JP4459770B2 - エンボス同調フィルムとその製造方法、及びそれを積層した積層物 - Google Patents

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本発明は、金属光沢感と共に、エンボスによる凹凸模様に同調した色模様を有するエンボス同調フィルムと、その製造方法、及び該エンボス同調フィルムを積層した積層物に関する。
従来、メタリック調等とも呼ばれる金属光沢感を付与する為の金属光沢フィルムの一仕様として、金属粉末等の光輝性顔料を樹脂バインダー中に含有させた光輝性インキ乃至は塗料によって、樹脂フィルムに光輝性樹脂層を設けた金属光沢フィルムが知られている。その際、更に、着色インキで柄印刷等も行って色模様も付与すれば、より意匠性の高い金属光沢フィルムとなる。或いは、表面にエンボス加工等で凹凸模様を付与すれば、ヘアライン意匠等の各種凹凸意匠が得られ、より意匠性の高い金属光沢フィルムが得られる。例えば、基材フィルムとする透明熱可塑性樹脂フィルムの表面側にヘアライン状の凹凸模様を設け、裏面に金属蒸着層を設け、さらにこの裏面に熱可塑性樹脂フィルムを積層した構成の、金属光沢感とヘアライン状の凹凸模様を有する化粧フィルム等である(特許文献1)。
特開平8−216334号公報
ところで、化粧フィルムの基材フィルムには通常、熱可塑性樹脂フィルムが用いられる。基材フィルムに熱可塑性樹脂フィルムを用いることで、エンボス加工適性が得られる他、化粧フィルムを成形用途、例えば、真空成形法、射出成形同時積層法、真空成形積層法等に適用する際に、被着体表面が曲面の場合でも、その曲面形状に化粧フィルムを伸ばして追従変形(成形)させる成形適性が得られる。
しかし、エンボス加工で熱可塑性樹脂フィルム表面に設けた凹凸模様は、化粧フィルムを成形用途に適用すると、熱、或いは熱及び応力が化粧フィルムに加わるので、凹凸模様の凹凸形状が元の平坦な表面形状に戻る傾向がある。例えば、真空成形では、化粧フィルムが加熱され、それだけでも凹凸模様の凹凸が浅くなることがあるが、更に加熱後成形されて伸ばされるので、凹凸模様の凹凸形状が浅くなり更には消滅することがある。従って、真空成形の前と後では、凹凸意匠が異なるという問題があった。
また、化粧フィルムが伸ばされない様な成形用途、例えば、射出成形同時積層法の一形態として、いわゆるインサート成形にて、化粧フィルムを射出成形型内の平面或いは2次曲面に配置して、化粧フィルムを伸ばす事なく、射出成形と同時に樹脂成形品表面に化粧フィルムを積層一体化させる場合では、化粧フィルムは熱と共に化粧フィルム厚み方向に射出樹脂圧による応力が該フィルムを押し潰す様に加わる。その結果、やはり、化粧フィルム表面の凹凸模様の凹凸が浅くなったり更には消滅したりする。従って、この様な場合では、成形適性として、化粧フィルム厚み方向の応力に対しても凹凸意匠が維持される特性が必要となる。
以上の様な、エンボス加工で表面に形成した凹凸模様による凹凸意匠が、化粧フィルム成形前後で変化するのを改善し凹凸模様に(見かけ上の)成形適性を付与する策として、ワイピング加工や、凹凸模様と同調した印刷模様付与等が考えられる。
ワイピング加工では、凹凸模様の凹部に充填した暗色インキで凹凸模様と完全に同調した模様が得られ、凹凸意匠を強調できる。従って、成形時に凹凸が浅くなっても該模様による擬似的立体感で目立ち難くでき、凹凸意匠の成形前後での変化を改善できる。しかし、成形用途での基材フィルムとしては、成形適性、表面硬度、耐光性、透明性、表面光沢等の諸物性に優れる点で、アクリル樹脂フィルムが多用されており、このアクリル樹脂フィルム面へのワイピンク加工は、ワイピンクグインキに含まれる溶剤によりフィルムが膨潤・溶解して、化粧フィルムの表面艶低下、白化等の問題が発生し易く、実用上適用できなかった。
一方、凹凸模様と同調した印刷模様でも同様に成形前後での凹凸意匠変化を改善できる。しかし、該印刷模様を裏面に形成した基材フィルムの表面側に、エンボス加工で凹凸模様を形成する際に、基材フィルムを加熱軟化させるので若干は伸びてしまい、(エンボス版上の)凹凸模様と印刷模様が同一であっても、印刷模様と同調した凹凸模様は形成できない。特に、フィルムが連続帯状での加工、広幅サイズでの加工では、ズレが流れ方向で累積する等、同調させるのは極めて困難であり、やはり実用上適用できない。
以上の如く、実用上重要なアクリル樹脂フィルムで、凹凸模様の凹凸形状に同調させた模様が形成できれば良いのだが、実現できなかった。
すなわち、本発明の課題は、金属光沢感を有する化粧フィルムに、更に成形時の意匠変化の少ない凹凸意匠を付与することであり、金属光沢感、凹凸意匠、成形適性の全てを満足するエンボス化粧フィルムと、その製造方法、及びその積層物を提供することである。
