターゲット材および第2ターゲット材の接合面となる面に接合用セラミックスペースト材料を塗布し、塗布された第1ターゲット材と第2ターゲット材とが合体するように第1ターゲット材および第2ターゲット材を対置する。第1ターゲット材と第2ターゲット材との間に挟まれる接合用セラミックスペースト材料の量は、後述の加熱処理をした後、90%以上の接合面積比の最小値が得られるのに十分な量であればよい。
第1ターゲット材と第2ターゲット材との間隙部からはみ出た接合用セラミックスペースト材料は適宜掻き取ればよい。
第1ターゲット材と第2ターゲット材との間に挟まれる接合用セラミックスペースト材料の厚みは、第1ターゲット材と第2ターゲット材との接合が可能である限り特に制限はない。挟まれる接合用セラミックス材料の量に応じて、前記接合層の厚みが決定される。
2個以上の第2ターゲット材を第1ターゲット材に接合する場合には、上記の操作をそれぞれの第2ターゲット材に対して行う。
このようにして成形された第1ターゲット材、第2ターゲット材および接合用セラミックス材料を熱処理する。熱処理条件は、熱処理温度以外は製造方法1と同様にすることができる。
製造方法2においては、熱処理を前記基準温度より低い温度で行う。たとえば、第1ターゲット材および第2ターゲット材がともに1600℃で焼成して製造されている場合には、熱処理は1600℃よりも低い温度で行われ、第1ターゲット材が1600℃で焼成して製造され、第2ターゲット材が1580℃で焼成して製造されている場合には、熱処理は1580℃よりも低い温度で行われる。
接合用セラミックス材料が、前記基準温度の±50℃の温度範囲で焼成して得られ、かつ第1ターゲット材および第2ターゲット材と実質的に同組成を有するセラミックス焼結粉を使用して作製され、さらに熱処理を前記基準温度より低い温度で行うことにより、接合用セラミックス材料中のITOやIGZO等の複合酸化物は熱処理時に再度固溶、析出を行い、反応が緩慢になるので、熱処理により接合用セラミックス材料はほとんど収縮しない。
熱処理温度は、基準温度より100〜250℃低い温度であることが好ましく、100〜200℃低い温度であることがより好ましく、100〜150℃低い温度であることがさらに好ましい。
上記熱処理工程およびその後の冷却工程において、第1ターゲット材と第2ターゲット材とが圧着される方向に圧力を加えてもよい。この加圧の条件は製造方法1と同様である。
この熱処理により第1ターゲット材と第2ターゲット材とが一体に接合されて本発明のターゲット材となる。また、この熱処理により、接合用セラミックスペースト材料は焼結されて前記接合層となる。
通常の接合用セラミックス材料は、熱処理されると、分散媒等が揮発するので収縮する。このため、第1ターゲット材および第2ターゲット材の接合面となる面の全面に接合用セラミックス材料を付着させても、熱処理により接合用セラミックス材料は収縮し、90%以上の接合面積比を確保することが困難である。製造方法2においては、使用される接合用セラミックス材料が、前記基準温度の±50℃の温度範囲で焼成して得られ、かつ第1ターゲット材および第2ターゲット材と実質的に同組成を有するセラミックス焼結粉を使用して作製され、さらに熱処理を前記基準温度より低い温度で行うので、前述のとおり熱処理されてもほとんど収縮しない。このため、第1ターゲット材および第2ターゲット材の接合面となる面に十分量の接合用セラミックスペースト材料を付着させれば、90%以上の接合面積比を確保することは容易である。
上記製造方法1および2により、接合面積比が90%以上である本発明のスパッタリングターゲット材を効率的に、確実に製造することができる。
<スパッタリングターゲットの製造方法>
上記スパッタリングターゲット材の製造方法によって製造されたスパッタリングターゲット材を公知の方法によって基材に接合することによりスパッタリングターゲットを製造することができる。
[製造例1]ITO製第1スパッタリングターゲット材1の作製
BET法により測定された比表面積がそれぞれ10m2/gであるSnO2粉末とIn23粉末とをポット中でジルコニアボールによりボールミル混合して、セラミックス原料粉末を調製した。セラミックス原料粉末におけるSnO2粉末の含有量は10質量%であった。
このポットに、バインダーとしてセラミックス原料粉末に対して0.1質量%のポリビニルアルコール、分散剤としてセラミックス原料粉末に対して0.3質量%のポリカルボン酸アンモニウム、および分散媒としてセラミックス原料粉末に対して30質量%の水を加え、ボールミル混合してスラリーを調製した。
