JP4467869B2 - 親水性修飾剤を有するアクリジニウムエステル標識 - Google Patents

親水性修飾剤を有するアクリジニウムエステル標識 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生物分析の応用分野で有用であり、一般に、親水性修飾剤を有する検出可能な化学発光アクリジニウムエステル標識、そのような標識を含む組成物、錯体、および/またはコンジュゲート、ならびにそのような標識を使用する標的分析物の生物分析アッセイを行うための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリジニウムエステルは、イムノアッセイおよび核酸アッセイの分野で広範に使用されてきた非常に有用な化学発光標識である。以下の各特許文書は、(a)それぞれの全体が参照により本明細書に合体され、かつ(b)アクリジニウムエステル化合物の生物分析への応用例の様々な態様に関する。EP0263657、US4745181、EP0353971、EP0361817、US4918192、US5110932、US5227489、US5241070、EP0617288、WO9421823、US5395752、EP0661270、US5449556、WO9527702、US5538901、US5595875、EP0754178、US5656426、US5656500、US5663074、US5702887、WO9854574、US5879894、WO9911813、WO0009487、EP0982298、EP0988551、WO0031543、EP1009852、US6080591、EP1049933、US6165800、WO0109372、およびEP1104405。
【0003】
親水性修飾剤を欠く、いくつかの特定の検出可能な化学発光アクリジニウムエステル標識が、当該技術分野で既知であり、例えば、2’,6’−ジメチル−4’−[N−スクシンイミジルオキシカルボニル]フェニル−10−メチル−9−アクリジンカルボキシラートおよび2’,6’−ジメチル−4’−[N−スクシンイミジルオキシカルボニル]フェニル−10−スルホプロピル−9−アクリジンカルボキシラート(各標識を、以下それぞれ「DMAE−NHS」および「NSP−DMAE−NHS」と呼ぶ)であり、それらはBayer Corporation、Business Group Diagnostics、511Benedict Avenue、Tarrytown、New York 10591−5097からイムノアッセイ機器システム用に市販されている。読者の便宜のため、これらの化合物の各構造を下記に示す。
【化1】
Figure 0004467869
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のとおり、本発明は、広く親水性修飾剤を有する検出可能な化学発光アクリジニウムエステル標識を対象とする。本発明の標識のいくつかの好ましい実施形態において、本発明者等は、NSP−DMAEに2種類の構造要素を組み込み、これらの修飾がイムノアッセイにおいて向上した性能を示すユニークなハプテントレーサーの調製を可能にすることを見出した。3種類の異なる臨床的に関連する分析物、すなわち、ビタミンである葉酸塩、喘息薬であるテオフィリン、およびアミノグリコシド抗生物質であるトブラマイシンを用いて、本発明者等の発見の普遍性を明らかにする。
【0005】
本発明の標識を深く考察する前に、アッセイフォーマットの簡単な概観を下記に示す。競合イムノアッセイは、共通して、(a)問題の分析物を蛍光または化学発光標識したコンジュゲートが、アッセイ中でトレーサーとして使用されているフォーマットを用い、(b)固体支持体を利用している。そのような競合アッセイの典型的な構成は、3種の要素、すなわち、トレーサー、問題の分析物を含むサンプル、および結合した分析物と結合していない分析物の分離方法からなる。(ただし、均一イムノアッセイでは分離は行われないことに注意されたい。)例えば、常磁性粒子などの固体支持体上への葉酸結合タンパク質の固定化(以下、「PMP」と呼ぶ)は、遊離した分析物と結合した分析物(この場合の分析物は、葉酸である)のそのような分離(磁気)を実施するための手段を提供する。トレーサーがアッセイに含まれるとき、固定化タンパク質に結合するためにサンプルからの分析物と競合する。アッセイ中の分析物のレベルが上昇すると、結果として固定化タンパク質に結合するトレーサーが減少する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以下に詳述するとおり、(また後でさらに例示するように)ハプテントレーサーの分離に特に有用な2種のスペーサー、(a)非イオン性ポリエチレングリコール、ならびに(b)ポリイオン性スペルミンジスルホナートおよびポリイオン性スペルミンジカルボキシラートが開発された。
【0007】
ポリエチレングリコール(以下、「PEG」と呼ぶ)は、よく知られたポリマーである。それは、生体適合性であり、水性溶媒および有機溶媒のどちらにも可溶性であり、無毒性であり、非免疫原性である。従来技術では、低分子量の薬から大きなタンパク質まで、さらにはリポソームなどの大きな集塊にいたるまでの様々な分子の修飾剤として広範に使用されている。薬剤のPEGコンジュゲートは、向上した可溶性を示し、血流中でより長く生存する。タンパク質とペプチドのPEG修飾は、溶解性を向上させ、タンパク質分解に対する抵抗性を与え、免疫原性を低下させる。オリゴヌクレオチドのPEG修飾は、溶解性を高め、ヌクレアーゼ安定性を与える。脂質のPEG修飾により、立体的に安定で、向上した血液循環時間を示すPEGグラフトされたリポソームの調製が可能となる。PEGの使用に関する従来技術の優れた考案が、S.Zalipsky、Bioconjugate Chemistry、1995、6、pp.150〜165に記載されており、その全体を参照により本明細書中に合体する。PEGを使用して蛍光染料の性質を修飾することも従来技術に記載されている。PEG修飾された蛍光ポルフィリンおよびフタロシアニン染料は、水溶液中で凝集挙動の減少、ならびにHSA(ヒト血清アルブミン)などのヒト血清の成分への非特異的結合の低減を示すことが証明された。これらのコンジュゲートはまた、長い蛍光減衰時間を示す(PCT/US91/03424およびPCT/US91/03426)。そのようなコンジュゲートの蛍光イムノアッセイへの応用例、in vivoイメージング、およびin vivo腫瘍療法が、同じ著者によって提案されている。
【0008】
PEGの上記の使用にもかかわらず、ポリエチレングリコールによるアクリジニウムエステルの修飾はこれまで記載されていない。同様に、イオン性官能基を導入するための足場としてポリアミンであるスペルミンを用いて考案されたポリイオン性スペーサーも報告されていない。本発明者等は、これらの後者の分子もアクリジニウムエステルの修飾に非常に有用であることを見出した。これらの修飾アクリジニウムエステルの合成および応用例は、次のとおりである。
【0009】
上述したとおり、ビタミンである葉酸は、臨床的に重要な分析物であり、一般にイムノアッセイ技術を用いて測定される。密接に関連した化合物として、プテロイン酸は、葉酸の単純化された構造変異体であり、これは葉酸に通常見られるグルタミン酸部分を欠いている。本発明者等は、プテロイン酸の2種の異なるNSP−DMAEコンジュゲートを調製した。一方は、疎水性脂肪族(ヘキサメチレン)スペーサーを含み、他方は、親水性ヘキサエチレングリコールスペーサーを含む(図1および図2参照)。最初のトレーサーの合成は、NSP−DMAE−NHSを1,6−ヘキサンジアミンと反応させることによって実施された(以下、「HD」と呼ぶ)。次いで、得られたアクリジニウムエステル誘導体(以下、「NSP−DMAE−HD」と呼ぶ)をN10−トリフルオロアセチルプテロイン酸と縮合させ、次いでコンジュゲートからトリフルオロアセチル保護基を除去した。PEGスペーサーをもつ類似のトレーサーを調製するために、短いジアミノヘキサエチレングリコールを市販のヘキサエチレングリコールから合成した。ヘキサエチレングリコール中の2個のヒドロキシル基を、メタンスルホン酸エステルに変換し、これを続いてアジドで置き換えた。ジアジドヘキサエチレングリコールを還元するとジアミノヘキサエチレングリコールが得られ、次いで、これをNSP−DMAE−NHSと縮合させた。得られたアクリジニウムエステル誘導体(以下、「NSP−DMAE−HEG」と呼ぶ)を上記で議論したとおりプテロイン酸と結合させた。