上記課題を解決すべく、本発明によるエンボス化粧フィルムでは、エンボスによる凹凸模様に同調した色模様を有するエンボス同調フィルムとして、透明樹脂フィルムの裏側とする面に、光輝性顔料を樹脂バインダー中に含有する光輝性樹脂層、前記光輝性樹脂層に比べて暗い色を呈する暗色樹脂層、を順次積層した積層シートの前記透明樹脂フィルムの表側とする面側からエンボス加工を施すことで、エンボス加工による変形が少なくとも光輝性樹脂層の透明樹脂フィルム側界面にまで達し、エンボス加工で形成される凹凸模様の凹部では該凹部以外の凸部に比べて光輝性樹脂層の厚みを薄く変形させて、光輝性樹脂層の厚み方向の層全体としての隠蔽性を凹部では凸部に比べて低くすることで、前記透明樹脂フィルムの表面側から見た意匠が、光輝性樹脂層による凹部及び凸部に亙る光輝感と共に、凹部では光輝性樹脂層裏側の暗色樹脂層の色が凸部に比べて透けて見える様にして、凹部が凸部に比べて暗く且つ凹凸模様に同調した色模様を付与されてなる構成の、エンボス同調フィルムとしたまた、前記光輝性樹脂層の厚みが1μm以上5μm以下が好適である
この様な構成とすることで、基本性能として、透明樹脂フィルム、光輝性樹脂層、暗色樹脂層等の樹脂層を主体する構成で成形適性が得られ、また光輝性樹脂層で金属光沢感が得られ、表面の凹凸模様と該凹凸模様と同調した色模様で、凹凸意匠感が得られる。しかも、この凹凸意匠感は、凹凸模様に同調し且つ凹凸模様の凹部では暗い色模様の存在で、エンボス同調フィルムを成形用途に適用し凹凸模様の凹凸形状が浅くなっても、凹部では凸部に比べて暗い事による擬似的立体感で凹凸意匠が強調されているので、凹凸意匠の低下を感じ難くさせる。従って、成形適性と凹凸意匠の両立が図れ、これらの結果、金属光沢感と共に、表面の凹凸意匠、及び、成形適性の全てが得られる。
また、本発明による積層物は、上記のエンボス同調フィルムが基材表面に積層された構成の積層物である。なお、基材は例えば樹脂成形品、木質系の立体物や板等であり、積層物は、例えば成形品等である。
この様な構成の積層物とすることで、積層物に於いて、前述エンボス同調フィルムの効果が得られるので、その成形適性を利用して、エンボス同調フィルムが伸ばされて三次元曲面等に積層された積層物等として、金属光沢感と共に凹凸意匠感を有する、高意匠の積層物が得られる。
本発明によるエンボス同調フィルムの製造方法は、前記エンボス同調フィルムを実現するのに好適な製造方法であり、(A)透明樹脂フィルムの裏側とする面に、光輝性顔料を樹脂バインダー中に含有する光輝性樹脂層、前記光輝性樹脂層に比べて暗い色を呈する暗色樹脂層、を順次積層した後、(B)透明樹脂フィルムの表側とする面側からエンボス加工を施すことで、エンボス加工による変形が少なくとも光輝性樹脂層の透明樹脂フィルム側界面にまで達し、エンボス加工で形成される凹凸模様の凹部では該凹部以外の凸部に比べて光輝性樹脂層の厚みを薄く変形させて、光輝性樹脂層の厚み方向層全体としての隠蔽性を凹部では凸部に比べて低くすることで、(C)透明樹脂フィルムの表面側から見た意匠が、光輝性樹脂層による凹部及び凸部に亙る光輝感と共に、凹部では光輝性樹脂層裏側の暗色樹脂層の色が凸部に比べて透けて見える様にして、凹部が凸部に比べて暗く且つ凹凸模様に同調した色模様を付与する、製造方法とした。
この様な製造方法とすることで、凹凸模様に同調した色模様を凹凸模様に対する見当合わせをせずに容易に形成でき、しかも完全に凹凸模様に同調して形成できる。その結果、前記エンボス同調フィルムを容易に製造でき、該フィルムによる効果を容易に実現できる。
(1)本発明によるエンボス同調フィルムによれば、成形用途に適用しても表面の凹凸意匠の低下が少なく成形適性と凹凸意匠の両立が図れ、金属光沢感、凹凸意匠、及び、成形適性の全てが得られる。
(2)本発明による積層物によれば、上記エンボス同調フィルムの効果が積層物で得られる。
(3)本発明によるエンボス同調フィルムの製造方法によれば、前記効果が得られるエンボス同調フィルムを容易に製造でき実現できる。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、図1及び図2は、本発明によるエンボス同調フィルムの形態例を示す断面図、図3は、本発明による積層物の形態例を示す断面図、図4は成形用途での一成形法として射出成形同時積層法の一形態を説明する概念図である。
〔概要〕
先ず、図1は本発明による、エンボス同調フィルム10について代表的な2形態を例示する断面図である。図1(A)のエンボス同調フィルム10は、透明樹脂フィルム1の裏側面に、光輝性顔料を樹脂バインダー中に含有する光輝性樹脂層2、光輝性樹脂層に比べて暗い色(例えば黒、濃茶等)を呈する暗色樹脂層3がこの順に積層され、更に透明樹脂フィルム1の表側面にはエンボス加工で凹凸模様4が形成されており、更に、その凹凸模様4の凹部(の下側)では、光輝性樹脂層2の厚みDeが凹部以外の部分である凸部の厚みDaに比べて薄くなっている。しかも、この薄い光輝性樹脂層の部分では、下側の暗色樹脂層の色が凸部よりも透けて見えるので、透明樹脂フィルムの表面側から見た意匠、つまり、エンボス同調フィルム10を図面上方から見たその表側の意匠として、光輝性樹脂層による光輝感と共に、凹部が凸部に比べて暗く且つ凹凸模様に同調した色模様が感じられ、これによって前記凹凸模様が強調されたエンボス同調フィルムである。