このスラリーを脱泡した後、鋳込み成形して平板状の成形体を作製した。この成形体を焼成して、焼結体を作製した。焼成は、酸素雰囲気下で、焼成温度1600℃、焼成時間5時間、昇温速度100℃/hの条件で行った。焼結体の相対密度(アルキメデス法)は99.9%であった。
この焼結体を切削加工して、縦500mm、横300mm、厚み10mmの平板状のITO製第1スパッタリングターゲット材1(以下、ITO第1ターゲット材1という)を得た。
[製造例2]ITO製第1スパッタリングターゲット材2の作製
セラミックス原料粉末におけるSnO2粉末の含有量を3質量%にした以外は製造例1と同様にして相対密度(アルキメデス法)が99.5%である焼結体を作製した。この焼結体を切削加工して、縦500mm、横300mm、厚み10mmの平板状のITO製第1スパッタリングターゲット材2(以下、ITO第1ターゲット材2という)を得た。
[製造例3]ITO製第2スパッタリングターゲット材1の作製
製造例1と同様にして調製したスラリーを脱泡した後、鋳込み成形してレーストラック状の成形体を作製した。この成形体を製造例1における焼成と同条件で焼成して、焼結体を作製した。焼結体の相対密度(アルキメデス法)は99.9%であった。
この焼結体を切削加工して、レーストラック状のITO製第2スパッタリングターゲット材1(以下、ITO第2ターゲット材1という)を得た。
ITO第2ターゲット材1は、レーストラック状であって、平行に形成された1対の長直線部、平行に形成された1対の短直線部、および前記長直線部と短直線部とを接続する4つの接続部からなる。長直線部および短直線部の幅は25mmである。ITO第2ターゲット材1の長手方向の長さは400mmであり、短手方向の長さは200mmである。接続部の外周線は半径30mmの円弧を描き、長直線部および短直線部の外周線に連続している。接続部の内周線も半径30mmの円弧を描き、長直線部および短直線部の内周線に連続している。ITO第2ターゲット材1の厚みは10mmである。
[製造例4]ITO製第2スパッタリングターゲット材2の作製
セラミックス原料粉末におけるSnO2粉末の含有量を3質量%にした以外は製造例1と同様にして調製したスラリーを脱泡した後、鋳込み成形してレーストラック状の成形体を作製した。この成形体を製造例1における焼成と同条件で焼成して、焼結体を作製した。焼結体の相対密度(アルキメデス法)は99.9%であった。
この焼結体を切削加工して、ITO第2ターゲット材1と同寸法のレーストラック状のITO製第2スパッタリングターゲット材2(以下、ITO第2ターゲット材2という)を得た。
[製造例5]IGZO製第1スパッタリングターゲット材1の作製
BET法により測定された比表面積がそれぞれ10m2/gであるIn23粉末とGa23粉末とZnO粉末とをポット中でジルコニアボールによりボールミル混合して、セラミックス原料粉末を調製した。セラミックス原料粉末におけるIGZOの原子数比は1114であった。ここで、IGZOの原子数比が「WXYZ」であるとは、Inの原子数をNIn、Gaの原子数をNGa、Znの原子数をNZn、Oの原子数をNOとしたとき、NIn:NGa:NZn:NO=W:X:Y:Zであることを意味する。セラミックス原料粉末におけるIGZOの原子数比が1114であるということは、セラミックス原料粉末においてNIn:NGa:NZn:NO=1:1:1:4であるということである。
このポットに、バインダーとしてセラミックス原料粉末に対して0.1質量%のポリビニルアルコール、分散剤としてセラミックス原料粉末に対して0.3質量%のポリカルボン酸アンモニウム、および分散媒としてセラミックス原料粉末に対して30質量%の水を加え、ボールミル混合してスラリーを調製した。
このスラリーをスプレードライ装置に供給し、アトマイズ回転数10,000rpm、入口温度250℃の条件でスプレードライを行い、顆粒を調製した。この顆粒をCIP成形( Cold Isostatic Pressing(冷間等方圧成形))して平板状の成形体を作製した。この成形体を焼成して、焼結体を作製した。焼成は、大気中で、焼成温度1400℃、焼成時間5時間、昇温速度100℃/hの条件で行った。焼結体の相対密度(アルキメデス法)は99.8%であった。