【0010】
次に、この2種の異なるNSP−DMAE−プテロアート(pteroate)コンジュゲートをフォレート(folate)イムノアッセイで評価した(実施例5、表1〜3、および図3)。このアッセイフォーマットにおいて、フォレート結合タンパク質は、PMP上に固定化され、2種のトレーサーは、分析物である葉酸と競合する。用量応答曲線を図3に示す。アッセイデータを得るために使用した方法および種々のアッセイパラメータの定義は、実施例5で説明する。表1〜3は、アッセイの精度、アッセイの確度、およびアッセイの感度を要約したものである。アクリジニウムエステル部分とプテロアート部分との間にヘキサエチレングリコールスペーサーを導入すると、トレーサーの結合は2倍を超える。それにより、B/Tと定義された結合したトレーサーの画分は、PEGスペーサーをもつトレーサーの場合、0.53%から1.15%に増加する(表3)。明らかに、ポリエチレングリコールスペーサーは、PEG含有トレーサーの結合に対する任意の立体干渉を緩和する。次に、本発明者等は、これもまたヘキサエチレングリコールスペーサーを含むNSP−DMAE−フォレートコンジュゲートを合成した(図4)。葉酸中のα−カルボキシラートがフォレート結合タンパク質によく結合するためには遊離したままでなければならないことは、従来技術で知られているので(Wang,S.等、Bioconjugate Chem.1996、7、pp.56〜62)、本発明者等は、まず特異的ガンマリンクフォレートトレーサーを合成した。具体的には、これは、N−tert−ブトキシカルボニルグルタミン酸α−tert−ブチルエステルとNSP−DMAE−HEGを縮合させることによって実施した(図4)。得られたコンジュゲートから保護基を除去し、N10−トリフルオロアセチルプテロイン酸とカップリングさせ、その後トリフルオロアセチル基を除去することにより、短いポリエチレングリコールスペーサーを導入したガンマリンクフォレート−NSP−DMAEトレーサーを得た。フォレートイムノアッセイでこのトレーサーを評価すると、プテロアートトレーサーと比較して予想していたよりも良好な結合(B/T 1.88%)が確かに示された。本発明者等はまた、N−tert−ブトキシカルボニルグルタミン酸γ−tert−ブチルエステルから出発し、上記の反応と同じシーケンスに従って特異的アルファリンクフォレートトレーサーを調製した(図5)。得られたアルファリンクフォレートトレーサーをフォレートイムノアッセイで評価すると、遊離のα−カルボキシル基が欠如しているために結合は減少していた。様々なトレーサー間にはアッセイの精度またはアッセイの確度に差異が認められないので、HEG含有トレーサーは、より低い非特異的結合を示した(表3)。したがって、親水性修飾剤をもたないNSP−DMAE−HD−プテロアートは、最も高い非特異的結合を有する。親水性スペーサーをもつ類似のHEG含有トレーサーは、非特異的結合が2倍以上低かった。2種のフォレートトレーサーは、親水性HEGスペーサーを有するために、より低い非特異的結合も有する。HEG含有トレーサーの非特異的結合がより少ない結合の増加はまた、フォレートアッセイの動的範囲を拡大し、アッセイの感度を向上させた(表3)。
【0011】
アミノグリコシド抗生物質であるトブラマイシンのイムノアッセイで、本発明者等は、2種のトブラマイシン−NSP−DMAEトレーサーのアッセイ性能を比較した。そのうちの一方は(親水性)ヘキサエチレングリコールスペーサーを含み、他方は含まない。トブラマイシンの抗体を生成する手順と、トブラマイシンを他の小分子で部位特異的に修飾する手順は、以前に記載されている(Singh,P.等、Can.J.Chem.、1984、62、pp.2471〜2477)。トブラマイシンでは、6’−アミンが最も反応性である(図6)。したがって、アミノグリコシドを1当量のNSP−DMAE−NHSで処理すると、1:1トブラマイシン−NSP−DMAEトレーサーを与える。第2のトレーサーは、グルタル酸無水物と縮合させることによりNSP−DMAE−HEGをグルタル酸誘導体に変換することによって調製された。次いで、得られた付加物(以下、「NSP−DMAE−HEG−グルタラート」と呼ぶ)中のカルボン酸をNHSエステルに変換し、トブラマイシン1当量とカップリングさせるとトレーサーが得られた。
【0012】
トブラマイシンのイムノアッセイで2種のトレーサーを検査すると、その2種のトレーサーのPMP上のトブラマイシン抗体への全体的な結合は同様であるが、親水性PEG含有トレーサーの非特異的結合は通常のトレーサーよりも2.5倍超低いことが明らかになった(実施例8の表4〜6、図7)。非特異的結合の増加は、多くの場合疎水性と結びつき、それはトブラマイシンなどの高度に水溶性の分析物であっても顕著なので、トレーサー中にポリエチレングリコール修飾剤を導入することは非常に有益である。2種のトレーサーに対するアッセイの精度とアッセイの確度は同様であるが、トブラマイシンアッセイの感度はHEG含有トレーサーについてかなり良好であった(1.7倍低い、表6)。
【0013】
喘息薬分析物テオフィリンの場合、炭素6個のスペーサーとヘキサエチレングリコールスペーサーを含む2種のNSP−DMAEテオフィリントレーサー(図8および図9)に加え、本発明者等は、ポリイオン性スペーサーを含む2種の新規なトレーサーを調製した。最初の2種のトレーサーは、8−カルボキシプロピルテオフィリンのNHSエステルをNSP−DMAE−HDまたはNSP−DMAE−HEGのいずれかと縮合させて簡単に調製した。ポリイオン性スペーサーをポリアミンであるスペルミンから誘導し、最初にその2種の第1級アミンをフタルイミド基に変換して調製した。得られた化合物、ビス(フタルイミド)スペルミンをニートな1,3−プロパンスルトン中で加熱することにより2個の第2級アミンでアルキル化し、または無水コハク酸でアシル化した(図8)。ヒドラジンでフタルイミド保護基を除去すると、スペルミンジスルホナート(以下、「SPDS」と呼ぶ)およびスペルミンジカルボキシラート(以下、「SPDC」と呼ぶ)が得られた。これらの新しいスペーサーをNSP−DMAE−NHSとカップリングさせ、得られたNSP−DMAE誘導体を8−カルボキシテオフィリンとカップリングさせた(図9)。次いで、4種のテオフィリントレーサーをすべてテオフィリンイムノアッセイで評価した(実施例13、表7〜9、図10)。親水性PEGスペーサーを含むテオフィリントレーサーは、非親水性の炭素6個のスペーサーをもつトレーサーと比べて、低い(2倍)非特異的結合を示した。SPDSスペーサーとSPDCスペーサーを含むトレーサーは、さらにより低い非特異的結合を有する(それぞれ疎水性HDスペーサーより3.7倍および3.1倍低い)。結合している間、4種のトレーサーのアッセイの精度、およびアッセイの確度は同様であったが、ポリカルボキシラートスペーサーSPDCを含むトレーサーは、アッセイの感度を3倍以上高めた。どちらのスペーサーもより低い非特異的結合を示したが、その他の親水性スペーサーは、この特異的アッセイでそのような向上は示さなかった。
【0014】
上記の一連の結果は、アクリジニウムエステル−ハプテンコンジュゲート中の親水性スペーサーの有用性を明らかに示す。すべてのアッセイで有益なスペーサーはないが、選択により、アッセイ性能に関してトレーサーに最大の利益を与える親水性スペーサーは容易に識別される。本発明者等は、この点に関して有用な2つのタイプ(非イオン性およびポリイオン性)のスペーサーを開示した。本発明により提供された方法から、当業者は、異なる分析物と異なる標識を用いる様々なトレーサーの調製に同方法を応用できることも明らかである。したがって、本発明は、下記の一般構造のトレーサーを開示している。