なお、本発明で言う、表側面、表側、表面とは観察者側とする面であり図面では図面上方側の面であり、一方、裏側面、裏側、裏面とは、その反対側の面であり図面では図面下方側の面を言う。
次に、図1(B)のエンボス同調フィルム10は、図1(A)の構成に対して、更に、暗色樹脂層3の裏側に接着剤層5を形成した構成である。この様に、本発明によるエンボス同調フィルムは、基本的には図1(A)の構成であるが、図1(B)の裏面の接着剤層付きの構成の様に、従来公知の化粧シートに於ける追加的な層〔例えば、装飾層、バッカー層(図2参照)、プライマー層等〕を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜追加しても良い。
そして、この様なエンボス同調フィルム10を基材8に適宜接着剤層を用いて、公知の積層法、それも好適には、該フィルムに熱、或いは熱及び応力が加わる各種成形法にて積層すれば、図3の断面図に例示する様な、本発明による積層物20が得られる。
上記の様なエンボス同調フィルムを得るには、透明樹脂フィルム1の裏側面に、光輝性樹脂層2、暗色樹脂層3をこの順に印刷・塗工等で形成した積層シートを作製後、該積層シートの透明樹脂フィルム1の表側面からエンボス加工で凹凸模様4を形成する。この際、エンボス加工による変形が積層シートの層内の少なくとも光輝性樹脂層の透明樹脂フィルム側界面にまで達して、凹凸模様の凹部での光輝性樹脂層の厚みが薄くなる様にする。また、光輝性樹脂層は、この薄くなった部分では隠蔽性が低下して裏側の暗色樹脂層の色が凸部よりも透けて見える様な、厚みや隠蔽性で形成しておく。この結果、エンボス加工と同時に、凹部が凸部に比べて暗く且つ凹凸模様に同調した色模様を形成することができ、該色模様で凹凸模様が強調された所望のエンボス同調フィルムを作製できる。
〔透明樹脂フィルム〕
透明樹脂フィルム1としては、透明でエンボス加工適性を有し、また、成形用途では延伸成形性等の適用用途に必要な物性を満足するものであれば良く、用途に応じて公知の透明な樹脂フィルムを使用すれば良い。この様な透明樹脂フィルムとしては、代表的に熱可塑性樹脂からなる透明熱可塑性樹脂フィルムが挙げられる。該熱可塑性樹脂としては、例えば、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられる。また、透明樹脂フィルムの同種又は異種樹脂による多層構成でも良い。
なお、ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、オレフィン系熱化塑性エラストマー等が挙げられる。また、ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−エチレングリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール共重合体、ポリエチレンテレフタレート等からなる非晶質ポリエステル樹脂(A−PET)、ポリエステル系熱化塑性エラストマー等が挙げられる。また、アクリル樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等が挙げられる。ポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン9、ナイロン6,6等が挙げられ、フッ素系樹脂としては、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ3フッ化ビニリデン、エチレン−4フッ化エチレン共重合体等が挙げられる。
なお、上記熱可塑性樹脂のなかでも、アクリル樹脂は、透明性、耐光性、成形適性、表面硬度、耐熱性、耐薬品性、表面光沢等の諸物性に優れる点で、好適な樹脂である。
また、透明樹脂フィルムは、透明であれば着色しても良い。着色は公知の着色剤を適宜使用すれば良い。また、透明であれば、半透明でも良い。
また、透明樹脂フィルムの厚みは、基本的には特に制限は無く用途によるが、通常50〜500μm程度である。但し、厚みが厚くなる程、エンボス加工時に凹部での光輝性樹脂層の厚みを薄くし難くなる。この点では、エンボス加工時の該フィルム搬送適性、バッカー層有無と関連して基材フィルムとして機械的強度の必要性等を勘案して、薄くした方が良く、例えば200μm以下が好ましい。
〔光輝性樹脂層〕