この焼結体を切削加工して、縦500mm、横300mm、厚み10mmの平板状のIGZO製第1スパッタリングターゲット材1(以下、IGZO第1ターゲット材1という)を得た。
[製造例6]IGZO製第1スパッタリングターゲット材2の作製
原子数比を2217にした以外は製造例5と同様にして相対密度(アルキメデス法)が99.5%である焼結体を作製した。この焼結体を切削加工して、縦500mm、横300mm、厚み10mmの平板状のIGZO製第1スパッタリングターゲット材2(以下、IGZO第1ターゲット材2という)を得た。
[製造例7]IGZO製第2スパッタリングターゲット材1の作製
製造例5と同様にして調製した顆粒をCIP成形してレーストラック状の成形体を作製した。この成形体を製造例5における焼成と同条件で焼成して、焼結体を作製した。焼結体の相対密度(アルキメデス法)は99.8%であった。
この焼結体を切削加工して、ITO第2ターゲット材1と同寸法のレーストラック状のIGZO製第2スパッタリングターゲット材1(以下、IGZO第2ターゲット材1という)を得た。
[製造例8]IGZO製第2スパッタリングターゲット材2の作製
原子数比を2217にした以外は製造例5と同様にして調製した顆粒をCIP成形してレーストラック状の成形体を作製した。この成形体を製造例5における焼成と同条件で焼成して、焼結体を作製した。焼結体の相対密度(アルキメデス法)は99.8%であった。
この焼結体を切削加工して、ITO第2ターゲット材1と同寸法のレーストラック状のIGZO製第2スパッタリングターゲット材2(以下、IGZO第2ターゲット材2という)を得た。
[製造例9]接合用ITOシート材料1の作製
BET法により測定された比表面積がそれぞれ20m2/gであるSnO2粉末とIn23粉末とを混合して混合粉末を調製した。混合粉末におけるSnO2粉末の含有量は10質量%であった。この混合粉末に、分散媒として混合粉末に対して40質量%の水、分散剤として混合粉末に対して0.3質量%のポリカルボン酸アンモニウム、バインダーとして混合粉末に対して10質量%のポリビニルアルコールを混合して混合材を調製した。この混合材よりドクターブレード法によりシート厚200μmの接合用ITOシート材料1(以下、ITOシート材料1という)を作製した。
[製造例10]接合用ITOシート材料2の作製
混合粉末におけるSnO2粉末の含有量を3質量%にしたこと以外は製造例9と同様にしてシート厚200μmの接合用ITOシート材料2(以下、ITOシート材料2という)を作製した。
[製造例11]接合用ITOペースト材料1の作製
BET法により測定された比表面積がそれぞれ10m2/gであるSnO2粉末とIn23粉末とを混合して混合粉末を調製した。混合粉末におけるSnO2粉末の含有量は10質量%であった。この混合粉末を、酸素雰囲気下で、焼成温度1600℃、焼成時間5時間、昇温速度100℃/hの条件で焼成して、ITO焼結粉を得た。
このITO焼結粉に、分散媒としてITO焼結粉に対して30質量%の水、分散剤としてITO焼結粉に対して0.3質量%のポリカルボン酸アンモニウム、バインダーとしてITO焼結粉に対して0.1質量%のポリビニルアルコールを混合し、さらに脱泡して接合用ITOペースト材料1(以下、ITOペースト材料1という)を作製した。
[製造例12]接合用ITOペースト材料2の作製
混合粉末におけるSnO2粉末の含有量を3質量%にしたこと以外は製造例11と同様にして接合用ITOペースト材料2(以下、ITOペースト材料2という)を作製した。
[製造例13]接合用ITOペースト材料3の作製
BET法により測定された比表面積がそれぞれ20m2/gであるSnO2粉末とIn23粉末とを混合して混合粉末を調製した。混合粉末におけるSnO2粉末の含有量は10質量%であった。この混合粉末に、分散媒として混合粉末に対して40質量%の水、分散剤として混合粉末に対して0.3質量%のポリカルボン酸アンモニウム、バインダーとして混合粉末に対して0.1質量%のポリビニルアルコールを混合し、さらに脱泡して接合用ITOペースト材料3(以下、ITOペースト材料3という)を作製した。
[製造例14]接合用ITOペースト材料4の作製
混合粉末におけるSnO2粉末の含有量を3質量%にしたこと以外は製造例13と同様にして接合用ITOペースト材料4(以下、ITOペースト材料4という)を作製した。
[製造例15]接合用IGZOシート材料1の作製