A−B−C
式中、Aは、プテロイン酸、葉酸、ステロイドなど問題の分析物、テオフィリン、フェニトイン、ジゴキシンなどの治療薬、トブラマイシン、フェノバルビタールなどのアミノグリコシドであり、
Bは、(a)分子量150〜5000のポリエチレングリコール、または(b)スペルミンまたは任意のポリアミン(必ずしもすべてではないが、内部のアミンが、スルトン、無水物などの親水性分子で修飾されている)から誘導されたポリイオン性スペーサーであり、
Cは、化学発光または蛍光標識である。
【0015】
親水性修飾剤の好ましいアクリジニウムエステルコンジュゲートは、下記式の化合物を含む。
【化2】
Figure 0004467869
式中、
1は、24個までの炭素ならびに窒素、酸素、リン、および硫黄からなる群から選択された20個までのヘテロ原子を有する、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、スルホエチル、スルホプロピル、スルホブチル、またはアラルキルであり、
2、R3、R5、R7は、水素、アミノ、ヒドロキシル、ハライド、ニトロ、−CN、−SO3H、−SCN、−OR、NHCOR、−COR、−COOR、または−CONHRであり、Rは、24個までの炭素ならびに窒素、酸素、リン、および硫黄からなる群から選択された20個までのヘテロ原子を有するアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルであり、
4およびR8は、8個までの炭素を有し、側鎖基が2個を超える炭素をもつ分枝は有しないアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、またはアルコキシルであり、
6は、置換R6=R−L−S−R10を表し、式中、Rは、場合により、24個までの炭素ならびに窒素、酸素、リン、および硫黄からなる群から選択された20個までのヘテロ原子を有するアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルであり、Lは、エーテル、チオエーテル、アミド、エステル、またはカルバマート結合であり、
Sは、分子量300〜5000のポリエチレングリコールであり、または以下の構造であり、
【化3】
Figure 0004467869
あるいは、R6は、エステル結合にメタ位であるフェノキシ環の位置で結合することができ(この場合、R5またはR7は、エステル結合にパラ位に結合している)、
10は、求電子基、脱離基、または求核基である。
【0016】
プテロアートトレーサーとフォレートトレーサーの好ましい実施形態は、以下の構造で示される。
【化4】
Figure 0004467869
式中、Mは、R6が場合により、24個までの炭素、ならびに窒素、酸素、リン、および硫黄からなる群から選択された20個までのヘテロ原子を有するアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルであることを除いて、上記で定義したとおりのアクリジニウムまたはベンズアクリジニウムエステル誘導体であり、
Lは、アミド、エーテル、チオエーテル、エステル、またはカルバマート結合であり、
Sは、上記で定義したとおりのスペーサーある。
【0017】
トブラマイシントレーサーおよびテオフィリントレーサーの好ましい実施形態は、以下の構造で示す。
【化5】
Figure 0004467869
式中、S、L、およびMは、上記で定義したとおりである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下の非限定的、典型的実施例は、例示のためのものにすぎず、本発明が受ける権利のある特許保護の範囲を制限する意味はなく、その保護は、頭記の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0019】
実施例1
NSP−DMAE−HDの合成を下記のとおり実施した(図1)。DMF(1mL)と0.1MカルボナートpH9(1mL)中の1,6−ジアミノヘキサン(49mg、0.42ミリモル)をDMF(1mL)中のNSP−DMAE−NHS(25mg、0.042ミリモル)で処理した。反応物を室温で16時間攪拌し、次いでC18カラム(20×250mm)を使用し、それぞれ0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)を含むMeCN/水の10%から60%の勾配(40分)を用いる調製用HPLCで直接精製し、生成物を約21分で溶離した。生成物を含むHPLC画分を減圧下で濃縮し、次いで、凍結乾燥させて黄色の固形物を得た。収量25mg(定量的)、MALDI−TOF MS 591測定値(591.73計算値)。
【0020】
次に、NSP−DMAE−HD−プテロアートの合成を下記のとおり実施した(図1)。次に、DMF(400μL)中のN10−トリフルオロアセチルプテロイン酸(2.5mg、6.13マイクロモル)をクロロギ酸エチル(3μL、5当量)およびジイソプロピルエチルアミン(5.4μL、5当量)で処理した。反応物を室温で1時間攪拌した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、残留物をNSP−DMAE−HD(1.4mg、2.37マイクロモル)とジイソプロピルエチルアミン(2μL、11.3マイクロモル)で処理した。得られた反応物を室温で4時間攪拌し、次いで濃縮した。残留物をメタノールに溶解し、濾過した。C18カラム(7.8mm×25cm)を使用し、それぞれ0.05%TFAを含むMeCN/水の0%から60%の勾配(40分)を用いるHPLCで精製した。Rt(生成物)=約27分。生成物を含むHPLC画分を凍結乾燥させて、黄色の固形物を得た。収量0.6mg(26%)、MALDI−TOF MS 983.47測定値(982.01計算値)。
【0021】
上記の材料を0.1Mピペリジン(500μL)中、室温で4時間攪拌し、次いで、生成物を上記のとおりHPLCで直接精製した。Rt(生成物)=約26分。生成物を含むHPLC画分を凍結乾燥させて黄色の固形物を得た。収量約0.2mg、MALDI−TOF MS 889.48測定値(886計算値)。
【0022】
実施例2
ヘキサエチレングリコールジメタンスルホナートの合成を下記のとおり実施した。ヘキサエチレングリコール(1g、3.54ミリモル)のクロロホルム(10mL)溶液を氷浴中の窒素下で冷却し、塩化メタンスルホニル(603μL、2.2当量)とジイソプロピルエチルアミン(1.56mL、2.5当量)で処理した。反応物を室温まで加温し、窒素下で攪拌した。2時間後、追加の塩化メタンスルホニル(274μL、1.0当量)とジイソプロピルエチルアミン(749μL、1.2当量)を加えた。室温でさらに2時間後、反応物をクロロホルムで希釈し、得られた溶液を水性塩化アンモニウム、次いでブラインで2回洗浄した。次いで、クロロホルム溶液を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。淡黄色の油状物が得られた。収量1.38g(89%)。TLC(10%メタノール、90%クロロホルム)Rf(生成物)=0.64、Rf(出発材料)=0.42。
【0023】
次に、ジアジドヘキサエチレングリコールの合成を下記のとおり実施した。ヘキサエチレングリコールジメタンスルホナート(0.5g、1.14ミリモル)のDMF(5mL)溶液をアジ化ナトリウム(0.31g、4.76ミリモル)で処理した。反応物を油浴中110℃、窒素雰囲気下で8時間加熱した。次いで、反応物を室温に冷却し、さらに16時間攪拌した。次いで、DMFを減圧下で除去し、残留物をクロロホルムとブラインの間で分配した。クロロホルム層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して油状物を得た。収量0.442g(定量的)、TLC(5%メタノール、95%クロロホルム)Rf(生成物)=0.59、Rf(出発材料)=0.35。