光輝性樹脂層2としては、本発明では樹脂バインダー中に光輝性顔料を含有させた光輝性樹脂層を採用することで、エンボス加工で凹部に対応する部分を薄くできる様にした。金属光沢を与え得る点では金属箔や金属薄膜層もあるが、これらはエンボス加工で凹部に対応する部分を薄くできない上、延伸し難く成形適性にも乏しい。光輝性顔料としては公知のものを適宜採用すれば良い。
例えば、光輝性顔料としては、アルミニウム粉、銅粉、真鍮粉等の金属粉や金属箔片、二酸化チタン被覆雲母、酸塩化ビスマス等の箔片から成る真珠光沢や干渉光沢を有する顔料等を用いることができる。従って、光輝性樹脂層では、文字通り金属による光沢である金属光沢感の他に、いわゆる真珠(パール)光沢感も表現できる。つまり、本発明でいう「金属光沢感」には真珠光沢感も含む。なお、光輝性顔料の形状は、成形適性が良く、光輝感が強く少ない含有量で同じ光輝感が得られるので、層厚みを薄くした凹部で透明性を出し易い点で、鱗片状が好ましい。例えば、鱗片状アルミニウムである。
また、樹脂バインダーの樹脂としては、用途に応じたものを適宜採用すれば良く、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂を単体又は混合使用する。また、該バインダー樹脂としては、硬化性樹脂はエンボス時の圧力で厚みが薄くなる様な変形がし難い点で、熱可塑性樹脂が好ましい。
なお、光輝性樹脂層は着色しても良く、それには、公知の着色剤を適宜含有させれば良い。但し、着色は凹部で光輝性樹脂層を薄くした部分で、下側の暗色樹脂層の色が少なくとも透けて見える程度の透明性を確保できる程度とする。
光輝性樹脂層の形成は、樹脂バインダー中に光輝性顔料を分散した光輝性インキ乃至は光輝性塗料を、公知の印刷法、塗工法で、透明樹脂フィルムの裏側とする面に形成すればよい。例えば、印刷法では、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等、塗工法ではロールコート、ダイコート等である。
光輝性樹脂層のエンボス加工前の厚み、つまり凸部の厚みDa〔図1(A)参照〕は、凹部の薄くなった部分で、下の暗色樹脂層の色が透けて見える程度の厚みとする。従って、それはエンボス加工で形成する凹凸模様の凹部深さや、光輝性樹脂層の光輝性顔料含有量、透明樹脂フィルムと光輝性樹脂層のエンボス加工時の変形容易性等の諸条件が影響するので、これらを勘案して適宜厚み(薄さ)とすると良い。目安としては、光輝性樹脂層の厚みは10μm以下、好ましくは5μm以下とすると良い。但し、薄すぎると光輝感が乏しくなるので、下限は0.5μm、好ましくは1μmとすると良い。一方、光輝性樹脂層中の光輝性顔料の含有量は、樹脂分に対して例えば30質量%前後であるが、通常10〜300質量%の範囲で適宜調整すると良い。
凹凸模様の凹部で暗色樹脂層の色が凸部に比べて透けて見えるとは、凹部のみが透けて凸部は完全に透けて見えない形態でも良いが、凹部及び凸部共に透けて見えるが凹部の方が凸部に比較してより強く透けて見える形態でも良い。後者の形態でも凸部に対して凹部では暗色樹脂層の色による(凸部と凹部での該色の濃淡差の)色模様が凹凸模様に同調して観察されるからである。
また、光輝性樹脂層の厚み方向層全体としての隠蔽性とは、光輝性樹脂層の単位厚み当たりの隠蔽性ではない。該樹脂層の厚み分も考慮した隠蔽性である。単位厚み当たりの隠蔽性、言い換えれば、例えば1μm等と一定厚み当たりの隠蔽性が凹部と凸部で同一であっても、本発明では凸部よりも凹部の方が厚みが薄いから、光輝性樹脂層全体としての隠蔽性は凹部の方が凸部より小さくなり、その結果、凹部にて凹凸模様に同調した色模様が現れる。
また、光輝性樹脂層は、通常は全面のベタ層として形成するが、例えば、文字、図形、幾何学模様のパターン内部に於いてのみをベタとする部分的なベタ層でも良く、これらベタ層では凹凸模様に同調した色模様を端的に感じ易い。しかし、光輝性樹脂層は、それ自体で模様等を表現しても良く、該模様(例えば砂目模様)と色模様との組み合わせで複雑な意匠表現も可能となる。
〔暗色樹脂層〕
暗色樹脂層3は、光輝性樹脂層に比べて暗い色を呈する樹脂層であり、呈する色で最も顕著な暗色は黒色である。暗色とは、凹凸模様に同調した色模様が該凹凸模様の凹凸意匠を強調する色であれば良く、例えば、茶色、青色、紺色等の他、赤、紫等でも良い。なお、暗色とは明度が主体の概念であり、彩度や色相は別の色概念である。従って、濃い黄色等では通常は光輝性樹脂層との比較で暗色としては利用し難い。なお、勿論の事、光輝性樹脂層に比べて暗い程度が大きい程、凹凸意匠の強調効果が大きい。
暗色樹脂層は、所望の暗色を表現する為の公知の着色剤を1種又は2種以上を樹脂バインダー中に含有させた、公知のインキ乃至は塗料によって形成する。なお、着色剤としては、用途に応じたものを適宜採用すれば良く、例えば、カーボンブラック、コバルトブルー、クロムバーミリオン、黄鉛、チタン白等の無機顔料、アニリンブラック、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー等の有機顔料、或いは染料等を1種又は2種以上併用する。また、樹脂バインダーの樹脂としては、用途に応じたものを適宜採用すれば良く、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂、或いはウレタン樹脂、アクリル樹脂等の硬化性樹脂を単体又は混合使用する。