BET法により測定された比表面積がそれぞれ20m2/gであるIn23粉末とGa23粉末とZnO粉末とを混合して混合粉末を調製した。混合粉末におけるIGZOの原子数比は1114であった。混合粉末に、分散媒として混合粉末に対して40質量%の水、分散剤として混合粉末に対して0.3質量%のポリカルボン酸アンモニウム、バインダーとして混合粉末に対して10質量%のポリビニルアルコールを混合して混合材を調製した。この混合材よりドクターブレード法によりシート厚200μmの接合用IGZOシート材料1(以下、IGZOシート材料1という)を作製した。
[製造例16]接合用IGZOシート材料2の作製
原子数比を2217にしたこと以外は製造例15と同様にしてシート厚200μmの接合用IGZOシート材料2(以下、IGZOシート材料2という)を作製した。
[製造例17]接合用IGZOペースト材料1の作製
BET法により測定された比表面積がそれぞれ10m2/gであるIn23粉末とGa23粉末とZnO粉末とを混合して混合粉末を調製した。混合粉末におけるIGZOの原子数比は1114であった。この混合粉末を、大気中で、焼成温度1400℃、焼成時間5時間、昇温速度100℃/hの条件で焼成して、IGZO焼結粉を得た。
このIGZO焼結粉に、分散媒としてIGZO焼結粉に対して30質量%の水、分散剤としてIGZO焼結粉に対して0.3質量%のポリカルボン酸アンモニウム、バインダーとしてIGZO焼結粉に対して0.1質量%のポリビニルアルコールを混合し、さらに脱泡して接合用IGZOペースト材料1(以下、IGZOペースト材料1という)を作製した。
[製造例18]接合用IGZOペースト材料2の作製
原子数比を2217にしたこと以外は製造例17と同様にして接合用IGZOペースト材料2(以下、IGZOペースト材料2という)を作製した。
[製造例19]接合用IGZOペースト材料3の作製
BET法により測定された比表面積がそれぞれ20m2/gであるIn23粉末とGa23粉末とZnO粉末とを混合して混合粉末を調製した。混合粉末におけるIGZOの原子数比は1114であった。この混合粉末に、分散媒として混合粉末に対して40質量%の水、分散剤として混合粉末に対して0.3質量%のポリカルボン酸アンモニウム、バインダーとして混合粉末に対して0.1質量%のポリビニルアルコールを混合し、さらに脱泡して接合用IGZOペースト材料3(以下、IGZOペースト材料3という)を作製した。
[製造例20]接合用IGZOペースト材料4の作製
原子数比を2217にしたこと以外は製造例19と同様にして接合用IGZOペースト材料4(以下、IGZOペースト材料4という)を作製した。
[実施例1]
ITO第1ターゲット材1の中央部上方にITO第2ターゲット材1を配置し、対向するそれぞれの面の間に、ITOシート材料1からレーストラック状に切り取ったシートを、ITO第2ターゲット材1の前記面の周囲から均等に前記シートがはみ出るように挟んだ。前記シートの前記面に対する面積比(以下、シート面積比という)は135%であった。ITO第1ターゲット材1とITO第2ターゲット材1とに、両ターゲット材が相互に圧着する方向に300gf/cm2の圧力を加えながら、酸素雰囲気下で、熱処理温度1490℃、熱処理時間5時間、昇温速度100℃/hの条件で熱処理を行った。その後、前記圧力を加えた状態で室温まで冷却した。
作製されたITO製スパッタリングターゲット材の接合面積比を以下の方法で求めた。結果を表1に示した。
得られたITO製スパッタリングターゲット材を、該ターゲット材を接合するのに十分な面積を有するCu製平板状基材に次の方法により接合した。前記ターゲット材および前記基材を160℃に加熱し、ターゲット材および基材のそれぞれのボンディング面に接合材としてIn半田を塗布し、それぞれのボンディング面を貼り合わせて両者を圧着した後、冷却した。接合時の前記ターゲット材の割れの有無を目視により確認した。結果を表1に示した。
<接合面積比の測定方法>
図3に示すように、第2ターゲット材の上方から、第2ターゲット材の接合面に対して垂直方向に、ターゲット材をX線透過法により撮影して画像を得た。この画像に現れた、前記接合面に対応する領域の面積S1、および前記接合層が第1ターゲット材および第2ターゲット材に付着している領域に対応する領域の面積S2を求めた。(S2/S1)×100より接合面積比R(%)を求めた。
[実施例2]