【0024】
次に、ジアミノヘキサエチレングリコール(以下、「ジアミノHEG」と呼ぶ)の合成を下記のとおり実施した(図2)。次に、ジアジドヘキサエチレングリコール(0.44g、1.32ミリモル)の酢酸エチル(15mL)溶液を、活性炭素(95mg)に担持させた10%Pdで処理し、黒色の反応混合物を室温で水素化した。室温で16時間後、反応物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して油状物を得た。収量0.26g(70%)、MALDI−TOF MS 280測定値 280計算値、TLC(45%メタノール、50%クロロホルム、5%水酸化アンモニウム)Rf=0.29。
【0025】
次に、NSP−DMAE−HEGの合成を下記のとおり実施した(図2)。次に、1:1のDMFと0.1MカルボナートpH9(2mL)中のジアミノHEG(33mg、0.12ミリモル)の溶液をNSP−DMAE−NHS(10mg、17マイクロモル)で処理した。反応物を室温で16時間攪拌した。生成物をC18カラム(20mm×300cm)を使用し、それぞれ0.05%TFAを含むMeCN/水の0%から60%の勾配(40分)を用いる調製用HPLCで直接精製した。Rt(生成物)=約21分。生成物を含むHPLC画分を凍結乾燥させて、黄色の固形物を得た。収量10.6mg(83%)、MALDI−TOF MS 757.39測定値(755.89計算値)。
【0026】
次に、NSP−DMAE−HEG−プテロアートの合成を下記のとおり実施した(図2のステップ(III)参照)。次に、DMF(0.5mL)中のN10−トリフルオロアセチルプテロイン酸(5.4mg、13.2マイクロモル)をNHS(7.6mg、5当量)とDCC(13.6mg、5当量)で処理した。反応物を室温の窒素雰囲気下で攪拌した。2時間後、NSP−DMAE−PEG(3.5mg、4.6マイクロモル)のDMF(400μL)溶液とジイソプロピルエチルアミン(2μL、11.3マイクロモル)で反応物を処理した。得られた溶液を室温の窒素雰囲気下で16時間攪拌した。次いで、反応混合物を上記で記載のとおりC18カラム(7.8mm×300cm)の調製用HPLCで直接精製した。Rt(生成物)=約24分。MALDI−TOF MS 1148.71.92測定値(1146.17計算値)。
【0027】
次に、上記のコンジュゲートを0.1Mピペリジン400μL中、室温で1時間攪拌した。次いで、反応物を凍結乾燥させて、黄色の固形物を得た。HPLCRt=約21分、MALDI−TOF MS 1051.92測定値、(1050.16計算値)。
【0028】
実施例3
NSP−DMAE−HEG−γ−フォレートコンジュゲートの合成を下記のとおり実施した。N−tert−ブトキシカルボニル−L−グルタミン酸α−tert−ブチルエステル(25mg、0.082ミリモル)をMeCN(2mL)中に溶解し、NHS(14.2mg、1.5当量)とDCC(25.5mg、1.5当量)で処理した。反応物を室温で1.5時間攪拌した。この溶液(0.54mL)をジイソプロピルエチルアミン(5μL、1.5当量)を含むDMF(500μL)中のNSP−DMAE−PEG(14mg、18.54マイクロモル)の溶液に加えた。2〜3時間後、追加のジイソプロピルエチルアミン(2.5μL)を上記からの追加の活性エステル溶液540μLと一緒に加えた。得られた反応物を室温で16時間攪拌した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、残留物をMeCN2mLに溶解した。これをガラスウールで濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。粗生成物を酢酸中の30%HBr1mL中で2時間攪拌することによりデブロックした。エーテル(10mL)の添加により生成物を沈殿させた。エーテルを傾瀉し、残留物を上記と同じ溶媒系を用いてHPLCにより直接精製した。Rt(生成物)=約20.5分。生成物を含むHPLC画分を凍結乾燥させて、黄色の固形物として生成物2.8mg(20%)を得た。MALDI−TOFMS 888.67測定値(885.0計算値)。
【0029】
次に、NSP−DMAE−HEG−γ−フォレートの合成を下記のとおり実施した。DMF(1mL)中のN10−トリフルオロアセチルプテロイン酸(5mg、12.25マイクロモル)をクロロギ酸イソブチル(4.7μL、3当量)およびジイソプロピルエチルアミン(8μL、4当量)で処理した。反応物を室温で1時間攪拌し、次いで、減圧下で濃縮した。残留物をDMF(0.5mL)に溶解し、この溶液170μLをジイソプロピルエチルアミン(1μL)と一緒にNSP−DMAE−PEG−γ−グルタマート(1.8mg、2.03マイクロモル)に加えた。反応物を室温で16時間攪拌し、次いで減圧下で濃縮した。残留物をDMF(1mL)に溶解し、上記と同じ条件を用いてHPLCにより精製した。Rt(生成物)=約25.5分。生成物を含むHPLC画分を凍結乾燥させて、黄色の固形物を得た。MALDI−TOF MS 1276.34測定値、(1275.28計算値)。
【0030】
次に、コンジュゲート中のトリフルオロアセチル基を、水とDMF(200μL)中の0.1Mピペリジン(400μL)の混合物中室温で攪拌して除去した。6時間後、生成物を上記と同じ条件を用いてHPLCにより直接精製した。Rt(生成物)=約22.5分。生成物を含むHPLC画分を凍結乾燥させて黄色の固形物を得た。MALDI−TOF MS 1182.95測定値(1179.27)。
【0031】
実施例4
NSP−DMAE−HEG−α−フォレートコンジュゲートの合成を下記のとおり実施した。N−tert−ブトキシカルボニル−L−グルタミン酸g−tert−ブチルエステル(20mg、0.065ミリモル)をMeCN(約2mL)に溶解し、氷中窒素雰囲気下で冷却した。N−ヒドロキシスクシンイミド(11.4mg、1.5当量)およびジシクロヘキシルカルボジイミド(20.3mg、0.0985ミリモル)を加え、反応物を室温に加温し、1時間攪拌した。DMF(0.5mL)中のNSP−DMAE−HEG(14mg、0.0185ミリモル)をジイソプロピルエチルアミン(7μL、約2当量)、次いで上記のMeCN溶液1.2mLで処理した。得られた溶液を室温、窒素下で24時間攪拌した。次いで、反応物を減圧下で濃縮した。残留物を酢酸中の30%HBr2mLで処理した。室温で3時間攪拌した後、エーテルを加えて生成物を沈殿させ、それを濾過により集め、追加のエーテルですすぎ、風乾した。粗生成物(28mg)を上記のとおり調製用HPLCにかけた。生成物を含むHPLC画分(Rt=約18分)を凍結乾燥させた。収量4.7mg(29%)。MALDI−TOF MS 910.14(M+Na+)測定値(885計算値)。
【0032】
次に、NSP−DMAE−HEG−α−フォレートの合成を下記のとおり実施した。次に、DMF(1mL)中のN10−トリフルオロアセチルプテロイン酸(5mg、12.25マイクロモル)をイソブチルクロロホルマート(4.7μL、3当量)とジイソプロピルエチルアミン(8μL、4当量)で処理した。反応物を室温で1時間攪拌し、次いで減圧下で濃縮した。残留物をDMF(0.5mL)に溶解し、再び蒸発乾固した。このように得られた化合物をDMF(0.5mL)に溶解し、この溶液の一部(0.2mL)をNSP−DMAE−HEG−α−グルタマート(2mg、0.0023ミリモル)と混合した。反応物を室温で16時間攪拌し、次いで上記のとおり調製用HPLCで直接精製した(Rt=約26分)。生成物を含むHPLC画分を凍結乾燥させて、黄色の固形物を得た。MALDI−TOF MS 1277.47測定値(1275.28計算値)。
【0033】
次に、HPLC精製された化合物をDMF(0.1mL)に溶解し、水(0.2mL)中の0.1Mピペリジンで処理した。反応物を室温で3時間攪拌し、次いで上記のとおりHPLCで直接精製した(Rt=約22分)。生成物を含むHPLC画分を凍結乾燥させてコンジュゲートを得た。MALDI−TOF MS1181.42測定値(1179.27計算値)。