暗色樹脂層の形成は、樹脂バインダー中に着色剤を含有させた着色インキ乃至は着色塗料を、公知の印刷法や塗工法で、透明樹脂フィルムの裏側とする面に形成した光輝性樹脂層の裏側に形成すればよい。例えば、印刷法では、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等、塗工法ではロールコート、ダイコート等である。
なお、暗色樹脂層の厚みは、エンボス加工で凹部の部分での該暗色樹脂層の厚みが薄くなってもその部分の暗色により、上の光輝性樹脂層を通して凹部が凸部に比べて暗くなる程度に最低限維持されていれば良い。この様な厚みは、着色剤の含有量等にもよるが、通常0.5μm以上、好ましくは1μm以上あれば良い。上限は厚すぎても意味が無くコスト高となるので、大体5μm程度である。
また、暗色樹脂層は、通常は全面のベタ層とするが、例えば、文字、図形、幾何学模様のパターン内部に於いてのみをベタとする部分的なベタ層でも良く、後者のパターン状ベタ層では、凹凸模様が強調される部分がパターン状となり、より複雑な意匠表現も可能となる。また、同様により複雑な意匠表現を狙い、柄模様としても良い。
〔接着剤層〕
接着剤層5はエンボス同調フィルムの最裏面に設け、基材等の被着体へエンボス同調フィルムを接着積層する際に接着力を強化する為の層であり、必要に応じ適宜設ける。接着剤層5としては、公知の樹脂を適宜使用すれば良い。該樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、ゴム系樹脂等を用いる。接着剤層5の形成は、暗色樹脂層の裏側面に、公知の塗工法や印刷法で形成すれば良く、通常、凹凸模様のエンボス形成前である。
〔凹凸模様〕
凹凸模様4は、公知の熱圧利用のエンボス加工で、上記光輝性樹脂層及び暗色樹脂層形成後の透明樹脂フィルム(積層シート)の表側とする面に対して形成することができる。この際、エンボス加工で、光輝性樹脂層が凹部で薄くなる様な凹凸模様とするには、透明樹脂フィルムの厚みにもよるが、該凹凸模様の凹部深さは深い程好ましい。また、成形時の凹凸模様の凹凸形状が平坦化する傾向も考慮するのが良く、この点では、凹凸模様は凹部の深さは20μm以上が好ましい。更に、光輝性樹脂層の凹部を容易に薄く出来るという点では、凹凸模様の凹部の深さは40μm以上が好ましい。
以上の様にすることで、エンボス加工による変形が少なくとも光輝性樹脂層の透明樹脂フィルム側界面にまで達し、エンボス加工で形成される凹凸模様の凹部では該凹部以外の凸部に比べて光輝性樹脂層の厚みを容易に薄く変形させることができる。
凹凸模様の模様としては、特に制限は無い。例えば、ヘアライン模様やスピン加工模様等のスクラッチ(傷付け)加工模様の他、布目模様、砂目模様、木目導管模様、木目年輪模様、目地模様、皮絞、文字、図形、幾何学模様、万線状溝、文字、幾何学模様等である。
〔その他の層〕
本発明によるエンボス同調フィルムは、前述接着剤層5以外にも、従来公知の化粧シートに於ける追加的な層として、例えば、装飾層、バッカー層、プライマー層等を、必要に応じ適宜設けても良い。装飾層は、代表的には印刷模様層であり、形成面は、エンボス同調フィルムの任意の面乃至は層間に設ける。プライマー層の形成面も同様である。
バッカー層は、裏面側からの補強層であり、代表的には熱可塑性樹脂フィルムである。その熱可塑性樹脂としては、前記透明樹脂フィルムで列記した樹脂の他、不透明でも良いので、不透明なABS樹脂等も用いることができる。また、バッカー層は着色剤添加で、着色、不透明等としても良い。バッカー層の厚みは用途等によるが、通常50〜500μm程度である。また、バッカー層を設けることで、エンボス同調フィルム全体としての機械的強度は、透明樹脂フィルムでは無くバッカー層主体で受け持ち、透明樹脂フィルムは表面強度やエンボス加工時の搬送適性等を考慮しつつ、光輝性樹脂層を凹部でなるべく薄くし易い様に薄いフィルムとすることもできる利点が得られる。また、エンボス加工とバッカー層積層の工程的前後関係は、どちらでも良く、適宜使い分ければ良い。バッカー層を積層してからエンボス加工すれば、透明樹脂フィルム自体でエンボス加工時の搬送適性を維持する必要が無い利点が得られる。一方、バッカー層がエンボス加工時にクッションとして作用して、光輝性樹脂層の凹部での厚み低下が十分に得られない様であれば、バッカー層積層はエンボス加工後に行えば良い。