ITO第1ターゲット材1の中央部上方にITO第2ターゲット材1を配置し、対向するそれぞれの面にITOペースト材料1を厚みが200μmになるように前記面全体に塗布した。前記面を相互に張り合わせ、ITOペースト材料1をITO第1ターゲット材1とITO第2ターゲット材1とで挟んだ。実施例1と同様に圧力を加えながら、実施例1と同条件で熱処理およびその後の冷却を行った。
作製されたITO製スパッタリングターゲット材の接合面積比を上記の方法で求めた。結果を表1に示した。得られたITO製スパッタリングターゲット材を実施例1と同様に基材に接合した。接合時のターゲット材の割れの有無を目視により確認した。結果を表1に示した。
[比較例1]
ITOペースト材料1に替えてITOペースト材料3を使用したこと以外は実施例2と同様にしてITO製スパッタリングターゲット材を作製した。
作製されたITO製スパッタリングターゲット材の接合面積比を上記の方法で求めた。結果を表1に示した。得られたITO製スパッタリングターゲット材を実施例1と同様に基材に接合した。接合時のターゲット材の割れの有無を目視により確認した。結果を表1に示した。
[比較例2]
熱処理における熱処理温度を1680℃にしたこと以外は比較例1と同様にしてITO製スパッタリングターゲット材を作製した。
作製されたITO製スパッタリングターゲット材の接合面積比を上記の方法で求めた。結果を表1に示した。得られたITO製スパッタリングターゲット材を実施例1と同様に基材に接合した。接合時のターゲット材の割れの有無を目視により確認した。結果を表1に示した。
[実施例3]
ITO第1ターゲット材2の中央部上方にITO第2ターゲット材2を配置し、対向するそれぞれの面の間に、ITOシート材料2からレーストラック状に切り取ったシートを、ITO第2ターゲット材2の前記面の周囲から均等に前記シートがはみ出るように挟んだ。シート面積比は135%であった。実施例1と同様に圧力を加えながら、熱処理温度を1460℃にしたこと以外は実施例1と同条件で熱処理を行い、その後の冷却を行った。
作製されたITO製スパッタリングターゲット材の接合面積比を上記の方法で求めた。結果を表1に示した。得られたITO製スパッタリングターゲット材を実施例1と同様に基材に接合した。接合時のターゲット材の割れの有無を目視により確認した。結果を表1に示した。
[実施例4]
ITO第1ターゲット材2の中央部上方にITO第2ターゲット材2を配置し、対向するそれぞれの面にITOペースト材料2を厚みが200μmになるように前記面全体に塗布した。前記面を相互に張り合わせ、ITOペースト材料2をITO第1ターゲット材2とITO第2ターゲット材2とで挟んだ。実施例3と同様に圧力を加えながら、実施例3と同条件で熱処理およびその後の冷却を行った。
作製されたITO製スパッタリングターゲット材の接合面積比を上記の方法で求めた。結果を表1に示した。得られたITO製スパッタリングターゲット材を実施例1と同様に基材に接合した。接合時のターゲット材の割れの有無を目視により確認した。結果を表1に示した。
[比較例3]
ITOペースト材料2に替えてITOペースト材料4を使用したこと以外は実施例4と同様にしてITO製スパッタリングターゲット材を作製した。
作製されたITO製スパッタリングターゲット材の接合面積比を上記の方法で求めた。結果を表1に示した。得られたITO製スパッタリングターゲット材を実施例1と同様に基材に接合した。接合時のターゲット材の割れの有無を目視により確認した。結果を表1に示した。
[比較例4]
熱処理における熱処理温度を1390℃にしたこと以外は比較例3と同様にしてITO製スパッタリングターゲット材を作製した。
作製されたITO製スパッタリングターゲット材の接合面積比を上記の方法で求めた。結果を表1に示した。得られたITO製スパッタリングターゲット材を実施例1と同様に基材に接合した。接合時のターゲット材の割れの有無を目視により確認した。結果を表1に示した。
[実施例5]
IGZO第1ターゲット材1の中央部上方にIGZO第2ターゲット材1を配置し、対向するそれぞれの面の間に、IGZOシート材料1からレーストラック状に切り取ったシートを、IGZO第2ターゲット材1の前記面の周囲から均等に前記シートがはみ出るように挟んだ。シート面積比は135%であった。実施例1と同様に圧力を加えながら、熱処理温度を1290℃にしたこと以外は実施例1と同条件で熱処理を行い、その後の冷却を行った。