【0034】
実施例5
数種の競合アッセイパラメータをコンジュゲート(トレーサー)結合機能の比較評価に関して試験した。具体的には、これらの基準にはアッセイの精度、アッセイの確度、アッセイの感度、分別非特異的結合、結合親和性、および標準曲線の形が含まれる。
【0035】
次に、特定の分析物濃度から得られたRLU(相対発光量、後で定義する)の相加平均は、本明細書ではμと表され、3回の実験から計算された。トレーサーを含まないアッセイ試薬も、小さな、ただし時には大きな数のRLUに寄与する。トレーサーを除くすべてのアッセイ試薬を含む対照反応も平行して行って、トレーサーを含まない試薬のバックグラウンド(本明細書中、nと表す)を確認した。平均RLU、μをトレーサーのみから得られたRLU(本明細書中Bと表す:B=μ−n)を表すように補正した。分析物濃度が0.00である場合、補正された相加平均RLU値をB0で表した。標準RLUの分析物濃度と検出されたRLUの間に、非線形の相反関係(non−linear,inverse relationship)が存在する。結果として、その対照をなす相関も分析物濃度と結果として生じる%B/B0を関連づけ、
【数1】
Figure 0004467869
として経験的に表すことができる。
式中、xは分析物濃度であり、yは%B/B0またはRLUのいずれかとして生成された測定されたシグナルである{[Rodbard,David、「Ligand Analysis」(1981)、Langon,J.、Clapp,J.(Eds.)、Masson Publishing,Inc.、NewYork、pp.45〜101]、[Nix,Barry、「The Immunoassay Handbook」(1994)、Wild,David(Ed.)、Stockton Press,Inc.、New York、pp.117〜123]、[Peterman,Jeffrey H.、「Immunochemistry of Solid−Phase Immunoassay」、(1991)、Butler,J.(Ed.)、CRC Press,Inc.、Boca Raton、pp.47〜65]}。
【0036】
4個のパラメータ、すなわち回帰定数b、回帰係数m、無限用量でプロジェクトされた漸近的非特異的結合(NSB)(分析物濃度)y∞、および分析物不在下での漸近的ゼロ用量応答y0をDOSECALC.EXE Rev.1.73プログラム(Bayer Diagnostics Corp.、Walpole、MA)の反復の、重みをつけない、4パラメータロジスティック(4PL)分析機能を用いて直接計算した。
【0037】
アッセイの精度 精度は、変動係数率、%C.V.としての標準偏差、σ(n-1)から求めた。%C.V.は、100×σ(n-1)/μである。10%未満の値が望ましい(Feldkamp,Carolyn S.、Smith,StuartW.、「Immunoassay:A Practical Guide」(1987)、Chan,Daniel W.、Perlstein,MarieT.(Eds.)、Academic Press,Inc.、San Diego、California、pp.49〜95)。
【0038】
アッセイの確度 4PLモデルに関する誤差率(%S)として表された確度を%S=100×(B−y)/yとして計算した。+5〜−5%の間の値が許容できる(Feldkamp,Carolyn S.、Smith,Stuart W.、「Immunoassay:A Practical Guide」(1987)、Chan,Daniel W.、Perlstein,Marie T.(Eds.)、Academic Press,Inc.、San Diego、California、pp.49〜95)。
【0039】
アッセイの感度 プロジェクトされた検出可能な分析物の最低濃度を、本明細書中では感度と呼び、ゼロ用量応答からの2個の標準偏差で予想される分析物濃度として求めた。
【0040】
分別非特異的結合 競合アッセイの分別非特異的結合(fNSB)を、無限用量y∞でのyのプロジェクトされた漸近的下限と合計化学発光シグナルインプットTとの商として計算した。分別NSBは、コンジュゲートと固相上の結合タンパク質または抗体の間に特に好ましい結合会合を含まない、固相に対するコンジュゲートの結合相互作用の尺度である。高いfNSBは望ましくなく、いくつかの異なる因子の1つまたは複数から生じる可能性がある。その因子とは、コンジュゲートの過度の疎水性により増強された疎水性相互作用、コンジュゲートの電荷密度または極性により促進されたイオン性または極性相互作用、および/または特異的であるが、望ましくない生物結合相互作用である。NSBがかなり上昇してもアッセイ精度が影響を受けない場合は、用量応答曲線の外見上の傾きは、B0が検出器の線形限界を超えるとより急激に減少する。
【0041】
コンジュゲート結合親和性 コンジュゲート結合機能を比較評価するために競合アッセイ%B0/Tを行った。得られた商を比較すると、各コンジュゲートが分析物結合タンパク質または抗体に有する相対的結合親和性が示される。
【0042】
フォレートアッセイ − フォレート結合アッセイでのアクリジニウムエステル−フォレートおよびアクリジニウムエステル−プテロアートコンジュゲート結合機能の評価 このアッセイでは、アクリジニウムエステル−フォレートコンジュゲート(上記では、トレーサーと呼んだ)とフォレート含有標準(BayerDiagnostics Corp.、Walpole、MA)からのフォレートは、常磁性粒子固相に共有結合的に結合した、ウシフォレート結合タンパク質の制限量をめぐって競合する。フォレート標準は、0.00、2.66、6.52、12.8、24.7、52.7nMの濃度のフォレートを含有した。フォレート標準150μl、DTT試薬50μl、および放出剤75μlを含む反応混合物を2.5分間37℃でインキュベートした。各反応物に固相200μlを加え、2.5分間37℃でインキュベートした。最後にトレーサー100μl(280fモル)を加え、2.5分間37℃でインキュベートした。永久磁石のアレイ上に固相を集め、脱イオン水で洗浄して結合していないトレーサーを除去した。化学発光反応が上述のように開始した。化学発光データはACS:180によって検出した光子として集め、相対発光量(RLU)で表した。
【0043】
フォレートアッセイの精度 アッセイの間、フォレートコンジュゲートのすべてについて精度は十分であり、%C.V.は、用量応答曲線の全体にわたり10%未満であった。コンジュゲート間の総体的な精度に有意な差異はなかった。
【表1】
Figure 0004467869
【0044】
フォレートアッセイの確度 予想された4PL値との誤差率(%S)として示される確度は、4種のフォレートコンジュゲートすべてで許容可能であり、用量応答曲線の全体にわたり±5%以内である。これらのコンジュゲート間の全体的確度に差異はなかった。
【表2】
Figure 0004467869
【0045】
フォレートアッセイの感度 フォレートアッセイの最高感度は、NSP−DMAE−HEG−γ−フォレートコンジュゲートで得られた。プロジェクトされた検出可能な分析物の最低濃度は、0.00nMフォレート用量応答、B0−2σ(n-1)からの2個の標準偏差での両方のフォレート濃度から決定された。NSP−DMAE−HEG−γ−フォレートコンジュゲートは、検出可能なフォレートの最低濃度を示し、次は、NSP−DMAE−HEG−α−フォレートコンジュゲートであり、その次はNSP−DMAE−HEG−プテロアートコンジュゲートであった。NSP−DMAE−HD−プテロアートトレーサーは、比較的低いB0、削減された動的範囲、および高い分別NSB(fNSB)の結果として、最低感度のコンジュゲートであった。トレーサー構造の差異は、感度に対する影響度にしたがって、下記のようにランク付けすることができる。トレーサー構造中のプテロアートをフォレートで置き換えると、NSP−DMAE−HEG−α−フォレートトレーサーの結果とNSP−DMAE−HEG−プテロアートトレーサーの結果を比較した場合、アッセイの感度は少なくとも2.7倍上昇した。これは、フォレートアッセイの感度に関するトレーサーと分析物の構造的類似性が相対的に重要であることを反映している。NSP−DMAE−HEG−アミンをグルタマートγ−カルボキシラートを介してフォレートに結合させることは、α−カルボキシラートを介するコンジュゲーションには好ましい。なぜなら、γ−カルボキシラート結合は、α−カルボキシラート異性体と比較してアッセイの感度を2.2倍に上げるからである。同様に、プテロアートトレーサーの疎水性HD−スペーサーアームを親水性HEG−スペーサーアームに置き換えることにより、フォレートアッセイの感度が1.4倍上昇した。