ここで、図2に例示のエンボス同調フィルム10は、バッカー層6を、接着剤層7を介して積層した構成例である。バッカー層6は、公知の積層法で積層すれば良く、代表的にはドイライラミネーション法で接着剤層7を介して積層する。接着剤層7としては、公知の樹脂を適宜使用すれば良い。該樹脂としては、前述接着剤層5で述べた樹脂等が挙げられる。
〔エンボス同調フィルムの用途〕
本発明によるエンボス同調フィルムの用途は、好適には該エンボス同調フィルムに、熱、或いは熱及び応力(伸びや厚み方向圧縮等)が加わる成形用途である。また、この様な成形用途以外に適用しても良く、この場合でも、凹凸模様に完全に同調した色模様で強調された凹凸意匠の利点が得られる。
成形用途に於ける成形法としては、いわゆる射出成形同時積層方法(特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報等参照)が代表的には挙げられる。なお、射出成形同時積層方法としては、エンボス同調フィルムは伸ばして(成形して)被着体である成形品表面に積層する方法がその形態中でも代表的であるが、いわゆるインサート成形法も包含し、射出成形型内にエンボス同調フィルムを装填し、該エンボス同調フィルムは伸ばさないで、被着体である樹脂成形品の成形と同時に該成形品表面に積層する様なインサート成形法の一形態も包含する。
或いは、真空成形積層法、或いは、被着体には積層せず成形されたエンボス同調フィルム自体が最終目的となる真空成形法(真空圧空成形も含む)等の用途でも良い。なお、真空成形積層法は、特公昭56−45768号公報(オーバーレイ法)、特公昭60−58014号公報(真空プレス法)等に記載されるように、成形品等の立体形状の基材の表面に、エンボス同調フィルムを対向又は載置し、基材側からの少なくとも真空吸引と更に適宜、エンボス同調フィルム側からの圧空押し付けの併用による圧力差によりエンボス同調フィルムを基材の表面に積層する方法である。
また、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、ラッピング加工法、Vカット法、Uカット加工法等も挙げられる。
なお、射出成形同時積層方法に於いては、用いる成形シート(エンボス同調フィルムのこと)のシート成形の態様が各種ある。これら全てに本発明によるエンボス同調フィルムは適用できる。すなわち、(A)シート成形有りの形態と、(B)シート成形無しの形態。前者の(A)シート成形有りの形態では更に、(A1)シート成形を射出成形型外で予め予備成形するオフライン予備成形の形態、(A2)シート成形を、射出成形型を真空成形型(含む真空圧空成形)と兼用して樹脂射出前に該型内で予備成形するインライン予備成形の形態、(A3)予備成形は行わないが、シート成形を、射出成形型を成形型として、射出時の射出樹脂の熱圧で成形する形態、等である。なお、(A1)や(A2)の形態では、細部の不完全な成形形状は(A3)によって最終的に成形されることがある。また、所謂インサート成形は、(A3)と(B)に該当する。
ここで、図4の概念図を用いて、いわゆる射出成形同時積層方法について、概説しておく。なお、ここで説明する形態は、(A2)のシート成形を射出成形型上で真空成形工程を行うインライン予備成形の形態に、エンボス同調フィルムを適用した場合である。
先ず、図4(A)の如く、射出成形型としては、射出ノズルと連通する湯道(ランナー)及び湯口(ゲート)を有する型Maと、キャビティ面に吸引孔41を有しエンボス同調フィルムの真空成形工程用の予備成形型を兼用する型Mbの一対の成形型を用いる。これらの型は鉄等の金属、或いはセラミックスからなる。型開き状態に於いて両型Ma、Mb間に、エンボス同調フィルム10を供給し、型Mbにエンボス同調フィルム10を平面視枠状のシートクランプ42で押圧する等して固定する。この際、エンボス同調フィルムの裏面側は、図面右側の射出樹脂側となる様にする事はもちろんである。次いで、図4(B)の如く、型外部(図面では型上方)の退避位置で退避させておいたヒータ43を、適宜移動させて両型間に挿入し、ヒータ43でエンボス同調フィルムを加熱軟化させる。加熱は例えば非接触の輻射加熱とするが、接触による伝導加熱でも良い。そして、吸引孔から吸引して真空成形して、エンボス同調フィルムを型Mbのキャビティ面に沿わせ予備成形する。次いで、ヒータを両型間から退避させ、図4(C)の如く両型を型締めし、両型で形成されるキャビティに加熱熔融状態等の流動状態の樹脂を充填する。そして、樹脂が冷却等によって固化した後、型開きして成形物を取り出す。そして、エンボス同調フィルムの不要部分は適宜トリミングすれば、樹脂成形物の表面にエンボス同調フィルムが積層された成形品として積層物が得られるという方法である。
〔積層物〕
本発明による積層物は、上記したエンボス同調フィルム10がその裏面側を基材側に向けて、該基材表面に積層された構成のものであり、図3の断面図はその一形態を示す。図3の積層物20は、図1(B)で例示の構成のエンボス同調フィルム10が、その接着剤層5で基材8の表面に積層した構成である。なお、接着剤層5はここでは、エンボス同調フィルム10の一構成要素としたが、基材8の表面に設けた後、接着剤層5無しの図1(A)の様な構成のエンボス同調フィルム10を適用して、積層しても良い。