作製されたIGZO製スパッタリングターゲット材の接合面積比を上記の方法で求めた。結果を表1に示した。得られたIGZO製スパッタリングターゲット材を実施例1と同様に基材に接合した。接合時のターゲット材の割れの有無を目視により確認した。結果を表1に示した。
[実施例6]
IGZO第1ターゲット材1の中央部上方にIGZO第2ターゲット材1を配置し、対向するそれぞれの面にIGZOペースト材料1を厚みが200μmになるように前記面全体に塗布した。前記面を相互に張り合わせ、IGZOペースト材料1をIGZO第1ターゲット材1とIGZO第2ターゲット材1とで挟んだ。実施例5と同様に圧力を加えながら、実施例5と同条件で熱処理およびその後の冷却を行った。
作製されたIGZO製スパッタリングターゲット材の接合面積比を上記の方法で求めた。結果を表1に示した。得られたIGZO製スパッタリングターゲット材を実施例1と同様に基材に接合した。接合時のターゲット材の割れの有無を目視により確認した。結果を表1に示した。
[比較例5]
IGZOペースト材料1に替えてIGZOペースト材料3を使用したこと以外は実施例6と同様にしてIGZO製スパッタリングターゲット材を作製した。
作製されたIGZO製スパッタリングターゲット材の接合面積比を上記の方法で求めた。結果を表1に示した。得られたIGZO製スパッタリングターゲット材を実施例1と同様に基材に接合した。接合時のターゲット材の割れの有無を目視により確認した。結果を表1に示した。
[比較例6]
熱処理における熱処理温度を1480℃にしたこと以外は比較例5と同様にしてIGZO製スパッタリングターゲット材を作製した。
作製されたIGZO製スパッタリングターゲット材の接合面積比を上記の方法で求めた。結果を表1に示した。得られたIGZO製スパッタリングターゲット材を実施例1と同様に基材に接合した。接合時のターゲット材の割れの有無を目視により確認した。結果を表1に示した。
[実施例7]
IGZO第1ターゲット材2の中央部上方にIGZO第2ターゲット材2を配置し、対向するそれぞれの面の間に、IGZOシート材料2からレーストラック状に切り取ったシートを、IGZO第2ターゲット材2の前記面の周囲から均等に前記シートがはみ出るように挟んだ。シート面積比は135%であった。実施例1と同様に圧力を加えながら、熱処理温度を1260℃にしたこと以外は実施例1と同条件で熱処理を行い、その後の冷却を行った。
作製されたIGZO製スパッタリングターゲット材の接合面積比を上記の方法で求めた。結果を表1に示した。得られたIGZO製スパッタリングターゲット材を実施例1と同様に基材に接合した。接合時のターゲット材の割れの有無を目視により確認した。結果を表1に示した。
[実施例8]
IGZO第1ターゲット材2の中央部上方にIGZO第2ターゲット材2を配置し、対向するそれぞれの面にIGZOペースト材料2を厚みが200μmになるように前記面全体に塗布した。前記面を相互に張り合わせ、IGZOペースト材料2をIGZO第1ターゲット材2とIGZO第2ターゲット材2とで挟んだ。実施例7と同様に圧力を加えながら、実施例7と同条件で熱処理およびその後の冷却を行った。
作製されたIGZO製スパッタリングターゲット材の接合面積比を上記の方法で求めた。結果を表1に示した。得られたIGZO製スパッタリングターゲット材を実施例1と同様に基材に接合した。接合時のターゲット材の割れの有無を目視により確認した。結果を表1に示した。
[比較例7]
IGZOペースト材料2に替えてIGZOペースト材料4を使用したこと以外は実施例8と同様にしてIGZO製スパッタリングターゲット材を作製した。
作製されたIGZO製スパッタリングターゲット材の接合面積比を上記の方法で求めた。結果を表1に示した。得られたIGZO製スパッタリングターゲット材を実施例1と同様に基材に接合した。接合時のターゲット材の割れの有無を目視により確認した。結果を表1に示した。
[比較例8]
熱処理における熱処理温度を1190℃にしたこと以外は比較例7と同様にしてITO製スパッタリングターゲット材を作製した。
作製されたIGZO製スパッタリングターゲット材の接合面積比を上記の方法で求めた。結果を表1に示した。得られたIGZO製スパッタリングターゲット材を実施例1と同様に基材に接合した。接合時のターゲット材の割れの有無を目視により確認した。結果を表1に示した。
Figure 2015089967
10 スパッタリングターゲット材