【表3】
Figure 0004467869
【0046】
NSP−DMAE−フォレートまたはプテロアートコンジュゲート分別非特異的結合 分別NSB(以下、「fNSB」と呼ぶ)は、親水性HEG−スペーサーをコンジュゲート構造に導入することにより有意に減少した。NSP−DMAE−HD−プテロアートコンジュゲートのfNSBは、他のプテロアートまたはフォレートベースのコンジュゲートのfNSBよりも少なくとも2.2倍高かった。疎水性HDスペーサーは、NSP−DMAE−HD−プテロアートコンジュゲートと固相の非特異的疎水性相互作用を増強させた。親水性HEG−スペーサーのコンジュゲート構造への導入はfNSBを減少させ、それはNSPDMAE−HEG−プテロアート、NSPDMAE−HEG−α−フォレート、およびNSPDMAE−HEG−γ−フォレートで明らかである。後者2種のフォレートベースのコンジュゲートのfNSBのわずかな上昇は、グルタマート部分で導入された疎水性のわずかな上昇を反映している可能性がある。
【0047】
プテロアートおよびフォレートベースのコンジュゲートのコンジュゲート結合親和性 親水性HEG−スペーサーとフォレート部分全体の正しい配向は、%B0/Tを高めるために重要な構造的性質である。NSPDMAE−HEG−γ−フォレートコンジュゲートの%B0/Tは、NSPDMAE−HD−プテロアートコンジュゲートの%B0/Tよりも3.5倍高く、親水性HEG−スペーサーの導入とγ−グルタマートカルボキシルを介する結合のいずれもがより高い結合値に必要なことを示している。NSPDMAE−HD−プテロアートとNSPDMAE−HEG−プテロアートの結合値の比較は、HEG−スペーサーがHD−スペーサーに関して全体で3.5倍の増加の2.2倍を与えたことを示している。結合のさらなる1.6倍の増加は、フォレートに結合したγ−グルタマートカルボキシル導入の結果である。α−グルタマートカルボキシル結合がγ−グルタマートカルボキシル結合と置き換わったとき、1.2倍のさらにわずかな増加が見られた。
【0048】
フォレート用量応答曲線の形 %B/B0対フォレート濃度の用量応答曲線は、HEG−スペーサーの親水性の増大が、用量応答曲線の最初の傾きを増加させることによってアッセイの感度を高めるために重要であることを示している。高用量応答も同じ理由により向上している。なぜなら、NSPDMAE−HD−プテロアートコンジュゲートの高い%B/B0は、他の比較したコンジュゲートより少なくとも10パーセントポイント高いからである。
【0049】
実施例6
NSP−DMAE−トブラマイシンコンジュゲートの合成を下記のとおり実施した。トブラマイシン(1.45mg、3.3マイクロモル)を1:1、DMF/0.1MカルボナートpH9(1mL)に溶解し、5分間隔で周期的に加えられるNSP−DMAE−NHSエステル(2mg、3.3マイクロモル)のDMF(0.2mL)溶液で処理した。反応物を室温で2時間、次いで4℃でさらに24〜36時間攪拌した。生成物をC18カラム(7.8mm×30cm)を使用し、MeCN/0.1M TEAA pH5の10%から60%の勾配(40分)を用いる調製用HPLCにより、流量2.3mL/分および260nmのUV検出で精製した。コンジュゲートを17〜18分で溶離した。コンジュゲートを含むHPLC画分を凍結乾燥させて、白色の無定形の固形物を得た。ES MS 943.7測定値(943計算値)。
【0050】
実施例7
NSP−DMAE−HEGグルタラートNHSエステルの合成を下記のとおり実施した。DMF(1〜2mL)中のNSP−DMAE−HEG(20mg、23マイクロモル)をグルタル酸無水物(4.2mg、1.5当量)とジイソプロピルエチルアミン(12μL、3当量)で処理した。反応物を室温で攪拌した。約6時間後、追加のグルタル酸無水物(3.2mg)を加え、反応を一晩継続した。生成物をC18カラム(20×250mm)を使用し、それぞれ0.05%TFAを含むMeCN/水の10%から60%の勾配(40分)を用いる調製用HPLCにより、流量16mL/分および260nmのUV検出で精製した。生成物を含むHPLC画分(Rt=約20〜21分)を凍結乾燥して、黄色の固形物を得た。収量7.3mg(32%)。MALDI−TOF MS 873.5測定値(870計算値)。
【0051】
DMF(1mL)中のこの化合物(7.3mg、8.4マイクロモル)をN−ヒドロキシスクシンイミド(4.8mg、5当量)とジシクロヘキシルカルボジイミド(8.7mg、5当量)で処理した。反応物を室温、窒素下で攪拌した。約16時間後、反応物をガラスウールで濾過し、生成物を上述のとおりHPLCで単離した(Rt=約23〜24分)。生成物を含むHPLC画分を凍結乾燥させて、黄色の固形物を得た。収量2.3mg(28%)。MALDI−TOF MS 970.82測定値(967.1計算値)。
【0052】
次に、NSP−DMAE−HEG−グルタラート−トブラマイシンコンジュゲートの合成を下記のとおり実施した。0.1MカルボナートpH8.5(0.3mL)中のトブラマイシン(1mg、2.14マイクロモル)を毎分25μLのアリコートで添加されたDMF(0.15mL)中のNSP−DMAE−HEG−グルタラート−NHSエステル(0.5mg、0.52マイクロモル)で処理した。反応物を室温で16時間攪拌し、次いで、NSP−DMAE−トブラマイシンコンジュゲートで前述したとおりにHPLC(Rt=約18分)で直接精製した。収量約0.1mg。MALDI−TOF MS 1323.38測定値(1320.49計算値)。
【0053】
実施例8
トブラマイシンアッセイ−トブラマイシン結合アッセイにおけるアクリジニウムエステル−トブラマイシンコンジュゲート結合機能の評価 このアッセイでは、アクリジニウムエステル−トブラマイシンコンジュゲート(上記では、トレーサーと呼んだ)とトブラマイシン含有標準(Bayer Diagnostics、Walpole、MA)からのトブラマイシンは、ネズミIgG、常磁性固相に共有結合的に結合したモノクローナル抗体の制限量をめぐって競合する。トブラマイシン標準は、0.00、1.07、2.14、4.28、8.56、17.1、25.7および34.2μMの濃度のトブラマイシンを含有した。トブラマイシン標準50μl、固相400μl、およびトレーサー100μlを混合して反応を開始した。反応混合物を7.5分間37℃でインキュベートした。永久磁石のアレイ上に固相を集め、脱イオン水で洗浄して結合していないトレーサーを除去した。化学発光反応が上述のように開始した。データをACS:180によって検出した光子として集め、RLUで表した。非線形の相反関係が、標準に存在するトブラマイシン濃度とACS:180で検出されたRLUとの間に存在する。得られたデータをフォレートアッセイデータ処理で上述したとおり処理した。
【0054】
トブラマイシンアッセイの精度 アッセイの間、両方のトブラマイシントレーサーについて精度は優れており、%C.V.は、標準曲線の全体にわたり十分に10%未満であった。2つのコンジュゲート間の総体的な精度に差異はなかった。
【表4】
Figure 0004467869
【0055】
トブラマイシンアッセイの確度 予想された4PL値との誤差率として示される確度は、両方のトブラマイシントレーサーで許容可能であり、ほとんどの部分が標準曲線の全体にわたり±5%以内である。これらのコンジュゲートの総体的な確度に差異はなかった。