基材8としては、用途に応じた適宜な材質、形状のものが採用される。例えば形状は、平板、曲面板等の板材、立体形状物品、フィルム(或いはシート)等である。また、材料は、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース系樹脂、ゴム等の板材、立体形状物品或いはシート等として用いられる樹脂素材、木材単板、木材合板、パーティクルボード、MDF(中質繊維板)等の木質繊維板等の板材や立体形状物品等として用いられる木質素材、鉄、アルミニウム等の板材、立体形状物品或いはシート等として用いられる金属素材、ガラス、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、ALC(軽量気泡コンクリート)板等の非陶磁器窯業系材料等の板材や立体形状物品等として用いられる窯業系素材、或いは、専らシートとして用いられる上質紙、和紙等の紙、炭素、石綿、ガラス、合成樹脂等の繊維からなる不織布または織布が挙げられる。
これらのなかでも、本発明の特徴が活かされるのは、エンボス同調フィルムを成形法で積層する、樹脂の成形品や木質素材等による立体形状物品である。
以下、実施例及び比較例にて、本発明を更に具体的に説明する。
〔実施例1〕
厚み125μmで連続帯状の透明アクリル樹脂フィルムからなる透明樹脂フィルム1の裏側とする面に、鱗片状アルミニウム粉を熱可塑性アクリル樹脂の樹脂バインダー中に含有する光輝性インキを全面にグラビア印刷して(乾燥時、以下同様)厚み5μmの光輝性樹脂層となる塗膜を形成し、引き続き、カーボンブラックを熱可塑性アクリル樹脂の樹脂バインダー中に含有する黒色インキを全面にグラビア印刷して厚み3μmの黒色の暗色樹脂層3、及び、熱可塑性アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合樹脂インキを全面にグラビア印刷して感熱接着型の厚み2μmの接着剤層5を順次形成した連続帯状の積層シートを作製した。
この積層シートに於ける透明樹脂フィルムの表側とする面に対して、該積層シートを180℃に加熱後、エンボスロールをエンボス版に用いたエンボス加工を行い、ヘアライン状の凹凸模様とそれに同調した色模様を形成して、所望の図1(B)の様な構成のエンボス同調フィルム10を得た。凹凸模様の凹部深さは50μmであった。
更に、上記エンボス同調フィルム10を、射出成形型内で予備成形するインライン予備成形の形態での射出成形同時積層法に適用して、図3の様な積層物20を得た。なお、予備成形温度は120℃、成形後の積層物での凹凸模様の凹部深さは40μmであった。積層物は、金属光沢と共に凹凸意匠を有する高意匠な成形品となった。
〔実施例2〕
実施例1に於いて、エンボス加工による(成形前の)凹凸模様の凹部深さを100μmに変更した他は、実施例1と同様にしてエンボス同調フィルム、及び積層物を作成した。積層物での凹部深さは70μmであり、金属光沢と共に凹凸意匠を有する高意匠な成形品となった。
〔実施例3〕
実施例1に於いて、透明樹脂フィルムに光輝性樹脂層及び暗色樹脂層をグラビア印刷で形成後、バッカー層とする厚み300μmのABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂製のバッカーフィルムを、ウレタン系接着剤を介して暗色樹脂層面にドライラミネートして、バッカー層付きの連続帯状の積層シートを作製した。
この積層シートに於ける透明樹脂フィルムの表側とする面に対して、該積層シートを200℃に加熱後、エンボスロールをエンボス版に用いたエンボス加工を行い、ヘアライン状の凹凸模様とそれに同調した色模様を形成して、所望の図2の様な構成のエンボス同調フィルム10を得た。凹凸模様の凹部深さは200μmであった。
更に、上記エンボス同調フィルムを、射出成形型外での真空成形で予備成形するオフライン予備成形の形態での射出成形同時積層法に適用して、所望の積層物を得た。なお、予備成形温度は160℃、成形後の積層物での凹凸模様の凹部深さは100μmであった。積層物は、金属光沢と共に凹凸意匠を有する高意匠な成形品となった。
〔実施例4〕
実施例3に於いて、透明樹脂フィルムの厚みを125μmから50μmに変更し、光輝性樹脂層の成形前厚みを4μmに変更した他は、実施例3と同様にして、凹部深さが220μmのエンボス同調フィルムを作製した。そして、実施例3と同様にして、積層物を作成した。積層物での凹部深さは110μmであり、金属光沢と共に凹凸意匠を有する高意匠な成形品となった。
〔比較例1〕