11 第1スパッタリングターゲット材
12 第2スパッタリングターゲット材
13 接合層
14、15 接合面
16、17 領域
18 接合用セラミックスシート材料
19 面
X 矢印

Claims (9)

  1. 平板状であるセラミックス製の第1スパッタリングターゲット材と、該第1スパッタリングターゲット材と実質的に同じ組成を有するセラミックス製の第2スパッタリングターゲット材と、該第2スパッタリングターゲット材を前記第1スパッタリングターゲット材の上面に接合するセラミックス製の接合層とを備えたスパッタリングターゲット材であって、
    前記第2スパッタリングターゲット材の上方から、第2スパッタリングターゲット材における前記接合層が付着している面である接合面に対して垂直方向に、前記スパッタリングターゲット材をX線透過法により撮影して得られた画像において、前記接合面に対応する画像上の領域の面積に対する、前記接合層が第1スパッタリングターゲット材および第2スパッタリングターゲット材に付着している領域に対応する画像上の領域の面積の比率である接合面積比が90%以上であるスパッタリングターゲット材。
  2. 前記接合層の組成が、前記第1スパッタリングターゲット材および第2スパッタリングターゲット材の組成と実質的に同じである請求項1に記載のスパッタリングターゲット材。
  3. 前記第2スパッタリングターゲット材および接合層が、エロージョン部が形成される領域に設けられている請求項1または2に記載のスパッタリングターゲット材。
  4. 前記第1スパッタリングターゲット材、第2スパッタリングターゲット材および接合層がITO製である請求項1〜3のいずれかに記載のスパッタリングターゲット材。
  5. 前記第1スパッタリングターゲット材、第2スパッタリングターゲット材および接合層がIGZO製である請求項1〜3のいずれかに記載のスパッタリングターゲット材。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のスパッタリングターゲット材が基材に接合されてなるスパッタリングターゲット。
  7. 平板状であるセラミックス製の第1スパッタリングターゲット材と、該第1スパッタリングターゲット材と実質的に同じ組成を有するセラミックス製の第2スパッタリングターゲット材との間に接合用セラミックス材料を挟み、前記第1スパッタリングターゲット材、第2スパッタリングターゲット材および接合用セラミックス材料を熱処理することで前記第1スパッタリングターゲット材と第2スパッタリングターゲット材とを接合するスパッタリングターゲット材の製造方法であって、
    前記接合用セラミックス材料がシート材料であり、該接合用セラミックス材料を挟む前記第2スパッタリングターゲット材の面よりも大きい面積を有し、前記接合用セラミックス材料を前記面の周囲からはみ出るように挟む請求項1に記載のスパッタリングターゲット材の製造方法。
  8. 平板状であるセラミックス製の第1スパッタリングターゲット材と、該第1スパッタリングターゲット材と実質的に同じ組成を有するセラミックス製の第2スパッタリングターゲット材との間に接合用セラミックス材料を挟み、前記第1スパッタリングターゲット材、第2スパッタリングターゲット材および接合用セラミックス材料を熱処理することで前記第1スパッタリングターゲット材と第2スパッタリングターゲット材とを接合するスパッタリングターゲット材の製造方法であって、
    前記接合用セラミックス材料が、前記第1スパッタリングターゲット材を製造したときの焼成温度T1と第2スパッタリングターゲット材を製造したときの焼成温度T2とが同じ場合にはその焼成温度の±50℃の温度範囲で、前記T1とT2とが異なる場合にはそれらのうち低い方の焼成温度の±50℃の温度範囲で焼成して得られ、かつ前記第1スパッタリングターゲット材および第2スパッタリングターゲット材と実質的に同組成を有するセラミックス焼結粉を使用して作製され、
    前記熱処理を、前記T1とT2とが同じ場合にはその温度より低い温度で、前記T1とT2とが異なる場合にはそれらのうち低い方の温度より低い温度で行う請求項1に記載のスパッタリングターゲット材の製造方法。
  9. 前記接合用セラミックス材料がシート材料またはペースト材料である請求項8に記載の製造方法。
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