【表5】
Figure 0004467869
【0056】
トブラマイシンアッセイの感度 トブラマイシンアッセイの最高感度は、NSP−DMAE−HEG−glut−トブラマイシンコンジュゲートを用いて得られた。NSP−DMAE−HEG−glut−トブラマイシンコンジュゲートを用いるアッセイ結果からの予想感度は、NSP−DMAE−トブラマイシンコンジュゲートを用いたものより1.7倍低かった。したがって、本発明者等は、向上したトブラマイシンアッセイの感度を得るためには、親水性HEG−glut−スペーサーがトブラマイシンコンジュゲート構造に組み込まれなければならないと推断した。感度の向上は、HEG−glut−スペーサーがコンジュゲートに組み込まれたときの勾配がより急になった結果である。
【表6】
Figure 0004467869
【0057】
NSP−DMAE−トブラマイシンコンジュゲートの分別非特異的結合 分別NSBは、親水性HEG−glut−スペーサーをコンジュゲート構造に導入することにより有意に減少した。NSP−DMAE−HEG−glut−トブラマイシンコンジュゲートの分別NSBは、NSP−DMAE−トブラマイシンコンジュゲートの分別NSBよりも2.7倍低かった。
【0058】
トブラマイシンベースのコンジュゲートのコンジュゲート結合親和性 親水性HEG−glut−スペーサーの導入により、トブラマイシンコンジュゲートの%B0/Tは、8.9パーセントポイント低下した。
【0059】
トブラマイシン用量応答曲線の形 %B/B0対トブラマイシン濃度の用量応答曲線は、HEG−glut−スペーサーの親水性の増大が、用量応答曲線の最初の傾きを増加させ、それによってアッセイの感度を高めることを示している。
【0060】
実施例9
NSP−DMAE−HD−テオフィリンコンジュゲートの合成を下記のとおり実施した。DMF(3mL)中の8−カルボキシプロピルテオフィリン(10mg、0.038ミリモル)をN−ヒドロキシスクシンイミド(21.6mg、0.188ミリモル)とジシクロヘキシルカルボジイミド(38.8mg、0.188ミリモル)で処理した。得られた溶液を室温で16時間攪拌した。C18カラム(4.6mm×300mm)を使用し、それぞれ0.05%TFAを含むMeCN/水の10%から60%の勾配(40分)を用いるHPLC分析により、流量1mL/分、260nmのUV検出で、約50%の変換が示された。Rt(出発材料)=10分。Rt(生成物)=14分。この材料は、次のカップリング反応に精製することなく使用された。次に、メタノール(0.2mL)中のNSP−DMAE−HD(3.3mg、0.00564ミリモル)をジイソプロピルエチルアミン(2.95μL、0.0169ミリモル)と8−カルボキシプロピルテオフィリンNHSエステル(1.5mg、1当量)の上記DMF溶液0.9mLで処理した。反応物を室温で16時間攪拌し、次いで、C18カラム(20×300mm)を使用し、それぞれ0.05%TFAを含むMeCN/水の10%から60%の勾配(40分)を用いるHPLCにより流量16mL/分および260nmのUV検出で精製した。Rt(コンジュゲート)=約23分。生成物を含むHPLC画分を凍結乾燥させて、黄色の固形物を得た。収量4.3mg(91%)、MALDI−TOF MS 840.39測定値(839.97計算値)。
【0061】
実施例10
NSP−DMAE−SPDS−テオフィリンコンジュゲートの合成を下記のとおり実施した。NSP−DMAE−HEG(6.5mg、0.0086ミリモル)を、メタノール(0.2mL)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(3.93μL、3当量)、次いでDMF(1.2mL)中のカルボキシテオフィリン(2mg、1当量)のNHSエステルにより処理した。得られた反応物を室温で16時間攪拌した。次いで、反応物をガラスウールで濾過し、上述のようにHPLCで直接精製した(Rt=22分)。生成物を含むHPLC画分を凍結乾燥させて、黄色の固形物を得た。収量=3.6mg(42%)、MALDI−TOFMS 1004.36測定値(1002.11計算値)。
【0062】
実施例11
ビス(フタルイミド)スペルミンの合成を下記のとおり実施した。クロロホルム(5mL)中のスペルミン(275mg、0.00138モル)をN−カルブエトキシフタルイミド(0.608g、0.00278モル)で処理した。反応物を室温で40分間攪拌し、そのときまでにTLC分析(5%水酸化アンモニウム、95%メタノール)は、完全な変換を示した(Rf=0.42)。次いで、反応混合物を蒸発乾固させ、その粗製材料をそのまま次の反応に用いた。MALDI−TOF MS 463.8測定値(462.55計算値)。
【0063】
次に、ビス(フタルイミド)スペルミンジスルホナートの合成を実施した。ビス(フタルイミド)スペルミン(0.4g)を1,3−プロパンスルトン(4g)と密封管中で混合し、混合物を油浴中、140℃で16時間加熱した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、残留物を水と酢酸エチルの間に分配した。曇った水性層を分離させ、酢酸エチルで2回抽出した。酢酸エチル抽出物を廃棄した。水性層を減圧下で濃縮し、粘着性の固形物を得た。収量0.53g(87%)。MALDI−TOF MS 708.61測定値(706.84計算値)。
【0064】
次に、スペルミンジスルホナート(SPDS)の合成を下記のとおり実施した。ビス(フタルイミド)スペルミンジスルホナート(0.53g)をメタノール(15〜20mL)に溶解し、ヒドラジン(0.5mL)で処理した。得られた溶液を室温で24時間攪拌し、次いで減圧下で濃縮した。残留物を20%水酸化アンモニウムと80%メタノール約5mLに溶解し、蒸発乾固した。このプロセスを1回繰り返した。最後に、残留物をメタノール(1mL)、水(1.5mL)、およびトリエチルアミン(1.5mL)の混合物に溶解し、溶液を再び蒸発乾固した。この後に得られた粗生成物を、溶離剤として10%水酸化アンモニウム90%メタノールを用いるシリカゲルの調製用TLCにより精製した。化合物をメタノール中の25〜30%水酸化アンモニウムを用いてTLCプレートから抽出し、蒸発乾固した。残留物をメタノール(5)、水(5)、およびトリエチルアミン(1)の溶液からもう1回蒸発乾固した。このプロセスを2回繰り返した。最後に、白色の固形物が得られた。収量0.2g(57%)。MALDI−TOF MS 470.36(M+Na+)測定値(446.63)。
【0065】
次に、NSP−DMAE−SPDSの合成を下記のとおり実施した。スペルミンジスルホナート(25mg、0.056ミリモル)を2.0mLの水/0.2M炭酸水素ナトリウムpH8.5(1:4)に溶解し、NSP−DMAE−NHS(4.7mg、1/7当量)、次いでDMF0.5mLで処理した。反応物を室温で16時間攪拌した。C18カラム(3.9×300mm)を使用し、それぞれ0.05%TFAを含むMeCN/水の10%から60%の勾配(40分)を用いるHPLC分析により、流量1mL/分および260nmのUV検出でRt=14.5分での生成物が示された。これを25×300mmのカラムを使用し、同じ勾配を用いる調製用HPLCにより単離した。生成物を含むHPLC画分を凍結乾燥させて、黄色の固形物を得た。収量2.4mg(33%)。MALDI−TOF MS 926.9測定値(924.17計算値)。
【0066】
次に、NSP−DMAE−SPDS−テオフィリンコンジュゲートの合成を下記のとおり実施した。NSP−DMAE−SPDS(5.2mg、0.00564ミリモル)をDMF(0.16mL)および0.1MホスファートpH8(40μL)の混合物中に溶解し、8−カルボキシプロピルテオフィリンNHSエステル(1.5mg、1当量)のDMF(0.9mL)溶液で処理した。反応物を室温で16時間攪拌した。コンジュゲートを上記のC18カラムの調製用HPLCにより単離した。Rt(コンジュゲート)=15分。生成物を含むHPLC画分を凍結乾燥させた。収量5.6mg(85%)、MALDI−TOF MS 1171.89測定値(1172.41計算値)。