実施例1に於いて、光輝性樹脂層の厚みを12μm、暗色樹脂層の厚みを2μm、接着剤層の厚みを3μmに変更した他は、凹部深さを50μmとする等、実施例1と同様にしてエンボス同調フィルムの作製を試みたが、凹部で凹凸模様に同調した色模様は形成できず、単なるエンボスフィルムとなった。その為、実施例1と同様にして積層物を作製したが、凹凸模様は残るものの凹凸意匠は実施例1に比べて劣るものであった。
〔比較例2〕
実施例2に於いて、光輝性樹脂層の厚みを12μmに変更した他は、凹部深さを100μmとする等、実施例2と同様にしてエンボス同調フィルムの作製を試みたが、凹部で凹凸模様に同調した色模様は形成できず、単なるエンボスフィルムとなった。その為、実施例2と同様にして積層物を作製したが、凹凸模様は残るものの凹凸意匠は実施例2に比べて劣るものであった。
〔比較例3〕
実施例3に於いて、光輝性樹脂層の厚みを13μmに変更した他は、凹部深さを200μmとする等、実施例3と同様にしてエンボス同調フィルムの作製を試みたが、凹部で凹凸模様に同調した色模様は形成できず、単なるエンボスフィルムとなった。その為、実施例3と同様にして積層物を作製したが、凹凸模様は凹部深さ80μmと残るものの凹凸意匠は実施例3に比べて劣るものであった。
〔比較例4〕
実施例4に於いて、光輝性樹脂層の厚みを14μmに変更した他は、凹部深さを220μmとする等、実施例4と同様にしてエンボス同調フィルムの作製を試みたが、凹部で凹凸模様に同調した色模様は形成できず、単なるエンボスフィルムとなった。その為、実施例4と同様にして積層物を作製したが、凹凸模様は凹部深さ80μmと残るものの凹凸意匠は実施例4に比べて劣るものであった。
〔比較例5〕
実施例1に於いて、暗色樹脂層の厚みを2μm、接着剤層の厚みを3μm、凹凸模様の凹部深さを20μmに変更した他は、実施例1と同様にしてエンボス同調フィルムの作製を試みたが、凹部で凹凸模様に同調した色模様は形成できず、単なるエンボスフィルムとなった。その為、実施例1と同様にして積層物を作製したが、凹凸模様は残るものの凹凸意匠は実施例1に比べて劣るものであった。
本発明による、エンボス同調フィルムの代表的2形態を例示する断面図。 本発明による、エンボス同調フィルムの別の一形態を例示する断面図。 本発明による、積層物の一形態を例示する断面図。 成形の一用途である射出成形同時積層法をその一形態で説明する概念図。
符号の説明
1 透明樹脂フィルム
2 光輝性樹脂層
3 暗色樹脂層
4 凹凸模様
5 接着剤層
6 バッカー層
7 接着剤層
8 基材
10 エンボス同調フィルム
20 積層物
41 吸引孔
42 シートクランプ
43 ヒータ
Da 凸部
De 凹部
Ma 射出成形型(雄型)
Mb 射出成形型(雌型)

Claims (4)

  1. 透明樹脂フィルムの裏側とする面に、光輝性顔料を樹脂バインダー中に含有する光輝性樹脂層、前記光輝性樹脂層に比べて暗い色を呈する暗色樹脂層、を順次積層した積層シートの前記透明樹脂フィルムの表側とする面側からエンボス加工を施すことで、エンボス加工による変形が少なくとも光輝性樹脂層の透明樹脂フィルム側界面にまで達し、エンボス加工で形成される凹凸模様の凹部では該凹部以外の凸部に比べて光輝性樹脂層の厚みを薄く変形させて、光輝性樹脂層の厚み方向の層全体としての隠蔽性を凹部では凸部に比べて低くすることで、前記透明樹脂フィルムの表面側から見た意匠が、光輝性樹脂層による凹部及び凸部に亙る光輝感と共に、凹部では光輝性樹脂層裏側の暗色樹脂層の色が凸部に比べて透けて見える様にして、凹部が凸部に比べて暗く且つ凹凸模様に同調した色模様を付与されてなることを特徴とするエンボス同調フィルム
  2. 前記光輝性樹脂層の厚みが1μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1記載のエンボス同調フィルム
  3. 請求項1又は請求項2記載のエンボス同調フィルムが基材表面に積層された積層物。
  4. (A)透明樹脂フィルムの裏側とする面に、光輝性顔料を樹脂バインダー中に含有する光輝性樹脂層、前記光輝性樹脂層に比べて暗い色を呈する暗色樹脂層、を順次積層した後、
    (B)透明樹脂フィルムの表側とする面側からエンボス加工を施すことで、エンボス加工による変形が少なくとも光輝性樹脂層の透明樹脂フィルム側界面にまで達し、エンボス加工で形成される凹凸模様の凹部では該凹部以外の凸部に比べて光輝性樹脂層の厚みを薄く変形させて、光輝性樹脂層の厚み方向層全体としての隠蔽性を凹部では凸部に比べて低くすることで、
    (C)透明樹脂フィルムの表面側から見た意匠が、光輝性樹脂層による凹部及び凸部に亙る光輝感と共に、凹部では光輝性樹脂層裏側の暗色樹脂層の色が凸部に比べて透けて見える様にして、凹部が凸部に比べて暗く且つ凹凸模様に同調した色模様を付与する、エンボス同調フィルムの製造方法。
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