【0067】
実施例12
スペルミンジカルボキシラートの合成を下記のとおり実施した。クロロホルム(10mL)中のスペルミン(296mg、0.00146モル)をN−カルブエトキシフタルイミド(658mg、2.05当量)で処理した。反応物を室温、窒素下で攪拌した。1.5時間後、ピリジン(353μL、3当量)およびジイソプロピルエチルアミン(774μL、3当量)と共に無水コハク酸(0.440g、2当量)を加えた。反応物を室温で16時間攪拌した。TLC分析(90%クロロホルム、9%メタノール、1%酢酸)により主要な生成物へのきれいな変換が示された(Rf=0.43)。次いで、反応混合物をヒドラジン(0.45mL、約10当量)およびメタノール(10mL)で処理した。反応物を室温で攪拌した。1〜2時間後、結晶性の沈殿物が反応混合物中に現れた。3〜4時間の全反応時間後、反応物を減圧下で濃縮した。残留物をアセトンに懸濁し、濾過した。沈殿物をアセトンですすぎ、トリエチルアミン(1.5mL)を含む水(50mL)に溶解した。これを減圧下で濃縮し、白色の粉末を得た。MALDI−TOF MS 403.7測定値(402.49計算値)。
【0068】
次に、NSP−DMAE−SPDCの合成を下記のとおり実施した。スペルミンジカルボキシラート(45mg、0.112ミリモル)を0.1MカルボナートpH9(5N NaOHで調整)2mLに溶解し、NSP−DMAE−NHSエステル(10.5mg、0.0178ミリモル)のDMF(2mL)溶液で処理した。反応物を室温で16時間攪拌した。生成物をC18カラム(20×300mm)を使用し、それぞれ0.05%TFAを含むMeCN/水の0%から40%の勾配(40分)を用いる調製用HPLCにより、流量16mL/分、260nmでのUV検出、Rt(生成物)=18分で単離した。生成物を含むHPLC画分を凍結乾燥させて、黄色の固形物を得た。収量6.7mg(43%)、MALDI−TOF MS 877.53測定値(878.01計算値)。
【0069】
次に、NSP−DMAE−SPDC−テオフィリンコンジュゲートの合成を下記のとおり実施した。NSP−DMAE−SPDC(1mg、0.00114ミルモル)をDMF0.1mLに溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(2μL、2当量)と共に8−カルボキシプロピルテオフィリン(1mg、0.00262ミリモル)を加えた。反応物を室温で16時間攪拌し、次いで、C18カラム(20×300mm)を使用し、それぞれ0.05%TFAを含むMeCN/水の10%から60%の勾配(40分)を用いるHPLCにより、流量16mL/分、260nmでのUV検出、Rt(コンジュゲート)=18分で直接精製した。生成物を含むHPLC画分を凍結乾燥させた。収量1.9mg(定量的)、MALDI−TOF MS 1127.24測定値(1126.25計算値)。
【0070】
実施例13
このアッセイでは、アクリジニウムエステル−テオフィリンコンジュゲート(上記では、トレーサーと呼ばれた)とテオフィリン含有標準(Bayer Diagnostics、Walpole、MA)からのテオフィリンは、常磁性粒子固相に共有結合的に結合した、制限量のネズミIgG、モノクローナル抗テオフィリン抗体をめぐって競合する。テオフィリン標準20μLを含む反応混合物、固相450μL、およびトレーサー100μL(59fモル)を37℃で7.5分間インキュベートした。テオフィリン標準は、0.00、6.94、13.9、27.7、55.5、111、および222μMの濃度のテオフィリンを含有していた。永久磁石のアレイ上に固相を集め、脱イオン水で2回洗浄して結合していないトレーサーを除去した。化学発光反応が上述のように開始した。データをACS:180によって検出した光子として集め、RLUで表した。非線形の相反関係が、標準に存在するテオフィリン濃度とACS:180で検出されたRLUとの間に存在する。得られたデータをフォレートアッセイデータ処理で上述したとおり処理した。
【0071】
テオフィリンアッセイの精度 アッセイの間、テオフィリントレーサーのすべてについて精度は十分であり、%C.V.は、標準曲線の全体にわたり10%未満であった。
【表7】
Figure 0004467869
【0072】
テオフィリンアッセイの確度 予想された4PL値との誤差率として示される確度は、テオフィリンコンジュゲートすべてで十分であり、標準曲線全体にわたり十分に±5%以内である。これらのコンジュゲート間の総体的な確度に差異はなかった。
【表8】
Figure 0004467869
【0073】
テオフィリンアッセイの感度 テオフィリンアッセイの最高感度は、NSP−DMAE−SPDC−テオフィリンコンジュゲートで得られた。NSP−DMAE−HEG−テオフィリンおよびNSP−DMAE−SPDS−テオフィリンは、検出可能な最小用量を与え、それはNSP−DMAE−HD−テオフィリンの用量よりも大きい。NSP−DMAE−HEG−テオフィリンとNSP−DMAE−SPDS−テオフィリンの場合に感度が低下しているのは、ゼロ用量で不精度がわずかに高い結果である可能性がある。
【表9】
Figure 0004467869
【0074】
NSP−DMAE−テオフィリンコンジュゲート分別非特異的結合 分別NSBは、親水性スペーサーをコンジュゲート構造に導入することにより有意に減少した。NSP−DMAE−SPDS−テオフィリンのfNSBは、総体的に最も低く、NSP−DMAE−HD−テオフィリンコンジュゲートのfNSBよりも3.7倍低かった。NSP−DMAE−SPDC−テオフィリンコンジュゲートとNSP−DMAE−HEG−テオフィリンコンジュゲートは、それぞれ3.1倍と2.0倍低いfNSBを有していた。より高い極性または荷電スペーサーはそれぞれのコンジュゲート上により低いfNSBを与える。
【0075】
テオフィリンベースのコンジュゲートのコンジュゲート結合親和性 様々なコンジュゲートの%B0/Tsに認め得るほどの差異は見られなかった。
【0076】
テオフィリン用量応答曲線の形 %B/B0対テオフィリン濃度の用量応答曲線は、スペーサーの親水性の増大が、用量応答曲線の最初の傾きを増加させ、それにより精度の当量を推定するアッセイの感度を高めることを示している。NSP−DMAE−SPDC−テオフィリンコンジュゲートは、最初の傾きで最も急な下り勾配を示し、第1 NSP−DMAE−SPDS−テオフィリン;第2 NSP−DMAE−HEG−テオフィリン;第3 NSP−DMAE−HD−テオフィリンがこの順番でそれに続く。
【図面の簡単な説明】
【図1】NSP−DMAE−HD−プテロアートの合成を示す図である。
【図2】NSP−DMAE−HEG−プテロアートの合成を示す図である。
【図3】DMAE−プテロアートコンジュゲートの用量応答曲線を示す図である。
【図4】ヘキサエチレングリコールスペーサーを有するNSP−DMAE−フォレートコンジュゲートの合成を示す図である。
【図5】アルファリンクフォレートトレーサーの合成を示す図である。
【図6】トブラマイシン−NSP−DMAEトレーサーの合成を示す図である。
【図7】トブラマイシンコンジュゲートの用量応答曲線を示す図である。
【図8】NSP−DMAE−テオフィリントレーサーの合成を示す図である。
【図9】NSP−DMAE誘導体をカルボキシテオフィリンとカップリングさせてトレーサーを形成することを示す図である。
【図10】テオフィリンコンジュゲートの用量応答曲線を示す図である。

Claims (2)

  1. 分析物と
    Figure 0004467869
    の構造を有するアクリジニウム化合物から形成される改良された親水性をもつコンジュゲート。
  2. 分析物が、治療薬、ステロイドおよびビタミンから成る群から選ばれたものである、請求項1に記載のコンジュゲート。
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